2017/10/26

SLIPKNOT『SLIPKNOT』(1999)

1999年夏にリリースされた、SLIPKNOTの記念すべきデビューアルバム(その3年前、彼らは『MATE. FEED. KILL. REPEAT.』という自主制作盤を発表していますが、メンバー的にもかなり異なることもあり、現在は同作のことをデモ音源集のような呼び方をしてるみたいです)。日本でもアメリカに数ヶ月遅れてリリースされ、2000年2月には早くも初来日が実現しています(当時は大阪BIG CATと渋谷CLUB QUATTROという、今じゃ考えられないキャパで公演を実施)。

ボーカル、ギター×2、ベース、ドラム、パーカッション×2、ターンテーブル、サンプラーという異色の9人編成で、メンバー全員がお揃いのツナギに猟奇的なマスク姿という個性的なルックスでまず目を引くと、次第にその中身(音)のほうにも注目が集まり始めます。なにせアルバムのプロデューサーがKORNSEPULTURAAT THE DRIVE-INLIMP BIZKITで名を馳せたロス・ロビンソンだっていうんですから、そりゃあモダンメタル、ヘヴィロック好きならピンと来るわけですよ。

で、実際初めて聴いたとき……確かにスピード感はすごいんだけど、音数のわりに音が軽いなぁと。正直、最初はそこまでピンとこなかったんです。とはいえ、「(sic)」の狂気性、ドラムンベースをフィーチャーした「Eyeless」の振り切れ方は素直にカッコ良いと思いました。でも、このバンドの本質はそこだけじゃないんですよね。

それは4曲目「Wait And Bleed」や8曲目「Purity」のように、クリーントーンで歌われるメロディアスな楽曲もこのバンドの大きな武器だってこと。初めて「Wait And Bleed」を聴いたときは「こんなにセンチメンタルなメロディを、こんな気の振れたバンドが歌っても大丈夫なん? イメージ違いすきない?」と不安にもなりましたが(なぜお前が不安になる)、アルバムを通して聴いていくうちに「ああ、このアンバランスさが良いんだな」と気づかされたわけです。

音の濁り方はKORNの1stあたりに比較的近いんですが、とにかくドラムの音が軽い。METALLICA『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)までとは言わないものの、正直重さを求めている輩には軽すぎるんですわ。けど、この突き抜けるような疾走感には実はこの音が正解なんですよね。たぶん次作品『IOWA』(2001年)の音じゃダメなわけ。今ならよくわかります。

先に挙げた楽曲に加え「Surfacing」「Spit It Out」など、今でもライブで披露される機会の多い代表曲がずらりと並ぶ、「まずこれから聴け!」ってくらい彼らを知るうえで欠かせない1枚。間違いなくその後のヘヴィロック/メタル/ラウドロックにとって教科書的な役割を果たしたはずです。すでに発売から18年経ってるけど、今聴いても新鮮な驚きの多い傑作です。



▼SLIPKNOT『SLIPKNOT』
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投稿: 2017 10 26 12:00 午前 [1999年の作品, Slipknot] | 固定リンク

2017/07/08

STONE SOUR『HYDROGRAD』(2017)

SLIPKNOTのフロントマン、コリィ・テイラー(Vo)による別バンド、STONE SOURの4年ぶり、通算6枚目のスタジオアルバム。前々作『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 1』(2012年)および前作『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 2』(2013年)が連作かつコンセプチュアルな作品だったこともあり、無駄に小難しさを与えてしまった印象もなきにしもあらずですが、そういうこと抜きにしてもよくできたヘヴィロックアルバムだったんですけどね。ただ、個人的には半年というスパンで2枚のアルバムを出す理由がいまいち掴めなかったというか。だったら2枚同時か2枚組にしてほしかったなと。1年ぐらい間が空けば1枚1枚をじっくり楽しめたと思うんですが、そこまで体に馴染む前に新しいのが出ちゃって、結局そこまで両方楽しめなかったというのが本音なので。

で、STONE SOURとしてはその後、HR/HMの名曲たちをまんまカバー(というかほぼコピー)した2枚のEP(『MEANWHILE IN BURBANK…』『STRAIGHT OUTTA BURBANK…』)を2015年に発表し、そこから1年半経った今年6月末にこの『HYDROGRAD』というオリジナルアルバムを発表したわけです。

えーっと、最初に聴いたときはとにかく驚きました。いや、驚いたというよりもぶったまげた、と言ったほうが正しいか。良い意味で予想を裏切ってくれた、清々しいまでにまっすぐなHR/HMアルバムなんですよこれが。

SLIPKNOTと比べれば存分にメロディアスなんだけど、やはり餅は餅屋というか、特に前2作にはヘヴィさや重苦しさがつきまとっていたわけです。ところが、HR/HMの名曲コピーに勤しんだこともあり、今作では自らのルーツに立ち返ったと言わんばかりに、シンプルでど直球なストリングスタイルのHR/HMを聴かせてくれるんです。もちろんアレンジにおける味付けには現代的なフレイバーが散りばめられていますが、それは許容範囲内。30〜40代のリスナーが進んで楽しめる要素が芯にしっかりあるから、問題なく楽しめるわけです。

コリィの歌唱スタイルやメロディの運び方、そしてメロディアスかつフラッシーなギタープレイ含め、ここにあるのは間違いなく80年代の黄金期の影響下にあるHR/HM。スタート時こそ90年代のオルタナロック〜グランジからの影響が強かったものの(もちろん本作にもその要素はしっかりありますが、それ以上に王道色のほうが強い)、ここで一気に開き直ったというか先祖返りしたというか。ホンモノが求められるこんな時代だからこそ、彼らのようなバンドがこういう音を鳴らしてくれるのは本当に嬉しい。これを聴いたからって、別にSTONE SOURがNICKELBACKになったとは誰も思わないって(笑)。

70分近くもある大作(全15曲入り)ですが、珍しく最後まで飽きずに楽しめる1枚でした。しかも日本盤にはさらにボーナストラックとして、VAN HALEN「Unchained」のカバーを追加。これも先のカバーEPの名残りですね。おまけとしては十分。ぜひ日本盤で購入することをオススメします。



▼STONE SOUR『HYDROGRAD』
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投稿: 2017 07 08 12:00 午前 [2017年の作品, Slipknot, Stone Sour] | 固定リンク

2006/08/07

STONE SOUR『COME WHAT(EVER) MAY』(2006)

 '70年代チックなジャケットを見た瞬間、「お、これってストーム・トーガソン‥‥いや、違うな。誰だろう。見覚えあるんだけど‥‥」っていう思いが頭の中を巡ったんだけど‥‥そう、そんなアルバムなんです。

 コリィ・テイラーとジェイムズ・ルートがSLIPKNOT加入前からやっていたバンド、STONE SOUR。4年前のデビューアルバムに続くこの「COME WHAT(EVER) MAY」は、'70年代的なハードロックを21世紀の手法でアレンジしたアルバムと言えなくないかな。どうしてもSLIPKNOTとの比較をしちゃうんだけど、あそこまでハードコアな要素はないし、もっとオールドスクールな印象が強いんだよね(もちろん良い意味で)。コリィが終始歌おうとしてるってのも大きいけど、ギターひとつ取ってもメタル/ラウドロックというよりは(いや、ラウドロックのそれなんだけどさ)もっとハードロック的な要素が強く感じられるんだよね。なんていうか、聴いていてとても安心するというか‥‥ま、俺がそういうロックを通過してるから、単にそう感じるだけなんだろうけどさ。

 ハードコアなSLIPKNOTファンからすればこれはヤワな音楽って映るのかしら。正直そういうファンや若い子たちがどう感じるのかは、俺には一切わからない。ただ言えることは、素直にカッコいいと思える音楽をやってること。これは確かにSLIPKNOTと比較すりゃあ『息抜き』なのかもしれない。でも、その息抜きがこのクオリティなんだから、その本気度は十二分なはず。下手なラウド系を比較するのが申し訳なく思えるほどに、カッコいいし。

 やっぱりこのコリィ・テイラーって人は『Motherfucker』って叫ぶのが似合うよな。と同時に、前作で見せた側面(そしてそれをSLIPKNOTにも持ち帰った)‥‥『静』の要素も彼ならではのもの、と改めて実感したよ。"Sillyworld" しかり、"Through Glass" しかりね。こういった曲で見せる顔は、完全に'70年代のハードロックバンドのそれなんだよね。だから、ついつい嬉しくなっちゃうという。

 このアルバムが米・Billboardのアルバムチャートで初登場4位にランクインしたそうです。それも納得の作品ですわ。昨年はSLIPKNOTで、今年はSTONE SOURで出演するサマソニが今から楽しみでなりませんな。

 そうそう、先のジャケットの件。手がけたのは「Hugh Syme」でした。納得。



▼STONE SOUR「COME WHAT(EVER) MAY」(amazon:US盤日本盤

投稿: 2006 08 07 10:43 午後 [2006年の作品, Slipknot, Stone Sour] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/20

とみぃ洋楽100番勝負(94)

●第94回:「Eyeless」 SLIPKNOT ('99)

 RAGE AGAINST THE MACHINEの大成功以降、いろんなヘヴィロックバンドが世に現れ、そしてチャート的に成功を収めるわけじゃないですか。KORNにしろ、LIMPBIZKITにしろ、あるいはジャンルこそ異なるもののTOOLであったりMARILYN MANSONであったり。ひとつが当たると、また別のものといった具合に。さすがに胸焼けがしてもう受け付けなくなりつつあった中、'99年にもの凄いバンドが登場してシーンにトドメを射すわけですよ。エンターテイメントとハードボイルドな世界観を両立させた、もの凄くカッコ良くて、もの凄くアホな存在。それが俺にとってのSLIPKNOT。

 最初はNMEか「ケラング!」に付いてたサンプラーCDに入ってた音源が切っ掛けで。ルックスもさることながら(9人全員がオレンジの繋ぎとひとりひとり異なるマスクというコスチューム)、その音‥‥判りやすいようで、それでいて殺傷力抜群のサウンド。ただ叫んでるだけかと思うと、急にメロディアスになって歌い上げる展開。曲によって完全にメロコア調だったり、ドラムンベースっぽい要素があったり、ただのハードコアだったりデスメタルだったり。それまでのバンドにありそうでなかった音。それがSLIPKNOTだったわけですよ。

 判りやすいキャラ作りはKISS等から受け継いだものだし、ライヴでのアトラクション(ドラムセットが回転したり、パーカッションがせり上がったり等)はMOTLEY CRUE譲り。そして音はスラッシュやデスメタル、ハードコアやグラインドコア‥‥重さやグルーヴ感を重視したそれまでのヘヴィロック勢とは一線を画するわけですよ。だからこそインパクト絶大だったわけで。もうその登場の時点で勝利は決まったようなもんですよ。

 紆余曲折ありながらも現在まで第一線で活躍している。それ自体が凄いことだと思うし、その上ハイクオリティを維持している。音楽性は徐々に変化を見せているものの、それは単に彼等が企画ものではなく、真のミュージシャンであったことを表しているだけなんですよね。もう1stの頃みたいな初期衝動性を体験することはあり得ないだろうけど、それでも俺は彼等を支持し続けますよ。



▼SLIPKNOT「SLIPKNOT」(amazon:通常盤DVD付限定盤

投稿: 2004 11 20 12:00 午前 [1999年の作品, Slipknot, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/30

洋楽カレンダー事情

 さて。今年もあと2ヶ月ってことで、新年に向けていろいろ準備を始める人も多いんじゃないでしょうか。カレンダーもそのひとつですよね。わざわざ買う人もいれば、他所から貰ってきたもので済ます人もいる。人によってその重要度が全然違う一品ですが‥‥洋楽ファンにとってのカレンダーってどうなんでしょう? ビートルズくらい? いや、ブリトニー・スピアーズとかあの辺の女性シンガー系はあるんでしょうけど‥‥

 というわけで、海外制作の、日本からすれば「そんなアーティストのカレンダーなんかあるのかよ!?」みたいなものを幾つか紹介します。全部Amazonで買えるようになってますよー。



▼INCUBUS 2005 CALENDER(amazon



▼KISS : ROCK THE NATION 2005 CALENDER(amazon



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 つーかSYSTEM OF A DOWNのカレンダーって需要あるのか!? オジーは判るけど。意外とMETALLICAとかあってもおかしくないんだけどさ、やっぱり版権問題かしら!?

 さて、貴方の心に響くカレンダーはあったでしょうか‥‥誰か俺用にSLAYERカレンダーとか作ってください(特に初期)。

投稿: 2004 10 30 02:56 午前 [Incubus, KISS, Ozzy Osbourne, Pantera, Rob Zombie, Slipknot, System of a Down] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/05/24

SLIPKNOT『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004)

バンドがビッグになるに連れて、いろんな煩わしさと対峙していかなければならないのはもはや必然というか‥‥いや、可能ならばそういった音楽以外の煩わしさからは距離を取って、ただひたすら作品作りとライヴにのみ集中できればいいんだけどね。けどそうもいかないのが、この世界。それをただ「芸能界チック」云々で切り捨てて、小さい世界の中で殻に籠って同じ穴の狢相手にチマチマ活動をするのもいいでしょう。それはそれで否定しないよ。けど俺はそういった人種には惹かれない‥‥それだけのことです。

SLIPKNOTが前作「IOWA」リリース前後からかなりヤバい状態だった、というのは既に周知の事実なわけで、それはここ2年くらい(=バンドとしてのツアー終了後)の各メンバーの精力的なソロ活動(ジョーイによるMURDERDOLLSやコリィによるSTONE SOUR、ショーンによるTO MY SURPRISE、シドによる変名DJ活動・DJ STARSCREAM等)をみればお判りでしょう。バンドから距離を置きたい、あるいはもうウンザリしているメンバーもいたかもしれない‥‥事実、コリィは2002年末にSTONE SOURの公式サイトで「SLIPKNOTはあと1枚アルバムを作って、そのツアーをやったら解散する」って自ら発言しちゃったしね(後に撤回)。そのくらい、いろんな意味で追い詰められていたんだろうな、と想像に難しくないわけで。

バンドは2003年も活動することなく、その年の夏には各メンバーのユニット/バンドで夏フェスに出演する予定でした。ここ日本の「FUJI ROCK FESTIVAL 03」にも最初STONE SOURの名前が挙がり、後にMURDERDOLLSの名前もアナウンスされました。が、後に双方キャンセルに。理由は「SLIPKNOTのアルバム作りに突入する」から。急に決まったかのようなこの事実。多分、メンバーとしても「このタイミングを逃したら、もう‥‥」みたいに感じてたのかもね。

その後、プロデューサーに過去2作を手掛けたロス・ロビンソンではなく、SLAYERやRED HOT CHILI PEPPERS、SYSTEM OF A DOWNといったラウドロック界の名プロデューサー、リック・ルービンを迎えていることが発表され、2004年前半にリリースされるだろうことも判明。更に2004年1月末から日本で開催される「SONIC MANIA 04」への出演も決定。レコーディングをそれまでに終了させる予定だったのか、それとも合間に抜けて息抜きのつもりだったのかは判りませんが、とにかく約2年振りの来日が決まり、急に慌ただしくなり始めたんですよね。

ところが、その来日は実現しませんでした。理由は「アルバム作りに専念したい」から。相当アルバム作りに集中したかったのか、それとも予定より難航して遅れていたのか‥‥とにかく、この時点でアルバムリリースが「GW明け=5月中旬にリリース」という新しい情報も。間違いなく、2004年前半の山場のひとつになるに違いないアルバムの登場を、今か今かと我々は待ち続けたのでした。

そして今、俺はそのSLIPKNOTのサードアルバム「VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)」を何度もリピートしています。うん、これは間違いなくSLIPKNOTのアルバムだ。と同時に、これまでのSLIPKNOTからすれば「らしくない」新しい要素も数多く発見できる、非常に興味深い内容になってます。

まず、史上最強(狂)だった前作「IOWA」と比べれば明らかにブルータル度が減退しています。レコーディング中のメンバーに花瓶を投げつけてわざと怒らせてレコーディングさせたという曰く付きの前作とは異なる作風‥‥プロデューサーが変わっているんだもん、そりゃ異なるでしょう。今回、バンドが何に対して怒りを覚え、そしてそれを音にぶつけたのか‥‥いや、もしかしたらそんなに怒ってないかもしれない。判らないけど。ただ、明らかに「SLIPKNOTの音」ですよね。残虐度はかなり下がったものの、それでも十分にヘヴィだし(ま、普段からこの手の音楽ばかり聴いてる人にとっては物足りないんでしょうけど)。全米チャートのトップ5入りを果たしたバンドの3作目と考えれば、この変化は自然な流れかな、とも思います。

この手のバンドの場合、1枚目で衝撃的なデビューを飾り、2作目では更に衝撃度を追求した作品作りに走り、3作目で「(1)よりポピュラリティーある方向へ進む」「(2)迷いが生じていろいろ実験をした意欲作を生む」「(3)とりあえず前作の延長線上にある作品を増産する」のどれかに分岐する、というパターンが多いと思います。KORNなんて正に(1)だし、limpbizkitは典型的な(3)でしたし。で、SLIPKNOTの場合はというと‥‥これ、(1)と(2)の中間かな、という気がします。

いきなりダークでドゥーミーなゴシックソング "Prelude 3.0" からスタートした時点で「あ、すっげー悩んで考えた構成だろうな?」と感じましたね。こんな変化球する必要ないのに‥‥要するに、今1stや2ndでやったようなことをまた再現することは、「2004年のSLIPKNOT」にとっては自分を偽っていることになっちゃうんでしょう。勢いだけで圧せる、そんな時代は終わったんだ、と。これって結局、各メンバーのソロ活動も影響してるんでしょうね。

で、全体的な印象として比較的スピード感を抑えたようなイメージが。暴虐性が薄れたと感じたのは、この辺の影響もあるのかな、と。ブラストビートが心地よくひたすら突っ走るような印象の "Three Nil" にしろ、どこか考え尽くされた印象があるし。とにかくひと捻りもふた捻りもあるアレンジの曲が多いかな、と。

スピードを抑えた反面、直線的だったSLIPKNOTのイメージが、ちょっとだけグルーヴィーになった印象を受けた‥‥それもこのアルバムから感じられた新しいイメージ。ミドルの曲からそういったものを若干感じ取れたんですが、これはやはりリック・ルービンによるものなのかな? いやよく判らないけどさ。そんな印象があるからさ。

あとはね、メロディアス度が急上昇してますよね。スローな曲(中にはアコースティック・バラードまで!)がかなり増えたこと、1曲のヘヴィソングの中に急にポップでメロウなラインが登場する "The Nameless" みたいな曲もあるし、イントロのツインリードがメロデス(メロディック・デスメタル)並にメロウなハーモニーが登場する "Opium Of The People" とか、これまでには考えられないような新境地がそこら中に散りばめられてます。が、聴き終えた後の感想は「あーSLIPKNOTのアルバムだー」というもの。けど、過去2作を聴き終えた時に感じた爽快感みたいなものは今回感じられませんでしたね。

バンドとして相当煮詰まっていたんだろうな、試行錯誤したんだろうな、というのがここまで感じられる作品も珍しいですよね。これ、ファンには賛否両論激しい1枚になると思いますよ。ただ激しいだけの作品を期待してたファンからは「ぬるい!」と一喝され、1stにあったような「絶妙なメロディアスさ」を求めるファン(=2nd否定派)からは「もうダメぽ」と切り捨てられる‥‥そんな運命を辿りそうな予感が‥‥

けど、俺に関して言えば‥‥これ、かなり気に入ってますよ。まぁ前作を超えてはいないと思うし、現時点では1stとどっちが上かと言われれば、まぁ1stと答えちゃうんですけど、それでもこれ、かなりリピートしてますよ。まぁ俺がだんだんとこの手のラウド系から離れていってるので、そういう人にとっては非常に親しみやすい内容になってるかな、と。これまでこのバンドに対して嫌悪感を持っていた一部の層にも結構アピールする内容じゃないかな、と感じてます。

METALLICAだって3rd以降はアルバムをリリースする度に旧来のファンから非難され続け、どんどん古いファンが離れていったにも関わらず、それと引き換えにチャート上でどんどん成功していき、その数倍以上もの新しいファンを獲得していった。MEGADETHもそうでしょう。恐らくこのSLIPKNOTも(もしこの先も活動が順調に続いていくなら)そういう道を辿っていくのかもしれませんね。まぁこのバンドが数年後に「LOAD」みたいなアルバムを作っているとは想像できませんけどね。



▼SLIPKNOT『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』
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投稿: 2004 05 24 01:16 午後 [2004年の作品, Slipknot] | 固定リンク

2003/12/24

SLIPKNOT『IOWA』(2001)

やぁみんな。こんなクリスマスイブの晩にこれを読んでくれてありがとう! 今日は意図的に更新を遅らせました。そう‥‥こんなイブの晩に誰とも会う予定もなく、ひとりしょぼくれてるあなたのために‥‥特別だぜ?

さて、そんなイブの日に紹介する作品‥‥そう、名盤中の名盤ですね! 世界一ポップなグループによる、世界一ポップなアルバム。それがこのSLIPKNOTが2001年にリリースしたセカンドアルバム「IOWA」です。実はリリース当時('01年9月)、このアルバムのレビューに取りかかり、アップ直前までいったんですよ‥‥そう、アップ予定だったある日(9/11)の晩に、あの事件さえなければ‥‥あんな悲惨な事件があった日に、こんなにポップで心弾むアルバム、みんな聴きたくないだろうし、そんなアルバムを全面的に肯定し、大絶賛するアルバム評なんて読みたくなかったでしょ? だからね、消去したのよ。自分の中では、それはもう最高の紹介文だったんだけどね‥‥タイミングが合わなかったな、と。当時の自分の精神状態と求めていた音が見事一致した瞬間だったのに。

もうね、このアルバムの何が凄いって、ルックス的にも世界一ポップなバンドであるSLIPKNOTが、前作以上にポップなアルバムを作ってしまった点、そしてそれが世界的に受け入れられてしまった点でしょう。全米初登場4位でしたっけ? 彼らの所属する「ROADRUNNER RECORDS」って一応インディーズですよね? ファーストだってここまでバカ売れしたわけじゃないでしょ? 完全にライヴと口コミだけで彼らの人気が広まったわけですよね‥‥それでこの結果。まぁ世界一ポップなんだもん、売れなきゃ嘘ですよねっ!

いきなりトップからフルスロットルですよ、エンジン全開ですよ! "People=Shit" という素晴らしいタイトルのポップソングで胸を鷲掴みにされ、そのままの勢いでひたすら突っ走り、途中 "Gently" といった穏やかな曲もありつつも、全体的にはワクワクするようなポップソングで占められている約60分‥‥凄いですよねっ! あ、後半に行くにつれてミドルテンポの曲が増えていって、最後がタイトルトラックで終わるという構成も凄くいいですよねっ! 何か、これぞ理想的なポップアルバムといった感じで、とても好感が持てます。

きっとポップミュージックが大好きなあなたなら、もう既に散々聴き込んだ作品でしょうけど、こんな聖なる夜だからこそ、改めてその良さを再確認したい1枚ですよね。もうなんていうか‥‥聴いてると隣にいる人に殴りか‥‥じゃなくて、抱きしめたくなる作品。こんな素敵なアルバム、年に1枚あるかないかじゃないですか? 最近だとMETALLICAが「St.Anger」といったアルバム、KORNが「TAKE A LOOKIN IN THE MIRROR」なんていう限りなく素敵なポップアルバムをリリースしたばかりですが、やはりいろんな意味でここ数年、これを超えるような「メジャー感に溢れたポップな」アルバム、出てないですよね? そんな時代だからこそ、彼ら自身にこの壁を乗り越えてもらいたいな‥‥サードアルバムで。そう思うんですよ。いや、もしかしたらSLIPKNOTのことだから、壁を乗り越えないでそのままぶち破っちゃう可能性大ですけどねっ!

いやぁ‥‥それにしても愉快なアルバムだ。何度聴いても素晴らしい。今夜は俺と一緒にこのアルバムを大音量で聴きながら、聖なる夜を祝おうではないですか‥‥











ちゃんとネタだって気づいてくださいね?(号泣)



▼SLIPKNOT『IOWA』
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投稿: 2003 12 24 01:09 午後 [2001年の作品, Slipknot] | 固定リンク

2002/03/25

SLIPKNOT JAPAN TOUR 2002@東京ベイN.K.ホール(2002年3月23日)

このライヴって本当なら11月中旬に行われる予定だったんだよね、今更ながら。セカンド「IOWA」が発表されたのが8月下旬(海外は9月上旬だったかな?)、そしてその狂ったアルバムがビルボードのアルバムチャート第3位に初登場し、現在までに50万枚以上ものセールスを記録し、先日のグラミー賞ではメタル部門にもノミネートされる程(って去年もノミネートされて受賞してたっけ。「この賞をIRON MAIDENに捧げる」みたいなコメント残してたよね?)、一般的には認知されたといっていいSLIPKNOTだったのだけど、丁度アルバムリリースと時同じくして、例のアメリカ同時多発テロが起こり、それによる報復攻撃が始まり、情勢がかなり悪くなってしまい、多くのアーティスト達が海外ツアーをキャンセルする結果に。このSLIPKNOTも同じようにツアーを延期するわけです。ある意味、そんな時期だからこそ一番ライヴやりそうなイメージがあったんだけどなぁ(そういう意味では、その時期に海外ツアーを結構したSLAYERってホンモノだなぁ、と。勿論、そういう要素だけでどのバンドがホンモノでどれがニセモノって線を引くつもりはないですよ)。で、そういう諸事情があって‥‥個人的にはアルバムリリース当時の熱が冷めつつある時期だったのと、今月に入って素晴らしいライヴを既に2つ(SNAKE HIP SHAKESとBUGY CRAXONE)も観ていてお腹いっぱいなのと、来週には松浦亜弥(そしてメロン記念日も)単独ライヴが控えているという要素が重なって、非常に気が乗らない状態だったのです。それにアルバム自体、1ヶ月近く聴いてないし(会社の先輩に貸したっきり)、ラウド系自体興味が薄れつつあるし。そういう精神状態で挑んだという事実を前提に、以下のライヴレポートを読んでってください。

結局、日本ツアーは4ヶ月後の3月に再セッティングされたわけですが‥‥ゼップとかチッタといったクラブクラスでの追加が決まってるし(苦笑)。まぁいいや、デカイ会場で観る彼らを体験してみたかったし。昨夏のサマーソニックでの熱演を耳にしてるだけに、やっぱり大会場であのバカっぷりを味わってみたいし。

会場はN.K.ホール。ディズニーランドの隣だ。方やファンタジーの国、方や悪魔の覆面キャラクター。なんという素晴らしいセッティング(笑)。これをセッティングした奴は非常に判ってるなぁ、と当初関心したもんだったなぁ。当日は修学旅行生やら小学生やら親子連れやらの中に、明らかに異質の集団が‥‥ツナギ着てガスマスクした奴ら(爆)とかいるんだもん。いやはや、既にKISSやヴィジュアル系のライヴ、あるいは辻加護のコスプレしたモーニング娘。のライヴと同質の空気を感じるわ。

実は上記のような精神状態にも関わらず、いざ会場のある舞浜駅に近づくにつれ、妙に殺伐とした気分になってったんだよね、俺。もう瞳孔開きっぱなし、みたいな?(笑) いや、ディズニーは大好きなんですが、今日だけはそういう気分になれなくて。観るもの全てが「敵」に見えてくるような空気感が既に出来つつありまして。もうね、ナイフみたいに尖っては触るもの皆傷つけた、みたいな?(爆) 勝手にそんな風に出来上がってて。で、駅から外に出ると、いきなりコスプレ集団だもん。肩すかし(笑)いや、楽しいんだけどね?

最前ブロックの120番台という恐ろしい整理番号だったんだけど、まぁ気乗りしなかったので会場に着いたのも開場時間を回ってからだったし、会場入りしてからもビール飲んだりして‥‥で、飲み始めてから車で来たことを思い出したりして(苦笑)。まぁ終わる頃には酔い冷めるだろうって感じで。1時間くらいロビーでタバコ吸ったり酒呑んだりして時間潰して。スタート15分前にフロアに入って、ブロックの最後方を陣取って前座のAMERICAN HEAD CHARGEの登場を待ったわけです。


●AMERICAN HEAD CHARGE (18:00~18:50)

このバンドに対しては何の予備知識もなく、唯一判ってることは「アメリカのラウド系バンド」「アルバムジャケットが戦車」というふたつのみ。ライヴ前に予習しようかどうかで悩んだけど、先にアルバム聴いてガッカリするのも何だったので(笑)、いきなりライヴに臨むことに。

開演時間5分前に暗転し、スモークがステージ上に充満、怪しいインダストリアルノイズが延々流れる‥‥そのまま5分近く(苦笑)。結局バンドメンバーがステージ上に現れたのは定刻通り。1曲も知らなければメンバー構成も知らない俺。思いっきりいかつい小汚い野郎が5人くらいでラップメタルみたいなのをやるのかなぁ?くらいにしか思ってなかったんだけど、なんとビックリ。7人もいました。しかも左右にキーボードが各1名(計2名)って‥‥最近の流行ですか、大所帯って。

ボーカルはPANTERAのフィル・アンセルモ的風貌、ベースの人はそのまんまいかつい感じのスキンヘッド。ドラムはよく見えない。ギター二人は‥‥ゴスメイクしてました。しかも内ひとりはモヒカン‥‥キーボードふたりに至っては両方モヒカンでした(汗)。マ、MARILYN MANSONのフォロワーだったのですか??

音は上に挙げたように、MARILYN MANSONに影響を受けつつも、昨今のラウド系サウンドがメイン。ただ、キーボードふたり(ひとりがピアノ系でもうひとりがサンプリング系らしい)がいい仕事してて、普通のラウド系に終わってないんだわ。ボーカルもただがなるだけじゃなく、いきなりメロウなパートが入ってきたりで、非常に楽しめました。ゴス要素があるバンドってだいたいはマンソン系に流れてくと思うんだけど、こういうのも新鮮ですね。しかもこの人達、(アルバムを後で買って知ったんですが)リック・ルービンのとこなんですね。ああ、納得。そういう「いい意味でのメジャー臭」がしたもんなぁ、SYSTEM OF A DOWNと同質の(タイプは全然違うけど)。

左側のキーボードの人が椅子を投げたり、キーボードをスタンドごと振り回したり(笑)して、かなり笑わせてもらいました。が‥‥50分はちと長かったんじゃないでしょうか? アルバム1枚の新人には長すぎると思うんだけど(しかも前座で)。確かに曲調の幅はけっこうあるんだけど‥‥これはアルバムにも言えることなんだけど‥‥その割には、50分も惹き付けるだけの魅力がまだ弱いような気がするな(アルバムなんてボートラ含めて17曲79分だもん。とても新人バンドのファーストアルバムとは思えない。しかもフルで聴くにはかなりキツかったなぁ‥‥)。悪いバンドじゃないんだけど、これからの存在かな? まぁアルバムよりもライヴの方が断然良かったので、俺としてはかなりの収穫でしたが。トリビュート盤にも結構参加してるみたいで、MARILYN MANSONやMINISTRYの各トリビュート盤で"Irresponsible Hate Anthem"と"Filth Pig"をカバーしてるみたいなので、新人らしくそういう曲やってもよかったんじゃ?なんて思ったりして。ま、最初っからそういうカバー曲に頼る最近の傾向に反してアルバムもオール・オリジナル曲、ライヴもカバー一切なしだったのには好感持てたといえば持てたけどね。


●SLIPKNOT (19:30~20:50)

そんな感じで意外と冷静に観てたAHCのライヴ終了と同時に、大音量でAC/DCの"For Those About To Rock"が流れ出す‥‥そしてステージ前にSLIPKNOTのロゴマーク(ペンタグラムに「S」の変形ロゴ)が入った幕が下りる。オオッとどよめく会場。否が応でもテンションが上がる。気付けばスカスカだったブロック後方にドンドン人が入ってくる。ああ、SLIPKNOTのみ目当ての人も多いんだな?‥‥ここからセットチェンジに約40分を要したのだけど、かなり人が入ってきて「これ、落ち着いて観てる場合じゃねぇかも‥‥」って感じに。

19時半を回った頃に再び暗転。例の新作S.E.が流れ出す‥‥幕に内側から光が当たり、うっすらと人影が映る。楽器を抱えた、明らかに頭部が常人と違う人影が‥‥(笑)

そしてS.E.終了と同時に幕が一気に落ち、同時にあの名曲"People=Shit"がスタートする。さすがにメンバーが9人もいると、常に同じ場所にいる奴はドラムくらいで、始まった途端に左右にいるパーカッション担当やターンテーブル担当は持ち場を離れ、暴れまくり。パーカッション上で後尾する奴ら(爆)もいれば、客を煽る奴もいる。最初は俺、後ろで傍観するくらいの気持ちだったんだけど、気付けば人をかき分け前の方へ移動してるし。寂の「People=Shit!」も一緒になって連呼連呼! うぎゃ~、滅茶苦茶楽しいじゃねぇか、これ!(笑)

そのままの勢いで"Liberate"やら、ファースト以上にハードコアなセカンドの中でもかなりポップなメロを持った"Left Behind"、"Get This"等のファストナンバーを交えて、ショーは非常にいい流れで進行していく。途中、左右のパーカッションがせり上がったり(KISSのドラムセットみたいにね/笑)、くるくる回ったりするエンターテイメント要素も満載。そうそう、ステージ後方のバックドロップ(ボンドのロゴマークとかが描かれた大きい幕)もライヴ中、何度も変わったよなぁ‥‥

そしてお約束のコリーの日本語MCも健在。「サワゲー」「トベー」「ナカユビタテロー」「シャガンデ~、トベー」といったサマソニでもお馴染み(笑)のものから、「マタトウキョウニヨンデクレテ、アリガトウ」という挨拶とか「コノキョクハ~」といった曲紹介まで覚えてやがるし。もはやKISSのジーン・シモンズ「アナタハウツクシイ」を越えたね、ある意味(笑)。

中盤の異色作"Iowa"(途中まで)や"Purity"でどんよりした空気感を作った後で、ドラムソロがスタート。正直、俺の中でドラムソロをやっていいのは、コージー・パウエルとトミー・リーだけ、みたいな法則が勝手に出来上がっていたんだけど‥‥いやぁ、やられました。ドラムセットが天にせり上がるのは判るんだけど(しかもくるくる回りながら)、その後の展開は想像もつかなかった‥‥いや、ドラマーが背もたれ付きの椅子に座ってる時点で「あれっ、どっかで観たことあるぞ、これ?」くらいには思ってたんだけど‥‥ドラムセットがそのまま観客側に向かって90度前方に倒れるという、正しくMOTLEY CRUE時代のトミー・リーが'85年のツアーでやったことを再現しているのです! しかもトミーと違う点は、90度傾いたドラムセットが再びそのままの状態で360度くるくる回るという(ご理解いただけました?)オマケ付き(笑)。既にこの会場にいる10~20代前半のファンは、MOTLEY CRUEが昔、そんなことばっかりやってたなんて知らないんだろうなぁ‥‥なんて思ったら、ちょっぴりブルーに。いや、いいんですけどね、本家がもうやらない以上は。LUNA SEA時代の真矢くんもアルバム「STYLE」のツアーで、トミーが'87年のツアーでやった360度全方向回転ドラムセットでソロやってたし。トミー・リーは既にドラマーではなくて、ラッパーですから(苦笑)。こういう要素ひとつを取っても、如何にSLIPKNOTというバンドが客を楽しませる事に徹しているか、それが度を超しているかが伺えると思うんだけど‥‥これ観て楽しめない奴は、人生の半分を損してるよ、俺から言わせてもらえば(あ、これ、また問題発言ですかね?/苦笑)

ドラムソロはほんの数分だけだったけど、あの見せる要素が強かった分、あっという間に終わったって印象が強い。そのまま再びバンドメンバーが戻ってきて、あの印象的なドラムンベース・サウンドが‥‥ファーストで俺が最も好きな曲、"Eyeless"だ。モッシュしまくり、ヘドバンしまくりの俺。いやぁ~、まさかライヴ前はこんなことになるなんて思ってもみなかった(苦笑)。本気で楽しいです。バンド側もノせるの、上手いし。やってる音楽こそエクストリームでブルータルでハードコアだけど、その精神性は俺が大好きでガキの頃から聴いてきたKISSやMOTLEY CRUEといったバンド達と基本的には一緒なんだよね。そう、現存のアーティストでいったら‥‥同意してもらえるか判らないけど、ギターウルフやモーニング娘。と同等の、過剰なエンターテイメント精神を感じるんだよね。掲示板の方であいださんも書いておらましたが、全くその意見に同意しますよ!

後半はキャッチー(だけどヘヴィネス)な曲を連発。サビがメロウな"My Plague"、「555って言ったら、お前ら何て言うか判るよな?」という事前確認すら既に必要ない"The Heretic Anthem"(さすがに日本語で「ゴーゴーゴー」「ロクロクロク」ってやられたのには笑いましたが)、そして本編ラストはファーストからのヒットナンバー"Spit It Out"と"Wait & Bleed"を連発。"Spit It Out"中盤ではお約束のオーディエンス全員を座らせて、「シャガンデ~、トベー」のアクションで盛り上がり(ブロックって柵の中だから、全員が座ると後ろの方の人までしゃがめないんだよね/苦笑)、"Wait & Bleed"では唄い出しをオーディエンスに唄わせ、しかもみんな唄えてるという感動的な場面も。前座での50分すら長く感じた俺が、ここでは時間すら忘れて大暴れしてるんだから、如何にこのバンドが人をノせるのに、楽しませるのに長けているかがお判りいただけると思う。

アンコールを求める声や拍手は異常に盛り上がってた。そしたらすぐにファーストアルバム冒頭に収録されてるS.E.が流れ出した‥‥このバンド、アンコールやるっていうイメージなかったんだけど、ここまでサービス精神旺盛だと、もう恐れ入りました、ゴメンナサイと謝るしかない。"(sic)"では再び暴れまくり、本当に最後の曲"Surfacing"ではお約束の「ナカユビタテロー」で、両手の中指を立て、それを天にかざす俺‥‥そんな俺も今年で31歳。素敵な1年が送れそうです(爆)。

完全燃焼したバンドは何度もオーディエンスに対して感謝の言葉を述べ、挨拶をする。満足し切ったオーディエンスはそんなバンドに対して大きな拍手を送る。そして会場が明るくなる‥‥時間にして約80分。長すぎず短すぎずで、丁度いい長さじゃないだろうか? 考えてみれば、最近のラウド系バンドの単独ライヴって、実はこれが初めてなんじゃないかな、俺? フェスではレイジやらLIMPやらTOOLやらいろいろ観てるし、ここまで盛り上がる前にはMARILYN MANSONの初来日とかも観てるんだけど‥‥だから比べようがないんだけど、個人的には1時間半くらいで丁度いいと思うなぁ。逆に1時間くらいだと物足りなさを感じるんだろうし、2時間やられると体力的にキツくなるだろうし。そういう意味では、非常に考えられてるなぁと思った。演奏された曲も、2枚のアルバムから半々程度で、ポップな曲が多いファーストと、異常にブルータルな曲が多いセカンドとでバランスが取れてたんじゃないかな? まぁこの辺は人それぞれの好みがあるだろうから、一概には言えないんだろうけど。

ただ、やはり何度でも言いたいのは、彼等はあのマスクにツナギを着た時点で、既に勝者だったんだよね。後はどれだけ興味を持った人間を満足させるか。初期の彼等ってステージ上で喧嘩みたいに大暴れして血流して、みたいな暴力的なイメージがあったんだけど、ここまでデカくなるとやはり違うよね。その変化を良しとしない人も多いのは承知の上で言うけど、俺はこういうSLIPKNOTを完全支持したいと思う。子供騙しかもしれないけど、そういう子供騙しを真剣にやれるかどうか、そこの違いなんだと思う。だからこそKISSやMOTLEY CRUEはあの時代に支持されたんだし、ギターウルフにしろモーニング娘。にしろそれぞれのオーディエンスに支持されるんだと思う。そういう意味では、コリーの「ナカユビタテロー」も、セイジの「ディズニーランド、ベイビー」も、モーニング娘。の「WOW WOW, YEAH YEAH!」も、方法論が違うだけで、みんな同じ方向に向かってるんじゃないだろうか?と思えてくるんだけど‥‥どうでしょう?

俺はライヴ後の、周りにいた子達の笑顔を信じたいと思うな。それが全てじゃない?


SLIPKNOT @ Tokyo Bay N.K. Hall. 3/23/2002
01. (515) ~ People=Shit
02. Liberate
03. Left Behind
04. Eyeore
05. Disasterpiece
06. Purity
07. Gently
08. Turntables Solo
09. Eyeless
10. Iowa (Intro) 〜 Drum Solo
11. My Plague
12. The Heretic Anthem
13. Spit It Out
14. Wait & Bleed
 [Encore]
15. 74261000027 ~ (sic)
16. Surfacing



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投稿: 2002 03 25 01:31 午後 [2002年のライブ, American Head Charge, Slipknot] | 固定リンク