SANTANA『BLESSINGS AND MIRACLES』(2021)
2021年10月15日にリリースされたSANTANAの26thアルバム。日本盤未発売(サンタナの新作が日本盤リリースされない時代が来るとは……)。
『AFRICA SPEAKS』(2019年)から2年4ヶ月ぶりの新作。ここ2作は固定のバンドメンバー&シンガーという編成でアルバム作りに臨んできたカルロス・サンタナですが、今作ではメガヒットした『SUPERNATURAL』(1999年)以降定着している、フィーチャリングアーティストを曲ごとに変えたスタイルに回帰しています。
その参加メンバーも大ヒット曲「Smooth」でお馴染みのロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)を筆頭に、スティーヴ・ウィンウッド、チック・コリア、カーク・ハメット(METALLICA)、ナラダ・マイケル・ウォルデンなどジャンルを超えた多彩な顔ぶれ。もちろんボーカルレスのインストナンバーも多彩で、頭2曲と終盤3曲にインストを置くという構成からも、単に歌モノに頼っているだけじゃないんだよというサンタナの意思が伝わります。
どの曲もサンタナらしいラテンフレイバーが散りばめられた個性的なものばかりで、全体を通してリラックスして聴くことができるはず。そんな中、「おいおい、どうしてこうなった?」な珍作/異色作も含まれています。
例えば、スティーヴ・ウィンウッドをボーカルに迎えた「Winter Shade Of Pale」。ご存知PROCOL HARUMの名曲「青い影」のカバーなんですが、ラテンフレイバーを散りばめたアレンジで表現するという暴挙ぶり(笑)。でも、これが意外と悪くない。いや、不思議とクセになるんです。聴く人によっては原曲レイプにほかならないカバーですが、僕的にはありかな。面白いし(笑)。
メタルリスナー向けにはLIVING COLOURのコリー・グローヴァー(Vo)をフィーチャーした「Peace Power」のグルーヴィーなファンクロックもおすすめ。この熱量、たまらないっす。また、カーク・ハメット(G)とDEATH ANGELのマーク・オセグエダ(Vo)が参加した「America For Sale」も濃厚なファンク/ブルースハードロックといった印象で、なかなかの仕上がり。マークがメタル以外の、ストーンズっぽい楽曲を歌うのも興味深いし、なによりサンタナとカークのギターバトルが面白いったらありゃしない。カーク、頑張っているんだけど若干サンタナに押されているのが微笑ましい(笑)。手癖っぽいフレーズも多少見受けられるけど、ファンなら聴いておいて損はない1曲でしょう。
もちろん、ロブ・トーマス参加の王道ナンバー「Move」だとかカントリーシンガー/ギタリストのクリス・ステイプルトンを迎えた「Joy」だとか、聴きどころは豊富なので、クラシックロックファンはプレイリスト感覚で触れてみてはいかがでしょう。
▼SANTANA『BLESSINGS AND MIRACLES』
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