カテゴリー「Soundgarden」の22件の記事

2021年2月14日 (日)

THE PRETTY RECKLESS『DEATH BY ROCK AND ROLL』(2021)

2021年2月12日にリリースされたTHE PRETTY RECKLESSの4thアルバム。日本盤は2月24日発売予定。

前作『WHO YOU SELLING FOR』(2016年)から約4年半ぶりの新作。海外ではFearless Records / Century Media Recordsへ、日本ではSony Musicへとレーベル移籍しての第1弾作品となります。

前作リリース後、バンドはSOUNDGARDENとのツアーを行なっていましたが、そのツアー途中でクリス・コーネルが亡くなるという悲劇に見舞われます。さらに、デビュー作からタッグを組んできたプロデューサーのケイトー・カンドゥワラが2018年春にバイク事故で急逝。バンドは負のスパイラルに陥ります。

しかし、2018年暮れから次作に向けた制作に着手。長年の友人ジョナサン・ワイマンを新たな共同プロデューサーとして迎え、1年以上にわたるスタジオセッションを経て完成に至ったのがこの『DEATH BY ROCK AND ROLL』という象徴的なタイトルが付けられたアルバムです。

バンドの中心人物であるテイラー・モムセン(Vo, G)に対して、ドラマ『ゴシップガール』のイメージをいまだに持っているという人も少なくないかもしれませんが、THE PRETTY RECKLESSとしての活動もすでに10数年。個人的にはデビューアルバム『LIGHT ME UP』(2010年)で一発ノックアウトされたクチなので(かつ『ゴシップガール』は観ていなかったので)、テイラー・モムセン=次世代のロック・ヒロインという印象が強く、本作もその延長で接したのですが……完全に化けましたね。適度なヘヴィさと適度なスモーキーさ、それでいてしっかりポップさも際立っている。問答無用にカッコいいロックアルバムだと断言できます。

本作には象徴的なタイトルの「Death By Rock And Roll」や「Rock And Roll Heaven」、SOUNDGARDENのキム・セイル(G)&マット・キャメロン(Dr)がゲスト参加した「Only Love Can Save Me Now」や、RAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロをフィーチャーした「And So It Went」のようなガッツのある楽曲がある一方で、キャッチーなミディアムスローナンバー「Got So High」、つなぎ的な短尺曲ですが異色の仕上がりな「Broomsticks」、切なげなアコースティックバラード「Standing At The Wall」、テイラーにとってターニングポイントとなった25歳について歌った不穏な「25」、ブルースハープを取り入れたアーシーな「Harley Darling」など、非常にバラエティ豊かな内容。序盤こそタフでヘヴィに感じられるかもしれませんが、曲が進むにつれて中盤以降の奥行きの広さには驚かされることでしょう。ビビッドなカラフルさとは異なる、モノトーンの中でグラデーションで変化を付けていくスタイルは、まさにこのバンドならではといったところでしょうか。

スタートはダークなところから始まったのかもしれませんが、結果としては前進することを強くアピールした本作。ジャケットのセクシーさにドキッとさせられますが、中身は正真正銘のアメリカンロックンロールが鳴らされている。そんな非常にシンプルでわかりやすい、2021年ならではのロックアルバムの良作だと断言させてください。

 


▼THE PRETTY RECKLESS『DEATH BY ROCK AND ROLL』
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2020年12月20日 (日)

TEMPLE OF THE DOG『TEMPLE OF THE DOG』(1991)

1991年4月16日にリリースされたTEMPLE OF THE DOG唯一のアルバム。日本盤は同年6月21日にポニーキャニオンから発売、その後1993年12月にポリドール(現ユニバーサル)から再発されますが、以降2020年まで一度も再発されていません。

TEMPLE OF THE DOGはクリス・コーネル(Vo)&マット・キャメロン(Dr)のSOUNDGARDEN組とマイク・マクレディ(G)、ストーン・ゴッサード(G)、そしてジェフ・アメン(B)というPEARL JAM組(当時はデビュー前)からなるプロジェクトバンドで、クリスのかつてのルームメイトだったアンドリュー・ウッド(Vo/MOTHER LOVE BONE)がオーバードーズで亡くなったことを受け、彼のトリビュートのために結成。ストーンとジェフはMOTHER LOVE BONEのメンバーでもあったことから参加が決まり、そこにクリスの盟友マット、ジェフ&ストーンが新たに結成するPEARL JAMの一員マイクが加わり、クリスが書き下ろしたトリビュートソングを中心にアルバム制作がスタートします。

アルバム全10曲中、クリスの書き下ろし曲が7曲、ジェフ&ストーン書き下ろし1曲(「Pushin' Forward Back」)とジェフ単独書き下ろし2曲(「Times Of Trouble」「Four Walled World」)という構成で、歌詞はすべてクリスによるもの。ブルースやサイケデリックロックをベースにしたそのサウンドは、ある意味ではSOUNDGARDEN的でもありPEARL JAM的でもある。さらには、ジェフ&ストーンがいることでMOTHER LOVE BONE的でもある、と。でも、SOUNDGARDENやPEARL JAM、さらにはMOTHER LOVE BONEそのものといった印象を受けることもなく、結果として3者のよいとこ取りで収まっているのが興味深いのではないでしょうか。そういった意味では、ここで展開されているサウンドってのちに一大ムーブメントを巻き起こすグランジの範疇に含まれるものと言えるのかもしれません。

SOUNDGARDENのようにBLACK SABBATHLED ZEPPELIN的オールドスクール・ハードロック色は薄く、どちらかといえばPEARL JAMがのちにデビューアルバム『TEN』(1991年)で展開するオーソドックスな土着的ロックの色が強い。なのに、「Reach Down」みたいに11分以上におよぶジャムセッション的長尺ドローンナンバーがあったりするから面白いんですよね。SOUNDGARDEN的な尖った要素は薄く、クリスのダイナミックなボーカルをおおらかでオーソドックスなUSハードロックに乗せてみたらこうなりましたという、ある意味ではクリスのプレ・ソロアルバムと言えなくもないのかな。その作品で、デビュー前のエディ・ヴェダーも「Hunger Strike」で歌声を聞かせていたりするのは、今思うと非常に貴重なコラボレーションだなと思わずにはいられません(30年近く経った今の目線だと、マットがPEARL JAM入りしたことで、「PEARL JAM feat.クリス・コーネル」にも見えてしまうしね)。

本作はリリース当初こそあまり話題になりませんでしたが、1991年後半……PEARL JAMが『TEN』を、SOUNDGARDENが『BADMOTORFINGER』(1991年)をそれぞれ発表し、1992年にかけてじわじわとヒットを飛ばすことで本作もチャートを急浮上。「Hunger Strike」や「Say Hello 2 Heaven」のラジオヒットも手伝って、アルバムは全米5位という好記録を残しています。

にしても、この時期のボーカリストとしてのクリス・コーネルの神がかりっぷりは、飛び抜けたものがありますよね。僕はリリース当時、ポニーキャニオン盤を購入していたものの、当初はそこまで真剣に聴き込めていなくて。ところが、『TEN』や『BADMOTORFINGER』リリース後にクリスのボーカルやPJのカッコよさにヤラれてから聴き返したら、「もっと早く気づけよ……」ってくらい本作の魅力にどっぷりハマッてしまったくちなんです。グランジという文化を語る上でも、そしてシアトル界隈の当時の人間関係を知る上でも本作は絶対に欠かせない1枚。リリースから30年近く経った2020年に聴いても、まったく色褪せない傑作です。

なお、本作は2016年秋に発売25周年を記念して、別ミックスやデモ音源を含むデラックス・エディションも発売。こちらはストリーミングなどでも手軽に聴くことができます。デモ音源はスタジオライブ的な生々しさが強く、ただでさえ正式音源の少ないこのプロジェクトの真の顔を見極める上では非常に貴重と言えるでしょう。まあ、ビギナーはまずアルバム本編をじっくり聴きこんで、そのあとにデラックス版の追加音源に触れることをオススメします。

 


▼TEMPLE OF THE DOG『TEMPLE OF THE DOG』
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2020年12月17日 (木)

SOUNDGARDEN『ULTRAMEGA OK』(1988)

1988年10月31日にリリースされたSOUNDGARDENの1stアルバム。日本盤は1994年3月、バンドの初来日にあわせて初CD化されています。

オリジナル盤はSST Recordsからのリリースですが、2017年に発売されたジャック・エンディノによるリミックス&1987年録音のデモ音源追加によるリイシュー盤からはSub Pop Recordsから発売されています。特に日本盤はオリジナルのアートワークが採用されており、シャープになった音像とともにカッコ良さが増したような印象を受けます(インディーズバンドらしいチープなオリジナルジャケットも好きですけどね)。

メジャー進出第1弾となる次作『LOUDER THAN LOVE』(1989年)の1年前に発表された本作は、クリス・コーネル(Vo, G)、キム・セイル(G)、ヒロ・ヤマモト(B, Vo)、マット・キャメロン(Dr)という編成でレコーディング。初期の代表曲といえる「Flower」からヘヴィな音像でスタートし、アグレッシヴなアップチューン「All Your Lies」、重苦しいミドルチューン「Beyond The Wheel」など、のちに本格的開花する“SOUNDGARDENらしさ”はすでにこの時点でほぼ完成の域に達しつつあることが確認できます。

クリスのハイトーンボイスも終始絶好調。キムのギターもヒロ&マットのリズム隊が繰り出すサウンドもうねりまくっており、カッコいいったらありゃしない。でも、これを聴いて彼らを“グランジ”という枠で括るのはちょっと違和感がありゃしないか?と思うのは自分だけでしょうか。

確かに「Mood For Trouble」や「He Didn't」あたりにはその香りを感じるものの、ヒロがボーカルをとる「Circle Of Power」やハウリン・ウルフのヘヴィロック風カバー「Smokestack Lightning」、「Nazi Driver」「Head Injury」あたりからはグランジというよりはハードコアパンクからの影響が伝わってきます。もちろん、それらがグランジのルーツになっているのは間違いない事実ですが、どうにもこうにもクリスがハイトーンで歌う以上はハードロック的なものに聴こえてしまう。その個性、クセの強さがSOUNDGARDENを初期の時点で特別なものへと確立させていた、その事実を確認できるという意味において、本作の果たす役割は非常に大きなものがあるのではないでしょうか。

にしても、2017年リイシュー盤の音質のクリアさには改めて驚かされます。それもあってか、オリジナル盤の音圧やチープさに慣れてしまっていた自分にとって、このリイシュー盤は“ほぼ新作”みたいな感覚で接することができたんですよね。現在ストリーミングなどで耳にすることができるのはこちらのリイシュー盤なので、「オリジナル盤を知ってこそ真のファン!」なんていう奇特な方はぜひ中古でSST盤を探してみてください。その違いに驚くはずなので(笑)。

なお、リイシュー盤に収められたボーナストラック(1987年レコーディング)は本アルバムのレコーディングセッションからの初期バージョンのようで、「Incessant Mace」に関してはアルバム本編の完成版(6:20程度)に対してロングバージョンデモ(7:50)も用意されているので、聴き比べてみても面白いかもしれません。また、どの曲もアレンジを煮詰める前のスタジオライブ的な側面もあるので、バンド最初期のエネルギーに満ちた演奏を存分に楽しめるはずです。

 


▼SOUNDGARDEN『ULTRAMEGA OK』
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2020年7月29日 (水)

SOUNDGARDEN『KING ANIMAL』(2012)

2012年11月にリリースされたSOUNDGARDEN通算6作目のオリジナルアルバム。

『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)を最後に、翌1997年4月に解散を発表したSOUNDGARDEN。そこから約13年後の2010年1月にクリス・コーネル(Vo, G)、キム・セイル(G)、ベン・シェパード(B)、マット・キャメロン(Dr)がスタジオ入り。同年4月に復活ライブを行い、10月には未発表曲などを含むコンピレーション盤『TELEPHANTASM』をリリースしました。さらに、2012年春に映画『アベンジャーズ・アッセンブルズ』用への新曲「Live To Rise」提供を経て、ついに16年ぶりのフルアルバムが届けられたのでした。

アダム・カスパー(FOO FIGHTERSPEARL JAMQUEENS OF THE STONE AGEなど)とバンドの共同プロデュースという前作『DOWN ON THE UPSIDE』と同じ形で制作された本作は、我々がよく知るSOUNDGARDEN……つまり、メガヒット作『SUPERUNKNOWN』(1994年)と『DOWN ON THE UPSIDE』の延長線上にある、いや、この2作からの流れをベストな形で受け継いだ、文字通り「“あの”SOUNDGARDENのニューアルバム」として仕上がっています。なので、オープニングを飾る疾走チューン「Been Away Too Long」の時点で何の違和感なく、帰ってきたSOUNDGARDENを思う存分楽しむことができます。

「Live To Rise」は映画サントラ曲ということもあり、従来のらしさ以上にキャッチーさが目立つ、言ってしまえばクリス・コーネルのソロ曲の延長に近い作風でしたが、本作にはそんな日和った楽曲は皆無。ベン&マットのリズム隊はしなやかにグルーヴを生み出し、キムのギターも時にヘヴィに、時にサイケデリックに、耳に残るフレーズを奏でる。クリスの歌声はAUDIOSLAVE時代から感じ取れた若干の「老い」が感じられるものの、それでも自然体で「SOUNDGARDENのクリス」を表出させている……そう、このアルバムには不自然さや力みが皆無なんです。全員がSOUNDGARDENのメンバーでいること、SOUNDGARDENとして演奏することを、ある程度の余裕を持って楽しんでいる。そんな円熟味が伝わってくる内容なのです。

確かにここには『BADMOTORFINGER』(1991年)や『SUPERUNKNOWN』にあった先鋭性は少ないかもしれない。しかし、『SUPERUNKNOWN』から『DOWN ON THE UPSIDE』にかけて確立させたスタンダード的スタイルがさらに明確化され、個性として強まっている。もちろん、その間には16年という空白があり、そこで各メンバーはミュージシャン/表現者として自身を磨き続けた。その結果が、このナチュラルさなのかなと思うわけです。

SOUNDGARDENに一度でも心を動かされたことがあるリスナーなら、絶対に嫌いになれない音とメロディ。そんなシンプルな集合体こそ、バンドの復活作としてふさわしい1枚となるわけで、SOUNDGARDENはその使命を全うしたわけです。2017年にはクリス・コーネルが急逝し、結果としてこの編成でのオリジナルアルバムは本作が最後となってしまいましたが、もしあのまま成熟を積み重ねていったら、このバンドはどんな存在になっていたんでしょうね……。

 


▼SOUNDGARDEN『KING ANIMAL』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2020年4月 5日 (日)

ALICE IN CHAINS『SAP』(1992)

ALICE IN CHAINSが1992年2月に発表した4曲入りEP。日本盤は海外からだいぶ遅れ、初来日公演に合わせて1993年10月下旬に初リリースされました。

1stアルバム『FACELIFT』(1990年)のツアーを終えたバンドは、キャメロン・クロウ監督による映画『シングルス』のために新曲を制作することになりスタジオ入り。ここで翌1992年初夏に発表される「Would?」(のちに2ndアルバム『DIRT』にも収録)や、『DIRT』収録曲の「Rooster」、そしてこの『SAP』収録曲を含む10曲前後のデモが完成します。バンドはこの機会を無駄にすることなく、1991年11月に再びスタジオ入り。PEARL JAMのデビューアルバム『TEN』(1991年)を手がけたばかりのリック・パラシャーとともに、4〜5日でこのEP収録曲をレコーディングしたのでした。

“樹液”を意味するタイトルの本作(アルバムジャケットが、まさに樹液を採取する様を表現したものです)は、まさにバンドの根幹となる歌に焦点を当てた楽曲が並び、それらをシンプルなアコースティックサウンドで表現するという、その後のALICE IN CHAINSにとって必要不可欠なスタイルがここでひとつ完成します。

レコーディングには同郷シアトル出身のHEARTからアン・ウィルソンがゲスト参加。またSOUNDGARDENクリス・コーネルMUDHONEYのマーク・アームといった気心知れた仲間たちも加わり、リラックスした環境の中で制作されたことが伺えます。

アン・ウィルソンはオープニングトラック「Brother」で主張の強い歌声を響かせ、ジェリー・カントレル(G, Vo)が初めてリードボーカルを担当した「Am I Inside」でも美しいコーラスを聴かせてくれます。また、クリス&マークが参加した「Right Turn」はALICE IN CHAINS、SOUNDGARDEN、MUDHONEYの合体ということで“ALICE MUDGARDEN”名義による楽曲となり、それとわかるボーカルを耳にすることができます。

アコースティック主体といいながらも、「Got Me Wrong」では適度に歪んだギタープレイも楽しむことがで、その不穏なメロディ運び含め、続く『DIRT』や『JAR OF FLIES』(1994年)への布石を見つけることができるはず。たった4曲しか収録されていないものの、実はバンドの歴史上非常に重要な作品ではないかと思っています。

なお、本作のCDではラストナンバー「Am I Inside」終了後にお遊びナンバー「Love Song」を隠しトラックとして収録しています。こちら、Apple Musicなどでは単独楽曲として聴くことができますが、Spotifyでは未収録。できれば配信版でも隠しトラックとして通してほしかったですね。

 


▼ALICE IN CHAINS『SAP』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、今年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

2019年8月 5日 (月)

SOUNDGARDEN『LIVE FROM THE ARTISTS DEN』(2019)

2019年7月末にリリースされた、SOUNDGARDENのライブCD/Blu-ray。バンドにとっては再結成直後の2011年3月に発表された『LIVE ON I-5』に続く2作目のライブアルバムとなります。

本作は、結果的に最後のスタジオアルバムとなってしまった『KING ANIMAL』(2012年)リリース後、2013年2月17日に行われた全米ウィンターツアーの最終公演、ロサンゼルス・The Wiltern Theaterでのライブを完全収録したもの。アルバムタイトルにもある同名の人気音楽番組のために行われたライブでもあり、当時の新曲に加え、おなじみの代表曲、番組のために用意されたレア曲を含む貴重なライブだったそうです。特に「Blind Dogs」(映画『バスケットボール・ダイアリーズ』サントラ収録曲)がライブで演奏されたのは、この公演が初めてだったとのこと。それもあり、ファンの間では長らく音源化が待たれていたライブなんだとか。

確かに、冒頭から「Incessant Mace」という超初期の長尺曲からゆらゆら始まったかと思えば、「My Wave」「Been Away Too Long」と新旧のアップチューンが続き、さらに「Jesus Christ Pose」「Flower」といった初期の代表曲で畳み掛けてくる。この流れだけ見ても、通常のライブよりもスペシャル感の強いセットリストなんじゃないかという気がします。

CDには全29曲がディスク2枚にわたり収録されており、このうち17曲が初音源化とのこと。結局実現しなかった『KING ANIMAL』を携えた来日公演、いや、最初の解散前のラスト作である『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)での来日も実現していないため、実質ここ20年くらい彼らはここ日本で“空白”に近い存在だったわけで、だからこそこのライブアルバムはその“穴”を埋める貴重なアイテムにもなるのです。結果的に、未来はないわけですけど……。

音源を聴いてもらえばわかるように、クリス・コーネル(Vo, G)の声の調子は決してよろしくはありません。まあ、晩年は以前のように思うように高音が出ない状態でしたし、これが平常運転だったという可能性もありますが……なんにせよ、我々日本人が生で体験できなかった“全米No.1獲得後のSOUNDGARDEN”を、“再結成後のSOUNDGARDEN”をたっぷり堪能できるわけですから、聴かない理由はありません。

「Jesus Christ Pose」のアグレッシヴさに驚かされたり、そこに乗るクリスの悲痛な歌声に悲しさを覚えたり、いろいろ感情が追いつかない部分もありますが、演奏に関しては熟練とは相反する前のめり感が感じられるのではないでしょうか。特に10分以上にわたるヘヴィチューン「Slaves & Bulldozers」からひたすらフィードバックが続く「Feedbacchanal」という怒涛のエンディングは圧巻の一言なので、最初から最後まで心して向き合ってほしいと思います。

なお、本作はBlu-ray版も同時発売されているようです。僕はまだ未見ですが、できることなら映像でも楽しんでいただけたらと……なにせSOUNDGARDENの映像作品がBlu-ray化されるの、これが初めてだと思うので。

 


▼SOUNDGARDEN『LIVE FROM THE ARTISTS DEN』
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2019年4月 7日 (日)

SOUNDGARDEN『LOUDER THAN LOVE』(1989)

1989年9月に発売された、SOUNDGARDEN通算2作目のオリジナルアルバム。メジャーのA&M Recordsと契約後最初の作品で、これが日本デビュー作となりました(当時はポニーキャニオンからリリース)。

まだグランジなんて言葉が存在しなかった1989年という時代。シーンはまだまだHR/HMバンドで席巻されていた頃で、彼らもその延長線上で語られることが少なくなかったと記憶しています。レッチリはすでにメジャーデビューしていたし、JANE'S ADDICTIONのようなバンドもメタルとオルタナの間で健闘していたけど、SOUNDGARDENに関してはクリス・コーネル(Vo)のハイトーンボーカルとキム・セイル(G)によるヘヴィなギターリフのせいで「実は“こちら側(=HR/HM側)”のバンドなんじゃないか?」と思わせる節が多かったように思います。

当時高校生だった自分も、『BURRN!』のクロスレビューでこのアルバムの発売を知り購入したクチ。「Full On Kevin's Mon」のようなハードコア寄りアップチューンはあるものの、ミドルテンポ中心の作風はメタル小僧だった自分には若干退屈なものでした(笑)。が、ロバート・プラントを思わせるクリスのボーカルと、実は何気に速弾きっぽいフレーズも飛び出すキムのギター、そしてサイケデリックなテイストが散りばめられたサウンドにはどこか惹かれるものがあったのも事実。また、ベーシストのヒロ・ヤマモトが日本人だったというのも興味をそそられる要素のひとつだったことは、改めて記しておきたいと思います。

今でこそ「Gun」のようにオジー時代のBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィナンバーに「おおっ!」と唸ったりするものの、当時はオジーサバスに対してそこまでの感情もなかったし(笑)、むしろリアルタムで『HEADLESS CROSS』のようなエモーショナルな作品が出回っていた時期なのでそこと比較することはありませんでしたが、このアルバムの時点ではそこまでサバスをイメージさせる要素はまだ少ないんですよね。むしろ、その要素が一気に強まるのは次作『BADMOTORFINGER』(1991年)以降なのかなと。グランジとオジーサバスとの共通点が語られるようになるのも、それ以降のことですしね。

そういった意味では、本作は1stアルバム『ULTRAMEGA OK』(1988年)を進化させたスタイルと言ったほうが正しいのかもしれません。LAスタイルのHR/HMとは異なる、アンダーグラウンドのオルタナティヴロック経由のシアトルスタイルHRといいますか。ツェッペリンやサバス、あるいは初期KISSなどの70'sクラシックロックから影響を受けつつも、80年代ニューウェイヴ以降の血が混じった独自の視点で組み立てられたスタイルが、のちのグランジと呼ばれるムーブメントにつながっていった。時代の転換期にSOUNDGARDENがいち早くメジャーデビューしたというのも、そういう意味ではすごく頷けるものがある気がします。

どうしても『BADMOTORFINGER』と『SUPERUNKNOWN』(1994年)のイメージが強いバンドですが、この『LOUDER THAN LOVE』で聴くことができるスタイルも捨てがたい。むしろ、1989年という時代にこの音をメジャーで出していたという事実がものすごいことなんじゃないか?と思うのですが、いかがでしょう(なんてこと、あの時代をリアルタイムで通過した人にしか通じないと思いますが)。

 


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2018年9月22日 (土)

SANTANA『GUITAR HEAVEN: THE GREATEST GUITAR CLASSICS OF ALL TIME』(2010)

2010年9月にリリースされた、SANTANA通算20枚目のスタジオアルバム。全米2位を記録した前作『ALL THAT I AM』(2005年)から5年ぶりの新作は、全曲60〜90年代のロッククラシックスのカバーで占められた意欲作。もちろん、メガヒットした『SUPERNATURAL』(1999年)以降の作品同様に、全曲異なるボーカリストがフィーチャーされた豪華なカバー集となっています。

その組み合わせも興味深いところで、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)とLED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」をコラボしたかと思えば、もはやおなじみのロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)とはCREAM「Sunshine Of Your Love」で再共演。かと思うと、ラッパーのNASとAC/DC「Back In Black」で異色共演を果たしたり、ビートルズ「While My Guitar Gently Weeps」ではインディア・アリー(本作唯一の女性ボーカル)の歌声とヨーヨー・マのチェロとコラボ。もう無茶苦茶なわけですよ。

選曲もカルロス・サンタナが気に入ったものというより、アメリカで人気のロッククラシックスといった印象が強く、DEF LEPPARD「Photograph」(クリス・ドートリーが熱唱)やVAN HALEN「Dance The Night Away」(TRAINのパトリックが担当)あたりは確実に別の思惑が働いている気がする(笑)。

かと思うと、ストーンズが「Can't You Hear The Knocking」(スコット・ウェイランドがいい味出してる!)だったりTHE DOORSが「Riders On The Storm」(LINKIN PARKのチェスター・ベニントンと本家レイ・マンザレクが参加)だったりと、ちゃんとこだわりも感じられるから本当に不思議。

もちろんDEEP PURPLE「Smoke On The Water」(PAPA ROACHのジャコビー)やT. REX「Bang A Gong (Get It On)」(BUSHのギャヴィン)、ジミヘン「Little Wings」(ジョー・コッカー御大!)といったスタンダードも忘れてない。

デラックスエディションのみ、CCR「Fortunate Son」(CREEDのスコット)とレッチリ「Under The Bridge」(SANTANAのバンドメンバー)が追加されているんですが、日本盤は「Under The Bridge」の代わりにベンジー(浅井健一)が歌うZZ TOP「La Grange」が収録されています。いかにも日本仕様といったボートラですが、これもなかなかの出来なので機会があったらチェックしてみてください。

全体的にサンタナらしいラテンアレンジが加えられており、それがどの曲においても良いフレイバーになっているから不思議。もちろん、そんなアレンジに合いそうな曲を選んでいるんでしょうけど、ツェッペリンにしろストーンズにしろドアーズにしろ、これがオリジナルなんじゃないかと錯覚してしまうほどの出来栄え。原曲レイプで終わらず、しっかりサンタナらしいプレイ(=個性)が加えられているので、彼のファン以外でもちゃんと楽しめるはず。まあ、遊びとしては最高に贅沢ですわな。



▼SANTANA『GUITAR HEAVEN: THE GREATEST GUITAR CLASSICS OF ALL TIME』
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