カテゴリー「Sepultura」の7件の記事

2018年7月 3日 (火)

BRIDES OF LUCIFER『BRIDES OF LUCIFER』(2018)

昨年6月に開催された『GRASPOP METAL MEETING』など、海外のメタルフェスに出演したのを機に一部で話題になっていた、女性13人からなるHR/HMの名曲をカバーするコーラス隊BRIDES OF LUCIFERがアルバムをリリースしました。

本作でピックアップされている楽曲たちは下記のとおり(曲名後ろのカッコは原曲アーティスト名)。


01. Burn In Hell [TWISTED SISTER]
02. Walk [PANTERA
03. Warriors Of The World [MANOWAR]
04. Chop Suey! [SYSTEM OF A DOWN
05. Painkiller [JUDAS PRIEST
06. Fear Of The Dark [IRON MAIDEN
07. Roots Bloody Roots [SEPULTURA
08. O Father O Satan O Sun! [BEHEMOTH]
09. Holy Diver [DIO
10. South Of Heaven [SLAYER
11. Futility [SCALA & KOLACNY BROTHERS]
12. Halo [MACHINE HEAD
13. White Moon [SCALA & KOLACNY BROTHERS]


ライブではこのほか、RAMMSTEIN「Engel」あたりもカバーされているみたいですね。

ライブやレコーディングには彼女たちのほか、ドラム/ベース/ギター/ピアノが入り、原曲に比較的忠実なアレンジでカバーされています。もちろん、コーラスがメインになるので、彼女たちの歌声が前面に出るようなアレンジも新たに施されており、曲によってはギターソロパートをカットしていたりもします。

どのバンドの曲もボーカルのクセが強いものばかりで、特にPANTERAやSEPULTURAみたいなスクリームメインの楽曲、SYSTEM OF A DOWNのように変態的なボーカルが耳に残る曲すらも聖歌のようなボーカルアレンジで表現されているので、聴き進めていくうちに「あれ、こんなに聴きやすくて大丈夫?」と不安に陥る瞬間も。メタルファンには数年に1枚は世に産み落とされる“ネタCD”として楽しめば、そこまで不快ではないはず。むしろ、僕は積極的に楽しんでおります。

逆に、普段メタルに疎い人にこそ「ね? 意外と曲自体は悪くないんだよ?」と手に取ってほしい1枚だったりして。まあ、一緒に笑って聴いてみましょうよ。

あ、あと本作で2曲もピックアップされているSCALA & KOLACNY BROTHERSという存在。彼らはこのBRIDES OF LUCIFERの先輩的存在でもある、2000年代前半に90年代〜ゼロ年代のUKロックやグランジの代表曲をピアノ伴奏でカバーしたベルギーの少女合唱隊のこと。グループ名は指揮者&ピアノ伴奏者でもある中心人物となる兄弟の名前から取られています。このグループのオリジナル曲をカバーするあたりに、BRIDES OF LUCIFERの起源が見え隠れするのも興味深いところです。



▼BRIDES OF LUCIFER『BRIDES OF LUCIFER』
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2018年5月12日 (土)

NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)

昨日のMEATHOOK SEEDを聴いて、急に思い出したのが今回紹介するNAILBOMB。名のあるメタル/ラウド系バンドのメンバーが集まって作ったプロジェクト、90年代前半という微妙なタイミングでのインダストリアルメタルへの接近など共通項がいくつかあってか、自分の中で同じ枠に入れていた2組なんですよね。

NAILBOMBは当時SEPULTURAに在籍していたマックス・カヴァレラ(Vo, G)と、当時FUDGE TUNNELの一員だったアレックス・ニューポート(Vo, G)が立ち上げたプロジェクト。本作『POINT BLANK』は1994年3月(日本盤は4月)にリリースされた唯一のオリジナルアルバムで、レコーディングには同じくSEPULTURAのアンドレアス・キッサー(G)、イゴール・カヴァレラ(Dr)、FEAR FACTORYのディーノ・カザレス(G)がゲスト参加しています。

サウンド的には当時のSEPULTURAが持っていたモダンヘヴィネス的な重さよりも、もっと直線的でパンキッシュなメタルサウンドに、インダストリアル調のサンプリングや打ち込みビートなどをミックスしたもので、感覚的にはMINISTRYに近いものがあるかも。

最初に「MEATHOOK SEEDと同じ枠」と書いたものの、手法は一緒でも出てくる音が異なるものというのが面白い。もちろんそれは「NAPALM DEATHOBITUARY」と「SEPULTURA+FUDGE TUNNEL」という違いによるものであって、違うのは当たり前の話なんですけど。だけど、なぜか同じ枠で括りたくなってしまう理由、同意してもらえますかね?

SEPULTURAのスラッシュメタル/モダンヘヴィネスとも異なる、どこか単調でパンキッシュなスタイルはカヴァレラがのちに結成するCAVALERA CONSPIRACYにちょっと近いものがあったりすると思うのですが、いかがでしょう? もちろん、完全に一致しているわけではないですけど、カヴァレラがこのNAILBOMBでアレックス・ニューポートと試したことが10数年後に再びCAVALERA CONSPIRACYでトライされたと考えたとき、その間の出来事やバンドの経緯を踏まえると合点がいくのではないでしょうか。

あと、MEATHOOK SEEDを久々聴いたときは新鮮さが得られたのに、このNAILBOMBでは同じような感覚が得られなかったのはなぜなんでしょうね。それも不思議……って、CAVALERA CONSPIRACYがあったからか。納得(苦笑)。

NAILBOMBは本作リリース後にライブを行なっており、翌1995年にはライブアルバム『PROUD TO COMMIT COMMERCIAL SUICIDE』を発表しています。なお、こちらにはライブ音源のほかにスタジオ音源2曲が追加収録されているので、新曲目当てで聴いてみてもいいかもしれません。



▼NAILBOMB『POINT BLANK』
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2018年1月14日 (日)

SOULFLY『SOULFLY』(1998)

1998年春にリリースされた、マックス・カヴァレラ(元SEPULTURA)による新バンドSOULFLYのデビューアルバム。SEPULTURAを実質追い出されたマックスは、そのSEPULTURAの直近作『ROOTS』(1996年)で試みたトライバルなヘヴィロックをさらに進化させた音楽をこのバンドで表現。つまり、傑作と言われる『ROOTS』の直系の続編と呼べる内容が本作ということができるわけです。

プロデュースは『ROOTS』と同じくロス・ロビンソンが担当。この頃にはKORNでひと山当て、さらにLIMP BIZKITのデビュー作なども当てて知名度を高めたあと。そのロス・ロビンソンとマックス本人の人脈もあり、本作にはFEAR FACTORYのバートン・C・ベル&ディノ・カザレス、LIMP BIZKITのフレッド・ダースト&DJリーサル、DEFTONESのチノ・モレノ、SKINDREDのベンジー・ウェッブなどヘヴィ/ラウドロックシーンの著名アーティストたちがゲスト参加しています。

オープニングの「Eye For And Eye」のアグレッシヴさに、本作は『ROOTS』以上に激しいアルバムになるんじゃないか?とワクワクすることでしょう。「Tribe」「Bumba」のようなトライバルなビートを用いた楽曲もあれば、「First Commandment」のようにダンサブルな楽曲もある。そしてバンド名を冠した「Soulfly」では民族音楽に接近したインストゥルメンタルナンバーを楽しめる。確実に『ROOTS』の延長線上にあるのですが、そことは違う香りもする。

例えば『ROOTS』がヘヴィさという点に重きを置いたとするならば、この『SOULFLY』はもうちょっと軽やかさが重視されているように感じます。それはテンポ的なこともそうだし、リズムの取り方ひとつにしても『ROOTS』にはないものを感じる。もちろんマックス以外のメンバーが違うんだから、そのへんが変わってくるのは当たり前の話なのですが、ここからまた新しい何かが始まる。そういう変化の兆しを強く実感させる序章的作品集なのかもしれません。

事実、本作を起点にSOULFLYはさらなる変化を遂げていきますし、気づけばSEPULTURAとは異なる道を進み始めていた。一方のSEPULTURAも新たなシンガーを得たことで以前とは異なる道を歩み始める。良い意味で、誰ひとりとして『ROOTS』を引き継ごうとしていない。つまり視点を変えると、マックスにとって本作は『ROOTS』を引きずりつつも決別しようとしている、そんな転換期の1枚とも受け取ることができるわけです。

『ROOTS』が出来すぎたアルバムだっただけに、そこからどう進化させていくか。その問いかけとひとつの回答が、このアルバムの中に示されているのではないでしょうか。リリースから20年経った今、このアルバムを聴くと改めてそんなことを考えてしまいます。



▼SOULFLY『SOULFLY』
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2017年10月31日 (火)

SEPULTURA『ARISE』(1991)

SEPULTURAが1991年春に発表した、通算4作目のスタジオアルバム。前作『BENEATH THE REMAINDS』(1989年)からRoadrunner Recordsに移籍し、プロデューサーにデスメタルシーンで名の知れたスコット・バーンズ(DEATH、OBITUARY、CANNIBAL CORPSE、DEICIDE、NAPALM DEATHなど)を迎えたことで、それまでブラックメタル寄りのデスメタル風だった彼らのサウンドスタイルやプロダクションが一気にスケールアップ。続く本作『ARISE』では初期のスタイルを軸にしつつも、より80年代のスラッシュメタル黄金期のサウンドを取り入れた疾走感ある楽曲を楽しむことができます。

オープニングの「Arise」から、もう突っ走りまくり。ギターリフはスラッシュメタルのそれというよりは、低音に頼らない単音を基調としたブラックメタル風。そのせいか若干音が薄い印象があるものの、息もつかせぬスピード感とマックス・カヴァレラ(Vo, G)のボーカルスタイルによってそれを一切感じさせない。さすがです。

続く「Dead Embryonic Cells」「Desperate City」あたりはスピードだけに頼ることなく、リフやソロを効果的に組み合わせたアレンジで「これぞスラッシュメタル」という存在感を提示。特に「Desperate City」に登場するツインリードと、その直後に訪れる転調&不穏なメロディを伴うギターソロは圧巻の一言です。正直、この3曲だけで完全に心を奪われるんじゃないでしょうか。

また、本作ではその後の作品への予兆を感じさせる「ハードコアパンク色」「インダストリアル臭」「ブラジル出身を前面に打ち出したサウンドスタイル」の3点も初登場。ハードコアスタイルはそれこそ「Arise」のストレートさや「Murder」の冒頭あたりからも存分に感じられるし、インダストリアルテイストはさまざまな楽曲のイントロに挿入されるSEがまさにそれ。そしてブラジルっぽさは、「Altered State」の冒頭でラテンパーカッションが使用されている点。以降の作品と比較すればその使い方もオマケ程度ですが、このへんがのちの彼らにとって大きなアイデンティティになるとは、まさかこの頃は想像もしていませんでした。

アルバム後半も先の「Altered State」や「Under Siege」といったトリッキーな楽曲や、ラストにふさわしいファストチューン「Infected Voice」など佳曲多し。最初から最後まであっという間に終わってしまう印象があるかな。いわゆるデスメタル/スラッシュ路線は本作が最後で、次作『CHAOS A.D.』(1993年)にて大変貌を遂げることになります。それについては同作のレビューをご覧ください。

ちなみに本作はイギリスで初のチャート40位入りを記録。アメリカでも初めてBillboardチャートにランクイン(119位)と、世界的な成功を収めます。ここ日本でも本作で認められた感があり、1992年には初来日も実現しています。



▼SEPULTURA『ARISE』
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2017年9月13日 (水)

SEPULTURA『CHAOS A.D.』(1993)

1993年秋に発表された、ブラジルのヘヴィメタルバンドSEPULTURAの5thアルバム。前作『ARISE』(1991年)で世界的に認知され始め、ここ日本でも初来日公演が実現したほか、アメリカではBillboard 200に初めてランクイン(最高119位)。また『ARISE』での成功を受けて、アメリカでは次作がメジャーのEpic Recordsから配給されることも決定。今作が勝負作になることは明白でした。

ですが、オールドスクールのスラッシュメタルを武器とした『ARISE』から一変、本作では“PANTERA以降”のモダンヘヴィネスサウンドに様変わり。プロデューサーもスラッシュ/デスメタルを得意とするスコット・バーンズから、モダンなバンドばかりを手がけるアンディ・ウォレスに替え、ミドルテンポ主体のグルーヴ感に満ち溢れた楽曲に挑戦しています。

確かにこの時期、METALLICAがブラックアルバム(1991年)で成功したのを機に、MEGADETHANTHRAXもテンポを落として重さを重視したサウンドに移行しており、これが流行りであり主流と言ってしまえばそれまでかもしれません。事実、シーン中心にはNIRVANAPEARL JAMなどのグランジ勢が君臨し、旧来のメタルはオールドスクール呼ばわりされて敬遠されていたのですから。そんな中メガヒットを遂げたMETALLICAや、メタル界の新星として人気を獲得したPANTERAの恩恵を受けようとするのは、致し方ないのかもしれません。

SEPULTURAの変化も確実にこの流れにあるものと思われますが、彼らがその他のバンドと一緒くたにされずに済んだのは、SEPULTURAというバンドがブラジル出身だという事実。例えば本作には「Kaiowas」というブラジルの民族音楽から影響を受けたインストゥルメンタルナンバーは、他のメタルバンドには真似できない武器であり、この実験が次作『ROOTS』(1996年)で開花するわけです。

もちろんそれ以外の楽曲も単なる“フォロワーの真似事”で終わっておらず、このバンドらしいパーカッシヴなドラミングをフィーチャーした「Refuse/Resist」「Terriory」は今聴いても最高だし、ブルドーザーが突進してくるかのような重量感をみせる「Slave New World」「Propaganda」、狂気すら感じさせる攻撃的な「Biotech Is Godzilla」はもちろん、本作において唯一メロディアスなカバー曲「The Hunt」(原曲はNEW MODEL ARMY)が良いアクセントになっていたりと、とにかく聴きどころ多し。下手なメタルもどきを聴くぐらいなら、ずっとこの音に浸っていたい。そう思わせるぐらいの気持ち良さが本作にはあると思います。

この10月(国内盤は11月)には本作と『ROOTS』の最新リマスター&ボーナスディスク付き仕様も発売。ぜひこの機会に、マックス・カヴァレラ(Vo, G)在籍時のSEPULTURAを振り返ってみてはいかがでしょう。



▼SEPULTURA『CHAOS A.D.』
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2016年1月10日 (日)

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon)(レビュー

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

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2003年4月13日 (日)

SEPULTURA『ROOTS』(1996)

1996年というのはその後のヘヴィミュージックにとってとても歴史に残る1年でした。RAGE AGAINST THE MACHINEが「EVIL EMPIRE」で全米1位を取ってしまったり、KORNやTOOL、MARILYN MANSONといった新世代ヘヴィバンドが次々とアルバムをチャート上位入りさせた、正しく「新しい時代」を予感させる1年。そしてそんな中、チャート上位入りは果たせなかったものの、ここにもう1枚どうしてもその仲間に入れたい歴史的名盤があります。それが今回紹介するSEPULTURAの6枚目のアルバム「ROOTS」です。

ブラジル出身の4人組、元々はデスメタル/スラッシュメタルバンドだったという過去を持つ彼等は、ここ日本でも'91年にリリースされた4作目「ARISE」で一気にブレイクしました。俺も当時、このアルバムで彼等を知ったのですが、その頃は別に特別な存在とも思わず、単純に「SLAYER直系のデスメタル」くらいにしか感じてなかったんですね。そんな彼等に対して特別な視線を向けるようになったのは、'93年リリースの5作目「CHAOS A.D.」からでした。もうね、完全に別のバンドに化けちゃってるの。METALLICAの変化よりも驚いたもん、あの「スピードを徹底的に抑えた、リズムに力を入れたアレンジ」に。サウンドも飛躍的に向上したし、かなりメジャー色が強くなったとも感じたし(とはいっても、ボーカルは相変わらずのデスボイスなんですが)。さすがにこの時は来日公演行ったもんなぁ。

んで、そこから約2年数ヶ月振りにリリースされたこの「ROOTS」は、前作を更に押し進めたかのようなリズム/グルーヴを強調した、それでいて他のヘヴィミュージックとは一線を画する要素を持った非常に個性的で(当時は)他にはないヘヴィサウンドを聴かせてくれる名盤なわけですよ。その「他のヘヴィミュージックとは一線を画する要素」というのが、今ではどうってことないかもしれませんが‥‥所謂「ブラジル・ルーツミュージックとの接近」だったわけで。自身のブラジリアンとしての「ルーツ」に今一度目を向けた、彼等にしか作れなかったアルバム。当時、ヘヴィミュージックといえばアメリカ主流だったわけで、上に挙げたようなバンドは皆アメリカのバンドでした。そんな中、デスメタルバンドだったSEPULTURAがブラジル人にしか出来ない、ブラジル人だからこそ成し得たサウンドを新たに構築した。まだ前例がなかっただけに全面的に受け入れられたとは言い難い状況でしたが、彼等がいなければその後のヘヴィロックの発展はなかったと言い切ってもいいでしょう。

その特異性はまず4曲目"Ratamahatta"を聴いてもらうと判るでしょう。現地では有名らしいブラジル人パーカッショニスト、カルリーニョス・ブラウンが参加したこの曲。ラテン・パーカッションだけでなくボーカルでも参加しているカルリーニョスといい、完全に現地の言葉で歌われるその歌詞といい、ヘヴィなラテンロックというか‥‥それだけでは表現しきれない特異性を感じます。また、2曲目"Attitude"のイントロで聴ける民族楽器「BERIMBAU」を導入したり(この楽器は所々で用いられています)、更には12曲目"Itsari"。これはブラジル国境付近に暮らす原住民サヴァンテ族と、現地まで足を運んだSEPULTURAの4人が共演し、それをライヴ録音した音源(アルバムラストにもシークレットトラックとして、その時のセッションが収められています)。所謂インストナンバーなんですが‥‥真の意味での「ルーツ・ミュージック」を、現在ヘヴィロックバンドをやってる若者4人がヘヴィロック・アルバムの中に入れてしまったという事実。確かにその前作「CHAOS A.D.」の中にもそれに近いナンバー "Kaiowas" がありましたが、この"Itsari"はその比じゃありません。ラテンミュージックの原点という意味合いだけでなく、こういったリズムを重視する音楽の原点とも呼べる地点まで立ち返ることで、彼等は更に何歩も前進したわけです。しかし、その「飛躍的前進」がたまたま「バンド内の不和」と重なり、その路線での更なる進化を見ることなく(マックスの脱退→黒人シンガーの加入)、バンドは新しい道を模索せねばならなくなります。

そうそう。もう1曲、このアルバムには特筆すべき楽曲があります。8曲目"Lookaway"です。何せ作曲を現LIMP BIZKITのDJリーサル(当時はまだヒップホップ・ユニットHOUSE OF PAINに在籍)との共作、作詞はKORNのジョナサン・デイヴィス、ボーカルをマックスとジョナサン、そして当時FAITH NO MOREのマイク・パットンの3人で務めるという豪華作。リンプのようなハネたリズムというわけではなく、引きずるようなヘヴィサウンドにスクラッチが入り、マックス、ジョナサン、マイクの3人がこれでもか!?という程に絶叫しまくるんですよ‥‥当時日本ではKORNはまだ無名に近い存在。今でこそ全米チャートを席巻する程にまでビッグになりましたが、現在でもヘヴィロック界を代表する3人(マックスはSOULFLYで、マイクは現在DILLINGER ESCAPE PLANということでいいのでしょうか?)の共演。その後DJリーサルがLIMP BIZKITへと進んでいったこと等を考えると、非常に興味深い1曲であり、ある意味その後の歴史を決めたかのような革新的な1曲なのではないでしょうか?(ってのは言い過ぎですか?)

勿論、その他の楽曲も文句なしにヘヴィでカッコイイ。もう1曲目"Roots Bloody Roots"が始まった瞬間に名盤決定してしまうもの。あの雪崩のようなヘヴィサウンドは今聴いてもメチャクチャ重いし、ググッとくる。かと思えば、最後に"Dictatorshit"みたいな1分半にも満たない爆走ハードコア・チューンを持ってくる。明らかに初期のスラッシュ・サウンドとは別物になってしまってますが、そのカッコ良さはハンパじゃないし、こういうヘヴィロックの中でも比較的「幅広い」事をやれるのはやはりメタル出身の彼等だからこそ、とは思いませんか?

'96年以降、特に'98年頃を境にヘヴィロックは世界的にブレイクし、その後もメタルやパンク/ハードコア以外の要素を取り入れたバンドが数多く登場しています。現在では飽和状態に陥っているシーンの中で、やはりこの「ROOTS」を超えるような「ヘヴィ」なアルバムはその後、数枚しか登場していないと個人的には思ってます(ぶっちゃけ、SLIPKNOTが登場するまで、自分の中ではこのアルバムが最もヘヴィなアルバムに君臨していたわけです)。何をもって「ヘヴィ」と呼ぶのか。表面的なサウンドを指してか、それともその歌詞を指してか‥‥勿論その両方を有するのは当然なのですが、俺はもっとこう‥‥内面から湧き出る「ヘヴィさ」を求めているわけで、だからこそ初期のKORNやSLIPKNOTのアルバム2枚は素晴らしかったのですよ。そして、SEPULTURAがアメリカ人でも日本人でもない、ブラジル人だからこそ表現できた「ヘヴィさ」。ブラジルという国でロックすること、そしてブラジルの情勢、彼等のルーツ‥‥そういった『彼等が「ネガティヴ」と感じてきた要素』を全面的に出したからこそ成し得た「ヘヴィさ」。だからこそ誰にも真似できなかったわけで、唯一無二のサウンドとなった。そう考えると、本当に凄いアルバムだよなぁ‥‥と今更ながらに感じています。

残念なのは、このアルバムに伴う来日公演が中止になり、このラインナップはその後崩壊してしまったこと。昨年だったか、このアルバムでのツアーを収めたライヴアルバムがリリースされましたが、かなり凄いことになってるし、それまでのベスト盤的内容にもなってるので、この「ROOTS」でSEPULTURAに興味を持った人は是非聴いてみるといいでしょう。ま、SOULFLYを聴いている人はちゃんとこのアルバムを聴いてるとは思いますが。これまでSOULFLY及びSEPULTURAをスルーしてきて、このアルバムで彼等にハマッた人は是非SOULFLYのファースト~「PRIMITIVE」も聴くことをオススメします。



▼SEPULTURA『ROOTS』
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