SIGUE SIGUE SPUTNIK『FLAUNT IT』(1986)
1986年3月にリリースされた、SIGUE SIGUE SPUTNIKのデビューアルバム。元GENERATION X(ビリー・アイドルが在籍したパンクバンド)のトニー・ジェイムス(G)が在籍するということ以上に、80年代半ばにおいてもどこか時代錯誤に感じられた奇抜なファッションと、単調なデジタルビートを基盤にしたチープな音楽性で良くも悪くも話題となったバンドですが、デビューシングル「Love Missile F1-11」は全英3位を記録。続く2ndシングル「21st Century Boy」は全英20位と順位を落とすものの(そりゃそうでしょう、デビュー曲とほぼ同じ曲調ですし)、アルバムは全英10位とまずまずの成功を収めます。
僕も当時、『ミュージックライフ』などの音楽誌で彼らのことを知り、あの馬鹿馬鹿しいまでのルックスに惹かれ、さらにMTVなどで「Love Missile F1-11」のMVを観て(初めて音を聴いて)いろんな意味で衝撃を受けるわけです。「これがフューチャーロック、フューチャーパンクか……」と感銘を受け……るわけないですよね、さすがの中坊でも(苦笑)。
でもね、この曲が癖になるんですよ。単調なデジタルビートにエフェクトかけまくりのボーカル、オールドスタイルのギタープレイ。気づけば、何度もリピートしていた自分がいて……たぶん、実家に7インチシングル、残ってるんじゃないかな?
で、アルバム。さすがに自腹で購入せずレンタルで済ませましたが(笑)、まずはそのジャケットに驚かされるんじゃないでしょうか。妙な日本語が散りばめられていたり、どこかで見たことのあるロボットが描かれていたり……彼らにとっての“近未来”とは日本、いや、東京そのものなんでしょうかね。で、オープニングの「Love Missile F1-11」がバージョン違いで日本語が入ってきたりでさらに驚かされ、2曲目「Atari Baby」で早くもテンポを落とすものの、続く「Sex Bomb Boogie」以降はしばらく同じテンポ感、同じビート感、同じ曲調が延々と続きます……続くのです(苦笑)。
こうやってアルバム通して聴くと、実は「Love Missile F1-11」ってよく作り込まれた楽曲だったんだなと、改めて実感させられます。そして、いろんなところで言われていると思いますが、FRANKIE GOES TO HOLLYWOODにも通ずる“ハリボテ”も強かったりして、そのニセモノ感が受け入れられるかどうかで評価も大きく変わるバンド/アルバムかもしれません。
が、そこまでの高評価が似合わないのも、このバンドらしいというか。名盤というよりは迷盤として語り継がれるのが、彼らにはぴったりかもしれませんね。
とはいえ、音楽史的には非常に意味の大きい1枚なんですよね。だって、このアルバムがなかったら、その後の布袋寅泰の『GUITARYTHM』シリーズもなかったでしょうし、かのロマンポルシェ。も生まれなかったでしょうから(それは言い過ぎ?)。
▼SIGUE SIGUE SPUTNIK『FLAUNT IT』
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