2017/10/30

SEX PISTOLS『NEVER MIND THE BOLLOCKS HERE'S THE SEX PISTOLS』(1977)

SEX PISTOLS唯一のオリジナル・スタジオアルバム。実は今から40年前の1977年10月28日にリリースされたんですね。つい先日知りました。THE DAMNEDの1stアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』が1977年2月、THE CLASHの1stアルバム『THE CLASH』が同年4月に発売されたことを考えると、実はピストルズのアルバムデビューってだいぶ遅いんですよね。とはいえ、初のシングル「Anarchy In The U.K.」は前年1976年11月末に発売(英パンクロック初のシングルと言われるTHE DAMNED「New Rose」の1ヶ月後)。その後、所属レーベルEMIから契約解除などのすったもんだがあったため、アルバムまで1年を要したわけですね。まあ、らしいっちゃあらしいですが。

これまでもいろんなところで発言してきたと思いますが、僕はこのSEX PISTOLSのアルバム、パンクロックの名盤とは思っておらず、むしろ「パンキッシュなハードロックの教科書的1枚」と認識しています。

クリス・トーマスによるプロデュースは完全にハードロック的なものだし、なによりもギターのスティーヴ・ジョーンズによるリフ作りやギタープレイ、アレンジの組み立て方は完全にハードロックそのもの。楽曲自体もピストルズ以降のパンクバンドにありがちなチープさはないし、同期のTHE DAMNEDやTHE CLASHと比べてもサウンド的にふくよかで太さが感じられる。

特に爆音で聴き比べたときに、ピストルズのサウンドは他2組と異なる音のきめ細やかさに気づかされるんです。そこもパンクロックとは異質だと思うし、結局ここから数年後に勃発するNew Wave Of British Heavy Metalシーンに一番近いのがこのピストルズ唯一のアルバムなんですよね。

それもあってなのか、80年代以降のハードロックバンドの中にはピストルズの楽曲をカバーするバンドが多いこと、多いこと。サウンド的というよりもスタイル的にパンキッシュなハードロックバンドほど、ピストルズを自然とカバーしている。そうなんです、結局ピストルズって音楽的にパンク云々ではなく、生き方やファッションがパンクそのものだったんですよね(その戦略的な部分も含めて)。つまり、ジョニー・ロットン(Vo)とシド・ヴィシャス(B)がその役割を担っていたと。だって、ジョニーは絶対にハードロックの人じゃないですもんね(笑)。

あと、本作の大半でベースを弾いているのはシド・ヴィシャスではなく、かといって前任のグレン・マトロックでもない、実はスティーヴ・ジョーンズその人だという事実も忘れてはなりません(シドは「Bodies」、グレンは「Anarchy In The U.K.」のみプレイ)。このへんも、本作をハードロックたらしめる要因なんじゃないでしょうか。

僕自身が本作を初めて聴いてから30年近く経ちましたが、聴き返せば聴き返すほど、時間が経てば経つほど、純粋に「ハードロックアルバム」としての愛情が深まっていく1枚です。



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投稿: 2017 10 30 12:00 午前 [1977年の作品, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/29

NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』(1996)

SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、DURAN DURANのジョン・テイラー、GUNS N' ROSESのダフ・マッケイガン&マット・ソーラム(当時)が90年代半ばに結成したスーパーグループ、NEUROTIC OUTSIDERSが1996年に発表した唯一のアルバム。もともとはチャリティイベントのために結成したお遊びバンドで、気づけばアルバムを作ってツアーをするまでになっていたという。

このバンドではスティーヴとジョン、ダフの3人がボーカルを担当。ジョンとダフはもともとベーシストですが、ジョンはギターにスイッチしています。アルバムのプロデューサーは元TALKING HEADSのジェリー・ハリスン。大半の楽曲をスティーヴが担当し、ジョンのソロ名義が2曲、スティーヴとジョンの共作が1曲、ダフとスティーヴの共作が1曲、そしてTHE CLASH「Janie Jones」のカバーという全12曲が収められています。

DURAN DURANの中でもアンディ・テイラーに次いでロック/パンクのイメージが強いジョン、そのアンディと1987年に『THUNDER』というアルバムで共演したスティーヴ、1993年にガンズで『THE SPAGHETTI INCIDENT?』というパンクカバーアルバムを発表した直後のダフ&マット。音楽的につながってないようで、実はいろいろつながっている4人なんですよね。

アルバム自体は、この4人から想像できる、適度にハードでパンキッシュ、それでいて歌メロはしっかりポップなロックが展開されています。ピストルズでのスティーヴ、そしてパンクカバーを通過したガンズが好きって人は否応無しに楽しめる1枚だと思います。ただ、パンクやハードロックを通過してないDURAN DURANのファンには多少キツいかな? THE POWER STATIONでの彼とも全然違いますしね。

思えばDURAN DURANって「SEX PISTOLSとCHICのミックス」をイメージして結成されたバンドなわけで、後者はDURAN DURAN本家やTHE POWER STATIONで強めに表現していたので、前者をこちらのバンドで表現した……ってことなんでしょうね。にしては、それぞれのオリジネイターと共演することでそれを具現化するっていう、安直さはアレなんですが。

ガンズもDURAN DURANも大好きだった自分からしたら、確かに夢の組み合わせなんですよね。なのに、リリース当時はまったく惹かれなくて……ぶっちゃけ、このレビュー書くために10数年ぶりにこのアルバム、引っ張り出したくらいですから。

時代的に、この頃はGREEN DAYあたりがブレイクしたタイミングだったと思いますが、そういったポップパンク勢よりもハードロック色が強いのは、間違いなくスティーヴのカラーとマットのドラムによるものが大きいわけで。そこでの差別化はしっかりできていますが、だからなのかチャート的にもセールス的にもそこまで成功を収めることはありませんでした。まあもともと遊びで始まったバンドなので、それでいいのかもしれないけど。じゃなきゃ、このメンツで「Janie Jones」なんてやりませんて(これがなかなか良いんです)。

“これ!”といった突出した1曲はないものの、アルバム通して気楽に聴ける1枚。傑作ではないけど、忘れた頃に再生してみると「あ、意外と良いじゃん」と素直に思える作品集なんじゃないでしょうか。事実、久しぶりに聴いてみたらリリース当時よりも楽しめたので。



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投稿: 2017 09 29 12:00 午前 [1996年の作品, Duran Duran, Guns N' Roses, Neurotic Outsiders, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/28

ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)

DURAN DURANのギタリスト、アンディ・テイラーがバンド脱退後の1987年春に発表した初のソロアルバム。アンディは本作の前に2枚のソロシングル(「Take It Easy」「When The Rain Comes Down」。ともに1986年リリース)を、映画やテレビドラマのサウンドトラック絡みで発表していますが、アルバムには未収録。時期的にバンドを脱退後の発表だったのかな。ちょっと記憶が曖昧ですが。

アルバムはSEX PISTOLSのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズをプロデューサー&ギタリストに迎えて制作。と聞くとパンキッシュな作風になるのかなと勝手に想像してしまいますが、THE POWER STATIONでのアンディのプレイから想像できるような、非常にハードロック寄りのアルバムに仕上げられています。

先の2枚のソロシングルが、どちらかというと陽気なアメリカンロックというイメージだったし、THE POWER STATIONもブラックミュージックの影響下にあるアメリカンロックという印象だったから、絶対にその路線だと思いますよね? でもアルバムのオープニング曲「I Might Lie」は、マイナーコードの疾走ハードロック。泣きメロといいギタープレイといい、ちょっと成長したアンディのボーカルといい、すべてが気持ち良く響く1曲です。そこから過去シングルの路線をよりワイルドにした「Don't Let Me Die Young」へと流れていく構成も、さすがの一言。さらにミディアムバラード「Life Goes On」へと続くのですから、この頭3曲で完全に心をわし摑みにされてしまうわけです。

全9曲中8曲がアンディ&スティーヴの共作。思えばスティーヴも“こっち”寄りの人だったよな、ってことはピストルズの1stアルバムやのちの復活ライブで十分納得できるのですが、本作リリース当時高校生だった自分はそんなこともわからぬまま、「これはこれでカッコいいよ!」とアホみたいにリピートしていたのでした。

で、あれから30年経った今聴いてもカッコいいんですよね。サウンドプロダクション的に時代を感じる部分は多々あるものの、楽曲的にはどれも悪くない。アンディやスティーヴのギタープレイ、その2人を支えるミッキー・カーリー(Dr)&パトリック・オハーン(B)という、わかる人にはわかるリズム隊の仕事ぶりもさすがの一言だし。のちにデヴィッド・リー・ロスのバンドに加わるブレット・タグル(Key)も参加してるしね。

どれか1曲選べといわれたら、やっぱり冒頭の「I Might Lie」なんだけど、イントロのギターリフにピストルズを重ねてしまう豪快なアメリカンロック「Thunder」も悪くない。あと「Life Goes On」「Bringin' Me Down」といった泣バラードや「Night Trai」みたいなきメロナンバーも良いんですよね。全体的に(なんとなくですけど)マイケル・モンロー『NOT FAKIN' IT』(1989年)と重なる部分も多いので、あのへんの作風が好きな人にはオススメです。

P.S.
アナログやCDで当時発表されたオリジナル版と、現在iTunesやSpotifyで配信されているバージョンは、収録曲は一緒ですが曲順が異なるのでご注意を。現行の配信版の曲順もこれはこれで好きですが。



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投稿: 2017 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Andy Taylor, Duran Duran, Power Station, The, Sex Pistols] | 固定リンク

2004/09/13

とみぃ洋楽100番勝負(25)

 やっと四分の一‥‥先は長いな。頑張ります。


●第25回:「God Save The Queen」 SEX PISTOLS ('77)

 昔むかし‥‥もう20年くらい前かしら‥‥「メタル派」「パンク派」みたいな派閥みたいなのがあってさ。曰く「メタルファンはパンクを聴くべからず」みたいな。またその逆も然り、と。音楽的にもスタイル/アティチュード的にも対極にある音楽だと思われてたわけよ。パンクが登場してメタル/ハードロックは「オールドスタイル」呼ばわりされ隅に追いやられ‥‥けどさ、そのパンクが下火になった頃にイギリスではまたメタルに火が着くじゃない(所謂「NEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL」ってやつね)。しかもIRON MAIDENなんて、明らかにパンクからの影響もあったはずだし、その親玉みたいに崇め奉られたMOTORHEADなんてどっちとも取れるじゃない? なのにさ‥‥バカみたいだよね、今となっては。

 ま‥‥ほら。'80年代も後半になればなる程‥‥例えばGUNS N'ROSESみたいなバンドが出てきたし、METALLICAやANTHRAXみたいなバンドがメタルだけでなくパンクからの影響も口にし出すようになってようやくオールドメタルファンは一歩あゆみ寄った、といったところでしょうか。

 でもさ。俺等の世代はそんな馬鹿げた派閥、無視してたよ。少なくとも俺はパンクもメタルも同じくらい、カッコいいと感じて聴いてたし。

 さて、本日のお題となるSEX PISTOLS。所謂パンクの教科書的存在ですよね。その音楽性にしろ、バンドの生き方にしろ。

 けどさ‥‥正直なところ俺、最初はすっげー苦手でさ。最初に聴いた&観たのが、この "God Save The Queen" のプロモーションフィルムでさ。スタジオライヴ風映像なんだけどさ‥‥どうにも受け付けなかったのね。俺にとっては‥‥ジョニー・ロットンが全然カッコ良く見えなくて。その脇にいる厳ついギターの男(スティーヴ・ジョーンズ)はちょっと好みだったんだけどさ。

 なんだろう‥‥HANOI ROCKSとかMOTLEY CRUEとか、明らかにパンクを通過してるであろうバンドは好きになれたのに、本家パンクには魅力を感じなかった。曲もなんだか単調だし、ファッションも華やかじゃない‥‥そう、俺が好きになった要素って結局パンクじゃなくて「グラム」な側面だったんだよね、後になって思うと。それなら納得いくもん。その後に聴いたMOTT THE HOOPLEにしろNEW YORK DOLLSにしろ、一発で気に入ったのは音の方にもその「華」が感じられたから。だから‥‥

 でも今は好きですよ。実はアルバム「勝手にしやがれ」を聴いたのは、そのもっと後‥‥高校生になった頃かしら。CD化されてようやく聴いたんだよね。CLASHとかはアナログでも聴いてたくせして。

 "Anarchy In The U.K." の方が一般的に目じゃなんだろうけど、あのビジュアルの衝撃(俺が嫌悪感を持ったという意味でね)込みで、俺はやっぱこっちを選びます。再結成ライヴ@武道館の時も、"Anarchy〜" よりも "God Save The Queen" の方が感慨深かったしね。



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投稿: 2004 09 13 12:00 午前 [1977年の作品, Sex Pistols, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック