カテゴリー「Skid Row」の10件の記事

2019年3月20日 (水)

GILBY CLARKE『PAWNSHOP GUITARS』(1994)

イジー・ストラドリンに代わり、GUNS N' ROSESにギタリストとして加入することになったギルビー・クラーク。80年代半ばにアイドル的な立ち位置のパワーポップバンドCANDYや、ハードロックバンドKILL FOR THRILLSなどで活躍したのちにガンズに加わるのですが、バンドがスタジアムバンドとして人気肥大していく中でツアーのみに参加ということもあって、正直ミュージシャンとしてどこまでの才能がある人なのか、いまいちわかっていなかったところがありました。

そんな中、ガンズ活動休止中にダフ・マッケイガンに続いてソロアルバムを発表するのがギルビーだとわかると、当時のファンは「お前かよ!」と総ツッコミを入れることになるわけです。だって、オリメンのスラッシュより先なんですから。

そんなわけで、1994年7月にVirgin Recordsから発表されたのがこの『PAWNSHOP GUITARS』というアルバム。ガンズが所属するGeffen Recordsからではないというあたりに、いろいろ政治的なものを感じますね。

プロデュースを手掛けたのは、キース・リチャーズとの仕事などで知られるわディ・ワクテル。レコーディングには同じくガンズからマット・ソーラム(Dr)とディジー・リード(Key)が全面参加し、スラッシュやダフも数曲でゲスト参加。さらに、ダフやスラッシュのアルバムにはノータッチだったアクセル・ローズがストーンズのカバー「Dead Flowers」で、ギルビーとデュエットしているという事実に、これまた多くのファンが「……なぜ!?」と驚くことになるわけです。笑える。

ほかにもPIXIESフランク・ブラックSKID ROWのドラマー、ロブ・アフューソ、ELECTRIC ANGELSや2代目SLASH'S SNAKEPITに在籍し現在ALICE COOPER BANDで活躍中のライアン・ロキシーなども名を連ねています。何気に豪華ね。

ギルビーのボーカルは可もなく不可もなくの“ヘタウマ”タイプ。適度にパンキッシュなスリージーハードロックにはこれくらいでちょうどいいのかもしれません。作曲面でも「Cure Me... Or Kill Me」のようなハードロックから「Tijuanna Jail」のポップパンク、「Skin & Bones」のホンキートンク路線、「Johanna's Chopper」でのサイケロックまで、ガンズ路線からポップなものまで意外と器用にこなせることがわかります。あと、ストーンズの「Dead Flowers」とTHE CLASHの「Jail Guitar Doors」(ダフとフランク・ブラックがゲスト参加)というカバーのセンスもなかなか。この才能がガンズで一度も活かされることがなかったのが悔やまれます。

この手のロックとしては、実は隠れた名盤的色合いの強い1枚。過去のガンズ在籍メンバーの中では(大全盛期に在籍していたにも関わらず)もっとも影の薄いギルビー。今となってはアクセルのゲスト参加って、「まあこれで許してや?」的なご祝儀だったのかな……というのは言い過ぎでしょうか(苦笑)。



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2019年3月19日 (火)

DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』(1993)

GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン(B)が1993年9月(日本では同年10月)に発表した、現時点で唯一のソロアルバム。当時はガンズが『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)に伴うワールドツアーが終了したあとで、バンドとしての活動が一時的に休止していたタイミング。本作の2ヶ月後には、事前にレコーディングされていたカバーアルバム『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)もリリースされています。

ガンズの在籍メンバーとしてはいち早くソロ活動に乗り出したダフ(元メンバーのイジー・ストラドリンは脱退後の1992年にアルバムを発表していますが、ガンズに所属したままでのソロ活動はこれが初)。このアルバムでダフはベースはもちろんのこと、リードボーカルやリズムギター、ドラム、ピアノなど大々的に挑戦。どこか“スリージーロック版レニー・クラヴィッツ”みたいなスタイルで、アルバム作りに臨んでいます。

曲によってはさまざまなゲストミュージシャンも多数参加。スラッシュ(G)やギルビー・クラーク(G)、ディジー・リード(Key)、マット・ソーラム(Dr)といった“アクセル・ローズ抜き”ガンズの面々に加え、ジェフ・ベック(G)やレニー・クラヴィッツ(Vo)、当時SKID ROWのメンバーだったセバスチャン・バック(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、ロブ・アフューソ(Dr)など、顔の広いダフらしい豪華な面々が華を添えています。

ダフ自身はガンズのアルバムやライブでも「So Fine」や「New Rose」「Attitude」などでその歌声を披露してきましたが、決して個性的で上手というタイプではない、雰囲気で聴かせる“ヘタウマ”タイプ。当然このアルバムでもそういったスタイルが全開で、ガンズのアルバムをパンク/オルタナ側に寄せたその作風に妙にフィットしています。スラッシュがリードギターを弾きまくるオープニング曲「Believe In Me」からして、そのカラー押しまくりですものね。

かと思えば、クラヴィネットを多用したファンキーな「(Fucked Up) Beyond Belief」があったり、オルガンやストリングスを被せたスローバラード「Could It Be U」があったりと、相変わらず器用さも提示している。なんて感心していると、1分半程度のタイトルまんまな疾走パンクチューン「Punk Rock Song」なんて曲もある。さすがダフ、我々の思い描くパブリックイメージを裏切りません。

さまざまなゲストミュージシャンのカラーも強く打ち出しながらも、それに消されることのないダフの個性。アルバムとしては決して完成度が高いとは言い難いラフな内容ですが、そこも含めて当時のガンズのメンバーが作ったソロアルバムという印象が強いかも。この春、久しぶりにソロライブを行うというダフ(※参照)、そのあとには本作以来となるソロ名義でのアルバムもリリース予定なんだとか。ガンズでの活動を経た今の彼がどんな作風のアルバムを作るのか、そしてどんなゲストが参加するのか、とても気になります。



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2019年2月 1日 (金)

SKID ROW『SKID ROW (30TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』(2019)

1989年1月に発売されたSKID ROWのデビューアルバムにして最大のヒット作(全米6位/500万枚)がリリース30周年を記念して、2019年1月にリマスタリング&ボーナストラック多数追加で再リリースされました。といっても本作、CDでの発売はなしで、デジタルリリースおよびサブスクリプションサービスでの配信のみ。アルバム本編がリマスタリングされたのなら、せっかくですしアナログ盤でも欲しいところですが……。

本サイトでも2年前にオリジナル盤のレビューを公開していますので、アルバム自体の内容についてはそちらに譲るとして。気になるリマスタリングの効果ですが、確かにドラムがふくよかになり、若干硬くなったような印象が。ギターの出音も以前より聴きやすくなったし、全体的に古臭さは減った気がします(あくまでイメージですが)。特に「18 And Life」のように強弱のはっきりした曲だと、そのへんの変化がよりわかりやすいのではないでしょうか。

アルバム本編に続いては、このデビュー盤制作時のアウトテイク「Forever」を収録。こちらは1998年発売のベストアルバム『40 SEASONS: THE BEST OF SKID ROW』にも収録されていたので、特に目新しさはなし。まあアルバム本編の楽曲と比べたら、確かにクオリティ的に一歩劣るかなという気はします。悪くないですけどね。

で、本作最大の収穫は、いわゆるDISC 2(配信なのでディスクもクソもないんですが)のライブ音源。1989年4月28日にカリフォルニア州ウェストミンスターのThe Marqueeで収録された全10曲からなるこの音源は、デビュー間もない彼らのライブフルセットをまるまる収めたものになります。フルスケールのライブアルバムをリリースしていない彼ら(特にセバスチャン・バック在籍時)にとって、たった10曲とはいえこれはありがたいかぎり。

内訳はアルバム収録曲11曲中「Can't Stand The Heartache」「Midnight / Tornado」除く9曲に、KISS「Cold Gin」のカバーを加えたもの。うん、当時の定番セトリですね。ここから3ヶ月後の1989年7月に実現した初来日公演も基本的にこれに近いもので、ここに「Can't Stand The Heartache」「Midnight / Tornado」とSEX PISTOLS「Holidays In The Sun」、RAMONES「Blitzkrieg Bop」などのカバー曲を追加したワンマン仕様でしたから。

そんなSKID ROWの若さあふれる(笑)ライブをじっくり楽しめるこのアニバーサリー盤、悪いわけがない。バズの若々しくて若干息切れも感じられるボーカル含め、2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)以降の彼らが失った“何か”を感じ取ることができるはずです。

まあとにかく曲が良いので、文句なしの内容かと。このライブ盤目当てでダウンロード購入してもいいくらい。2年後にはぜひフルライブの音源&映像をパッケージした『SLAVE TO THE GRIND』デラックス盤にも期待したいところですね。



▼SKID ROW『SKID ROW (30TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』
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2018年9月10日 (月)

GODSPEED『RIDE』(1994)

アメリカ・ニュージャージーの5人組バンド、GODSPEEDが1994年に発表した唯一のオリジナルアルバム。プロデュースを手がけたのは、SKID ROWのベーシスト、レイチェル・ボラン。デビュー時にその色が着いちゃったことで、HR/HMファンには「野暮ったい」と言われ、オルタナ界からは「SKID ROW流れ」と揶揄され。不幸というかなんというか。

ベーシストが2人、ギターが1人という珍しい編成のバンドで、サウンド的には時代もあってか非常にグランジ/ヘヴィロックからの影響が強いスタイル。グランジといってもMUDHONEYとかMELVINSとか、あるいはHELMETあたりの流れにあるバンドかなと。非常にグルーヴィーなミドルテンポのヘヴィロックが次々と繰り出されます。

ベースが2人ってことは、普通にベースラインを弾くメンバーと、リズムギター的にパワーコードを弾くメンバーがいるってことですかね(生で観たことないのでわからないし、MVではそのへんがわかりにくいので)。サウンドはめっちゃぶっとくてダーティ。爆音で聴くと、本当に気持ち良いんですわ。トリップするってやつですかね。ああ、あの時代がよみがえってきます。

今となると、こういうサウンドってBLACK SABBATHの影響下にあるストーナーロックということになるんでしょうか。事実、このバンドが解散したあと、メンバーの何人かはSOLACE、THE ATOMIC BITCHWAXというストーナー界隈ではそこそこ名の知れたバンドに参加しているので(さすがに僕もSOLACEぐらいは知っていましたが)。GODSPEEDとしてはAtlantic Recordsからメジャーデビューしているものの、むしろ解散して以降のほうが出世している気がします。

良く言えばヘヴィで気持ちいい、悪く言えばどの曲もリフやテンポが似通っている(ラストの「My Brother」は16分もあって、さすがに退屈します)。聴く人によって評価が大きく分かれるアルバム/ジャンルかもしれませんが、2018年に聴いても特に古臭さは感じません(元から古臭かったという話もありますが)。ラップメタル以前の、ゴリゴリでグルーヴィー、引きずるようなリズム感のヘヴィロックを堪能したい方にはぜひ触れてほしい1枚かもしれません。

こうやって久しぶりに聴いてみると、いかにこのへんのジャンルがのちのSKID ROWのアルバム『SUBHUMAN RACE』(1995年)に影響を与えたかが、おわかりいただけるかと思います。元凶はお前だったのか、レイチェル。

にしても、今思うとバンド名がよろしくなかったですよね。検索するとき、GODSPEED YOU! BLACK EMPERORばかりが引っかかって、このバンドにたどり着けないったらありゃしない(苦笑)。



▼GODSPEED『RIDE』
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2018年2月 3日 (土)

SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』(1992)

SKID ROWが1992年秋に発表した5曲入りカバーEP。前年初夏に発表した2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』が全米チャート初登場1位という快挙に輝き、同作を携えたツアーも1年以上継続。そのファイナルを控えたタイミングでのリリースだったのですが、収録曲の大半は過去のシングルにカップリングで収録されたものばかり。ですが、こうやって彼らのルーツナンバーを彼らのサウンドで楽しめるというのは、ファンにとっては少なからず嬉しいものがあるのではないかと思います。

カバーされているのは、RAMONESKISSJUDAS PRIESTRUSHジミ・ヘンドリックスと、彼らのサウンドからすれば何にひねりもないセレクト。RUSHに多少こだわりが感じられたりしますが、ピックアップしたのが1stアルバムからというあたりにこだわりがあまり感じられないのでは……という話も(苦笑)。まあ、いいじゃないですか、微笑ましくて。

とにかく、どの曲も原曲に忠実で素直なアレンジ。オープニングのRAMONES「Psycho Therapy」(ボーカルはベースのレイチェル・ボラン)も若干ヘヴィにはなっているものの、基本的なアレンジはまんま。KISS「C'mon And Love Me」は原曲にあったアコースティカルな色合いが消えてしまったものの、メロの良さは完全に生かされており、これはこれでグッド。プリースト「Delivering The Goods」はご本家ロブ・ハルフォードがゲスト参加したライブテイクをそのまま収録。そりゃあまんまですよね(笑)。

で、RUSH「What You're Doing」ですが、実はこれを聴くと「なぜ『SLAVE TO THE GRIND』というアルバムが完成したのか?」という、その理由の片鱗が見えてくるんじゃないかという気がするんです。そして、ここから次作『SUBHUMAN RACE』(1995年)へとつながっていく理由もね。結局、こういうグルーヴィーなハードロックをJUDAS PRIEST的方法論で表現したかったんですね。

最後のジミヘン「Little Wing」のみ、本作で初出のカバー。これも、まぁまんまっちゃあまんまですが、ギタリスト2人が本家に無理やり近づこうと頑張っております。残念ながらそこには到達できてないのですが、いい線いってるんじゃないかなと。これを聴くと、『SLAVE TO THE GRIND』での泣きのバラード(「Quicksand Jesus」「「In A Darkened Room」「Wasted Time」」のルーツも垣間見えるという。なるほどですね。

たった5曲、20分にも満たないEPですが、もしあの当時のSKID ROWがのちのGUNS N' ROSESみたいにフルカバーアルバムを作ったとしたら、ほかにどんなアーティストを取り上げたんでしょうね。



▼SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』
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2017年3月28日 (火)

SEBASTIAN BACH『GIVE 'EM HELL』(2014)

元SKID ROWのフロントマン、セバスチャン・バックが2014年にリリースしたソロアルバム第3弾『GIVE 'EM HELL』。アクセル・ローズがゲスト参加したソロ第1弾『ANGEL DOWN』(2007年)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr)やジョン5(G)が参加した2作目『KICKING & SCREAMING』(2011年)とそれぞれ話題作となりましたが、本作もそれに負けじと劣らずの内容です。

まずアルバム全体でプレイするバンドメンバーにダフ・マッケイガン(B)&ボビー・ジャーゾンベク(Dr)というHR/HMファン歓喜のリズム隊、ギターにアヴリル・ラヴィーンや P!NKなどと共演経験を持つ若手デヴィン・ブロンソンン、さらにゲストプレイヤーとしてジョン5、スティーヴ・スティーヴンスが参加。それぞれ1曲、3曲で個性的なプレイを聴かせてくれます。

内容的には過去のソロ作の延長線上、というよりもSKID ROWで聴くことができたバズの魅力をより濃密にしたもの。ひたすらアグレッシヴに突き進む「Hell Inside My Head」からスタートすると、あとはストップボタンを押さない限りはバズの猛攻の連続。作風的にはSKID ROWの3作目『SUBHUMAN RACE』をより生々しくしたようなテイストで、パンキッシュというよりはメタリックな色合いがほうが強いかもしれません。

それは演奏面にも言えることで、ジョン5やスティーヴ・スティーヴンスのようなテクニカルなギタリストのプレイが乗ることで、ダフ&ボビーの地を這うようなリズム隊のプレイもより活きてくる。その上でのたうち回るバズのボーカルも昔より太くなったことで、豪快さと迫力はSKID ROW時代以上のものがある。また、新加入のデヴィン・ブロンソンンのプレイも一聴して地味そうなんだけど、実はかなりテクニカル。ソングライティング面でもプロデューサーのボブ・マーレットとともにいい仕事ぶりをしてくれたと思います。特に楽曲面に関しては、前作まで在籍したニック・スターリングがかなりの貢献度だっただけに心配したのですが、これはこれでアリ。

そんな中で異彩を放つのが、APRIL WINEのカバー「Rock N' Roll Is A Vicious Game」。ハーモニカをフィーチャーしたアーシーなバラードは、どこかSKID ROWの1stアルバム時代を思い出させてくれます。ひたすらゴリゴリで突き進む作品だけに、この曲になるとちょっと肩の力が抜けてしまいますが(しかもこれに続くのが、オルタナメタル色の強い「Taking Back Tomorrow」なんだから、そのギャップがね)、そこさえ気にしなければ全体的に素晴らしい1枚だと思います。

そういえばバズも『LOUD PARK 12』以来となる5年ぶりの来日公演が『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』で実現するんですね。フェスの趣旨的にSKID ROW時代の曲が多めになりそうな気がしないでもないですが、できたらこの最新作からの楽曲も生で聴きたいものですね。



▼SEBASTIAN BACH『GIVE 'EM HELL』
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2017年2月18日 (土)

SKID ROW『SUBHUMAN RACE』(1995)

湾岸戦争勃発を機に世界的不況へと突入していくさなかに発表されたSKID ROWの2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』は、それでも全米初登場1位、トータルセールス200万枚という当時の状況から考えれば上出来の結果を残しました。特にここ日本では1991年、1992年と2年連続でのツアーが実現し、前者では日本武道館、後者では代々木第一体育館とアリーナ会場でライブを実施する盛況ぶりを見せます。

また1992年秋にはカバー曲で構成されたEP『B-SIDE OURSELVES』 を発表して、『SLAVE TO THE GRIND』に伴うワールドツアーをひと段落させるのですが、バンドはすぐに次作の制作には入りませんでした。これはHR/HMに取って代わりNIRVANAPEARL JAMといったグランジ勢がシーンを席巻していたことで、マネジメントから新作制作に「待った」がかかったとも言われています。

空白の1993年を経て、1994年からは新たにボブ・ロックをプロデューサーに迎え3rdアルバム制作を開始。こうして1995年3月にようやくリリースされたのが、本作『SUBHUMAN RACE』なのです。

まず聴いておわかりのとおり、怒りと勢いで制作された前作と打って変わって、本作は同じ怒りをモチーフにしながらも非常にコントロールされた内容です。だからこそ、アレンジ面においてもテクニカルな要素が目につき、セバスチャン・バックのボーカルも時に抑制を効かせ、時に感情を爆発させるというメリハリがついたことで、全体的にダイナミックさが目立つ。また疾走感よりもグルーヴを重視したテンポ感は、『SLAVE TO THE GRIND』以降に発表されたMETALLICAのブラックアルバム、PANTERA『VULGAR DISPLAY OF POWER』などの新世代メタル作品、そしてSOUNDGARDENALICE IN CHAINSといったグランジバンドからの影響と言えるでしょう。このテンポ感が軸にあることで、全体のトーンが定まっているようにも感じられます。

セバスチャン・バックが当時このアルバムを語る際、JUDAS PRIESTの『BRITISH STEEL』を引き合いに出していましたが、リフに次ぐリフというアレンジ、アップテンポの曲を含むものの基本的にはミドルテンポが持つグルーヴでぐいぐい引っ張り、音の鋭さで聴き手を圧倒させる作風は確かに通ずるものがあるように思います。

本作が発表された頃にはグランジブームもひと段落した時期ではあったものの、SKID ROWのようなバンドは一世代前の存在として片づけられてしまったためか、またレーベルがこの手のバンドと真剣に向き合わなかったためか、チャート的には全米35位という結果で終わってしまいます。とはいえ、オープニングを飾るグルーヴィーな「My Enemy」、地を這うようなリズムが気持ちいい「Beat Yourself Blind」、変拍子を用いたサイケな「Eileen」、「Slave To The Grind」を整理して一段上へと昇華させたような「Subhuman Race」、ヘヴィなリフ&ビートが心地よい「Frozen」、ダイナミックな「Face Against My Soul」や「Medicine Jar」、SKID ROWらしい泣きのバラード「Into Another」、感情を抑えた適度な熱量が魅力の「Breakin' Down」など良曲満載で、決して数字がすべてではないことを証明する1枚ではないでしょうか。

この翌年の1996年にバズ(セバスチャン)がバンドを脱退。SKID ROWの黄金編成はたった3枚で幕を降ろすことになり、2017年現在まで彼の復帰は一度も実現していません。つい先日、新たなシンガーとして元DRAGONFORCEのZPサートが正式加入したばかり。レイチェル・ボラン(B)がイエスと言わない限りは、残念ですが今後もバズの復帰は絶望的なんでしょうね。



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2017年2月17日 (金)

SKID ROW『SLAVE TO THE GRIND』(1991)

デビューアルバムがバカ売れしたSKID ROWBON JOVIMOTLEY CRUEのオープニングアクトから自身のヘッドライナーツアーへと移行すると、各地で大盛況。ところが、セバスチャン・バック(Vo)のトラブルメイカーぶりが各地で発揮され、一悶着起こして別の意味で話題になります。その矛先はバンドをデビューへと導いたBON JOVIへと向けられ険悪な雰囲気に。

そんな状況下で制作されたのが、1991年6月にリリースされた2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』です。前作『SKID ROW』では“パンクマインドでHR/HMを鳴らして”いましたが、本作ではパンクマインドがより肥大し、鳴らすサウンドもHR/HMよりも激しさを増しすという“Too much”な内容に仕上がっています。

サウンド的にも、よく整理されていて聴きやすかった前作から一変、より生々しさが増し、ドラムは前のめり感が強く、ギターも極力オーバーダビングされていないような印象を受けます。そしてボーカルの無軌道感……決まったメロディをしっかり歌うのではなく、感情の赴くままに歌い叫び、多少音程が外れようが気にしないし直さない。“Well-made”感が強かった前作とは真逆の、 “録って出し”感濃厚な仕上がりなのです(とはいえ、そこはマイケル・ワグナーの手腕によるものも大きく、実はギリギリのバランス感で成り立っているようにも聴こえます)。

楽曲的にもヘヴィブルースという呼称がふさわしい「Monkey Business」から始まり、“SKID ROW版「Ace Of Spades」”の呼び名がぴったりな「Slave To The Grind」、グルーヴィーな「The Threat」、前作でのバラードとはひと味違ったヘヴィさを持つ「Quicksand Jesus」と、1stアルバムの硬派な部分をより煮詰めたようなナンバーばかり。そこに直球すぎるタイトルの「Get The Fuck Out」や「Riot Act」といった疾走パンクチューン、のちのMETALLICAPANTERAにも通ずるミドルヘヴィナンバー「Mudkicker」、ドラマチックな王道パワーバラード「Wasted Time」など緩急に富んだ楽曲が加わることで、“どこか一辺倒な雰囲気なのに、なんだかんだ最後までスルッと聴けてしまう”不思議な魅力を作り上げることに成功しています。

実はこのアルバムの発売タイミングからビルボードの集計方法が変わったことで、この『SLAVE TO THE GRIND』はアルバムチャート初登場1位という快挙を初めて成し遂げることになります。今では当たり前のような「初登場1位」を初めて獲ったのが、実はHR/HMアルバムというのも非常に興味深い話ですね。本作からはシングルヒットに恵まれず、唯一「Wasted Time」が全米88位にチャートインしたのみ。いわゆる“4 letter word”(Fuck だのShitだの下品な言葉)を多用した歌詞が多かったことでラジオから敬遠されたものの、アルバム自体は200万枚を超える数字を残しました。また、本作リリース後はPANTERAやSOUNDGARDENを前座に迎えてヘッドライナーツアーを行っていたのも、このアルバムを聴けばなるほどと頷けてしまいます。



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2017年2月16日 (木)

SKID ROW『SKID ROW』(1989)

BON JOVIの弟分”的存在として1989年初頭にメジャーデビューを果たしたSKID ROW。デビュー作『SKID ROW』からの1stシングル「Youth Gone Wild」のMVは当時、ここ日本でもTBS『PURE ROCK』で毎回のようにオンエアされることでHR/HMファンの間で浸透していきました。だって曲良しサウンド良し、ボーカルのセバスチャン・バックのルックス良し声良しで非のつけどころが見当たらなかったんですから、仕方ないですよ。

“BON JOVIの弟分”云々は、メンバーのデイヴ・スネイク・セイボがジョン・ボン・ジョヴィの幼馴染で一緒にバンドをやっていたことがあること、ジョンが運営する「New Jersey Underground」のサポートでデビューにこぎつけたこと、同じドグ・マギーがマネジメントを担当していることから。『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)で天文学的大ヒットを記録し、続く『NEW JERSEY』(1988年)もそれに匹敵するヒット作となったタイミングでのデビューだったこともあり、SKID ROWは1年と経たぬうちに大成功を手にします。

1stシングル「Youth Gone Wild」こそ全米99位と低調に終わりますが、続く泣きのバラード「18 And Life」は全米4位、アコースティックギターを取り入れたパワーバラード「I Remember You」も全米6位を記録し、アルバム自体も最高6位、現在までにアメリカのみで500万枚を超える大ヒット作となっています。ホント、アメリカにおける HR/HMブーム末期に登場した最後の大型新人という呼び名がふさわしい存在だったと思います。

ヒットシングルがバラードばかりですが、アルバム全体を覆うのは若さ、怒り、抑圧、衝動という攻めの空気感。パンキッシュな雰囲気の「Piece Of Me」やポップなHR「Can't Stand The Heartache」もありますが、基本的にはパワフルな「Big Guns」、疾走感あふれる「Sweet Little Sister」、そしてアンセミックな「Youth Gone Wild」などメタリックな色合いがこのバンドの持ち味。そこにパンクなスタンスが加わることで、バンドとして唯一無二の個性を確立していくことになります。

ちょうど西海岸からGUNS N' ROSESが登場し、それに応えるように東海岸からSKID ROWが登場。パンクマインドでHR/HMを鳴らしてはいるものの、最終的にお互い異なるスタイルを作り上げたのは非常に興味深いところです。



▼SKID ROW『SKID ROW』
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2005年7月 8日 (金)

寝る前にこれ聴け!(1)

 新コーナー。昔懐かしい(といっても、'80年代半ば〜'90年代前半を中心とした)HM/HRのアルバムを毎回3枚取り上げるというコーナー。単純に、俺が寝る前にこの3枚をCD棚から引っ張り出して聴くだけ、という話。何の役にも立たないかと思いますが‥‥

まず1枚目。


・SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」('91)
 久し振りに引っ張り出して聴いてみたら、スゲーかっこ良かった。全米初登場1位とか、当時GUNS N'ROSESやMETALLICAといったバンドのオープニングアクトをやってたとか、前座にFAITH NO MOREやSOUNDGARDEN、PANTERA等を使ってたとか、そういった情報はどうでもよく、とにかくひたすらカッコいい。そして泣ける曲多し。


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・WINGER「IN THE HEART OF THE YOUNG」('90)
 RATTのプロデューサー(ボー・ヒル)が手掛けてることから、RATTフォロワー的に思われてたデビュー当時。何となくサウンドと声がそれっぽかったからね。けど、メンバーは全員スタジオミュージシャンなり誰かのバックなりで鍛え上げられた名手ばかり。テクニカルHRの極み。
 けどこのアルバムではDEF LEPPARD的な楽曲指向を強めてるんだよね。曲によっては打ち込みベースを使ってたり、あるいはプログレ並みのテクニカル路線だったり。バランス的に一番好き。中途半端っていう人もいるみたいだけどね。


▼WINGER「IN THE HEART OF THE YOUNG」(amazon


・SADS「THE ROSE GOD GAVE ME」('01)
 唯一色の違う、しかも邦楽、そして2001年の作品。けどこれがメチャメチャ良い。
 ほぼ全編英語(日本語曲は数曲のみ)、MOTLEY CRUEやMARILYN MANSONなんかを彷彿させるヘヴィロック路線。SADSは「BABYLON」までしか聴いてなくて、その後の清春ソロは聴いてたんだけど、良いねこのアルバム。普通にハードロック/ヘヴィロックじゃんか。ギターとドラムが現在THE DUST'N'BONEZにいるせいか、空気感が似てるよね。ま、プレイとかはまんまだけど。
 ボーカルのせいで好き嫌いハッキリするだろうけど、意外と洋楽HRファンにもアピールするんじゃねーの? 俺は肯定派。


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