2003/05/03

ROVO『FLAGE』(2002)

  山本精一、益子樹、芳垣安洋、勝井祐二‥‥等といった名前を聞いて「オオッ!」って唸る人も多いことでしょう。このメンツがそれぞれ参加してるユニット/バンド名を挙げただけでも、それこそこの10年間の日本のクラブ/オルタナ/ジャズシーンの流れを垣間見ることができるんじゃないでしょうか。そういった面々が約8年くらい前から一緒になって始めたのが、このROVOという7人組のバンドであり、今回紹介する「FLAGE」は前作から約3年振り、5作目のアルバムになります。この3年間に所属するレーベルが閉鎖したり、海外でのリリースがあったり(海外限定のライヴ盤ってのもありました)、フジロックや朝霧JAM等のフェス/イベントに出演したりと、各メンバーそれぞれの活動の合間を見て精力的にライヴを行ってきたようです。

  そんな俺が彼等の音に最初に触れたのは‥‥DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENとのスプリットシングル「シノ」でした。その時は特にピンとくることもなかったのですが、それから数ヶ月後に観た'朝霧JAMでのステージにノックアウトされ、そしてその2ヶ月後('02年11月)にリリースされたこのアルバムに至った、というわけ。もうね、ライヴが完全に先。音源に関しては完全に後追い。ライヴ観てから「シノ」聴いたら、また全然聞こえ方が違うのね。単に俺の興味が強まったというのもあるんだろうけど。

  で、この新作。既にライヴでもやっていた"SUKHNA"や"NA-X"以外は全て未発表新曲。確かにこの2曲は印象に残ってるわ。特に"SUKHNA"の方が。どんどん盛り上がっていく構成、こんなの生で聴かされたらやっぱり踊り狂っちゃうわけですよ。ライヴも良かったけど、このスタジオ版もなかなか。あの日あの時の想い出が蘇ってきますね。また、スタジオ作品として非常に音が緻密ということもあって、ヘッドフォン等でのリスニング作としても十分に楽しめる1枚となってます。ま、個人的にはフロアで大音量で流してもらって、それに合わせて無心で踊るのが一番なんだけどね。

  左右に振り分けられたふたりのドラムサウンドの、微妙なズレはもうこの手のバンドの一種持ち味といえるわけで、それがどれだけ気持ちよく聴かせてくれるか、逆に聴いてて気持ち悪さを感じさせないかというのもテクニックでありセンスだと思うし、更にROVOの場合は山本のギターと勝井のバイオリンが独特なわけで、これらのウワモノ(メロディを奏でる楽器)が放つメロディが彼等独特なものとなってるんですね。ジャズとも違う、かといってフュージョンというわけでもない。どっちかっていうと、明らかにクラブサウンド‥‥テクノやその手のジャンルに最も近いんじゃないかなぁと思うわけです。例えば上にも挙げたDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENの場合はもっとジャズ的で、尚かつブラックミュージックからの影響も伺える。より人間的な温かみ‥‥「陽」のイメージを受けるんですね。逆にROVOの場合はそういうテクノだったりポストロックだったり(勿論デトコペにもテクノ的要素はありますけどね)‥‥なんつーか、非常に冷たい印象を受けるんですよ。「陰」というか。いや、熱い演奏をしてるんだけど、非常にクールっていうか。上手い例えが浮かばないんだけど、デトコペの音を「炎」と呼ぶなら、ROVOの方は「焔」とでもいいましょうか‥‥判ってもらえますかねぇ?

  6曲で74分30秒。1曲を除いて全部12~5分もの長尺。当然歌モノは1曲もなし。プログレ的とも呼べるでしょうけど、今や何をもって「プログレ」と呼ぶのか、個人的には判りませんが‥‥もし上手い例えがあるというのなら、「人力テクノ」と呼びますね。ま、この手のバンド全てに当てはまる例えなんで何もROVOに限ったことじゃないですけどね。

  ドラムの音ひとつひとつを聴いてるだけでも楽しめるし(それは単に自分が同じように楽器を弾くからかもしれませんね)、シンセの音にトリップしそうになったり、バイオリンの音色に酔ったり、ギターサウンドに高揚したり‥‥楽器を弾く人は尚更楽しめると思いますよ。デトコペ程メンバーが多くないんで(あちらが11人に対して、こちらは7人ですから。ギター+ベース+バイオリン+ダブルシンセ+ダブルドラムという構成)、意外とひとつひとつの楽器の聞き分けもできそうですし。

  朝霧JAMを体験して思ったんですが、この手の音はクラブのような閉鎖的な空間で聴くのもいいんですが、個人的にはやはり野外で聴きたい音ですね。しかも大自然の中で、割れんばかりの爆音で。気が狂いそうになる程の音圧で、オーディエンスをノックアウトして欲しいなぁ、と。ま、あまり音がデカすぎてもなんなので、適度な爆音で(笑)。なんか数日後に日比谷野音でイベントやるようですが、こういう野外イベントもまたいいんじゃないですかね。

  プログレ好きな人、テクノ等のクラブミュージックに興味がある人、そしてROVOに在籍する各メンバーに興味を持つ人、それぞれがそれぞれの聴き方で楽しめる1枚になってると思いますよ。



▼ROVO『FLAGE』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 05 03 12:00 午前 [2002年の作品, ROVO] | 固定リンク