カテゴリー「Slipknot」の16件の記事

2019年10月25日 (金)

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002)

2002年8月にリリースされた、STONE SOURのデビューアルバム。

STONE SOURはコリィ・テイラー(Vo)がSLIPKNOT加入前(1992〜1997年)にジェイムズ・ルート(G/現在はSTONE SOUR脱退済み)に在籍していたHR/HMバンドで、コリィとジェイムズのSLIPKNOT加入を機に一度解散。しかし、『IOWA』(2001年)の活動がひと段落する頃に再結成し、SLIPKNOTが所属するRoadrunner Recordsと契約することになります。

デビューアルバムの参加メンバーはコリィとジェイムズのほか、ジョシュ・ランド(G)、ショーン・エコノマキ(B)、ジョエル・エクマン(Dr)という解散前の布陣。バンドとトム・タットマンのプロデュース、トビー・ライト(ALICE IN CHAINSKORNSLAYERなど)のミキシングにより完成した本作は全米46位を記録、売り上げ50万枚を突破する、デビュー作としては上出来な結果を残しました。

また、本作収録曲の「Bother」が映画『スパイダーマン』(2002年)のサウンドトラックにも収録、シングルカットされた結果全米56位のヒットとなりました。この曲は今でもライブで必ず歌われる、彼らにとって代表曲のひとつと言えるでしょう。

そして、本作での活動をもってコリィやジェイムズが素顔を公開。「マスクの下はこうなっていたんだ! コリィ、イケメソじゃん!」と瞳をキラキラさせたお嬢さん方も少なくなかったようです。

内容に関してですが、SLIPKNOTで聴くことができたコリィの歌唱力の高さが存分に発揮された、メロディアスなHR/HMアルバムに仕上がっています。ヘヴィさもしっかり楽しめるのですが、SLIPKNOTのそれとは異なる質感で、あくまでHR/HMの範疇にあるヘヴィさといいますか。要するに、エクストリーム・ミュージックのそれとは相反するヘヴィさなんです(SLIPKNOTが「エクストリーム/ヘヴィの中に、ほんのちょっとのメロウさ」だとしたら、STONE SOURは「メロディアスさの中に、味付けとしてのヘヴィさ」。要するにスタート地点が真逆なのです)。

と同時に、伝統的なHR/HMにこだわったというだけではなく、しっかり彼のルーツ……グランジ以降のオルタナティヴロックのカラーもしっかりと感じられる。王道のメタルとは一線を画するものかもしれませんが、間違いなくこれは“90年代以降のHR/HMのそれ”以外の何ものでもありません。かつ、コリィが歌えばどれもSLIPKNOTとの共通点が自然と感じられています。特に、本作を経て制作されたSLIPKNOTの3rdアルバム『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)はこのSTONE SOURでの経験がなければ到達できなかった作品だったのではないでしょうか(事実、『IOWA』以降の不和がコリィをSTONE SOURへと突き動かしたわけですし、下手したらそのまま解散しても不思議じゃなかったわけですから)。

今やサイドプロジェクトなんて目で見る人はいないほど、SLIPKNOTと交互で動くコリィのメインバンドのひとつ。その完成度は作品を追うごとに高まっていますが、SLIPKNOTとのつながりという意味では本作の重要性は非常に高いですし、その後の“歌モノ・ヘヴィロック/ニューメタル”を語る上でも重要な1枚ではないでしょうか。

 


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2019年8月10日 (土)

SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(2019)

ついにリリースされたSLIPKNOTの約5年ぶり、通算6作目のオリジナルアルバム。

このアルバムに関しては、実はすでにリアルサウンドさんのメタル/ラウド系新譜キュレーション連載(7月21日掲載分)にてたっぷり書いてしまっており、今さら付け加えることもないのかな……と思いつつ、改めてCDで、そしてストリーミングで聴いてみたのですが、やはり基本的な印象は初聴のときとほぼ変わりませんでした。うん、よいアルバム。

なので、詳しくはこちら(リアルサウンド - Slipknot、Abbath、GYZE……西廣智一が選ぶ話題性の高いHR/HM新作6作)にて確認していただくとして。

トータル約63分という長さ(日本盤ボーナストラックを除く)は、実は前作『.5: THE GRAY CHAPTER』(2014年)の通常盤と一緒なんですよね。にも関わらず、僕はこの新作を初めて聴いたとき、前作のときに感じた「……長すぎ!」という印象をまったく得ることがなかった。なぜなんでしょう。

それは、新譜キュレーション連載で書いた下記の行に集約されているのかなと思いました。以下、引用しますね。

筆者は常々、Slipknotのアルバムは「ヘヴィさ/攻撃性」「ポップさ/メロディアスさ」「耽美さ/刹那さ」の3つの要素で構成されていると考えており、前作はこのうち「ヘヴィさ/攻撃性」に長けたぶん「ポップさ/メロディアスさ」が若干後退した1枚と感じていました。これは当時のバンドの状況を考えれば納得のいく話かと思います。しかし、今回の新作ではこの3要素がアルバムの中で一番良いバランス感で三角形を作っている。ヘヴィな曲はとことんヘヴィだし、そのヘヴィさもエクストリームさを追求したものから90年代ヘヴィロック的なもの、あるいは80年代のHR/HMを彷彿とさせるギターリフまでさまざま。かと思えば、「ポップさ/メロディアスさ」「耽美さ/刹那さ」に特化した楽曲もしっかり存在しており、1曲1曲の際立ち方は過去最高ではないかと感じました。その3要素の中心にある楽曲が、リードトラックとして公開された「Unsainted」というのも、なるほどと頷けるものがあります。

うん、これで十分だ(笑)。ただ、そこに付け加えるとしたら、1曲1曲がしっかり考えて作り込まれているという点。ジム・ルート(G)はリリースインタビューで「このアルバムを作ったときにインスピレーションになったのは、シングルだけじゃなくフルアルバムを作ることにこだわっているアーティストたちだ。今の音楽業界はとにかくシングルを出して稼ぐ方向に傾いているけど、俺たちスリップノットはひとつの作品として完成している、アルバムでしか味わえない体験を届けたかった」と発言していますが、もちろんアルバム通して聴いたときの破壊力は抜群ですが、それには1曲1曲の完成度がしっかりしていないといけない。つまり、「シングルを作るための、シングルを作った結果のアルバム」ではなくて「良い曲しかないアルバムだったから、結果としてシングルがたくさん“切れた”」という従来の(?)アルバム制作方法を意識した結果の1枚ということなんでしょう(とはいえ、SLIPKNOTがこれまで「シングルを意識した制作方法」をしたことなんで皆無でしょうけどね)。

なんにせよ、バンドのデビュー20周年にふさわしい集大成的な力作。早くライブで聴きたい!って曲ばかりが詰まっているので、来年3月の『KNOTFEST JAPAN』も本当に楽しみです。

 


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2018年12月 8日 (土)

SLIPKNOT『.5: THE GRAY CHAPTER』(2014)

2014年10月にリリースされた、SLIPKNOTの5thアルバム。前作『ALL HOPE IS GONE』(2008年)から実に6年ぶりの新作にあたりますが、その間にベストアルバム『ANTENNAS TO HELL』(2012年)を挟んでいたとはいえ本当に「長く待たされた!」と強く感じさせられた1枚でした。

その6年間というのはバンドにとって非常に大きな変化を及ぼした期間でした。まず、2010年にベーシストのポール・グレイ突然の逝去。その後、2011年からはサポートベーシストを迎えてツアーを行うのですが、今度は本作制作直前にドラマーのジョーイ・ジョーディソンが脱退。9人いたメンバーが7人に減るものの、それでもSLIPKNOTは歩みを止めずレコーディングに突入します。

プロデューサーとしてグレッグ・フィデルマン(METALLICABLACK SABBATHSLAYERなど)を迎えた本作では、前作にあった“ブルータルさ”、“耽美さ”、“ポップさ”の3要素のうち、若干“ポップさ”が減退。そのぶん“耽美さ”が上回り、ポップとは別のベクトルにある「激しくも聴きやすい」内容に仕上がっています。

メロウかつゆったりと始まるオープニングの「XIX」はインストかと思いきや歌モノである事実に驚かされたり、「Killpop」はメロはポップなのにこれまでとはちょっと違うゴシック感が漂っていたりと、なかなか侮れない楽曲が多数含まれています。

もちろん、序盤の「Sarcastrophe」「AOV」や先行トラック「The Negative One」みたいなブルータルナンバーも含まれていますし、「Skeptic」や「Nomadic」からはインダストリアルの香りも感じられ、ヘヴィなバラード「Goodbye」や「The One That Kills The Least」には泣きメロも備わっている。なかなか侮れない内容なんですよ、これが。

アルバムも5枚目となると1stアルバム『SLIPKNOT』(1999年)とは同じことを繰り返すことはできないし、ミュージシャンを20年近くもやっていれば成長も求められる。だけど、ファンは初期のイメージを求め続け、大胆な変化を拒む。特にこの手のエクストリームミュージック界では、ちょっとした変化が人気の命取りになるから、そのバランス取りが非常に難しくなります。そんな中でSLIPKNOTはデビュー時からのメンバー2人を欠くという変化のタイミングを迎えた。つまり、ここで新しいことにチャレンジしなかったらあとがないんじゃないかと思うんです。

40代になったメンバーが、初期の頃と同じように怒りを維持しつつ、ミュージシャンとしては新しいことにトライする。それがこのアルバムで完全にできているとは言い難いですが、その片鱗はいろんなところから感じられるはずです。確かに初期の無軌道さはここにはないし、良い意味ですべてが整理され、コントロールされている。そこを物足りないとも正直思うけど、だけど大音量で聴けば素直に楽しいと思える自分もいる。複雑な感情になるものの、そこまで悪い内情じゃないから余計に評価に困る。自分にとってこのアルバムはそんな1枚なんです。

もしかしたら、2019年初夏にリリース予定の6thアルバムを聴いたら、この5thアルバムに対する正当な評価が下せるかもしれない。発売から4年以上経ったけど、自分にとってはそういう中途半端なポジションの1枚です。

あ、そのどっちつかずな評価は曲集の多さにも多少影響されているかもしれません。本編は14曲で64分とかなり長尺なのに、デラックス盤はさらに2曲追加で70分超えですから。全曲自分の中に完璧に取り込むのに相当時間がかかったのは言うまでもありません。だって、どれもが最高!とは言い難いですし、かといってそこまで劣るってわけでもないし。せめて12曲で60分以内に収めてくれたら、もうちょっとスッと入っていけて、きっぱり評価できたのかもしれませんね。



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2018年11月 1日 (木)

SLIPKNOT『ALL OUT LIFE』(2018)

10月31日、ハロウィンの深夜(日本時間)に突如SLIPKNOTからのプレゼント。なんと、2014年の5thアルバム『.5: THE GRAY CHAPTER』以来となる新曲「All Out Life」が公開されました。

レコーディングに突入したこと、来年にはヨーロッパツアーが開催されることがアナウンス、さらにイギリス『DOWNLOAD FESTIVAL』中日のヘッドライナー担当など、活動が活発化しつつあった彼らが、不意をついて5分40秒におよぶ新曲をハロウィンに配信とは、いやはや、嬉しいじゃないですか。

前作の際にもアルバムリリースの約3ヶ月前の8月1日に、アグレッシヴな先行シングル「The Negative One」を発表。このスパンから勝手に予想すると、アルバムは来年1月下旬〜2月頃にリリースされるのではないでしょうか。いや、順調に事が進んでいればの話ですが。まあ遅くても春先までには発表されると思います。それまでにもう1、2曲は小出しにしてくれるでしょうから、アルバムの方向性についてはそれらを聴くまで保留としておきます。

で、この「All Out Life」。ここ数作のSLIPKNOTらしさが凝縮されたアグレッシヴかつプログレッシヴな1曲となっています。コリィ・テイラー(Vo)は終始ドスの効いた声で叫び、リズムはグルーヴィーさを保ちつつ、しっかりとブラストビートも交えてくる。ギターリフのインパクトが若干弱い気がしないでもないですが(思えば前作もそういう作りでしたし)、“らしい”フレーズやプレイはところどころに登場するし、リズムとボーカルがグイグイと引っ張るスタイルだから、とりあえずはそこまでマイナスには感じない……ことにしておこう。

にしても、1曲にいろいろ詰め込んだね。猟奇性とドラマチックさが共存するこのアレンジ、嫌いじゃないです。特に、中盤以降のテンポダウンした(ピアノをフィーチャーした)ミドルパートからのブラストビート。最高です。MVのエグみ含めて、現時点では合格。

先にも書いたように、1曲だけで自作の方向性は語れないけど、この曲に関しては高く見積もって10点満点中8点をあげたい。来年でデビュー20周年。マンネリと言われようが、ここまで続けてくれていることに感謝。

ああ、この曲を爆音で流しながら渋谷のど真ん中に突っ込みたい(やらないけど)。



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2018年8月 5日 (日)

SLIPKNOT『ALL HOPE IS GONE』(2008)

2008年8月にリリースされたSLIPKNOTの4thアルバム。もう10年も経つんですね。その事実に驚きです……。

メンバーの不仲など解散の危機を経て完成にこぎつけた前作『VOL.3: (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)から4年ぶりに発表された本作は、プロデューサーをリック・ルービンからデイヴ・フォートマン(EVANESCENCE、MUDVAYNE、GODSMACKなど)に交代して制作。全米2位止まりだった前作を上回る、初の全米1位を獲得する記念すべき1枚となりました。

作風的には前作の延長線上にある、歌メロが際立つ楽曲スタイルが中心なのですが、そこに2ndアルバム『IOWA』(2001年)が持っていた凶暴性(狂気性ではなく)が若干復活し、ヘヴィロック/ラウドロックアルバムとしては正にお手本と呼べるような1枚に仕上げられています。

曲によってはブラストビートをフィーチャーしたりしており、ところどころに初期の衝動性が感じられますが、それも味付け程度といったところ。もちろんこのバンドにおける“怒り”は活動する上で必要な要素なのですが、本作に関してはあくまでキモはそこではないことは、聴けばおわかりいただけることでしょう。

メジャーデビューからまる10年経ち、大きな成功を手に入れた。活動ベースも初期のクラブやライブハウスから、今や世界各区のアリーナやスタジアムをヘッドライナーとして回っている。なんの不自由もない生活、欲しいものはなんでも手に入る人生。ある意味、この10年で彼らは人生の勝ち組にまで登りつめた。そんな人間が、「People = Shit」と素直に叫ぶことができるのか。もしかしたら、このアルバムで彼らはそういったことと向き合ったのではないでしょうか。

つまり、「ここから先もSLIPKNOTとして人生を続けることができるのか」。それは音楽のみならず、ライフスタイルという点においても。音楽という点では、個々がミュージシャンとして成長を重ねているが故の、音楽性の変化は致し方ない。そこを踏まえて、SLIPKNOTのスタイルをどう守っていくか、そのひとつの回答が本作でのバランス感なのかもしれません。そういう意味でも、本作が正統的なラウドロックアルバムに仕上がったのは正しい選択だったと、リリースから10年経った今も信じています。

ただ、ライフスタイルという点においてはメンバーによってバラツキが生じてしまった。その影響の表れのひとつが、本作リリースから2年後に起こったポール・グレイ(B)の急逝かもしれません。さらに、2013年末のジョーイ・ジョーディソン(Dr)脱退もそのひとつに数えられるでしょう。結果として、本作がデビュー時から続いた黄金期メンバーによる最後の作品となってしまいました。そう考えると非常に罪作りな1枚なのかもしれませんね……。



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2018年6月20日 (水)

DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』(2004)

2003年にPANTERAを解散させたヴィニー・ポール(Dr)&ダイムバッグ・ダレル(G)兄弟が、同年のうちに新バンドDAMAGEPLANを結成。パトリック・ラックマン(Vo/元HALFORDのギタリスト)、ボブ・ジラ(B/のちにHELLYEAH加入)の4人編成でアルバムを制作し、2004年2月に最初にして最後のアルバム『NEW FOUND POWER』をリリースします。

後期PANTERAのスタイルを継承しつつも、どこか気難しさが強かった同スタイルよりもキャッチーさが増したような楽曲の数々は、良く言えば取っつきやすい、悪く言えばクセが弱いものだったかもしれません。しかし、ボーカリストならまだしも、聴いた瞬間に「そうそう、このドラミング!」とか「これこれ、このギターソロよ!」とか気づけるアーティスト/プレイヤーって、今の時代なかなかいないと思うんですよ。それをバンドが変わっても維持し続けたヴィニー&ダイムバッグ兄弟の個性って、改めてすごいなと。

PANTERAという比較対象がいる以上、どうしてもインパクトの強さを求めてしまいがちですが、そこは正直そこまで強くないかなと。ボーカルのパトリック・ラックマンはそこそこ存在感の強い歌声/ダミ声で主張しており、これはこれでアリ。この声の合わせてなのか、音のほうもどこかモダンで、PANTERAの頭脳チームがあえて時代に寄せていったような雰囲気も。ニューメタル的な色合いや、ALICE IN CHAINS寄りのグランジ/サイケデリックヘヴィロック、90年代後半以降に登場したモダンヘヴィネス系の側面も感じられるのですが、そんな中でもしっかり自身の色を主張するPANTERA組が健気といいますか。嫌いになれないんですね。

「Fuck You」ではSLIPKNOTSTONE SOURのコリィ・テイラー(Vo)が個性強めのボーカルを聴かせ、「Reborn」ではBLACK LABEL SOCIETYザック・ワイルド(G)が“らしい”ギタープレイを披露している(さらに「Soul Bleed」では歌声まで)。また、日本盤ボーナストラックの「Ashes To Ashes」にはALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(G, Vo)もボーカルでゲスト参加しています。完全にご祝儀的なやつですが、これらのコラボレーションがカッコいいったらありゃしない。「Fuck You」ではパトリックもコリィに負けじと叫びまくってるし、このへんは今聴いても本当にカッコいいです。

バンドとしては本作で展開した青写真をもとに、次作あたりで大化けしてもおかしくなかったんですが、アルバム発売から10ヶ月後の2004年12月8日、あんなことになってしまうとは……。

カラーヴァイナルが近々発売されるというニュースを知り、久しぶりに聴いてみたんですが……1周回ってカッコよさが増しているような。もはやダイムバッグ・ダレルのギタープレイを生で聴けないという現実がそうさせるのかはわかりませんが、リリース時に聴いたときよりもポジティブに楽しめる自分がいます。PANTERAを期待すると痛い目を見るかもしれませんが、これはこれで“らしい”作品だと思います。

※2018.6.23.追記 ダイムバッグ・ダレルの実兄であるヴィニー・ポールが現地時間6月22日、お亡くなりになったとのこと。(ソース) この記事を書いたときは、数日後にまさかこんなことになるなんて思いもしませんでした。改めてヴィニーのご冥福をお祈りいたします。

HELLYEAHであなたのプレイ、もう一度観たかったです。

 


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2017年10月26日 (木)

SLIPKNOT『SLIPKNOT』(1999)

1999年夏にリリースされた、SLIPKNOTの記念すべきデビューアルバム(その3年前、彼らは『MATE. FEED. KILL. REPEAT.』という自主制作盤を発表していますが、メンバー的にもかなり異なることもあり、現在は同作のことをデモ音源集のような呼び方をしてるみたいです)。日本でもアメリカに数ヶ月遅れてリリースされ、2000年2月には早くも初来日が実現しています(当時は大阪BIG CATと渋谷CLUB QUATTROという、今じゃ考えられないキャパで公演を実施)。

ボーカル、ギター×2、ベース、ドラム、パーカッション×2、ターンテーブル、サンプラーという異色の9人編成で、メンバー全員がお揃いのツナギに猟奇的なマスク姿という個性的なルックスでまず目を引くと、次第にその中身(音)のほうにも注目が集まり始めます。なにせアルバムのプロデューサーがKORNSEPULTURAAT THE DRIVE-INLIMP BIZKITで名を馳せたロス・ロビンソンだっていうんですから、そりゃあモダンメタル、ヘヴィロック好きならピンと来るわけですよ。

で、実際初めて聴いたとき……確かにスピード感はすごいんだけど、音数のわりに音が軽いなぁと。正直、最初はそこまでピンとこなかったんです。とはいえ、「(sic)」の狂気性、ドラムンベースをフィーチャーした「Eyeless」の振り切れ方は素直にカッコ良いと思いました。でも、このバンドの本質はそこだけじゃないんですよね。

それは4曲目「Wait And Bleed」や8曲目「Purity」のように、クリーントーンで歌われるメロディアスな楽曲もこのバンドの大きな武器だってこと。初めて「Wait And Bleed」を聴いたときは「こんなにセンチメンタルなメロディを、こんな気の振れたバンドが歌っても大丈夫なん? イメージ違いすきない?」と不安にもなりましたが(なぜお前が不安になる)、アルバムを通して聴いていくうちに「ああ、このアンバランスさが良いんだな」と気づかされたわけです。

音の濁り方はKORNの1stあたりに比較的近いんですが、とにかくドラムの音が軽い。METALLICA『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)までとは言わないものの、正直重さを求めている輩には軽すぎるんですわ。けど、この突き抜けるような疾走感には実はこの音が正解なんですよね。たぶん次作品『IOWA』(2001年)の音じゃダメなわけ。今ならよくわかります。

先に挙げた楽曲に加え「Surfacing」「Spit It Out」など、今でもライブで披露される機会の多い代表曲がずらりと並ぶ、「まずこれから聴け!」ってくらい彼らを知るうえで欠かせない1枚。間違いなくその後のヘヴィロック/メタル/ラウドロックにとって教科書的な役割を果たしたはずです。すでに発売から18年経ってるけど、今聴いても新鮮な驚きの多い傑作です。



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2017年7月 8日 (土)

STONE SOUR『HYDROGRAD』(2017)

SLIPKNOTのフロントマン、コリィ・テイラー(Vo)による別バンド、STONE SOURの4年ぶり、通算6枚目のスタジオアルバム。前々作『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 1』(2012年)および前作『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 2』(2013年)が連作かつコンセプチュアルな作品だったこともあり、無駄に小難しさを与えてしまった印象もなきにしもあらずですが、そういうこと抜きにしてもよくできたヘヴィロックアルバムだったんですけどね。ただ、個人的には半年というスパンで2枚のアルバムを出す理由がいまいち掴めなかったというか。だったら2枚同時か2枚組にしてほしかったなと。1年ぐらい間が空けば1枚1枚をじっくり楽しめたと思うんですが、そこまで体に馴染む前に新しいのが出ちゃって、結局そこまで両方楽しめなかったというのが本音なので。

で、STONE SOURとしてはその後、HR/HMの名曲たちをまんまカバー(というかほぼコピー)した2枚のEP(『MEANWHILE IN BURBANK…』『STRAIGHT OUTTA BURBANK…』)を2015年に発表し、そこから1年半経った今年6月末にこの『HYDROGRAD』というオリジナルアルバムを発表したわけです。

えーっと、最初に聴いたときはとにかく驚きました。いや、驚いたというよりもぶったまげた、と言ったほうが正しいか。良い意味で予想を裏切ってくれた、清々しいまでにまっすぐなHR/HMアルバムなんですよこれが。

SLIPKNOTと比べれば存分にメロディアスなんだけど、やはり餅は餅屋というか、特に前2作にはヘヴィさや重苦しさがつきまとっていたわけです。ところが、HR/HMの名曲コピーに勤しんだこともあり、今作では自らのルーツに立ち返ったと言わんばかりに、シンプルでど直球なストリングスタイルのHR/HMを聴かせてくれるんです。もちろんアレンジにおける味付けには現代的なフレイバーが散りばめられていますが、それは許容範囲内。30〜40代のリスナーが進んで楽しめる要素が芯にしっかりあるから、問題なく楽しめるわけです。

コリィの歌唱スタイルやメロディの運び方、そしてメロディアスかつフラッシーなギタープレイ含め、ここにあるのは間違いなく80年代の黄金期の影響下にあるHR/HM。スタート時こそ90年代のオルタナロック〜グランジからの影響が強かったものの(もちろん本作にもその要素はしっかりありますが、それ以上に王道色のほうが強い)、ここで一気に開き直ったというか先祖返りしたというか。ホンモノが求められるこんな時代だからこそ、彼らのようなバンドがこういう音を鳴らしてくれるのは本当に嬉しい。これを聴いたからって、別にSTONE SOURがNICKELBACKになったとは誰も思わないって(笑)。

70分近くもある大作(全15曲入り)ですが、珍しく最後まで飽きずに楽しめる1枚でした。しかも日本盤にはさらにボーナストラックとして、VAN HALEN「Unchained」のカバーを追加。これも先のカバーEPの名残りですね。おまけとしては十分。ぜひ日本盤で購入することをオススメします。



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2006年8月 7日 (月)

STONE SOUR『COME WHAT(EVER) MAY』(2006)

 '70年代チックなジャケットを見た瞬間、「お、これってストーム・トーガソン‥‥いや、違うな。誰だろう。見覚えあるんだけど‥‥」っていう思いが頭の中を巡ったんだけど‥‥そう、そんなアルバムなんです。

 コリィ・テイラーとジェイムズ・ルートがSLIPKNOT加入前からやっていたバンド、STONE SOUR。4年前のデビューアルバムに続くこの「COME WHAT(EVER) MAY」は、'70年代的なハードロックを21世紀の手法でアレンジしたアルバムと言えなくないかな。どうしてもSLIPKNOTとの比較をしちゃうんだけど、あそこまでハードコアな要素はないし、もっとオールドスクールな印象が強いんだよね(もちろん良い意味で)。コリィが終始歌おうとしてるってのも大きいけど、ギターひとつ取ってもメタル/ラウドロックというよりは(いや、ラウドロックのそれなんだけどさ)もっとハードロック的な要素が強く感じられるんだよね。なんていうか、聴いていてとても安心するというか‥‥ま、俺がそういうロックを通過してるから、単にそう感じるだけなんだろうけどさ。

 ハードコアなSLIPKNOTファンからすればこれはヤワな音楽って映るのかしら。正直そういうファンや若い子たちがどう感じるのかは、俺には一切わからない。ただ言えることは、素直にカッコいいと思える音楽をやってること。これは確かにSLIPKNOTと比較すりゃあ『息抜き』なのかもしれない。でも、その息抜きがこのクオリティなんだから、その本気度は十二分なはず。下手なラウド系を比較するのが申し訳なく思えるほどに、カッコいいし。

 やっぱりこのコリィ・テイラーって人は『Motherfucker』って叫ぶのが似合うよな。と同時に、前作で見せた側面(そしてそれをSLIPKNOTにも持ち帰った)‥‥『静』の要素も彼ならではのもの、と改めて実感したよ。"Sillyworld" しかり、"Through Glass" しかりね。こういった曲で見せる顔は、完全に'70年代のハードロックバンドのそれなんだよね。だから、ついつい嬉しくなっちゃうという。

 このアルバムが米・Billboardのアルバムチャートで初登場4位にランクインしたそうです。それも納得の作品ですわ。昨年はSLIPKNOTで、今年はSTONE SOURで出演するサマソニが今から楽しみでなりませんな。

 そうそう、先のジャケットの件。手がけたのは「Hugh Syme」でした。納得。



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2005年8月17日 (水)

ドキュメント・SUMMER SONIC '05

 さて、四大フェス制覇への『死のロード』第三章、SUMMER SONIC '05編です。今回は2日間共行きましたよ。ま、サマソニの場合は毎回(2000年、2002年)全日参加なんですけどね。

 昨年からBEACH STAGEが増え、更に今年はもっと室内にステージが増えて凄いことになってたんですよ。とにかく邦楽勢の充実振りがハンパじゃない。なもんだから、気づいたら邦楽勢ばかり観てるんですよ。この辺が、客層にも明確に表れてたように感じられましたね。ま、RIJF同様、都心に近い場所で気軽に楽しめるフェスって意味では、他の追随を許さない感じにまで成長してますけどね。

 でも、未熟な面もまだまだ多々見受けられましたよ。その辺もこれまたサマソニらしいんだけど。それでも過去参加した中では一番今年が楽しかったなぁ。これもRIJFの時同様、楽しみ方を覚えた証拠なのかもしんない。結構ブーブー言ってる人、多いでしょ。でも俺はそこそこ満足してんだよね。アクトに関しては文句ないし(そもそもメンツに関しては恐らく今年のフェスの中で最強なんじゃないの?)、いろんな面についても過去の教訓をそれなりに生かしてるようだし。けど、それが100にまで至らず、75〜80で止まっちゃう辺りが「サマソニ」なんだろうけど。でも、それに大して今年は文句とかないなぁ。だって「都市フェス」だしさ(で納得できる俺がいるわけですよ。昔だったらブーブー言ってたくせして)。

 さ、今回も例によってリアルタイムレポ+帰宅してから書いたライヴの感想を編集したバージョンでお届けします。アクト名の後の「※」は最初から最後までフルで観たライヴって意味です。それ以外は数曲だったり半分だったりと、全部は観てません。

 あと、今回は結構頑張ってリアルタイム更新したし、最後の最後でいろいろ考えることがあったので、非常に長くなってますので、覚悟して読んでくださいね(できれば時間がある時にな)。

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