SIMPLE MINDS『ONCE UPON A TIME』(1985)
1985年秋にリリースされた、SIMPLE MINDSの7thアルバム。同年初頭に映画『ブレックファーストクラブ』のサウンドトラックからシングルカットされたオリジナルアルバム未収録曲「Don't You (Forget About Me)」が初の全米No.1を記録し(これが初のUSシングルチャートイン曲)、その勢いをうまく引き継ぎながら発表されたのが、この出世作となるアルバムでした。結果、アルバムから「Alive And Kicking」(全米3位)、「Sanctify Yourself」(全米14位)、「All The Things She Said」(全米28位)とヒット曲を連発し、アルバム自体も最高10位まで上昇しました。
プロデュースを手がけたのはジミー・アイオヴィン(U2、ブルース・スプリングスティーンなど)とボブ・クリアマウンテン(ブライアン・アダムスなど)という“ザ・80年代”な組み合わせ。それまでのスティーヴ・リリィホワイトやジョン・レッキー、ピーター・ウォルッシュなどの“いかにもUK”な人選と比較すれば、彼らがこのアルバムでアメリカ制覇を狙っていたことは明らか。実際、それまでのニューウェイヴがかったサウンドから、本作はより大陸志向の壮大なロックを奏でています。
女性ボーカルをフィーチャーしたアレンジや、大きなノリ、U2のエッジ(G)を思わせるギターストロークなど、彼らがどこを狙っているか、聴いてるだけでジワジワ伝わってくる。そこにニューロマンティックなどの“2ndブリティッシュ・インヴェンジョン”勢を思わせるテイストも加味し、「そりゃあ、アメリカ人い気に入られるよ」ってな楽曲を作り上げる。オープニングトラックの「Once Upon A Time」を筆頭に、そういう楽曲がずらりと並ぶのですから、嫌いになれるわけがない。
切なさを伴う「All The Things She Said」やダンサブルな「Ghostdancing」、本作の軸にして壮大な1曲「Alive And Kicking」、ポップで親しみやすい「oh Jungleland」や「Sanctify Yourself」、ニューウェイヴの色合いを引きずる「I Wish You Were Here」、不思議なリズム感の「Come A Long Way」と、1曲1曲の濃さがとにかくすごい。全8曲で40分という聴きやすさもあって、何度も聴き返したくなる1枚です。ホント、中学生の頃よく聴き込んだアルバムで、リリース当時はアナログ盤だったのですが、高校生になってから改めてCDで買い直したほどお気に入りの作品です。
2015年にはリリース30周年を記念したリマスター&デラックス盤も発売。2枚組使用にはシングルのカップリング曲やダンスリミックス、先の「Don't You (Forget About Me)」などが収録されたボーナスディスクが付いているので、これから購入するならこちらをオススメします。
▼SIMPLE MINDS『ONCE UPON A TIME』
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