2017/12/27

ROBERT PLANT『CARRY FIRE』(2017)

前作『LULLABY AND THE CEASELESS ROAR』(2014年)から3年ぶりとなる、ロバート・プラント通算11枚目のオリジナルアルバム(他アーティストとのコラボ作除く)。THE SENSATIONAL SPACE SHIFTERSと銘打ったバックバンドを従えて制作されており、ロバート自身がプロデュースも担当しています

大半の楽曲はバンドメンバーとの連名で制作されており、1曲のみアーセル・ヒッキーのカバー「Bluebirds Over The Mountain」(クリッシー・ハインドとのデュエット)を収録。この選曲も、オールドスタイルのロックンロールが大好きなロバートらしいんじゃないでしょか。

全体的な作風はアコースティック&民族音楽を基盤にした、非常に穏やかで聴きやすいもの。とはいえ、そんな中でもロバートは彼らしいやり方でロックンロールしております。激しければロック、アップテンポならロックというわけではない、70歳間近の彼らしいやり方は非常に好感が持てるスタイルだと思いました。

また、声を張り上げることなく、けだるさとセクシーさが同居したロバートの歌い方も、このサウンド/アレンジにぴったり。ジミー・ペイジとのコラボ作にも近い印象を受けるものの、実は意外と尖った部分が見受けられず、じわじわとボディブローのように効いてくるのが本作の特徴かもしれません。

突出した1曲が引っ張るタイプではなく、リズムで引っ張りつつ全体の雰囲気を聴かせるアルバム。特にここ数作はそういう傾向はあったのですが、本作は楽曲のテイスト、ボーカルパフォーマンス含めてその極みではないでしょうか。これを聴いちゃうと、まだ前作のほうが派手だったなと改めて思っちゃいますものね。

正直若いリスナーにどこまで響くかはわからないし、LED ZEPPELINのファンといってもハードロック再度が好きな人には多少退屈に響くかもしれません。でも、だからこそこういう「一時代を築き上げたロックアーティストが提唱する、枯れの美学」に学ぶものは多いのではないでしょうか。ロックがつまらないと言われて久しいですが、本当の意味での「面白み」や「退屈さ」とはなんなのを、このアルバムを通じて自分なりに考えてみるのも良いかもしれません。



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投稿: 2017 12 27 12:00 午後 [2017年の作品, Robert Plant] | 固定リンク

JIMMY PAGE / ROBERT PLANT『NO QUARTER』(1994)

1993年にデヴィッド・カヴァーデイル(WHITESNAKE)と「COVERDALE・PAGE」というユニットを組んだものの、アルバムは小ヒット、ライブもここ日本でしか実現せず、短命に終わり途方に暮れていたジミー・ペイジ。翌1994年年に入るとMTV「Unplugged」の特別企画として、盟友ロバート・プラントと「Unledded」(=LED ZEPPELINではない)と題したスペシャルライブを実施しました。ここでツェッペリンの名曲群を新たな解釈でアレンジして披露し、さらに新たに書き下ろされた新曲も含まれていたことで、「ツェッペリン復活か?」とざわざわし始めます。そして同年11月、この音源を編集したライブアルバム『NO QUARTER』がリリースされたわけです。

本作で取り上げられたツェッペリンナンバーは「Nobody's Fault But Mine」「Thank You」「No Quarter」「Friends」「Since I've Been Loving You」「The Battle of Evermore」「That's The Way」「Gallows Pole」「Four Sticks」「Kashmir」の計10曲。「Thank You」や「Since I've Been Loving You」あたりは原曲に近いロックアレンジで再現されていますが、「Nobody's Fault But Mine」はフォーキーなアレンジに、「No Quarter」はキーボードレスで歌とギターのみで表現されるなど、新たな解釈が加えられています。

またEGYPTIAN ENSEMBLEの参加により「Friends」「The Battle of Evermore」、そして先の「Nobody's Fault But Mine」などはよりエキゾチックなテイストが増し、「Kashmir」にはLONDON METROPOLITAN ORCHESTRAの参加により原曲が持つドラマチックさが増強されております。

アコースティックテイストの楽曲(『LED ZEPPELIN III』および『同 IV』収録曲)が多数選出されていることからこういう方向性になったのかと思われますが、もともとこの手のテイストはジミー・ペイジの好物ですし、ロバート・プラントも自身の作品にこういうテイストを積極的に取り入れていたので、なるべくしてなった作風なのかもしれません。

これに合わせて新たに制作された新曲群「Yallah」「City Don't Cry」「Wonderful One」「Wah Wah」は、非常に時代性が強い作風。エキゾチックさにサンプリング/ループなど現代的要素をミックスされたサウンドは、「もしツェッペリンがその後も続いていたら、こんなことにも挑戦していたかも」と納得させられるもの。かといって、初期の楽曲のような絶対的な強さは皆無。そこは仕方ないかな……と当時も妙に納得してしまった記憶があります。

アルバム自体、全米4位・全英7位とそこそこの成功を収めたことで、2人はこの活動を継続。1998年には全曲新曲で構成されたオリジナルアルバム『WALKING INTO CLARKSDALE』もリリースします。



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投稿: 2017 12 27 12:00 午前 [1994年の作品, Jimmy Page, Jimmy Page / Robert Plant, Led Zeppelin, Robert Plant] | 固定リンク

2017/05/25

ROBERT PLANT『NOW AND ZEN』(1988)

COVERDALE・PAGE、ジミー・ページのソロときたら、こちらも取り上げておかなくちゃいけないですよね。ってことで、ロバート・プラント御大が1988年初春にリリースした通算4作目のソロアルバム『NOW AND ZEN』を紹介したいと思います。

ソロになってから、いわゆる歌モノなソフトロックに挑んできたプラント。聴きようによってはLED ZEPPELIN最後のオリジナルアルバム『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)の延長線上と言えなくもないですが、ペイジが曲作りにもレコーディングにも参加してない以上、やっぱり別モノ感は拭いきれず。そんな中、1984年に発表したTHE HONEYDRIPPERS名義のEP『THE HONEYDRIPPERS: VOLUME ONE』(1984年)が予想を超えるヒットを記録。同作は50'sの名曲カバー集で、レコーディングにはジェフ・ベックやナイル・ロジャースのほか、ペイジも参加。そのペイジ参加曲「Sea Of Love」は全米3位という好成績を残すのでした。

以上、ZEPPELIN全盛期サウンドはもちろんのこと、ZEP的なことから距離を置いていたプラントが、この『NOW AND ZEN』というアルバムではZEP的アプローチを比較的前向きに捉えて、制作に挑んでおります。

一説によると、アルバムのオープニングを飾る「Heaven Know」のデモを聴いてZEPに対するネガティブな考えを改めたという話があります。これをきっかけに、同曲を作曲したフィル・ジョンストンが全面参加することに。以降、彼は『MANIC NIRVANA』(1990年)、『FATE OF NATIONS』(1993年)でプラントの片腕として活躍するわけです。

レコーディングにはダグ・ボイル(G / のちにCARAVANに加入)、フィル・スクラッグ(B)、フィル・ジョンストン(Key)、クリス・ブラックウェル(Dr)という新たな布陣が参加。この『NOW AND ZEN』という新たなプロジェクトのために揃えられた面々で、以降も彼らはプラントのレコーディングやライブに関わっていくことから、プラントがロック色を強めていく上で非常に重要な役割を果たした面々と言えます。

序盤3曲は打ち込み主体なので、特に「Heaven Knows」「Tall Cool One」のようなプラント&ペイジ共演曲が“モロにZEP”になってしまうことをうまく避けているというか。だからこそ4曲目「The Way I Feel」以降のバンドサウンドとの対比が面白い。「Helen Of Troy」みたいにダイナミックなロックを当時のプラントがやっているのも興味深いし、オールディーズ(ドゥー=ワップ)テイストのロックンロール「Billy's Revenge」も思わずニヤリとしてしまう1曲だし。かと思えば「Ship Of Fools」のようなメロウバラードもあるし、ニューウェイブ的な「Why」、いかにも80年代的なシンセポップロック「Walking Towards Paradise」もあり、それまでの歌モノ路線と以降ロック色を強めていく路線との過渡期的1枚と言えるかもしれません。

そんな中、やっぱり特筆すべきは「Tall Cool One」なんでしょうね。曲調自体はシンプルな打ち込みポップロックなんですが、ヒップホップ的手法でLED ZEPPELIN「Black Dog」「Whole Lotta Love」「The Ocean」「Custard Pie」などをサンプリングして曲に乗せるという反則技を取り入れ、なおかつペイジがギターで参加するという「どう考えてもこれ、LED ZEPPELINをやろうとしてるよね?」的思考を誘発させるアレンジ。なのに曲自体はやっぱりZEPっぽくないという、ただ反則でしかない1曲なわけです。要するに、これが当時HR/HMシーンを賑わせていた「ZEPクローン」に対するプラントからの答えだったのかな……と思ったら、KINGDOM COMEのデビューはほぼ同時期だったので、それは考えすぎかな。

なんにせよ、LED ZEPPELINの面影を求めて聴いたら痛い目を見る、だけど不思議と嫌いになれない1枚。まぁ本作がなかったら後のPAGE/PLANTはなかったわけですしね(と、最近毎回同じ締めをしてる気が)。



▼ROBERT PLANT『NOW AND ZEN』
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投稿: 2017 05 25 12:00 午前 [1988年の作品, Jimmy Page, Led Zeppelin, Robert Plant] | 固定リンク