2017/05/25

ROBERT PLANT『NOW AND ZEN』(1988)

COVERDALE・PAGE、ジミー・ページのソロときたら、こちらも取り上げておかなくちゃいけないですよね。ってことで、ロバート・プラント御大が1988年初春にリリースした通算4作目のソロアルバム『NOW AND ZEN』を紹介したいと思います。

ソロになってから、いわゆる歌モノなソフトロックに挑んできたプラント。聴きようによってはLED ZEPPELIN最後のオリジナルアルバム『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)の延長線上と言えなくもないですが、ペイジが曲作りにもレコーディングにも参加してない以上、やっぱり別モノ感は拭いきれず。そんな中、1984年に発表したTHE HONEYDRIPPERS名義のEP『THE HONEYDRIPPERS: VOLUME ONE』(1984年)が予想を超えるヒットを記録。同作は50'sの名曲カバー集で、レコーディングにはジェフ・ベックやナイル・ロジャースのほか、ペイジも参加。そのペイジ参加曲「Sea Of Love」は全米3位という好成績を残すのでした。

以上、ZEPPELIN全盛期サウンドはもちろんのこと、ZEP的なことから距離を置いていたプラントが、この『NOW AND ZEN』というアルバムではZEP的アプローチを比較的前向きに捉えて、制作に挑んでおります。

一説によると、アルバムのオープニングを飾る「Heaven Know」のデモを聴いてZEPに対するネガティブな考えを改めたという話があります。これをきっかけに、同曲を作曲したフィル・ジョンストンが全面参加することに。以降、彼は『MANIC NIRVANA』(1990年)、『FATE OF NATIONS』(1993年)でプラントの片腕として活躍するわけです。

レコーディングにはダグ・ボイル(G / のちにCARAVANに加入)、フィル・スクラッグ(B)、フィル・ジョンストン(Key)、クリス・ブラックウェル(Dr)という新たな布陣が参加。この『NOW AND ZEN』という新たなプロジェクトのために揃えられた面々で、以降も彼らはプラントのレコーディングやライブに関わっていくことから、プラントがロック色を強めていく上で非常に重要な役割を果たした面々と言えます。

序盤3曲は打ち込み主体なので、特に「Heaven Knows」「Tall Cool One」のようなプラント&ペイジ共演曲が“モロにZEP”になってしまうことをうまく避けているというか。だからこそ4曲目「The Way I Feel」以降のバンドサウンドとの対比が面白い。「Helen Of Troy」みたいにダイナミックなロックを当時のプラントがやっているのも興味深いし、オールディーズ(ドゥー=ワップ)テイストのロックンロール「Billy's Revenge」も思わずニヤリとしてしまう1曲だし。かと思えば「Ship Of Fools」のようなメロウバラードもあるし、ニューウェイブ的な「Why」、いかにも80年代的なシンセポップロック「Walking Towards Paradise」もあり、それまでの歌モノ路線と以降ロック色を強めていく路線との過渡期的1枚と言えるかもしれません。

そんな中、やっぱり特筆すべきは「Tall Cool One」なんでしょうね。曲調自体はシンプルな打ち込みポップロックなんですが、ヒップホップ的手法でLED ZEPPELIN「Black Dog」「Whole Lotta Love」「The Ocean」「Custard Pie」などをサンプリングして曲に乗せるという反則技を取り入れ、なおかつペイジがギターで参加するという「どう考えてもこれ、LED ZEPPELINをやろうとしてるよね?」的思考を誘発させるアレンジ。なのに曲自体はやっぱりZEPっぽくないという、ただ反則でしかない1曲なわけです。要するに、これが当時HR/HMシーンを賑わせていた「ZEPクローン」に対するプラントからの答えだったのかな……と思ったら、KINGDOM COMEのデビューはほぼ同時期だったので、それは考えすぎかな。

なんにせよ、LED ZEPPELINの面影を求めて聴いたら痛い目を見る、だけど不思議と嫌いになれない1枚。まぁ本作がなかったら後のPAGE/PLANTはなかったわけですしね(と、最近毎回同じ締めをしてる気が)。



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投稿: 2017 05 25 12:00 午前 [1988年の作品, Jimmy Page, Led Zeppelin, Robert Plant] | 固定リンク