2019年2月21日 (木)

DEFTONES『AROUND THE FUR』(1997)

1997年10月(日本は同年11月)リリースの、DEFTONES通算2作目のスタジオアルバム。マドンナが設立したレーベルMaverickからのリリースで、チャートインしなかった前作『ADRENALINE』(1995年)から一変、本作は最高29位まで上昇。ミリオンセールスを記録し、DEFTONESにとっての出世作となりました。

プロデュースは前作から引き続きテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENHELMETなど)が担当。フランク・デルガド(Key, Samplers Turntable)が参加した最初の作品で、このアルバムへのゲスト参加を機に翌1998年にはバンドに正式加入することになります。

また、M-9「Headup」には当時SEPULTURAを脱退したマックス・カヴァレラ(現SOULFLY)がボーカル&ギターで、M-10「MX」にはエイブ・カニンガム(Dr)の妻アナリン・カニンガムがボーカルで、それぞれゲスト参加しております。

ポストハードコアや今でいうニューメタルの延長線上にあったデビュー作『ADRENALINE』も個性的で素晴らしかったものの、続く今作ではシューゲイザーやポストロックからの影響が見え始め、その後の彼らの人気を決定づける要素が早くも確立され始めます。グランジによくあった強弱法(静かなAメロから、サビで激しく爆発するアレンジ)が多用された「My Own Summer (Shove It)」や、UKロック的耽美な歌メロをヘヴィサウンドに乗せて歌う「Be Quiet And Drive (Far Away)」を筆頭に、のちの“DEFTONESらしさ”はすでにここに集約されていた……といっても過言ではない気がします。

また、ターンテーブルのスクラッチや音響系的なサウンドエフェクトを多用し始めたのも、このアルバムから。それこそフランク・デルガドの手腕によるものが大きいのですが、もっと言えばチノ・モレノ(Vo)の脳内にあった青写真を具現化できたからこその結果ではないか、と。ここでの音楽的成長(およびセールス的成功)が自信へとつながり、続く次作『WHITE PONY』(2000年)でその才能が一気に爆発した……この流れ、今振り返ってもゾクゾクしますね。

とはいえ、当時の僕はこのアルバム、完全にスルーしていたんですよね(苦笑)。DEFTONESに完全にハマったのは『WHITE PONY』からで(しかもRADIOHEADに慣れた耳で聴いてハマるという)、後追いで本作にたどり着いたわけでして。今思えば、なんでこれに気づけなかったんだと反省するばかりですが、おかげで今こうしてこのアルバムや『ADRENALINE』も楽しめているわけですから、結果オーライということで(苦笑)。

そんな僕が言うのもなんですが(笑)、本作は90年代後半のヘヴィロック/ラウドシーンを語る上で絶対に欠かせない1枚です。



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投稿: 2019 02 21 12:00 午前 [1997年の作品, Deftones, Soulfly] | 固定リンク

2018年1月14日 (日)

SOULFLY『SOULFLY』(1998)

1998年春にリリースされた、マックス・カヴァレラ(元SEPULTURA)による新バンドSOULFLYのデビューアルバム。SEPULTURAを実質追い出されたマックスは、そのSEPULTURAの直近作『ROOTS』(1996年)で試みたトライバルなヘヴィロックをさらに進化させた音楽をこのバンドで表現。つまり、傑作と言われる『ROOTS』の直系の続編と呼べる内容が本作ということができるわけです。

プロデュースは『ROOTS』と同じくロス・ロビンソンが担当。この頃にはKORNでひと山当て、さらにLIMP BIZKITのデビュー作なども当てて知名度を高めたあと。そのロス・ロビンソンとマックス本人の人脈もあり、本作にはFEAR FACTORYのバートン・C・ベル&ディノ・カザレス、LIMP BIZKITのフレッド・ダースト&DJリーサル、DEFTONESのチノ・モレノ、SKINDREDのベンジー・ウェッブなどヘヴィ/ラウドロックシーンの著名アーティストたちがゲスト参加しています。

オープニングの「Eye For And Eye」のアグレッシヴさに、本作は『ROOTS』以上に激しいアルバムになるんじゃないか?とワクワクすることでしょう。「Tribe」「Bumba」のようなトライバルなビートを用いた楽曲もあれば、「First Commandment」のようにダンサブルな楽曲もある。そしてバンド名を冠した「Soulfly」では民族音楽に接近したインストゥルメンタルナンバーを楽しめる。確実に『ROOTS』の延長線上にあるのですが、そことは違う香りもする。

例えば『ROOTS』がヘヴィさという点に重きを置いたとするならば、この『SOULFLY』はもうちょっと軽やかさが重視されているように感じます。それはテンポ的なこともそうだし、リズムの取り方ひとつにしても『ROOTS』にはないものを感じる。もちろんマックス以外のメンバーが違うんだから、そのへんが変わってくるのは当たり前の話なのですが、ここからまた新しい何かが始まる。そういう変化の兆しを強く実感させる序章的作品集なのかもしれません。

事実、本作を起点にSOULFLYはさらなる変化を遂げていきますし、気づけばSEPULTURAとは異なる道を進み始めていた。一方のSEPULTURAも新たなシンガーを得たことで以前とは異なる道を歩み始める。良い意味で、誰ひとりとして『ROOTS』を引き継ごうとしていない。つまり視点を変えると、マックスにとって本作は『ROOTS』を引きずりつつも決別しようとしている、そんな転換期の1枚とも受け取ることができるわけです。

『ROOTS』が出来すぎたアルバムだっただけに、そこからどう進化させていくか。その問いかけとひとつの回答が、このアルバムの中に示されているのではないでしょうか。リリースから20年経った今、このアルバムを聴くと改めてそんなことを考えてしまいます。



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投稿: 2018 01 14 12:00 午前 [1998年の作品, Deftones, Fear Factory, Limp Bizkit, Sepultura, Soulfly] | 固定リンク