ROOSTER『CIRCLES AND SATELLITES』(2006)
あー、これは賛否両論ありそうなアルバム作っちゃったなぁ‥‥まずそう思いましたね。前作から1年半経たずに完成させたROOSTERの2ndアルバム「CIRCLES AND SATELLITES」。日本では本国イギリスより1ヶ月以上早くのリリースとなりましたが、まずは大ブレイクを果たした日本で‥‥ってことなんでしょう。にしても、いきなり壮大なバラード "Home" からスタートする辺りに、多くの人がその違和感を感じるんじゃないかなぁ。
改めて去年の3月、自分が書いた1stアルバムのレビューを読み返してみる。うん、やっぱりブレてないな、と。自分は日本でこんなに盛り上がる前、UKでリリースされて間もなくに1stアルバムを購入したんだけど(去年の2月頃か)。この2ndアルバムを何度か聴いて、実は1stを聴いた時と同じような感想を持ったのね。あー、俺こういう音を出すバンドが好きだったよなぁ、って。
なんつーか、もう前作のレビューを読んでもらうと一番かと。ていうか、そのまま載せて2ndのレビューです、って言い張ってもいいくらい、実はこの2ndに繋がるようなことを書いてるんじゃないの?
新作のプロデューサーってMAROON 5を手がけたマット・ウォレスなんだよね(過去にはFAITH NO MOREなんかもやってる人なんですけどね)。そのMAROON 5との共通点についても1stの時点で触れてるし。例えば前作のプロデューサーがDEF LEPPARDなどに携わるピート・ウッドロフだったり。そのLEPSやブライアン・アダムスとツアーをしたりとか。そう、このバンドの本質って「'70年代ブリティッシュロックの良き後継者」なんてもんじゃなくて、もともと「'80年代の産業ロックの良き後継者」だったんじゃないか、って。
確かに前作の "Come Get Some" 辺りを聴くと、'70年代のブリティッシュロックにも通ずるリフロックというイメージがあるけど、全体を覆う空気って'80年代のソレだよね。だから「古き良き〜」を期待した若いファンがこのアルバムに肩すかしを食らう気持ちもよくわかる。でもね、残念。君たち勘違いだよそれ。ライブではそっち側のイメージが強いかもしれないけどね。
良い意味で楽曲が整理され、前作を覆っていた「可能性」をより強靭な魅力として凝縮した。もちろん、一歩間違えば(間違えば?)あっち側に行っちゃってた可能性もあるでしょう。でも、彼らが選んだのはこっちだった。前作をより進化させた、順当な成長。それがこの「CIRCLES AND SATELLITES」だと個人的には思ってます。
「このバンドの、こういう部分が好きだった」というのを、誇大妄想で「このバンドはこういう音楽性だったのに、変わってしまった」と決めつけてしまうのは、ちょっと違うんでないかなぁ。このアルバムを聴いても1stを出したROOSTERと別のバンドだとは全然思わないけど。いつまでも同じ場所に留まっていられないんじゃないの、だってまだ20代前半だし(それはあんま関係ないか)。
まぁ後は、このアルバムをライブでどう表現するか、1stアルバムの楽曲との対比ですかね。すごく意地悪な見方をするとだけど。ま、勘違いされる可能性を強くはらんだ作品には違いないけどさ。曲順も大きく影響してるよなぁ、いきなり "Home" みたいな "Stairing At The Sun" をさらに壮大にした産業バラードだしさ。
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