カテゴリー「SOFT BALLET」の3件の記事

2003年12月16日 (火)

SOFT BALLET『EARTH BORN』(1989)

  2002年夏に奇跡的復活を果たしたSOFT BALLET。その彼等のデビューアルバムがこの「EARTH BORN」。リリースは1989年だから、今から14年前ってことになりますか。ある意味、あの時点でこんなアルバムを作っていたってことが驚きというか、改めて聴いてみてもメッチャ新鮮なんですよね、このアルバム。

  所謂エレポップだったりテクノポップの延長線上にある作風で、例えばDEPECHE MODEであったりULTRAVOXといったUKバンドを彷彿させる、優雅さと緻密さを持ち合わせたサウンド作り/曲作りが印象的で、一歩間違うと当時主流だったTM NETWORK辺りのラインに行ってしまいそうにもなるんですが、最終的にああいう形にならなかったのは最初からコンセプトがしっかりしていた点と、遠藤遼一という個性的なシンガー、そして他の二人(森岡賢と藤井麻輝)の強烈な個性‥‥こういった濃い要素が当時日本に蔓延していた他のエレポップ/ダンス・ユニットと一線を画していたわけです。ゴス的な要素が強いのもこのユニットの強力な個性だしね。

  バックトラックは完全に打ち込み主体で、基本的にはシンセも全てプログラミングによるものでしょう。そこに所々生楽器(アコースティックピアノであったり、エレキ&亜コーステックギターであったり)が挿入される。非常に人工的で機械的な印象が強いんですが、何故かボーカルまでは機械的になりきれない。所々人工処理されたボーカルパートもあるんですが、基本的には熱っぽい遠藤のボーカルが全体を覆っている。このバランス感こそがSOFT BALLETがSOFT BALLETである所以なのかもしれませんね(そしてそういった均等を完全に解体したのが、後々連発するリミックスワークなのかな、と)。

  もうこのアルバムはオープニングの "BODY TO BODY" が全てなんですね‥‥っていうのは少々言い過ぎでしょうか。とにかくそれくらい、この曲のインパクトが強いのね。当然ながらこの俺も、リアルタイムでこの曲を聴いて衝撃を受けたひとりだからさぁ、やっぱりねぇ。ビジュアル要素のインパクトも相当でしたが、曲自体は実は非常にしっかりと作られた、ポップでメロディアスなナンバーばかりなんですよね、このアルバム。歌メロだけ取ったら普通のポップソングとして通用するものばかりだし。けど、バックトラックは非常にマニアックなんですよね。まぁマニアックとはいっても、実はこのアルバムのサウンドが一番一般受けしやすい、判りやすいサウンドなんじゃないかな、と今となっては思うわけですが。後にどんどんマニアックな方向へと突き進んでいきますからね、このユニットは。まぁそれは「売れることを拒否」した結果なのではなくて、単純に作家陣(森岡と藤井)の音楽家としての成長を意味するものなんですけどね。

  エレポップ的なものって、実は'80年代前半にかなり流行っていて、そういう意味では'89年という時代(当時はバンドブーム真っ盛り)にこの音/スタイルで勝負するということは、かなりリスキーだったはずなんですよ。しかもかなりダークだし。ところがこのユニットはそういったマイナス要素を逆手にとって、最大に武器にしてしまった。よりそういった面を増長させて、唯一無二の存在へと上り詰めるわけです。そういう意味では「早すぎたバンド」なのかもしれませんね。実際、彼等が最初の活動休止を宣言した頃、世の中は第二次バンドブームといえる「ビジュアル系」ブームだったわけですから。SOFT BALLETのようなユニットもそのルーツのひとつとして挙げられることも多いようですしね。

  そうそう、このアルバムを聴いていると、ふと同じような方向を目指していた海外のバンドを思い出します‥‥そう、NINE INCH NAILS。ほぼ同時期に誕生したといっていいこの2組。意外なほど共通点が多いような気が‥‥まぁSOFT BALLETが3人で役割分担してることを、トレント・レズナーは全部ひとりでこなしてしまっていたわけですが。

  改めて聴いてみて、本当にカッコイイと思いますよ。多少時代の流れを感じさせるサウンドがなきにしもあらずですが、十分通用すると思うし。"BORDER DAYS" とか "EARTH BORN" とか今聴いてもイケてると思うしね。復活後の彼等も好きですが、やはり思い入れでは初期の3枚なんですよね‥‥。



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2003年12月 4日 (木)

『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』(1996)

  世代的にいうと、俺の年代って微妙なんですよね、JAPANって。多分末期の頃が小学生高学年~中学入学の頃だったんじゃないかな。辛うじて末期をリアルタイムで通過してる俺ですが、正直あの当時はその良さが全く判りませんでした。むしろ彼等と入れ替わるように登場したDURAN DURANの方が判りやすいし親しみやすかったので、そっちに夢中だったんですけどね。その後、デヴィッド・シルヴィアンが坂本龍一と絡むようになって彼のソロ・キャリアを追うようになって、中学高学年~高校くらいでようやくJAPANの良さが判ってきたという。で、俺の場合は末期から遡って聴いていったので、初期を聴いて更に衝撃を受けるわけですよ。なんだ、こんなにカッコ良かったのかよ!って。

  このJAPANトリビュートに参加してる面々の殆どが、俺よりも4~5歳以上年上の方々ばかり。中にはSUGIZOやRYUICHI(河村隆一。当時は共にLUNA SEA)みたいなほぼ同年代もいるんですが‥‥やっぱり今30代後半~40歳間近な方々がモロに通過してたでしょうから、こういう参加メンツになったんでしょうね。

  アルバムに参加しているアーティストはKyo(当時はDIE IN CRIESを解散させたばかりかな?現在はBugで活躍中)、Scudelia Electro、森岡賢・藤井麻輝(共にSOFT BALLET)、SUGIZO・RYUICHI(共にLUNA SEA)、ISSAY(DER ZIBET)、田村直美、土屋昌巳等‥‥所謂「ヴィジュアル系」と当時括られることの多かったバンドのメンバーが大半を占めるわけだけど、こういったバンドにどの程度JAPANが影響を与えたのか、あるいは「単にお仕事」として参加しただけなのか、人によってその辺の趣旨は異なるでしょうけど‥‥個人的には面白いなぁ、とリリース当時感じてました。

  原曲の良さについては敢えて触れません。だって「当たり前」だもん。勿論ここに選曲されなかった楽曲にも沢山名曲はあるし、微妙かなと思う選曲もあるわけなんだけど‥‥まぁその辺はこの手の企画盤に常に付きまとうものなので、無視します。

  確実にルーツだろうな、と言えるのはSUGIZOやSOFT BALLETの面々でしょう。特にSUGIZOと藤井麻輝は共に2曲も参加曲がある程だし。しかも彼等は単なるコピーに終わらず、完全なるカバー‥‥自分のスタイルにしてしまってますよね。LUNA SEA、SOFT BALLET両バンドのファンが聴いたら、思わずニヤリとするフレーズ連発で、聴いてて唸ってしまうんじゃないですかね?

  逆に全くJAPANを通過してないだろうメンツもいるわけで。RYUICHIや田村直美がその尤もたる例でしょう。RYUICHIなんて歌詞を自分で日本語に書き換えちゃってますしね。これはこれで面白いとは思うんですが‥‥やっぱり「そこまでしなくても‥‥」感は今聴いても付きまといますね。しかもまんま中期LUNA SEAしちゃってるし。決してこれやったから、その後ソロに目覚めた‥‥といえるような代物ではありませんが(逆にSUGIZOの場合は後のソロ活動との共通点も多く見受けられるんですよね)、ま、ファンアイテムとしては面白いんじゃないですかね。

  石田小吉(現在は「石田ショーキチ」でしたっけ?)もJAPANから影響を受けてるなんていう話、聞いたことなかったんでビックリしたんですが‥‥思いっきりT-REX風アレンジなのを聴いて、妙に納得してしまった記憶があります。力業だよな。

  あと、土屋昌巳‥‥末期ツアーに参加してた経緯からこのアルバムにも参加したんでしょうけど‥‥これってある意味セルフカバーですよね? ま、これはこれで面白いんだけど。愛に溢れてるっていうか。

  どの曲にも言えることですが、JAPANの場合、個人的にはどうしてもミック・カーンのベースが肝なわけですよ。しかしこのアルバムで聴けるカバー曲のベース、どれも普通に「ベース」しちゃってるんですよ。そこが面白味に欠けるかな、と。アレンジやその他の演奏自体には非常に熱を感じたり愛を感じたりするんですが‥‥media youthのHIROKIが弾いた "Sons Of Pioneersは頑張ってるかな、って気がしないでもないけど‥‥そこが一番残念(あ、土屋昌巳のトラックは除外。一番判ってるものこの人)。ま、真似すればいいってもんでもないんだけど、やっぱり重要なポイントじゃないの、JAPANを語る上での。

  そういう意味では‥‥リリースから7年以上経ったこのアルバムを久し振りに聴いてみて、ちょっと物足りなさも感じるんですが‥‥ま、これはこれでアリなのかな、と。昨今いろんな洋邦アーティストのトリビュート盤が出てますが、その殆どが「巷で人気の若手バンドが参加」とか「これからブレイクが期待されるインディーズ・バンド参加」みたいなのが売りになっちゃってて、肝心の「カバー」という行為が疎かになってるんだよね。お前らのやってることは「カバー」じゃなくて「コピー」だろ、と。愛情があればノー問題とかそういう次元じゃないから。単なる焼き直しになってる時点で、カバーされたバンドをバカにしてるんだからな、気づけよなっ!

  と、昨今のトリビュート事情について述べたところで‥‥久し振りにLUNA SEAの初期作品でも聴いてみようかなっ?(オイオイ、JAPANじゃねぇのかよ!)



▼『a tribute to JAPAN : Life in Tokyo』
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2002年12月 4日 (水)

SOFT BALLET『SYMBIONT』(2002)

  ソフト・バレエ、7年振りの復活。正直冗談だと思いましたよ。夏前にサマソニのメンツが発表になった時、「SOFT BALLET」の名前を海外のサイトで見つけて、その時は「SOFTBALL」の間違いじゃねぇの、サマソニだけにSOFTBALLならありそうだしな、とか思ったんだけど、いろいろ調べるうちに、春先にあった森岡賢のライヴか何かで「ソフバで再び動く」というような発言をしたとか、endsが活動休止状態になったとか、確かにメンバー3人が再び活動再開に向けて着々と動き出してるような様子は伺えたんだけど‥‥正直信じられなかったし、そこまで熱くはならなかった‥‥いや、嬉しかったんだけどね。

  個人的にソフバというと、アルファ時代‥‥「愛と平和」までしか聴いてなくて、何故かビクターに移籍してからのアルバムは今までちゃんと聴いてなかったんだわ。そりゃ、シングルになった曲とかはPVがかかるような番組で目にしてたけど、何故か興味が薄れて。単純に初期のコンセプトであった「エレクトロニック・ボディ・ビート」がたまたま自分的にツボだったってのが大きいんだけど。

  でね。最近‥‥サマソニ後、ビクター時代の3枚も含めて全アルバムを通して聴いたんですわ‥‥いや~、本当に申し訳ないっつうか。全部ツボでした。何でこれをもっと早くに聴いてこなかったんだろうね、と本気で後悔。7~8年前の俺、何やってたのさ!?(って考えてみたら、最もその手の音とかけ離れたものを聴いてた頃だったしな)

  そんなわけで、7年振りに復活したソフバのニューアルバム。こんなに早く出るとは思ってなかったのでビックリ。サマソニの時点でほぼ完成していた感じだね。あの復活ライヴでも既にここから5曲("OUT"、"DEAD-END GAZE"、"メルヘンダイバー"、"BIRD TIME"、"JIM DOG")演奏していて、初期の名曲は皆無。他はビクター時代の曲を3曲。かなり挑戦的且つ実験的なステージだったわけだけど、俺は一発で魅了されちまったんだわ。いやーマジでやられた。初期のライヴビデオとかは観たことあったけど、まさかこんな事になってるとは‥‥ゴスだとかビジュアル系だとか、そんなちっぽけなカテゴライズいらないよな。ステージの真ん中にはデカダンなイメージの遠藤がいて、向かって左にはヘラヘラした、10年前と全然変わってない森岡がいて、右側には前進黒のレザーで、頭にはSLIPKNOTばりのマスクを被ってギターを持った藤井がいて。この3人が並んで立っただけでも凄い空気なんだけど、更にライヴになるともう、ねぇ‥‥言葉に言い表せない程のカッコ良さなわけよ。

  そんなビジュアル面以上に、更に凄いことになってるのが音の方で。ソフバは既に'90年代初頭に、MINISTRYやNINE INCH NAILSがまだ日本で全く騒がれていなかった頃から、あれに匹敵するような音楽をやってきたわけで、活動停止前の「FORM」なんて今聴いても全く古くなってない程なのよ。で、今回のアルバム。前作から7年という月日が流れているものの、確かにあそこからの続きと呼ぶこともできる。けど、この7年ってのはかなり大きくて、例えば彼等がやってるようなテクノポップ的なものがメインストリームになってしまったり、それこそUNDERWORLDやCHEMICAL BROTHERSのようなグループから、ここ日本にもBOOM BOOM SATELLITESのようなユニットまで登場してるわけです。そういう事実を踏まえつつ、このアルバムは制作されているような印象を受けます。時代感覚云々より、この7年の空白を埋めるような、それでいてその7年間の音楽を総括するような音。過去のように時代を先取りしてるような感覚はないんだけど、安心して聴けるアルバム。ちょっと例え的にどうかと思うけど‥‥元YMO組によって結成されたSKETCH SHOWに非常に近いイメージを受けます。

  ケミカル "Setting Sun"的な"BIRD TIME"からアルバムは幕を開け、これまでにない程に攻撃的なオープニングを飾ります。続く"JIM DOG"もテクノポップというよりも、完全にロック。そう、今回の楽曲クレジット。全て「SOFT BALLET」名義になってるんです。過去は森岡、藤井がそれぞれ作曲し、遠藤が作詞というパターンだったんですが、それぞれがソロとして過ごした7年間、各自ソングライターとしても以前よりも成長しているはずだから、絶対に各自いろんな曲を持ち寄ってるはずなんですよ。ところが、作詞にしろ作曲にしろ、全て「SOFT BALLET」名義。まぁ曲を聴けば「これは森岡だな」とか「これ絶対にフジマキ!」ってファンは判るんですが‥‥歌詞がね‥‥過去のソフバからは考えられない歌詞。つうかこれ、endsじゃんか‥‥もう、それが一番の衝撃でしたね。いや~、古くからのファンはどう思ってるんでしょうね、これらの楽曲。

  当然、過去のソフバ的ナンバーもあるし、"LOVE JUNK"みたいなMARILYN MANSON的シャッフルナンバーもある。"メルヘンダイバー"はシングルの2テイクとも違うアルバムバージョンで、一番 「メルヘン」って言葉がピッタリなアレンジかも。ただ、イントロや間奏で流れるブラス系のシンセ音が脳天気過ぎて‥‥しかもこれ、「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」のメインリフに使ってる音と同系統じゃない? もうね、アルバム聴いててこの曲になるとどうしても苦笑いしちゃうし。

  過去にもこういう感じの藤井ナンバーはあったけど、ここでは更に今っぽく‥‥RADIOHEAD以降とでもいいましょうか?的アレンジになってる"TOO FAT TO UGLY"なんかもあって、ホントに飽きさせない。森岡が「この3人にしか作れない、大人のテクノポップ」というように復活ソフバを表現したけど、正にそんな感じ。YMOが一度だけ再始動した時、多くのファンがあの「早すぎたラウンジサウンド」に「踊れねぇよ!」と怒ったり落胆したりしたと思うんですが(しかも東京ドームでのライヴじゃ、皆が求めるパブリックイメージ的楽曲を排除してたしね。そりゃ、俺もドーム行って正直ガッカリしましたよ)、ソフバの場合は我々が思い浮かべるソフバ(但し後期)と、彼等3人が「過去の焼き直しじゃなくて、今だからこそこの3人でやれる音」を想定したソフバの、丁度中間にあるんじゃないでしょうか?

  多分、このアルバムを聴いて一番喜ぶのは、'90年代に活躍してた頃を知らず、先のサマソニでたまたま彼等に触れてヤラれてしまった若いファンや、活動停止前は意図的に避けて通ってきて、ここ数年こういう音にハマってしまった人達じゃないでしょうか? ある意味、俺も後者に近いんですが、ホントいいですよ。アッパーというよりはダウナー、だけどポップみたいな。「テクノ」ではなくて、完全に「テクノポップ」ですよね。「ダンスミュージック」というよりは、完全に「ロック」、いや「ポップ」。まぁそんなカテゴライズは最初に必要ないって言いましたけどね‥‥

  もしかしたら、過去のどのアルバムよりも一番聴きやすいアルバムかもしれませんね。そういう意味では、まだ彼等の音に接したことのない人、是非このアルバムから聴いてみては如何でしょうか? そして行けそうだったら、活動休止に合わせてリリースされた2枚組ベスト(初期の曲をリテイク&リミックスしてるお得盤)「SOFTBALLET」に手を出してみるのがいいでしょう。ベスト盤から聴くよりも、まず最新作から聴きましょう。絶対にハマりますから!

  あ‥‥最後に。アルバムには3人の他にゲストミュージシャンも参加してます。お馴染みの成田忍(Gt)や、藤井の奥方である濱田マリまでコーラスで参加しています。で、ここでちょっと気になる名前が‥‥ベースで「TATSU」という名前の人が参加してるようなんですが‥‥俺が知ってる「TATSU」っていうと‥‥GASTANKのTATSUを思い出すんですけど、もしかして彼ですか!? あ‥‥でもGASTANKのTATSUはギタリストだしな‥‥他に最近「TATSU」っていうベーシスト、いましたっけ?? すっげー今気になってるんですが。いや、ソフバとGASTANKって意外と合いそうな気がするんだけど‥‥。



▼SOFT BALLET『SYMBIONT』
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