SALEMS LOTT『MASK OF MORALITY』(2018)
3年半前、本サイトでデビューアルバム『SALEMS LOTT』(2015年)を紹介して局地的に話題となったLAのグラムメタル/ヴィジュアル系(笑)バンド、SALEMS LOTTがついに待望の2ndアルバム(前作はミニアルバムでしたが)をリリースしました。今回もフィジカルでの一般流通はなさそうですが、デジタル配信&ストリーミングでここ日本でも聴くことができるので、大きな問題はないですね。よかったよかった。
彼らはそのルックス&ファッション、そして音楽性から「80年代のジャパメタ、主にX(X JAPAN)からの影響が強い」HR/HMバンドとして認識されていました(「いました」って、そこまで気にしていた人、ほとんどいないと思いますが)。が、あれから3年強が経ち、そのサウンドに少し変化が生じています。あれだけ前作を「80年代に活躍したバンドのアウトテイク」と揶揄した自分も、今回の新作を聴いて、まず1曲目の「Enigma」で驚かされました。
え、どうしたの? (前作よりも)めっちゃモダンなんですけど……(汗)。
全体的に80年代後半から90年代初頭ぐらいにまでバージョンアップされています。80年代半ばのジャパメタアウトテイクから大きく成長したな、おい!
でね。単なるコピー的な、個性のカケラも感じられなかった前作(ヒドイ言い草だ)から、一気に“らしさ”を確立させているから、驚いたわけです。そりゃね、MOTLEY CRUEっぽかったり、W.A.S.P.っぽかたり、どことなくX JAPANっぽかったりするところもありますよ。至るところから先人からの影響も見え隠れするのですが、今作ではそれが“コピー”や“真似っこ”ではなく“エッセンス”程度にとどめられている。しかも、ヴィジュアル系的な色合いもサウンドからはほぼ消えて、全体的に無理してない感じが素敵なんですよ。
そういった意味では彼ら、初期のBLACK VEIL BRIDESフォロワーと見られてもおかしくないんですが……そこまでも才能もないか(苦笑)。ま、だからこそ愛せる存在なんですけどね。
音質的にも、前作より多少良くなり、アルバム全編通して聴くに耐えうる程度にはなっている……かな。個人的にはもうちょっと頑張ってほしかったとも思うけど、これはこれでアリなのかな、と。
もし今、『VISUAL SUMMIT JAPAN』や『V-ROCK FESTIVAL』が存在したら、ぜひエントリーしてもらいたいバンドのひとつ。つうかさ、絶対にウケるでしょ? 「良い」ではなく「ウケる」ね。彼らこそ日本の洋楽メタルファンではなく、V系ヲタクに見つかってほしいんですどね。難しいかしら。
▼SALEMS LOTT『MASK OF MORALITY』
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