2006/10/01

ソウル・フラワー・ユニオン『GHOST HITS 00-06』(2006)

 久しぶりにソウル・フラワー・ユニオンのワンマンライブに行ってきました。丁度9月後半に3枚目のベストアルバム「GHOST HITS 00-06」がリリースされ、それに伴う全国ツアーだったんですが……内容はどちらかというと「これからのSFU」を強く印象づけた、素晴らしいものでした。

 いわゆる「インディーズ落ち」してからのナンバーを中心に収録した今回のベスト盤。"アンチェインのテーマ" 以外は名盤「SCREWBALL COMEDY」から昨年発表されたオリジナルアルバム「ロロサエ・モナムール」までの作品からライブでも人気のナンバーを中心に、ミックス違いやテイク違いなどを含む全17曲が収録されています。今回のライブでもこのアルバムから半数近くのナンバーが演奏されました。が……彼らはベスト盤ツアーといいながらも、すでに5〜6曲の新曲を用意していて、この日のライブは正直それらの新曲が中心になっていたといってもいいほど、強烈な印象を放ってました。

 俺は初めて「SCREWBALL COMEDY」を聴いたとき、それまでのソウルフラワーと比較すると非常にシンプルな……語弊があるかもしれないけど、ニューエスト・モデル時代の匂いがプンプンするなぁと思ったんですよ。実際、ほぼ全曲が中川敬による楽曲でしたしね。その後、片腕だった伊丹英子が結婚〜出産〜アイルランドへの移住などがあり活動から離脱状態に陥ったことから、ほぼ中川ひとりによるバンドになってしまった印象が強まって(もちろん、他のメンバーありきですよ、ソウルフラワーは。ここでは楽曲に命を吹き込むという意味でこういう書き方をしています)。それと同時に発表される新曲は、さらにシンプルでストレートな方向へと移行していき、「シャローム・サラーム」で聴くことができた新曲は完全に「歌もの」と呼んでも差し支えないナンバーばかりだったと思います。

 '90年代の彼らはいろいろなジャンルの音楽スタイルを飲み込み、ソウルフラワーならではの特別な音楽を作り出そうと試行錯誤の繰り返しだったのかな。だから一時はファンやメディアが彼らを見放そうとした(そして、俺もそのひとりだった)。だけどライブアルバム「High Tide And Moonlight Bash」で流れが変わったな、と。そして「SCREWBALL COMEDY」……インディーズに移ったことでメジャー時代よりも動きやすくなったというのもあるのかもしれないけど、とにかく2000年前後……もっといえば、2001年の「9・11」以降、彼らの中で何かが変わったのは事実なんでしょうね。

 つまりこのベストアルバムは、そういったソウルフラワーの変化の歴史をこれまで以上に端的に表した1枚なんじゃないかな、と個人的には思ってます。充実ぶりは過去2枚以上だと思うし、ライブ映えする楽曲ばかり。フェスやイベントで一度は耳にしたことがあるナンバーがズラーッと並んでいるので、聴いていて安心感が強い。これからソウルフラワーを聴いてみようという人はぜひこのアルバムと前のベスト「GHOST HITS 95-99」を聴いてみるといいんじゃないかな?

 今回のツアーで聴くことができる新曲は、これまで以上に歌っている楽曲が多く、歌詞もいろんなタイプがあったし、また音楽的にも新境地を感じされるものもありました。これまでのベスト盤2枚は何となくレコード会社主導で作っちゃいました的な印象が強かったけど、今回は充実した7年間の活動の軌跡をディスク1枚じゃ足りないのに無理矢理詰め込んだ感が強い、とても強力な内容に仕上がってます。ライブでは中川がしきりに「もっと売れると思って満を持して発表したのに……」と淋しそうにコメントしていたのが印象的でした。ソウルフラワーといえば、夏フェス。今年はあまり夏フェスに出ていたという印象がなかっただけに、ちょっとタイミング的に悪かったかなぁという気もするけど、今からでも遅くないのでぜひ一度手に取ってみてくださいな。

 ていうかさ、上にリンク貼ったようなアルバムは全部名盤なので、まだ聴いたことのないという人はとにかく聴いておくように。日本の、オリジナリティ溢れるロックバンドの名盤を聴き逃しているなんて、なんて勿体ない人生を送っているんですか!



▼ソウル・フラワー・ユニオン「GHOST HITS 00-06」(amazon:日本盤DVD付日本盤

投稿: 2006 10 01 05:59 午後 [2006年のライブ, 2006年の作品, Soul Flower Union] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/06/12

ソウル・フラワー・ユニオン vs ニューロティカ@新宿LOFT('06.6.11)

 いやー、やっぱり行ってよかった。ソウルフラワーをフェス以外で観るのも久しぶりだったし、それこそロティカなんて最後に観たの、18〜9の頃だし(苦笑)。

 最初はソウルフラワー。ロフトでやるのは17年ぶりらしく(ニューエスト時代以来か。んじゃソウルフラワーでは一度もやってないのね)、楽しそうにやってた。つーか、中川がロティカファンを前にして腰が低くて笑えた。

 「多分この曲を最初に演奏したのは、ロフトでだった」というコメントの後に演奏されたのは、ご存知ニューエストモデルの "ソウルサバイバーの逆襲"! やっぱりなー、ロフトで久しぶりにやるだろうから初期の曲やるとは思ってたけど、嬉しいなぁ〜。リアルタイムだと俺、この辺からだからさ、聴きはじめたの。

 SFUの曲はとにかく新旧名曲をうまく取り混ぜた、まさにベストヒット的内容。"平和に生きる権利" なんてずいぶんと久しぶりに聴いたもんな。終盤にもう1曲、"エンプティーノーション" もやってくれて、大満足。最後はお約束的に "海行かば 山行かば 踊るかばね" で盛り上がって終了。時間にして90分。通常の単独ライヴの半分くらいか。それでも満足。6月末のリキッド、行こうかなぁ。

 15分くらいのセットチェンジを挟んで、今度はロティカ。あっちゃん、相変わらずだなぁ‥‥頭髪はだいぶ後退してるけど(苦笑。でも本人もネタにしてるくらいだから、潔くて良いと思う)。ホント全然変わんねーよなぁ。曲もほとんど知ってた。っていうか、古い曲はまだしも、最近の曲はこないだの新録ベストで聴いただけなんだけどね。MCや小ネタも寒くない程度で、個人的には大好き。あー、なんでこの10数年避けてたんだろうなぁ。勿体ない。彼らも 70分くらい演奏して終了。

 その後、アンコールに応えてロティカ再登場。そしてゲストとしてソウルフラワーから中川と奥野が登場。ロティカの "チョイスで会おうぜ" を一緒に演奏。中川はギターと歌、奥野は勿論キーボードで。つーか、あっちゃんが中川のことを「ゲーリー」って呼ぶたびに、懐かしすぎて笑えてくる。今時ゲーリーって(笑)。

 実は、体調があんま良くなくて、ソウルフラワーが終わったら帰ろうかと思ったんだけど、帰らなくて良かった。3時間以上にわたる長丁場だったけど、本当にいい組み合わせによる、いいライヴでした。



▼ソウル・フラワー・ユニオン「ロロサエ・モナムール」(amazon:日本盤



▼ニューロティカ「ベスト 2000〜2006 現役」(amazon:日本盤

投稿: 2006 06 12 03:13 午前 [2006年のライブ, Soul Flower Union] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/20

SFU、7月に新作リリース

SOUL FLOWER UNION、4年振りの完全フル・オリジナルアルバムを7月にリリース(公式)

 そうか、「スクリューボール・コメディ」以降にリリースされた作品群はカバー込みだったりライヴ音源入りだったりで、オール新曲ってわけじゃなかったもんな。その時その時で出来た新曲はそうやってポツポツとリリースされていたものの、こういう風に言われてみると、結構感慨深いものがあります。

 昨年辺りから既にライヴで披露されてる新曲達が全部で14曲、70分弱にも渡る大作になるようです。収録予定曲名も一部アップされてますね。ま、最近SFUを全然見てなかったので、タイトルだけ並べられても全然判らないんですが。

 急にフジロック出演が決まったなぁと思ってたら、そういう事だったんですね(「スクリューボール・コメディ」リリース時も、まぁ「〜モノノケサミット」名義ではありますが、出演してますしね)。思えばあれ以来、4年も出演してなかったのか。4年前の出演時と何が一番変わったかといえば、英坊がいないこと、そして直後に起きた「9・11」‥‥このふたつがその後の中川敬、そしてSFUに大きく影響していると思います。

 タイトルは「ロロサエ・モナムール」。中川曰く、『SF史上、最高傑作です!』と。力強く宣言しております。ライヴで揉まれた楽曲達なので、曲に関しては全く問題ないでしょう。「スクリューボール・コメディ」を初めて聴いた時みたいな高揚感と感動を再び味わうことができるのか‥‥今から楽しみですね!



▼SOUL FLOWER UNION「極東戦線異状なし!?」(amazon

投稿: 2005 04 20 10:54 午後 [Soul Flower Union] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/01/10

SOUL FLOWER UNION『カムイ・イピリマ』(1993)

  SOUL FLOWER UNIONの、記念すべきファーストアルバム。今から10年前‥‥1993年11月にリリースされたこのアルバム、俺は当時大嫌いでした。このアルバムを聴いたことで、俺は彼等のファンを辞めたくらいですから‥‥いや、ファンって程でもなかったけど、とにかく積極的に彼等の音楽と接することは止めました。結局、その後7年近く経つまで、彼等の音源に手を出すことはなかったわけですから、そのショックの大きさが何となく判っていただけるかなぁ、と。

  元々はNEWEST MODELとMESCALINE DRIVEというふたつの別々のバンドだった彼等。共に'80年代半ばにシーンに登場し、ある時期から交流が生まれ、そして行動を共にするようになった‥‥互いのライヴに双方のメンバーがステージに上がったり、アルバムに参加したりして、更に共鳴し合っていく中での合体‥‥それはごく自然な流れでした。当時リアルタイムで彼等を見ていた者なら、誰もがそう思ったはずです。

  とはいうものの、ここで聴けるサウンド‥‥これは「SFUサウンド」というよりもむしろ‥‥MESCALINE DRIVEのそれなんですね。それもそのはず、実はこのアルバムは最初、MESCALINE DRIVEのサードアルバムとして制作していたものなんです。中川敬等NEWEST MODELの面々が全面参加し、更にゴージャスに、更にビルドアップしたサウンドを得たMESCALINE DRIVEになるはずだったのに、その途中で彼等は合体して、ひとつのバンドになってしまった。新しいスタートを切るというよりも、元々あったものの延長線上といったノリ。それがこのファーストアルバムなのです。

  収録曲全10曲でメインボーカルを務めるのは、そのMESCALINE DRIVEのボーカルだった内海洋子。中川はその個性的な歌声で所々コーラスを取ったり、数パートでリードを取るのみ。伊丹英子の歌声も聞こえてきたりしますが、やはりこのアルバムでの「バンドの顔」は内海の声なんです。だからなのか、中川がリードを取るようになる後のSFUから入っていったファンや、俺みたいにNEWEST MODELが大好きだった者からすると、もの凄い違和感が残るんです。つまり多くの人にとって「SFUの顔=中川敬」という公式があるのに、それを完全に無視したのがこのアルバム、しかも新バンドの記念すべきファーストアルバムだったと。そりゃね、裏切られた気にもなりますよ。

  で、あれから10年経ち、俺も大人になり、懐も広くなり、それなりに理解力も持つようになった今聴くと‥‥特に悪いとは思わない。決して「死ぬほど好き!」なんて口が裂けても言えないけど、それでも「これもありだな?」と思えるくらいにはなってましたね。中川サイドから物事を見ようとすると確かに厳しい作品かもしれませんが(とはいっても、全曲に中川の名前がクレジットされてるので、曲そのものからは彼等らしさを十分感じることができるんですが)、もっとフラットな気持ちで接すると、内海洋子というシンガーの個性や醍醐味を存分に味わえる1枚なんですわ。何よりもこの人、英語の発音が非常によろしい。MESCALINE DRIVE時代から英語で歌うことが多かったわけですが、ここでも1曲目 "お前の村の踊りを踊れ" での英詞ラップ(そしてそこに絡む中川のボーカル)や "ブルーギル" 等で彼女のネイティヴ並みの英語を堪能することができます。他にもストレートなロックンロール "霊柩車の窓から" とか、ファンキーなロックンロール "殺人日和"、スローテンポで彼女の歌を存分に味わうことができる "ひぐらし" やファーストシングル "世界市民はすべての旗を降ろす" 等、とにかく個性的で誰にも似ていない/何処にも属さないロックンロールを体験することができます。そういった意味では本当に一種独特な存在だったわけですよ、彼等は。

  その後の展開を考えると、ここでの彼等はまだ落ち着いた印象を受けます。結局更にいろんなものを飲み込んでいって、ドンドン成長していった彼等の、スタート地点と考えるにはちょっと弱い気もします。そういう意味ではこのアルバム、ふたつのバンドがひとつに合体して、そこから新しいサウンドを手に入れるまでの過渡期かな?という気もします。決して悪くはないんだけど、その後の彼等を知っちゃうとちょっと‥‥みたいな。いや、それでも十分に興味深い1枚ですけどね。内海は現在「うつみようこ」名義でフラワーカンパニーズや元THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、SFUのメンバーと共に活動していますが('90年代末にSFUは脱退済。その後も時々サポートとしてライヴには参加しています)、そこでの彼女に歌に興味を持った人なら絶対に気に入ると思います。ま、ここ数年のSFUから入っていった人は最後に聴いた方がいいかもしれないけど‥‥。



▼SOUL FLOWER UNION『カムイ・イピリマ』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2004 01 10 12:00 午前 [1993年の作品, Soul Flower Union] | 固定リンク

2003/06/30

ROCK YOU LIVE SPECIAL@SHIBUYA-AX(2003年6月27日)

  週刊誌「Weeklyぴあ」が通巻1000号記念ってことで4夜連続で行われる今回のイベント。元々は3日目(6/28)しかチケット取ってなかったのね。ま、抽選申し込みでは第2希望でこの日(6/27)も申し込んでたんだけど、見事落選して。そしたらライヴ数日前になって、その数日前に申し込んでいた「ぴあカード」での無料招待に当選してしまって結局この日も行くことになってしまったという。急なんでバタバタしながらも休み取って宿取って、何とかこの日を迎えられたのでした。

  今回の出演者は俺的にもいろいろ注目してるアーティストばかりで、特に初めて観る曽我部恵一とフラワーカンパニーズは共にライヴを楽しみにしてたし、新メンバー&新編成では初見となるSOUL FLOWER UNIONもどんな感じになるのか非常に気になっていたし(しかも3月の単独ライヴ、ライヴの日間違えて観損ねたし)。

  では、各アーティスト毎に簡単に感想を書いていきたいと思います。


◎くるみ

  何の予備知識もなかったんだけど、いきなり登場してピアノバックに歌う曲からスタートして、とにかく聴き手を惹き付けることに成功してたんだけど、その後の曲がね‥‥いや、勿論曲は悪くないと思うんですが‥‥必要以上に絶叫してて、途中でキツく感じる瞬間が何度もあったんですよね。歌は非常に伸びがあって上手いと思うし、存在感もメチャメチャあるんですが‥‥例えば同じ枠で括られるだろうCocco辺りと比べちゃうと(いやホントは比べるべきじゃないんだろうけど)、凄さよりも不快感の方が強く残っちゃうタイプなのね。お客もどう反応していいのか正直判断に困ってたんじゃないかな?

  バンドメンバーが兎に角豪華で、ドラムにあらきゆうこ、ベースに新曲のプロデューサーである根岸孝旨(Dr.StrangeLove)が迎えられ、他にも見覚えのあるギタリストとキーボーディストの姿が。多分錚々たるメンバーなんだろうね。こういったメンバーに支えられ、後は誰にでも届く(あるいは誰をも惹き付ける)キラーチューンが1曲できればねぇ。歌は優れてるけど、ソングライティングまでは‥‥ってとこでしょうか。とにかく今後の動向に期待といったところでしょうか。


◎フラワーカンパニーズ

  個人的には最も期待してたバンドなんだよね。今年のフジロックでも絶対に観ようと思ってた程で。ま、今年に入ってYO-KINGのサポートでグレートマエカワを観て、絶対に良さそうだと感じたからってのもあるんですが(あと、うちのサイトのビジターさん何人かにオススメされたってのも大きいかな)。

  全員30代半ばくらいなんだろうけど、とにかく活きがいい、演奏上手い、曲がイイ! 3拍子揃ってるのに、何故にインディー落ち!?と不思議に感じた程。曲のパワーはハンパじゃないし、ボーカルのケイスケの声や歌い方も以前聴いた時は生理的にちょっと‥‥と感じてた程なのに、今回は全然気にならない。むしろライヴだったらこれくらいやらないと‥‥なんて思った程。凄くいい。間違いなくライヴで栄えるバンド。先に音源じゃなくてライヴ観て正解だったかも。

  MCもツボを得ていたし、パフォーマンス(履いてる靴や靴下を客席に投げ込んで、ライヴ終了後に回収するという)も大爆笑だったし、ホントにいいバンドだと思った。絶対に音源買います。んで、単独ライヴにも足運びます。ホント、いいバンドに出会えたもんだ。

  最後に‥‥このバンドのステージングを観て、きっと若き日のTHE WHOってこうだったんだろうなぁ‥‥なんてふと思ってしまいました。それくらい強烈。とにかく一度観とけって!


◎曽我部恵一

  ダブルオーテレサという既存のバンドをそのままバックに従えた曽我部。賛否あるようだけど、個人的にはこれで正解だと思います。素晴らしいミュージシャン達を集めたバンドよりも、息のあった若手バンドの中に自ら飛び込んでいく曽我部。その姿はまるでNEIL YOUNG & THE CRAZY HORSEみたいでした(誰がニール・ヤングか‥‥なんてことはこの際聞かないで下さいおながいします)。特にライヴ中、ストリングス隊(曽我部含めてギター3本!)4人が中央に集まり向かい合ってギターやベースを弾く姿には心奪われてしまう程。

  で、やってる曲も緩い感じで、結構ジャム度が高いものばかりだったので、更にそういう雰囲気が強く漂ってて。ライヴの時点で俺、新作「瞬間と永遠」を聴いてなかったんだけど‥‥アルバムを後で聴いて二度ビックリですね。アルバムはアルバム、ライヴはライヴという感じで個々に独立してる印象が強く、これは両方を体験して初めて双方の良さを深く堪能できるんじゃないかな、なんて思いました。もしアルバムを聴いて気になった人は、絶対にライヴ行くべき。いろんな意味でショック受けると思うからさ。

  個人的な山場はやはり"大人になんかならないで"かなぁ。とにかく5曲、多分30分にも満たない内容だったように思うけど‥‥もっと観たいね。正直、サニーデイサービス時代は苦手意識が強かったんだけど、ソロ2作は非常に楽しんでおります。まさかライヴまでこんなにも楽しめるなんて思いもしなかったよ。ホント、心洗われるいい曲・いい歌・いい演奏が楽しめたステージでした。


[SETLIST]
01. もしも
02. 瞬間と永遠
03. 浜辺
04. 大人になんかならないで
05. ?(曲名失念)


◎SOUL FLOWER UNION

  問題のソウルフラワー。今年でソウルフラワーユニオン名義での活動を始めて丸10年。にも関わらず、英坊は子育ての為未だにアイルランドから帰国せず、ベースの河村がギターにスウィッチ、新たにJIGEN(桃梨や頭脳警察に参加)をベースに迎え、5人+ゲストという形での活動をこの春から開始。しかも7月には早くもニューアルバムが出るというし、やはり新メンバー・新編成がどう新曲に影響してるのかが気になってたんですよ。

  1曲目はお馴染み"サヴァイヴァーズ・バンケット"。ベースのブリブリ具合といい、ベースラインといい、それまで馴染んでいた河村ベースのソウルフラワーと比べるとやはり違和感を感じたんですが、聴いてる内に特に気にならなくなりました。基本的には河村のベースラインをなぞってるんだろうけど‥‥やっぱりベースの歪み具合が頭脳警察で観た時と一緒なのね。既発曲に関してはそういう印象が強かったんだけど、これが新曲になると全然気にならない。当たり前か、初めて聴く曲ばかりだしね。

  新曲は2曲披露されて、ストレートなタイプの"うたは自由をめざす"、アイリッシュ風バラード"そら"共に素晴らしかったです。どんどんシンプルな方向に進んでるように感じてた近数作のアルバムですが、新作では更にその傾向が強まってるように感じられました(昨秋の「朝霧JAM」で聴いた曲もそんなタイプだったし)。あと、昨年末のライヴからよくやってるらしい高田渡の"自衛隊に入ろう"カバーも板についていて好印象。ま、歌詞はアレですけどね(中川自身も「数カ所『反吐が出そう』な歌詞があるんですが」と言ってたしね)。

  最後はお約束ともいえる"エエジャナイカ"と"海行かば 山行かば 踊るかばね"の究極お祭りソング2連発。そういえば、"エエジャナイカ"は最近やってなかったんじゃなかったっけ? 俺も久し振りに聴いた気がします。そうそう、これら2曲や"うたは自由をめざす"では桃梨のボーカルの女性(名前失念)がコーラスで参加。英坊のパートを見事に再現してました。元々はこういう歌い方をする人じゃないんだろうけど‥‥もう少しの辛抱だから、頑張って助けてあげてくださいね。

  曽我部や他のバンド目当てだったお客も、これら2曲を前にして堪らなくなったのか、気づくと皆踊り狂ってました。最後の最後に出てくる「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」というお馴染みのやり取りも上手くいき、終了後アンコールを求める拍手が暫く鳴りやまなかった程、この日の彼等は歓迎されたのでした。場内が明るくなっても、終了を告げるアナウンスが何度放送されても、その拍手は止むことがなく、如何に最後の最後で一気に爆発したかが伺える瞬間でしたね。最初は乏しかった客の入りも、最後の最後には8割近く埋まってたみたいだし。早く単独で観たいなぁ、今度は日にち間違えないからさぁ(涙目)。


[SETLIST]
01. サヴァイヴァーズ・バンケット
02. うたは自由をめざす [新曲]
03. 自衛隊に入ろう [cover of 高田渡]
04. そら [新曲]
05. エエジャナイカ
06. 海行かば 山行かば 踊るかばね

投稿: 2003 06 30 12:00 午前 [2003年のライブ, Soul Flower Union, フラワーカンパニーズ, 曽我部恵一] | 固定リンク

2003/01/18

ソウル・フラワー・モノノケ・サミット『asyl ching-dong』(1996)

「このCDに収められた<復興節>以下の9曲について、まずいえるのは、ソウル・フラワー・ユニオン(以下SFU)の面々が神戸の被災地、まさしく「避難所」を巡り歩いてレパートリーとして鍛えていったモノであることだ。」
---大熊亘によるCDライナーノーツより


  ご存じの方も多いと思いますが、SFUはバンドスタイルで活動する他に、チンドンスタイルでの「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」というもうひとつの顔を持っています。その切っ掛けは解説の通り、1995年1月17日に関西を襲った阪神・淡路大震災でした。大阪在住であるSFUのメンバーにとっても勿論この出来事はかなりの衝撃を与え、実際に被災地を目の当たりにした彼等は「自分達の音楽で何か力になれないか?」と考えた結果、避難所を回る出前ライヴを何度も繰り返していくのでした。電気さえない中、アンプに頼らない音楽。子供もお年寄りも楽しませることの出来る音楽。そこから生まれたのは、ソウルフラワーなりの大和(やまとぅ)歌、アイヌ民謡、沖縄(うちなー)島唄、韓国民謡、戦前・戦後の流行唄の自己流再解釈でした。チンドン屋の如く和太鼓やチンドン太鼓、三線、チャンゴといった電気に頼らない形態で歌われる戦前戦後の流行歌や労働唄。こういった中から次第にオリジナル曲も生まれていき、そのひとつが今や彼等の代表曲である "満月の夕" なのは有名な話。元々、このシングルをリリースする際にカップリングとして "復興節" をレコーディングしたのですが、当時のレコード会社に歌詞を問題視され発禁にされてしまったことから、だったらこれをインディーズから出そう、今はいち早く被災地のみんなの復興を願う為、この曲をどんな形でもいいから世に出そう‥‥そしてこの曲に加えて、1995年の活動集大成といえるライヴ(10/3、今は亡き日新パワーステーションでの公演)からの7曲、更に新たに録音された「放送禁止唄」としても知られる "竹田の子守唄" を加えた9曲入りのアルバムとして、震災から1年経った1996年1月19日にインディーズからリリースされたのでした。

  丁度この頃から、メディアからのSFUに対する不信感(「もはやロックバンドではない」とかいろんな否定的な声)、そしてNEWEST MODEL時代からのファンの不信感が少しずつ高まりつつありました。実際、俺はもうこの頃になるとSFUから離れていましたし(ファーストの時点で苦手意識が出来てしまいましたからね)、チンドンスタイルで被災地を回っているのは知っていましたが、こういうアルバムまで作っていたことは当時知りもしませんでした。しかも収録されている楽曲は全てカバー曲。それも労働唄や古い流行歌をチンドン屋みたいに演奏する。今みたいな柔軟な考え方を出来なかった当時の俺なら間違いなく拒絶したでしょうね、このアルバム。

  SFUのライヴを一度でも生で体験したことのある人なら判って貰えると思いますが、彼等の演奏や唄には‥‥それがオリジナルだろうが民謡のカバーだろうが‥‥人の身体を勝手に動かしてしまう、不思議なパワーを持っています。それは結成時から常に持ち合わせていたものなのか、はたまたこういったモノノケでの被災地回りから得ていったものなのか‥‥ここに収められているような曲なら子供もお年寄りも、一緒に踊ることが出来ると思うんですよね。で、実際聴いててホントに踊りたくなる音楽やってるし、これ。

  多分SFUのメンバー‥‥特に中川と英坊は震災を通過したことで、唄本来の持つ力について改めて考えさせられたんだと思います。だからこそ、その後の(いい意味でも悪い意味でも)音楽的迷走があったのだと。そして、それを通過したからこそ「SCREWBALL COMEDY」が生まれたんだ、と。このアルバムを聴いてると、ここにはその「原石」がゴロゴロしてることが判るはずです。

  もう8年も経ったんですね‥‥改めて時の流れの速さを感じます。と同時に、決して風化させてはいけない出来事だったとも思うわけです。被災者や被災地周辺に住んでおられた方々から「忘れられるわけ、ないじゃないか!」とお叱りの声をいただきそうですが、やはりそれを他人事、テレビの中での出来事としか認識していない人達も多いわけですよね。そうならない為にも、俺はこのアルバムを聴く度にあの出来事のことを改めて考え、そして日常に疲れたところに元気やパワーを分けて貰うわけです。

  ‥‥なんてことを書きながらこのアルバムを聴いていると、3月にSFUとしてのライヴの告知メールが届きました。何というタイミング! これ、絶対に行こう。もう単独公演は1年半も観てないんだからさ。英坊も復帰するようだしね。


P.S.メジャーからのリリースを「歌詞の問題」によって拒否された "復興節" ですが、その某ソニーから離れた後にリリースされたベスト盤には、何故かこの曲入ってるんですよね‥‥「SCREWBALL COMEDY」効果によって急遽リリースが決まった感じですが、何だかなぁ‥‥所詮、発禁だのといっても、それは全部レコード会社次第ってことなんでしょうね。



▼ソウル・フラワー・モノノケ・サミット『asyl ching-dong』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 01 18 05:00 午前 [1996年の作品, Soul Flower Union] | 固定リンク

2001/10/14

SOUL FLOWER UNION@新宿リキッドルーム(2001年9月28日)

  自分にとって年に複数回ライヴに足を運ぶアーティストってのも、近年少なくなった。今だったら、海外のアーティストだと(日程が合えばだが)マニックスやWiLDHEARTSぐらいだろう。もっとも外タレの場合は2~3日連続公演が当たり前なので、なかなか会社を休んでまで数公演観るというのは辛いものがある。そこへくると、日本のアーティストは年間にツアーを数本行う事が当たり前のように行われているので、1本のツアーで1回しか観れなくても次のツアー、又は夏のフェスティバルで再び観れてしまうのだから、有り難いものだ。

  今年、自分にとって新たに「大切なバンド」がひとつ増えた。それがこのソウルフラワーだ。6月の頭脳警察イベントでの初体験、そして7月のフジロック。2回とも偶然とはいえ、こうやって観る機会を得ている。そしてその度に、言葉では表しきれない衝撃を受けた。今回足を運んだ単独ライヴはフジロックを観る前には既にチケットを取っていたが、やはり何度でも観たくなるにはそれなりに理由がある。

  ちょっと前までは、ライヴといえば「大騒ぎして、暴れられればいい」みたいな考えがあった。しかし、ここ数年の間に考え方が少し変わり、「踊れない(聴き手を踊らせようとしない)音楽には惹きつけられない」自分がいる。クラブ等に通うようになったり、下手なりにもDJなるものを経験するようになり、こういう考え方が改めて根付いたように思える。そしてそれを決定的なものにしたのが、SFUとの出逢いだった。CDという音源で聴く以上に、ライヴでの彼らは強烈且つ殺傷力を持ったバンド‥‥自分の価値観の中に、ここまで鮮烈な印象を与えたバンドはかつていただろうか? 今現在、自分にとって大切なバンドとして挙げているMR.CHILDRENやエレファントカシマシにはない魅力‥‥あるいは、それら2バンド以上に強烈な個性と言った 方がいいだろうか。3つのバンド全てに共通するのは、「歌」を大切にし、それを聴き手(観客)にちゃんと届けることができるパワーを持っている点。アリーナバンドと化してしまった今のミスチルに、SFUのような要素を求めるべくもなく、そしてエレカシやミスチルがSFUよりも劣っていると言いたいのではない。それぞれが強烈な個性と色を持った、ここ日本では唯一無比の存在。今年に入って複数回観ている3バンドに言えるのは、この一言に尽きる。

  4年振りに足を運んだリキッドルームは、あの頃と何も変わっていなかった。相変わらず長い階段が続き、登るだけで心臓がバクバクいう。昔はこれが嫌いだったが、今日だけは悪い気がしない。あの頃と同じように小汚く、あの頃と同じように狭く感じるフロア。そんな場内を俺はステージ向かって左側のバーカウンターから眺めていた。今日は最前列付近から外れて、全体を観てみたい‥‥数日前からそう考えていた。

  ライヴは圧巻の一言に尽きた。内容についてはもういいだろう‥‥って思える程に、熱くて濃い2時間半だった。前日に同会場でもう1公演やっていたが、そっちの方が緊張感があったそうだ。実際この日のメンバーはツアー最終日ということもあって、かなりリラックスした雰囲気で、MCも必要以上に笑いの要素が満載だった(いや、というよりもいつも通りなのかな/笑)。既に名作の仲間入りを果たした「SCREWBALL COMEDY」発表後のツアーということもあり、ほぼ全曲(全11曲中10曲を披露。この日演奏されなかった曲も前日には披露されたそうだ)をプレイし、残りは過去の代表曲‥‥と思ったら、大間違い。さすがはツアー最終日。遊び心満載の一夜だった。

  まず、この日は元メンバーの内海洋子と元HEATWAVEの山口洋が参加。要するに、夏のフェス/イベント出演時と同じメンツ。けど夏フェスと違う点は、全曲ずっと出ずっぱりではなく、曲によって出たり引っ込んだりを繰り返すのだ。

  そして、カヴァー曲の多さにも驚く。モノノケでは昭和初期の歌謡曲やら民謡のカヴァーをしているが、今回はニューエスト・モデル時代を彷彿とさせる選曲が続く。アイク&ティナ・ターナーの"RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH"(メスカリン・ドライヴ時代にカヴァーしている)やROLLING STONESの名曲"DEAD FLOWER"、SFU名義のファーストシングルのカップリング曲でもある"TELL MAMA"等。どれも内海の持ち味 を十分に引き出す選曲だった。特に"RIVER DEEP~"は圧巻で、内海の音圧のある歌声を聴いてジャニス・ジョプリンのカヴァーかと錯覚した程だ。

  またカヴァーという点では、山口洋が今回初めてSFU内でリードボーカルを取ったHEATWAVE時代の楽曲カヴァーが新鮮だった。この日初めて山口の歌を、HEATWAVEの楽曲を耳にしたわけだが、中川とは全く違う、非常に個性的で胸に響く歌声だった。何せ翌日にHEATWAVEのCDを取り寄せたくらいだから。更に"満月の夕"では、2コーラス目を山口がHEATWAVEバージョンの歌詞で唄った。

  もうひとつ、内海参加ということもあり、SFUのファースト「カムイイピリマ」から"霊柩車の窓から"が演奏された。考えてみれば、いつ初期の内海ボーカルの曲が登場してもおかしくはなかったのだが、さすがにこうやって何の遠慮もなく、いつものノリで演奏されると逆に驚いてしまう。初期の曲に今でも若干苦手意識があったが、この日は新たな魅力を発見したように思える。

  椅子に座ってステージ上を見渡し、そしてフロアのオーディエンスを見渡す。みんな笑顔で、気持ちよさそうに踊っているのが判る。自分もいつもこうなんだな‥‥なんて冷静には考えなかったが、そういう光景を見ているだけでこちらまで笑顔になってくる。そして気づけば椅子から離れ、いつもの調子で踊り、合いの手を入れていた。じっとしてろという方が無理なのだ。そう、最初から冷静に観るなんて無謀だったのだ。本編最後の"エエジャナイカ"~"海行かば 山行かば 踊るかばね"は、毎回お約束となりつつあるが、そんな事お構いなしに笑顔で唄い、踊った。ここ数週、日常に疲れ切っていた自分を、現実から切り離してくれた「音」‥‥そしてバンドのメンバー、オーディエンスの笑顔。いつ戦争が始まるか判らない不安定な時期ではあったが、それでもこの2時間半の間だけはずっと笑っていられた。やがて現実に引き戻される瞬間がやってこようとも、今だけは全てを忘れて踊ろうではないか。もしかしたら、明日は来ないかもしれない‥‥だから、悔いが残らないように笑顔で踊ろう。彼らの歌を口ずさみながら、何度か泣きそうになる瞬間があったが、周りの笑顔に包まれ何とか持ち堪えた。泣いちゃダメだ。顔を上げて、前を見て、笑顔で前進しなくちゃ‥‥

  実際に踊ったのはほんの数曲だったものの、それでも充実感でいっぱいだった。今日でツアーは一端終わり、11月には中川と山口の新しい期間限定バンド、ヤポネシアン・ボールズ・ファンデーションのツアーが、そして12月には内海のソロライヴと恒例「年末ソウルフラワー祭」がある。きっと都合をつけて行くんだろうな、年末ライヴに‥‥もう既に後戻りできない程のSFUジャンキーになってしまったようだから。


[SETLIST]
01. GO-GO フーテン・ガール
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. 殺人狂ルーレット
04. RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH (アイク&ティナ / VO:内海)
05. ダイナマイトのアドバルーン
06. オーマガトキ
07. 野づらは星あかり
08. 夏到来
09. DEAD FLOWER (ROLLING STONES / VO:内海)
10. トーキョー・シティ・ヒエラルキー (HEATWAVE / VO:山口)
11. キャラバンに恋唄
12. 満月の夕
13. 風の市
14. 霊柩車の窓から (VO:内海)
15. 荒れ地にて
16. アンチェインのテーマ
17. CRAZY LOVE
18. マージナル・サーフ
19. ガーディアンエンジェル (HEATWAVE / VO:山口)
20. エエジャナイカ
21. 海行かば 山行かば 踊るかばね
  ---encore---
22. NOと言える男
23. ホライズン・マーチ
  ---encore---
24. TELL MAMA (VO.内海)



▼SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 10 14 12:00 午前 [2001年のライブ, Soul Flower Union] | 固定リンク

2001/08/13

SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』(2001)

魂の歌をうたう 魂の番長に乾杯! ・・・石野卓球


サヴァイヴァーズ・バンケット、夏到来、NOと言える男!!
こんな曲待ってました。
別に僕がここまで吠えなくても大傑作でしょうが、最高のR&R!
SFUは、大傑作しか出しませんよ。
   ・・・岸田繁(くるり)


おぉ!ロックってのはこれだ!いちいちカラダに鳥肌がたつ種類の感動だ。
それはぼくがこのところ忘れていた感覚だ。
聴いた後に生活の風景が違って見えるマジック。
あぁ、とてつもなく濃厚な意志とイメージの爆撃が今夜も始まってしまった。
   ・・・曽我部恵一


夏の匂いがする
炎天下に揺れる夏草にドッと倒れ込んだ時の匂い(午後1時25分)
昼なお薄暗い森の中のクヌギの樹液の匂い(午後2時45分)
あるいは白っぽい街の雑踏のなかに一瞬
シンと立ち上る陽炎のゆらめき(午後3時5分)
ワクワクするような夏の朝にキッパリとみずみずしい棘のある朝顔

そんなアルバムだ
   ・・・真島昌利(ザ・ハイロウズ)


背中にリュックをしょって方方をバックパッキングしていると、
なぜかひょんな所で出喰わす顔見知りがいる。
言葉をかわさずとも、
 お互いのよごれたシャツや適度に焼けた顔を見ては何だかうれしくなる---。
僕にとってソウル・フラワーはそんな存在である。
なぜ旅の途中でばったり会うのか?
もしかすると僕らは同じものをさがし求めているのかもしれない。
   ・・・宮沢和史(THE BOOM)


‥‥つうかさ、もうこれらの言葉だけで十分過ぎないかい?(苦笑)俺がこれ以上何かを加えることによって、このアルバムへの賛辞を台無しにしてしまうのも何だよなぁ‥‥

  まぁ気分を取り直して。これ、マジで傑作。昨年、今年のフジロックへの参加、そしてそのライヴの素晴らしさ、各種イベントへの出演、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットとしての活動等、ここ1年程で彼らのこれまでの活動が広く認められたような気がする。

  モノノケに対してのメディアの消極的な声、前作「WINDS FAIRGROUND」や前々作「ELECTRO ASYL-BOP」に対する過小評価。ニューエスト・モデル/メスカリン・ドライヴ時代を絶賛したメディアはことごとく彼らを酷評し、「イロモノ」を見るような目でその動向を遠くから傍観していた。そして、メジャーレーベル(ソニー)との契約終了‥‥メディアだけではなくレコード会社からも見捨てられたバンド。そして前後するように、ボーカルの内海洋子とドラムの高木太郎の脱退‥‥バンドとして、初の大きな危機に直面したソウル・フラワー・ユニオンだったが、彼らが選んだ道は、ひたすらライヴを繰り返すことだった。その結果は、インディーズからリリースされたライヴアルバム「HIGH TIDE & MOONLIGHT BASH」に色濃く表れ、そしてその延長上にあるのがこの新作「SCREWBALL COMEDY」だ、という風に俺は捉えている。

  ライヴ盤のレビューでも書いた通り、これまでのSFUのアルバムからは「ライヴ感」というものが100%活かされていなかったように思う。スタジオワークとしての実験的作風の前2作はもとより、それ以前の2枚に関しても、サウンドとしては抜群なのだけど、一度彼らのライヴを観てしまうと、やはり完全には満足しきれなくなる。

  しかし、この新作にはライヴアルバムにもあった「ライヴ感」「疾走感」が十分すぎるくらい溢れている。楽曲のタイプにストレートなものが多いのも関係しているだろうが、個人的にはレコーディング前に何度もライヴで披露されて、その中から成長していった曲が多く収録されているから、この「生」「動」といった躍動感をこれまで以上に強く感じるのだろう。まぁ、インディー落ちした彼らの怒りや逆ギレ感といった「負のパワー」も少なからず影響しているだろう。まぁ結果として、それら負の力は正の力に変換されていったようだが‥‥正直、SFUに「負」なんて言葉、似合わないしな?

  楽曲がライヴを意識して作られたかのような、ストレートな作風ということもあって、これまでで最もニューエスト・モデル色が強いのも、今作の特徴だろう。ここまでワイルドにロックンロールする "サヴァイヴァーズ・バンケット" のような楽曲は、過去のSFUにはなかったし、アイリッシュテイストを盛り込んではいるものの、アッパーで攻撃的な "殺人狂ルーレット"、某都知事へ向けて唄われている "NOと言える男" といったある種単純明快なロックアンセムも、少なからずSFUに移行してからはなかっただろう。どことなくニューエスト時代の初期を思わせる作風に唸ってしまった(この内、後者2曲は先の野音でも先行披露されていたので、ずっと耳に残っていた)。

  また、バラードナンバーもこれまで以上に直球勝負なものが多く、特に‥‥既に名曲の仲間入りを果たしただろう "荒れ地にて" は、"満月の夕" に並んで涙腺を刺激するし、"夏到来" も今の彼らじゃなきゃ書けなかっただろう素直な曲だ。

  当然、これまでのような雑種的要素を盛り込んだ曲もある。"オーマガトキ"(「逢魔が時」の意)なんてタンゴからスタートして、最後はサンバだ。ただ、本当にそういう実験的楽曲というのはこれ1曲のみといった感じで(いや、普通の観点からすればかなり実験的作風の楽曲があるのだが、ことSFUに関してとなってしまえばごく普通という印象となってしまうから凄い)、それがアルバムの中で浮いているのかというと、全くそんなことはなく、他の楽曲群がアクの強いストレートなナンバーばかりなので、かえって印象が薄いような気も‥‥

  原点回帰とかいろいろ言われているが、本人達にはそういうつもりは全くなく、ライヴ栄えする曲を書いているうちに、そういう楽曲ばかりができあがった‥‥そういったところだろう。インディーで予算も少なかったので実験的要素が減った、という声もあるが、それだけでもないだろう。逆に過去2作で押し進めてきた要素は、個人的には前作で完成したと思っていたし、総決算&次への一手を提示する意味も込めてあのライヴ盤を出したのだろう、という風にも解釈している。現在の状況が作り出した、ミラクルな作品とも言えるだろうが、結局全てが巡り巡ってたどり着いて地点。それが「SCREWBALL COMEDY」なのだ。

  このアルバムは、これまでSFUが苦手だと思ってた方にこそ聴いて欲しい1枚だ。ベスト盤的要素の強いライヴ盤と共に合わせて聴けば、今のSFUの勢いを感じ取ることができるはずだ。マジでオススメの1枚。既に今年のベストアルバムに決定!



▼SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 08 13 12:00 午前 [2001年の作品, Soul Flower Union] | 固定リンク

2001/06/14

SOUL FLOWER UNION『HIGH TIDE & MOONLIGHT BASH』(1999)

  1999年末に発表された、ソウル・フラワー・ユニオン(以下SFUと略)初のライヴアルバムにして、現時点での最高傑作。ベスト盤的内容のライヴアルバムが最高傑作というと「ベスト選曲なんだから、当たり前じゃん?」とか「ニューエスト・モデルやメスカリン・ドライヴ時代の曲も入ってるんだから、いいに決まってるでしょ?」と反論されそうだが、そういう意味で言っているのではない。確かに楽曲に関していえば、前に出ていたベスト盤よりも、遙かに素晴らしい選曲だ。しかし、ここで俺が言っているのは、SFUというバンドのポテンシャルを最大限に発揮しているという意味でなのだ。

  正直このアルバムを聴くまで、俺はSFUというバンドに対して懐疑的だったところがある。"杓子定規" という曲でニューエスト・モデルに出会い、その後ある程度の距離を保ちながら彼らの音楽に接していたのだが、それがSFUになった途端、いや、「カムイ・イピリマ」というアルバムを聴いて、それまで持っていた興味が失せてしまったのだ。理由は何となく判ってもらえるだろう‥‥当時20才そこそこだった俺には、ああいうものを「ロック」として受け入れるだけの許容量や理解力がなかったのだ。それだけでなく‥‥ごく個人的に、俺にはメスカリン・ドライヴが‥‥内海洋子の声が苦手だった。今思うと「何故に!?」と思うのだが(当然、今は好んで聴いてる程だ)‥‥

  その後のSFUはソウル・フラワー・モノノケ・サミットや中川敬のソロ、民謡やチンドンだけでなくアイリッシュ・トラッドや朝鮮等の音楽も取り入れ、ますます俺の興味から外れていった。そして気づけば内海が抜け、SFUは4人となっていた。

  雑誌等で「SFU最高傑作!」と謳われていたこのライヴアルバム「HIGH TIDE & MOONLIGHT BASH」を手にする前に、SFUの原点ともいうべきニューエストやメスカリンの歴史を3枚のCDに収めた「SOUL FLOWER BOX」というボックスセットを購入したこともあって、以前よりも彼らに対して興味を持つようになっていた。だから「カムイ・イピリマ」を聴いた頃よりもフラットな状態でライヴ盤にも素直に手を出してみた。

  正直、頭が下がる思いがした。こんなに凄いロックバンドが日本にいたとは‥‥声を大にして言う。

「土着的な音楽(民謡や戦前戦後歌謡、チンドン等)や他国のトラッドミュージックの要素を取り入れようが、このバンドは間違いなくロックンロールバンドなのだ」

確かにこのライヴ盤でも三線やらチャンゴやら囃子やらチンドン太鼓が登場するが、逆にそれらが存在することによって、SFUのロックをより力強いものにしている。お祭りみたいな「合いの手」が入ろうが、演歌みたいな節回ししようが、どこからどう聴いてもこれはロックンロール以外の何ものでもない。つうか、こんなにオリジナリティーにあふれたミクスチャー・バンド‥‥いや、こんなに凄いジャパニーズ・ロックンロールバンド、他にどれだけいる?

  それと、これは誰もが思うことかもしれないが、これまでのSFUのスタジオ盤には、彼らの最高の持ち味である「ライヴ感」が上手く活かされていなかったと思うのだ(勿論、そんなことはないという反論もあるのは承知してるが、あえてこう言わせてもらった)。ニューエスト時代に遡っても、素晴らしい作品はあるのだが、やっぱりこのライヴ盤を聴いてしまうと「今まで何だったんだ?」って考えてしまう程なのだ。ニューエストやメスカリンで出発してから15年近く経ったが、これだけ長い間同じメンツ(多少のメンバーチェンジはあったものの)で活動を続けると、馴れ合いがあったり、変な落ち着きが現れてもおかしくはない。しかし、このアルバムにはそんな「ベテランの色」よりも、もっと‥‥勢いのようなものを感じるのだ。それはもしかしたら、メジャーから契約を切られてインディーズ落ちしてしまったことも多少は関係あるのかもしれない(中川は「それは全く気にしていない」と言ってはいるが)。逆境の中から一筋の光を目指して突っ走る、そんな勢いを感じるのだ。

  楽曲に関しては何も言うことはないだろう。俺が苦手だったファーストからの曲は1曲もない。セカンド「ワタツミ・ヤマツミ」からも1曲のみ("もののけと遊ぶ庭")で、大半は当時の最新作「WINDS FAIRGROUND」とその前作「ELECTRO ASYL BOP」からのものだ。更に最初に書いたようにニューエスト時代の "雑種天国" と "こたつ内紛争"、メスカリンの曲を英坊(伊丹英子)が唄った "マウンテンバイク・フロム・ヘブン" が加わっている。これらがあることで、更にロックンロール色が強く感じられるのかもしれないが、逆に俺はもっと土着型の曲‥‥例えば "潮の路" や "満月の夕"、そしてチンドン・ロックンロールと表現できる "エエジャナイカ" や "海行かば 山行かば 踊るかばね" といった曲の方に、よりロックを感じる。特に "満月の夕"。これは'90年代の日本のロックを代表する名曲のひとつとして認識されるべきなのだ。これ聴いて泣けない奴は日本人じゃない、いや、人間じゃない!とまで豪語させてしまうくらいに、本当に素晴らしい旋律/歌詞なのだ。先日のライヴでもやはり聴くことができたが、本気で泣きそうになったもの。これはもっと多くの人間に聴かれるべき名曲だ。

  そしてアルバムラストを飾る3曲‥‥ "海行かば 山行かば 踊るかばね" ~ "エエジャナイカ" ~ "もののけと遊ぶ庭"。これで踊れない奴は日本人じゃ(‥‥以下、上と同じなので省略)とにかく、本当に凄いんだってば! ただ、残念なのが‥‥客席からの「合いの手」の録音レベルが小さいこと。これがもっと大きな音で入っていたら、もう完璧だったんだろうに。

  音楽は元々、祝いの席や祭りで「踊る」為のものだった。ロックは元々、フロアで「ダンス」する為のアイテムだった。いつから人はロックを「頭」で聴くようになってしまったのだろう。確かにそういうジャンルもあるし、それが楽しいのも判る。しかし本来我々は踊り、唄い、共有することで、ロックの素晴らしさを肌で感じてきたのではないのだろうか? いや、もっと言えば、そうすることで音楽の素晴らしさを知ったのではないだろうか? 子供の頃、夏祭りでワクワクした記憶はないだろうか? 運動会や文化祭のフォークダンスに胸躍らせたことはないだろうか?

  SFUの音楽には、そういった懐かしい、音楽本来が持つ快楽を改めて感じさせてくれる素晴らしさがある。それはニューエストやメスカリンではなく、SFUにしか出来ないものなのかもしれない。「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損、損」なんて言葉があるが、俺は「見る阿呆」よりも「踊る阿呆」になりたい。そんなことを思わせる、本当に素晴らしいバンドであり、素晴らしいライヴアルバムなのだ。

  これまでちゃんとSFUを聴いて来なかったことを、今更ながらに悔やんでいる。先日初めて彼らのライヴをちゃんと観て、その思いは更に強いものとなった。来月には「WINDS FAIRGROUND」以来、2年半振りのオリジナルアルバムが発表される。当然ながら、「とみ宮」ではその新作「SCREWBALL COMEDY」を大々的にフューチャーする予定だ。



▼SOUL FLOWER UNION『HIGH TIDE & MOONLIGHT BASH』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 06 14 12:00 午前 [1999年の作品, Soul Flower Union] | 固定リンク

2001/06/11

SATURDAY NIGHT R&R SHOW 2001 "We Are The BRAIN POLICE"@日比谷野外音楽堂(2001年6月9日)

  頭脳警察が10年振りに再々結成する。正直、この話を知った時は「何故今更!?」という気持ちが強かった。だったら世紀の変わり目辺りに設定すればよかったんじゃないの?」とも思った。そして今回の活動に伴って、30年近く発禁扱いとなっていた幻のファーストアルバムを再発するというではないか。これは正直驚いた、というよりも嬉しかった。更に過去の未発表ライヴアルバムも同時にリリースさ れるという。ちょっと後ろ向きかな?とも思ったが、まぁただ活動再開するだけじゃないだろう、きっと新しいマテリアルも発表するだろうし、ライヴもやるだろうし‥‥それよりも、きっと今回の復活には意味があるのだろう。そういろいろ考えながら、今回の再々結成に臨んだ。

  10年振りの復活の日を6月9日(ロックの日)、しかもその場所を皇居に近い日比谷野外音楽堂を選んだというのも、なんだかもっともらしくてニヤけてしまう。更に頭脳警察の復活を祝うかのように、幾つもの若手バンドと、パンタとも交流のある中川敬率いるSOUL FLOWER UNIONも一緒だ。個人的に興味があるバンドが幾つも出演するし、何よりも「一体2001年の頭脳警察はどういう音を出すのか?」の一点に興味があったので、迷わず行くことを決定した。パンタとトシは「2001年の音」を鳴らすのか、それともただの「懐古趣味」で終わるのか‥‥

  いざチケットを取ってみたら、最前列だった。いいのか、どのバンドもそれ程詳しいというわけでもないのに‥‥まぁ椅子有りのライヴでこんなに前で観るのは初めてなので、この際楽しむこととしよう。ワクワクした気持ちで有楽町から野音まで歩いた。

  開場してから10分くらい経って入場した。会場に入ると、まず目に入ったのがグッズを買うための長蛇の列。当然、頭脳警察Tシャツなるものがこの日限定で発売されていたわけだが、勿論俺もその列に加わった。原宿「under cover」デザインという、とても頭脳警察とはイメージが結びつかないが、これがなかなかいいモノで。ファーストのジャケットをあしらった黒Tや、日比谷6.9メモリアル的な赤やグリーンのTシャツ等4種類ほどあった。俺は赤を購入(その後、すぐにソールドアウトとなったらしい)。「We Are The BRAIN POLICE」という文字や、胸に描かれた旗の中の「頭警」の文字がやけに目立つ、クール(ちょっと死語)な一品だ。これ、フジロックに着ていこう。

  自分の席に着くと、目の前は柵、すぐステージがあるような位置で、正面より左寄りだった。ベースアンプがあったので、今日はベーシスト観察となりそうな予感。まぁそんな余裕はないだろうけど。買ってきたビールを飲み干し、既に開演前から出来上がった状態だった。さぁ、そろそろ開演時間だ。舞台袖からスタッフらしき男が「S.E.回して!」と反対側袖のスタッフに怒鳴る。日はまだ暮れていない。梅雨時にも関わらず、幸い天気には恵まれたようだ。ドライアイスのスモークが立ちこめる中、いよいよトップバッターの怒髪天の登場である。


◎怒髪天

  名前だけは雑誌などでよく目にしていたのだが、それ以外のインフォメーションは一切なし。勝手な思いこみで‥‥名前からイメージして、ハードコア系だと思っていた。が、それは大いなる勘違い。4ピースバンドの、良くも悪くも「日本のロックバンド」といったイメージのバンドだった。4人が4人共個性がバラバラで、ボーカルはポルノグラフィティあたりにいてもおかしくない出で立ちで(あれよりももっと無骨な印象だが)、ギターはちょっとヤンキー入った感じ、ベースはいかにもパンクなルックス、ドラムは‥‥怖い、怖かった(笑)。土建屋あたりに勤めてそうなルックス、そこにレイバンのサングラスだもん‥‥がら悪いよ、マジで(笑)。けど、サングラス取ったら結構かわいい顔してたけど(笑)。

  うん、このバンドのイメージは「漢(おとこ)」だね。パンキッシュな和製ロックンロール。エレカシなんかに共通する、あのイメージ。個人的には嫌いじゃないけど。曲は思い出せないけど。「男なら~♪」みたいな歌詞は頭に残ったけど、それだけ。それ以上にボーカルのMCしか印象に残っていないのも何だけど(笑)。やたらと客に向かって「てゆうか、殺します」と言ってたのが印象的。 いや、好きなんだけど。客席からも笑いがこぼれてたし。 20分程度、5曲で終了。これからのバンドだな、こりゃ。


◎In the Soup

  「インスーは凄いらしい」という噂だけが先行していて、実際この日が初めてだった。勿論、音聴くのもヴィジュアルも。よくよく調べたら、一昨年のフジロック「ニューカマー・テント」に出演したそうな‥‥それは未チェックだった。メジャーデビュー自体は昨年らしいけど、それまでもインディーズでマキシシングル何枚か出してたみたいなので、活動歴自体は結構あるようだ(年齢的にも俺に近いらしいし)。

  で、そのインスーだが‥‥うん、いいバンドだわ。ここも4ピースだけど、ボーカルがギター弾く頻度が高く、音的には前のバンドよりも広がりがあってよかった。音楽のジャンル的には好対照で、こっちは勢いというよりも、完全に聴かせるタイプのバンド。ボーカルの声量や歌唱力が半端じゃなく、それを支えるバックもなかなかなもんだった。ボーカルのルックスがいい意味でエレカシ宮本+ミスチル桜井って感じ?で、女性ファンもかなり入っていた。かなり声の太い、ソウルフルな歌声で、好印象。歌詞も聴かせる感じのもので、非常に興味深かった。その大半がミディアムテンポの曲だったので、途中で飽きを感じていたら、終盤にあの"グリーングリーン"をパンクバージョンで披露(お約束なの?)し、一気に観客の目(耳)を惹きつける 事に成功した。自分らを知ってる人も知らない人も唄える歌だろ~みたいなアドリブ入れて、コールアンドレスポンスを求めてたけど、なかなか上手くいかなかった。

  そうそう、アドリブの多いシンガーだね。「大人も子供も~男も女も~いろんな顔が見えるぜ~ヘルメット被った人もいるし~今日は物騒だぜ~♪」なんてアドリブをいろいろかましてて、客を惹きつけるパワーだけは持ってるようなのだが、いかんせん今日は頭脳警察目当ての客が殆どなわけで、分が悪すぎた。かわいそうだけど。

  5~6曲程度で、約30分のステージだった。単独で観てみたい気がしないでもない。ってその前にCD聴いてみようかな? ひたちなか3日目も出るそうなので、もう1回ライヴ観てから決めようかと思う。


◎SOUL FLOWER UNION

  実はニューエスト時代は勿論、ソウルフラワーになってからも1度もライヴは観たことがなくて、この日が初めて。昨年のフジロックでの武勇伝をいろんな人から耳にしていただけに、かなり期待してたのだが‥‥期待以上。正直、マジ惚れした。よく俺がBRAHMANに対して「純日本のロックバンド」という表現を使うが、はっきり言ってその例え、ソウルフラワーの方がピッタリ。ニューエストやメスカリン・ドライヴはそれぞれイギリスやアメリカのニューウェーブを発端としてスタートしているわけだが、そこからいろんな民族音楽などを取り入れることによって、真の意味での「ミクスチャー」バンドと成長していったのが、現在のソウルフラワー。しかし、彼らに対して多少の疑念のようなものがあったのも事実で、正直「胡散臭い」と思ってた時期もあった。けど、それを見事に打ち消したのが、1999年末に発表されたライヴアルバムだった。なんだ、結局はこいつら、ただのロックバンドじゃねぇか!?っていう、至極シンプルな結論に達したのだ。だから、それを生で体験できる今日この日を、俺はどれだけ待ち望んだことか‥‥

  ステージにはサポートのドラマーを含めた5人。テレキャスターを持った中川が主にリードを弾き、伊丹嬢は白のグレッチやら、アイリッシュ・トラッド系の人がよく持ってるような変な形のアコギやら、チンドンやら太鼓やら、曲によっていろいろ持ち替える。1曲ごとに持ち替えるのではなく、エレキを使う曲2~3曲やったらアコギで2曲、続いて‥‥という感じなので、特に楽器チェンジによるイライラ感はなかった。だって、それをサポートする中川のMCがあったから。この人、いい人だね?

 パンタに対する愛情をたっぷり語っていた。

「丁度10年ちょっと前に、バンドブームなるものがありまして‥‥当時、ニューエスト・モデルっていう、どうしようもないバンドがいまいて(笑)。‥‥ああ、メスカリン・ドライヴっていう、うざったいバンドもいましたけど(伊丹と目が合い、全員爆笑)。その時によくイベントとかでいろんなバンドと対バンするんですよ。若手ばかりなんですが、たまにベテランの人もいまして‥‥で、そういう時は食ってやろうって喧嘩腰で挑むんですが‥‥俺はそこである人に出会って、その人に心底惚れちまったんですわ。それがパンタなんですけど(笑)」

‥‥なんか、イイ話だなぁって思って。酔ってたせいもあって、かなり感動してた、俺ひとり。「そろそろ‥‥来年あたり、しっかり動いてもらわないと、パンタのオヤジには」とか言っても、もうそこには愛しか感じないわけで。中川ってもっと怖いイメージがあったのだけど(勝手に思いこんでただけだが)、すごく愛想のいい、いかにも関西の人って感じで、この日で印象がガラリと変わった。ちょっとね‥‥本気で好きになったよ、俺。

  演奏は、さすが中堅以上ベテラン未満って感じの、上手いんだけど落ち着いてない、荒さをところどころに感じさせるプレイ。リズム隊、特にドラムがかっこいい。何故サポート!?って思ったもん。ベースにしろ、キーボードにしろ、まぁこの人達はニューエスト後期からのメンバーだからね。そしてギターやチンドンにと大忙しの伊丹嬢に目を奪われっぱなし。カッコイイ、やっぱ女性ギタリストって。

  曲については今更何も言うことはないだろう。アイリッシュ・トラッドを感じさせる曲や、普通のロックンロールにお囃子の合いの手を入れたりとか、沖縄民謡をモチーフにした心にしみるバラードとか。結局、ニューエスト時代後期とやってることは一緒なんだけど、もっと幅広く、尚かつやりたいことが明確になってる分、揺るぎない自信というか、「これだよ、これ!」っていう何かを感じさせる、本当に素晴らしい内容だった。新曲らしいが、曲の最後のKINKSの曲で、JAMもカヴァーしてる"David Watts"の「パパパパ~パ~‥‥」ってコーラスを取り入れた曲もあって、なんか本当に「ミクスチャーミクスチャーしてないロックンロール」だなぁと好印象。7月に出る2年半振りの新作、期待大だな?

  ソウルフラワーの演奏時には前の方の客もほぼ立ち上がって踊り狂ってた。合いの手入れたり、本当、この後に待ちかまえてる「暴動」なんて知りもせずにピースフルな空気に包まれまくってた。もう1回、単独で観たい。50分では物足りなかったもの。


◎頭脳警察

  ソウルフラワーが終わった途端に、場の空気が変わった。セットチェンジ中、S.E.にフランク・ザッパの"Who Are The Brain Police?"が流れてたのだけど、終始異様な空気が流れていた。「パンターっ!」「トシーっ!」って野太い歓声がそこらじゅうから飛び交って。それまで後ろのブロックにいた黒メット隊や旧ソ連の国旗をあしらった赤ヘルやらが最前列に。い、いいのか!?(苦笑)俺の隣にもそれまでいなかった女性が‥‥ってよく見たらかなり歳いってる人で(笑)。 周り見回すと、最前ブロックの年齢層が高かったような‥‥オールドファンやら元赤軍の方々が集結してるのか?と思えるくらい、物騒な空気が漂っていた。

  照明が消え、ステージにメンバーが現れると、後ろからいろんなものが飛んできて、俺の目の前には火のついた爆竹が投げ込まれ、それがベースの足下で爆発。ベースのあんちゃん、飛んできた方にガンつけるし。しかも強面な人だったので、ちょっと俺も涙目に‥‥だって、俺もビビッたもん、目の前でいきなり爆竹破裂して(泣)。缶ビールもバンバン飛んできて、俺、思いっきり頭から被っちまうし‥‥既に真正面最前列はパンタやトシを観て、大暴れ始めてるし‥‥た、助けて‥‥この時ばかりは正直、ライヴレポートなんてどうでもいいから、後ろの立ち見席まで逃げようかと思ったよ、小心者な俺は(爆泣)。

  いきなりベースがあの印象的なフレーズを弾き始める‥‥1曲目は"銃をとれ"。もう最前列にいた赤いTシャツのにぃちゃん、柵越しにステージに上がるし! それまで柵とステージの間にはカメラマンしかいなかったのに、スタッフが慌ててやってくる。最前列の人間が柵をブチ怖そうとするわ、それを押し戻すスタッフと対立するわガンつけあうわで、小心者の俺としては(笑)ドキドキもんで非常に居心地が悪かった。演奏に集中するどころじゃねぇってぇの、マジで。

  一応、バンド構成の説明。パンタがリズムギターと歌で、トシがパーカッション。このふたりがステージ中央で演奏する形で、向かって右側には10年前の再結成にも参加した藤井一彦(Gt/THE GROOVERS)。今更何もいうことはないだろう。この人にストラト持たせたら、カッコイイの何のって!清志郎リスペクトイベント@武道館でもこの人は光っていたし。THE GROOVERSは泣かず飛ばずのイメージがあるが、サポートだけに留まらず、是非バンドとしても気合いで頑張って欲しいもんだ。

  左側、つまり俺の前のベースはJIGEN(B/も・も・な・し)。一見ヘヴィロックやハードコア系をやってそうな外見(坊主頭にタトゥー、袖に「梨」なんて漢字の入ったTシャツ、短パンに編み上げブーツ等々)だったが、実際には女性との2人組ユニットをやってる人らしい(音は未聴)その昔はハードロックバンドで活躍していた人らしいが‥‥パンタとは昨年末にあるセッションで出会ったらしい‥‥とにかくこの男、かなり上手い。"銃をとれ"をスラッピングで弾くとは、思ってもみなかった。その後、全ての曲指弾き&スラップで対応。しかもいい味出してるし。これはかなりの逸材ではないだろうか?

  ドラムはYOSHIRO(Dr/COBRA)。ひとりツンツンに立てた髪がいい感じで自己主張してた。パンクバンド出身だからもっと性急なビートを刻む人かと思ったら、意外とズッシリとした、重くてパンチのあるビートを叩きつけるタイプだった。これも意外。つうか、このバックはいい感じに作用してるんじゃないだろうか?

  この5人で奏でる音というのが‥‥ハードロックというよりも、ヘヴィロックに近い、かなり重心の低い音だった。ギターはそれ程歪んではいないのだけど、リズム隊のビートが異様に重くて、尚かつ昨今のヘヴィロックに匹敵するだけの技量とアレンジだったもんだから、全く古さを感じさせなかった。そう、演奏された楽曲は、殆どが'70年代の代表曲なのだけど、全く古さを感じさせない、むしろ「2001年の音」として鳴り響いていたのだ。これには正直驚いたし、逆にワクワクしてしまった。現在、頭脳警察としてのオリジナルアルバムを作ってるそうだが、きっとこのメンツに更にゲストを迎えてって形だろうから、かなり期待できるんじゃないだろうか?

  客席では相変わらずめっと隊の奴らが椅子の上に立って後ろを煽ったり、客席の左右に走り回ったりしてた(ような)。とにかく、最前列の暴れっぷりは一種異様。あんなライヴ、きっとここ10年くらいなかったんじゃないの? パンタはMCを極力なくしてた。煽ったら逆効果なの判ってたから? 歌以外からは感情をあまり感じさせなかった。「頭脳警察です。10年振りに凍結解除しました」とか、そのくらい。演奏や歌の熱は半端じゃなかったけど。

  やっぱりピークは頭2曲と、大合唱になった"さようなら世界夫人よ"、そして"ふざけるんじゃねえよ"では再び一悶着あったし、本編ラストの"Blood Blood Blood"も凄い盛り上がったかな。そうそう、唯一演奏された新曲。これは先にも書いたようなヘヴィロック的アプローチ、更に攻撃的な歌詞だったので、かなり期待していいと思う。この曲のみ、リズム隊のフレージングはそれまで以上に「今」してた。うん、かなりカッコよかった。

  アンコールは"コミック雑誌なんか要らない"からスタート。これなんてもう、リズムが重くてキレがあるから、ツェッペリンの"Rock And Roll"みたいだった。ただひたすらカッコイイ。

  更に続くは、あの印象的なドラムのタム回し‥‥そう、"悪たれ小僧"だ。ここでパンタがこの日初めての笑顔で叫ぶ。「中川ぁ~!」そして袖からギターを持って登場した、ソウルフラワーの中川。どうやらこの曲でセッションするようだ。そういえば本編の間、ずっと袖から中川が演奏を食い入るように観てるのが目に入っていたのだが、本当にこの人、パンタを慕っているんだなぁ‥‥レスポール(パンタ)、ストラト(藤井)、テレキャスター(中川)という、相性がいいんだか悪いんだか判らないギターバトルが繰り広げられる。中川はサビのコーラス入りを間違えたりで、結構茶目っ気たっぷりな笑顔を見せていた。パンタも本編以上に笑みがこぼれる。うん、こういう頭脳警察もちょっといいかも‥‥

  結局、ソウルフラワーと同じ程度の50分でライヴは終了。約3時間に及ぶイベントはこれをもって終了した。そういえば、頭脳警察の音、半端じゃなくデカかったなぁ‥‥耳おかしくなったもん。爆竹のせいもあるけど(苦笑)。


[SET LIST]
01. 銃をとれ!
02. マラブンタ・バレー
03. 歴史から飛びだせ
04. さようなら世界夫人よ
05. (新曲)
06. ふざけるんじゃねえよ
07. Quiet Riot
08. Blood Blood Blood
—encore—
09. コミック雑誌なんか要らない
10. 悪たれ小僧


◎総評

  ここまでタイプの違う4バンドが揃うイベントも、逆に面白いと思う。4月に観た19や清志郎出演のイベントよりは、「ロック」で統一されていたからかも。今回はあくまで頭脳警察がメインなわけで、その再々出発の門出を祝うかのような演出だったのだが、中には明らかに頭脳警察とは何の関係もないバンドもいた。けど、それはこういうイベントの性質上仕方のないことだと思うし、逆にいろんな音楽を楽しめる「お得感」が楽しめたのではないだろうか? まぁ俺みたいに何でも楽しめるという人ばかりでもなさそうで、実際には頭脳警察にしか興味がなく、ソウルフラワーが終わるまで会場に入らなかった人もいたくらいだ。ソウルフラワーの時と頭脳警察の時とでは、明らかに客の数が違ったし。何か俺からすれば「人生損してるんじゃないの?」とか思ってしまうんだが‥‥人それぞれだから、まぁいいか。

  話によると、今回の頭脳警察は9月9日までの「3ヶ月限定」活動らしい。その間にアルバムを制作して、ライヴもまたやるんだろう。今告知がないところをみると、きっとゲリラ的にライヴハウスやイベント、フェスなんかに飛び入りするのかもしれない。そういえば、'90年の再結成のときも「悪たれ小僧」の名でシークレットライヴやったそうだから‥‥ありえない話じゃないな?

  とにかく、もう1回フルで観たい。その時は、是非中央から後方で‥‥マジで怖かったんだってば(泣)



▼頭脳警察『頭脳警察1』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 06 11 12:35 午前 [2001年のライブ, Soul Flower Union, 怒髪天, 頭脳警察] | 固定リンク