2003/08/18

ROCKBOTTOM『THROW AWAY』(2003)

  TREEBERRYSのボーカル/ギターのINAGAKI氏が参加するもうひとつのバンド、ROCKBOTTOM。このバンドは昨年5月のFLASHCUBESのライヴで初めて観て、一発で気に入ってしまったんですよ。もうね、サウンド・スタイル・佇まい‥‥全てにおいて、自分が愛して止まない'70~ '80年代のアメリカン・ハードロックやパワーポップの香りがプンプンしまくってるんだもん。正直、カッコイイを通り越して「羨ましい‥‥」って嫉妬に駆られる程。

  そんな彼等が、待望のファーストアルバムをリリース。全10曲、予想通りの、そして予想外の内容に正直驚きを隠せないでいます。勿論、良い方の、ねっ? このアルバム、プロデュースとレコーディング及びミックスをFIRESTARTERのFINK氏が手掛けているんですね。だからなのか判りませんが、ROCKBOTTOM本来が持つ荒々しさが更に強調された、正にライヴレコーディングと呼ぶに等しい程の生々しさがそのまま真空パックされてます。インディーズの低予算だから、とも取れるわけですが、こういうバンドの場合は極端に派手なサウンドになるか、逆にこういう極端に装飾を剥ぎ取った生々しいサウンドになるか、どちらかだと思うんですね、個人的に。ファーストアルバムってことで、彼等の持ち味を上手く活かした結果がこれだった、と俺は確信しています。

  楽曲はライヴで定番の、バンドのテーマ曲ともいえる"ROCKBOTTOM"からスタートするんですが、これが以前ライヴで聴いたものよりも、そして昨年流通していた3曲入りCD-Rのテイクよりも更にカッコ良くなってるんですわ。大まかなアレンジはそのままなんですが、細かな味付け‥‥ドラムのフレーズだったり、ボーカルの歌い方だったり、そういった辺りに成長を感じずにはいられない程頼もしくなってるのね。

  それ以降もヘヴィだけどポップな"FEEL LIKA DANCE TONITE"、ハードポップ/パワーポップファンにこそ聴いて欲しい名曲中の名曲"TV KILLS"、ベースのKOZY氏がボーカルを取る"SHAME ON YOU"と"THROW AWAY"(特に"THROW AWAY"はRAMONESにも通ずる色合いを感じずにはいられませN)、ライヴでは大合唱間違いなしの"IT'S ALRIGHT (TO ROCK'N'ROLL)"、サミー・ヘイガーが在籍していた頃のMONTROSEを彷彿させる疾走チューン"ROCK'N'ROLL TERRORISTS"等‥‥とにかく捨て曲なし、どの曲も「心のヒットチャート」上位にランキングしそうな名曲・佳曲揃い。洋楽ロック、特に30代以上の人が彼等の曲を聴いたら絶対に胸キュン状態に陥るはず。そういうバンドなんですよ、彼等は。

  俺ね、常々思ってたのは‥‥このバンドの凄みって、「ポール・スタンレー(KISS)とロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)が同居する」ようなそのスタイル(サウンドや楽曲・、ボーカルスタイル等も含めて全てにおいて)だと思ってたのね。TOMMY氏、INAGAKI氏のどっちが誰ってことじゃなくて、共にそういう要素を持っていて、それが相互上手く滲み出てる、と。それでいてバンドは'70年代ハードロックやパワーポップ的な色合いと、RAMONESのようなパンクの色合いとを兼ね備えている。更にこのアルバムでは新たに「エース・フレーリー(KISS)的ポジションの第3の男」まで登場するわけですよ。最近のライヴを観てなかったので、ベースのKOZY氏がボーカルを取ること、知らなかったから余計に驚いたわけですよ。決して上手いとは言わないけど、それこそエースみたいな雰囲気モノのシンガーとして、既にバンド内でのポジションも獲得してるし、なくてはならない要素にもなってると思うんですね。それだけこの1年ちょっとの間でパワーアップしていた、と。もうね、それが嬉しいのと同時に、悔しいの何のって‥‥だって、俺がこんなバンドやりたかったもんマジ。

  ‥‥って愚痴っても仕方ないんですが、とにかくこのアルバム、上記のように俺と同年代のロックファンだけでなく、10代、20代のファンにも聴いて欲しい1枚。絶対にどこか引っ掛かる箇所があるはず。メジャーとかインディーとかじゃなしに、ロックの一番カッコイイ部分、気持ちいい部分をよく知り尽くした男達が作り出すサウンド、悪いわけがない。とにかく聴いて!



▼ROCKBOTTOM『THROW AWAY』
(tower records:国内盤CD

投稿: 2003 08 18 12:00 午前 [2003年の作品, ROCKBOTTOM] | 固定リンク

2002/05/21

FLASHCUBES@下北沢SHELTER(2002年5月18日)

  FLASHCUBESというバンド名を知ったのは、実は2ヶ月ちょっと前のことだった。たまたまトルちゃんと共にSNAKE HIP SHAKES(現ZIGGY)を観に行った時に、日本のFIRESTARTERについて話していた。丁度4月上旬に彼等のライヴがあるので、俺が行こうかどうか悩んでいたところ、「5月にアメリカのパワーポップの元祖的存在、FLASHCUBESが初来日してFIRESTARTERが前座に付く日が丁度土曜だから、それ行かない?」という流れになって、俺もご一緒させてもらうことにしたのだった。一昨年末辺りから、トルちゃんには本当にパワーポップ関係でお世話になっていて、昨年1月のTEENAGE FANCLUB来日時には、彼に5枚組のパワーポップMDを作って貰った程だ。

  ライヴが近づくにつれて、当日はFLASHCUBESの他に日本のパワーポップ/ガレージバンドが4バンドも演奏することを知る。知ってるのはFIRESTARTERのみ。この時点ではまだFLASHCUBESの音すら未聴だった。で、ライヴ観る前にどうしても音を聴きたくなって探すわけだが‥‥驚いたことに、FLASHCUBESとしての活動期間中、アルバムは1枚もリリースされておらず、シングルが2枚のみ。解散後にパワーポップのコンピレーション盤に未発表曲が幾つか収録されたりしていたそうだが、数年前にその活動期間中の音源をまとめたコンピレーション盤が出るまでは、FLASHCUBES名義のCDアルバムというのはこの世に存在しなかったのだ。そんな、いわば「パワーポップ界での伝説の存在」と呼べるようなバンドを、2002年に日本で観れるというのは、ある意味もの凄くラッキーなことなのかもしれない。

  丁度、この頃全く音に接したことのないバンドを観る機会が何度かあったので、今回もFLASHCUBESとFIRESTARTER以外については特に情報を得ることなく、真っ白な気持ちでライヴに挑むことにした。


◎FIRESTARTER

  当日、会場前に着いて出演順を知って驚いたのだが、何とFIRESTARTERがトップなのだ。いきなりお目当てのバンドを、しかもド真ん前で観れてしまうのだから‥‥どうしよう(汗)

  ライヴは淡々と、アルバム「FIRESTARTER」1曲目の"Keith Richards Man"からスタート‥‥した途端に、熱い、熱いぜ。ボーカル&ギターのFifiさんはとてもクールなイメージがあったんだけど、実際その通りの人で、けど唄い始めたらやはりそこはフロントマン。風格というか、独特な格好良さがあるんだわ。方やギターのFinkさんは正反対で、コードひとつ弾くにもビシバシアクション決めまくり。これがロックだぜ!と言葉ではなくて身体で表現してる感じ。そしてリズム隊‥‥ここのリズム隊がまたしっかりしてて気持ちいい。ベースは動きの激しいラインを的確に奏で、ドラムは淡々と叩いているようで、実はかなりデカイ音で叩きまくってる。このバンドはやはり、この「静と動」のコントラストがカッコイイ。クールだけど熱い、低温火傷しそうな内なる熱さ/鋭さ‥‥こんなにスゲェバンドがメディアから無視され続けてるってのがおかしいし、間違ってる!

  音はガレージパンク寄りのパワーポップ。アルバムを聴いた時は正直、単調な印象があったんだけど、ライヴだと全くそういった印象、全くなかった。とにかくあっという間の30分。もっと観たいというのが正直な感想。


◎ROCKBOTTOM

  続いてはROCKBOTTOMというバンド。その名前を聞いた瞬間に「ニヤリ」としたのは言うまでもなく、音を聴く前から既に俺の中ではストライクゾーンなバンドだった。実際、その直感に間違いはなかった。バンド名(間違いなくKISS初期の名曲"Rock Bottom"から拝借したのだろう。そう、俺が昔BLACK DIAMONDというKISSタイプのバンドをやってたのと同様に)から想像出来る音‥‥'70年代の王道パワーポップ&ハードロック路線なのだ。CHEAP TRICKやKISSといったバンドの名曲に匹敵するポップなメロディにパワフルな演奏。フロントのふたりが曲によってリードボーカルを唄い分ける辺りも然り。時々挿入されるツインリードなんて、まるでTHIN LIZZYだ‥‥そしてボーカル&ギターのINAGAKI氏の動き‥‥いちいちスゴイの何のって! ハイジャンプ等の決めが多くて、視覚的にも全く飽きさせず。常に目が彼に行きっぱなし状態。本当に好きなんだなぁってのが、痛いほどよく判った。

  そして何より凄かったのが、ドラム。キース・ムーン並みの手数の多さ/ハードヒットで、聴く者の目を/耳を惹き付けるわけで‥‥このバンドは本当に曲はいいし、見せるの上手いし。嗚呼、会場で売ってたデモCD-R買っておけばよかった(涙)

  そうそう、この日はもうひとりのボーカル&ギターのTOMMY氏(笑)の誕生日だったそうで「自分の誕生日に、憧れのFLASHCUBESと同じステージに立てた事を一生忘れない」って言ってたっけ‥‥羨ましい、心の底から。INAGAKI氏もそんなような事、言ってたっけ‥‥

  とにかく、ROCKBOTTOM。このバンド名、覚えておいて損はないと思うよ?


◎SNEEZE

  この日出演した全バンド、4ピースバンドだったんだけど、このバンド以外はボーカルもギターやベース弾きながらって形だったのに、このSNEEZEだけシングルギターでボーカルは楽器持ってなかったわけ。まぁそういうのが如何にもフロントマンっぽくていいんだろうけど‥‥残念ながら、俺はこのバンドからは何も感じなかったなぁ。トルちゃんも言ってたけど、全出演者中、このバンドだけちょっとレベルが落ちるかな、と。曲調も似たようなものが連発で(マイナーキーでパンキッシュ)、個人的にはちょっとここでダレる。FIRESTARTER、ROCKBOTTOMと思いっきりストライクゾーンなバンドが続いただけに、ここはちょっとキツかったかも‥‥で実際、特に印象にも残ってないし。

  ドラムがとにかく弱かったな、俺的に。他のどのバンドもスネアの音がビシバシ響いてたんだけど、一番前で観ててもこのバンドの時だけスネアの音がよく聞こえなかった。シングルギターバンドなのに。逆にラウドなFIRESTARTERやROCKBOTTOMではドラムがデカいくらいだと感じたのに‥‥音楽性を考えても、ここだけちょっと浮いてたしね?(パワポの要素は薄かったし)


◎SAMANTHA'S FAVOURITE

  このバンド、日本のパワーポップの草分け的バンドだそうで、実はここ数年活動休止状態だったにも関わらず、このFLASHCUBES奇跡の初来日に合わせて、この日から活動再開だったそうだ。

  で、実際にこの日初めて彼等の音に触れて‥‥まず、いきなりこの辺から客が一気に増えた。それだけ復活が待たれてたってことなんだろうな。始まった瞬間、後ろから押されまくり、客大合唱みたいな感じで‥‥で、その音も納得いく煌びやかなパワーポップサウンド。コーラス、メチャ上手なのよ! 多分、リバーブが強めにかかってるから余計に感じたんだろうけど、もうね、JELLYFISHかと思える程にゴージャスなのよ。適度にパンキッシュで、適度に優しくて、適度に爽やか。TFCをもっと骨太にした感じかな?

  ステージ袖に目をやると、FIRESTARTERのFifiさんが気持ち良さそうに頭振って聴いてるし‥‥そういえば、サマンサのOZAKIさんとウガンダさんって、以前FifiさんとTWEEZERSってパワーポップバンドをやってたそうな‥‥そういう横の繋がりも深いんだね、日本のパワポシーンって。

  とにかく、個々の演奏力もハンパじゃないし、曲も素晴らしいし‥‥って俺、ずっと誉めてばっかじゃんか。だって本当にスゴイんだもん。こんなバンド達が全く雑誌やメディアに取り上げられずにひっそり活動してるっての、何か間違ってない?(もっとも、FIRESTARTERは前身バンドTEENGENERATE時代には海外での評価も高くて、海外だけで40万枚ものレコード売り上げを記録してたり、サマンサも海外でライヴやったりして向こうでの評価がかなり高かったりするし。数年後になって「日本の伝説のバンド~」とかいって取り上げるようになってからじゃ遅いんだよ!?)


◎FLASHCUBES

  いよいよトリの登場だ‥‥まず楽器のセッティングをローディーらしきガタイのデカイ外人さんが行うわけだけど‥‥どうやら何かが違うらしい‥‥トルちゃんと「レスラーみたい(笑)」なんて話してたけど、やっぱりこのローディーらしき身体のデカイ人達が、かのFLASHCUBESのメンバーらしい(驚)。CDのライナーにあった写真をイメージしていた我々は、その変貌振りに軽い衝撃を受けた。いきなりカウンターかよっ!

  まぁそんな冗談はどうでもいいんだけど、メンバー全員が揃った時に、今回の招集を実現させた中上マサオ氏と、日本にFLASHCUBESの凄さを知らしめたオッサン(笑)が、今回の来日実現の裏話なんぞを話してくれた。そして、いよいよ‥‥"No Promise"からスタートしちゃうわけ。あの甘いメロディーがギュウギュウ詰めになったシェルターを包むわけよ‥‥みんな大合唱、勿論笑顔で。どの曲をどの順番にやったかは覚えてないんだけど、とにかくどれも名曲ってのだけは間違いなし。前半のハイライトといえるデビューシングル"Christi Girl"、そして俺が一番好きな"It's You Tonight"(超名曲!)の流れで俺、鳥肌立ったもん‥‥気付けば、ステージ一番前にはROCKBOTTOMのメンバーがクシャクシャの笑顔で唄ってるし、袖にはFifiさんが相変わらず頭を激しく振り、サマンサのOZAKIさんが泣きそうな顔で演奏を観てるし。FIRESTARTERのドラムとROCKBOTTOMのドラムもふたりでFLASHCUBESの曲に合わせてドラム叩く振りしたり唄ったり‥‥本当にFLASHCUBESは愛されていて、そしてこの来日というのがどれだけの意味を持つのかというのが判る瞬間だった。

  途中、何度かギターの弦を切ったりして、OZAKIさんのレスポール・ゴールドトップ、Finkさんのギブソン・エクスプローラーを借りて弾いてたりして。何か羨ましかったなぁ‥‥そしてTOMMYさんがステージに上げられて一緒に唄ったり、Fifiさんは酔った勢いで激しいポゴダンスして、天上に頭がぶつかりそうになるし(しかも加減知らず‥‥恐るべし)

  ラストのアンコールでは、曲の途中でRAMONES取り混ぜたりして、大興奮。メチャクチャ楽しかった。2度目のアンコールを求めようとしたら、先述の中上氏が登場し「時間の都合でこれ以上演奏できません」とのこと。この時初めて時計を見たのだけど‥‥既に23時10分前だったという(汗)。てっきり俺、まだ22時くらいだと思ってた‥‥要するに、それくらい時間を感じさせない、飽きさせないバンド達ばかりだったということだろう。恐らく時間にして、前座の日本のバンド群が各30分、FLASHCUBESが約90分程度といったところだろうか?
  この日演奏された曲の殆どが数年前にリリースされたコンピレーション盤「BRIGHT LIGHTS」と、来日記念盤「ROCKIN' OVER JAPAN」からの曲だったが、そんな中2曲程、9月にリリースされるという初の(驚)オリジナル・ファーストアルバムからも演奏されたが、過去の楽曲群に引けを取らない、逆に更に力強くてポップな面が強調された、純粋にいい曲だった。これはかなり期待していいんじゃないだろうか?

  というわけで、パワーポップ好きにとっては至福の4時間となったこの日のライヴ。共演したバンドのメンバーのみならず、あの場にいた数百人のお客にとっても一生忘れられないライヴになったはずだ。だって、この俺にとってもいろいろ考えさせられる、本当に内容の濃いライヴだったのだから。

  ‥‥さっ、早いとこバンドのメンバー探そ。

投稿: 2002 05 21 12:00 午前 [2002年のライブ, Firestarter, Flashcubes, ROCKBOTTOM, Samantha's Favourite, Sneeze] | 固定リンク