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カテゴリー「Soulfly」の9件の記事

2022年8月 7日 (日)

SOULFLY『TOTEM』(2022)

2022年8月5日にリリースされたSOULFLYの12thアルバム。

前作『RITUAL』(2018年)から約3年10ヶ月ぶりの新作。間隔が空いたように感じますが、その間もマックス・カヴァレラ(Vo, G)はKILLER BE KILLEDの2ndアルバム『RELUCTANT HERO』(2020年)や、息子のイゴールと立ち上げたGO AHEAD AND DIEのアルバム『GO AHEAD AND DIE』(2021年)と、意外と精力的な創作活動を続けていました。

そんな中、2021年には4thアルバム『PROPHECY』(2004年)から在籍してきたマーク・リッゾ(G)が脱退。レコーディングはマックス、息子のザイオン(Dr)、そしてマイク・レオン(B)というトリオ編成で開始し、今作のプロデューサーであるアーサー・リズク(POWER TRIPCAVALERA CONSPIRACYXIBALBAなど)がリードギターを担当しています(なお、ツアーではFEAR FACTORYのディーノ・カザレスがサポート参加)。

本作はザイオンの「初期SEPULTURAの名曲たちはどうやって書かれたのか?」という一言がきっかけとなり、『ARISE』(1991年)でのブレイク前夜を思わせるシンプル&ストレートなスラッシュ&デスメタルをベースにしたグルーヴメタルを展開。ラストナンバー「Spirit Animal」こそ9分半におよぶ大作ですが、それ以外の楽曲は基本的に2〜3分台のショートチューン中心で、全10曲で約40分というかなりコンパクトな内容に仕上がっています。「Spirit Animal」がなかったら30分強であることを考えると、その潔さがご理解いただけるかと思います。

従来のSOULFLY的グルーヴ感やトライバルな要素は随所に残しつつも、黎明期のSEPULTURAにも通ずる初期衝動感や焦燥感、さらにゴシックロック的な味付けも感じられる。単なる過去の焼き直しで終わらないような工夫はさすがだと思いました。

ただ、上記のような「らしさ」は伝わるものの、肝心の楽曲自体の完成度やインパクトは及第点止まりのような印象も。これぞ!と呼べるキラーチューンが見当たらないのが残念でならず、なんとなく勢いで押されて進行し、気づいたらラストの「Spirit Animal」でダラダラしたエンディングを迎えるという……ラストナンバーでのやりたいことは非常に理解できるものの、このタイミングではなかったんじゃないか? このアルバムでやることではなかったのでは?という印象も受け、最終的にはかなり薄味という感想を残してアルバムは幕を下ろすのでした。

クリス・ウルシュ(B/POWER TRIP)やジョン・ターディ(Vo/OBITUARY)のゲスト参加もそこまで大きな効果を残すことなく、なんとも言えない中途半端な印象を残す本作。当初のコンセプトとバンドとしてやりたいこと、プロデューサーが作品として残したいものの間に大きなズレが生じ、結果としてこの内容になったのではないでしょうか。決して悪くはないんだけど、もしマーク・リッゾが残っていたらさらに締まったのでは……なんてたられば話はしたくないですが、どうしてもそう考えてしまいたくなる、なんとも勿体ない1枚です。

 


▼SOULFLY『TOTEM』
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2022年6月24日 (金)

BODY COUNT『BLOODLUST』(2017)

2017年3月31日にリリースされたBODY COUNTの6thアルバム。日本盤未発売。

前作『MANSLAUGHTER』(2014年)から約3年ぶり、名門メタルレーベル・Century Media Recordsに移籍して最初のアルバム。プロデュースは前作から引き続きウィル・パットニー(KNOCKED LOOSEEVERY TIME I DIEPIG DESTROYERなど)が手がけています。

前作の時点でかなり顕著に表出し始めていたストレートなヘヴィメタル色は、今作ではより濃厚なものへと進化/深化。特に、前作からバンドに加わったホアン・オブ・ザ・デッドことホアン・ガルシア(G/ex. AGENT STEELなど)の影響もあってか、ギターの音の厚みに関して初期の作品とは比べものにならないほどモダンメタルに匹敵する質感へとパワーアップしており、かつてのミクスチャーロックという“はざまの存在”から問答無用のメタルバンドへと成長したことが窺えます。

特に、本作では「Civil War」にてデイヴ・ムステイン大佐(MEGADETH)が冒頭のスポークンワーズとリードギターを、「All Love Is Lost」ではマックス・カヴァレラ(SOULFLY、ex. SEPULTURAなど)がアイス-T(Vo)とツインボーカルを、「Walk With Me...」ではランディ・ブライ(LAMB OF GOD)がゲストボーカルをそれぞれ披露しており、アルバムに華を添えています。この中では特に「Civil War」での大佐&アーニー・Cのツインリードソロが王道感満載で、これぞヘヴィメタル!と膝を叩きたくなるほどカッコよい。

さらに、本作にはメタルクラシックのカバーも収録。アイス-Tの愛あるナレーションからスタートするのは、SLAYERの「Raining In Blood」「Postmortem」のメドレー。普通は「Postmortem」から「Raining In Blood」へつなぐのがナチュラルな形ですが、この改変にBODY COUNTならではのメタル愛が伝わり、これはこれで全然アリだなと納得させられます。何より、変に手を加えることなく完全コピーなのがまた良し。ちなみに、YouTube上にはこの曲をライブで披露していると、途中で本家のデイヴ・ロンバード(Dr/現SUICIDAL TENDENCIESなど)が演奏に加わる動画も存在するので、気になる方はぜひチェックを。

セルフタイトルの1stアルバム(1992年)は淡白すぎてイマイチ入り込めなかったメタル寄りリスナーも、これならモダンメタルの一環として普通に楽しめるのではないでしょうか。そういった意味でも、ヒップホップアーティストが完全に“村民”の仲間入りを果たした記念すべき1枚です。

なお、現時点での最新作『CARNIVORE』(2020年)も本作の延長線上にある作りで、今は亡きライリー・ゲイル(Vo/POWER TRIP)やジェイミー・ジャスタ(Vo/HATEBREED)、エイミー・リー(Vo/EVANESCENCE)、ジェロ・ビアフラ(Vo/DEAD KENNEDYS)、デイヴ・ロンバードといった多彩なゲストも参加しているので、気になる方は本作と合わせてチェックを。

 


▼BODY COUNT『BLOODLUST』
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2021年6月14日 (月)

GO AHEAD AND DIE『GO AHEAD AND DIE』(2021)

2021年6月11日にリリースされたGO AHEAD AND DIEの1stアルバム。

GO AHEAD AND DIEは元SEPULTURA、現在はSOULFLYKILLER BE KILLEDCAVALERA CONSPIRACYなどで活動するマックス・カヴァレラ(Vo, G)が、自身の息子イゴール・アマデウス・カヴァレラ(B, G, Vo)と新たに立ち上げたプロジェクト。「初期CELTIC FROSTやパンクから大きな影響を受けたデスメタルとスラッシュメタルのミックス」をテーマに、非常に80'sテイストが強いオールドスクールなエクストリームミュージックを展開しています。

レコーディングにはカヴァレラ親子に加え、ザック・コールマン(Dr/KHEMMIS、BLACK CURSE)が参加。マックスがボーカルを担当していること、またギターのリフワークが“スラッシュメタル以降”を彷彿とさせるものがあることから、90年代以降のデスメタルの流れを汲むテイストも感じられますが、全体的にはそのタイトなサウンドプロダクションやストレートなプレイも手伝って、80年代末のハードコア+メタル=クロスオーバー的な色合いも見え隠れします。

曲によっては初期グラインドコアっぽさもありますし、そういった意味ではスラッシュメタルというよりもパンクの色のほうが強く感じられます。マックスがこれまでに携わったバンド/プロジェクトの中では、もっともプリミティブなパンク/ハードコアなサウンドかもしれませんね。

楽曲的には実はあれこれチャレンジしているものの、いかんせんマックスのボーカルがいつもどおりなこともあり(かつクセが強いせいで)、全体を通して一本調子に聴こえてしまうのが難点かな。息子のイゴールも頑張っているんですが、突出した個性も感じられず(この手のスクリームで個性を際立たせるのは難しいですけどね)。新しいことに挑戦しているのに、いつも通りに思えてしまうのは非常にもったいないなと。

悪くはないです。いや、悪いわけがない。だけど、プラスアルファやこのプロジェクトだけの強みが見つけられない。マックスが関わる作品はすべて大歓迎というリスナーなら文句なしに楽しめる1枚だと思いますし、エクストリームメタルシーンにおいても非常にユニークな1枚なのは間違いありません。けど、個人的にはもうひとクセ欲しかったなと思いました。

こういう「親子でバンド作ったけど、親の個性が強すぎて子供の影が薄い」バンド、ほかにどういうのがありましたっけ?(VAN HALENのウルフギャングは途中加入なので除く) 日本だとこういう主張の強い親って誰がいたかなと思いまして……そんなことがふと気になってしまう1枚でした(内容とまったく関係ないですが)。

 


▼GO AHEAD AND DIE『GO AHEAD AND DIE』
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2020年11月28日 (土)

KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』(2020)

2020年11月20日にリリースされたKILLER BE KILLEDの2ndアルバム。日本盤未発売(あれ、予定なかったでしたっけ?)。

マックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE BLACK QUEEN、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLAN)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人で結成され、2014年5月に1stアルバム『KILLER BE KILLED』を発表した彼ら。当初はアルバム1枚のみのスーパープロジェクトかと思いきや、翌2015年にドラマーがベン・コラー(CONVERGE、MUTOID MAN)に交代し、不定期ながらも活動を続けていくことを宣言。前作から6年半を経てついに2作目が届けられました。

ベンを含む編成では初のアルバムとなりますが、基本的な路線は前作を継承したもの。エクストリームメタル/ハードコア界の重鎮たちが一堂に会したバンドながらも、それぞれのエゴをむき出しにすることなく、ヘヴィながらもエモーショナルなメロディを前面に押し出した聴き応えのある良作に仕上げられています。

とにかく4人(というかフロントの3人)のカラーの配分が前作以上に明確になっており、役割分担もはっきりしてきた印象。1曲の中で複数のボーカリストが交わる曲構成は前作よりも増えているし、それが間違いなくこのバンドの個性につながっている。グレッグとトロイの個性の違いを存分に味わいつつ、要所要所で飛び込んでくるマックスのグロウルが大きな武器(フック)として効果を発揮しており、ようやくプロジェクトからバンドにまで進化したんだなと実感させられます。

どの曲も聴き応えのある良作ばかりなのですが、個人的に印象に残ったのが「Filthy Vagabond」かな。楽曲の作りといい、各シンガーの色分けといい、見事なまでに作り込まれている印象を受けました。この曲が本作を代表する1曲とまでは言わないものの、間違いなく彼らが目指したもの、やりたいことがここに凝縮されていると感じます。

かと思えば、続く「From A Crowded Wound」ではベンが加わったことによってなのか、どこかCONVERGEを彷彿とさせる色合いが増している。それをTHE DILLINGER ESCAPEのグレッグが歌うというところにも、個人的にはグッとくるものがあります。いやあ、すげえバンドです。

前作から引き続きプロデュースを担当したジョシュ・ウィルバーによるサウンドプロダクションも文句なし。HR/HMやラウド系リスナーのみならず幅広い層に受け取ってもらいたい、“エクストリームシーンの今”が凝縮されたKILLER BE KILLEDという“バンド”の本格的なスタート作だと断言させてください。

年末にこんな良作が飛び込んでくると、本当に年間ベスト作選びに苦労しそうです……(苦笑)。

 


▼KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』
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2020年10月15日 (木)

CAVALERA CONSPIRACY『INFLIKTED』(2007)

2007年3月25日にリリースされたCAVALERA CONSPIRACYの1stアルバム。日本盤は同年3月19日に先行発売されています。

その名前からもわかるように、CAVALERA CONSPIRACYはマックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYKILLER BE KILLEDNAILBOMB、ex. SEPULTURA)が実弟イゴール・カヴァレラ(Dr/ex. SEPULTURA)と結成した新バンド。名盤『ROOTS』(1996年)を携えたツアーを経てSEPULTURAを脱退したマックスと、以後ほぼ交流のなかったイゴールでしたが、10年ぶりの再会を機に不和が解消され、カヴァレラ姓を冠した新たなサイドプロジェクトが立ち上げられることになります。

当時のレコーディングメンバーはカヴァレラ兄弟のほかSOULFLYでマックスと活動をともにするマーク・リゾ(G)と、フランスのGOJIRAからフロントマンであるジョー・デュプランティエ(B, Vo)が参加。アルバムのプロデュースはマックスと、初期SOULFLYや初期MACHINE HEADのメンバーでもあったローガン・メイダーが担当しており、スラッシュメタル色の強いグルーヴメタルをマックスらしいカラーでまとめあげています。

カヴァレラ兄弟がタッグを組むことで、初期SEPULTURAのスラッシュ/デスメタル路線か、『ROOTS』期やSOULFLYで展開する民族音楽をフィーチャーしたモダンメタル路線のどちらに進むのかが気になりましたが、結果としてはそのどちらでもない、「『ROOTS』期のSEPULTURAやSOULFLYから民族音楽色を排除した、スラッシーなグルーヴメタル」というのが正解でした。

本作を最初に聴いたときは、若干NAILBOMBにも近いかな?と感じたりもしましたが、今聴くとあそこまでの直線的な演奏でもないですし、むしろNAILBOMBの色はインダストリアル調の味付け(「Inflikted」の冒頭など)にとどまるのみ。それよりは、『CHAOS A.D.』(1993年)や『ROOTS』からスラッシーでストレートな楽曲を抜き取り、かつSOULFLYでのグルーヴィーな楽曲からラテンテイストを排除したものをミックスなのかなという気がします。マーク・リゾがソロを弾いている時点でSOULFLYっぽさがにじみ出てしまうものの、イゴールの手数が多い“らしい”プレイやフレーズを織り交ぜることでSOULFLYとの差別化はなんとかできていると思います。

とはいえ、マックスがこのデス声で歌ってしまえば、どれもこれもSEPULTURA的でありSOULFLY的になってしまうんですけどね。こればかりは仕方ない。クセが強いから(「The Doom Of All Fires」の序盤は意外性ありましたけどね)。ただ、「Black Ark」「Ultra-Violent」の2曲にはジョーのボーカリもフィーチャーされているので、一瞬ですがハッとされるかも。もっとフィーチャーしてもよかったのに。

また、本作にはマックスの継子リッチー・カヴァレラやレックス・ブラウン(B/ex. PANTERA)がゲスト参加。とはいえ、それぞれ1曲ずつなので、そこまで大きな話題でもないかな。そもそも、カヴァレラ兄弟の和解という巨大なテーマがある1枚ですからね。

なお、CAVALERA CONSPIRACYは本作以降もコンスタントに活動を継続。2017年までにアルバムを4枚残しており、現在はマックス&イゴール、マークの3人にサポートベーシストという布陣のようです(ジョー脱退後、CONVERGEのネイト・ニュートンが在籍したこともありました)。

 


▼CAVALERA CONSPIRACY『INFLIKTED』
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2020年10月14日 (水)

KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』(2014)

2014年5月9日にリリースされたKILLER BE KILLEDの1stアルバム。日本盤は同年5月14日に発売されています。

本作制作時のメンバーはマックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE DILLINGER ESCAPE PLANE)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人。もともとは2011年にマックスとグレッグが行なったスタジオセッションが軸になっており、ここで制作されたアルバム1枚分の楽曲をトロイ、デイヴを招いてレコーディングすることになるわけです。

いわゆるエクストリームメタル界のスーパースターが勢揃いした“スーパーバンド”なわけですが、その楽曲/サウンドも良い意味で各メンバーが在籍するバンドの持ち味が散りばめられており、かつそれらが乖離することなくバランスよく融合している。しかも、その音を絶妙なさじ加減でまとめ上げているのが、LAMB OF GODGOJIRAHATEBREEDなどでおなじみのジョシュ・ウィルバーというのも、なるほどと頷けるものがあります。

基本的にメインで歌っているのがグレッグのようで、そこにドスの効いたマックスのデス声が織り交ぜられ、さらにトロイも“らしい”歌声を聴かせてくれる。各シンガーが歌い出すと途端にそれぞれが所属するバンドの顔が浮かびますが、それも特に嫌味になっていないし、オリジナリティが欠けているとも思わない。だって、オリジネーター自身がやっているわけだから。とにかく、これだけクセも強く個性も異なるフロントが3人もいて、それらがぶつかり合わないのは奇跡に近いんじゃないかな。個々が自分の武器と見せ方を知っているからこそ、そこで衝突することなく隙間隙間を狙って色を出してくる。ボーカルパートだけ抜き出しても、いろいろと聴きどころの多い1枚だと思います。

また、サウンド/楽曲自体もスラッシュメタルからハードコア、90年代半ば以降のグルーヴメタル/オルタナメタルまで、90年代前半〜2000年代後半のエクストリームメタルの歴史が凝縮された代物で、中でもメロディにもちゃんとしたこだわりが伝わるのが好印象。どうしてもマックスだけだとデス声で突き通しそうですが、ちゃんと歌えるグレッグやトロイのおかげで独特な個性を作り上げられている。で、このメロディが本当にクセになるものばかりで、個人的には「Snakes Of Jehovah」や「Curb Crusher」あたりが本当にお気に入り。懐かしさと新しさがブレンドされたこのスタイルこそ、2010年代前半を象徴するものだと思います。

オープニングを飾る「Wings Of Feather And Wax」の殺傷力や「Save The Robots」の壮大さ、「Fire To Your Flag」での狂気、「Forbidden Fire」での浮遊感とヘヴィさの融合など、最初から最後まですべてがピークでクライマックスで聴きどころという奇跡の1枚。ヘヴィな音楽が好きなら、絶対に聴いておくべき傑作です。

これだけのメンツだし、この1枚で終わるんだろうな……と思っていたら、ドラマーをCONVERGEのベン・コラーに交代し、2020年11月20日に2ndアルバム『RELUCTANT HERO』をリリース! すでに公開中の新曲も良い感じですし、今から発売が楽しみでなりません。

 


▼KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』
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2019年2月21日 (木)

DEFTONES『AROUND THE FUR』(1997)

1997年10月(日本は同年11月)リリースの、DEFTONES通算2作目のスタジオアルバム。マドンナが設立したレーベルMaverickからのリリースで、チャートインしなかった前作『ADRENALINE』(1995年)から一変、本作は最高29位まで上昇。ミリオンセールスを記録し、DEFTONESにとっての出世作となりました。

プロデュースは前作から引き続きテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENHELMETなど)が担当。フランク・デルガド(Key, Samplers Turntable)が参加した最初の作品で、このアルバムへのゲスト参加を機に翌1998年にはバンドに正式加入することになります。

また、M-9「Headup」には当時SEPULTURAを脱退したマックス・カヴァレラ(現SOULFLY)がボーカル&ギターで、M-10「MX」にはエイブ・カニンガム(Dr)の妻アナリン・カニンガムがボーカルで、それぞれゲスト参加しております。

ポストハードコアや今でいうニューメタルの延長線上にあったデビュー作『ADRENALINE』も個性的で素晴らしかったものの、続く今作ではシューゲイザーやポストロックからの影響が見え始め、その後の彼らの人気を決定づける要素が早くも確立され始めます。グランジによくあった強弱法(静かなAメロから、サビで激しく爆発するアレンジ)が多用された「My Own Summer (Shove It)」や、UKロック的耽美な歌メロをヘヴィサウンドに乗せて歌う「Be Quiet And Drive (Far Away)」を筆頭に、のちの“DEFTONESらしさ”はすでにここに集約されていた……といっても過言ではない気がします。

また、ターンテーブルのスクラッチや音響系的なサウンドエフェクトを多用し始めたのも、このアルバムから。それこそフランク・デルガドの手腕によるものが大きいのですが、もっと言えばチノ・モレノ(Vo)の脳内にあった青写真を具現化できたからこその結果ではないか、と。ここでの音楽的成長(およびセールス的成功)が自信へとつながり、続く次作『WHITE PONY』(2000年)でその才能が一気に爆発した……この流れ、今振り返ってもゾクゾクしますね。

とはいえ、当時の僕はこのアルバム、完全にスルーしていたんですよね(苦笑)。DEFTONESに完全にハマったのは『WHITE PONY』からで(しかもRADIOHEADに慣れた耳で聴いてハマるという)、後追いで本作にたどり着いたわけでして。今思えば、なんでこれに気づけなかったんだと反省するばかりですが、おかげで今こうしてこのアルバムや『ADRENALINE』も楽しめているわけですから、結果オーライということで(苦笑)。

そんな僕が言うのもなんですが(笑)、本作は90年代後半のヘヴィロック/ラウドシーンを語る上で絶対に欠かせない1枚です。



▼DEFTONES『AROUND THE FUR』
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2018年1月14日 (日)

SOULFLY『SOULFLY』(1998)

1998年春にリリースされた、マックス・カヴァレラ(元SEPULTURA)による新バンドSOULFLYのデビューアルバム。SEPULTURAを実質追い出されたマックスは、そのSEPULTURAの直近作『ROOTS』(1996年)で試みたトライバルなヘヴィロックをさらに進化させた音楽をこのバンドで表現。つまり、傑作と言われる『ROOTS』の直系の続編と呼べる内容が本作ということができるわけです。

プロデュースは『ROOTS』と同じくロス・ロビンソンが担当。この頃にはKORNでひと山当て、さらにLIMP BIZKITのデビュー作なども当てて知名度を高めたあと。そのロス・ロビンソンとマックス本人の人脈もあり、本作にはFEAR FACTORYのバートン・C・ベル&ディノ・カザレス、LIMP BIZKITのフレッド・ダースト&DJリーサル、DEFTONESのチノ・モレノ、SKINDREDのベンジー・ウェッブなどヘヴィ/ラウドロックシーンの著名アーティストたちがゲスト参加しています。

オープニングの「Eye For And Eye」のアグレッシヴさに、本作は『ROOTS』以上に激しいアルバムになるんじゃないか?とワクワクすることでしょう。「Tribe」「Bumba」のようなトライバルなビートを用いた楽曲もあれば、「First Commandment」のようにダンサブルな楽曲もある。そしてバンド名を冠した「Soulfly」では民族音楽に接近したインストゥルメンタルナンバーを楽しめる。確実に『ROOTS』の延長線上にあるのですが、そことは違う香りもする。

例えば『ROOTS』がヘヴィさという点に重きを置いたとするならば、この『SOULFLY』はもうちょっと軽やかさが重視されているように感じます。それはテンポ的なこともそうだし、リズムの取り方ひとつにしても『ROOTS』にはないものを感じる。もちろんマックス以外のメンバーが違うんだから、そのへんが変わってくるのは当たり前の話なのですが、ここからまた新しい何かが始まる。そういう変化の兆しを強く実感させる序章的作品集なのかもしれません。

事実、本作を起点にSOULFLYはさらなる変化を遂げていきますし、気づけばSEPULTURAとは異なる道を進み始めていた。一方のSEPULTURAも新たなシンガーを得たことで以前とは異なる道を歩み始める。良い意味で、誰ひとりとして『ROOTS』を引き継ごうとしていない。つまり視点を変えると、マックスにとって本作は『ROOTS』を引きずりつつも決別しようとしている、そんな転換期の1枚とも受け取ることができるわけです。

『ROOTS』が出来すぎたアルバムだっただけに、そこからどう進化させていくか。その問いかけとひとつの回答が、このアルバムの中に示されているのではないでしょうか。リリースから20年経った今、このアルバムを聴くと改めてそんなことを考えてしまいます。



▼SOULFLY『SOULFLY』
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2004年5月29日 (土)

PROBOT『PROBOT』(2004)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールが、約4年前からその存在を臭わせる発言を繰り返してきたメタル・プロジェクトPROBOT。それが2004年になってやっと日の目を見ることになりました。「デイヴがデスメタルをやる」とか「いや、ドゥームメタルみたいだ」とか噂だけが一人歩きしてた感がありますが、結果は見ての通り、もの凄い「豪華プロジェクト」となっております。

基本はデイヴが全ての楽器を多重録音し(一部例外あり)、そこに各曲毎にゲストボーカルを迎えるという形で、曲もデイヴが各シンガーに合わせて起用に作ってます(歌詞は各シンガーが作詞)。全11曲(+シークレットトラック)に11人のシンガー。恐らく、メタルを普段聴かない(聴いていても'90年代初頭以前の古き良き時代のメタル/ハードコアを知らない)世代からすると、知ってる人なんて誰もいないのかも‥‥いや、かろうじてレミー(MOTÖRHEAD)くらいは知ってるかな? 決して全米/全英チャートで大ヒットを飛ばしたようなバンドのシンガーは参加してない、所謂「アングラ」的、カルト的な存在ばかりが選ばれているように感じます。

もっとも、普段からメタルしか聴かないようなコアなファンからすれば、「何でクロノスやキング・ダイアモンドと一緒にC.O.C.のマイク・ディーンの名前があるの? そもそもマイクってベースで、ボーカルはペッパー・キーナンじゃないの?」とかいろいろ不満の声も挙がりそうな気がしますが、それは完全に無視ね(そもそもマイク・ディーンがオリジナル・ボーカリストだって話ですが)。だってメタルファンやフーファイのファンに向けて作られたアルバムじゃないもんこれ。絶対に「デイヴのオナニー」的自己満足アルバムだもん。じゃなきゃ、もっと売れる要素を取り入れて、メジャーレーベルから出すんじゃないの?(今回のアルバムをリリースする「Southern Lord」っていうレーベルもCHURCH OF MISERYとかTHE OBSESSED、ELECTRIC WIZARDみたいなコアなバンドを扱うインディーレーベルですしね)。

先に書いたように、1曲1曲がバラバラで、アルバムのトータル性を考えると微妙ですが、メタルのオムニバスアルバムと考えた場合、非常によく出来た作品なんじゃないかな、と思うわけです。マックス・カヴァレラが参加した曲なんて、彼が参加するSOULFLYや'90年代半ばのSEPULTURAでやってたことをよく研究して、曲調だけでなく演奏スタイルもそれらを模倣してるんですよね。同じくリー・ドリアン参加曲も彼のCATHEDRALチックなドゥームメタルしてるし。レミー参加曲もまんまMOTÖRHEADだしね。デイヴがそんなによくメタルものを聴いてるなんて知らなかったよ。もっと初期の‥‥それこそ今回参加してるVENOMやCELTIC FROST、VOIVOD辺りに拘った作風になるのかと思ってたもんで、NIRVANA前後の同時代に活躍するバンド‥‥SEPULTURAやNAPALM DEATH‥‥を選ぶのがかなり意外に思えましたね。単純にメタル/ハードコア好きなのね、この人。

デイヴがNIRVANA以前にハードコアバンドでドラムを叩いてた話は有名ですが、その名残りなのか、'8O年代後半頃のC.O.C.をイメージしてマイク・ディーンをボーカルに起用したり、D.R.I.みたいな懐かしい名前も飛び出す始末。この辺は、完全に'80年代してますよね。それぞれが参加した曲も見事にそれっぽいし。かと思えば'80年代ドゥーム/ストーナーロックの元祖・TROUBLEのエリック・ワグナーなんて人まで呼んでるし。この辺はQUEENS OF THE STONE AGEのアルバムに参加した流れかなぁ、なんて勝手な推測をしてみたいりして(ご存知の通り、デイヴはQOTSAの前作でドラムを叩いてます。QOTSA自体、元々はストーナーロックバンドのKYUSSが前身ですしね)。

‥‥とここまで書いて、多分殆どのフーファイ・ファンがチンプンカンプンな名前や内容ばかりだろうな‥‥なんて思ったんですが、要するにあれですよ、カッコいいと感じればそれでいいし、理解できなければ素直にフーファイやNIRVANAまで戻ればいい。それで十分じゃないですかね、このアルバムへの接し方って。そこまでシビアに考える必要ないと思いますよ、だって単なる「遊び」なんですから(売れる/売れないは二の次でしょう、上にも書いたようにね)。で、これ聴いて「メタルってカッコいいかも‥‥」とかちょっとでも思ったら、各シンガーが参加するバンドに手を出せばいい、と。そうやってデイヴのルーツを探っていくのも面白いかもしれませんよね。

あ、個人的には勿論楽しめる1枚でしたが、やっぱり俺的にはデイヴのハードなドラミングを久し振りに堪能しまくれたのが一番の収穫ですね。QOTSAのアルバムやライヴ@フジロックも良かったけど、やっぱりね、ここまで派手にやってくれるとさぁ、嬉しいじゃない? 最近のフーファイはドラムが固定してるから、アルバムで彼のプレイを聴くような機会もないしね。たまにでいいんで、またこういう「遊び」を見せて/聴かせて欲しいですよね、NIRVANA時代からのファンとしては。

 


▼PROBOT『PROBOT』
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