2017/10/07

CHRIS CORNELL『EUPHORIA MORNING』(1999)

1997年に突如解散を発表したSOUNDGARDEN。そのフロントマンであったクリス・コーネルが1999年に発表した初のソロアルバムが本作。2001年には元RAGE AGAINST THE MACHINE組と新バンド・AUDIOSLAVEを結成するため、続く2ndソロアルバムは同バンドの活動が止まった2007年になってしまい、そういう意味でも本作はあの時期のクリスの嗜好を知れる格好の題材でした。

SOUNDGARDENのメインソングライターであったクリスなわけですから、ソロアルバムとはいえバンド時代のテイストは少なからず感じられるはず。そう思ってリリース当時、初めて本作に接したのですが、結果は聴いてもらったとおり。ハードロックもグランジもここにはあらず、もっと穏やかな、言ってしまえばAOR的な香りすらする落ち着いた作風でした。

SOUNDGARDEN時代の盟友マット・キャメロン(Dr)が1曲のみドラムを担当していますが、基本的にはプロデュースを担当したナターシャ・シュナイダー&アラン・ヨハネス(後者は今年発表されたマット・キャメロンのソロアルバムにも参加)周りの人たちで構成。大半の楽曲はジョシュ・フリースがドラムを叩き、それ以外のベーシックトラックはクリス、ナターシャ、アランらが担当しているため、いわゆるバンド感は皆無。アコースティック主体で、よりパーソナルな印象を受ける内容に仕上げられています。

3年後に発表されるAUDIOSLAVEのデビューアルバムでは、そのクリスの声の衰えにショックを受けましたが、このアルバムの時点ではまだ“SOUNDGARDENのクリス・コーネル”そのもの。声を張り上げて歌うような楽曲はバンド時代ほど多くはありませんが、適度に力強く歌いながらも、基本は彼の魅力がもっとも伝わりやすい低・中音域をメインにしたナンバーが中心で、非常に聴いていて気持ちよいものばかり。そういった点では“いかにもソロアルバム”といった印象で、もっと言ってしまえばそれ以上でもそれ以下でもないという……悪い言い方をしてしまうと、印象に残りにくい作品かもしれません。

もちろん、じっくり聴き込めば1曲1曲の完成度の高さに驚かされるわけですが、パッと聴きではそこまでダイレクトに伝わるような即効性はないので、注意が必要かも。とはいえ、SOUNDGARDEN時代のアコースティックベースの楽曲が気に入っていた人なら、一発で気にいるはずです。

久しぶりに引っ張り出して聴いてみましたが、SOUNDGARDENの解散前ラストアルバム『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)からの流れで聴くと、実は意外と入っていきやすいのかも、という1枚です。

ちなみに本作、2015年に再リリースされた際にはタイトルを『EUPHORIA MOURNING』と綴りを変更。当初はこちらの綴りで発表したかったものの、『EUPHORIA MORNING』のほうが良いタイトルじゃないかということで、こちらに決定した経緯があるようです。



▼CHRIS CORNELL『EUPHORIA MORNING』
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投稿: 2017 10 07 12:00 午前 [1999年の作品, Chris Cornell, Soundgarden] | 固定リンク

2017/10/02

MATT CAMERON『CAVEDWELLER』(2017)

SOUNDGARDENPEARL JAMのドラマーとして知られるマット・キャメロンがキャリア初となるソロアルバムをリリースしました。

本作ではプロデューサーとしてのみならず、ソングライターやシンガー、ギタリスト、ベーシストなどとしてマルチな才能を発揮しておりますが、ドラムは叩いておらず、デヴィッド・ボウイのアルバム『★ (BLACKSTAR)』(2016年)でプレイしていたマーク・ジュリアナと、同じく『★』に参加したティム・ルフェーブル(B)がリズム隊を担当しているそうです(ティムは一部楽曲のみで、他はマットが演奏)。

どんな音になるのかと思いドキドキしながら再生してみると、序盤は意外と普通のロック……と言っては語弊があるかな。まぁあれです、マットの現在のメインバンドであるPEARL JAMからイメージできる、オーソドックスなロックとでも言えばいいんでしょうか。SOUNDGARDENほどハード&ヘヴィではなく、どこか内向的な空気が漂う落ち着いたアメリカンロック。うーん、うまく言語化できませんが、PEARL JAMが好きな人なら気にいるサウンドだと思います。

曲によってはアコースティックギターが前面に打ち出されていたり、かと思えばシンセを軸にした楽曲もある。ちょっとフュージョンぽいインスト曲「Into The Fire」、アバンギャルドなギターソロが登場する「One Special Lady」、もっともSOUNDGARDEN的と言えなくもないラストナンバー「Unneccesary」と個性的な楽曲もあるにはあるけど、あくまで中心となるのは歌。そのへんはPEARL JAMのイメージから外れないと思います。マットの歌声も悪くないし、変に声を張り上げることなく大人な雰囲気。どの曲も2〜3分台で、全9曲でトータル29分という非常に聴きやすいトータルランニングも良いと思います。

なお、「One Special Lady」後半に登場するギターソロをプレイしているのは、アラン・ヨハネスというチリ出身のマルチプレイヤー。調べてみるとこの人、クリス・コーネルのソロアルバム『EUPHORIA MORNING』(1999年)とか、元PEARL JAMのドラマー、ジャック・アイアンズのソロアルバム『ATTENTION DIMENSION』(2004年)とかにも参加している、シアトル界隈ともそれなりに縁がある人みたいですね。

アルバム後半が意外とニューウェイブの香りをさせるあたりに意外性はあるものの、最初にも書いたように全体的には“PEARL JAMのメンバーが作ったソロ作品”らしい内容で、極端に逸脱はしてないはず。プログレポップが好きな人は、特に「Into The Fire」「Real And Imagined」あたりは気にいるんじゃないでしょうか。僕はこの2曲と、先に挙げた「One Special Lady」の3曲が気に入っています。

ちなみに本作、CDでのリリースは今のところないみたいです。各配信サイトでのダウンドロード販売やストリーミング、そしてPEARL JAMオフィシャルショップで販売されているアナログ盤(一部、Amazonでも販売予定)で聴くことができます。



▼MATT CAMERON『CAVEDWELLER』
(amazon:海外盤アナログ / MP3

投稿: 2017 10 02 12:00 午前 [2017年の作品, Matt Cameron, Pearl Jam, Soundgarden] | 固定リンク

2017/08/13

V.A.『SINGLES: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』(1992/2017)

1992年秋に全米公開された映画『シングルス(SINGLES)』のサウンドトラックアルバム。日本では先にサントラがリリースされ、映画は翌1993年春に公開されました(単館ではなかったものの公開劇場数は少なく、どこも小規模劇場での公開だったと記憶しています)。

シアトルを舞台にしたラブストーリーなのですが、当時のシアトルといえばグランジブームまっただ中。主人公のひとりであるクリフ(マット・ディロン)がロックバンドをやっていることなどもあり、劇中にはALICE IN CHAINSやクリス・コーネル(SOUNDGARDEN)、エディ・ヴェダー(PEARL JAM)なども登場します。

サントラは映画公開に先駆けて1992年6月にUS発売(日本では9月発売)。内容は当時人気のグランジバンドやシアトル出身のレジェンドたちの楽曲で大半が占められ、全13曲中11曲が当時未発表曲でした。リードトラックとしてALICE IN CHAINSの新曲「Would?」(同年9月発売の2ndアルバム『DIRT』にも収録)が公開されるやいなや、大反響を呼んだのをよく覚えています。

ALICE IN CHAINS、PEARL JAM、SOUNDGARDEN、MUDHONEYSMASHING PUMPKINSといった当時ど真ん中のバンドから、SCREAMING TREES、MOTHER LOVE BONEというグランジ黎明期のバンド、THE REPLACEMENTSのポール・ウェスターバーグ、HEARTのアン&ナンシー姉妹の別ユニットTHE LOVEMONGERS、ジミ・ヘンドリクスといったレジェントたちまで。さらにはクリス・コーネルのソロ曲まで含まれているのですから、当時のグランジシーンを振り返る、あるいはシアトルのロックシーン(メタルは除く)に触れるという点においては非常に重要な役割を果たすコンピレーションアルバムだと思います。

そのサントラ盤が、発売から25年を経た2017年に、未発表テイクや劇中で使用されたもののサントラ未収録だった楽曲を集めた2枚組デラックスエディションで再発。ディスク1は当時のままで、ディスク2にその貴重な音源がたっぷり収められています。

ここには、マット・ディロンが劇中で所属していたバンド・CITIZEN DICKの楽曲「Touch Me, I'm Dick」(MUDHONEY「Touch Me, I'm Sick」のパロディカバー)や、のちにSOUNDGARDENの楽曲として発表される「Spoonman」のクリス・コーネルソロバージョン、ALICE IN CHAINやSOUNDGARDENのライブ音源、TRULYやBLOOD CIRCUSの楽曲、マイク・マクレディ(PEARL JAM)のソロ曲などを収録。おまけ感の強いものから本気で貴重なテイクまで盛りだくさんの内容で、ここまでを含めて映画『シングルス』をしっかり振り返れるのかな?と改めて思いました。

映画自体は観ても観なくても大丈夫ですが(笑)、1992年という時代の節目を追体験したいのなら、NIRVANAやPEARL JAMのオリジナルアルバムだけではなく、ぜひ本作も聴いていただきたいと、あの当時をリアルタムで通過したオッサンは強く思うわけです。サントラと思ってバカにしたら、きっと痛い目を見るよ?

ちなみに、本作のデラックスエディションが発売されたのが5月19日(海外)。クリス・コーネルが亡くなったのがその前々日の17日ということもあり、真の意味での“グランジの終焉”を実感させる1枚になってしまったことも付け加えておきます。



▼V.A.『SINGLES: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』
(amazon:国内盤 / 海外盤CD / 海外盤2CDデラックス盤

投稿: 2017 08 13 12:00 午前 [1992年の作品, 2017年の作品, Alice in Chains, Chris Cornell, Heart, Mudhoney, Pearl Jam, Smashing Pumpkins, Soundgarden] | 固定リンク

2017/05/26

SOUNDGARDEN『SUPERUNKNOWN』(1994)

SOUNDGARDENが1994年春にリリースした通算4枚目のオリジナルアルバム。前作『BADMOTORFINGER』(1991年)が高く評価され、セールス的にもアメリカで200万枚を突破。GUNS N' ROSESやSKID ROWといったHR/HM勢とツアーをしながらも、ちょうどNIRVANA、PEARL JAMを筆頭としたシアトル勢によるグランジ・ムーブメントに突入したタイミングの作品だったこともあり(彼らもまたシアトル出身)、オールドスクールファンと新世代のファンの両方を掴むことに成功したわけです。さらにニール・ヤングあたりともツアーを回ってたし、もはや敵なし状態に突入したタイミングで制作されたのが、この『SUPERUNKNOWN』という傑作だったわけです。

不況とは裏腹にCD全盛期といえる時期の作品とあって、本作は70分超えの大作。アナログ時代だったら間違いなく2枚組アルバムとして評価されたことでしょう。そういう作品とあってか、内容も非常にバラエティに富んだもので、前作以上に音楽性の懐の深さを見せております。

例えばこれまでだったら「BLACK SABBATHやLED ZEPPELINのハードロックサイドにパンクを掛け合わせた」楽曲が中心だったところに、今作では「LED ZEPPELINがやりそうな、サイケデリックなアコースティックナンバー」あたりにも手を出しており、ストレートなロックチューンからサイケデリックバラード、変拍子の効いたハードロック、陰鬱で(ジャンルとしての)ドローンっぽいヘヴィナンバー、アコースティックサウンドを前面に打ち出した民族音楽まで本当に幅広い。作品としての成り立ちは異なりますが、きっとここで彼らは「俺たちの『PHYSICAL GRAFFITI』(LED ZEPPELINが1975年に発表した2枚組アルバム)」を作っておきたかったのかなと。そう思わずにはいられません。

前作の時点でかなりキャッチーさが強まってきてはいましたが、今作では小難しいアレンジを取り入れつつもメロディはさらにキャッチーさが強まっている。1曲目「Let Me Drown」の時点で耳に残る強いメロディが飛び込んでくるし、しかも大半の楽曲が「印象的なフレーズをリピートすることで、聴き手の耳に強くこびりつかせる」ことに成功している。また、ほとんどの楽曲が4分前後(短いもので1分半、長くても7分欠ける程度。しかも1曲だけ)と聴きやすく、曲数が多い(US版は15曲、インターナショナル版は16曲)わりにするする聴けてしまうわけです。すでに前作『SUPERUNKNOWN』の時点でその予兆は見られたわけですが、今作でその手法はさらに極まったと言えるでしょう。

その結果、本作はSOUNDGARDENの作品中唯一の全米No.1を獲得。トータルで500万枚以上ものセールスを記録したのでした。また、本作からのシングル「Black Hole Sun」もスマッシュヒットを記録(全米エアプレイチャート24位)。ミュージックビデオも多数制作されました。

いわゆるグランジ・ムーブメントの中でももっとも正統派HRの色合いが強かったSOUNDGARDEN。NIRVANAはある種パンクだったし、PEARL JAMは最初から王道アメリカンロックだった。SMASHING PUMPKINSはニューウェーブの香りをただよわせ、ALICE IN CHAINSは生粋のハードロック小僧がいろいろ拗らせて小難しい方向に顔をツッコミ出した。ドラッグとかいろんな影響もあってか、どんどん厨二っぽさを拗らせて早死にした奴もいたけど、結局一度も解散せずに生き残ったのはPEARL JAMだけ。だって普通のロックバンドだったんだもん。

そんな中、SOUNDGARDENはアンダーグラウンドなサウンドから徐々に洗練されていき、たどり着いた場所が“現代版LED ZEPPELIN”みたいな変に仙人じみたポジション。80年代後半、多くのHR/HMバンドが欲していたそのポジションを別の形で手にしてしまったわけです。とことん不思議なバンドですよね。

結局彼らは、続く『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)ですべてやりきったとして、1997年4月に解散を発表。潔いんだか、不器用なんだか。



▼SOUNDGARDEN『SUPERUNKNOWN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD


で、2010年に再結成してコンスタントに活動を続けていたわけですが……最初の解散から約20年後の2017年5月17日、デトロイトでのコンサートを終えたクリス・コーネル(Vo, G)がホテルで首を吊って死んでいるところを発見。まさかこんなにあっけない形で終わってしまうなんて思ってもみなかったなぁ。

実はこのテキストも、書いては消して、書いては消してを繰り返し、最終的にいつもどおりフラットな形で書くことを決め、こういう形になりました。

このアルバムがリリースされる2、3ヶ月前にSOUNDGARDENは初来日公演を実施。僕も足を運びましたが、結果としてこれが唯一の日本公演になってしまったわけです。おそらく再結成後も何度か来日に関して話し合いがあったと思われるのですが、それは叶わぬ夢で終わったわけです。

なんか一番まともそうだけど、一番ストイックそうな奴がここまで生き延びて、でも結局自分で自分の人生を終わらせてしまった。つくづくグランジってやつはタチが悪かったなぁ……こうやって、みんなが忘れた頃にまた“あっち側”に連れて行っちゃうんだから。本当にもう勘弁してほしいです。


投稿: 2017 05 26 12:00 午前 [1994年の作品, Soundgarden, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2010/01/04

SOUNDGARDEN再結成に寄せて

あまり大きな話題になってないような気がするけど、クリス・コーネルのオフィシャルサイトなどでSOUNDGARDEN再結成が発表されました。バンドの新たなオフィシャルサイトも同時に立ち上がっています。

SOUNDGARDENが解散を表明したのは、1997年4月のこと。今回のクリスの声明文には「12年ぶり古巣に戻ってセッションしてる」とありますが、今のところクリス以外のメンバーについては名言されていません。昨年3月にはクリス抜き(キム・セイル、ベン・シェパード、マット・キャメロン)で一夜限りのセッションを行いましたが、果たして今回はその4人によるものなのか……いや、そうじゃないと困るんですけどね。

AUDIOSLAVEが頓挫してから、クリスはソロアルバムを2枚ほど作りましたが、個人的には「もっとロックしてほしいのに……」と思ったり。AUDIOSLAVEも決して悪くなかったんだけど、RAGE AGAINST THE MACHINEにもSOUNDGARDENにも届かなかったなぁというのが本音。もちろん、それらとは違った道を歩んでいたんだろうけど、比較されるのはしょうがないわけでして。

ぶっちゃけ、クリスの声はどうなのかとか、キムやベンは再び最前線に戻ってくるにふさわしいのかとか、マットはPEARL JAMどうすんのとか、いろいろ疑問や心配事はあるのですが、とにかくやるならやるで、徹底してほしい。単なる懐メロツアーはたくさんなので、思いっきり新曲をぶちかましてほしいと思います。

とりあえず、今は90年代に残された偉大な遺産を聴きまくって、待望の復活を心待ちにしております。



▼SOUNDGARDEN「LOUDER THAN LOVE」(amazon:US盤


▼SOUNDGARDEN「BADMOTORFINGER」(amazon:US盤


▼SOUNDGARDEN「SUPERUNKNOWN」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2010 01 04 04:20 午前 [Soundgarden, 「再結成」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/09/29

AUDIOSLAVE『REVELATIONS』(2006)

 前作「OUT OF EXILE」から1年3ヶ月で届いちゃった、AUDIOSLAVEの3枚目「REVALATIONS」。バンドの状態がすこぶる良い状態だからこそ、この短期間で仕上げちゃったんだろうね。実際、前作に伴うツアーもそんなに長いことやらず、ちゃっちゃと切り上げてこの作品に向かっていったようだし。その充実ぶりが伺える、前作以上にバラエティ豊かな傑作に仕上がっていると思います。

 このバンドの良さは、RAGE AGAINST THE MACHINEが単に「歌える」シンガーを手に入れたというだけではなく、「歌えるシンガーを手に入れたから、オーソドックスなハードロックをプレイする」というところにあると思うんですが、今回はそこにファンキーさが強調され(例えば5曲目の "Original Fire" なんてまさにそれだよね)、ポップなナンバー(例えば "Until We Fall" 辺りの楽曲)も増えている。尖り具合は残念ながらアルバムを重ねる毎に弱くなってるんだけど、このバンドの場合はそれでいいんだろうね。正直まだライブを実際に観ていないんで、現在どういうステージを繰り広げているのかわからないけど(とっととライブDVD観ようよ俺)、なんだか2ndからこのアルバムを続けて聴いたらこれでいいような気がしてきた。

 クリス・コーネルは今や新007の主題歌を担当するようなアメリカを代表するシンガーにまで登り詰めてしまっているし、ギターのトム・モレロは政治的な活動は別ユニットでやっているし、いろんな意味で現在バランスが良くて、完全に攻めの状況にあるんだろうなぁ。それがしっかりアルバムで形にできているんだから、やっぱりすごいわ。

 楽曲に関しては個人的にはまったく問題なし。ただ、ギター……正直に書くと、いくら何でもリフが単調すぎるんじゃないかな?という気も。もうちょっと派手に弾きまくってもいいと思うんだけどなぁ。その辺はボーカルとのバランスを取ってのことなんだろうけど……宝の持ち腐れな気がする。1曲くらい手数の多いソロとかメチャメチャ決めまくりのリフ(簡単に真似できないようなやつね)があってもいいよね。そこだけが勿体ないかな。ところどころに過去のモレロ節を感じさせるプレイは挿入されているし、グルーヴィーなリフプレイは相変わらずなんだけどさ。

 ま、最後に今後への課題を書いてみたけど(って偉そうなw)、それは俺がこのバンドを本当に好きで「ずっとこのまま続いてほしい」と思っているからこその苦言なんだけどね。だって、誰もがこのバンド、アルバム1枚で終わると思ってたんじゃないの??



▼AUDIOSLAVE「REVELATIONS」(amazon:US盤日本盤

投稿: 2006 09 29 08:18 午後 [2006年の作品, Audioslave, Rage Against The Machine, Soundgarden] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/05/25

AUDIOSLAVE『OUT OF EXILE』(2005)

 AUDIOSLAVEの2ndアルバム「OUT OF EXILE」が予想してた以上に素晴らしかったので、急遽更新の予定を変更して、今日はこのアルバムの素晴らしさについて語ってみたいと思います。

 もう聴きましたか、このアルバム? ってまだ店頭に並んでから1日、手にしてる人の数なんてたかが知れてますよね。それこそコアなファン以外は‥‥みんな同日発売のOASISに走っちゃってるんじゃないでしょうか。

 いや。今はそれでいいですよ。きっとこれを読んだ後に気が変わるかもしれないしさ。

 まず‥‥1stアルバムついてもう一度整理しておきましょう。「とみぃの宮殿」時代に書いた1stアルバムのレビューを今一度、読み返してみようじゃないですか。何ならそれと併せてCDを引っ張り出して聴きながら読むのもいいかも

 ここで俺は何点かポイントを挙げています。それは‥‥

・サウンド的には「ZEP的オーソドックスなハードロック」
・想定の範囲内のサウンド。だから大きな驚きも衝撃もなかった
・「‥‥正直、こんな程度なのかな‥‥」とさえ感じた程
・クリス・コーネルの声の衰えにはがっかりしたが、曲は声に合ったものが多い
・メロウなミドルチューンこそがこの組み合わせ最大の産物かも
・"Like A Stone" タイプの曲が今後の彼等にとって大きな武器になるだろう

‥‥以上、こんな感じでしょうか。

 正直この組み合わせだったら誰もが「もの凄いアルバムになるに違いない!」と思ったでしょうけど、古くから両バンドに精通してるファンからすれば、この組み合わせであの「古典的ともいえるオーソドックスなHR」は想定の範囲内の出来。枠からはみ出ることもなく、非常に優等生的な作品だったんですよね。だからなのか、俺もそこまで聴き込んだという記憶もないし、ライヴではRAGE AGAINST THE MACHINEの曲もSOUNDGARDENの曲もやらない、と耳にして、更に興味を失っていたんですよね。

 ところが。この2ndアルバムリリース前に行われたライヴでは、以下のようなセットリストでライヴをやってるようなんですよ。

01. Your Time Has Come
02. Set It Off
03. Like A Stone
04. Spoonman [SOUNDGARDEN]
05. Be Yourself
06. War Pigs Tease
07. Bulls On Parade [RATM/Instrumental]
08. Sleep Now In The Fire [RATM]
09. Black Hole Sun [SOUNDGARDEN/Acoustic solo]
10. Show Me How To Live
11. Killing In The Name [RATM]
12. Cochise

12曲中、SOUNDGARDENの曲が2曲(日によっては "Outshine" をプレイする日もあるそうな)、RATMの曲が3曲(内1曲はクリス抜きでのインストバージョン)‥‥セットリストの約半数を彼等が過去在籍したバンドの曲なんですよ。頑に演奏してこなかった歴代バンドの名曲達を‥‥

 恐らく、1stを作って、長期間のツアーに出て、互いを更に理解し合い、バンドとしても、そして人間/友人としても、ビジネスパートナーとしてもより密な関係になれたんでしょうね。だからこそ、そういった「憑き物」が落ちたのかもしれない‥‥ダフ・マッケイガン(元GUNS N'ROSES、現VELVET REVOLVER)がAUDIOSLAVEに対して「何故(SOUNDGARDENやRATMの曲を)演奏しないんだ? ファンの気持ちになれば(それらを期待してるってことが)判るだろうに」とコメントしてたのが印象的でしたが(VELVET REVOLVERはGN'RとSTONE TEMPLE PILOTSの混合バンド。ライヴでは両バンドの曲も演奏します)、いよいよここにきて封印と解いた、ということは‥‥「AUDIOSLAVE」として納得できる、確立された音楽が完成したということを意味するんじゃないでしょうか?

 そして、それこそがこの「OUT OF EXILE」というアルバムなんだ、と。

 ゴメンなさい、前降り長過ぎですね。

 とにかく、前作で満足出来なかった人間の多くが、このアルバムを前にして、手に汗握るんじゃないでしょうか。だってさ、曲がとにかく良いし、演奏も良い。歌も無理なく、クリスらしさを上手く表現できてる。前作制作時には「AUDIOSLAVEとして一度もライヴの経験がなかった」状態だったことを思えば、今回はある程度互いの手の内を理解した状態で制作に挑んだわけですから‥‥悪くなるはずがない。だって、何だかんだいってここにはSOUNDGARDENのメインソングライターと、RATMのアンサンブルの要(というかそのもの)が揃ってるんだよ。

 曲‥‥特にメロディの充実度には目を見張るものがあると思います。上に書いた「"Like A Stone" タイプの曲が今後の彼等にとって大きな武器になるだろう」というポイントも、アルバムからのリーダートラックに "Be Yourself" が選ばれた時点で、あーバンドとしてもよく理解してるんだな、と納得できたし、それ以外の‥‥そう、それ以外の曲がとにかく凄く良いのですよ。もう1曲目 "Your Time Has Come" からハードドライヴィングしまくり、続く "Out Of Exile" ではRATM直結のグルーヴィーHR全開。ボーカルもハイトーンやシャウトに頼ることなく、完全に「クリス・コーネルの節回し」が独特なバックに馴染んでる。前作では上手く噛み合ってなかったり、メロの節回しがあと一歩だったりと、非常に残念な箇所が幾つかあったわけですが、今回に関しては(通しで2回聴いた限りでは)それが見当たらないし。いい具合に「感」が戻ってきたんじゃないでしょうか(思えばクリスはSOUNDGARDEN解散以降、ソロでのライヴはあったものの、こういう形でのバンドは5年近く経験がなかったわけですからね)。

 演奏も見事に「らしさ」を残しつつ、更に「歌」をバックアップする「引き」の要素も強まってる。でも決して地味なんじゃなくて、実は結構派手なプレイしてたりするんだよね。そう聞こえないのは、完全にひとつの楽曲として調和されたものが多いからなんじゃないかな。曲作りやリハーサルにそれだけ時間をかけたことも大きいだろうし、やはり長期のツアー経験がものを言ってるんじゃないでしょうかね。

 いやー参った。"Be Yourself" を最初聴いた時は「やはりこの路線を強調してきたか‥‥」と嬉しく思ったのと同時に、どんどんハードロック色‥‥クリスやRATM残党組が最も得意とするであろう表現方法‥‥が後退してくのかなぁ、と危惧していたんですが、とんだ取り越し苦労でした。曲の配置、構成、曲調のバラエティやバランスも良いし、12曲(日本盤は+2曲)という曲数も丁度良いし(前作は似たタイプのミドルチューンが多い14曲入り)。

 これはアメリカでもバカ売れするんじゃないの? 日本じゃ過去に在籍した両バンドの内、RATMの方が知名度上で、SOUNDGARDENは結局1度の来日(しかも全米ナンバー1になる直前の来日な。俺も行ったけど)しか実現しなかったからか、マニアックなファンしか着いてない気がするし‥‥そういったカルト的な知名度を跳ね返すような、大きなブレイクを期待したい‥‥と思ってた矢先に、サマソニへの出演決定!?(日本盤にその旨を伝えるステッカーが貼られてます) NINE INCH NAILSが出る日の「VERY SPECIAL GUEST」ってやはりAUDIOSLAVEのことだったか! 何となくそうじゃないか、とは予想してたけど。嬉しい。素直に嬉しい。野外で、このサウンドを体感できるんだから。日本人は幸せだと思うよ。

 さて、アルバムも3周目に突入。もっとボリューム上げて聴き込みますよー!



▼AUDIOSLAVE「OUT OF EXILE」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2005 05 25 12:05 午前 [2005年の作品, Audioslave, Rage Against The Machine, Soundgarden] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/03/24

AUDIOSLAVE、5月に新作発表

AUDIOSLAVE Announce New Album Title.(BLABBERMOUTH.NET)

 2002年末のファーストアルバム、そして翌年1月の衝撃的なZepp公演以来、ここ日本では音沙汰がなかった状態の元RAGE AGAINST THE MACHINE組+元SOUNDGARDENのシンガーによるスーパーバンド、AUDIOSLAVE。2年半振りのセカンドアルバムのタイトルが「OUT OF EXILE」に決定、5/24にアメリカにてリリースされることになりました(日本盤は5/11に先行発売予定)。ちなみに前作はRATMが所属していた『EPIC』からのリリースでしたが、今回はクリス・コーネルがSOUNDGARDEN〜ソロで所属する『INTERSCOPE』からのリリースとなります。契約形態が「各レーベルから交互に」なのか「各レーベルで1枚ずつ」なのかは判りません。次があればまぁどちらかからリリースされるでしょう(そういえば1stの時は、「EPIC」「INTERSCOPE」両レーベルから同じ内容のアルバムがそれぞれリリースされる、なんて話もありましたが)。

 今回もプロデューサーはリック・ルービンが務め、"Doesn't Remind Me"、"Out Of Exile"、"The Curse"、"#1 Zero"、"Your Time Has Come" といったタイトルの楽曲が収録される予定だそうです。

 この他にも "Be Yourself" という曲が収録されているようで、既にオフィシャルサイトにてフル試聴可能となっております(こちら。リンク先に飛ぶといきなり "Be Yourself" がスタートするので注意)。この曲がアルバムからのリーダートラックになるのでしょうか。前作の延長線上にあるメロウな歌モノで、更に曲として煮詰めた感が強いですね。まぁRATMのファンは納得しないかもしれませんが、クリスのファンは納得のいく内容じゃないでしょうか(結局AUDIOSLAVEの1stってクリスのソロの延長って感じだしね)。



▼AUDIOSLAVE「OUT OF EXILE」(amazon:5/11リリース)

投稿: 2005 03 24 12:00 午前 [Audioslave, Rage Against The Machine, Soundgarden] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/28

とみぃ洋楽100番勝負(71)

●第71回:「Jesus Christ Pose」 SOUNDGARDEN ('91)

 前にJANE'S ADDICTIONの項で書いたけど、'90年代前半の自分にとってJANE'Sと、このSOUNDGARDENからの影響ってのがとにかく強くて。これら2バンドに突き動かされて、フォロワー的バンドを組んだ程ですから(そして全く違う趣味を持つ4人が集まったもんだから、更に違った色を持ったバンドが誕生したわけだけど)。

 SOUNDGARDENを知ったのは、'89年秋。愛読していた「BURRN!」のアルバムレビューコーナーにて取り上げられたメジャーデビュー盤「LOUDER THAN LOVE」が高評価(多分90点近く)だったこともあり、すっげー気になって日本盤を取り寄せ注文して。今聴くと凄くドゥーミーでかなり良いアルバムなんだけど、当時の俺にはまだ理解できなくてね。もっと派手で速いのを期待してただけにさ(当時はBLACK SABBATHといえば "Paranoid"、みたいな時代でしたから。今でこそ "Snowblind" や "Sweet Leaf" とか言ってるけどね自分)。

 ところがそれから2年後。伊藤政則を崇拝していた俺は、彼のラジオとテレビで同時にこのSOUNDGARDENが大プッシュされるのに直面するんですよ。曲は "Jesus Christ Pose"。ここでようやくガツンとくるわけ。なんじゃこりゃ、と。イントロのトライバルなリズムと好き放題弾きまくるベースとギターのフィードバック音、印象的なメインリフとロバート・プラント(LED ZEPPELINのVo)ばりのハイトーンボイス‥‥ああ、こういうのを待ってたんだよ俺は、と。ガンズのアルバムを聴いて間もなくだったけど、心は完全にSOUNDGARDENに奪われて。JANE'Sが解散してしまった後だけにね、余計ですよ。

 面白いことにこの頃、伊藤政則はSOUNDGARDENとNIRVANAを大プッシュしてるんですよ、「新世代ハードロックがアメリカからやっと登場した」とかいって。まさかそれらがその後「グランジ」なんていう、メタルファンから疎まれる存在になるとは‥‥誰も思ってなかったでしょうね。当然両方を既に知ってた俺からすれば「えーっ、メタルかこれ?」っていう疑問があったし、マサ伊藤が定期開催してたクラブイベント「HM SOUNDHOUSE」でも "Jesus Christ Pose" と "Smells Like Teen Spirit" は必ずかかってたんですよね‥‥

 やっぱり今聴いても「BADMOTORFINGER」と「SUPERUNKNOWN」という2作は名盤ですね。ZEPやSABBATHのオイシイところと、USガレージのオイシイところを見事に融合させて、彼等にしか再現できないモノを作り出したんですから‥‥だからこそ‥‥AUDIOSLAVEには‥‥はぁ‥‥頑張っていただきたい。



▼SOUNDGARDEN「BADMOTORFINGER」(amazon

投稿: 2004 10 28 12:00 午前 [1991年の作品, Soundgarden, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/03/17

AUDIOSLAVE『AUDIOSLAVE』(2002)

2000年秋に空中分解してしまったRAGE AGAINST THE MACHINEの楽器隊が、元SOUNDGARDEN、当時はソロとして活動していたシンガー、クリス・コーネルと共にスタジオ入りし、リック・ルービンをプロデューサーに迎えてレコーディングしている、といった噂が2001年から出回っていたのはご存じでしょう。実際その後本当にレコーディングに突入し、2002年前半には新バンド「CIVILLIAN」としてのデビューアルバムがリリースされる予定でした。が、何故か急にクリスがバンドを脱退、予定されていた「OZZ FEST」への出演をキャンセルしたという話題が。ここで完全に立ち消えたはずだったこのバンド、結局クリスとRATM残党という同じ顔ぶれで新たに「AUDIOSLAVE」という名前で活動再開、同年11月にいよいよ話題のファーストアルバムがリリースされたのでした。

既にリリースから1年半近く経っているし、「何を今更‥‥」という気もしないでもないんだけど、いやいや、今だからこそ語ろうじゃないですか、このバンドについて‥‥。

俺は89年にSOUNDGARDENの『LOUDER THAN LOVE』を聴いて彼らに興味を持ち、91年の『BADMOTORFINGER』で完全に彼らにハマッったくちで、94年春に行われた来日公演にも足を運んだ程好きなバンドでした。一方RATMに関しても最初こそ印象がよくなかったものの、97年に前年夏のレディング・フェスでのライヴ映像を観て衝撃を受け、彼らにハマっていった人間です。どちらも好きだけど、どちらかというとSOUNDGARDEN側の人間である、ということを先に書いておきます。

聴く前から恐らく多くの人がAUDIOSLAVEが出すであろう「音」を、何となくでも想像できていたと思うんですよ。ヒップホップ版LED ZEPPELIN的な側面を持つRATMと、そのZEP以上にZEPらしいスタイル/音楽性を持っていたバンド・SOUNDGARDENのシンガーが合流することで、間違いなくZEP的オーソドックスなハードロックを再現するであろう、と。

実際にアルバムから聞こえてきたサウンドは、ほぼその想像に近いものでした。だから特に大きな驚きや衝撃もなく、納得ずくでアルバムと向き合うことができました。と同時に、「‥‥正直、こんな程度なのかな‥‥」と思ったのもまた事実でして。やはりこの組み合わせ、期待はかなり大きかったんですよ。特にSOUNDGARDENをリアルタイムで通過してない若い子にとっては、ある意味「伝説の存在」だったクリス(というのは言い過ぎかな?)が、当時リアルタイムでトップにいたロックバンド(RATM)と合体するということで、俺以上に期待してたんじゃないかな?

何がいけない、というわけじゃない。決してこの組み合わせは間違ってないと思うし、実際かなりしっくりきてると思う。思うんだけど‥‥まだまだこんなもんじゃないよね?と。特にクリスな。彼の声の衰え(枯れ具合)には正直ショックを隠し切れませんでした。確かにSOUNDGARDEN晩年もハスキーではあったけど、もっとハイトーンがすっきりと出たはずなのに‥‥ソロになってから落ち着いたトーンの楽曲ばかりだったのは、これも関係あったとか!?と疑ってしまう程、全盛期の輝きは見受けられませんでした。

しかし、じゃあそんなに酷いかというと、実は‥‥1曲目「Cochise」みたいな声を張り上げる曲では厳しいものがあるものの、例えば5曲目「Like A Stone」のようなトーンの曲になると逆に「このサウンドにこの声じゃなきゃいけない」という説得力を強く感じるわけ。4曲目「What You Are」みたいなモロにSOUNDGARDEN的な楽曲でもそうだけど‥‥要するにバンドとして、まだ「今のクリスの魅力」を最大限に発揮する方法を模索してる最中なのかな、と。いきなりスタジオ入りして、互いの手札を見せ合って作ったであろうファーストアルバム。そういう意味では「新しい武器」を手に入れたというよりは、これまで使っていた武器の「合わせ技」といった印象が強いかも。良い意味でも、そして悪い意味でもね。

「跳ねないレイジ」「ヒップホップ色のないレイジ」とか「サイケじゃないSOUNDGARDEN」「ドンヨリしてないSOUNDGARDEN」といった表現もできると思うけど、個人的には「シアトルの湿った空気」を「カリフォルニアの太陽」で照らしたような、そんな要素をこのバンドから既に感じています。カリフォルニア特有の陽気さや豪快さと、一年中曇りか雨というイメージが強いシアトルの繊細さや湿り気の融合‥‥それがAUDIOSLAVE「らしさ」とするなら、上に挙げたような「Like A Stone」みたいな楽曲が今後の彼らにとって大きな武器になることは間違いないでしょう。

しかし、そうはいっても彼らはロックバンド。より「らしい」豪快なロックも追求してくれると思いますよ。クリスに無理のない形でね(けど楽器隊には無理して欲しい‥‥という我が儘も言ってみたりして)。どちらにしろ、早ければ年内にはセカンドアルバムが期待できそうですから、その答えは意外と早く我々に届けられそうですけどね‥‥。



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投稿: 2004 03 17 12:00 午前 [2002年の作品, Audioslave, Rage Against The Machine, Soundgarden] | 固定リンク

2003/10/17

SOUNDGARDEN『BADMOTORFINGER』(1991)

'90年代初頭にアメリカはシアトルを中心に勃発した「グランジ・ムーブメント」。その代表的バンドのひとつに挙げられるのが、今回紹介するSOUNDGARDEN。彼等はシーンの中でも古参と呼べる存在で、既に'80年代半ばから活動していて、'87年には既にEPをリリースしていた程。そしてメジャーデビューもシーンの中ではかなり早く、'89年秋に「LOUDER THAN LOVE」でここ日本でもデビューしている程(当時の「BURRN!」ディスクレビューを読んで惹かれた俺は、このアルバムで彼等と出会い恋に落ちるわけです)。しかし来日となるとかなり遅く、大ヒット作「SUPERUNKNOWN」リリース直前の'94年2月、しかもクラブチッタ公演(当然俺も行きました)。如何に彼等がここ日本で過小評価されていたかが伺えるエピソードではないでしょうか。

今回紹介するのは、'91年秋にリリースしたメジャー2作目、通算3作目となるアルバム「BADMOTORFINGER」です。このアルバムで一気にブレイクを果たしたといっていいでしょう。しかしリリース当初はまだグランジ・ムーブメント勃発前。NIRVANAの「NEVER MIND」やPEARL JAM「TEN」とほぼ同時期のリリースだったのですが、ここ日本では2枚目のアルバムということもあり、また当時かの伊藤政則氏が積極的に自身のラジオやイベントでSOUNDGARDENの "Jesus Christ Pose" をかけたことでその名前やサウンドはある程度認知されていたようでした。しかしそれも一部のメタルファンにのみ。普段「rockin'on」等を読む音楽ファンには見向きもされない存在だったのです。

そんなSOUNDGARDENがブレイクする切っ掛けが'92年に入り、幾つか訪れるのです。まず2月のグラミー賞「ベスト・メタル・パフォーマンス部門」へ "Jesus Christ Pose" がノミネートされたこと。残念ながらこの年の受賞者はMETALLICAのブラックアルバムだったわけですが、それでもANTHRAXやMEGADETH、MOTORHEADといった錚々たるメンツの中に唯一、誰だこれ?的存在が食い込んだのですから、それだけでも大健闘ですし、名前を売るいい切っ掛けになったはずです。

そしてその後のNIRVANA、PEARL JAMの大ブレイク。そう、PEARL JAMのブレイクがSOUNDGARDENに思わぬ幸福をもたらします。PEARL JAMのメンバーが以前在籍していたMOTHER LOVE BONEというシアトルのバンドのシンガーが亡くなったことを切っ掛けに、SOUNDGARDENのクリス・コーネル、マット・キャメロン、PEARL JAMのストーン・ゴッサード、マイク・マクレディ、そしてエディ・ヴェダーによるユニット、TEMPLE OF THE DOGのアルバムが'91年5月にひっそりとリリースされていたのですが、これがPEARL JAMブレイクの余波で'92年春~夏にチャートを急上昇し、結果ビルボードのトップ5入りしてしまうのです。

こうしたチャンスを得て、この「BADMOTORFINGER」はリリース後1年経った'92年夏に再びチャート急上昇、結果アルバムチャートのトップ40入りし、100万枚以上ものセールスを記録することになります。

このバンドの凄みはやはりなんといっても「パンクの精神を持ったBLACK SABBATHにロバート・プラント(LED ZEPPELIN)が加入した」かのような音楽スタイルでしょう。時に滅茶苦茶ヘヴィ、時にパンキッシュな疾走感、時にZEP並みにブルージー、等々‥‥とにかくNIRVANAのようなバンドとも、ましてやPEARL JAMとも違った独自性を持ったバンドだったと言えます。実は最もオーソドックスなハードロックスタイルを持ちながら、それでいてオルタナティヴな要素・世界観を前面に押し出す。ギターリフといいソロといい、そしてクリスの歌唱スタイルといい完全にハードロックのそれなのですが、いざバンドとして演奏すると必ずしもそうとは言い切れないような独特な空気感を生み出す。その後登場したグランジ~ラウドロックの若手バンド達が如何にこのバンドから影響を受けたか、このアルバムを聴いていると自ずとそれが見えてくるはずです。

しかし‥‥リリースから12年経った今聴いても、本当にオーソドックスで、それでいて風変わりなハードロック・アルバムだなぁ。現在クリス・コーネルがやってるAUDIOSLAVEと比べてみても判るように、SOUNDGARDENよりもAUDIOSLAVEの方がもっとオーソドックスなハードロックに感じちゃうんだから‥‥そういう意味では、本当に上記の「パンクの精神を持ったBLACK SABBATHにロバート・プラント(LED ZEPPELIN)が加入した」みたいなキャッチフレーズがお似合いなバンドだったんだなぁ、と。

とにかくアルバムの頭4曲だけでいいんで、視聴してみて欲しいな。NIRVANAやPEARL JAMは知ってるしAUDIOSLAVEはRAGE AGAINST THE MACHINE絡みで聴いてるけど、クリス・コーネルもSOUNDGARDENも知らないって若者よ、"Rusty Cage" の疾走感に、"Outshined" のうねりに、"Slaves & Bulldozers" の地獄の底から押し寄せるヘヴィネスに、そして "Jesus Christ Pose" のカッコよさに痺れ、やられるがいい。そこまで聴いてしまえばもうこっちのもの、後は最後まで身を委ねるだけですよ。ホントいいアルバムだなぁ、これは。

バンドは'97年4月に突然声明を発表して、いとも簡単に解散してしまうわけですが、現在でもドラムのマット・キャメロンはPEARL JAMで、クリスは先述の通りAUDIOSLAVEでそれぞれ活躍。ベースのベン・シェパードといいギターのキム・セイルといい非常に才能を持ったミュージシャンなので、今後何らかの形で活躍してくれることでしょう(そういえばキムとマットは、日本の亜矢とかいう女性シンガーのアルバムに、元NIRVANAのクリス・ノヴォセリックと共に参加してたみたいですね)。

最後に。このアルバムでハマッた奴ら、是非「SUPERUNKNOWN」も「LOUDER THAN LOVE」も聴いて欲しいです。



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投稿: 2003 10 17 01:40 午後 [1991年の作品, Soundgarden] | 固定リンク