カテゴリー「Slash」の26件の記事

2023年1月24日 (火)

HEROES AND MONSTERS『HEROES AND MONSTERS』(2023)

2023年1月20日にリリースされたHEROES AND MONSTERSの1stアルバム。日本盤未発売。

このバンドはSLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSのベーシストであり、本国カナダでは80年代末から活動を続けるバンドTHE AGE OF ELECTRICの一員でもあるトッド・カーンズ(Vo, B)、Y&TALICE COOPER BANDなどで活躍したステフ・バーンズ(G)、EVANESCENCEの屋台骨を支えるウィル・ハント(Dr)というミュージシャンズ・ミュージシャンたちにより結成されたトリオバンド。Frontiers Recordsと契約し、昨年秋から「Locked And Loaded」や「Raw Power」「Let's Ride It」といった楽曲を配信してきました。

満を持して発表されたデビューアルバムは、バンドのセルフプロデュースにより完成したもの。長期にわたり北米のメジャーシーンで活躍してきた3人ならではの、安定感の強いパワフルな演奏を楽しむことができます。うん、各メンバーのプレイやアレンジに関してはさすがの一言です。

で、気になるのが楽曲ですよね。オープニングを飾る「Locked And Loaded」こそポストグランジ的側面を漂わせるものの、続く「Raw Power」以降はポップなメロディラインとキャッチーなサビを持つ良質なハードロック/パワーポップを聴かせてくれます。「Let's Ride It」なんて、どことなくトッド・カーンズと同郷のHAREM SCAREMあたりを彷彿とさせますよね。

要所要所でダウンチューニングを効かせたポストグランジ的なリフワークやアレンジが登場するので、一瞬ギョッとするかもしれませんが、(それこそこちらもカナダ出身の)NICKELBACKあたりとの共通点も見つけられ、そういった点からも彼らがこのバンドでやりたいことがなんとなく透けて見えてくるのではないでしょうか。こういうスタイルってお国柄によるものが大きいんですかね?

THE AGE OF ELECTRICではボーカルも担当するトッドのボーカルも古き良き時代のハードロックバンド的で、ハイトーンの伸びもよい。豪快なハードロックもパワーポップもお手のものといった印象で、良質な楽曲と相まって最後まで楽しく聴けてしまう。かつ、どの曲も4分程度にまとめられており、全10曲で39分という尺もちょうど良い。ステフ・バーンズのプレイに関しては、ソロはリフほど惹きつけられるものが少なく、そこだけが今後の課題かな。

トッドが在籍するTHE AGE OF ELECTRICをモダンにした印象の本作。SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSのファンやY&T、EVANESCENCEのリスナーにアジャストするかどうかは微妙ですが、これはこれで良質な内容なので、深いことを考えずにリラックスしながら楽しみたいと思います。

 


▼HEROES AND MONSTERS『HEROES AND MONSTERS』
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2023年1月22日 (日)

SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『APOCALYPTIC LOVE』(2012)

2012年5月22日にリリースされたSLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS名義での1stアルバム。日本盤は同年5月16日発売。

当時はGUNS N' ROSESを離れていたスラッシュ(G)の、ソロやSLASH'S SNAKEPITを含めると通算4作目のソロワーク。前作に当たる純粋なソロアルバム『SLASH』(2010年)では曲ごとに多彩なゲストボーカルを迎えていましたが、同作にも数曲で歌唱し、かつアルバムツアーにも参加したマイルズ・ケネディ(Vo, G/ALTER BRIDGE)を固定シンガーに据え、トッド・カーンズ(B)&ブレント・フィッツ(Dr)というリズム隊との4人編成で本格的なバンド活動へとシフトします。

プロデュースを手がけるのは、『SLASH』から引き続きエリック・ヴァレンタイン(GOOD CHARLOTTE、LOSTPROPHETS、QUEENS OF THE STONE AGEなど)。前作ではどこか抜けきらない音質で好みが分かれましたが、今作ではエッジの効いた抜けの良い音質で、スラッシュがイメージするハードロックバンド像と見事にマッチし、最良の形で具現化されています。

また、楽曲に関しても前作が「ソングライター・スラッシュ」としての側面を強く打ち出したものだったのに対し、今作はバンドの一員に徹することで従来の彼らしさがより良い形で表現することに成功。GN'Rから今日に至るまでのスラッシュらしさが強くにじみ出ており、マイルズのボーカルにも見事にフィットしている。と同時に、「これ、アクセル・ローズが歌っても全然アリだな」とも思わせてくれるような楽曲ばかりで、近年の彼に興味を持ったリスナーのみならず、古くからのリスナーにもしっかりアピールする仕上がりです。

ギターリフに関しては若干の手癖感は否めませんが、ギターソロに関しては手癖以上の冴え渡りも見つけられる。どの曲もボーカルのメロディ並みにメロディアスで、非常にキャッチー。かつ、「Anastasia」を筆頭にエモーショナルなフレーズ/メロディも随所で確認でき、全15曲/約61分というボリューミーな内容ながらもまったく飽きさせない構成となっています。

本作を聴いた当時は「スラッシュ、まだまだいけるじゃん!」と感動したものです。多くのファンが「またGUNS N' ROSESに戻ってほしい」と願ってやまなかったと思いますが、個人的には「このままマイルズ・ケネディと活動を続けてもらえたら……」と強く思ったことをよく覚えています。最新作『4』(2022年)の次に聴くべき、スラッシュの代表的ソロワークのひとつです。

 


▼SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『APOCALYPTIC LOVE』
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2023年1月 4日 (水)

2022年総括

仕事始めのタイミングになりましたので、例年より数日遅いですが2022年のまとめ記事をアップしておきます。

昨年は「アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、20作品に縛る」形でまとめ、別途「HR/HM、ラウド編」で別エントリーを作っていましたが、今年はもうそういう枠を全部取っ払って(ジャンル分け面倒くさい)ひとつのエントリーに包括し、「ジャンル/アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、30作品に縛る」という形にさせていただきました。これなら一般総括の20作品の中からあえてメタル系を外したり入れたりと悩まなくて済むしね。

というわけで特に順位付けをせずアルファベット→50音順で30作品、掲載していきます。

 

Afterglow『独創収差』(楽曲)

 

ARCHITECTS『the classic symptoms of a broken spirit』(アルバム/レビュー

 

asmi「PAKU」(楽曲)

 

DEF LEPPARD『DIAMOND STAR HALOS』(アルバム/レビュー

 

Foi『HER』(アルバム)

 

GREYHAVEN『THE BRIGHT AND BEAUTIFUL WORLD』(アルバム/レビュー

 

THE HELLACOPTERS『EYES OF OBLIVION』(アルバム/レビュー

 

Ho99o9『SKIN』(アルバム/レビュー

 

IBARAKI『RASHOMON』(アルバム/レビュー

 

ITHACA『THEY FEAR US』(アルバム/レビュー

 

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2022年12月31日 (土)

マイケル・ジャクソンの黄金期をオリジナルアルバムで振り返る(1979〜1991年)

2022年のうちに振り返っておきたいと思ったのが、マイケル・ジャクソン最大のヒット作にしてポップミュージック界における歴史的名盤『THRILLER』(1982年)について。自分は世代的に『THRILLER』バカ売れ期の末端にギリギリ触れており、当時のMTV(地上波時代ね)や『ベストヒットUSA』、『SONY MUSIC TV』を録画して「Thriller」のショートフィルムや「Beat It」「Billie Jean」のMVを何度もリピートしたものです。

なもんですから、原体験としては続く『BAD』(1987年)のほうがリアルタイム感が濃厚で、初来日となった後楽園球場公演をはじめさまざまな記憶がよみがえってきます(初めて&唯一生で観たのは1992年12月の『Dangerous Tour』でしたが)。

そんなこんなで、今年で『THRILLER』リリースから40年。アニバーサリー盤も発売されましたが、個人的には25周年盤のときの盛り上がりと比べるとやや気持ちが劣りますが(そりゃあマイケル生前でしたからね、25周年のタイミングは)、周年タイミングに取り上げておかなくちゃなと思いながらも、年末に向けての繁忙期でまったく触れる機会がなく、気づけば大晦日。時間も多少できたので、やるなら徹底したいなと思い、マイケルのソロキャリア黄金期の始まりといえる『OFF THE WALL』(1979年)から『DANGEROUS』(1991年)までの(個人的思い入れの強い)4作品について、コンパクトな形で触れていこうかなと思います。

 

 

『OFF THE WALL』(1979)

 

1979年8月10日にリリースされたマイケル・ジャクソンの5thアルバム。

古巣Motown Recordsを離れ、Epic Recordsへ移籍しての第1弾アルバム。意外にも全米チャートでは最高3位と1位を獲得していませんが、「Don't Stop 'Til You Get Enough」「Rock with You」とシングル2作連続全米1位を獲得し、ほかにも「Off The Wall」(同10位)、「She's Out Of My Life」(同10位)とヒット曲を連発し、アルバム自体は現在までにアメリカで900万枚以上、全世界で2000万枚以上の売り上げを記録しました。

初めてマイケル主導で制作されたアルバムであり、プロデューサーにはクインシー・ジョーンズを起用。ソングライター陣もポール・マッカートニー(「Girlfriend」)やスティーヴィー・ワンダー(「I Can't Help It」)、デヴィット・フォスター(「It's The Falling In Love」)などソウル/R&Bに捉われない幅広い人選で自身の表現の幅を広げています。

大ヒットした「Don't Stop 'Til You Get Enough」「Rock with You」のようなソウル/ディスコをベースにした楽曲はもちろんのこと、全体を通してポップフィールドでも通用する曲作りが徹底され始めたのがこの時期なのかな。ただ、続く『THRILLER』以降と比べると全体の統一感が強いことから、まだまだ“ブラックミュージックの範疇”というイメージが強いかもしれません。だからこそ、より気持ちよく楽しめる“アルバム”という印象が、彼の作品中もっとも強いのですが(以降の作品は良くも悪くも“プレイリスト”的なのかなと)。

ポップスとしての強度は『THRILLER』や『BAD』ほどではないものの、アルバムとしてのまとまりや完成度は同2作よりも数歩上。“キング・オブ・ポップ”の快進撃がここから始まったという点では、絶対に欠かすことのできない傑作第1号です。

 


▼MICHAEL JACKSON『OFF THE WALL』
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『THRILLER』(1982)

 

1982年11月29日にリリースされたマイケル・ジャクソンの6thアルバム。

前作から引き続きクインシー・ジョーンズを共同プロデューサーに起用。ソングライターに前作から引き続きのロッド・テンパートンに加え、スティーヴ・ポーカロ(TOTO)&ジョン・ベティス(「Human Nature」)やジェイムズ・イングラム(「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」)などを起用。また、アルバムから漏れたアウトテイクの中にはマイケル・センベロが関わった「Carousel」や、Yellow Magic Orchestraの楽曲に新たに歌詞を付けた「Behind The Mask」などが含まれていたことも話題になりました。

また、ゲストアーティストのメンツも多彩で、「The Girl Is Mine」ではポール・マッカートニーとのデュエットを展開(同時期にポール側が発表した「Say Say Say」でも2人のデュエットを披露)。「Beat It」のギターソロではエディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)をフィーチャー(かつ、リードギターをTOTOのスティーヴ・ルカサーが担当、ドラムもTOTOのジェフ・ポーカロがプレイ)したことでも話題となりました。

本作からは「The Girl Is Mine」(全米2位)、「Billie Jean」(同1位)、「Beat It」(同1位)、「Wanna Be Startin' Somethin'」(同5位)、「Human Nature」(同7位)、「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」(同10位)、「Thriller」(同4位)とアルバム収録曲9曲中7曲がシングルヒット。オリジナルアルバムながらもグレイテストヒッツ的側面も強く、そういった意味でも(結果的に)プレイリストの先駆け的な1枚と言えるのではないでしょうか。

音楽的にも前作『OFF THE WALL』での方向性を推し進めつつ、ポップ色をより強めた「The Girl Is Mine」、ハードロックギターを採用した「Beat It」(さらに、アルバム未収録ながらもテクノ色を取り入れた「Behind The Mask」)など、“ポップ”を軸足により幅広いフィールドで戦おうという前向きさが伝わります。また、当時主流となり始めたミュージックビデオ制作にも果敢に取り組み、約14分にもおよぶ当時としては異例の大作「Thriller」が大反響を呼ぶなど、今や当たり前となった“音楽への映像の積極的導入”における先駆者的作品とも言えます。

全9曲と最近のアルバムと比べたら短い印象もありますが、1曲1曲の個が強いことから何度聴いても飽きがこない。リリースから40年経った今聴いても懐かしさと同時に新鮮さも常に見つけられる、「これぞ歴史的名盤」と言える1枚。いまだ超えることのできない壁(アメリカだけで3400万枚超、全世界で7000万枚超のセールス)を打ち立てた、ポップミュージック界のマスターピースです。

 


▼MICHAEL JACKSON『THRILLER』
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2022年11月 8日 (火)

GUNS N' ROSES JAPAN TOUR 2022@さいたまスーパーアリーナ(2022年11月6日)

Img_6264 とりあえず、GUNS N' ROSES初日公演レポートからの続きになるので、先にこちらを読んでおいてくださいませ

初日の時点で結構な満足度の高さで、これは2日目も同じセトリだったとしても不満ないかも……と思って臨んだ2公演目にして最終日。この日は在宅でリモートでのお仕事が午後から複数あり、とてもじゃないですが16時からのオープニングアクト(BAND-MAID)には間に合わない。なんならもう1組(GRANRODEO)も観れるか観れないか微妙。

結果、会場に到着したのは17時40分。どっちも観たかった……。

初日は下手側200レベルスタンド後方でしたが、この日は上手側200レベルスタンド前方。前日よりもメンバーを肉眼で確認できる距離感でした。初日が20分遅れでスタートしたのでこの日も……と思っていたら、なんと18時5分には会場暗転。時間厳守、大人か!

席の位置もあるのかもしれませんが、この日はオープニングの「It's So Easy」からダフ・マッケイガンのベースの輪郭がはっきり聴き取れる。アクセル・ローズのボーカルもクリア。座席の位置もあるのかもしれませんが、前日よりもストレスなく楽しめました。

序盤の流れは前日とまったく一緒。「Welcome To The Jungle」に入る前のインストセッション(「Rumble」)でのスラッシュのギタープレイが前日以上に冴えまくっており、思わず「おおっ!」と唸ってしまったのはここだけの話。

5曲終え、前日にはなかったバンドセッションに突入。なんじゃこれ、知らないぞ……と思っていたら、途中で聴き覚えのあるリフレインが飛び込んできて……「Better」でした。イントロをいじっていたのですね。ソロは手数の多いフラッシーなパートをリチャード・フォータスが、オーソドックスめなプレイをスラッシュが担当しているのですが、スラッシュも比較的速弾きに対応していて、なかなか面白いものが拝めました。

この日は「Live And Let Die」の前にはアクセルが挨拶していたような記憶が。前日よりも早いタイミングでしたよね。この曲も含めてですが、スラッシュのソロやちょっとしたフレージングが比較的タメ気味で、それがバシッと決まった瞬間の気持ちよさが前日以上。さらに微細なトーンコントロールも絶妙で、「この人、こんなに上手だったっけ?」と思うほどに神がかっていました。

その神がかり具合が最初にピークを迎えたのが「Estranged」。正直、そこまで好きな曲というわけではないんですが、オープニングのボリュームコントロール含め、ちょっとした匙加減が完璧すぎた。冒頭の一音で鳥肌立ちましたから。スラッシュのギターでここまで鳥肌立てたの、初めてかもしれない(これまでは単純にかっけー!で終わってましたから)。

もちろん、アクセルのボーカルも(現在のコンディション、歌唱スタイルにおいて)前日以上の出来で、安心して楽しめる。ダフもその佇まいがカッコいいに全振りだし、「ああ、ガンズ観てるんだな、自分」と何故かホロっとしてしまったのはここだけの話(笑)。

さて、スラッシュ(「さて」なのか)。その後も本当に素晴らしく、「Rocket Queen」でのマウスワウ&ボトルネックを使ったトリッキーなプレイでも存在感の強さを放ち、ダフ歌唱の「Attitude」(前日から変わりましたね)ではセッションパートでも粋なフレージングを放りこんでくる。

そして、圧巻だったのが「Civil War」からギターソロ(「Born Under A Bad Sign」セッション)、そして「Sweet Child O'Mine」へと続く怒涛の流れ。特にギターソロパートは前日とは異なるタッチで、先ほどの「Estranged」以上に鳥肌ビンビン。ああ、俺やっぱりこの人のギター大好きだ……ってことを30年ぶりに思い出しました(昨年スラッシュモデルのレスポール買ってるくせに)。もうね、感無量でしたよ。「Sweet Child O'Mine」を泣きながら歌う日が来るなんて、高校生の頃には想像もしてなかったよ。

歌謡ショーチックな「November Rain」を経て、ステージからピアノが捌けると、何故かスツールが3つ用意される。あれ、もう「Blackbird」やるの?と思っていたら、さらなる歌謡ショー的展開に。ジミー・ウェブのカバー「Wichita Lineman」の出番です。アクセル、完全に晩年のエルヴィスとイメージが重なります(外観含めて)。なるほど、こういうレイドバックした空気に持ち込むのね。で、「Knockin' On Heaven's Door」へと続くわけですか。納得です。ザ・アメリカ、ビバ・ラスベガス。

アンコールは「Coma」(前日以上の凄みでした)から「Blackbird」への流れは一緒。さて、「Patience」と思っていたらスツール片付けられて「Don't Cry」へ。時計に目をやると、21時まで15分を切っていました。なるほど、時間的な問題か……と意地悪な見方をしてしまう自分。まあいいや、前日聴けなかった「Don't Cry」ですから。最後の最後は前日以上にはっちゃけた「Paradise City」で締めくくり、21時ジャストにライブ終了。前日の2時間45分から10分増の約3時間。標準コースより若干長めのセットで、有終の美を飾りました。

アクセルもすでに60歳。今後どんどん高音が厳しくなっていくでしょうから、今の歌唱スタイルをどんどん極めていくことになるんでしょう。ですが、ファルセット含めた音程のコントロールが巧みで、歌唱力という点に関しては不安点さが目立った90年代以上。一長一短あるものの、彼がガンズを諦めない限りは、ファン歴35年の自分はずっと(ポジティブな気持ちで)応援し続けたいと思います。

そして、スラッシュ……本当に申し訳なかった。あなた最高だ。ソロでの来日も実現したら、全部追いかける所存です。

そんな“今”に浸っていると、まもなく『USE YOUR ILLUSION』のボックスセットが発売されて、否が応でも過去との比較が始まってしまう(苦笑)。あの頃がカッコよすぎたんだから仕方ないんだけどね。

そんなこんなで、櫻坂やら日向坂やらも控えていますが、しばらくガンズ熱は収まりそうにありません(きっと今月下旬のCHEAP TRICKGOJIRAまで続くんだろうな)。

【セットリスト】
01. It's So Easy
02. Mr. Brownstone
03. Chinese Democracy
04. Slither [VELVET REVOLVER cover]
05. Rumble [Intro] 〜 Welcome To The Jungle
06. Better
07. Double Talkin' Jive
08. Live And Let Die [WINGS cover]
09. Reckless Life
10. Estranged
11. Shadow Of Your Love
12. Rocket Queen
13. You Could Be Mine
14. Attitude [MISFITS cover / Vo: Duff]
15. Absurd
16. Hard Skool
17. Civil War 〜 Machine Gun [Outro]
18. Slash Guitar Solo [Band Jam]
19. Sweet Child O'Mine
20. November Rain
21. Wichita Lineman [JIMMY WEBB cover]
22. Knockin' On Heaven's Door [BOB DYLAN cover]
23. Nightrain
--ENCORE--
24. Coma
25. Blackbird [Inst.] 〜 Don't Cry
26. Paradise City

2022年11月 7日 (月)

GUNS N' ROSES JAPAN TOUR 2022@さいたまスーパーアリーナ(2022年11月5日)

Img_6229 2017年1月の来日公演はチケットを2日分確保していながら、体調不良&仕事の詰まり具合で泣く泣く断念。気づけば2012年12月のZepp Tokyo以来10年ぶりのGUNS N' ROSESでした。しかも、スラッシュ(G)&ダフ・マッケイガン(B)を含む編成となると、1993年1月の東京ドーム3DAYS以来約30年ぶり(笑)。長生きはするものですね。

というわけで、1988年の初来日から9回目の来日。チケット代が高かろうがなんだろうが、無条件で2公演とも行くつもりでした。ただ、公演1週間前に2日とも日中〜午後に取材が入り、本編に間に合うのかどうかが直前までわからない状況に。ライブレポートの打診もあったのですが、今回はそういう事情もありお断りすることになりました。というよりも、10年ぶりなので完全プライベートで満喫したいという思いも強かったのですが……。

まずは11月5日の初日から。午前中から午後遅くまで長丁場の撮影&インタビューが入っていたものの、インタビューの順番をかなり調整してもらえた結果、現場を15時過ぎに退出することができ、1時間半かけて現地入り。17時からのオープニングアクトには楽々間に合うことができました。

 

オープニングアクト:LOUDNESS(17:00〜17:30)

17時時点での客入りは7〜8割といったところでしたが、みんなLOUDNESS見たさで早入りした様子。二井原実(Vo)さんが冒頭からご機嫌で「Crazy Nights」とコールすると、爆音で鳴らされる名曲を前に拳上げまくり。常に音のデカいLOUDNESSですが、まさかガンズのオープニングでもここまで音デカいかと。高崎晃(G)さんのギターもいい感じです。

続く「Crazy Doctor」で熱量はさらにヒートアップ。3曲目に用意された3期曲「Black Widow」はさすがに意外な選曲でびっくりしました。確かに3期唯一のアルバム『LOUDNESS』(1992年)の30周年盤が出たばかりですが、二井原さんが歌う3期曲を耳にしたのは初めてかな。あのドロドロしたヘヴィチューンも、彼が歌うと完全にLOUDNESSになるの、すごすぎ(いや、もとからLOUDNESSの曲だけど)。その後、最新作『SUNBURST〜我武者羅』(2021年)から「Stand Or Fall」「大和魂」が立て続けに披露されましたが、ライブで聴くと初期のプログレハード的なタッチなんだなと気づく結果に。アンパン(Dr)は多少リズムがもたりそうになるものの、必死に食らいついていく姿が印象的でした。一方で、山下昌良(B)さんは本当に楽しそう。LOUDNESSの良心だなあ。

最後は前のめりな「S.D.I.」で大団円。30分で6曲、あっという間でしたが、終わる頃には耳がキンキンしてた(笑)。やっぱりギターの音がデカいんだね。

【セットリスト】
01. Crazy Nights
02. Crazy Doctor
03. Black Widow
04. Stand Or Fall
05. 大和魂
06. S.D.I.

 

GUNS N' ROSES(18:20〜21:05)

スクリーンにおどろおどろしい武士のイラストを交えたバンドロゴが映し出されると、大きな歓声が上がる。会場の数箇所からバンド名をコールする大声も響き渡り、もはやガイドラインなんてなかったんだなと。責め立てることはしないけど、なんだかなあ……と本音をポロリ。

18時を過ぎてもライブは一向に始まる気配がなう……そうだった、こういうバンドだったわ(笑)。普通は始まらないと不安になるんだけど、逆に安心してしまいましたよ。

18:20分にようやく会場暗転。大袈裟なオープニングムービーに続いてバンドを呼び込むコール、そしてダフによるお馴染みのベースリフから「It's So Easy」でライブスタート。彼のパキパキしたベースの中音域がうまく馴染んでおらず、高音とドラムの低音のみでライブが進行するアンバランスな音響に最初は不安になりますが、そのへんは数曲で解消されていきます。やはり、初日はこういうトラブルがつきものですね。

アクセル・ローズ(Vo)のボーカルは……近年、加齢により歌唱スタイルが変わりつつあり、中音域の深みはより増しているものの高音域はファルセット中心。しかし、そのファルセットもかなりパワフルで、相当ボイストレーニングを積んでいることが伺えました。もちろん、地声の低〜中音域とファルセット高音域とでは声の厚みや大きさも異なるので、そこをいかに自然に聞かせるかはPAの腕の見せどころなわけですが……初日はうまくいっていなかったかな。勿体ない。

そんなアクセル、1曲目からニコニコでパフォーマンス。1曲終わるごとにペコっとお辞儀する愛嬌の良さを見せます。人間、歳を取ると丸くなるんですね(物理的にではなく)。

スラッシュがギターを弾く「Chinese Democracy」、アクセルが歌うVELVET REVOLVERのカバー「Slither」、曲冒頭にバンドセッションをフィーチャーした「Welcome To The Jungle」など、序盤はとにかく見どころ満載。ライブで聴き慣れたと思っていた楽曲も、さすがに10年ぶりとなると新鮮に響きます。そういう意味では、ライブで聴くのはいつ以来だよっていう「Double Talkin' Jive」もかなり新鮮でした。にしてもこの曲、年々カッコよさが増しているような気がします。

もっさりした「Live And Let Die」(ダフの合いの手、新しく加わってますね)から初期のパンキッシュさが際立つ「Reckless Life」(高音のみで歌唱するのでボーカルの抜け良好)、かと思えば真逆なプログレッシヴさが特徴の大作「Estranged」、再びパンキッシュな「Shadow Of Your Love」、スラッシュ&リチャード・フォータス(G)のギターバトルが楽しい「Rocket Queen」……良くも悪くも、すべてをフレッシュな気持ちで楽しめる。リチャードはスラッシュの復帰によって、自身の個性がより強く出せるようになりましたね。

中盤のダフ歌唱パート、この日はTHE STOOGES「I Wanna Be Your Dog」。加齢とともに精彩さが増したダフ、イギー・ポップほどの危うさはないものの、やっぱりサマになりますね。そこから、昨年リリースの新曲2連発なのですが……「Absurd」は音源で聴くべき曲だなと実感。ライブではそこまで映えませんね。「Hard Skool」もなんだかイマイチな……これはもう、ほかの楽曲の完成度と手練れ感が悪い(笑)。もうちょっと時間を置くと、意外と馴染んでくるのかな。

で、お馴染みのナレーションから「Civil War」に突入するのですが……スクリーンにはウクライナの国旗がデカデカと映し出される。気づいてなかったけど、オープニングからステージ両サイドにもウクライナの国旗が掲げられていたのですね。スラッシュのねちっこいギターソロ、相変わらず最高です。エンディングにはジミヘン「Machine Gun」をフィーチャーした味付けも。その流れでスラッシュのギターソロへと突入するのですが、ブルースの名曲「Born Under A Bad Sign」をバンドインストで演奏しながらなので、スラッシュのいいところが凝縮されたプレイを楽しむことができました。

そのエンディングでひたすらソロを弾きまくっていると、お馴染みのギターリフへ。「Sweet Child O'Mine」での合唱タイムに突入すると、客席は「Welcome To The Jungle」以上の盛り上がりを見せます。最近、映画のタイアップでリバイバルヒットしたばかりですからね。で、ステージにピアノが用意されて「November Rain」。アクセル、ジャケットなんて羽織っちゃって、もはや晩年のプレスリー並みのハリウッドスター感がにじみ出ちゃってる。終盤の転調パートに入る前のブレイクでは、水を飲む余裕も見せるお茶目さも、今ならではなのかな。とにかく、刺々しいアクセルはすでに死んでおり、ここにいるのは可愛らしい“オールドスクール”なハリウッドセレブ(セレブ?)。もはや許すよ、生きていてさえくれれば。

そんなほんわかした気持ちでいたら、「Knockin' On Heaven's Door」終盤のシャウトで鳥肌が。ここで一気に爆発させる感があり、個人的クライマックスを迎えました。あとはもう「Nightrain」で我を忘れてエンディング。ここまでで2時間を軽く超えています。

アンコールは海外では「Coma」があったりなかったりしますが、日本では「Coma」あり。やった! 90年代に演奏していた頃より重みと深みが増した結果、改めていい曲だなと実感させられました。さすがに10分近くあるので、お客さんの多くはボーッとしてましたが(そりゃ疲れるよね)。

ステージにスツールが3つ用意されると、アコギを抱えたスラッシュ、ダフ、リチャードが登場し、ビートルズ「Blackbird」をインスト演奏。なるほど、これが噂の。思わず口ずさむ人多数発生で、年齢層の高さが伺えます。個人的には先の「Knockin' On Heaven's Door」と「Coma」、そしてこのセッションを聴けただけで元が取れたと思います。そこから「Patience」へと流れ、最後はお約束の「Paradise City」。テンポアップ後のパンキッシュさが過去20年の彼らには感じられなかったものが伝わってきて、テンションぶち上がり。エンディングでアクセルがマイクを客席に放り投げ(笑)、2時間45分におよぶ初日公演終了。とにかくアクセルのご機嫌ぶりが目立つ、微笑ましいライブでした(ガンズに微笑ましさを求める日が来るとは)。

【セットリスト】
01. It's So Easy
02. Mr. Brownstone
03. Chinese Democracy
04. Slither [VELVET REVOLVER cover]
05. Rumble [Intro] 〜 Welcome To The Jungle
06. Double Talkin' Jive
07. Live And Let Die [WINGS cover]
08. Reckless Life
09. Estranged
10. Shadow Of Your Love
11. Rocket Queen
12. You Could Be Mine
13. I Wanna Be Your Dog [THE STOOGES cover / Vo: Duff]
14. Absurd
15. Hard Skool
16. Civil War 〜 Machine Gun [Outro]
17. Slash Guitar Solo [Band Jam]
18. Sweet Child O'Mine
19. November Rain
20. Knockin' On Heaven's Door [BOB DYLAN cover]
21. Nightrain
--ENCORE--
22. Coma
23. Blackbird [Inst.] 〜 Patience
24. Paradise City

2022年6月11日 (土)

MICHAEL MONROE『I LIVE TOO FAST TO DIE YOUNG!』(2022)

2022年6月10日にリリースされた、マイケル・モンローの同名バンドによる5thオリジナルアルバム。マイケル個人としては通算10枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIMDEMOLITION 23.を含むと12枚目)。

前作『ONE MAN GANG』(2019年)から約2年8ヶ月ぶりの新作。前作発表から数ヶ月後にコロナ禍に突入してしまい、日本公演を含む本格的なワールドツアーが実現せぬままモヤモヤした時期を送っていましたが、その間に「Fight Back Blues」(2020年)などのデジタルリリースもあり、またメンバーのサミ・ヤッファ(B)は初のソロアルバム『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』(2021年)を、スティーヴ・コンテ(G)もソロアルバム『BRONX CHEER』(2021年)を発表するなど、それぞれに今できることを実践し続けました。

メンバーの居住地/国がそれぞれ異なることもあり、状況が緩和されるタイミングを待っていたメンバーは、2021年後半からようやく本作の制作に向けて始動。同年11〜12月にフィンランドのヘルシンキに集い、今作を完成させました。

マイケル、サミ、スティーヴ、リッチ・ジョーンズ(G)、カール・ロックフィスト(Dr)の5人が揃ってからすでに9年近くも経ち、アルバムとしても今回で3作目。過去2作同様、リッチが大半の楽曲を書き下ろし(全11曲中7曲が単独制作、2曲でマイケルと共作)、“適度にパンキッシュ、適度にポップ”という“従来のマイケル・モンロー節”炸裂の好作品に仕上がっています。

全体的には小気味良いテンポ感のロックンロール中心ですが、中には「All Fighter」のように疾走感の強いパンクチューンやスティーヴ執筆のハードコアチューン「Pagan Prayer」もあれば、「Everybody's Nobody」みたいなミディアムテンポのポップロックもあり、さらには「Antisocialife」という美しいピアノバラードまで用意されている。アルバムを重ねるごとに楽曲の幅をどんどん広げている“ロックバンド・MICHEAL MONROE”ですが、今作ではそのバラエティ豊かさも過去イチと言えるのではないでしょうか。改めて、リッチ・ジョーンズの奇才ぶりに驚かずにいられません。

そうそう、「I Live Too Fast To Die Young」にはゲストプレイヤーとしてスラッシュ(G)が参加。過去にはマイケルと「Magic Carpet Ride」で共演したほか、GUNS N' ROSESのアルバムにマイケルを招待するなど、長きにわたり交流を深めてきたスラッシュですが、ここで聴けるギターソロは自身のソロアルバムやSLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSでは耳にすることができない、ストレートでシンプルなもの。勢い一発!なノリはマイケルのスタイルにぴったりで、新鮮に楽しむことができるはずです。

終始ノリノリで攻める本作ですが、ラストナンバー「Dearly Departed」はもっとも異色のテイスト。この曲のみバンド形態ではないこともあり、唯一“マイケルのソロ”色が強いかもしれません。でも、だからこそアルバムの締めくくりとして強いインパクトを残している。個人的にはこれもアリだなと納得の1曲でした。

マイケル・モンローという人に求めるさまざまな要素がバランス良く散りばめられつつも、比較的大人な雰囲気でまとめられた本作。この6月17日に還暦(!)を迎えることを考えれば、それも納得の1枚かもしれません。

なお、日本盤は2016年のライブ音源11曲をまとめたボーナスディスク『LIVE! TOO FAST TO DIE YOUNG IN STOCKHOLM!』付属の2枚組デラックス盤も用意。タイミング的には『BLACKOUT STATES』(2015年)発表後なので、バンド名義での3作からのベスト選曲+『NOT FAKIN' IT』(1989年)から2曲+『DEMOLITION 23.』(1994年)から2曲という内容で、HANOI ROCKSナンバーはなし。うん、これでいい。おまけとしては十分すぎるくらいにゴージャスなロックンロール・ライブアルバムなので、マイケル・モンローというアーティストに多少なりとも興味を持っている方はぜひこちらの仕様をお買い求めください。

 


▼MICHAEL MONROE『I LIVE TOO FAST TO DIE YOUNG!』
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2022年2月12日 (土)

SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『4』(2022)

2022年2月11日にリリースされたSLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSの4thアルバム。日本盤未発売。日本盤は同年6月22日に、ボーナストラックを追加した形態で発売予定。

GUNS N' ROSESスラッシュ(G)がALTER BRIDGEマイルズ・ケネディ(Vo)とタッグを組み、THE CONSPIRATORSと命名したメンバーとのバンド形態で制作した、前作『LIVING THE DREAM』(2018年)から3年5ヶ月ぶりの新作。90年代に活動したSLASH'S SNAKEPITや2010年に制作された純粋なソロアルバム『SLASH』(2010年)、映画のサウンドトラックなどを含めると、通算8作目のソロワーク/リーダーアルバムとなります。

今作は新興レーベルGibson Recordsと契約して最初の作品で、プロデューサーには新たにデイヴ・コッブ(RIVAL SONSEUROPEレディ・ガガなど)を迎えて制作。ナッシュビルにあるRCA Studio Aにて、たった10日間のライブレコーディングを通じて完成させた10曲が収録されたバランス感に優れたハードロックアルバムに仕上がっています。

現在のバンドメンバーはスラッシュ、マイルズ・ケネディ、トッド・カーンズ(B, Vo)、ブレント・フィッツ(Dr)という結成時からのメンバーに加え、2ndアルバム『WORLD ON FIRE』(2014年)リリース後のツアーから参加しているフランク・シドリス(G, Vo)の5人。この布陣では前作『LIVING THE DREAM』に続く2作目、リズム隊に関しては10年来の仲間ということもあり、アルバムのオープニングを飾る「The River Is Rising」を筆頭に気心知れたメンツによる安定感の強いハードロックが展開されています。

基本的にはいかにもスラッシュらしいミディアムテンポの豪快アメリカンハードロックが中心。この人に何を求めるのかといったら間違いなくそこなわけで、従来のファンにとって期待どおりの内容と言えるでしょう。そこにマイルズ・ケネディという素晴らしいシンガーが加わることで、終始安定した楽曲を楽しむことができる。また、バンドアレンジもGN'R以降スラッシュが参加してきた楽曲群を踏まえたものばかりで、過去のTHE CONSPIRATORSとの作品はもちろん、VELVET REVOLVERやSNAKEPITなどのカラーも随所に感じられます。思えば初期のツアーでは、このへんの楽曲も随時披露されていたわけで、そういった意味ではこの新作って“ミュージシャン/アーティスト:スラッシュ”の総決算的内容と言えなくもない。要するに、最高のアメリカンハードロックを楽しめる1枚というわけですよ。

オープニングトラックにふさわしい「The River Is Rising」のカッコよさはもちろんのこと、トーキングモジュレーターを用いた冒頭のギターフレーズが印象的な「C'est la vie」、キャッチーなメロディが耳に残る「The Path Less Followed」、どことなくグラマラスさが漂う「Actions Speak Louder Than Words」、不穏なギターフレーズがたまらない妖艶な「Spirit Love」、GN'Rの「Sweet Child O' Mine」を彷彿とさせるギターフレーズに思わずニヤリな「Fill My World」、いかにもスラッシュらしいリフワーク(でもマンネリ化してない)の「April Fool」、終盤の盛り上げに最適なアップチューン「Call Off The Dogs」、スラッシュのエモーショナルなギタープレイが存分に味わえるエモーショナルなパワーバラード「Fall Back To Earth」など、意外にもバラエティ豊かな内容は過去イチと言えるものかもしれません。全10曲/約44分という尺も程よく、似たり寄ったりの楽曲が少ないコンパクトな仕上がりという事実も、このアルバムを良作たらしめる要因ではないでしょうか。

ぶっちゃけ、スラッシュ自身は良質なメロディメイカーというわけではないと思うんです。ギタリストとしては優れているけど、気がつくとすぐに手癖に走ってしまうタイプのプレイヤーですし。もちろんこのアルバムにもそういった手癖の数々を確認することはできるのですが、それを補って余るほど良質なメロディとアレンジが存在することで、過去のマンネリ的な部分が解消されている。もしかしたら今のスラッシュは過去最高の充実期に突入しているのか、あるいは最良のパートナーたちに恵まれているのか。GN'SもTHE CONSPIRATORSも活動が順調だからこその結果がこのアルバムなんでしょうね。

正直、ここまでハートを鷲掴みにされるアルバムだと思っていなかっただけに、その手応えは期待以上でした。胸を張ってオススメできる1枚です。だからこそ、こんな傑作が日本盤リリースされないという事実には落胆させられます……。

※2022年4月26日追記:日本盤のリリースが正式決定しました。ボーナストラックを追加した通常盤に加え、アルバム発売時に配信されたライブの模様を収めたライブDVD同梱の2形態を予定。4ヶ月遅れはどうかと思いますが、出るだけでもありがたいですね。

 


▼SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『4』
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2021年9月25日 (土)

GUNS N' ROSES『HARD SKOOL』(2021)

2021年9月24日に配信リリースされたGUNS N' ROSESの新曲。

今年8月6日に突如配信された、約13年ぶりの新曲「ABSUЯD」から2ヶ月経たずして届けられたGN'Rの新曲。いやいや、なんなのよこのスピード感。ストリーミングサービス全盛の2021年だからこそといったところでしょうか。

「ABSUЯD」同様、今回も現時点での最新アルバム『CHINESE DEMOCRACY』(2008年)レコーディングセッション時に着手していたアウトテイクを手直しした1曲。元ネタは「Jackie Chan」とか「Checkmate」などの仮タイトルで呼ばれていたナンバーで、僕はフルでは聴いたことがありませんでした。しかし、今回正式リリースされた楽曲を聴く限りでは、確かにこれは『CHINESE DEMOCRACY』の世界観からは外れるかなと。アルバムから漏れるのも仕方ないですね。

楽曲のスタイル的には「Nightrain」や「You Could Be Mine」などを筆頭に、1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)『USE YOUR ILLUSION I』および『同 II』(ともに1991年)で展開された、マイナーキーのストレートなハードロックチューンの延長線上にあるもの。そりゃあ『CHINESE DEMOCRACY』期のメンバーと演奏するよりも、スラッシュ(G)やダフ・マッケイガン(B)といった気心知れたメンバーと演奏するほうがハマりますよね。

「ABSUЯD」はスラッシュ&ダフ脱退後のデジタルな色合いを残したオルタナティヴロック・スタイルだったので、今回の曲のほうが往年のファンの琴線に触れるものがあるのではないでしょうか。事実、僕もイントロのベースリフを聴いた瞬間に「あ……VELVET REVOLVER 往年のガンズだ!」と思いましたから(笑)。また、スラッシュに関してもギターリフやそこに絡むギターソロで、「ABSUЯD」以上に“らしさ”を爆発させている。そうそう、聴きたかったのはこれなんですよ。

アクセル・ローズ(Vo)のボーカルは、「ABSUЯD」の時点では“そういう曲調だから”と思ってはいたものの、やはり若干の衰えは否めないかな。それでも、中音域からハイトーンへと移行する流れなどは非常に“らしさ”に満ち溢れており、個人的には合格点かな。

ドラムに関しては、誰のテイクが用いられているのかはわかりませんが、この手の曲にしてはペタペタ感の強い、重すぎるプレイ/ミックスなのが玉に瑕。もうちょっと軽やかで前のめりくらいが、この手の楽曲には合っている気がします。

まあ、そうはいっても……ガンズの新曲を2ヶ月連続で聴くことができる世界線って……ここまでくると、来月末〜11月頭くらいにもう1曲くらい新曲が届けられて、11月末くらいにはアルバムが出ちゃうんじゃないか?という気すらしてきました。いや、気がするというより確信しております。いやいや、出せ出せ出せ!(笑)

 


▼GUNS N' ROSES『HARD SKOOL』
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2021年9月20日 (月)

MOTÖRHEAD『MARCH ÖR DIE』(1992)

1992年8月14日にリリースされたMOTÖRHEADの10thスタジオアルバム。日本盤は同年8月22日発売。

前作『1916』(1991年)でEpic RecordsのサブレーベルであるWTG Recordsにメジャー移籍したMOTÖRHEADでしたが、同作がリリースされた1991年初頭はちょうど湾岸戦争に突入したタイミング。これ以降、世の中の情勢が少しずつ悪化し、不景気の煽りも受けて思ったほどの成績を残せず(全米142位/全英24位)。さらに、JUDAS PRIESTアリス・クーパーMETAL CHURCH、DANGEROUS TOYSといったレーベルメイトとのパッケージツアー『Operation Rock'n'Roll』も途中で頓挫してしまいます。

バンドは『1916』から1年7ヶ月という、比較的短いスパンで次作を完成させます。プロデューサーには前作でエド・スタシアムと名を並べた、PROCOL HARUMなどにも所属したピーター・ソリーが単独で再着任。『1916』はハードロックというよりも荒々しい暴走ロックンロール/パンクロックと呼ぶにふさわしい仕上がりだったので、続く今作にもその路線を期待しますが……あれっ?と誰もが思うわけです。

まず、極力スピードを抑えたミディアムテンポ中心の作風が疑問のひとつ。アップテンポの楽曲も含まれてはいるものの、いわゆるパンク的な疾走感というよりはヘヴィメタルに近い重さとスピード感(しかもそこまで速くない)。さらに、カバー曲が2曲も収められている。ひとつはテッド・ニュージェントの代表曲「Cat Scratch Fever」で、もうひとつはオジー・オズボーン「Hellraiser」。まあ後者はレミー(Vo, B)がオジー&ザック・ワイルドと共作したオリジナル曲なので、カバーと呼んでしまうにはちょっと可哀想かな。

「Stand」とか「Asylum Choir」とか、確かにカッコいいですよ。でも、前作にあったスピード感が伝わらない。硬質なサウンドプロダクションと相まって、重さが強調されすぎているんです。確かに先のカバー2曲や「Bad Religion」、ブルース色を強めた「You Better Run」やダークな「March Or Die」など、ミディアムナンバーの仕上がりは上出来です。ただ、序盤にスピード曲が少なく、後半に固められている構成もよくなくて、せめて交互に並べるとか工夫が欲しかった(そのへんの失敗が次作『BUSTARDS』(1993年)につながるわけですが)。

とはいえ、本作にはGUNS N' ROSES的グルーヴ感を全面に打ち出した「Jack The Ripper」(前作にも似たテイストはありましたが)、オジーとのデュエットが楽しめる初の本格的パワーバラード「I Ain't No Nice Guy」、先の「March Or Die」など新たな魅力を伝える楽曲も用意されている。バンドとしての新たな挑戦と受け取ることもできるけど、果たしてファンはMOTÖRHEADにこういったスタイルを求めているのかどうか……そこは当時から謎でしたが。

あ、そうだ。今作ではフィル・“アニマル”・テイラー(Dr)は「I Ain't No Nice Guy」のみ参加で脱退(理由はなんとなく想像できる)。レコーディングではトミー・アルドリッジ(WHITESNAKE、オジーなど)が大半を叩き、「Hellraiser」にて当時DON DOKKENを抜けたか抜けないかの時期だったミッキー・ディーがプレイ。このへんのメタル勢がドラマーを務めたのも、ペタペタした重さの理由の一因かもね(結局、アルバム完成後にミッキーが加入。以後、解散まで席を置くことになります)。このほか、先のオジーやGN'Rのスラッシュ(G)が「I Ain't No Nice Guy」で客演しています。

以上のような要因を踏まえると、バンドが“やりた”かったというよりは、メジャーレーベルがいろいろ“やらせた”かった1枚なのかな。どことなく迷走感が伝わりますが、それは数字にもしっかり表れてしまいます(全英60位。全米ではチャートインせず)。その悔しさがすべて『BUSTARDS』につながったと考えれば、ここでの失敗も悪くはなかったのかな。

個人的には嫌いになれない1枚です。だって、出来が悪いわけではないので。ファットなサウンドプロダクションのMOTÖRHEADなんて、後にも先にもこれしかないですからね(笑)。

 


▼MOTÖRHEAD『MARCH ÖR DIE』
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