2017/12/19

V.A.『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』(1993)

1993年公開のアメリカのアクション映画『ジャッジメント・ナイト』のサウンドトラックとして、同年秋にリリースされたのが本作。映画自体は未見ですが(ずいぶん前に地上波で深夜に放送されていたようですが、完全に忘れてました)、ここではその内容はどうでもよく。いや、ぶっちゃけ音楽ファン的には映画以上にサントラのほうが重要視されている作品ではないでしょうか。

本作は、曲ごとにヘヴィ/オルタナティヴロックバンドがヒップホップアーティストとコラボレートするという、およそ映画の内容とは関係のない構成。ロックファン的には参加バンドが気になるところですが、このセレクトがかなり謎でして。

以下にコラボレーションの詳細を記します(前者がロック系、後者がヒップホップ系アーティスト)


HELMET / HOUSE OF PAIN
TEENAGE FANCLUB / DE LA SOUL
LIVING COLOUR / RUN DMC
・BIOHAZARD / ONYX
SLAYER / ICE-T
FAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.
・SONIC YOUTH / CYPRESS HILL
MUDHONEY / SIR MIX-A-LOT
DINOSAUR JR. / DEL THE FUNKY HOMOSAPIEN
THERAPY? / FATAL
PEARL JAM / CYPRESS HILL


SLAYERのような大御所メタルバンドやHELMET、FAITH NO MOREといったヘヴィなオルタナティヴバンド、LIVING COLOURみたいな黒人ハードロックバンドもいれば、MUDHONEYやPEARL JAMといったグランジ勢もいる。かと思うと、まだアメリカでは無名に等しいアイルランドのTHERAPY?まで参加しているんだから、本当に謎です。

実際に収録されている楽曲も、それぞれの個性が出た面白いものが多数。1曲目のHELMET / HOUSE OF PAINによる「Just Another Victim」からしてカッコ良いし、続く脱力系なTEENAGE FANCLUB / DE LA SOULの「Fallin'」も意外と悪くない。LIVING COLOUR / RUN DMCの「Me, Myself & My Microphone」なんてそもそも両者黒人なんだから相性が悪いわけがない(しまもRUN DMCはAEROSMITHとの“前科”もあるしね)。

本作の山場となるのが4曲目のBIOHAZARD / ONYX「Judgement Night」と、5曲目 のSLAYER / ICE-T「Disorder」、そして6曲目のFAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.「Another Body Murdered」かな。「Judgement Night」は完全にヒップホップに寄せていて、そこにハードなギターが乗るという。こちらの組合せも非常に自然なものですし、そりゃあこうなるわなと。

で、SLAYER / ICE-Tという組み合わせですよ。ICE-T自身もBODY COUNTというハードコアバンドをやってますし、この組み合わせだったらそりゃあロック寄りになるでしょうね……っていうか、完全にSLAYERの土俵にICE-Tが踏み込んでるし。曲自体はEXPLOITEDのカバー(「War」「UK '82」「Disorder」のメドレー)で、このへんの試みがパンク/ハードコアのカバーアルバム『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996年)につながったのかもしれませんね。

FAITH NO MORE / BOO-YAA T.R.I.B.E.という組み合わせも、実際に曲を聴いてしまうと何ら違和感がなく、むしろマイク・パットン先生の土俵ですね、これ。FAITH NO MOREのアルバムにそのまま入っていたとしても、別に不思議じゃない仕上がり。いやあ、面白い。

確かに全部が全部、成功しているとは言い切れないコラボアルバムではありますが、ここでの実験が翌年以降のメタル/ラウドシーンに大きな影響を与えた……というのは言い過ぎでしょうか? でも、それくらい意味のある実験でしたし、重要な作品だと思うんですよね。

ちなみに、数年後に映画『スポーン』のサウンドトラックで、今度はロックバンドとダンス/エレクトロ系アーティストのコラボレーションが実践されましたが、こちらは成功とは言い難い仕上がりでした。柳の下に二匹目のドジョウはいなかったわけですね。わかります。



▼V.A.『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』
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投稿: 2017 12 19 12:00 午前 [1993年の作品, Compilation Album, Dinosaur Jr., Faith No More, Helmet, Living Colour, Mudhoney, Pearl Jam, Run D.M.C., Slayer, Therapy?] | 固定リンク

2017/10/18

『LOUD PARK 17』DAY 1@さいたまスーパーアリーナ(2017年10月14日)

Loudpark172年ぶりに『LOUD PARK』に行ってきました。2015年は2日目のみの参加でしたが、今回は本当に久しぶりの2日通しでの参加。いつ以来だろうと振り返ってみたら、なんと2009年(JUDAS PRIESTSLAYERがヘッドライナー)以来だったみたいです(笑)。2011年から1日のみ開催が2年続きましたが、それもあってか1日のみ参加というのも結構あったんですよね。

というわけで、せっかくなので久しぶりにメモ程度のレポを残しておこうかと思います。基本はSNS等でつぶやいたコメントが基になっていますので、がっつりしたレポートは各メディアでの本格的なレポートにてご確認ください(笑)。

では、このエントリーでは初日について書いていきたいと思います。


<DAY 1:10月14日(土)>

当日朝6時まで原稿を書いていたため、オープニングアクトAldiousからの参加は断念。せめてL.A.GUNSは観たい……ということで、頑張って9時台に起床。ギリギリ12時開始のL.A.GUNSには間に合いました。


L.A.GUNS
1曲目が3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』のオープニングトラック「Over The Edge」で面喰らう。勢いよく始めるかと思ったら、このエモいヘヴィロックからかよ、と。ステージをよく見ると、左に昔のトレイシー・ガンズっぽいコスプレしたギタリスト、右に……アメリカ南部のモダンヘヴィネス系バンドにいそうなむさ苦しいギタリスト。あれ、どっちがトレイシーだ?……残念ながら右側でした(笑)。以降は新作『THE MISSING PEACE』から「Speed」やったり1stアルバムから「No Mercy」やったりしましたが、「Killing Machine」みたいな曲もあったりで、特に初期にこだわった感じではなし。あ、2nd『COCKED & LOADED』の曲が多かったです。ラストは「Rip And Tear」。あれ、「Sex Action」は? ということで、個人的には物足りないセトリでした(もともとのセトリには中盤に「Sex Action」、入ってたんですけどね)。

ANTHEM
いきなり「Bound To Break」始まりはズルい! そりゃあ盛り上がりますよ。以降は新し目の曲が続き、中盤「Hunting Time」から怒涛の流れ。ラストは“ANTHEM版「Painkiller」”こと「Onslaught」で締めくくり。短かったけど、久しぶりに堪能できました。

BRUJERIA
あのBRUJERIAが来日!ってだけでも大興奮。そりゃあ開始前から、観客の熱も上がりますよね。メンバーは当然覆面なんですが、ベースの方がどう見てもNAPALM DEATHの……いやなんでもないです(笑)。ゴリゴリ&大音量のグラインドコアと、サークルモッシュで暴れる血気盛んなオーディエンス、それを遠目で眺める自分。ああ、ラウパーに帰ってきたんだなと改めて実感しました。MCは基本スペイン語(という設定)ですが、ところどころに英語が混じっているのに苦笑。“Fuck ドナルド・トランプ”コールで会場の気持ちがひとつになったり、このバンドらしいマリファナコールにニヤニヤしたりと、改めて面白いバンドだなと思いました。

WINGER
たぶん生で観るのは『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990年)のツアー以来だから……いやいや、深く考えるのはやめましょう。メンバーは3枚目『PULL』(1993年)からの編成なので、キーボードは抑えめでギター中心のサウンドメイキング。キップ・ウィンガー(Vo, B)に白髪が混じっていて時の流れを感じさせますが、演奏や歌自体はそこまで衰えを感じさせず。序盤は最近の楽曲〜代表曲〜新曲〜代表曲みたいな流れで、セットリストのバランスはまずまず。中盤に結成30周年に触れてからはデビューアルバム『WINGER』からの楽曲が連発されるのですが、「Heading For A Heartbreak」みたいなシンセ曲ではキップがシンセを弾きながら歌い、ギターのジョン・ロスがベースにシフトするんですね。なるほど納得です。あ、このジョンのギタープレイがレブ・ビーチとはまた違ったタイプのバカテクで好印象。本当に演奏がうまいバンドですね。ただ、BRUJERIAの後という出番はいただけません。最初、音が小さくでビックリしたし(実際BRUJERIAがデカすぎて、WINGERは序盤から音を作っていった感じ。終盤にはその音のバランスの良さに驚きました)。後半の「Heading For A Heartbreak」「Can't Get Enuff」「Madalaine」「Seventeen」の流れ、最高でした。が、スピーカーので音が途中で飛んだり、レブのギターソロでアンプが飛んだりとハプニングも連発。そこだけが勿体なかったです。

OPETH
グラインドコア(BRUJERIA)、AOR的ハードロック(WINGER)からの流れだと、プログレッシヴロック的志向のOPETHはよりソフトに感じられました。長尺の楽曲を演奏で起伏をつけていくのはWINGERにも通ずるものがあるのですが、いかんせんタイプが違う。最近の楽曲は特にソフト志向なので、途中で眠気も……が、ラストの13分超におよぶ「Deliverance」でデス声登場。大好きなアルバムのタイトルトラックに大興奮ですよ。ここで一気に気持ちが持ち返しました。なんにせよ、長丁場のフェスに寝不足で挑むのはよくないですね(苦笑)。

OVERKILL
ここ10年くらい、出すアルバムがことごとく力作でキラーチューンも多い彼ら。実際のライブも往年の代表曲以上に新曲で盛り上がっていたのが印象的でした。にしても、このバンドも35年近いキャリアの持ち主(しかも一度も解散、活動休止なし)なのに、このテンションの高さには驚かされます。初めてライブを観たのはもう30年近く前ですが、基本的に印象はまったく変わらず。逆に観客の彼らに対する盛り上がりは、年々高くなってるように感じました。ラストの「Fuck You」含め、「ああ、そうそうこれ。スラッシュメタルだね!」っていう最高のステージでした。

ALICE COOPER
アリスも2008年以来の来日以来9年ぶり。1990年の初来日以降、毎回観てますが、一番時間が短かったにも関わらず正直今回が一番良かったと思いました。1曲目の「Brutal Planet」には驚いたものの、以降はいつもどおりヒット曲連発。まさか序盤に「Poison」を持ってくるとは思ってもみませんでしたし、「Feed My Frankenstein」ではジャンボマックス(死語)ばりの巨大アリスが登場して爆笑(しかも歌声も身長に合わせてか低くなってる!)。おなじみのギロチンショーもあり、ラストは「I'm Eighteen」「School's Out」で大団円。オールドスクールなロックンロールや60分に凝縮されたショーはラウパーっぽくないのかもしれませんが、それでも最高と言わざるをえない究極のエンタテインメントショーでした。

EMPEROR
二度目の来日となる今回は、2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』発売20周年を記念した完全再現ライブを披露。緑を基調とした照明はジャケットの世界観そのもので、この日出演したバンドの中でもサウンド的にはかなりオールドスクールなブラックメタルに括られるものの、存在感や説得力はほかにはない特別なものが感じられました。最初こそ「うおー!」と盛り上がっていたものの、気づいたら無言になっており、その世界観にじっくりと浸る自分がいるという。イーサーン(Vo, G)の知的な感じも素敵でしたし、あの佇まいがそのまま音になったかのような、プログレッシヴなブラックメタルサウンドは20年経った今も有効であることも強く実感させられました。アルバムを曲順どおりに再現し終えると、そこからは「Curse You All Men!」「I Am The Black Wizards」「Inno A Satana」と代表曲を連発。「I Am The Black Wizards」まではスタンド席でじっくり観ていたのですが、「Inno A Satana」が始まった瞬間我慢できずにアリーナまで走ったのはここだけの話です(笑)。

SLAYER
2年ぶりのSLAYERですが、前回はラウパーのほうが日程的に観られなかったため、STUDIO COASTでの単独公演を観たのでした。最新作『REPENTLESS』を軸にしたセットリストは前回に似た感じですが、なぜでしょう、今回のほうが良かった気がします。いや、もっと言うと……ここ10数年観た中で一番良かったんじゃないでしょうか。ゲイリー・ホルト(G)が加わって時間が経ち、編成としてもかなり安定したのもありますし、『REPENTLESS』の楽曲が今のバンドに馴染んだというのもあるんでしょうけど、なんていうか……僕らがよく知ってる“あの”SLAYERが戻ってきたといいましょうか……非常に抽象的な表現で申し訳ないですが、そうなんですよ。完全に戻ってるんですよ、今のSLAYER。帝王って言葉がぴったりな、あのSLAYERに。セットリストもよかったなぁ。90分のセットで20曲くらい詰め込まれていて、特に終盤、「Seasons In The Abyss」から「Hell Awaits」「South Of Heaven」「Raining Blood」「Chemical Warfare」「Angel Of Death」という怒涛の流れは文句なしでした。ぶっちゃけ、首がもげましたもん(笑)。



▼SLAYER『REPENTLESS』
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投稿: 2017 10 18 12:00 午前 [2017年のライブ, Alice Cooper, ANTHEM, Brujeria, Emperor, L.A.Guns, LOUD PARK, Opeth, Overkill, Slayer, Winger] | 固定リンク

2017/10/10

SLAYER『LIVE: DECADE OF AGGRESSION』(1991)

SLAYERの結成10周年を記念して、1991年秋に発表された2枚組ライブアルバム。DISC 1には1991年7月、フロリダでのライブから11曲が収録され、DISC 2には1990年10月のロンドン公演および1991年3月のカリフォルニア公演からの抜粋10曲が収められています。

タイミング的には1990年秋に5thアルバム『SEASONS IN THE ABYSS』を発表した直後で、内容的にも同作の楽曲を軸にしつつも過去の代表曲が余すところなく収められたグレイテストヒッツ的選曲になっています。特にDISC 1はショートサイズのライブをまるまる収めたようなセットリストで、当時のツアーの1曲目「Hell Awaits」からラストナンバー「Angel Of Death」まで、息つく間もないほど怒涛の展開。“SLAYERとはなんぞや?”という人に対して“This is SLAYER!”と提示するにはぴったりの1枚かと思います。

派手なキメ曲が並ぶDISC 1に対し、DISC 2の曲順にはそこまでのストーリー性は感じられませんが、ライブの要所要所には欠かせない楽曲が揃った通好みの選曲。緩急飛んだ曲順で、途中に挿入されるごく初期の楽曲にみられるヤケクソ感は今聴いても最高としか言いようがありません。そして最後の最後を締めくくるのが、初期の名曲中の名曲「Chemical Warfare」ですから。ここで一気に昇天しなかったら嘘ですよね。

ちょうど1990年12月に実現した初来日公演も「Hell Awaits」からスタートしており、曲順こそ異なるものの当時演奏された楽曲はほぼ収録されているんじゃないかと。3分の1くらいは今でも演奏される機会の多い曲ばかりですし、なによりも当時の勢いに乗ったSLAYERのライブ演奏を追体験するのは最適のアイテムだと思うので、これからSLAYERを聴いてみようという人(特に今年の『LOUD PARK 2017』でSLAYERを初体験するビギナー)は、最新作『REPENTLESS』(2015年)とあわせてチェックすることをオススメします。

なお、本作はトム・アラヤ(Vo, B)、ケリー・キング(G)、ジェフ・ハンネマン(G)、デイヴ・ロンバード(Dr)というオリジナル編成によるもの。本作リリース後にデイヴが脱退し、オリジナル編成は10年近く崩れることになります。そして、ジェフが亡くなったのでこの編成でのライブはもう二度と見られないわけです……そう思うと、この頃をリアルタムで体験している人たちにはいろいろとこみ上げてくるものがあるんじゃないでしょうか。

ちなみに、本作の1991年当時の日本盤(日本フォノグラム製で、ジャケットも現行のバージョンとは異なる)にはボーナストラックとして、 DISC 2に「Skeltons Of Society」「At Dawn They Sleep」の2曲を追加収録(M-6「Born Of Fire」のあとに追加)。中古市場で現在もよく見かけるし安価で手に入るので、どうせならこちらを探してみるといいんじゃないかと思います。



▼SLAYER『LIVE: DECADE OF AGGRESSION』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD / MP3


▼SLAYER『LIVE: DECADE OF AGGRESSION(日本フォノグラム盤)』
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投稿: 2017 10 10 12:00 午前 [1991年の作品, Slayer] | 固定リンク

2017/08/17

DEAD CROSS『DEAD CROSS』(2017)

にしても、すごいバンドが誕生したものです。FAITH NO MOREのマイク・パットン(Vo)、元SLAYER/現SUICIDAL TENDENCIESのデイヴ・ロンバード(Dr)、THE LOCUST/RETOXのジャスティン・ピアソン(B)、同じくRETOXのマイク・クライン(G)というメタル/オルタナ/ハードコア界のそうそうたるメンツが一堂に会したスーパーバンド、DEAD CROSS。彼らのデビューアルバム『DEAD CROSS』が8月上旬にリリースされました(ここ日本では同月23日に発売)。

もともと2015年に結成された際にはTHE LOCUSTのゲイブ・セルビアンがボーカルでしたが(THE LOCUSTではドラマー)、翌2016年に脱退。新たにパットン先生が加入し、現在のサウンドスタイルが確立されたとのことです。

おそらくパットン先生が加わるまでは、意外とストレートなハードコアが展開されていたんだろうなと思うのですが、このアルバムで聴けるサウンドは単なるハードコアとは言い難い、非常に複雑怪奇なもの。カオティックハードコアとでも呼べばいいのでしょうか。単なる暴力的なエクストリームサウンドというよりも、どこか知的さがにじみ出た、まさしくカオスな世界観が展開されています。

パットン先生のボーカルはFAITH NO MORE以上に振り切れたものもあれば、そこから一転して冷静さを感じさせるものもあり、FAITH NO MOREやパットン関連作品愛好家なら一発で気にいるはず。ロンバードのドラムもオープニングの「Seizure And Desist」からツーバス&ブラストビート全開(この曲のボーカルオーケストレーションも最高)。SUICIDAL TENDENCIES『WORLD GONE MAD』(2016年)でのプレイよりも、SLAYERでパンキッシュな楽曲を叩くときのプレイに近いイメージと言えば共感いただけるでしょうか。要するに、ひたすらカッコイイということです。思えばパットンとロンバードは過去にFANTOMASでも活動をともにしたことがあるので、相性は悪くないんでしょうね。

ギターやベースに触れずじまいですが、決して空気なわけではないですよ。このドラムにこのベース、このギターという絶妙なプレイを聴かせてくれていますし。ただ、ここにパットン先生の声が乗ると……全部持っていっちゃうんですよね。それだけアクが強いというか唯一無二というか。まぁまずは、頭を空っぽにして楽しんでください。アレンジがどうだとか、この曲のここがこうだとか、BAUHAUS「Bela Lugosi's Dead」のカバーのアレンジがどうだとか、そういう小難しいことは数回無心で楽しんだあとにでも。ね?



▼DEAD CROSS『DEAD CROSS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 08 17 12:00 午前 [2017年の作品, Dead Cross, Faith No More, Slayer, Suicidal Tendencies] | 固定リンク

2017/07/31

SLAYER『REPENTLESS』(2015)

2015年9月にリリースされた、SLAYER通算12作目のスタジオアルバム(パンク/ハードコアのカバー曲中心の『UNDISPUTED ATTITUDE』を除けば、オリジナルアルバムとしては11作目)。2013年のジェフ・ハンネマン(G)の死去、オリジナルドラマーのデイヴ・ロンバード何度目かの脱退を経て、EXODUSのゲイリー・ホルト(G)の加入、そしてポール・ボスタフ(Dr)が再参加する形で制作された、「Nuclear Blast Records」移籍第1弾アルバムとなります。

PANTERAなどで知られるテリー・デイトをプロデューサーに迎えた本作は、過去20年の作品中もっとも“聴きやすい”1枚かもしれません。それは“ヤワになった/ソフトになった”という意味ではなく、ヘヴィさ/ハードコアさはそのままに、歌メロや楽曲の構成が非常に“わかりやすく”整理されているということ。6thアルバム『DIVINE INTERVENTION』(1994年)以降、どこか“考えすぎ”ってほどに演奏/アレンジ面が複雑化し、それにあわせて歌メロもそれと呼べるほど歌メロっぽくなく、ただガナっているイメージが強まっていましたが、本作ではその歌メロもキャッチーさが少し復活している気がします。

とはいえ、そこはSLAYERのこと。誰もが歌えるようなポップなメロディではなく、あくまでヘヴィで激しいバンド演奏に寄り添ったメロディにとどまっているのですが、聴いていてなんとなく口ずさめるという点においてはここ数作とは異なる印象があるのも事実。実質オープニングチューン「Repentless」のようなスラッシュナンバーであっても、なんとなく一緒に歌えてしまうのは、ボーカルがハイテンション一辺倒ではなくある程度計算された流れを持っているからだと思うのです。

そういった意味では、彼らのアルバムでもっともヒットした5thアルバム『SEASONS IN ABYSS』(1990年)に近い印象を受けます。もちろん、単なる焼き直しという意味ではありませんよ。SLAYERのアルバムにはどれ1枚として、同じようなものはありませんから(ファン以外にはその微妙な違いはわからないかもしれないけど)。

メインソングライターのひとりであったジェフがいなくなり(本作には1曲のみジェフ作曲による「Piano Wire」を収録)、ケリー・キング(G)とトム・アラヤ(Vo, B)が作曲を担当していますが、正直そこに不安を感じない仕上がりです。次作からはゲイリーもソングライティングに加わるなんていうケリーのコメントもありましたが、そういった点においても「ここから先」が非常に楽しみになる1枚。このバンドはまだまだこんなもんじゃ終わらない。50代になろうが体力が以前よりも落ちようが、限界ギリギリのところまで突き進むんだろうなと。そう実感させてくれる、頼もしいアルバムです。

ちなみに、本作から制作された3本のMVですが(上記リンク)……ホラーやスプラッターが苦手な人は観ないほうがよいかと。かなり振り切った作品で、SLAYER史上もっとも残虐な連作となっております。上記は発表順に並べていますが、ストーリー的には「You Against You」(暴動の1週間前)→「Repentless」(暴動当日)→「Pride In Prejudice」(暴動から2ヶ月後)となっているので、この流れで観るのもありかと。



▼SLAYER『REPENTLESS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 国内盤CD+Blu-ray / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD / MP3

投稿: 2017 07 31 12:00 午前 [2015年の作品, Slayer] | 固定リンク

2016/12/22

SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』(1990)

「SLAYERのアルバムでどれが一番好きか?」と尋ねられたとき、おそらく多くの人が3作目の『REIGN IN BLOOD』(1986年)を挙げるかもしれません。もちろん僕も大好きですし、スピードにこだわったこのアルバムと(こちらは人によってまちまちだけど)重さにこだわった次作『SOUTH OF HEAVEN』(1988年)は合わせて語りたいくらい気に入ってますから。

では、もしこれからSLAYERを初めて聴こうというビギナーに1枚だけオススメするならどれを選ぶか? そのときは残念ながら上記の2枚ではなく、1990年に発表された5thアルバム『SEASONS IN THE ABYSS』を選ぶことでしょう。

『SEASONS IN THE ABYSS』は先に挙げた2作の良い点をうまくミックスした、いわゆるスラッシュメタルが苦手という人にも勧めやすい内容となっています。王道スラッシュチューン「War Ensemble」で始まったかと思えば、続く「Blood Red」は小気味良いリズム感とメロを持つミドルチューン。3曲目に再びファストチューン「Spirit In Black」で盛り上がると、ヘヴィな「Expendable Youth」、不気味さを漂わせるミディアムナンバー「Dead Skin Mask」と、ただ速さで押すわけではないのにスルスルと聴けてしまう。後半は再びスピードナンバー「Hallowed Point」で仕切り直し、以降もスピードと重さが交互に押し寄せて、最後はアルバムのタイトルトラックでもあるムーディー&ヘヴィな「Seasons in The Abyss」で幕を下ろす。全10曲で42分強というトータルランニングも絶妙です。

このアルバムはトム・アラヤ(Vo, B)、ケリー・キング(G)、ジェフ・ハンネマン(G)、デイヴ・ロンバード(Dr)という、いわゆる黄金期メンバーで制作された最後のスタジオアルバム(その後、2000年代に同じ布陣が復活し、2006年に『CHRIST ILLUSION』、2009年に『WORLD PAINTED BLOOD』を制作)で、先に述べたように最盛期を迎えたバンドの姿を記録しようと1991年にはライブアルバム『DECADE OF AGGRESSION』も発表されています。しかし、ここで区切りをつけるかのように、翌1992年のデイヴが脱退。新たにポール・ボスタフを迎えた編成で制作した6thアルバム『DIVINE INTERVENTION』を1994年に発表しますが、ここには『SEASONS IN THE ABYSS』で感じられた親しみやすさ/入りやすさはなくなっていました。以降、バンドとしてはよりヘヴィでハードコアな方向に進んでいくことになります。



▼SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2016 12 22 12:00 午後 [1990年の作品, Slayer] | 固定リンク

2015/01/13

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

Korn「Korn」(Amazon

Machine Head「Burn My Eyes」(Amazon

Madonna「Bedtime Stories」(Amazon

Manic Street Preachers「The Holy Bible」(Amazon

Nine Inch Nails「The Downward Spiral」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Oasis「Definitely Maybe」(Amazon

Pearl Jam「Vitalogy」(Amazon

Pink Floyd「The Division Bell」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Portishead「Dummy」(Amazon

The Prodigy「Music for the Jilted Generation」(Amazon

R.E.M.「Monster」(Amazon

Radiohead「The Bends」(Amazon

Slayer「Divine Intervention」(Amazon

Suede「Dog Man Star」(Amazon

Weezer「Weezer (The Blue Album)」(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。それこそThe Beatlesの「Live at the BBC」、The Rolling Stones「Voodoo Lounge」、Nirvana「MTV Unplugged in New York」、The Stone Roses「Second Coming」といったものから、Marilyn Mansonのデビュー作「Portrait of an American Family」、Sloan「Twice Removed」、Sick of It All「Scratch the Surface」、The The「Hanky Panky」、Bonston「Walk On」、TLC「CrazySexyCool」、Van Halen「Balance」、Beck「Mellow Gold」あたりまで。カート・コバーンが亡くなって20年なんですね。そう考えると20年なんてあっという間ですよ、本当に。

※1/13 17:40加筆修正
Nine Inch Nails「The Downward Spiral」という個人的に絶対に欠かせないアルバムの存在を思い出させてくれたいっしーさんに感謝。というわけで、セレクトを一部改訂しております。

投稿: 2015 01 13 12:06 午前 [1994年の作品, 1995年の作品, Beastie Boys, Blur, Dinosaur Jr., Helmet, Jeff Buckley, Korn, Machine Head, Madonna, Manic Street Preachers, Nine Inch Nails, Oasis, Pearl Jam, Pink Floyd, Portishead, Prodigy, The, R.E.M., Radiohead, Slayer, Suede, Weezer, 「20年前」] | 固定リンク

2006/10/20

LOUD PARK 06 : DAY 2 (2006.10.15)

 「LOUD PARK」2日目のレポートをお贈りします。いやぁ、サマソニと同じような時間からスタートして、終了時間があれよりも遅いんで都内から2日連続で通うとなると、相当な体力が必要ですね……正直まいりました。実際、初日よりは早く目が覚めたものの、会場入りしたら13時半を軽く回ってたもんなぁ。

 じゃ、いきますよ。ワンクッション入れてから始めますんで、メロイックサインの準備を(クドいってばw)。

■UNEARTH [BIG ROCK STAGE]
 新世代スラッシュというよりは、ゴリゴリのハードコア……この後に登場するHATEBREED辺りと同じ流れにいるバンドだな、というのが第一印象。いやぁ、とにかくカッコ良かった。随所でキメキメに登場するツインリードも気持ちいいし、ステージングも良い。ただ、やっぱりというか、このタイプのバンドはこういうデカイとこで観るよりも、狭い小屋(それこそクアトロとか)で最初に観たかったなぁ。

[SET LIST]
01. March Of The Mules
02. Giles
03. Endless
04. Sanctity Of Brothers
05. This Laying World
06. Zombie Autopilot
07. This Glorious Nightmare
08. The Great Dividers
09. Black Heart Now Reign


▼UNEARTH「III : IN THE EYES OF FIRE」(amazon:US盤日本盤


■MASTODON [THE UNHOLY ALLIANCE STAGE]
 来日直前にニューアルバム「BLOOD MOUNTAIN」がリリースされたので、タイミングバッチリでしたね。実際、客も「話題のステージ、見せてもらおうか」的な構える態度で臨んだものの、始まったらみんなそれすら忘れて大暴れ。うん、いい。アルバムどおりにガッツがあって、適度にメタリックで、適度にスラッジーなサウンド。そしてツインボーカルなのもいい。ただ、残念なのはこの日のサウンド。正直ベストには程遠いものでした(翌日のSLAYERでは最高だったからね)。今回はどの公演でも数十分という不完全燃焼なものだったので、2007年にはぜひ単独で戻ってきてほしいところ。期待してます。

[SET LIST]
01. Iron Tusk
02. March Of The Fire Ants
03. Circle Of Cysquatch
04. Aqua Dementia
05. Sleeping Giant
06. Wolf Is Loose
07. Crystal Skull
08. Bladecatcher
09. Colony Of Birchmen
10. Megalodon
11. Blood'N Thunder


▼MASTODON「BLOOD MOUNTAIN」(amazon:US盤日本盤


■THE BLACK DAHLIA MURDER [ULTIMATE STAGE]
 チラッと観ただけ。でも想像してたものとは違ってたなぁ。いや、良かった。ゴリゴリのわりに、正統派っぽい面も見え隠れしてるし、これはアルバムよりも良いんじゃないの? 日本には過去にも来日経験があるんで、それなりに人も入ってましたね。次のアルバム辺りで化けるんじゃないの?


▼THE BLACK DAHLIA MURDER「MIASMA」(amazon:US盤日本盤


■HATEBREED [BIG ROCK STAGE]
 いやぁ、やっと観ることができた。とにかくライブがカッコいいバンドですな。んで、メタルのカテゴリーに入れるバンドでもないよな、と。完全にハードコアですね。客のノリも最高だし、次々に繰り出されるナンバーは、ひたすら圧巻。実際どの曲が演奏されたとかはまったく覚えてないんですがw、それでもカッコいいんだから、あれだ。雰囲気に流されてたところもなきにしもあらずだけど……ホンモノですよ(お前が今更言うな)。テクだとか曲の良さももちろん大切だけど、それ以上に……ステージ上とフロアとの信頼関係というか、それは一番大切なんじゃないかな、という気がしました。


▼HATEBREED「SUPREMACY」(amazon:US盤日本盤


■IN FLAMES [THE UNHOLY ALLIANCE STAGE]
Loudpark1
 いわゆる「メロデス」の先駆者的存在ですよね。俺自身、彼らは'90年代の初期数枚を聴いていただけで、最近のアルバムはPVなどを観る程度でした。が、新作「COME CLARITY」が好きすぎて(メタルだけだったら、今年の10枚に入るね!)ずっと観るのを楽しみにしてました。
 んで、観てみたら……思ってた以上にエンターテイメント然というか、スター性の強いフロントマンがいるバンドだな、と。これは好き嫌い分かれると思うけど、俺は一発で気に入りました。逆にこの手のバンドは閉鎖的な方向に行きがちなのに、そこから上手いことすり抜けてるように感じました。曲もお客とシンガロングできるものが増えてるし、そんな中に挿入される初期のナンバー("Behind Space" とか!)の異物感が……いや、そこまで異物でもないな。思ってた以上に違和感なく、ちゃんと同じところで繋がってるなと、改めて実感しました。うん、カッコいいよ! 他に観たいアーティストがいたので最後まで観なかったけど、絶対に次の単独公演には足を運ぼうと思います。
(備考:写真はライブ後に行われた、イエスパ(Gt)のサイン会より)

[SET LIST]
01. Pinball Map
02. Leeches
03. Cloud Connected
04. Trigger
05. Behind Space
06. Jotus
07. Resin
08. Only For The Weak
09. Graveland
10. Come Clarity
11. Quiet Place
12. Take This Life
13. My Sweet Shadow



▼IN FLAMES「COME CLARITY」(amazon:US盤日本盤


■SURVIVE [ULTIMATE STAGE]
 んで、俺はこのバンドを観るために好きなIN FLAMESを途中抜けしたわけですが。元DEATHFILEのGtが始めた「日本のSOULFLY」なんて呼ばれてるバンド。すでにアルバムを3枚くらい出してる中堅に差し掛かってる存在なんだけど、名前程度しか認識してなかったのね。でも、前評判が気になって足を運んだら……いやぁ、大正解でしたよ。なんだよこれ、メチャクチャカッコいいじゃねぇかよ! 確かに曲によってはSOULFLYを彷彿させるトライバルでパーカッシヴなサウンドなんだけど、さらに「RIDE THE LIGHTNING」の頃のMETALLICAを思い浮かべるメロウなパワーメタル/スラッシュチューンがあったり、歌を聴かせるパワーバラード調ナンバーがあったりで、曲がバラエティ豊かなんだよね。これはいいわ。日本にもこういうタイプのバンドがどんどん増えているのが嬉しいし、こうやって海外のバンドと肩を並べつつあるのが、とにかくいいね。これは今後期待のバンドですね。


▼SURVIVE「SURVIVE」(amazon:日本盤


■KILLSWITCH ENGAGE [BIG ROCK STAGE]
 ニューアルバム「AS DAYLIGHT DIES」リリース直前ということで、お客的にも盛り上がってる時期だったんじゃないかな……いや、俺がそうだっただけなんですが。初めてライブを観たわけですが、いやぁスゴいわ。NAPALM DEATHとはまた違った意味で、この2日間でのベストアクトかもしれない。お客の熱望度(フロアを観ればわかるよそれは)、ステージ袖に見え隠れした関係者・ミュージシャンの数だけでいえば、この2日間で一番だったんじゃないかな。そのちょっと前に観たIN FLAMESも、SURVIVEもあっという間に忘れさせられたというか、いとも簡単に超えちゃったなぁと。もう出だしから背筋がゾクゾクしまくりでした。
 選曲は過去のアルバムからのベストヒット的な内容で、新作のタイトルナンバーが先行披露されたんだけど、「らしさ」満載。もしかしたらこの新作で大化けするかもしれないね。こういうバンドにこそ天下取ってもらいたいなぁ(メンバーの人種含め、いろんな意味で)。いやぁ、次のアルバムでの単独公演、絶対に観に行こう!

[SET LIST]
01. A Bid Farewell
02. Fixation On The Darkness
03. When Darkness Falls
04. Daylight Dies [新曲]
05. Breathe Life
06. Rose Of Sharyn
07. This Fire
08. Take This Oath
09. Life To Lifeless
10. My Last Serenade
11. The End Of Heartache


▼KILLSWITCH ENGAGE「AS DAYLIGHT DIES」(amazon:US盤日本盤


■ムック [ULTIMATE STAGE]
 今年3度目のムック。単独(6月の武道館)、対バンライブ(椿屋四重奏と行った、8月の「音楽と人」イベント)に続いて、2ヶ月おきに観てる彼らだけど、これほどにもアウェイな環境は初めてなわけで、実際どうだったかというと……う〜ん、厳しいなぁと言わざるを得ないかなぁ。演奏もいつも以上に荒かった気がしたし、何よりも音が悪い。そして……こんなにもお客のいないフロアは、この2日間では初めてかも(俺が観てないところで、彼らよりも人が少ないライブはあったかもしれないけど)。セットリストも考えすぎだと思うし、もっとストレートに、ヘヴィな曲多めでやればいいのに……というのが素直な感想です。勿体ないなぁ……あと、Dir en greyのときも思ったけど、日本のヴィジュアル系上がりのバンドは、どうしてもギターの音が細いなぁと。ボーカルもだけど、やっぱり海外のバンドと並んでしまうと厳しいなぁと、改めて実感します。彼らもDirも海外経験があるバンドだけに、この辺は今後の課題なのかな、という気がしました。

[SET LIST]
01. 蘭鋳
02. 茫然自失
03. 幻燈賛歌
04. 裏路地 僕と君へ
05. メディアの銃声
06. 遮断
07. モンスター
08. 嘆きの鐘
09. 大嫌い
10. ズタズタ


▼ムック「6」(amazon:日本盤


■CHILDREN OF BODOM [THE UNHOLY ALLIANCE STAGE]
 チルボドも初めてライブ観たのかな。ていうか……俺、ここ7〜8年まともにメタル系のライブを観てなかったわけで、2006年に入ってからですよ、こんなにもメタルメタル言い出したの。全部「RADIO TMQ」のせいだ!w
 というわけで、チルボド。う〜ん……正直言うと、そこまでピンとこなかったかな。曲自体はそこまで悪くないんだけど、あまり引っかからないんだよね。あと……演奏や歌も荒い印象を受けたし、この手の音の割にもっとストリート寄りな気がしたかな。う〜ん……ゴメンなさい、やっぱり入り込めませんでした。最後まで観ずに、他のフロアへ移動。

[SET LIST]
01. Silent Night, Bodom Night
02. Needled 24/7
03. Living Dead Beat
04. Are You Dead Yet?
05. Sixpounder
06. Angels Don't Kill
07. Hate Me!
08. BBQ
09. Children Of Bodom
10. Everytime I Die
11. In Your Face
12. DownFall


▼CHILDREN OF BODOM「ARE YOU DEAD YET?」(amazon:US盤日本盤


■DIO [BIG ROCK STAGE]
 10年ぶりくらいかなぁ、ディオ御大。前はクラブチッタだったけど、今回はフェスですよ。しかも今回は「HOLY DIVER」完全再現ライブアルバム出した後だけに、その辺の曲が多めに演奏されるのかなぁと期待しちゃうわけですが……いきなりBLACK SABBATHの "Children Of The Sea" からスタート! そして "Stand Up And Shout" 〜 "Holy Diver" て!! 最強すぎる。キーを半音下げてるので、オリジナルバージョンを親しんだファンには違和感あったかもしれないけど、とにかく最強すぎ。あと、2曲くら歌ったら袖に引っ込んで休んでるのもご愛嬌(ていうか60歳過ぎてこれやってるんだもんな、休むわそりゃ)。やたらとドラムソロやギターソロやキーボードソロがあったりで、正直もっと曲をやってほしいと思ったけど、そういうのは "Temple Of The King" 以降の流れですべて帳消しですよ。だって…… "Kill The King" て!!! 号泣モノですよ、ええ。60分くらいやったのかしら、とにかく大満足のステージでした。次はいつ観れるのか(もしかしたら最後かもね)……そう思うと切ないものがありますが、でも観ておいて大正解でしたね。

[SET LIST]
01. Children Of The Sea
02. Stand Up And Shout
03. Holy Diver
04. Gypsy
05. Drum Solo
06. Sunset Superman
07. Temple Of The King 〜 Kill The King
08. Rainbow In The Dark
09. Guitar Solo 〜 Keyboard Solo
10. Catch The Rainbow 〜 Man On The Silver Mountain
11. Long Live Rock'n'Roll
12. Heaven And Hell


▼DIO「STAND UP AND SHOUT : THE DIO ANTHOLOGY」(amazon:US盤


■SLAYER [THE UNHOLY ALLIANCE STAGE]
Loudpark2
 さぁ……いよいよ2日間最後の大トリですよ。帝王の登場ですよ。個人的には1995年以来だと思うので、ホントに10年振りくらいなんですが……しかも今回、オリジナルメンバーだしね。新作出た後だしね。噂では新作からは1曲くらいしかやらないっていう話ですが、それでもいいです! とにかく帝王の姿を拝めるだけで、俺は幸せなのですよ、ええ。
 バックドロップが新作の絵柄に変わると、フロアから大きな歓声が(写真参照。ちょっとわかりにくいけど)。しばらくして、あの印象的なフレーズが会場を覆うわけです……そう、1曲目はいきなり名曲 "South Of Heaven" ですよ!! 大合唱ですよ、ヘドバン大会ですよ、失禁ですよ!(意味不明) とにかく終始首振りっぱなし。正直ね、途中で記憶なくなってるんですよ。当たり前です、ガンガンに頭振りまくってるんだもん、意識が遠のきますよね普通。当の本人たちも相当ヤバかったみたいですよ(翌日、某関係者の方に聞いた話によると、この日のトム・アラヤはかなりお客の熱にやられ、酸欠気味だったそうです。だからつらそうだったのか)。
 トム「次の曲は……」、客「Yeah!」、トム「○○○○〜っ!(曲名を絶叫)、客「ギャーっ!!!」の連続。初期の曲、中期の曲、最近の曲とまんべんなく披露され、まさにベストヒット的な選曲でした。確かに新作からのナンバーはたった1曲のみでしたが、それでも満足だったなぁ俺は。本編最後は "Raining Blood"。で、アンコールラストに "Angel Of Death" というのも最高。なにも思い残すことはありません……とは思ったものの、俺はこの翌日もSLAYERを(しかもワンマンで)観ることができるんだよなぁ……なんて贅沢なんだ俺は!!

[SET LIST]
01. South Of Heaven
02. Silent Scream
03. War Ensemble
04. Blood Red
05. Die By The Sword
06. Hallowed Point
07. Cult
08. Disciple
09. Mandatory Suicide
10. Chemical Warfare
11. Dead Skin Mask
12. Raining Blood
--encore--
13. Postmortem
14. Angel Of Death


▼SLAYER「REIGN IN BLOOD」(amazon:US盤UK盤日本盤


 はい、終了しました。22時すぎに全行程終了。正直こんなに過酷なフェスは今までなかったなぁ。大自然の中特有の過酷さはいくらでもあったけど(でもそれは後になって考えてみれば、全然平気みたいな)、今回ばかりは何度「もう帰ろうかなぁ……」と思ったことか。それくらいキツいフェスでした。ま、俺もすでに30代半ばですし、だから余計にそう感じるんだろうけど、若い子にとってはそこまでキツくもなかったのかな。ま、20近く違うしね(苦笑)。

 正直なところ、海外におけるメタルの盛り上がりっぷりと比べると、若干遅れをとってるなぁと感じていた日本のメタルシーン。日本独自の若手バンドがあまり育っていないというのも大きいし、それに取って代わる存在がDir en greyやムックという「ヴィジュアル系上がり」というのも仕方ないという気がするんだけど……これを機に、もっと盛り上がってほしいなぁというのが本音です。実際、これを心待ちにしていた!という若いファンがいかに多かったことか。こんなにもメタルファンがいたんだ!と改めて思い知らされました。いかにもなメタルファンから、普段UKロックを聴いてそうなオシャレな女の子まで(ってそれ偏見だしw)、幅広い層のお客さんが来ていたのも印象的。ぜひこれ1回で終わらずに、2回3回と続けてほしいなぁ……勿論、続ける上での困難さもわかってますよ(ヘッドライナー不足とかね)。でも、「PUNKSPRING」同様、これは絶対に必要なフェスだと思います。意地でも続けてください、お願いします!

投稿: 2006 10 20 04:15 午後 [2006年のライブ, Children of Bodom, Dio, Hatebreed, In Flames, Killswitch Engage, LOUD PARK, Mastodon, MUCC, Slayer, Unearth] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/10/12

SLAYER『CHRIST ILLUSION』(2006)

 気づけば5年ぶりですか、SLAYERの新作。前作「GOD HATES US ALL」ではドラムがポール・ボスタフだったんだよねまだ。その後にボックスセットが出たり、そのちょっと前にボスタフが抜けて、助っ人でデイヴ・ロンバードが復帰して、気づいたらそのまま居座っていたり。挙げ句の果てに名盤「REIGN IN BLOOD」完全再現ライブをやったり、そのDVDを発表したり。

 でもねぇ……ファンはそういうのを求めていないんですよ(いや、全部嬉しいけど)。最強の布陣に戻ったんだから、ここは一発最強の新作が欲しいわけですよ!

 んで、最初に2006年6月6日(「666」!)に公式サイトでフル試聴公開されたのが、新作収録曲の "Cult" という曲。個人的にはもうこれ1曲でノー問題だったわけ。完全にノックアウトされたよ。良き時代のSLAYERと今のSLAYERがうまく融合されてて、ドラムもちゃんとロンバードのそれだってわかるプレイだったし。確かに「REIGN IN BLOOD」を超えることはないだろうけど、それでも標準ラインはクリアしてるんじゃないかな、と。そう確信したわけです。

 それから2ヶ月後。いよいよリリースされた「CHRIST ILLUSION」は……皆さんの耳にどう響きました?

 俺は……あのね、前もどこかで書いたかもしれないけど、そう簡単に超えられる作品じゃないでしょ、「REIGN IN BLOOD」って。それこそ「SOUTH OF HEAVEN」でもいいし、「SEASONS IN THE ABYSS」でもいいんだけど、あの時代に、あの年齢で、ああいう音を作り上げたっていう事実。それを10年20年、同じテンションで続けることは不可能に近いですよね。勿論それを軽く成し遂げてるアーティストもいるでしょう。けど、このスタイルで20年以上続けてこれたのが奇跡だと思うし(METALLICAやANTHRAXのような音楽性の変化だってあるわけだし)、それこそ全部同じな「金太郎アメ」みたいなアルバムにしてこなかっただけマシなのかな、とも思うし。いや、彼らを庇護するわけじゃないですよ。でも……うん、俺はこれはこれでいいと思ってます、正直な話。

 そりゃね、言い出したらきりがないですよ。不満を覚える箇所もあるし、ここはサイコーっていうパートも曲もある。ファン全員を100%満足させることなんて不可能だし、なんだかんだで文句言ってる奴らって俺と同じ年代の偏屈なオッサンか(笑)、10代の「リアルタイムでは知らないけど(さらにライブ観たことないけど)、メディアが「REIGN IN BLOOD」サイコーって騒いでるから、それと比べたらねぇ?」みたいな輩ばかりなんじゃないかな? 彼らを批判する気も、SLAYERを貶す気もない。俺はこれを現実として受け入れてるし、彼らが今できること・やりたいことをやった結果がこれだとしたら、それ相応の評価をしようと思う。勿論、これが本当に酷い作品だったらこっぴどく貶すけどさ。逆に中途半端に良い作品なもんだから(ヘヴィロック/メタルの範疇で言えばね)、言葉に詰まる場面もあるんだよな。

 ホント、METALLICAが「St.Anger」出したときみたいな変化があったなら、賛否大きく分かれていろいろ書きようがあるんだろうけど……でも好きですよ、これはこれで。つーか40代半ば〜後半のオヤジがいまだにこういうサウンドを続けてること時代が奇跡的だと思うし、そこは賞賛すべきだと思う。ライブじゃテンション保ったまま "Angel Of Death" やら "Chemical Warfare" をいまだに演奏してるんだから。

 あ、そういえば俺、SLAYERのライブってもう10年以上観てなかったんだ。初来日とボスタフでの初来日時のみか……今回は「LOUD PARK 06」と翌日の新木場STUDIO COASTで2夜連続で観ることになるわけですが……ワクワクして眠れない夜が続きそうです!



▼SLAYER「CHRIST ILLUSION」(amazon:US盤日本盤

投稿: 2006 10 12 06:30 午後 [2006年の作品, LOUD PARK, Slayer] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/25

是非これを機にSLAYERも聴いてみて!

Meat Beat Manifesto、スレイヤー、チャック・Dらの共演作リリース!(CDJournal.com)

 DJ SpookyがSLAYERのドラマー、デイヴ・ロンバードと共作アルバムを作るってだけでドキドキもんなのに、そのプロデュースを担当するのがMEAT BEAT MANIFESTOのジャック・デンジャーですよ! すげぇ! ヨダレが出る!!

 DJ Spookyのビートに、デイヴの超高速ドラムが絡んで、それをジャックがデジタルに仕上げる‥‥のかどうか判りませんが、相当『ビート』に拘ったスッゲー作品になるの間違いなしですな。

 しかも参加メンバーも豪華。ギターにLIVING COLOURのヴァーノン・リード参加ですよ。しかもPUBLIC ENEMYのチャック・Dまで! ホント凄そうだなぁ、これ。とりあえずチャック・D参加のシングル曲「B-Side Wins Again」が3/8に、そしてフルアルバムの方は4/26にそれぞれアメリカでリリースになります。

 あと、本家MEAT BEAT MANIFESTOの新作も5/24に出るそうなんで、こっちも楽しみ。フジロックとか来ないかなぁ。むしろ「DJ Spooky vs. Dave Lombardo (Slayer)」名義で来て欲しいくらい。久しくSLAYERは観てないし、デイヴのドラムも1990年のSLAYER初来日以来観てませんからね。期待したいところ。

※所属レーベル「THIRSTY EAR RECORDINGS」のaudio visualページにて、当の "B-Side Wins Again" を含む3曲の試聴(MP3音源)が1分少々可能になってます。おお‥‥こういう感じなのか。カッコいいじゃないですか!



▼DJ Spooky vs. Dave Lombardo「B-SIDE WINS AGAIN」EP(amazon

投稿: 2005 02 25 08:31 午後 [Slayer] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/27

とみぃ洋楽100番勝負(39)

●第39回:「Angel Of Death」 SLAYER ('86)

 高校に入学して最も嬉しかったのは、他所の中学から沢山の、いろんな趣味を持った人間が集まってくること‥‥つまり、その中には自分と同じような「好みの音」の人や、まだ自分が未開拓な世界を知っている人がいるってことですよ。

 THE SMITHSとほぼ同時期に、このSLAYERも高校で知り合った友達に聴かせてもらったんですよ。というかレコード借りたんだ。しかも相手は女の子で。その子からはQUEENSRHYCHEとか初期ANTHRAXとか守護神伝パート1の頃のHELLOWEENとか、いろいろ教わったなぁ‥‥一緒にHELLOWEENの初来日公演にも行ったもんな。

 という昔話はこっちに置いといて‥‥

 「とにかく速いよ、METALLICAより速いから!」というリコメンドをいただいてから借りたSLAYERの3rdアルバム「REIGN IN BLOOD」‥‥速い。確かに速いよ。けどさ‥‥メチャクチャ残虐だよね、音が。今まで聴いてきたスラッシュメタルってのは一体何だったの!?と思わせる程に、速くて暴力的で殺傷力抜群。だって歌い出しがいきなり「アウシュビッツ!」だもん‥‥そりゃ衝撃以外の何ものでもないでしょ?

 アルバム通しても30分に満たないんだよね、このアルバム。しかもラストの「RAINING BLOOD」が終わると、エンドレスで雨の音が。CDだと途中で切れちゃうんだけど、俺何も知らなくてさ‥‥ダビングしてる最中に寝ちゃって(寝るなよ)‥‥そしたら46分テープ、残り10分近く、ずっと雨と雷の音が入ってて、知らずにテープ聴いてチビりそうになったことあったっけ。

 全曲オススメだけど、やはり『スラッシュメタルの何たるか』を具体的に表現したという意味で、この "Angel Of Death" を最初に聴いて欲しいな。ほぼ同時期にデビューしたMETALLICAが、このアルバムと同じ時期に「MASTER OF PUPPETS」という大作主義/プログレッシヴな様式美を追求して、もうひとつの『スラッシュメタルの在り方』を表明したのが、非常に興味深いよね。



▼SLAYER「REIGN IN BLOOD」(amazon

投稿: 2004 09 27 12:00 午前 [1986年の作品, Slayer, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2001/09/03

SLAYER『GOD HATES US ALL』(2001)

SLAYERオリジナルアルバムとしては通算8作目、前作「DIABOLUS IN MUSICA」から約3年振りとなる快心の1枚。当初、今年の前半に出るのでは?と噂されていたが、最後まで曲順を決めかねたというし、アートワークの遅れ、更には配給元の変更(ソニー→ユニバーサル)等もあり、8月末にここ日本で行われた本邦初のヘヴィロック・フェス『BEAST FEAST』から遅れること数日後にやっとリリースされたわけだ。

さて、まず最初に‥‥ここ1年、俺の中ではヘヴィロックというものが盛り下がっている。理由のひとつとしてPAPA ROACHやLINKIN PARKといった亜流の出現が大きい。勿論、それらのバンドにはいい曲があるし、嫌いではないのだが‥‥単純に「材料」としてヘヴィな音像を利用しているだけで、心の底から「重さ」や「狂気」といったものが感じられないのだ。人間、本当に恐怖や狂気を感じると、そしてそれが度を超したものだと‥‥笑ってしまうと思う。よくイっちゃった人が笑いながら人を刺す、なんて話を耳にすると思うが(なんちゅう例えだよ/苦笑)、俺が心底響いたヘヴィロックを聴いた時って、必ず笑ってしまうのだ。それもニヤニヤではなく、腹の底から。ここ1年を振り返ってみても、そんなアルバムなんて昨年後半ではSOULFLYの「PRIMITIVE」だけだったし、今年に入ってからはSLIPKONTの「IOWA」までなかった。そして、このSLAYERの新作もそれに値する、馬鹿馬鹿しいまでに狂った音を奏でているのだ。

一般的にSLAYERは'86年リリースのサードアルバム「REIGN IN BLOOD」にてそのスラッシュメタルバンドとしてのスタイルを確立させたと言われている。確かにこれは頂点に値する名盤だと今でも思う。馬鹿馬鹿しいまでにスピードに拘り、全10曲で30分にも満たないその構成に、当時は衝撃を受けたものだ。その後のSLAYERはより重さを強調した「SOUTH OF HEAVEN」('88年当時は「全然速くない」と酷評されたが、今聴くとそうは感じない)を経て、集大成的な5作目「SEASONS IN THE ABYSS」でセールス的にも成功を収める。またこのアルバムを引っ提げて'90年12月には初来日。俺もこの時足を運んでいるが、METALLICA初来日に匹敵するだけの衝撃を受けた。

2枚組ライヴ盤「DECADE OF AGGRESSION」発表後に超凄腕ドラマーのデイヴ・ロンバードが脱退し、現在のポール・ボスタフ(元FORBIDDEN)が加入。'94年に通算6作目「DIVINE INTERVENTION」を発表、初の全米アルバムチャート・トップ10入り(8位)を果たす。翌年末にはGREEN DAYやOFFSPRINGといった「ライト・パンク」勢に対して「あんなのパンクじゃねぇ。これが本当のパンクってもんだ!」という姿勢を打ち出したパンク/ハードコアのカバー集「UNDISPUTED ATTITUDE」を発表。この頃から、メタル的イメージで語られる事の多かったSLAYERに、ハードコア的要素が更に加わるようになる(それは前作から表出していたが)。そして'98年夏には7作目「DIABOLUS IN MUSICA」を発表し、アルバム発売記念として日本のハードコアバンド幾つかと一緒にイベントを行ったりして、メタルだけでなくハードコアやヘヴィロック勢にもアピールする存在として、現在まで突き進んできた。

そう考えると、SLAYERというバンドは常に「攻め」続けてきたというイメージがあり、これまで一度たりとも「守り」に入っていないのである。既に結成20年を越え、来年辺りにはボックスセットのリリース予定もあるのだが、例えば登場当初「スラッシュ四天王」と呼ばれたMETALLICA、ANTHRAX、MEGADETHと比べると、その違いに気付くことだろう。METALLICAみたいな音楽的変化はこれまで1度もないし、ANTHRAX程多彩な音楽要素もなく、MEGADETHのようにクスリで潰れるようなこともなかった。職人的イメージ、ミュージシャンズ・ミュージシャン的存在として多くの若手から支持されているのかもしれない。METALLICAを除けば唯一メジャーレーベルに残っているのが彼らで、毎回安定したセールスを記録している。というか、ここまでブルータルでエクストリームな音楽をやっているにも関わらず、何故ドロップされないのかが不思議だ。サードアルバムなんて当初「ソニー」配給でリリースされる予定だったのが、歌詞の問題で拒否され、急遽ゲフィンからリリースされた、なんて話も今となっては懐かしい限りだ。

その「攻め」の姿勢は、今なお健在だ。アルバム1曲目"Darkness Of Christ"からいきなり高速チューン炸裂‥‥なのだが、この曲、ラジオから聞こえてくるような音像処理をしていて、どうしてももどかしさを感じてしまう。もっと爆音を‥‥もっと激しい音を‥‥と思っていると、すぐさま2曲目"Discipleに突入。2バスのブラストビートに唸る。前半は重さにポイントを置いたヘヴィロック的展開だが、途中から高速化し、ギターソロではお馴染みのアーミングに「いつものSLAYERが戻ってきた!」と大興奮。そう、全15曲(国内盤は13曲+ボーナストラック2曲)どこから聴いてもSLAYER以外の何者でもない音なのだ。勿論、新しい要素は毎回少しずつ注入されているのだが、別にMETALLICAみたいに鞍替えしたかのような印象なんてなく、「あ、そういえばあったっけ、そんな要素」くらいのもんなのだ。このアルバムにも昨今のヘヴィロックからの影響を匂わせる要素があるが、別にどうってことはない。前作以上にハードコア色が強くなり、メロディーも印象に残らない程(笑)ないに等しい。けど、SLAYERにそんなもん、端から求めてないって。どれだけ聴き手を興奮させるか、どれだけ俺を笑わせるか‥‥そうさせたもん勝ちなのだ。

確かに新作は名盤「REIGN IN BLOOD」を越えていない。けど、そんな問題じゃない。あれと同じ事を続けていたら、きっと彼らだってここまで存続しなかっただろう。年相応の深みがちゃんとこのアルバムにはある‥‥けど、他の30代後半~40代の方々と比べると、その表現方法がちょっと‥‥いや、かなり過激なだけだ(笑)。普段メタルしか聴いてないような人だけでなく、いつもはSLIPKNOTや日本の若手ハードコアなんかを聴いてるような10代の子達にこそ聴いて欲しい。今更スラッシュメタルなんて言葉を持ち出して彼らは凄かったなんて言いたいわけじゃない。今でも凄いのだ。これで十分だろ!?



▼SLAYER『GOD HATES US ALL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2001 09 03 04:31 午後 [2001年の作品, Slayer] | 固定リンク