2016/01/10

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

Blur『The Great Escape』(Amazon

Bon Jovi『These Days』(Amazon

The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』(Amazon

Fear Factory『Demanufacture』(Amazon

Foo Fighters『Foo Fighters』(Amazon

The Fugees『The Score』(Amazon

Garbage『Garbage』(Amazon

King Crimson『Thrak』(Amazon

Oasis『(What's the Story) Morning Glory?』(Amazon

Pulp『Different Class』(Amazon

Queen『Made in Heaven』(Amazon

Red Hot Chili Peppers『One Hot Minute』(Amazon

Reef『Replenish』(Amazon

The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(Amazon

Sepultura『Roots』(Amazon

Teenage Fanclub『Grand Prix』(Amazon

The Wildhearts『P.H.U.Q.』(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下ざっと候補を羅列します。

Alanis Morissette『Jagged Little Pill』
Anthrax『Stomp 442』
The Beatles『Anthology 1』
The Boo Radleys『Wake Up!』
Bruce Springsteen『The Ghost of Tom Joad』
The Charlatans『The Charlatans』
D'Angelo『Brown Sugar』
David Bowie『Outside』
In Flames『The Jester Race』
Michael Jackson『HIStory: Past, Present and Future, Book I』
Nine Inch Nails『Further Down the Spiral』
Ozzy Osbourne『Ozzmosis』
Paul Weller『Stanley Road』
The Rentals『Return of the Rentals』
Ron Sexsmith『Ron Sexsmith』
Sonic Youth『Washing Machine』
Supergrass『I Should Coco』
Terence Trent D'Arby『Terence Trent D'Arby's Vibrator*』
Terrorvision『Regular Urban Survivors』
Underworld『Second Toughest in the Infants』
White Zombie『Astro-Creep: 2000』

こうやって振り返ると、1995年から1996年初頭ってブリットポップの最盛期だったんですね。1995年3月にはElasticaやGeneのアルバムも発表されてるし、1996年後半になるとKula Shakerの1stもリリースされますし。やっぱり1995年夏のBlur vs Oasisの直接対決がピークでしたね、いろんな意味で。

あ、Underworldをあえて選外にしたのは、日本盤のリリースが1996年6月だったから。海外では3月発売ですが、その後の「Born Slippy」のヒットなど含めて考えると、このアルバムは1996年から1997年の作品かなと思いまして。来年はマストかな。

メタルの世界はグランジがひと段落したものの、ポストグランジ的サウンドのバンドが増えつつあり、前年からのMotley Crue、Dokkenの失敗など、あまり芳しくない状況でした。そんな中、1994年のKornデビューを機にグルーヴ感のあるヘヴィロックが台頭し始めます。前年デビューのMachine Headもその1つですね。Sepulturaは前作『Chaos A.D.』でのシフトチェンジから、ブラジル音楽のルーツを取り入れた傑作『Roots』で活動のピークを迎えるのも、1996年初頭のお話。Fear Factoryのようなデジタル要素を取り入れたヘヴィバンドも人気を集め始めたのも印象に残ってます。同時期に国内ではTHE MAD CAPSULE MARKETSが『4 PLUGS』をリリースしたのも、海外の動きとリンクしていて興味深いです。

ちなみに日本国内ではこの頃、ブルーハーツの解散(6月)やUP-BEATの解散(8月)、光GENJI(光GENJI SUPER5)の“卒業”(9月)、Winkの活動停止(96年3月)といった出来事がありました。いわゆるTKサウンドがチャートを席巻し、MY LITTLE LOVERやglobeがデビューしたのもこの頃でした。

投稿: 2016 01 10 12:00 午前 [1995年の作品, 1996年の作品, Ben Folds, Bon Jovi, Foo Fighters, Queen, Smashing Pumpkins, Teenage Fanclub, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2005/05/13

SMASHING PUMPKINS『GISH』(1991)

ビリー・コーガンが語る:ソロ・アルバム、R・スミスとのコラボ、そしてスマパン再結成の可能性(MTVJAPAN.COM)

 長い記事です。続きはこちらです。6月にリリースされる初のソロアルバムに関するインタビューなんだけど、最後はどうしても「SMASHING PUMPKINS再結成の可能性は‥‥」という話題になっちゃうんだよね。ここでさ、ZWANが短命に終ってなければこんなこと聞かれずに済んだのに‥‥

 ZWANがアルバムをリリースした2003年初頭。春にはもう初来日公演を果たし、既に来日中に「フジロックへの出演が決まった」とか何とか言われてたのに、気づいたら直前にメンバー脱退〜解散ですからね。ほぼ空中分解に近い形で。そして解散に関するコメントの中で「スマパンが恋しい」みたいな無防備な発言までしちゃったもんだから‥‥そりゃみんな「ヲイコラマテ!」ってなるわな。んでその後、スマパン解散の真相といって、まるで全ての理由がジェームズ・イハにあるみたいなこと言い出す始末。嗚呼‥‥

 上のインタビューでも「あの4人」でのスマパン再結成に関して、「4人のスマパンが見られる日は来ない。それはありえないことだ」と答え、「もし仮にスマパンが見られたとすれば、僕らは解散した時点から続けるんだ。非常にプログレッシヴで、アグレッシヴで、理解し難いユニットってことさ」とも答えてる‥‥要するに、ビリー/イハ/ダーシー/ジミーでのスマパン再結成はありえないけど、別の形でのスマパン復活ならありえる。でもそれは過去の焼き直しにならず、現代的なサウンドを持ち合わせたバンドになってるはず、そうじゃなきゃやる意味ないし‥‥と言いたいのか。まぁ‥‥ベースはメリッサを呼び戻したとしても、ギターがなぁ‥‥やっぱりイハじゃないと。イハのいないスマパンなんて考えられないしなぁ‥‥

 そんなスマパンなんだけど、俺デビュー当時のスマパンが超苦手で。苦手というよりも、ストレートに言って嫌いだった。バンドの持つ空気感や雰囲気が苦手で。サウンドを聴くより前に苦手意識を持ってしまっていて、初めて "Siva" だか何かのPVを観た時には、もう嫌悪感すらあって。友人の車の中でこの「GISH」というアルバムを初めて聴かされた時も‥‥全然耳に入ってこなくてね。

 スマパンと真正面から向き合えるようになったのは、3rdのメロンコリーからですよ。あのアルバムがアメリカでは数百万セットを売り上げてるのに、日本では2,000枚も売れてない‥‥みたいな記事を当時の新聞夕刊で読んで(確か執筆してたのは、故・福田一郎氏)。その直後に観た "1979" のPVとそのサウンドに目を耳を奪われてね‥‥その後はもう、ご存知の通り。気づいたら1stも、当時未聴だった2ndも後追いしましたよ。

 この「GISH」というアルバムは、確かにその後の彼等と比べれば地味だし未熟だと思う。如何にも「田舎のインディーバンド」といった印象だし。けど光るモノは既にこの時点から存在してたし、曲だって今聴けば全然悪くない。そう‥‥全ては「シアトル・ムーブメント」であるところのグランジ‥‥ここに括られてしまった時点で、彼等の不幸‥‥終わりのない悲しみがスタートしちゃったのかもしれないね。彼等は他のシアトル勢と比べても、非常にスマートで知的な印象があるのね。同じ田舎モンの集まりのはずなのに、そこには都会モンが持ち得るクールさが最初から備わってる。そう、バカ売れする前から。

 ファーストアルバムとしてみたら、水準高過ぎでしょう。けど、偏屈な方々は「出来過ぎ」とか「優等生過ぎ」といってスルー。みんなもっと派手で暴れられるNIRVANAやPEARL JAM、ALICE IN CHAINS、SOUNDGARDENみたいなバンドを選んだ‥‥勿論、俺もその中のひとりだったんだけどね。

 実はSONIC YOUTHと比較されるべきだったのは、サーストン達と仲が良かったNIRVANAではなくて、このSMASHING PUMPKINSの方だったのかもしれないね。

 でも‥‥その後のブレイクの仕方を思えば‥‥今はこれでよかったのかも‥‥と思えなくもないし。あの屈辱感があったからこそ、そして1枚目で大きな成功を収めなかったからこそ、その後ああいう方向に進んで大ブレイクできたんだろうけどさ。

 ま、とにかく‥‥ビリー・コーガンという男は本当に凄い奴だってことですよ。既に14年前からこういうアルバムを作っていたわけで、それから12年後にはZWANで更にそれを数十歩押し進めたような作品を生み出して、そして今‥‥その更に数歩先を見つめるソロアルバムをリリースしようとしてるんですから。

 でもでも‥‥やっぱりもう一度。もう一度だけでいいから、スマパン観たいよねぇ‥‥



▼SMASHING PUMPKINS「GISH」(amazon

投稿: 2005 05 13 12:00 午前 [1991年の作品, Smashing Pumpkins] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/13

とみぃ洋楽100番勝負(87)

●第87回:「Tonight, Tonight」 THE SMASHING PUMPKINS ('95)

 スマパンがずっと苦手で。前のPEARL JAMの場合は単純に「自分的に決定打に欠ける」ってだけで、別に嫌いじゃなかったんだけど。スマパンの場合は‥‥なんだろ‥‥あの世界観が‥‥1stの頃とかね‥‥無理してやってるんじゃないの?くらいに思えて。だから「GISH」って殆どリアルタイムでは通過してないし、2nd「SIAMESE DREAM」にしても一部の "Today" とか "Disarm" といった楽曲を除いて、どうにものめり込めなくて。

 そんな俺がスポッと彼等にハマってしまったのは、この「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」というアルバムタイトルと、"Tonight, Tonight" という楽曲のお陰だったのかな。でもね、そこにたどり着くまでには、アルバムリリースから半年以上もの時間を要したんだけど。

 完全に聴かず嫌い‥‥ちゃんと聴いてこなかったんだなぁ、と。いや、それを抜きにしてもこの2枚組アルバムの音楽的成熟度はハンパじゃなかったんですよ。むしろ俺がこれまで感じていた「無理してる感」が皆無で、30曲以上あるもんだからいろんなタイプの曲があって。それこそビリー・コーガンがどういった音楽から影響を受けて来たかが伺えるような要素がそこら中に見え隠れしてるわけ。で、それらが自分とかなりオーバーラップしていた、と。

 "Zero" とかああった世界観を持つ楽曲にもすんなり入っていけたし、"1979" なんて思わず吹き出してしまうタイプの曲もあったり‥‥けど俺は、彼等にそれこそアルバムタイトル通りの「メロンコリー」と「終わりのない悲しみ」を求めてしまってね。"Tonight, Tonight" もそうだし、ディスク2後半の流れとかさ‥‥それは続くアルバム「ADORE」にまで続くんだけど。

 誰も彼もがあの時代、同時代に登場したことで、そして先に逝ってしまったことで、カート・コバーンがそれまで担ってきた役割を背負わされそうになっていた。だからこそ、あのムーブメントが崩壊することで、それぞれが本来持っていたものを曝け出す必要があった。そしてPJにしろスマパンにしろ、そういった時代を担うことを拒否し、いち抜け二抜けしていき、独自の個性を磨いていった。その結果、俺は彼等の本当の姿に出会うことができた。そして今がある、と。

 ビリー・コーガンには本当に頑張って欲しいのよ。ZWANがああいった形で終わってしまったこともあってね‥‥もう一度スマパンをやって欲しいとは思わないけど、これを超えることは可能なんじゃないかな‥‥と信じて疑わないんですけど。絶対にやれると思う、あの男なら。ブリトニーとか気にしてる場合じゃなしに、好き放題やった時の本当の凄さは、このアルバムで実証済みなんだからさ。



▼THE SMASHING PUMPKINS「MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS」(amazon

投稿: 2004 11 13 12:00 午前 [1995年の作品, Smashing Pumpkins, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2000/07/10

SMASHING PUMPKINS@東京国際フォーラム ホールA(2000年7月2日)

  それ程思い入れもなかったSMASHING PUMPKINSだが、解散するということを知って、今回の日本最終公演に足を運ぶ事にした。コアなファンからすれば俺は邪道だろう。「解散する前に一目この目で観ておきたい」その程度の理由だった。勿論、嫌いだったらチケットに7,000円、交通費に5,000円も払ったりはしないだろう。ファーストアルバムからリアルタイムで常に聴いてきたものの、どうにものめり込む事が出来ず、ちゃんと評価するようになったのは3rd「MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS」('95)から、自分の趣味に近い音を出すようになった「ADORE」('98)に関しては、その年のベストアルバムの1枚に選んでいる。新作も勿論気に入っている。単に「いい曲だな」としか思ってこなかったし、ビリー・コーガンに対しても憧れとか好きとか、そういうのはなかった。その程度の人間が書くレビューである。コアなファンは目くじら立てずに最後までお付き合いいただきたい。

  東京国際フォーラム自体が初めてということもあり、俺なりにいろいろ感慨深いものがあった。(詳しくは、去年の5月末あたりの日記「ジェフ・ベックと私」を御参照いただきたい)東京駅から徒歩数分という事もあって、地方からライヴに来たお客にとってはアクセスに便利なのではないだろうか? 少なくとも俺にとってはかなりポイント高いが。(笑)
  会場となるのは、国際フォーラムの中のホールAという、一番キャパの大きな会場だった。およそ6,000人近く入ると聞いたが(間違ってたらごめんなさい)、俺の席が1階のかなり前(20列目)だった事も関係してくるのかもしれないが、見渡したところ、中野サンプラザをふた回り程大きくしたような感じだった。勿論あれよりも近代的な造りだし、特に2階などはどことなくオペラハウスをイメージさせる造りだった。(ってオペラハウスにも行ったことはないのだけど/苦笑)

  ウドー音楽事務所お得意の「土日祝日の開演時間17時」という、わけの判らない時間組みのお陰で、今日は終バスより前に帰れるだろう‥‥そう思っていた。ところが席について開演時間が近付くと「本日はSMASHING PUMPKINS日本最後の公演ということで、特別に休憩15分を挟んだ2部構成になっております‥‥」というアナウンスがあった。会場ドッと湧く。凄い歓声だ。本当に好きな奴らが集まってきたんだろうな‥‥何かそう思ったら、自分がこの場所にいる事が場違いのような気がしてきた。(苦笑)しかし、ロビーに出てビールを飲んでいると「スマパンよく知らないけど、もう観れないっていうから来ちゃった」というような会話を何度か耳にした。そうか、俺だけじゃないんだ。(笑)そう思うと少し気が楽になった。今日はニュートラルな状態で、純粋に楽しもう‥‥そう心に決めた。解散を抜きにして、どれだけ楽しめるステージを見せてくれるのか? 俺にとってはそれがポイントとなった。

●第1部

  何の前触れもなく、いきなり照明が落ち、暗闇の中から異様な物体が‥‥いや、ビリーの頭だった。(苦笑)アコースティックギターを持ったビリーが無言でステージに立ち、いきなり弾き語りを始めた。そうか、第1部はアコースティック・セットで行くんだな? そう理解した観客は大歓声で応える。今回のツアーでは中盤にアコースティックを2~3曲やっていたそうだが、かなりの曲数で特別な内容のステージが観れるなんて、得した気分だ。

  6弦や12弦ギターを駆使して、名曲の数々をアコースティック・アレンジで聴かせる。"Today"のような代表曲も含まれていた。ビリーのあの独特な声が逆に際立って、不快感に思うのではないか?なんて最初は思ったが、それは最後まで感じなかった。むしろ、あの声があるからこれらの楽曲が成り立つのかも‥‥そう思えてきた。そして演奏がギター1本だったお陰で、一番大切な事を再認識させてくれた‥‥スマパンが、ビリー・コーガンが作ってきた楽曲が、如何に優れた楽曲であったか、を。スマパンというと意外と「轟音ギター」をイメージするかもしれないが(俺も最初そういうイメージを持っていた)アルバムを聴くと実にバラエティーに富んだ内容だという事が判る。そして、ただバラエティーに富んでいるだけでなく、それらの楽曲がかなり高品質である事。当たり前のようなそんな事実を、目の前にいるビリーは最後の最後で教えてくれた気がした。

  途中お客とのコミュニケーションを取りつつも、ライヴは淡々と進み、5曲を終えたところで、エレキギターを持ったジェームズ・イハが登場。上下白のスーツである。そうそう、これとは対照的にビリーは上下黒、上はレザーで下はスカート。長身でガッチリした体形のせいで、物凄い威圧感がある。最近私生活でお坊さんを見る機会が多かった為、どうにもステージ上のビリーが住職に見えて仕方なかった。(爆)

  話を元に戻そう。イハが加わり二人でメドレー形式にしたアレンジで何曲かを演奏。イハはソロを弾くというよりは、スライドバー等を駆使して効果音的にギターを奏でていた。プレイされたのが「ADORE」収録の曲ばかりだったため、幻想的な空気が会場を包んだ。

  続いてステージには白いドレスを纏ったメリッサと、黒のベストを着たジミーが登場。いよいよバンド形態でのプレイとなった。メリッサは普通のプレシジョン・ベースを弾いたが、ジミーはスティックを鳴りの弱いものに代えてプレイしていた。ここでは新作からの曲がメインとなったが、何やらメリッサがプレイを間違えたらしく、ビリーがメリッサをいじめる?シーンにも遭遇した。それは陰険なものではなく、どこか微笑ましいものだった。客席からも笑みがこぼれる。これが解散を決意したバンドの、異国での最後のステージか?と思わせるくらいに和んだ空気だった。更にビリーは曲の合間にアコギでLED ZEPPELIN "Whole Lotta Love", DEEP PURPLE "Smoke On The Water", RAINBOW "All Night Long"のリフを披露。何だかメリッサをからかう姿といい、小学生のガキ大将的な姿を見た気がした。前回の来日でも初の武道館を意識してか、CHEAP TRICK "I Want You To Want Me"の「AT BUDOKAN」バージョンをカヴァーしていたし‥‥バンドを、ギターを始めた頃の初心をこの異国の地で思い出していたのだろうか。それとも単に気まぐれなのだろうか? どっちにしろ、とても貴重なものを目に/耳に出来たような気がした。

  盛り上がっていく中、第1部は名曲"Disarm"で閉められた。約1時間に及ぶ、素晴らしい、そして貴重な体験であった。


●第2部

  15分後に再び会場が暗転し、今度は最初からメンバー4人がステージに登場。ビリーもイハもエレキを持っている。そして真っ暗なステージの上でおもむろにビリーが独特なヘヴィリフを叩き出した。そう、第2部は新作の1曲目"The Everlasting Gaze"からスタートだ。噂には聞いていたが、こんなにもハイテンションでプレイされるとは‥‥スマパンのライヴで印象的なのは、アップテンポなナンバーも、ライヴではアルバムよりも更にテンポアップされる。それはドラムが走り気味だとかそういう理由からではない。とにかくミドルテンポ以下の曲以外は概ねテンポアップされた、ハイパーバージョンでプレイされる。ただでさえ速い曲なのに、更に速く‥‥第1部の時も思っていたが、ジミーのドラムの音がデカい。PAの問題ではなく、生音がデカいのだ。これはステージから近かったから判った事実だが、あれだけギターが大きな音で鳴らされているにも関わらず、ドラムの生音が客席まで届く‥‥如何にジミー・チェンバレンというドラマーがハードヒットを信条とするドラマーかがよく判った。そして何故ビリーが最後まで「オリジナルメンバー」にこだわったかが、これで理解できた。ただ単に「オリジナルメンバーで終わりたかった」だけではないだろう。ドラムに関して言えば、やはりジミーを差し置いては他にはいなかったのだろう。

  続く2曲目"Heavy Metal Machine"でもヘヴィなプレイが続く。スマパン流HMとでも言えばいいのだろうか? 終盤ドラムのみをバックに、ビリーは客席に向かって「Heavy Metal!」と何度も叫び、そして絶叫を繰り返した。もしかしたら俺達に唄わせたかったのかもしれない。この御時世にHMという言葉にこだわるビリー‥‥グランジという言葉で片付けられてきた彼等だが、もしかしたら純粋にHM/HRがやりたかったのかもしれない。田舎のHR少年だったビリーは、他に漏れずツェッペリンやパープル、エアロやKISSやCHEAP TRICKを愛し、そして自らがバンドを率いた時、「自分流のHR」を作りたかったのかもしれない。それが1990年代に登場したが為に、ガレージだ、グランジだ、といったジャンルで括られてしまった。もしかしたら、それは不幸な事だったのかもしれない。自分達が既にオルタナティヴな存在ではない事を認識しつつ、「メインストリームの中で以下にオルタナティヴでいるか?」といった命題と戦う宿命にあった、「ADORE」以降のスマパン。それは傍目には成功しているように見えた。しかし、内部では悲鳴を上げながら終焉に向かっていたのかもしれない。

  イハがヴォーカルをとる曲等も含んだ第2部は、それこそ新作からの名曲群と代表曲のオンパレードだった。ビリーは曲の途中で何度も絶叫を繰り返し、それは思い入れのない俺の胸にも突き刺さった。痛い。曲のタイプのせいもあるだろうが、とにかく胸に沁みる。エンターテイメント性を打ち出しながらも、どこか切ない。これがSMASHING PUMPKINSというバンドなのだろうか? 今回のツアーはキーボーディストがいない、純粋に4人で演奏されている為、どの曲もハードに響くが、それでも楽曲にある哀愁の色は決して色褪せていない。完成された楽曲の凄み。そしてそれを怒濤の演奏で我々に叩き付ける4人の凄み。空気的には解散を感じさせなかったが、やはりこの「凄み」は「解散」という現実に向けられたものなのだろうか? そう感じずにはいられなかった。

  2度のアンコールに応え、最後の最後に彼等が選んだ曲は"1979"だった。リズムボックスをバックに、ジミーまでもがアコギを持って前に出てきて、予めライヴの最後を想定して作られたかのような形となった。ビリーやジミーの顔からは笑顔がこぼれる。客席もそれに応える。しかし、ぽつぽつと泣いてる女性もいた。ビリーの「Next...maybe last song」という言葉が頭から離れなかった。そして曲の終わりと共に、ライヴも終了した。ジミーを除いたメンバーが意外とあっさりとしているのに対し、ビリーは名残り惜しむかのように、ステージの右から左まで、お客ひとりひとりと握手を交わしていた。途中、アンパンマンのぬいぐるみをファンからプレゼントされ、その生き写しともいえる姿(爆)に観客は最後の最後で大爆笑した。誰だ!ビリーにアンパンマン渡したのは? お前、オイシすぎるぞ!!!(笑)ビリーがステージから去った後も、スマパンを求める観客の拍手は止まなかった。しかし、無情にも会場に明かりが灯る。そして終わりを告げるアナウンス‥‥完全に、全てが終わった。

  本当ならこの"1979"の後にもう1曲、"Mayonaise"が用意されていた事を後で知った。しかしメンバーのファンサービスのお陰で会場を使用できる時間ギリギリになっていた為、あそこで終わったのだという。(実際、全て終わった時点で20時5分前だった。音を出せるのが20時まで、という契約だったのかもしれない)しかし、俺としてはああいう終わり方でよかったと思っている。あの形で終わった事で、SMASHING PUMPKINSは最後の最後まで「4人組のバンド」だったことを我々ファンの胸に焼きつけたのだから。
  それ程ファンでもなかった俺でもこれだけ楽しめたのだ。本当のファンはどういう心境であのステージを観ていたのだろうか‥‥是非伺ってみたい。

  そして最後に。こんな最後の最後でSMASHING PUMPKINSにハマッてしまうとは‥‥残念というか、不覚というか。とにかく楽曲・ライヴ共に素晴らしいバンドだったという事が最後の最後に確認できただけでも、俺にとっては収穫だった。


[SETLIST]
[First Set : Acoustic Set]
01. Speed Kills
02. Today
03. Muzzle
04. Once Upon A Time
05. Improding Voice
06. To Sheila ~ Shame ~ Drown ~ To Sheila
07. Glass And The Ghost Children
08. This Time
09. Stand Inside Your Love
10. Disarm
-----interval ; 15min.-----
[Second Set]
11. The Everlasting Gaze
12. Heavy Metal Machine
13. Blue Skies Bring Tears
14. I Am One
15. Raindrops + Sunshowers
16. Blew Away (Vocal : James Iha)
17. Tonight Tonight
18. I Of The Mourning
19. Rock On
20. Bullet With Butterfly Wings
21. Once In A Life Time
 [encore-1]
22. Perfect
23. Cherub Rock
 [encore-2]
24. 1979



▼SMASHING PUMPKINS『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2000 07 10 12:00 午前 [2000年のライブ, Smashing Pumpkins] | 固定リンク