カテゴリー「Slash」の10件の記事

2020年4月29日 (水)

SLASH'S SNAKEPIT『AIN'T LIFE GRAND』(2000)

2000年10月にリリースされたSLASH'S SNAKEPITの2ndアルバムにしてラスト作。日本盤は海外より1ヶ月前倒しの同年9月に発表されています。

SLASH'S SNAKEPIT名義の1作目となる『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995年)は、GUNS N' ROSESの長い休暇期間にしびれを切らしたスラッシュが制作したサイドプロジェクト的な作品でしたが、続く今作はガンズ脱退を経て最初に作られたメインバンドとしての1枚。また、前作には当時のガンズメンバー(マット・ソーラムやギルビー・クラークなど)が参加していましたが、今回はスラッシュ以外のメンバーを一新しており、ここから新しいスタートを切るぞという意気込みが感じられます。

ロッド・ジャクソン(Vo)、ライアン・ロキシー(G)、ジョニー・グリパリック(B)、マット・ローグ(Dr)という比較的無名/これまでのキャリアと無関係なメンツを迎えたあたりに、スラッシュの「裸一貫、一から再スタート」という気概が伝わってきます(ライアンはギルビーの1stアルバム『PAWNSHOP GUITARS』にも参加していたり、アリス・クーパーのツアーメンバーでもあったので、唯一ガンズ絡みと言えなくもないですが)。AEROSMITHCHEAP TRICKNEW YORK DOLLSなどで知られるジャック・ダグラスがプロデュースを務めた本作は、前作でのブルースフィーリング濃厚な作風から一転、ソウルフルさこそ漂うものの根本には「パンキッシュでグラマラスな豪快ハードロック」という原点回帰な1枚に仕上がっています。

前任のエリック・ドーヴァーがアクセル・ローズ的テイストの声/ボーカルスタイルの持ち主だったこともあり、前作には「ガンズが今、スラッシュ主導で新作を作ったらこうなるのかな?」という側面もありましたが、今作で歌うロッドの声質は前任ともアクセルとも異なる野太いものだからか、ギタープレイこそガンズっぽいのの曲自体は「ポップさ濃厚な、モダンテイストのハードロック」という印象が強いかな(とはいえ、一部でアクセル的歌唱を意識した歌い回しも登場しますが)。楽曲のバリエーションも前作以上の幅広さがあり、全体的にモノトーンのイメージが強かった前作と比べるとかなり聴きやすいかもしれません。

そういう意味では、本作は「スラッシュの新バンド」とか「ガンズ関連作品」という観点で触れるのではなく、当時台頭し始めたBUCKCHERRYHARDCORE SUPERSTARBACKYARD BABIESあたりと同じ視点で楽しむ1枚ではないかと。要は、スラッシュなりに当時の時流を考えた結果がこれだったと。

でも、世間が求める音はこれでなかったんですよね、残念ながら。そして、SNAKEPITは短命で終わり、スラッシュは再びダフ・マッケイガンやマット・ソーラムと合流し、VELVET REVOLVERを結成するのでした。

……って、こう書くと本作は失敗そのものみたいな受け取られ方をしてしまいそうですが(だってそう書いているじゃん自分)、そのVELVET REVOLVERへの布石も至るところに散りばめられた本作、意外と侮れない重要作なんじゃないかな。『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』から本作に至る流れ、そしてここからVELVET REVOLVERへとつながっていく流れ。点と点がすべてつながっているだってことを、本作を聴き込めばより深く理解できるはずです。

 


▼SLASH'S SNAKEPIT『AIN'T LIFE GRAND』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2020年2月22日 (土)

OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたオジー・オズボーンの11thオリジナルアルバム。カバー曲で構成されたアルバム『UNDER COVER』(2005年)を含めると、通算12作目のスタジオアルバムということになります。

前作『SCREAM』(2010年)が2010年6月発売だったので、ほぼ10年ぶりということになりますが、その10年の間にはBLACK SABBATHとしてのラストアルバム『13』(2013年)もあったので、実質7年ぶりの新作ということになるのかな。ま、どちらにせよオジークラスのリリース間隔としてはだいぶ空いたことには違いありません。

ここ数年、新作に向けた噂はいろいろ上がっては消え、上がっては消えを繰り返していました。個人的に記憶に残っているところではスティーヴ・スティーヴンス&ビリー・モリソン(ともにビリー・アイドルBANDのギタリスト)と共作しているなんて話もありました。しかし、新曲は一向にリリースされる気配はなく、2年前には『NO MORE TOURS』と題した最後のワールドツアーを行うことが発表され、日本にも昨年3月に『DOWNLOAD JAPAN』のヘッドライナーとして来日することが決まっていました。が、実際にはご存知のとおり。2015年秋の『OZZFEST JAPAN 2015』を最後に、オジーの来日公演は実現しておりません。

もともと、オジーはこの10年でスタジオ入りにだいぶ消極的だったようで、前作『SCREAM』は完成までに約1年半もの歳月を要したとのこと。これがあって、長期間スタジオにこもるのを嫌がったみたいなんです。ところが、ポスト・マローンとの共演曲「Take Me What You Want」で出会ったプロデューサー/マルチプレイヤーのアンドリュー・ワットにけしかけられ、ついに重い腰を上げアルバム制作に突入。ザック・ワイルド(G)をはじめとする現在のバンドメンバーではなく、アンドリュー側がお膳立てしたレコーディングメンバー……ダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)とチャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)、そしてギターはアンドリュー自身という布陣で曲作りを含む制作を実施。さらには、スラッシュ(G/GN'R)やトム・モレロ(G/RAGE AGAINST THE MACHINE)、エルトン・ジョン(Vo, Piano)という豪華ゲストまで迎え、これまでの躊躇が嘘みたいに待望のオリジナルアルバムは1年かからずして我々の手元に届けられたわけです。

昨年11月にリードトラック「Under The Graveyard」がまず配信されましたが、ぶっちゃけた話をすると僕、この曲に対してはまずネガティブな感情が溢れ出てしまいました。「ああ、なんだかわかんねえ若造プロデューサーにそそのかされて、ソロでもサバスみたいなことやらされて……10年待った結果がこれか」と。

ところが、その2週間後に発表された2ndシングル「Straight To Hell」を聴いて、気持ちを改めることになります。路線的には確かにサバス以降の流れにあるものでしたが、しっかりオジーのソロワークスらしさも感じられる。ポップさやキャッチーさは薄いものの、確かにこれはオジーのソロ曲だわ、と。

さらに年が明け、1月初頭には3rdシングル「Ordinary Man」も配信。エルトン・ジョンとのデュエットという話題もありましたが、何よりこれが“いかにも”なオジー流スローバラードで一聴して心を持っていかれたわけです。うん、これは期待できそうだなと。

あれから約1ヶ月。リリースより少々先にアルバムをまるまる聴く機会を得たのですが、最初の「Under The Graveyard」に対するネガティブな感情がまるでなかったかのように本作を全面的に受け入れる自分がいました。うん、どこからどう聴いてもオジー・オズボーンのニューアルバムだと、そう素直に思えたのです。

確かに、テイスト的にはソロよりもサバス時代に寄った作風かもしれません。しかし、リリースタイミング的にもBLACK SABBATHのレコードデビュー50周年(2020年2月13日)とかぶっていたり、ここ最近のオジーの体調面での問題なども相まって、「もしかしたらこれが最後かもしれない……」という不安も少なからず感じていた。だからこそ、本作をもっと前向きに捉えようと気持ちを持ち直したのかもしれませんね。

けど、作品への評価とそういった個人的感情はできるだけ切り離して楽しみたい。そう思って何度かリピートしてみましたが……やっぱりどうしても感傷的な気持ちは切り離すことはできませんでした。できなかったんだけど……それでも「ああ、オジーの新作カッコいい!」と思える自分が存在するのもまた事実。もうそれでいいじゃん!

スラッシュらしいギターソロがフィーチャーされた「Straight To Hell」から始まる本作は、序盤こそ8thアルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)以降の流れを汲む、“21世紀のオジー”らしいアルバムかと思いきや、ところどころに6thアルバム『NO MORE TEARS』(1991年)のテイストも散りばめられているし、もちろんサバスらしさもあるし、もっと言えばオジーのルーツであるビートルズからの影響もしっかり残されている。そこまで含めて、従来のオジーのソロらしいんですよね。しかも、その“らしさ”がセルフ・パロディで終わっていないし、しっかり新しいオリジナル作品にまで昇華されている。きっとザックを含むイツメンで作っていたら、セルフ・パロディとまでは言わないまでも焼き直し感を残したまま消化不良で終わっていたのかもしれない。だからこそ、スタジオワークに無駄な時間がかかりすぎてしまうのかな……いや、わからないけど。

アルバムの流れで聴くと、不思議と「Under The Graveyard」も悪くない。いや、むしろ「Ordinary Man」のあとにこの曲が続く必然が感じられるし、「Under The Graveyard」のあとに「Eat Me」が並ぶ意味も理解できる。個人的にはこの「Eat Me」以降のアルバム後半の流れがめっちゃツボで、トム・モレロらしいソロをフィーチャーした「Scary Little Green Men」、アンドリュー・ワットの素晴らしいギターソロと美しいメロディ&アレンジがオジーソロ史上ベストワークと思えるほどの「Holy For Tonight」、ポスト・マローンがゲスト参加したパンキッシュな「It's Raid」と、“らしさ”と“斬新さ”が共存する構成なのです。そこからボーナストラックの「Take What You Want」、日本盤ボーナストラックとなる短尺曲「Darkside Blues」へと続くエンディングまで含めて、しっかり楽しめました。

『NO MORE TEARS』でひとつの極みへと到達し、続く7thアルバム『OZZMOSIS』(1995年)以降は試行錯誤の繰り返しだったオジーでしたが、ようやく“やりたかったこと”を全うすることができたんじゃないか。こんなこと書いたら不吉だって思われるかもしれないけど、この集大成的な1枚はオジー流“辞世の句”であり、昨年12月に71歳になったばかりのアーティスト:オジー・オズボーンにとっての“スワン・ソング”なのかなと。そんな重みと凄みと説得力を感じずにはいられない、会心の1枚だと思います。

 


▼OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』
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2019年7月 4日 (木)

ALICE COOPER『HEY STOOPID』(1991)

1991年7月にリリースされた、アリス・クーパー通算19作目のスタジオアルバム。前作『TRASH』(1989年)で収めた成功をフォローアップするために制作された本作は、前作以上に多数のソングライター&ゲストが参加した豪華な内容となっています。

「Poison」(全米7位/全英2位)や「House Of Fire」(全米59位/全英65位)などの好記録もあり、アルバム『TRASH』は全米20位/全英2位という久しぶりのヒット作に。時代的にもギリギリHR/HMがシーンでもてはやされ、また制作時は景気的にもギリギリ不況に陥る前だったこともあり、この『HEY STOOPID』にはかなりの大金が注ぎ込まれたのではないか……そのサウンドプロダクションやゲスト陣を前にすると、改めてそう実感します。

プロデューサーにピーター・コリンズ(RUSHQUEENSRYCHEゲイリー・ムーアなど)を迎えた本作は、『TRASH』以上に産業ロック色の強い、きめ細やかなサウンドを伴う非常に“作り込まれた”1枚。ソングライティングは基本アリスとジャック・ポンティが軸になっていますが、「Dangerous Tonight」では前作での立役者デズモンド・チャイルド、「Feed My Frankenstein」ではゾディアック・ワープマインド、「Die For You」ではニッキー・シックス&ミックマーズ(MOTLEY CRUE)とジム・ヴァランスがそれぞれ関わっています。

で、特筆すべきなのはゲスト陣。タイトルトラック「Hey Stoopid」にはスラッシュ(G/GUNS N' ROSES)&ジョー・サトリアーニ(G)、オジー・オズボーン(Vo)が参加。それぞれ聴けばすぐにわかるくらいの個性を発揮しています。オジーなんてまんまだからね(笑)。

そのほか、「Burning Our Bed」「Little By Little」「Wind-Up Toy」にもジョー・サトリアーニ、「Feed My Frankenstein」にはニッキー・シックス(B)、スティーヴ・ヴァイ(G)、ジョー・サトリアーニ、「Hurricane Years」「Dirty Dreams」にはヴィニー・ムーア(G/彼は本作のツアーにも一部参加しました)、「Die For You」にはミック・マーズ(G)……と、クレジットを羅列するだけで文字数稼げてしまうくらい(笑)。

これだけ豪華なんだもん、出来が悪いわけがない。曲も良い、サウンドも良い、演奏も抜群。個人的には「Might As Well Be On Mars」みたいにドラマチックな曲がお気に入りです。

(そういえば、「Feed My Frankenstein」は映画『ウェインズ・ワールド』でも使用され、アリスも劇中に登場しましたね。懐かしい……)

ですが本作、先に記したように不景気に突入し、それによってウケる音楽の傾向も80年代的ハデなものからダークでシンプルなものへとシフトしていき(そう、1991年ってグランジ元年ですものね)……「Hey Stoopid」(全米78位/全英21位)、「Love's A Loaded Gun」(全英38位)、「Feed My Frankenstein」(同27位)とイギリスでこそまずまずのシングルヒットを残したものの、アルバム自体は全米47位/全英4位止まり。アメリカでの売り上げは前作の半分(50万枚)程度で終了しています。

そういえば、本作発売後にはJUDAS PRIESTMOTORHEAD、DANGEROUS TOYS、METAL CHURCHといったレーベルメイトとともに移動式フェスツアー『OPERATION ROCK & ROLL TOUR』も実施したのですが、不景気の煽りを受け31公演を終えたところで終了したという話も。あの時代を通過していない世代にはわかりにくい話かもしれませんが、結構深刻だったんですよ、あの頃は(と、急にオッサン目線)。

まあ、何はともあれ。あと1年早くリリースされていたら『TRASH』並みのヒット作になったはず。それくらい、力の入った(&お金をつぎ込んだ)隠れた名盤です。

 


▼ALICE COOPER『HEY STOOPID』
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2019年3月21日 (木)

SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995)

『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)を携えたワールドツアー終了後、なかなか再始動しないGUNS N' ROSESに対して痺れを切らしたスラッシュ(G)。ダフ・マッケイガンギルビー・クラークがソロ契約&ソロアルバム発売を果たしたのを機に、ついに自身もソロ活動を本格始動させます。

1994年に結成されたSLASH'S SNAKEPITは、ソロというよりはあくまでバンド名義での活動を主としたもの。このへんにスラッシュのこだわり(何がやりたいのか)が伺えます。集まったメンバーは元JELLYFISHのエリック・ドヴァー(Vo)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)に、ギルビー・クラーク(G)&マット・ソーラム(Dr)というガンズ組。レコーディングにはディジー・リード(Key)も参加しているので、これじゃあ“アクセル・ローズとダフ抜きのガンズ”と言えなくもないですが、そもそもギルビーもマットもディジーもオリジナルメンバーではないので微妙ですが。

こうして、マイク・クリンクを共同プロデューサー、ミックスにスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロというガンズの諸作品を手がけてきた布陣を迎えて1995年2月に発表されたのが、このデビューアルバム。全米70位とガンズのソロ活動の中ではもっとも成功した1枚で、さすがアクセルと肩を並べる存在と言えます。

イジー・ストラドリンがアーシーでレイドバックしたロックンロール、ダフがパンクを主軸とするならば、スラッシュは土着型の王道アメリカンハードロックが武器と言えるでしょう。実はそれって、ガンズと聞いて我々がまず最初にイメージする要素だったりしませんか? つまり、このアルバムで展開されているサウンドや楽曲スタイルって、「もしガンズが1995年当時にニューアルバムを作ったら、半分くらいはこんな路線になるんじゃないか?」というものなんですよ(もちろん、残り半分はアクセルの色が強いものになるはず)。

ガンズの武器であるスラッシュらしいギターフレーズ&ソロ(と音色)、『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)あたりで聴けたラフだけど硬質なサウンドプロダクションのせいもあって、確かに本作はどことなくガンズっぽいですし、なんなら一連のソロアルバムの中で一番ガンズに近い1枚だと思います。楽曲自体も(のちにアクセルが訴えますが)ガンズの次の作品に向けて作ったものも含まれているようですし。

ただ、すべてがすべてスラッシュひとりで書いた曲ではないですし、大半はエリックとの共作だったり、中にはギルビー単独で書いた曲や、ダフやイジーの名前がクレジットに入った(!)曲も含まれている。そういった意味では本当に「SLASH'S SNAKEPITというバンドのアルバム」を目指したものなんでしょうね。

エリックの歌声はアクセルほどハイトーンでストレートなものではないので、歌を聴いてそこまでガンズを思い浮かべることはないですが、それでも「Beggars & Hangers-On」や「Good To Be Alive」「What Do You Want To Be」のような曲をアクセルが歌ったらどうなるんだろう……というワクワク感も多少あったりして。

全14曲で70分というトータルランニングが『USE YOUR ILLUSION』シリーズに通ずるものがあるのですが、『USE YOUR ILLUSION』と比べると楽曲のカラーがバラエティに富んでいるわけでもないので、さすがに尺的にキツイと感じることも。6分前後および6分超えの曲が4曲も含まれていることから、もうちょっとアレンジ力のある人間がバンドに携わっていたら、さらに完成度の高い内容になったのではないか……そういった意味ではバンドとはいえ、やはりソロはソロなんですね(メインバンドに対するオナニーという意味で)。

この布陣でのSLASH'S SNAKEPITこれが最初で最後。この5年後にスラッシュ以外のメンバーを総入れ替えして2ndアルバム『AIN'T LIFE GRAND』(2000年)を発表していますが、そちらについてはまた別の機会に。



▼SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』
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2019年3月20日 (水)

GILBY CLARKE『PAWNSHOP GUITARS』(1994)

イジー・ストラドリンに代わり、GUNS N' ROSESにギタリストとして加入することになったギルビー・クラーク。80年代半ばにアイドル的な立ち位置のパワーポップバンドCANDYや、ハードロックバンドKILL FOR THRILLSなどで活躍したのちにガンズに加わるのですが、バンドがスタジアムバンドとして人気肥大していく中でツアーのみに参加ということもあって、正直ミュージシャンとしてどこまでの才能がある人なのか、いまいちわかっていなかったところがありました。

そんな中、ガンズ活動休止中にダフ・マッケイガンに続いてソロアルバムを発表するのがギルビーだとわかると、当時のファンは「お前かよ!」と総ツッコミを入れることになるわけです。だって、オリメンのスラッシュより先なんですから。

そんなわけで、1994年7月にVirgin Recordsから発表されたのがこの『PAWNSHOP GUITARS』というアルバム。ガンズが所属するGeffen Recordsからではないというあたりに、いろいろ政治的なものを感じますね。

プロデュースを手掛けたのは、キース・リチャーズとの仕事などで知られるわディ・ワクテル。レコーディングには同じくガンズからマット・ソーラム(Dr)とディジー・リード(Key)が全面参加し、スラッシュやダフも数曲でゲスト参加。さらに、ダフやスラッシュのアルバムにはノータッチだったアクセル・ローズがストーンズのカバー「Dead Flowers」で、ギルビーとデュエットしているという事実に、これまた多くのファンが「……なぜ!?」と驚くことになるわけです。笑える。

ほかにもPIXIESフランク・ブラックSKID ROWのドラマー、ロブ・アフューソ、ELECTRIC ANGELSや2代目SLASH'S SNAKEPITに在籍し現在ALICE COOPER BANDで活躍中のライアン・ロキシーなども名を連ねています。何気に豪華ね。

ギルビーのボーカルは可もなく不可もなくの“ヘタウマ”タイプ。適度にパンキッシュなスリージーハードロックにはこれくらいでちょうどいいのかもしれません。作曲面でも「Cure Me... Or Kill Me」のようなハードロックから「Tijuanna Jail」のポップパンク、「Skin & Bones」のホンキートンク路線、「Johanna's Chopper」でのサイケロックまで、ガンズ路線からポップなものまで意外と器用にこなせることがわかります。あと、ストーンズの「Dead Flowers」とTHE CLASHの「Jail Guitar Doors」(ダフとフランク・ブラックがゲスト参加)というカバーのセンスもなかなか。この才能がガンズで一度も活かされることがなかったのが悔やまれます。

この手のロックとしては、実は隠れた名盤的色合いの強い1枚。過去のガンズ在籍メンバーの中では(大全盛期に在籍していたにも関わらず)もっとも影の薄いギルビー。今となってはアクセルのゲスト参加って、「まあこれで許してや?」的なご祝儀だったのかな……というのは言い過ぎでしょうか(苦笑)。



▼GILBY CLARKE『PAWNSHOP GUITARS』
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2019年3月19日 (火)

DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』(1993)

GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン(B)が1993年9月(日本では同年10月)に発表した、現時点で唯一のソロアルバム。当時はガンズが『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)に伴うワールドツアーが終了したあとで、バンドとしての活動が一時的に休止していたタイミング。本作の2ヶ月後には、事前にレコーディングされていたカバーアルバム『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)もリリースされています。

ガンズの在籍メンバーとしてはいち早くソロ活動に乗り出したダフ(元メンバーのイジー・ストラドリンは脱退後の1992年にアルバムを発表していますが、ガンズに所属したままでのソロ活動はこれが初)。このアルバムでダフはベースはもちろんのこと、リードボーカルやリズムギター、ドラム、ピアノなど大々的に挑戦。どこか“スリージーロック版レニー・クラヴィッツ”みたいなスタイルで、アルバム作りに臨んでいます。

曲によってはさまざまなゲストミュージシャンも多数参加。スラッシュ(G)やギルビー・クラーク(G)、ディジー・リード(Key)、マット・ソーラム(Dr)といった“アクセル・ローズ抜き”ガンズの面々に加え、ジェフ・ベック(G)やレニー・クラヴィッツ(Vo)、当時SKID ROWのメンバーだったセバスチャン・バック(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、ロブ・アフューソ(Dr)など、顔の広いダフらしい豪華な面々が華を添えています。

ダフ自身はガンズのアルバムやライブでも「So Fine」や「New Rose」「Attitude」などでその歌声を披露してきましたが、決して個性的で上手というタイプではない、雰囲気で聴かせる“ヘタウマ”タイプ。当然このアルバムでもそういったスタイルが全開で、ガンズのアルバムをパンク/オルタナ側に寄せたその作風に妙にフィットしています。スラッシュがリードギターを弾きまくるオープニング曲「Believe In Me」からして、そのカラー押しまくりですものね。

かと思えば、クラヴィネットを多用したファンキーな「(Fucked Up) Beyond Belief」があったり、オルガンやストリングスを被せたスローバラード「Could It Be U」があったりと、相変わらず器用さも提示している。なんて感心していると、1分半程度のタイトルまんまな疾走パンクチューン「Punk Rock Song」なんて曲もある。さすがダフ、我々の思い描くパブリックイメージを裏切りません。

さまざまなゲストミュージシャンのカラーも強く打ち出しながらも、それに消されることのないダフの個性。アルバムとしては決して完成度が高いとは言い難いラフな内容ですが、そこも含めて当時のガンズのメンバーが作ったソロアルバムという印象が強いかも。この春、久しぶりにソロライブを行うというダフ(※参照)、そのあとには本作以来となるソロ名義でのアルバムもリリース予定なんだとか。ガンズでの活動を経た今の彼がどんな作風のアルバムを作るのか、そしてどんなゲストが参加するのか、とても気になります。



▼DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2013年5月18日 (土)

「Ozzfest Japan 2013」Day 1@幕張メッセ(2013年5月11日)

2日間にわたり日本で初開催された『Ozzfest Japan 2013』。ここでは初日公演の模様を簡単にレポートしていきます。以下は開催当時、某サイトにて執筆したレポートを加筆修正したものです。

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開演時間1時間前からKNOCK OUT MONKEY、ARTEMAの2組がオープニングアクトとして会場を温めると、いよいよ12時からCrossfaithのライブがスタート。「Monolith」から攻めのステージを展開すると、Koie(Vo)は「Make some fuckin' noise! まだまだいけるよな!」と観客を煽り、THE PRODIGYのカバー「Omen」を含む攻撃的なセットリストでフロアを加熱。曲中ではサークルモッシュやウォール・オブ・デスを促すようなアクションで観客を煽り、あっという間に出演時間の30分を終えました。

【Crossfaithセットリスト】
01. Monolith
02. Jägerbomb
03. Quasar
04. Omen
05. Photosphere
06. Leviathan

 

イギリスのハードロックバンドTHE TREATMENTは、平均年齢18歳とは思えない王道ハードロックサウンドで観客を魅了。初期AC/DCにも通ずるアップチューンが矢継ぎ早に披露され、終始ハイテンションのステージが展開されました。

【THE TREATMENT セットリスト】
01. Drink, Fuck, Fight
02. Don't Look Down
03. Emergency
04. I Bleed Rock + Roll
05. Get The Party On
06. The Doctor
07. Shake The Mountain

 

続くFear, and Loathing in Las Vegasはスクリーム&オートチューンボイスと独特のエレクトロサウンドを融合させたバンドアンサンブルで、会場をさらにヒートアップさせます。

【Fear, and Loathing in Las Vegas セットリスト】
01. Scream Hard as You Can
02. Hey Girl!! Why Not Party Like a Bitch!?
03. Stray in Chaos
04. Love at First Sight
05. Crossover
06. Twilight

 

ストレートなメロディックパンクを会場に響かせたNAMBA69のステージでは、難波章浩(Vo, B)が「ジャンルとかマジ関係ないと思うし、楽しんで帰ってください」とコメントして、Hi-STANDARDの代表曲「STAY GOLD」を含む選曲でロックファンを喜ばせました。

【NAMBA69 セットリスト】
01. ETERNAL GOLD
02. WAKE UP
03. (タイトル不明)
04. (タイトル不明)
05. (タイトル不明)
06. ONE MORE TIME
07. STAY GOLD
08. 未来へ ~It's your future~

 

この日の出演者の中ではもっとも正統派メロディック・メタルを鳴らすGALNERYUSは、オープニングSEに続いて「THE PROMISED FLAG」でライブをスタート。「MY LAST FAREWELL」では透明感のあるハイトーンボイスと卓越した演奏力を提示するも、小野“SHO”正利(Vo)は3曲目にして早くも「最後の曲です」と宣言して、10数分にもわたる大作「ANGEL OF SALVATION」で圧倒的な歌と演奏、アンサンブルを見せつけ30分のステージを全うします。

【GALNERYUS セットリスト】
01. THE PROMISED FLAG
02. MY LAST FAREWELL
03. ANGEL OF SALVATION

 

MAN WITH A MISSIONは大舞台を恐れることもなく、「Get Off of My Way」からいつもどおりのハイテンションなステージを展開。NIRVANA「Smells Like Teen Spirit」のカバーや「FLY AGAIN」といった人気曲に加え、SLIPKNOTのシド・ウィルソン(Turntable)をゲストに迎えた「distance」など豪華なメニューでフェスに華を添えました。

【MAN WITH A MISSION セットリスト】
01. Get Off of My Way
02. Take What U Want
03. HASTA LA VISTA
04. Smells Like Teen Spirit
05. FLY AGAIN
06. distance [with Sid Wilson]
07. Emotions

 

DEFTONESはシリアスで重厚なラウドロックサウンドで、会場の空気を一変。「My Own Summer (Shove It)」「Change (In The House Of Flies)」「Digital Bath」など唯一無二の世界観を持つ楽曲が次々に演奏されます。

【DEFTONES セットリスト】
01. Rocket Skates
02. Diamond Eyes
03. My Own Summer (Shove It)
04. Tempest
05. Rosemary
06. Digital Bath
07. Change (In The House Of Flies)
08. Poltergeist
09. Swerve city
10. Engine No.9
11. 7 Words

 

今回の『Ozzfest Japan 2013』ではもっとも異色の存在と言えるももいろクローバーZは、気負うことなくアイドル然としたステージングで観客を圧倒。MCではいつも通りの自己紹介も交えつつ、ライブ後半ではNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS)、和嶋慎治(人間椅子)がギタリストとしてゲスト参加し、「黒い週末」「労働讃歌」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」を披露するサプライズも飛び出しました(詳細なレポはこちらを参照のこと)。

【ももいろクローバーZ セットリスト】
00. OVERTURE
01. ピンキージョーンズ
02. 行くぜっ!怪盗少女
03. 黒い週末 (with NARASAKI&和嶋慎治)
04. 労働讃歌 (with NARASAKI&和嶋慎治)
05. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 (with NARASAKI&和嶋慎治)

 

マキシマム ザ ホルモンのライブでは、おなじみの定番曲を次々に披露。ナヲ(ドラムと女声と姉)が「Ozzfestへようこそ! Ozzfestが日本にやってきたぞーっ!」と叫ぶと、フロアを埋め尽くした観客は大声援で応えます。以降も「『F』」「ぶっ生き返す!!」「爪爪爪」「恋のメガラバ」を連発し、最高のステージでヘッドライナーSLIPKNOTへとつなぎます。

【マキシマム ザ ホルモン セットリスト】
01. What's up, people?!
02. 「F」
03. maximum the hormone
04. ぶっ生き返す!!
05. 爪爪爪
06. シミ
07. 恋のメガラバ

 

自身のバンドを引っさげて登場したスラッシュマイルズ・ケネディをシンガーに迎え、オリジナル・ソロ曲のほかGUNS N' ROSES「Nightrain」「My Michell」「Rocket Queen」、さらにはVELVET REVOLVER「Slither」とキャリアを総括する豪華なセットリストを用意。最後はGUNS N' ROSESのライブでもラストナンバーとしておなじみの「Paradise City」で締めくくり、観客から喝采を浴びました。

【SLASH feat. MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS セットリスト】
01. Halo
02. Nightrain
03. Ghost
04. Back From Cali
05. My Michelle
06. Serial Killer
07. Nothing To Say
08. Doctor Alibi
09. You're Crazy
10. Rocket Queen
11. Anastasia
12. You're A Lie
13. Slither
14. Paradise City

 

ヘッドライナーのSLIPKNOTはメンバー全員が白を基調としたジャンプスーツを着用し、花火や火炎噴出など派手な演出とともに貫禄のステージングを披露。ファンにはおなじみとなったコリィ・テイラー(Vo)の「ナカユビ立テロー!」「サワゲー!」といった日本語MCも次々に飛び出し、満員のフロアからは盛大な拍手と歓声が鳴り響きます。ライブ後半、2010年に亡くなったポール・グレイ(B)のメンバーナンバーである「2」がステージ後方に大きく映し出されると、客席からはより一層大きな歓声が沸き起こり、バンドは「Duality」「Spit It Out」を連発してライブ本編を終えました。さらに、アンコールでは「(sic)」「People = Shit」「Surfacing」と攻撃的なナンバーを立て続けに演奏。全20曲、約100分にわたるフ4年ぶりのライブは、大成功のうちに幕を下ろしました。

【SLIPKNOT セットリスト】
01. Disasterpiece
02. Liberate
03. Wait And Bleed
04. Get This
05. Before I Forget
06. Eyeless
07. The Blister Exists
08. Dead Memories
09. Sulfur
10. Left Behind
11. Gently
12. Pulse Of The Maggots
13. Everything Ends
14. The Heretic Anthem
15. Psychosocial
16. Duality
17. Spit It Out
<アンコール>
18. 742617000027 〜 (sic)
19. People = Shit
20. Surfacing

2003年10月13日 (月)

ENUFF Z'NUFF『ANIMALS WITH HUMAN INTELLIGENCE』(1993)

アメリカのハードロック/パワーポップ/グラムロック・バンド、ENUFF Z'NUFFが1993年春にリリースした、通算3作目となるオリジナルアルバム。前2作をリリースしていた「Atlantic/Atco」レーベルから契約解除され(1stアルバム『ENUFF Z'NUFF』に比べ、2nd『STRENGETH』はまったくといっていい程ヒットしなかった)、新たに「Arista/BMG」と契約。前作から約2年振り、満を持してのリリースとなるはずが、出鼻を挫かれるような出来事が起きます。

それはデビュー時から参加していたドラムのヴィッキー・フォックスの脱退です。レコーディングには参加しているものの、丁度この頃から元MOTLEY CRUE(当時)のシンガー、ヴィンス・ニールと活動を共にし始め、結局ENUFF Z'NUFFを脱退し、ヴィンス・バンドに加入することになるのです。そういうこともあって当時のアルバムジャケットにはメンバーが3人しかいないのです。が、ジャケット撮影終了後に無事、リッキー・ペアレントという人物の加入が決まります(その後、現在に至るまで彼はバンドに在籍しています)。

更に、ギタリストのデレク・フリーゴにもレコーディング中に脱退騒動が持ち上がります。実際、一時期バンドを離れたようです。レコーディングには初期のバンドに関わっていたジーノ・マルティノが参加したものの最終的には復帰、ツアーにも参加しています(が、このアルバムのツアー終了後に正式脱退)。

そして、レコーディングに入る前に、シンガー/ギタリストのドニー・ヴィがドラッグ問題で入院~リハビリのため、数ヶ月バンドを離脱する事件も起きています。2ndアルバム『STRENGETH』がデビュー作以上にダークでヘヴィな作風だったのは、ソングライターであるドニーのドラッグ癖が影響していたのだ、と後に自身が語っています。

レコード契約を失ったりメンバー個人の問題や脱退騒動等、バンドとしてはどん底といっていい状態だった彼等ですが、心機一転、このアルバムではこれまでとは違ったアプローチで新たな側面を見せてくれています。

まずこのアルバムのレコーディング・セッションは2度行われています。HEARTや復活後のCHEAP TRICKPOISONBAD ENGLISHといったハードロック/産業ロックを多く手掛けてきたリッチー・ズィトーをプロデューサーに迎えた7曲(「Right By Your Side」「These Daze」「Innocence」「One Step Closer To You」「Takin' A Ride」「The Love Train」「Mary Anne Lost Her Baby」)と、ドニー&チップ・ズナフ&フィル・ボナーノという布陣でプロデュースされた5曲(「Superstitious」「Black Rain」「Master Of Pain」「Bring It On Home」「Rock N World」)に分かれるのですが、こうやってレコーディング時期毎に分けてまとめて聴いてみると前者と後者とで作風が若干違うことに気づきます。

リッチー・ズィトーが手掛けたということもあってか、前作までにあったビートルズ的なポップな側面を更にシュガーコーティングしたかのような人工的なサウンドエフェクトをあしらった前者に対して、1993年という時代背景(産業ハードロックの後退~グランジ/ヘヴィロックの台頭)を踏まえた上でそういった要素を取り込んで自己流に表現しようとする新たな側面を見せてくれる後者は、確かに前作までの「ヘヴィ」とは違ったヘヴィさを表現してるように感じます。内面的ヘヴィさを強調した『STRENGETH』とは違った、単純に装飾としてのヘヴィさ。楽曲の持つメロディ自体はそれまでと何ら変わっておらず、むしろそのポップなメロディセンスは更に磨きがかかっているようにも感じられます。

確かに「時流に乗って便乗しようとしてる」と非難することも出来るでしょうし、「完全に消化しきれていない」という声もあるでしょう。けど、個人的な趣味からいえば初期3枚のメジャーレーベルからのアルバムの中では、これが一番聴きやすいと思うんですよね。保守的ながらもメロの冴えは抜群なリッチー・ズィトーが手掛けた楽曲群といい、時流に乗ったアレンジを持つヘヴィなセルフ・プロデュース作といい、とにかく聴きやすい。ハードロックの範疇でのサウンドですが、これはこれで素晴らしい1枚だと思いますよ。

とにかく名曲揃いなんですよ。後にガールズ・ポップバンドであるTUESDAY GIRLS(後にTUESDAYSに改名)はENUFF Z'NUFFの曲を幾つかカバーしてるんですが、特にこのアルバムからのリードシングルにもなった「Right By Your Side」は出色の出来で、Z'NUFFバージョンは勿論、TUESDAY GIRLSバージョンもまた良いんですよね。他にも名バラード「Innocence」や、やはりメロの冴えが異常に優れている「Mary Anne Lost Her Baby」等、印象に残る曲は沢山あります。

しかし、いくら1曲1曲が優れているからといっても、アルバムのトータルバランスとしてはちょっと……という気もしたりして。プロデューサーが2チームあったり、レコーディング時期やアプローチがそれぞれ異なっていたり等、いろんな事情が絡んでくるんですが、それらは全てバンドの意思ではなくレコード会社の指示だったことも、彼等の弁護のために記しておきます。その後、そういったメジャーレーベルのやり方に嫌気が差した彼等は、インディーレーベルで地道に活動していくことになります。

そうそう。このアルバムはリリース後、暫くして廃盤になってしまうんですが(唯一日本盤のみ入手可能でしたが、非常に品薄で手に入りにくかったのも事実)、このアルバムの権利を「BMG」から買い取り、2000年秋にインディーレーベルから再発されています。ジャケットが2種類あるのはそのためです。また、当初は日本盤にのみボーナストラックとして収録されていた「Fingertips」というバラードも、再発盤に無事追加収録され、現在では世界共通の全13曲入りとなっています。その他、再発時にバラされた事実として、当時GUNS N' ROSESのメンバーだったスラッシュが1曲、「The Love Train」でギターを弾いているというのも、新たな魅力となっているのではないでしょうか(ま、言われるまで気づかなかったし、言われても「そんな気がする」程度なわけですが)。



▼ENUFF Z'NUFF『ANIMALS WITH HUMAN INTELLIGENCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

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