2002/12/16

SKETCH SHOW『AUDIO SPONGE』(2002)

  というわけで、このふたりが一緒に並んでしまうと、否が応でもあのバンドを思い出してしまうわけですが‥‥しかもやってる音楽自体、あの頃の発展型‥‥あるいは2002年版とでもいえるサウンドですしね。

  つうわけで、YMOを愛して止まなかった俺からすれば、この「細野晴臣+高橋幸宏」という組み合わせだけで生唾モノなのに、更にやってる事がマジで「TECHNODON」(再生YMOが'93年にリリースした唯一のオリジナルアルバム)の10年後という形で終わってない、テクノの型に囚われないポップアルバムだし、しかもゲストとして2曲に教授・坂本龍一が参加してる事実‥‥ヤベェ、マジヤベェってば。

  私事で申し訳ないんだけど‥‥俺、幼少の頃ピアノを習ってまして、最初は自分から始めたいと言ったものの、やっぱりどこかに「やらされてる感」みたいなのがあったんですよ。ところが、小学2年生だった俺があるグループに出逢うわけです‥‥それがこのYMOなんですね。もうね、「SOLID STATE SURVIVOR」('79年リリースのセカンドアルバム)がその後の俺の人生全てを変えてしまうわけですよ。小学生ながらに「こりゃヤバイ」と、感覚的に悟ったわけです。で、俺は何をどうしたかというと‥‥ピアノからエレクトーンに乗り換えたわけです、親を説得して。「これからの時代は電子サウンドだよ」とか言ったかどうかは覚えてませんが(いや、実際そういうようなことを言ったらしいね、母親に聞くと。YMOを持ち出してさ)、とにかく俺がどのくらい細野・高橋・坂本に影響を受けたか、ご理解いただけましたか?

  とまぁ前置きはこんなもんにして‥‥今年最大の心残り、それは「WIRE02」を欠席してしまったこと。ま、精神的にそういう心境じゃなかったわけですが、そこでの最大の楽しみであった彼等SKETCH SHOWのステージを見逃してしまったことが、ホント悔しくて悔しくて。だったら単独公演何で行かないの!?と突っ込まれそうですが、ええ、トライしましたよ、追加公演の方。けどね、取れなかったの、マジで。本公演の方はメロン記念日と被っちゃったから仕方なかったし(つうか今の俺にはどっちも大切な存在なんで)。

  そんなSKETCH SHOW。音楽的にはハリー&幸宏のポップセンスが光る楽曲を、テクノというよりもエレクトロニカ系のサウンドで聴かせる、正しく2002年の音。幸宏はここではドラムを叩いておらず(当たり前か)、完全にふたりしてコンピューターやらシンセやらをいじり倒した様子。細野氏が「踊れないテクノ」というキーワードをテレビか何かで言ってた記憶があるけど、他のエレクトロニカ系サウンドと比べれば全然リズムがしっかりしてて踊りやすいし、馴染みやすいポップなメロを持っているのですんなり聴ける。英語詞あり、日本語詞あり、インストよりも唄モノが多いのも特徴。最近細野氏がこの手(エレクトロニカ系)のサウンドに興味を示していたことからこういう方向性になったんだろうけど、やっぱり唄モノポップアルバムって印象が強いかな。まぁYMO以前に「はっぴぃえんど」やミカバンドがあったわけですからね、彼等には。

  で、2曲("Wonderful To Me"と"Supreme Secret")のみ教授こと、坂本龍一が参加してる曲があるんだけど‥‥どっちかっていうと、これらの曲の方がよりエレクトロニカ的サウンドで構築されてるかも。演奏だけでなく作曲にも携わってる辺り、ホントに過去に捕らわれずに自由にやってるんだなぁというのが伺えますね。また、他にもレーベルメイトであるテイ・トウワも参加してたりで。ま、その辺は完全にオマケって感じかも。とにかく楽曲もバックトラックも充実してるし、そういうゲストの要素がなくても十分に魅力的なアルバムだよね、これ。

  YMO時代から積極的にカバー曲を取り上げてきた彼等ですが、今回も3曲、非常に地味な選曲で我々を驚かせてくれます。まずはアルバム6曲目の"Do You Want To Marry Me"。映画「セシルの歓び」劇中歌だそうで、幸宏の選曲。10曲目"Turn Down Day"はCIRCLEというグループのヒット曲(ゴメンナサイ、俺このグループ知りませんでした)。最後に12曲目"Theme From A Summer Place"はパーシー・フェイズ楽団やLETTERMENでお馴染みの曲(らしいです)。これまでみたいなBEATLESだったりプレスリーだったりっていう判りやすい曲ではなく、非常にマニアックな選曲なのが「完全に肩の力抜いてやってます」的で面白いかも。ま、オリジナルを知らない俺からすれば、これらの3曲も十分に彼等のオリジナルソングとして楽しめるんですけどね。

  いやぁ、それにしてもホントに奥が深いアルバムだな、これ。モロにエレクトロニカな"Microalk"の後に、如何にも幸宏氏なBEATLESライクな"Wilson"が続いたり。エレクトロニカ・フォークとでも呼びたくなる"Do You Want To Marry Me"に続いて、懐かしのスネークマン・ショー2002年版"Gokigen Ikaga 1.2.3."が出てきたり。クラブサウンドで構築されているものの、やっぱり根本にあるのは幸宏氏なり細野氏なりの「ポップセンス」なんですよね。それをこの時代に改めて再認識できたってのが、もしかしたら最大の収穫だったかも。

  先頃行われたライヴではCORNELIUSこと小山田くんが参加、来年2月にリリース予定のマキシシングルでは小山田くん、全面参加するとのこと(!)。ってことよりも、噂ではアルバム1枚っきりって話だったみたいだけど、アルバム作って評判良くて、ライヴやって評判良くて、更に本人達も気持ち良かったようで、今後もパーマネントのユニットとして活動を続行してくことが正式に決定したそうです。ま、毎年アルバム出しますとかそういった感じではないと思うけど(それぞれソロだったり他のユニットだったりプロデュース業もあるでしょうし)、また新しい音源が聴ける、そしてライヴを観る機械があるってだけでも俺は嬉しいよ。以前、とあるテレビ番組でのインタビューで「1枚目は顔見せ的カタログ、2枚目でバンドを代表するような名作を発表して、3枚目でケンカ別れで解散、という一般的なバンドが辿る道をなぞっていきたいと思います」と面白がって言ってたふたり。ま、いい歳してホントに3枚目でケンカ別れしたら、それはそれで爆笑モンなので、是非実践して欲しかったりして‥‥嘘ですが。

  ちなみにこのアルバム、avexからのリリースですが、CD-EXTRA対応ってことで無事Copy Control CD(CCCD)を回避。続く2月のマキシもCD-EXTRAでのリリースになるそうです♪



▼SKETCH SHOW『AUDIO SPONGE』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2002 12 16 12:00 午前 [2002年の作品, SKETCH SHOW, Yellow Magic Orchestra] | 固定リンク