カテゴリー「Slipknot」の22件の記事

2020年1月12日 (日)

祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で6回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、前回(1998年4月〜1999年3月)から当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)と被っていることもあり、選出時いろいろ感慨深いものがあったりするのですから、長く続けてみるものですね。

さて、企画説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1999年4月〜2000年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちらです)

 

AC/DC『STIFF UPPER LIP』(2000年2月発売)(Spotify)(レビュー

ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』(1999年5月発売)(Spotify)(レビュー

BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999年6月発売)(Spotify)(レビュー

CIBO MATTO『STEREO☆TYPE A』(1999年6月発売)(Spotify

D'ANGELO『VOODOO』(2000年1月発売)(Spotify

THE DILLINGER ESCAPE PLAN『CALCULATING INFINITY』(1999年9月発売)(Spotify

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000年3月発売/US)(Spotify)(レビュー

THE FLAMING LIPS『THE SOFT BULLETIN』(1999年5月発売)(Spotify

FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、今年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

2019年12月31日 (火)

2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編

一昨年秋から『リアルサウンド』でスタートした、HR/HMやラウドロックなどエクストリーム・ミュージックの新譜キュレーション記事を連載しているのですが、2019年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2019年ラウドロック年間ベスト10 BMTH、Russian Circles、Slipknotなど意欲作が気になる1年に」が12月26日に公開されております。

年明け発売の雑誌『ヘドバン』最新号でも同様の企画にアルバム10選をお送りしているのですが、こちらでは『リアルサウンド』の記事で紹介した10枚に加えて、次点となった10枚とあわせて紹介できたらと思います。

まずは、すでに公開済みの上位10作品について。こちらはあえて記事執筆時と同じままで進めたいと思います。

01. BRING ME THE HORIZON『amo』(レビュー
02. TOOL『FEAR INOCULUM』(レビュー
03. RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
04. LEPROUS『PITFALLS』(レビュー
05. KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(レビュー
06. SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(レビュー
07. BARONESS『GOLD & GREY』(レビュー
08. GATECREEPER『DESERTED』(レビュー
09. MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(レビュー
10. ALCEST『SPIRITUAL INSTINCT』(レビュー

選出した理由は『リアルサウンド』のエントリーにてご確認を。ちなみに、『ヘドバン』のほうではあるアルバムの代わりにOPETH『IN CAUDA VENENUM』を選出しております(順位は若干の変動あり)。

続いて、選に漏れた次点10作品もご紹介。

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2019年12月25日 (水)

PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』(2019)

MOTÖRHEADのギタリスト、フィル・キャンベルが2019年10月下旬にリリースした初のソロアルバム。

MOTÖRHEAD解散後、自身の実子などを加えて結成したPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSとして活動していたフィル。同バンドではEP2枚(オリジナル作&ライブ作)とオリジナルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』(2018年)を発表していますが、そこから約2年を経て届けられたのがこの初のソロ作です。

そもそも本作は、MOTÖRHEADが活動していた5年前から制作がスタートしており、レコーディングにはPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSにも所属する彼の息子3人も参加しています。

と同時に、MOTÖRHEADの活動を通して出会った多数のミュージシャンたちもゲスト参加。そのメンツは錚々たるもので、ロブ・ハルフォード(Vo / JUDAS PRIEST)、ベン・ワード(Vo / ORANGE BOBLIN)、アリス・クーパー(Vo)、ネヴ・マクドナルド(Vo / SKIN)、ダンコ・ジョーンズ(Vo)、ニック・オリヴェリ(Vo, B / ex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)、レイ・ルジアー(Dr / KORN)、ディー・スナイダー(Vo / ex. TWISTED SISTER)、ミック・マーズ(G / MOTLEY CRUE)、クリス・フェーン(Dr / ex. SLIPKNOT)、ウィットフィールド・クレイン(Vo / UGLY KID JOE)、ベンジー・ウェッブ(Vo / SKINDRED)、マット・ソーラム(Dr / ex. GUNS N' ROSES)、ジョー・サトリアーニ(G)など本当に豪華な布陣。これもMOTÖRHEADでの活動があったからこそですね。

フィル自身が歌ったオープニング「Rocking Chair」こそ緩やかでブルージーなアコースティックナンバーですが、続く「Straight Up」(Vo:ロブ・ハルフォード)は歌うロブに合わせたJUDA PRIEST的な1曲。「Faith In Fire」(Vo:ベン・ワード)や「Walk The Talk」(Vo:ダンコ・ジョーンズ&ニック・オリヴェリ)はストーナーロック的だし、「These Old Boots」(Vo:ディー・スナイダー)は豪快なアメリカンロック調。意外と歌う人に合わせた選曲がなされているようです。

かと思えば、ベンジー・ウェッブにマイナー調のピアノバラード「Dead Roses」を歌わせたり、アリス・クーパーにはモダンな質感のロックンロール「Swing It」を与えていたりと、一筋縄でいかない選曲。うん、面白い。あと、本作で久しぶりにネヴ・マクドナルドの歌声を聴いたけど、やっぱりいいですね。彼が歌う「Left For Dead」もSKIN時代を彷彿とさせるものですし。

そういえば、本作はPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのときほどMOTÖRHEAD色が強くないのが気になりました(もちろん、曲によってはところどころで“らしさ”は感じられるのですが、あくまでそれがメインではない)。結局、あのカラーはレミー自身の個性だったのかなと。そう思うと、レミーおよびMOTÖRHEADって本当に唯一無二の存在だったんですね。そろそろ彼が亡くなってから4年。またあの喪失感と向き合う季節になりましたね……。

 


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2019年12月20日 (金)

STONE SOUR『HELLO, YOU BASTARDS: LIVE IN RENO』(2019)

2019年12月中旬にリリースされた、STONE SOURのライブアルバム。

STONE SOURは2007年夏にiTunes限定の配信ライブアルバム『LIVE IN MOSCOW』を発表していますが、フィジカル(CD)でのライブアルバム発売はこれが初めて。かつ、今作はデビューから在籍してきたRoadrunner Recordsではなく、Cooking Vinylからのリリースという事実に驚かされます。

本作は最新オリジナルアルバム『HYDROGRAD』(2017年)を携え行われたツアーの中から、2018年10月5日のネヴァダ州リノでの公演を収録したもの。setlist.fmで当日のセットリストを調べてみると、アルバム収録内容と完全一致するので、フルスケールでのライブを完全収録したもののようです。

選曲的には全16曲(オープニングSEの「YSIF」を除くと全15曲)中『HYDROGRAD』から7曲(歌モノ6曲)と大半を占め、それ以外は1stアルバム『STONE SOUR』(2002年)から2曲、2ndアルバム『COME WHAT(EVER) MAY』(2006年)から4曲、4thアルバム『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 1』(2013年)から2曲、5thアルバム『HOUSE OF GOLD & BONES - PART 2』(2014年)から1曲という内訳。なぜか3rdアルバム『AUDIO SECRECY』(2010年)からは1曲もセレクトされていませんが、それ以外の楽曲はほぼシングルカットおよびMV制作された楽曲ばかりなので、いわば2019年時点でのSTONE SOURのグレイテスト・ヒッツ的な1枚と言えるでしょう。

こうやって過去の楽曲を交えたセットリストで現在のコリィ・テイラー(Vo)がSTONE SOURの楽曲を歌うと、やはり完全に“歌モノ・メタル”なんだなと実感させられます。あと、実は楽曲の質感や方向性がデビューから現在まで、ほぼブレていないという事実にも気付かされます。例えば序盤の最新作からの楽曲とそれ以前の楽曲を交えた構成や、中盤における「Bother」「Tired」のメドレー的な流れとそれに続く「Rose Red Violent Blue」というメロウなナンバー、「30/30-150」から始まる怒涛の代表曲の応酬……どれもが自然と連なっており、バンドの方向性がしっかり定まっていることが伺える。改めていいバンドだな、良心的なメタルバンドだなと思います。

コリィのボーカルもベストコンディションですし、バンドも破綻することなく、楽曲も持ち味を活かしたそつないプレイに徹している。悪い言い方をしてしまえば面白みに若干欠けるかなと思わなくもないけど、ここまでやられたら逆に文句言えなくなりそう。それくらい、いい曲をベストなプレイで届けようとする生真面目さが音源から伝わってきます。

現在はSLIPKNOTとしてワールドツアー中のコリィなので、しばらくはSTONE SOURとして活動することもないと思われます。なので、STONE SOURが恋しくなったらこのライブベストを聴いて、来たる次回作に思いを馳せてはいかがでしょう。

 


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2019年10月25日 (金)

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002)

2002年8月にリリースされた、STONE SOURのデビューアルバム。

STONE SOURはコリィ・テイラー(Vo)がSLIPKNOT加入前(1992〜1997年)にジェイムズ・ルート(G/現在はSTONE SOUR脱退済み)に在籍していたHR/HMバンドで、コリィとジェイムズのSLIPKNOT加入を機に一度解散。しかし、『IOWA』(2001年)の活動がひと段落する頃に再結成し、SLIPKNOTが所属するRoadrunner Recordsと契約することになります。

デビューアルバムの参加メンバーはコリィとジェイムズのほか、ジョシュ・ランド(G)、ショーン・エコノマキ(B)、ジョエル・エクマン(Dr)という解散前の布陣。バンドとトム・タットマンのプロデュース、トビー・ライト(ALICE IN CHAINSKORNSLAYERなど)のミキシングにより完成した本作は全米46位を記録、売り上げ50万枚を突破する、デビュー作としては上出来な結果を残しました。

また、本作収録曲の「Bother」が映画『スパイダーマン』(2002年)のサウンドトラックにも収録、シングルカットされた結果全米56位のヒットとなりました。この曲は今でもライブで必ず歌われる、彼らにとって代表曲のひとつと言えるでしょう。

そして、本作での活動をもってコリィやジェイムズが素顔を公開。「マスクの下はこうなっていたんだ! コリィ、イケメソじゃん!」と瞳をキラキラさせたお嬢さん方も少なくなかったようです。

内容に関してですが、SLIPKNOTで聴くことができたコリィの歌唱力の高さが存分に発揮された、メロディアスなHR/HMアルバムに仕上がっています。ヘヴィさもしっかり楽しめるのですが、SLIPKNOTのそれとは異なる質感で、あくまでHR/HMの範疇にあるヘヴィさといいますか。要するに、エクストリーム・ミュージックのそれとは相反するヘヴィさなんです(SLIPKNOTが「エクストリーム/ヘヴィの中に、ほんのちょっとのメロウさ」だとしたら、STONE SOURは「メロディアスさの中に、味付けとしてのヘヴィさ」。要するにスタート地点が真逆なのです)。

と同時に、伝統的なHR/HMにこだわったというだけではなく、しっかり彼のルーツ……グランジ以降のオルタナティヴロックのカラーもしっかりと感じられる。王道のメタルとは一線を画するものかもしれませんが、間違いなくこれは“90年代以降のHR/HMのそれ”以外の何ものでもありません。かつ、コリィが歌えばどれもSLIPKNOTとの共通点が自然と感じられています。特に、本作を経て制作されたSLIPKNOTの3rdアルバム『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)はこのSTONE SOURでの経験がなければ到達できなかった作品だったのではないでしょうか(事実、『IOWA』以降の不和がコリィをSTONE SOURへと突き動かしたわけですし、下手したらそのまま解散しても不思議じゃなかったわけですから)。

今やサイドプロジェクトなんて目で見る人はいないほど、SLIPKNOTと交互で動くコリィのメインバンドのひとつ。その完成度は作品を追うごとに高まっていますが、SLIPKNOTとのつながりという意味では本作の重要性は非常に高いですし、その後の“歌モノ・ヘヴィロック/ニューメタル”を語る上でも重要な1枚ではないでしょうか。

 


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2019年8月10日 (土)

SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(2019)

ついにリリースされたSLIPKNOTの約5年ぶり、通算6作目のオリジナルアルバム。

このアルバムに関しては、実はすでにリアルサウンドさんのメタル/ラウド系新譜キュレーション連載(7月21日掲載分)にてたっぷり書いてしまっており、今さら付け加えることもないのかな……と思いつつ、改めてCDで、そしてストリーミングで聴いてみたのですが、やはり基本的な印象は初聴のときとほぼ変わりませんでした。うん、よいアルバム。

なので、詳しくはこちら(リアルサウンド - Slipknot、Abbath、GYZE……西廣智一が選ぶ話題性の高いHR/HM新作6作)にて確認していただくとして。

トータル約63分という長さ(日本盤ボーナストラックを除く)は、実は前作『.5: THE GRAY CHAPTER』(2014年)の通常盤と一緒なんですよね。にも関わらず、僕はこの新作を初めて聴いたとき、前作のときに感じた「……長すぎ!」という印象をまったく得ることがなかった。なぜなんでしょう。

それは、新譜キュレーション連載で書いた下記の行に集約されているのかなと思いました。以下、引用しますね。

筆者は常々、Slipknotのアルバムは「ヘヴィさ/攻撃性」「ポップさ/メロディアスさ」「耽美さ/刹那さ」の3つの要素で構成されていると考えており、前作はこのうち「ヘヴィさ/攻撃性」に長けたぶん「ポップさ/メロディアスさ」が若干後退した1枚と感じていました。これは当時のバンドの状況を考えれば納得のいく話かと思います。しかし、今回の新作ではこの3要素がアルバムの中で一番良いバランス感で三角形を作っている。ヘヴィな曲はとことんヘヴィだし、そのヘヴィさもエクストリームさを追求したものから90年代ヘヴィロック的なもの、あるいは80年代のHR/HMを彷彿とさせるギターリフまでさまざま。かと思えば、「ポップさ/メロディアスさ」「耽美さ/刹那さ」に特化した楽曲もしっかり存在しており、1曲1曲の際立ち方は過去最高ではないかと感じました。その3要素の中心にある楽曲が、リードトラックとして公開された「Unsainted」というのも、なるほどと頷けるものがあります。

うん、これで十分だ(笑)。ただ、そこに付け加えるとしたら、1曲1曲がしっかり考えて作り込まれているという点。ジム・ルート(G)はリリースインタビューで「このアルバムを作ったときにインスピレーションになったのは、シングルだけじゃなくフルアルバムを作ることにこだわっているアーティストたちだ。今の音楽業界はとにかくシングルを出して稼ぐ方向に傾いているけど、俺たちスリップノットはひとつの作品として完成している、アルバムでしか味わえない体験を届けたかった」と発言していますが、もちろんアルバム通して聴いたときの破壊力は抜群ですが、それには1曲1曲の完成度がしっかりしていないといけない。つまり、「シングルを作るための、シングルを作った結果のアルバム」ではなくて「良い曲しかないアルバムだったから、結果としてシングルがたくさん“切れた”」という従来の(?)アルバム制作方法を意識した結果の1枚ということなんでしょう(とはいえ、SLIPKNOTがこれまで「シングルを意識した制作方法」をしたことなんで皆無でしょうけどね)。

なんにせよ、バンドのデビュー20周年にふさわしい集大成的な力作。早くライブで聴きたい!って曲ばかりが詰まっているので、来年3月の『KNOTFEST JAPAN』も本当に楽しみです。

 


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2018年12月 8日 (土)

SLIPKNOT『.5: THE GRAY CHAPTER』(2014)

2014年10月にリリースされた、SLIPKNOTの5thアルバム。前作『ALL HOPE IS GONE』(2008年)から実に6年ぶりの新作にあたりますが、その間にベストアルバム『ANTENNAS TO HELL』(2012年)を挟んでいたとはいえ本当に「長く待たされた!」と強く感じさせられた1枚でした。

その6年間というのはバンドにとって非常に大きな変化を及ぼした期間でした。まず、2010年にベーシストのポール・グレイ突然の逝去。その後、2011年からはサポートベーシストを迎えてツアーを行うのですが、今度は本作制作直前にドラマーのジョーイ・ジョーディソンが脱退。9人いたメンバーが7人に減るものの、それでもSLIPKNOTは歩みを止めずレコーディングに突入します。

プロデューサーとしてグレッグ・フィデルマン(METALLICABLACK SABBATHSLAYERなど)を迎えた本作では、前作にあった“ブルータルさ”、“耽美さ”、“ポップさ”の3要素のうち、若干“ポップさ”が減退。そのぶん“耽美さ”が上回り、ポップとは別のベクトルにある「激しくも聴きやすい」内容に仕上がっています。

メロウかつゆったりと始まるオープニングの「XIX」はインストかと思いきや歌モノである事実に驚かされたり、「Killpop」はメロはポップなのにこれまでとはちょっと違うゴシック感が漂っていたりと、なかなか侮れない楽曲が多数含まれています。

もちろん、序盤の「Sarcastrophe」「AOV」や先行トラック「The Negative One」みたいなブルータルナンバーも含まれていますし、「Skeptic」や「Nomadic」からはインダストリアルの香りも感じられ、ヘヴィなバラード「Goodbye」や「The One That Kills The Least」には泣きメロも備わっている。なかなか侮れない内容なんですよ、これが。

アルバムも5枚目となると1stアルバム『SLIPKNOT』(1999年)とは同じことを繰り返すことはできないし、ミュージシャンを20年近くもやっていれば成長も求められる。だけど、ファンは初期のイメージを求め続け、大胆な変化を拒む。特にこの手のエクストリームミュージック界では、ちょっとした変化が人気の命取りになるから、そのバランス取りが非常に難しくなります。そんな中でSLIPKNOTはデビュー時からのメンバー2人を欠くという変化のタイミングを迎えた。つまり、ここで新しいことにチャレンジしなかったらあとがないんじゃないかと思うんです。

40代になったメンバーが、初期の頃と同じように怒りを維持しつつ、ミュージシャンとしては新しいことにトライする。それがこのアルバムで完全にできているとは言い難いですが、その片鱗はいろんなところから感じられるはずです。確かに初期の無軌道さはここにはないし、良い意味ですべてが整理され、コントロールされている。そこを物足りないとも正直思うけど、だけど大音量で聴けば素直に楽しいと思える自分もいる。複雑な感情になるものの、そこまで悪い内情じゃないから余計に評価に困る。自分にとってこのアルバムはそんな1枚なんです。

もしかしたら、2019年初夏にリリース予定の6thアルバムを聴いたら、この5thアルバムに対する正当な評価が下せるかもしれない。発売から4年以上経ったけど、自分にとってはそういう中途半端なポジションの1枚です。

あ、そのどっちつかずな評価は曲集の多さにも多少影響されているかもしれません。本編は14曲で64分とかなり長尺なのに、デラックス盤はさらに2曲追加で70分超えですから。全曲自分の中に完璧に取り込むのに相当時間がかかったのは言うまでもありません。だって、どれもが最高!とは言い難いですし、かといってそこまで劣るってわけでもないし。せめて12曲で60分以内に収めてくれたら、もうちょっとスッと入っていけて、きっぱり評価できたのかもしれませんね。



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2018年11月 1日 (木)

SLIPKNOT『ALL OUT LIFE』(2018)

10月31日、ハロウィンの深夜(日本時間)に突如SLIPKNOTからのプレゼント。なんと、2014年の5thアルバム『.5: THE GRAY CHAPTER』以来となる新曲「All Out Life」が公開されました。

レコーディングに突入したこと、来年にはヨーロッパツアーが開催されることがアナウンス、さらにイギリス『DOWNLOAD FESTIVAL』中日のヘッドライナー担当など、活動が活発化しつつあった彼らが、不意をついて5分40秒におよぶ新曲をハロウィンに配信とは、いやはや、嬉しいじゃないですか。

前作の際にもアルバムリリースの約3ヶ月前の8月1日に、アグレッシヴな先行シングル「The Negative One」を発表。このスパンから勝手に予想すると、アルバムは来年1月下旬〜2月頃にリリースされるのではないでしょうか。いや、順調に事が進んでいればの話ですが。まあ遅くても春先までには発表されると思います。それまでにもう1、2曲は小出しにしてくれるでしょうから、アルバムの方向性についてはそれらを聴くまで保留としておきます。

で、この「All Out Life」。ここ数作のSLIPKNOTらしさが凝縮されたアグレッシヴかつプログレッシヴな1曲となっています。コリィ・テイラー(Vo)は終始ドスの効いた声で叫び、リズムはグルーヴィーさを保ちつつ、しっかりとブラストビートも交えてくる。ギターリフのインパクトが若干弱い気がしないでもないですが(思えば前作もそういう作りでしたし)、“らしい”フレーズやプレイはところどころに登場するし、リズムとボーカルがグイグイと引っ張るスタイルだから、とりあえずはそこまでマイナスには感じない……ことにしておこう。

にしても、1曲にいろいろ詰め込んだね。猟奇性とドラマチックさが共存するこのアレンジ、嫌いじゃないです。特に、中盤以降のテンポダウンした(ピアノをフィーチャーした)ミドルパートからのブラストビート。最高です。MVのエグみ含めて、現時点では合格。

先にも書いたように、1曲だけで自作の方向性は語れないけど、この曲に関しては高く見積もって10点満点中8点をあげたい。来年でデビュー20周年。マンネリと言われようが、ここまで続けてくれていることに感謝。

ああ、この曲を爆音で流しながら渋谷のど真ん中に突っ込みたい(やらないけど)。



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2018年8月 5日 (日)

SLIPKNOT『ALL HOPE IS GONE』(2008)

2008年8月にリリースされたSLIPKNOTの4thアルバム。もう10年も経つんですね。その事実に驚きです……。

メンバーの不仲など解散の危機を経て完成にこぎつけた前作『VOL.3: (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)から4年ぶりに発表された本作は、プロデューサーをリック・ルービンからデイヴ・フォートマン(EVANESCENCE、MUDVAYNE、GODSMACKなど)に交代して制作。全米2位止まりだった前作を上回る、初の全米1位を獲得する記念すべき1枚となりました。

作風的には前作の延長線上にある、歌メロが際立つ楽曲スタイルが中心なのですが、そこに2ndアルバム『IOWA』(2001年)が持っていた凶暴性(狂気性ではなく)が若干復活し、ヘヴィロック/ラウドロックアルバムとしては正にお手本と呼べるような1枚に仕上げられています。

曲によってはブラストビートをフィーチャーしたりしており、ところどころに初期の衝動性が感じられますが、それも味付け程度といったところ。もちろんこのバンドにおける“怒り”は活動する上で必要な要素なのですが、本作に関してはあくまでキモはそこではないことは、聴けばおわかりいただけることでしょう。

メジャーデビューからまる10年経ち、大きな成功を手に入れた。活動ベースも初期のクラブやライブハウスから、今や世界各区のアリーナやスタジアムをヘッドライナーとして回っている。なんの不自由もない生活、欲しいものはなんでも手に入る人生。ある意味、この10年で彼らは人生の勝ち組にまで登りつめた。そんな人間が、「People = Shit」と素直に叫ぶことができるのか。もしかしたら、このアルバムで彼らはそういったことと向き合ったのではないでしょうか。

つまり、「ここから先もSLIPKNOTとして人生を続けることができるのか」。それは音楽のみならず、ライフスタイルという点においても。音楽という点では、個々がミュージシャンとして成長を重ねているが故の、音楽性の変化は致し方ない。そこを踏まえて、SLIPKNOTのスタイルをどう守っていくか、そのひとつの回答が本作でのバランス感なのかもしれません。そういう意味でも、本作が正統的なラウドロックアルバムに仕上がったのは正しい選択だったと、リリースから10年経った今も信じています。

ただ、ライフスタイルという点においてはメンバーによってバラツキが生じてしまった。その影響の表れのひとつが、本作リリースから2年後に起こったポール・グレイ(B)の急逝かもしれません。さらに、2013年末のジョーイ・ジョーディソン(Dr)脱退もそのひとつに数えられるでしょう。結果として、本作がデビュー時から続いた黄金期メンバーによる最後の作品となってしまいました。そう考えると非常に罪作りな1枚なのかもしれませんね……。



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