カテゴリー「Skunk Anansie」の4件の記事

2018年10月16日 (火)

FEEDER『COMFORT IN SOUND』(2002)

2002年10月にリリースされた、FEEDER通算4作目のオリジナルフルアルバム。プロデュースは全英8位のヒット作となった前作『ECHO PARK』(2001年)から引き続きギル・ノートン(PIXIESFOO FIGHTERSTERRORVISIONなど)、そしてメンバーのグラント・ニコラス(Vo, G)が担当。前作の流れを受け、本作は全英5位という高ランクを記録し、本国のみで50万枚以上の大ヒット作に。「Come Back Around」(全英14位)、「Just The Way I'm Feeling」(同10位)、「Forget About Tomorrow」(同12位)、「Find The Colour」(同24位)といったヒットシングルも多数生まれました。

2001年4月発売の『ECHO PARK』のヒットにより、国民的バンドに一歩近づいたFEEDERでしたが、翌2002年1月にジョン・ヘンリー・リー(Dr)が自宅で自殺するという不幸に見舞われます。しかし、バンドは歩みを止めることなくレコーディングを続行。レコーディングに(当時)元SKUNK ANANSIEのマーク・リチャードソン(Dr)を迎え、無事完成までこぎつけます。

『ECHO PARK』はポスト・グランジの影響下にありつつ、パンクや王道UKロックなどがバランスよく混ざり合った力作でしたが、続く今作ではどこか影のあるメロディと、ストリングスなどを導入した叙情的かつドラマチックなアレンジが際立つ新境地を見せています。この穏やかさやメランコリックさは、ジョンの死が大きく影響しているものと思われますが、結果としてここで見せた新たなスタイルがキャリア最大の成功へと導くわけですから、皮肉なものですね。

この“メンバーが不慮のトラブルで1人欠け、残されたメンバーで作り上げたドラマチックな作品で国民的バンドへと成長する”ストーリー、安直ですがマニックスにも近いものがありますよね。奇しくもフロントマンのグラントは南ウェールズ出身。世代的にもマニックスの面々と一緒というのもあり、こういった“オルタナティヴロックとエヴァーグリーンの融合”というスタイルが共通するのはなんとなく納得できるところもあるんですよね。もちろん、育った環境は違うとは思うんですが。

ジョンの生前に書かれたという疾走感あふれるオルタナポップ「Come Back Around」やひたすらヘヴィな「Godzilla」みたいな曲もありつつ、やはり印象に残るのは「Just The Way I'm Feeling」や「Forget About Tomorrow」「Quick Fade」といったメロディアスな楽曲。グランジ的スタイルを取った「Summer's Gone」もサウンドこそ激しさを伴うものの、スタンス的にはこっち側なんですよね。

前作での「Buck Rogers」や「Seven Days In The Sun」「Just A Day」みたいな曲に惹かれたリスナーにはガッツの弱い作品に映るかもしれませんが、悲しみを乗り越えてまたひとつ大人になっていく、その残酷ながらも貴重な瞬間を見事に捉えたという点において本作はFEEDERのキャリアにおける重要な1枚なのです。生き続けることを決めたバンドが、延命のために胸の内をすべて吐き出した本作があったから、続く『PUSHING THE SENSES』(2005年)も、そこから再び激しいロックへと回帰する6thアルバム『SILENT CRY』(2008年)も生まれたわけですから。



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2018年9月28日 (金)

SKUNK ANANSIE『PARANOID & SUNBURST』(1995)

1995年9月リリースの、SKUNK ANANSIEのデビューアルバム(日本では同年11月にリリース)。プロデューサーはシルヴィア・マッシー(TOOLSYSTEM OF A DOWNRED HOT CHILI PEPPERSなど)が担当。「Selling Jesus」(全英46位)、「I Can Dream」(同41位)、「Charity」(同40位/1996年の再発時は20位)、「Weak」(同20位)とヒットシングルが多数生まれ、アルバム自体も全英8位まで上昇するヒット作となりました。

当時のメンバーはスキン(Vo)、エース(G)、キャス(B)の3人。レコーディングまでロビー・フランスというドラマーが参加していましたが、発売を前に脱退。なので、ジャケットには3人しか写っていないわけです。ちなみに、本作発表後に元LITTLE ANGELS、のちにFEEDERにも加わるマーク・リチャードソンが加入しています。

このバンドはRAGE AGAINST THE MACHINE以降のファンクがかったヘヴィロックをベースに、ときにダブやレゲエ、エレクトロの要素も加えてバリエーションを出すサウンドスタイルと、スキンの圧倒的な歌唱力とその存在感の強いヴィジュアルが魅力。デビュー作の時点ではサウンド的にもっと焦点が定まっているというか、ヘヴィロック色が全作品中もっとも高い1枚かと思います。

かつ、歌詞は非常にポリティカルであったり、宗教問題を扱ったりと、サウンドともども攻撃的。アルバムのオープニングからして「Selling Jesus」ですしね。この曲を筆頭に、ベースがバキバキいいながらグルーヴィーにのたうちまわるサウンドは、本当に気持ちいい。

かと思えば、「Charity」のようにソウルフルなバラード、「Weak」みたいに比較的落ち着いたートーンのミディアムナンバーも収められている。攻撃一辺倒ではなく、ちゃんと音楽として聴かせることも忘れていない(当たり前か)。落ち着いたトーンからジワジワと熱量が上がっていく「100 Ways To Be A Good Girl」も素晴らしい。

RATMみたいにラップで表現しているわけではなく、スキンという女性シンガーが圧巻の歌唱力で表現することで伝わるものもあるはず。残念ながら歌詞・対訳を読まねばその詳細まで理解することは、我々日本人には難しいことかもしれません。だからこそ、本作を含む一連の作品が廃盤状態なのは非常に惜しいところ。もちろん中古店をくまなく探せば見つかると思いますが、本作リリース当時はここ日本ではブリットポップブーム。同じイギリス出身でもこの手のバンドは敬遠されていた記憶があるので、とにかくじっくり探してみることをオススメします。

で、本作が気に入れば次作『STOOSH』(1996年)はもっと気にいるでしょうし、3rdアルバム『POST ORGASMIC CHILL』(1999年)ではその音楽的成長に驚くはずです。



▼SKUNK ANANSIE『PARANOID & SUNBURST』
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2004年2月 9日 (月)

SKUNK ANANSIE『POST ORGASMIC CHILL』(1999)

今回紹介するこのSKUNK ANANSIE。既に2001年春に解散しているバンドで、この「POST ORGASMIC CHILL」というアルバムは'99年春に日英で(アメリカは夏)リリースされた通算3作目にしてラスト作となってしまった1枚。当時、殆ど話題にならなかったように記憶してるんだけど‥‥悪いけどこれ、名盤よ? もし彼らの存在すら知らなかったって人がいたなら、まず無知な自分を恥じないと。それくらいいいバンドだったんだから。

所謂「ラウドロック」「オルタナティヴ」の範疇に入るバンドなんだろうけど、このバンドが異色だったのは‥‥文字通りスキンヘッドという出で立ちで我々を威嚇/魅了した紅一点・スキンというシンガーの存在でしょう。見た目完全に強面なのに、話すと非常に女の子らしい繊細さを見せる。喧嘩強そうなルックスに相反して実はかなり知的。そういった二面性を持ったフロントマン。しかも彼女の歌が凄い。まずはこのアルバムを黙って聴いて欲しいな‥‥俺が言いたいこと、嫌という程判ってもらえると思うから。

1曲目の "Charlie Big Potato" は、イントロのインダストリアル調SEだけ聴くと「ラガマフィン風?」とか「ドラムンベース??」なんて声が聞こえてきそうだけど、その先に待ち構えてるのは、戦車の如く重厚なヘヴィサウンド。更にその上を滑らかに這いずり回るスキンのボーカル。時にエロティックに、そして時にヘヴィメタルばりのハイトーンで圧倒する。この1曲でノックアウトされなかったら嘘だと思う。実際、このアルバムがリリースされた年のフジロックに彼らは出演してるんだけど、殆どがノーマークだった彼らのステージ、この曲でオープニングを迎えると‥‥曲がドラマチックな展開を見せるに連れて、客が後ろの方からどんどん前へと駆け寄ってくのね。あれを目撃した者としては本当に圧巻でしたよ。

でね、ただヘヴィなだけじゃない。完全な歌モノといっていいポップな "Lately"、ストリングスがドラマチックな展開をサポートするスローな "Tracy's Flaw"、ちょっとインダストリアル風な "Secretly"、アコースティックやストリングスを導入したことでよりスキンの歌の繊細な部分が浮き上がった名バラード "You'll Follow Me Down" や "I'm Not Afraid"。こういった「歌」を中心に据えた楽曲と、先のヘヴィでラウドな楽曲が半々で存在している。しかもどちらか一方に偏ることなく、またどちらか一方がもう一方の邪魔をすることもなく、非常に良いバランスでアルバムが構成されている。楽器隊の頑張りも凄いんだけど、やはりここはスキンというシンガーの存在感が全てなんでしょうね。彼女以外のシンガー‥‥男性でもいいし女性でもいい‥‥が同じことをやってたとしても、ここまで上手く機能してなかったんじゃないか‥‥そう思わせる程の内容なのですね。

決して気軽に聴けるタイプの音楽じゃないと思います。特に頭3曲("Charlie Big Potato"、"On My Hotel T.V."、"We Don't Need Who You Think You Are")の怒濤の攻めは呼吸するのを忘れてしまう程の威圧感ですしね。アメリカの同系統のヘヴィロックバンドと比べても何ら劣る部分はないし、むしろ当時こういうタイプのバンドってアメリカには少なかったと思うんですね。みんなKORNやlimpbizkitといったデスやヒップホップの方向に走ってたじゃないですか。RAGE AGAINST THE MACHINEからアイディアを拝借してる部分も少しはあるでしょうけど、根本にあるのはスキンという類い稀なるシンガーの存在ですから。アメリカでも若干遅れてこういった「ラウドロックにメロディアスな歌モノ」という方向性が登場し、この1年でEVANESCENCEのようなタイプまで登場しています。残念ながらSKUNK ANANSIEはアメリカで大成功を収めることはありませんでした。アルバムの知名度もイマイチでしょうし‥‥だからこそ、俺みたいな奴が忘れ去られないように、ここでこうやって紹介する‥‥もしこれを読んで「じゃあ聴いてみるかな‥‥」って思ってくれる人がひとりでもいたなら‥‥

最後に解散後のメンバーの近況など。スキンは昨年ソロアルバムをリリース、8月には「SUMMER SONIC」でソロとしての初来日公演を行うはずでしたが、直前になってキャンセル。その後影を潜めています。アルバムも日本/英国共にCCCDだったお陰で未だに聴けずにいます。サウンドの要だったギターのエースはプロデュースやセッション等を行いながら、昨年「STILL HUNGRY」というソロアルバムをリリースしました。これは各曲にいろんなシンガーをフィーチャリングした、如何にもギタリストらしい1枚となっています。

今後、再結成することなないと思いますが‥‥やっぱりロックンロールするスキンが観たいよなぁ、もう1回。



▼SKUNK ANANSIE『POST ORGASMIC CHILL』
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1999年9月 9日 (木)

「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 2@苗場スキー場(1999年7月31日)

  2日目に突入です。1日目同様、気の利いたことは書けません。


◎RORY McLOED (at GREEN STAGE / 10:30~11:00)

  プログラムにはないスペシャルゲストかと思ったのだが、FIELD OF HEAVENに出演する方だった。英国出身で、世界中を放浪しているシンガーソングライターだそうな。基本的にはギターとハーモニカのみ。本当ならほんわかした雰囲気の中で聴きたいタイプの音なのだが、どうも周りの雰囲気はそうではない。すでに人が多いし、日射しも強くなってきている。日よけもない場所で聴いたのもあり、いまいち記憶に残ってない。ただ、ひとつ……ちょっとロン・セクスミスを思い出した。が、あそこまで繊細な感じはしないけど。

  3曲くらいの演奏だったか。最後の曲には前日にも現れたナワン(1日目のハイスタ参照)が再び現れ、共演。またまた「Free Tibet!」のコール&レスポンス。結局30分以上やったのか。


◎東京スカパラダイスオーケストラ (at GREEN STAGE / 11:00~11:40)

  5月に不慮の事故でドラムの青木氏を失い、6月のツアーから助っ人としてブランキー・ジェット・シティーの中村達也が参加。あの達也がお揃いの衣装を着る、それだけで注目のステージとなったはずだ。

  さてそのステージだが、いきなり達也のドラムからスタート。銀色のスーツをまとった彼。やけにデカく感じる。いや、ドラムセットが小さいだけか。ジャケットの下は素肌。達也の激しいドラミング以外は、いつも通りのスカパラに見えた。「青木氏の弔い合戦」というイメージはまったくなく、いつも通りのエンタテインメント性を全面に出した楽しいステージだった。


◎DMBQ (at WHITE STAGE / 11:30~12:10)

  轟音系なんだけど、いい意味で音が「古臭」く、70年代のビンテージって感じ。ちょっと前のグランジとも違う。うまい表現が見つからないけど、すごくいい感じ。個人的には趣味。これでもっとエンタテインメント性があったりすると、いかにも70年代的なんだろうけどね。そうしないところが、現代的ってことなのか。


◎BRAHMAN (at WHITE STAGE / 12:50~13:30)

  とにかく人が入ってる。昨日のNEVEが嘘のようだ(昨日は前の方に客が固まってるだけで、後ろの方はがらーんとしていて客が寝転がっていた)。後ろまでびっしり客が詰まってる。みんな期待してるってこと。考えてみると2日目って日本のパンク系バンドが多かったね(eastern youth、BACK DROP BOMBなど)。

  1曲目がいきなり「Tongfarr」だった、と思う。何せ暑かったのと、風が強くて砂埃がひどくて、記憶がいまいちはっきりしない。が、この曲をやったことは鮮明に覚えている。日本的なメロディを聴かせる、「歌」にこだわってるように感じた。あとはもう……モッシュの嵐。この日のステージを観て、間違いなくこれからも追い続けるバンドのひとつになったことだけは断言できる。


◎UA (at GREEN STAGE / 13:20~14:00)

  今回のバンド編成は元ルースターズが2人(ドラムの池畑氏、ギターの花田氏)いて、さらに浅田氏も参加。期待しないわけがない。選曲がこれまた、グレイテストヒッツ的なもので大満足。花田氏のスライドギターもこれまた渋い。気がついたらステージに向かって走ってた。


◎SKUNK ANANSIE (at GREEN STAGE / 16:00~17:00)

  久しぶりに生で見た彼ら、この日は新作「POST ORGASMIC CHILL」のオープニング曲「Charlie Big Potato」からスタート。イントロの長いインダストリアル系SEにうざったさを感じながらも、バンドが入ると途端にイメージが逆転。レイジもびっくりのハードな演奏。最初、お客は前の方だけだったのに、演奏がスタートしてそのハードさが伝わった途端に前へ前へと走り出す。そりゃそうだって。

  そしてスキン(Vo)が登場して、歌う。時に優しく、時に絶叫し、サビのハイトーンのところで多くの客がステージに向かって走っていくのが判った。いやいや、爽快。今まで彼等のことを知らなかった人はラッキーだと思う。だって、いきなりライブの洗礼を受けることができたのだから。1999年フジロックのベストアクトのひとつと言ってもいい。

 自分は続くリンプ~ケミ~ブラーに備えて、後ろで泣く泣く体力温存していたのだが、やっぱりお客が続々と増えていく光景を見てるのは圧巻というか爽快というか。個人的にはこのSKUNK ANANSIEとCATATONIAがどう受け入れられるかが、今後の海外アーティスト来日公演への布石になるはずと思っていたが、大成功だったようだ。

  選曲自体は先にリリースされたサードと大ヒットしたセカンドからの曲が中心。あの厳ついイメージのあるスキン嬢だが、ことMCになるとかわいらしい声で喋る。このギャップがたまらないし、レイジやKORNとは違った良さがある。絶対に、絶対に日本でもっと人気が出てもいいはずだ。


◎LIMP BIZKIT (at GREEN STAGE / 17:50~18:50)

  勿論リンプには期待していた。あのアルバムを聴けば誰もがそう思うだろう。実際、あの新作を聴いてフジ2日目だけ参戦を決めた方は多かったはずだ。

  噂には聞いていたが、ここまでエンタテインメント性重視のバンドだとは思わなかった。アルバムレビューで「バカ=とっつきにくい説」なんてのを書いた俺だが、そうか、作られたバカだったのか。とにかく客を楽しませることに徹している。レイジとは明らかに別の世界のバンドだということがよく判った。レイジにはロックバンド特有のストイックさを感じるのだけど、リンプの場合は例えばBEASTIE BOYSから受ける「あの」感じ。それと同様なものを感じ取る事ができた。それだけでも大きな収穫だと思う。

  正直、モッシュしまくってたし、思いっきりコケたし、命がけで暴れてたので、ここに気の利いたことは書けない。ただ、ファーストの曲とセカンドの曲って、ライブ会場で聴くと明らかに質感が違う。改めて「SIGNIFICANT OTHER」のすごさを実感した瞬間だった。

  それと、ライブ恒例の「大カバー大会」にも楽しませてもらった。「Do you like KORN?」の一言の後にあの印象的なドラムとギターリフが(「Blind」)。しかし、イントロの「Are you ready?」のところで演奏をストップ。続くはレイジの「Bombtrack」。ギター&ベースのユニゾンに笑った。そしてここでも「1、2、3!」で演奏ストップ。ここで終わるのかと思ったら、ギターがいきなり聴き覚えのあるリフを。あ、メタリカだ。しかも「Master Of Puppets」。今度は歌まで披露。歌うのはギターのウェス。「Master! Master!」のところまで演奏される。客は勿論盛り上がる。で、最後の最後にお約束でフレッドが一言、「Fuck You!」。これが言いたいがための前振り。リンプの芸人魂見たり、ってところか。


◎THE CHEMICAL BROTHERS (at GREEN STAGE / 19:40~20:50)

  いきなり1曲目が「Hey Boy Hey Girl」。ウッドストックと一緒か? カレーを抱えたまま、ステージ近くまで走ろうと思ったが断念。贅沢に後ろのほうで食事しながらケミカルを聴くという、これも野外フェスの醍醐味。腹いっぱいになって体力的にも余裕ができたあと、地味に踊った。満天の星空の下、サイケな映像に目がやられ、無機質な機械音に耳と頭をやられる。そして体だけが勝手に動く。これが気持ちいいのだよ。

  前作発売時にリキッドルームで観たときよりも、断然今回のほうが良かった。勿論クラブレベルで観る(踊る)彼等も最高だが、グループの規模感がデカくなった今、イギリスと同じ条件で観られるってのが幸運だと思う。

  曲に関してはほぼ原曲通りだったが、圧巻は名曲「Setting Sun」のぶち壊し振り。前回の来日もほとんど歌のパートを聴かせないプレイに度肝を抜かれたが、今回はバックトラックが4つ打ちに差し換えられていた。カッコイイじゃないか! しかもまた歌を無視! ざまぁ見やがれ、と大暴れ。疲れてたはずなのに、そんなことすら忘れさせるステージだった。


◎BLUR (at GREEN STAGE / 21:40~23:00)

  ステージにメンバーが現れまず驚いたのが、デーモンの衣装。いや、衣装とも言えない普段着。これじゃあリアムだよ!?ってな格好に無精髭、覇気のなさ、いや、オーラのなさが気になる。この「これじゃあリアムだよ!?」ってのは結局最後までつきまとった。もちろん今やってる音楽のイメージを考えれば、ちょっと前までの「ハイパーアクティブな」イメージを求めるのは酷なのかもしれないが、あの覇気のなさがすごく気になる。リアムの場合はそこにオーラがあるのだけどね。

  そして気になること、その2。1曲目の「Tender」なのだが……何かが違う。聴いていてすごく居心地が悪い。何故だ? 自分なりにいろいろ考えたのだけど、こういう結論に達した。つまり、あの日「Tender」が“みんなのうた”になれなかったのではないか。どんなに作者が個人的なことを歌おうが、それがCDとして流通され、ラジオから流れ、テレビから流れ、ライブで披露されたその瞬間に、“ぼくのうた”から“みんなのうた”に変わる。作者の手元を離れてしまうのだ。そして俺達はその「瞬間」を、その爽快感を味わいたくてCDを買い、ライブに足を運ぶ。なのにデーモンはその切っ掛けを与えてくれなかった。それがあの覇気のなさと関係あるのかはわからないが、俺はその拒絶された感じに違和感を覚えたのかもしれない。

  ライブが進むにつれて、客は盛り上がりを見せるが、俺は盛り下がり続けた。唯一救われたのは、過去の曲、特に「The Universal」を聴けたことかもしれない。唯一そのときだけは自分の中で盛り上がりを見せたが、最後の最後の名曲3連発、「Girls & Boys」「Parklife」「Song 2」で再び盛り下がっていく。体とは相反して、心はブルーのままだった。楽しめることは楽しめたのだが、何かしっくりこないとうか。

  ライブは演者側がどういう状態であれ、観る側にとって“One And Only”なものでなければならない。バンド活動が長くなれば長くなるほど予定調和さが伴うだろう。が、特に日本のような国へは2、3年に一度しか来られないわけだし、フェスだったらチャンスは一回こっきり。「どうせこの後、単独で来るし」とナメていたのかもしれない、バンド側もファン側も。だが、次はないかもしれない。そのときは俺の多くの友人が俺に尋ねたように「BLURってあんなもん?」ってイメージが植え付けられたまま、また2、3年、いや、最悪一生そのイメージが残るのかもしれない。期待していただけにちょっと残念な内容だった。


‥‥‥‥‥‥To be continued.

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