カテゴリー「Rush」の7件の記事

2020年1月21日 (火)

RUSH『RUSH』(1974)

1974年3月にリリースされたRUSHの1stアルバム。日本盤は発売日時こそ不明ですが、当時のマーキュリー・レコード(日本フォノグラム)から『閃光のラッシュ』の邦題で1975年に発売されたようです(解説の執筆日付が1975年1月なので、発売は同年3月以降かなと。となると、海外でのオリジナル盤発売から1年のタイムラグがあったことがわかります)。

当時はニール・パート(Dr)加入前で、メンバーはゲディ・リー(Vo, B)、アレックス・ライフソン(G)、ジョン・ラトジー(Dr)の3人。音楽性もニール加入後のプログレッシヴロック路線とは異なり、ゲディのハイトーンボーカルを前面に打ち出した、ギターリフ主体のハードロックが中心です。

オープニングの「Finding My Way」からして、我々の知るRUSHとは異なり……「あれ、LED ZEPPELINのCDと間違えた?」と勘違いしてしまうほど、ストレートなブルースロック/ハードロックが展開されています。ただ、ツェッペリンほどアレンジに凝った様子もなく、若干ストレートさが目立つかなと。それを「デビュー作らしい直球さ」と受け取るか「ツェッペリンやCREAMの亜流」と受け取るかで、判断は大きく異なるのではないでしょうか。

8曲中7曲がゲディ&アレックスによるもの(「In The Mood」のみゲディ単独)。なので、歌詞もこの2人によるものなので、次作『FLY BY NIGHT』(1975年)以降の作風とは大きく異なります。つまり、“我々が知るRUSH”という視点では、次作こそがRUSH本来のデビューアルバムと受け取ることもできるのかなと。

となると、本作の存在って……いやいや、これはこれで素晴らしいんですよ。「In The Mood」みたいな能天気なロックンロールはさすがに微笑ましいけど、先の「Finding My Way」や「What You're Doing」「Before And After」のハードロックぶりや、アルバムラストを飾る「Working Man」のカッコよさは以降のRUSHにはないものだと思いますし、比較してどっちが優れているとかそういう話ではない魅力が感じられますし。

ニール・パート逝去以降、RUSHのカタログをずっと聴き漁っていましたが、20年ぶりくらいに聴いたこのアルバム、やっぱり良いんです。何を差し置いても先に聴くべき1枚とまでは言いませんが、RUSHというバンドにハードロックの香りを感じて、そのルーツって何だろう?と疑問に思った人にはぜひ触れてもらいたい1枚。90年代以降のモダンはハードロック感とはまた異なる、剥き出しな表現がここで感じられるはずなので。

「Working Man」は、活動後期にも演奏されていたのがいいですよね。しかも、ちゃんと“この3人”らしく味付けされて。本当、生で観たかったです……。

にしても、上に挙げた「Finding My Way」「What You're Doing」「Before And After」は本当に格別ですね。これ、ツェッペリンあたりだけじゃなくて、初期BLACK SABBATHを好むリスナーにも手を伸ばしてほしい名盤かもしれません。

 


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2020年1月14日 (火)

RUSH『HOLD YOUR FIRE』(1987)

1987年9月にリリースされたRUSHの12thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年10月に発売されています。

『MOVING PICTURES』(1981年)から本格化した“ラジオ・ライク”なショートチューン路線。シーケンサーを導入したシンセサウンドが加わったことで、それ以前のプログレッシヴロック的な作風からニューウェイヴ的スタイルへと移行したことで、RUSHはよりポップで親しみやすい作品を極めていくことになります。

本作はその“80年代のシンセポップ路線”の集大成といえるような内容で、ドラムのカラフル&メロディアスなタムタムの音色や、ギターよりもシンセが際立つアレンジ、どこか憂いの感じられる切ないメロディからは、職人技ともいえる極みが感じられます。

時代的にもYESが「Owner Of A Lonely Heart」で全米1位を獲得し(1983年)、GENESISは「Invisible Touch」という極上のポップソングで全米No.1に輝いた(1986年)あとに、RUSHもついに究極のポップ路線を完成させた。上記の流れを顧みると、この進化は非常に納得いくものがあるのではないでしょうか。

ただ、残念ながらRUSHの場合こういった試みがシングルヒットにまでは結びつかず、さらにアルバム自体も『MOVING PICTURES』を最後にセールスが失速。本作はしばらく続いた全米TOP10入りを逃し(最高13位)、売り上げも50万枚止まり。思えばこのバンドの場合、歌詞を書いているのはニール・パート(Dr)ですものね。知的すぎたのかな……そりゃフィル・コリンズとは違いますよ。

まあ冗談はさておき。どの曲も非常によく作り込まれており、ぶっちゃけ隙が見つからない。かといって、それが息苦しさを与えるのかというとそんなこともなく、一流のポップソングとしても成立している。なのに、よく聴き込むと各々のプレイ/アレンジが非常にテクニカルで凝っている(だから「隙が見つからない」んですけどね)。しかも今作は、「Time Stand Still」と「Prime Mover」にコ・リードボーカルとしてエイミー・マンが参加しているのも大きな特徴。RUSHのアルバムに女性シンガーがフィーチャーされるのはこれが初めてだったんじゃないかな。ドラムやシンセの音色/エフェクトに時代を感じてしまうものの、楽曲の質は80年代の作品で最高のものと言えるでしょう。

RUSHはこの傑作のあと、ポップ路線のまとめとしてライブアルバム『A SHOW OF HANDS』(1989年)をリリース。その後、さらなる混沌への入り口として13thアルバム『PRESTO』を1989年11月に発表します。ギリギリ80年代の作品ではあるものの、すでにここで『COUNTERPARTS』(1993年)への布石が感じられるのですが、それについてはまた別の機会に。

 


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2020年1月13日 (月)

RUSH『MOVING PICTURES』(1981)

RUSHが1981年2月にリリースした、通算8作目のスタジオアルバム。日本盤は同年4月、当時にEPIC SONYから発売さてました(当然アナログ盤で)。

最初期のハードロック路線から徐々に大作路線へと移行したRUSHでしたが、前作『PERMANENT WAVES』(1980年)制作時に「ラジオで好まれる、短くキャッチーな曲を用意しろ」とレーベルから急かされたことで、その路線をさらに変化させていきます。

そんな中で生まれたこの『MOVING PICTURES』という作品は、ラジオで好まれる4分台の楽曲を中心にしつつも、「YYX」のようにテクニカルなインスト曲、「The Camera Eyes」といった10分超の大作も用意されており、バンドとしてのそれ以前のアイデンティティを残しつつも新たなフィールドへと挑もうとする野心がバランスよく混在する、まさに傑作と呼ぶにふさわしい1枚に仕上がっています。

シンセを導入した“ラジオ・ライク”な(それでいて、このバンドらしい小難しさもしっかり備わっている)「Tom Sawyer」といい、軽快なノリを持つ「Red Barchetta」といい、どれも本当にキャッチーでポップなんですよね。だけど、演奏面だけでいうと実はものすごくテクニカルなことをやっている。良い意味で気を抜けない楽曲が冒頭から並ぶのですが、その気の抜けなさにおける極め付けが先のインスト「YYZ」という……この曲の超絶さ、圧巻です。

かと思えば、再びキャッチーなロックンロール「Limelight」が登場したり、プログレバンド的な神秘性が前面に打ち出された11分にわたる組曲「The Camera Eye」があったり、それに続く「Witch Hunt」で大作の余韻をさらに味あわせてくれたりする。で、ラストに再びシンセポップ調の「Vital Signs」で締めくくる。中盤〜後半にかけてプログレッシヴな側面をこれでもかと提示していますが、アルバム序盤とラストはポップ路線で固めるこの構成、「初心者の皆さんも安心して楽しめます」と導入しておいて、先に進むと「あれ、話が違うじゃん……でも、これもいいな?」とどんどん小難しさに慣れていく。そんな仕掛け(ある種の罠)が非常に心地よいんですよね。

「RUSHの最高傑作は?」と質問されたとき、きっとどのアルバムから入ったかによって(あるいはどのアルバムが好きかによって)挙げる作品は異なるかと思いますが、この『MOVING PICTURES』には大作路線ファンや80年代のポップ路線リスナー、90年代のグランジ/ヘヴィ路線ファンもを唸らせる魅力を持っているのではないでしょうか。記録的にも本国カナダで初めて1位を獲った作品であり、アメリカでも最高3位、400万枚以上というキャリア最高セールスを誇る1枚ですし。個人的には90年代の傑作『COUNTERPARTS』(1993年)とあわせて「初心者にオススメしたい入門盤」に挙げたいと思っています。

既報のとおり、ドラマーのニール・パートが今年1月7日に脳腫瘍のため逝去したことが1月11日にアナウンスされました。2018年のインタビューでゲディ・リー(Vo, B)がニールの音楽家としての引退を明かしていたため、バンド復活の道は絶たれていたわけですが、その時点ですでに療養中であり、先が長くないことはわかっていたんでしょうね……。残念でなりません。

 


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2019年9月16日 (月)

RUSH『COUNTERPARTS』(1993)

1993年10月にリリースされた、RUSH通算15枚目のアルバム。日本盤は1ヶ月遅れて同年11月に発売されました。

リアルタイムでは初めてハマったRUSHのアルバムがこれ。『PRESTO』(1989年)からタイトなハードロック路線に回帰した彼らの、もっとも当時の流行を反映させた1枚ではないかと思います。

当時、オープニングの「Animate」を初めて聴いたとき、きっと誰もが「あれ……PEARL JAMじゃね?」と思ったんじゃないでしょうか。そうなんです、良い意味でグランジを独自に解釈した結果、過去2作以上にダークさが目立つハード路線を極めております。カッコいいったらありゃしない。

ギター&ベースのシンプルなリフを組み合わせるアレンジ(ユニゾンプレイ多め)は、彼らにしては若干ストレートで薄味に映るかもしれません。が、よく聴き込めばちゃんと計算されていることが理解できるし、そのへんの作り込みが当時の若手グランジバンドにはないものだったのも確か。だからこそ、グランジど真ん中世代にも響いたし、それ以前のオールドウェイヴ世代にも響いたんじゃないでしょうか。「Stick It Out」や「Cut To The Chase」なんて、まさにそういう1曲ですものね。

かと思えば、「Nobody's Hero」のようにセンチメンタリズムを前面に打ち出したミディアムバラードも含まれている。この曲は生ストリングスを導入していることもあり、ドラマチックさは本作中随一ではないでしょうか。

「Between Sun & Moon」のAC/DCチックなリフ、「Alien Shore」の豪快さ、ひんやりとしながらもポップさをキープする「The Speed Of Love」のスタイルなど、とにかく聴きどころ満載。80年代後半から目立ち始めた、どの曲も4〜5分程度のコンパクトさを重視するのも、時代を意識したものなんでしょうか。

70年代後半から80年代前半にかけての大作志向もオススメですが、そういったスタイルを「頭でっかち」と拒否してしまう輩にこそ聴いていただきたい1枚。例えば、この頃のDREAM THEATERQUEENSRYCHEが好きだって人は、絶対にハマると思いますよ。あ、もちろんPEARL JAMあたりが好きな人もね。

いわゆる旧時代のHR/HMバンドが死滅していく中、彼らは90年代前半も安定したセールスを残していました。もっとも、そこまで爆発的なヒットを飛ばしたバンドではありませんでしたが、本作はキャリア最高の全米2位を獲得。アメリカのみで50万枚以上を売り上げるヒット作となりました。

 


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2018年2月 3日 (土)

SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』(1992)

SKID ROWが1992年秋に発表した5曲入りカバーEP。前年初夏に発表した2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』が全米チャート初登場1位という快挙に輝き、同作を携えたツアーも1年以上継続。そのファイナルを控えたタイミングでのリリースだったのですが、収録曲の大半は過去のシングルにカップリングで収録されたものばかり。ですが、こうやって彼らのルーツナンバーを彼らのサウンドで楽しめるというのは、ファンにとっては少なからず嬉しいものがあるのではないかと思います。

カバーされているのは、RAMONESKISSJUDAS PRIESTRUSHジミ・ヘンドリックスと、彼らのサウンドからすれば何にひねりもないセレクト。RUSHに多少こだわりが感じられたりしますが、ピックアップしたのが1stアルバムからというあたりにこだわりがあまり感じられないのでは……という話も(苦笑)。まあ、いいじゃないですか、微笑ましくて。

とにかく、どの曲も原曲に忠実で素直なアレンジ。オープニングのRAMONES「Psycho Therapy」(ボーカルはベースのレイチェル・ボラン)も若干ヘヴィにはなっているものの、基本的なアレンジはまんま。KISS「C'mon And Love Me」は原曲にあったアコースティカルな色合いが消えてしまったものの、メロの良さは完全に生かされており、これはこれでグッド。プリースト「Delivering The Goods」はご本家ロブ・ハルフォードがゲスト参加したライブテイクをそのまま収録。そりゃあまんまですよね(笑)。

で、RUSH「What You're Doing」ですが、実はこれを聴くと「なぜ『SLAVE TO THE GRIND』というアルバムが完成したのか?」という、その理由の片鱗が見えてくるんじゃないかという気がするんです。そして、ここから次作『SUBHUMAN RACE』(1995年)へとつながっていく理由もね。結局、こういうグルーヴィーなハードロックをJUDAS PRIEST的方法論で表現したかったんですね。

最後のジミヘン「Little Wing」のみ、本作で初出のカバー。これも、まぁまんまっちゃあまんまですが、ギタリスト2人が本家に無理やり近づこうと頑張っております。残念ながらそこには到達できてないのですが、いい線いってるんじゃないかなと。これを聴くと、『SLAVE TO THE GRIND』での泣きのバラード(「Quicksand Jesus」「「In A Darkened Room」「Wasted Time」」のルーツも垣間見えるという。なるほどですね。

たった5曲、20分にも満たないEPですが、もしあの当時のSKID ROWがのちのGUNS N' ROSESみたいにフルカバーアルバムを作ったとしたら、ほかにどんなアーティストを取り上げたんでしょうね。



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2004年9月25日 (土)

Vital Signs

 RUSH、20年振りの来日公演が今年の10月頃に予定され、マネージメントと日本の某プロモーターが6月頃から話し合ってた模様。 伊藤政則経由の情報ですけど。

 が、やはりRUSHのギャラは半端じゃなかった。噂通り、破格のギャラを提示され、後ずさりした日本の某プロモーター。昔から『洋楽・三大ギャラ高アーティスト』としてVAN HALEN、AC/DCと共に名前が挙げられることの多いRUSH。やはり噂は本当だった模様。

 結局、現時点においてRUSHの20年振りの来日は実現しておりません。このままヨーロッパを回って、今回の30周年アニバーサリーツアーは幕を閉じるそうです。

 俺が洋楽ロックを聴き始めた頃。というか、AC/DCやRUSHといったバンドに興味を持ち始めた頃‥‥中学生頃かな。だから今から約20年近く前になるのか。うひゃーっ‥‥には既に彼らは大物だったし、来日公演を終えた後でした。

 で、AC/DCも約20年近く俺を待たせ(正確には約15年ですが)RUSHに至っては18年近く俺を待たせているわけであります。くそーっ。

 ライヴアルバムを聴く度に「ライヴは本当に凄そうだなぁ」と思わせる最強のトリオ、RUSH。やはり彼らのライヴを体験するには、こちらから彼らの元に向かわない限り無理なのでしょうか‥‥

 「日本で」観たいんだけどねぇ‥‥



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2003年7月 4日 (金)

RUSH『VAPOR TRAILS』(2002)

カナダが誇る史上最強のトライアングル、RUSHが'02年春に発表した約6年振り(!)のオリジナルアルバム「VAPOR TRAILS」。メンバーが皆50代に差し掛かろうという年齢(いや、差し掛かってるのか?)にもかかわらず、ここまでアグレッシヴに、且つ前向きで実験的なアルバムをリリースするとは‥‥6年のブランクがあるにも関わらずですよ!? ホント、頭が下がります。

RUSHについてはこちらでバンドの魅力について記述していますが、未だにここ日本では彼等に対する評価が低いように思います。現在雑誌で取り上げられるとするなら「BURRN!」のみ、という現状。ま、確かに彼等はハードロックを基本スタイルとしたバンドですよ。けど、もっと幅広い層に受け入れられてもいいように思うんですよね。

メディアが彼等のことを「プログレ・ハード」とか呼ぶことで、敬遠する人も少なくないでしょう。確かに複雑な展開を持つ長尺な曲も過去に沢山ありました。けど'80年代以降は比較的コンパクトな楽曲がメインになっていき、今回のアルバムでも6分を超えるような曲って13曲中2曲しかないんですよね。逆に、3~4分台の曲が5曲、残る6曲も5分台とそんなに長いわけじゃないんですよ、実際。歌メロにしても判り易さを重視したポップなものが多いし、ソフト路線の楽曲も結構あるし。何故彼等がアメリカで常にウケているのか(この10数年、出るアルバム全てが米チャートトップ10入りしてますしね)、その辺も非常に大きく関係してると思いますよ。要するにラジオ受けがいいコンパクトでポップな楽曲がシングルとして切られて、実際受け入れられている。ここ日本じゃまず考えられないことですよね(実際、専門番組でもない限り、RUSHの曲なんて聴けないですからね)。

いきなりヘヴィでゴリゴリの"One Little Victory"でスタートするのにはビックリしますが、これがまたRUSHらしい曲で。確かに今風なんだけど、全然無理してる感じがしないし、むしろ「TOOLとかの若手から影響を受けたんじゃなくて、俺達が奴らに影響を与えたんだよ」とでも言いたげな、有無を言わさぬ威圧感をもの凄い勢いで聴き手にぶつけてきます。が、基本的には"Ceiling Unlimited"や"The Stars Look Down"みたいなポップなタイプと、"Vapor Trail"や"Ghost Rider"のようなムーディーで独特な緊張感を持ったロックチューンが大半を占めているので、そういう意味ではここ数作の作風を踏まえた流れになっているといえるでしょう。が、先の"One Little Victory"や"Secret Touch"みたいなハード&ヘヴィでプログレッシヴな展開を持つ実験的なタイプも数曲見受けられ、惰性で6年振りにアルバムを作ったわけじゃないという意気込みが十分感じられます。特に後半に進めば進む程、その要素は更に強くなっていき、各楽曲のイントロでのアンサンブルを聴くだけで、溜息を漏らさずにはいられなくなるバカテク振りを堪能できます。勿論、楽曲そのものの良さは大前提ですから、ご心配なく。

やはり後半最大の山場はラスト前の"Freeze (Part IV of "FEAR")"でしょうか。6分半という長さは、確かに普段DREAM THEATERのようなバンドを聴いてる人にとっては決して長尺とは言い難いですが、逆に言えば「これだけのことを、6分半という短くはない時間の中に詰め込んだ」ことの方が誉められるべきなんじゃないかなぁ、と。何も10分20分やれば偉いというわけじゃないし。勿論、RUSHの場合はそういったタイプの楽曲も経験してきたからこそ、ここまでコンパクトにやれるんでしょうね。

13曲で67分という収録時間は確かに長く感じるし、個人的には10曲程度にして50~60分程度に収めてくれればもっと聴きやすかったのに‥‥なんて思うのですが、ま、6年振りってことでやりたい事・やるべき事が沢山あったのでしょう。そして、それらを全て吐き出す必要があったと。まぁ贅沢なアルバムですよね。

もしあなたがまだRUSHというバンドに触れたことがなくて、何から聴こうか悩んでいる場合。過去の名盤に手を出すのもいいでしょう。けど、ここはひとつ、この「VAPOR TRAILS」から聴いてみては如何でしょうか? 気難しさが伴うバンドですが、いざ聴いてしまうと単純にカッコいいロックバンドだという至極シンプルな答えにたどり着くはずですから。



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