カテゴリー「Soundgarden」の15件の記事

2019年8月 5日 (月)

SOUNDGARDEN『LIVE FROM THE ARTISTS DEN』(2019)

2019年7月末にリリースされた、SOUNDGARDENのライブCD/Blu-ray。バンドにとっては再結成直後の2011年3月に発表された『LIVE ON I-5』に続く2作目のライブアルバムとなります。

本作は、結果的に最後のスタジオアルバムとなってしまった『KING ANIMAL』(2012年)リリース後、2013年2月17日に行われた全米ウィンターツアーの最終公演、ロサンゼルス・The Wiltern Theaterでのライブを完全収録したもの。アルバムタイトルにもある同名の人気音楽番組のために行われたライブでもあり、当時の新曲に加え、おなじみの代表曲、番組のために用意されたレア曲を含む貴重なライブだったそうです。特に「Blind Dogs」(映画『バスケットボール・ダイアリーズ』サントラ収録曲)がライブで演奏されたのは、この公演が初めてだったとのこと。それもあり、ファンの間では長らく音源化が待たれていたライブなんだとか。

確かに、冒頭から「Incessant Mace」という超初期の長尺曲からゆらゆら始まったかと思えば、「My Wave」「Been Away Too Long」と新旧のアップチューンが続き、さらに「Jesus Christ Pose」「Flower」といった初期の代表曲で畳み掛けてくる。この流れだけ見ても、通常のライブよりもスペシャル感の強いセットリストなんじゃないかという気がします。

CDには全29曲がディスク2枚にわたり収録されており、このうち17曲が初音源化とのこと。結局実現しなかった『KING ANIMAL』を携えた来日公演、いや、最初の解散前のラスト作である『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)での来日も実現していないため、実質ここ20年くらい彼らはここ日本で“空白”に近い存在だったわけで、だからこそこのライブアルバムはその“穴”を埋める貴重なアイテムにもなるのです。結果的に、未来はないわけですけど……。

音源を聴いてもらえばわかるように、クリス・コーネル(Vo, G)の声の調子は決してよろしくはありません。まあ、晩年は以前のように思うように高音が出ない状態でしたし、これが平常運転だったという可能性もありますが……なんにせよ、我々日本人が生で体験できなかった“全米No.1獲得後のSOUNDGARDEN”を、“再結成後のSOUNDGARDEN”をたっぷり堪能できるわけですから、聴かない理由はありません。

「Jesus Christ Pose」のアグレッシヴさに驚かされたり、そこに乗るクリスの悲痛な歌声に悲しさを覚えたり、いろいろ感情が追いつかない部分もありますが、演奏に関しては熟練とは相反する前のめり感が感じられるのではないでしょうか。特に10分以上にわたるヘヴィチューン「Slaves & Bulldozers」からひたすらフィードバックが続く「Feedbacchanal」という怒涛のエンディングは圧巻の一言なので、最初から最後まで心して向き合ってほしいと思います。

なお、本作はBlu-ray版も同時発売されているようです。僕はまだ未見ですが、できることなら映像でも楽しんでいただけたらと……なにせSOUNDGARDENの映像作品がBlu-ray化されるの、これが初めてだと思うので。

 


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2019年4月 7日 (日)

SOUNDGARDEN『LOUDER THAN LOVE』(1989)

1989年9月に発売された、SOUNDGARDEN通算2作目のオリジナルアルバム。メジャーのA&M Recordsと契約後最初の作品で、これが日本デビュー作となりました(当時はポニーキャニオンからリリース)。

まだグランジなんて言葉が存在しなかった1989年という時代。シーンはまだまだHR/HMバンドで席巻されていた頃で、彼らもその延長線上で語られることが少なくなかったと記憶しています。レッチリはすでにメジャーデビューしていたし、JANE'S ADDICTIONのようなバンドもメタルとオルタナの間で健闘していたけど、SOUNDGARDENに関してはクリス・コーネル(Vo)のハイトーンボーカルとキム・セイル(G)によるヘヴィなギターリフのせいで「実は“こちら側(=HR/HM側)”のバンドなんじゃないか?」と思わせる節が多かったように思います。

当時高校生だった自分も、『BURRN!』のクロスレビューでこのアルバムの発売を知り購入したクチ。「Full On Kevin's Mon」のようなハードコア寄りアップチューンはあるものの、ミドルテンポ中心の作風はメタル小僧だった自分には若干退屈なものでした(笑)。が、ロバート・プラントを思わせるクリスのボーカルと、実は何気に速弾きっぽいフレーズも飛び出すキムのギター、そしてサイケデリックなテイストが散りばめられたサウンドにはどこか惹かれるものがあったのも事実。また、ベーシストのヒロ・ヤマモトが日本人だったというのも興味をそそられる要素のひとつだったことは、改めて記しておきたいと思います。

今でこそ「Gun」のようにオジー時代のBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィナンバーに「おおっ!」と唸ったりするものの、当時はオジーサバスに対してそこまでの感情もなかったし(笑)、むしろリアルタムで『HEADLESS CROSS』のようなエモーショナルな作品が出回っていた時期なのでそこと比較することはありませんでしたが、このアルバムの時点ではそこまでサバスをイメージさせる要素はまだ少ないんですよね。むしろ、その要素が一気に強まるのは次作『BADMOTORFINGER』(1991年)以降なのかなと。グランジとオジーサバスとの共通点が語られるようになるのも、それ以降のことですしね。

そういった意味では、本作は1stアルバム『ULTRAMEGA OK』(1988年)を進化させたスタイルと言ったほうが正しいのかもしれません。LAスタイルのHR/HMとは異なる、アンダーグラウンドのオルタナティヴロック経由のシアトルスタイルHRといいますか。ツェッペリンやサバス、あるいは初期KISSなどの70'sクラシックロックから影響を受けつつも、80年代ニューウェイヴ以降の血が混じった独自の視点で組み立てられたスタイルが、のちのグランジと呼ばれるムーブメントにつながっていった。時代の転換期にSOUNDGARDENがいち早くメジャーデビューしたというのも、そういう意味ではすごく頷けるものがある気がします。

どうしても『BADMOTORFINGER』と『SUPERUNKNOWN』(1994年)のイメージが強いバンドですが、この『LOUDER THAN LOVE』で聴くことができるスタイルも捨てがたい。むしろ、1989年という時代にこの音をメジャーで出していたという事実がものすごいことなんじゃないか?と思うのですが、いかがでしょう(なんてこと、あの時代をリアルタイムで通過した人にしか通じないと思いますが)。

 


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2018年9月22日 (土)

SANTANA『GUITAR HEAVEN: THE GREATEST GUITAR CLASSICS OF ALL TIME』(2010)

2010年9月にリリースされた、SANTANA通算20枚目のスタジオアルバム。全米2位を記録した前作『ALL THAT I AM』(2005年)から5年ぶりの新作は、全曲60〜90年代のロッククラシックスのカバーで占められた意欲作。もちろん、メガヒットした『SUPERNATURAL』(1999年)以降の作品同様に、全曲異なるボーカリストがフィーチャーされた豪華なカバー集となっています。

その組み合わせも興味深いところで、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)とLED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」をコラボしたかと思えば、もはやおなじみのロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)とはCREAM「Sunshine Of Your Love」で再共演。かと思うと、ラッパーのNASとAC/DC「Back In Black」で異色共演を果たしたり、ビートルズ「While My Guitar Gently Weeps」ではインディア・アリー(本作唯一の女性ボーカル)の歌声とヨーヨー・マのチェロとコラボ。もう無茶苦茶なわけですよ。

選曲もカルロス・サンタナが気に入ったものというより、アメリカで人気のロッククラシックスといった印象が強く、DEF LEPPARD「Photograph」(クリス・ドートリーが熱唱)やVAN HALEN「Dance The Night Away」(TRAINのパトリックが担当)あたりは確実に別の思惑が働いている気がする(笑)。

かと思うと、ストーンズが「Can't You Hear The Knocking」(スコット・ウェイランドがいい味出してる!)だったりTHE DOORSが「Riders On The Storm」(LINKIN PARKのチェスター・ベニントンと本家レイ・マンザレクが参加)だったりと、ちゃんとこだわりも感じられるから本当に不思議。

もちろんDEEP PURPLE「Smoke On The Water」(PAPA ROACHのジャコビー)やT. REX「Bang A Gong (Get It On)」(BUSHのギャヴィン)、ジミヘン「Little Wings」(ジョー・コッカー御大!)といったスタンダードも忘れてない。

デラックスエディションのみ、CCR「Fortunate Son」(CREEDのスコット)とレッチリ「Under The Bridge」(SANTANAのバンドメンバー)が追加されているんですが、日本盤は「Under The Bridge」の代わりにベンジー(浅井健一)が歌うZZ TOP「La Grange」が収録されています。いかにも日本仕様といったボートラですが、これもなかなかの出来なので機会があったらチェックしてみてください。

全体的にサンタナらしいラテンアレンジが加えられており、それがどの曲においても良いフレイバーになっているから不思議。もちろん、そんなアレンジに合いそうな曲を選んでいるんでしょうけど、ツェッペリンにしろストーンズにしろドアーズにしろ、これがオリジナルなんじゃないかと錯覚してしまうほどの出来栄え。原曲レイプで終わらず、しっかりサンタナらしいプレイ(=個性)が加えられているので、彼のファン以外でもちゃんと楽しめるはず。まあ、遊びとしては最高に贅沢ですわな。



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2018年3月 6日 (火)

SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』(1996)

1996年5月に発表された、SOUDNGARDEN通算5作目のスタジオアルバム。初の全米1位を獲得し、500万枚以上を売り上げた前作『SUPERUNKNOWN』(1994年)に続く作品として注目されましたが、チャート的には全米2位まで上昇するも、セールスは100万枚程度にとどまり、期待以上の結果を残すことはできませんでした。

LED ZEPPELIN的手法(ハードロックとサイケデリックなアコースティックナンバーの共存)を効果的に使い大成功を収めた前作での路線の延長線上にある本作ですが、バンドとしての勢いや気合いが漲っていた前作とは異なり、本作のオープニングトラック「Pretty Noose」からはもっとリラックスした印象を受けます。もちろん、それが決して悪いというわけではなく、バンドとしてのスケール感がより大きくなったと受け取れば、本作はかなり大人のロックアルバムとして楽しむことができるのではないでしょうか。

もちろん、「Rhinosaur」のように緊張感に満ち溢れたプレイが楽しめる楽曲も含まれていますし、「Never Named」や「Ty Cobb」「No Attention」「An Unkind」みたいにアップテンポの“攻め”の楽曲も多い。作品のテイストとしては前作よりも攻撃的と受け取ることができるのですが、全体を通して聴くともっと大らかなイメージが残る。そういう、すごく不思議なアルバムなんですよね。

1曲1曲をピックアップすると、よく作り込まれた楽曲ばかりで、「Zero Chance」や「Blow Up The Outside World」「Burden In My Hand」あたりのミディアムナンバーは再結成後にも通ずる世界観がある。「Dusty」みたいなダイナミックなハードロックも、前作までのスタイルとは若干異なるテイストが加えられている。それは良い意味で受け取れば、バンドとしての王道感を手にしたということなんでしょうけど、悪い見方をすれば守りに入ったとも受け取れるわけで……そのへんの難しさが、翌1997年の解散発表につながったのかもしれませんね。

実はこのアルバム、リリース当時はそこまで聴き込んだ記憶もなく、個人的には駄作扱いをしていた1枚なんです。でも、バンドが再結成して『KING ANIMAL』(2012年)というオリジナルアルバムを発表したあとに改めて聴き返すと、『KING ANIMAL』との共通点も至るところから感じられ、改めてバンドとして王道であることを選んだんだなということが認識できました。で、そういう目線で聴き返すと、そこまで悪いとは思えない。むしろ、こういったスタイルのハードロックバンドのアルバムとして、非常に優れた作品とすら思えてきたのですから……人の印象って不思議なものですね(苦笑)。

オルタナティヴロックバンドがメインストリームを引き受けようとして作り上げた、もうひとつの可能性……SOUNDGARDENは当時、PEARL JAMが『NO CODE』で取った手法とは違った形で新たなアメリカンロックを作り上げようとしたのかもしれません。だとしたら、解散せずに“その先”を見せてほしかった気もしますが、結局それが見つからなかったから「やりきった」として解散を選んだ。ということなのでしょう。



▼SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
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2017年10月 7日 (土)

CHRIS CORNELL『EUPHORIA MORNING』(1999)

1997年に突如解散を発表したSOUNDGARDEN。そのフロントマンであったクリス・コーネルが1999年に発表した初のソロアルバムが本作。2001年には元RAGE AGAINST THE MACHINE組と新バンド・AUDIOSLAVEを結成するため、続く2ndソロアルバムは同バンドの活動が止まった2007年になってしまい、そういう意味でも本作はあの時期のクリスの嗜好を知れる格好の題材でした。

SOUNDGARDENのメインソングライターであったクリスなわけですから、ソロアルバムとはいえバンド時代のテイストは少なからず感じられるはず。そう思ってリリース当時、初めて本作に接したのですが、結果は聴いてもらったとおり。ハードロックもグランジもここにはあらず、もっと穏やかな、言ってしまえばAOR的な香りすらする落ち着いた作風でした。

SOUNDGARDEN時代の盟友マット・キャメロン(Dr)が1曲のみドラムを担当していますが、基本的にはプロデュースを担当したナターシャ・シュナイダー&アラン・ヨハネス(後者は今年発表されたマット・キャメロンのソロアルバムにも参加)周りの人たちで構成。大半の楽曲はジョシュ・フリースがドラムを叩き、それ以外のベーシックトラックはクリス、ナターシャ、アランらが担当しているため、いわゆるバンド感は皆無。アコースティック主体で、よりパーソナルな印象を受ける内容に仕上げられています。

3年後に発表されるAUDIOSLAVEのデビューアルバムでは、そのクリスの声の衰えにショックを受けましたが、このアルバムの時点ではまだ“SOUNDGARDENのクリス・コーネル”そのもの。声を張り上げて歌うような楽曲はバンド時代ほど多くはありませんが、適度に力強く歌いながらも、基本は彼の魅力がもっとも伝わりやすい低・中音域をメインにしたナンバーが中心で、非常に聴いていて気持ちよいものばかり。そういった点では“いかにもソロアルバム”といった印象で、もっと言ってしまえばそれ以上でもそれ以下でもないという……悪い言い方をしてしまうと、印象に残りにくい作品かもしれません。

もちろん、じっくり聴き込めば1曲1曲の完成度の高さに驚かされるわけですが、パッと聴きではそこまでダイレクトに伝わるような即効性はないので、注意が必要かも。とはいえ、SOUNDGARDEN時代のアコースティックベースの楽曲が気に入っていた人なら、一発で気にいるはずです。

久しぶりに引っ張り出して聴いてみましたが、SOUNDGARDENの解散前ラストアルバム『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)からの流れで聴くと、実は意外と入っていきやすいのかも、という1枚です。

ちなみに本作、2015年に再リリースされた際にはタイトルを『EUPHORIA MOURNING』と綴りを変更。当初はこちらの綴りで発表したかったものの、『EUPHORIA MORNING』のほうが良いタイトルじゃないかということで、こちらに決定した経緯があるようです。



▼CHRIS CORNELL『EUPHORIA MORNING』
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2017年10月 2日 (月)

MATT CAMERON『CAVEDWELLER』(2017)

SOUNDGARDENPEARL JAMのドラマーとして知られるマット・キャメロンがキャリア初となるソロアルバムをリリースしました。

本作ではプロデューサーとしてのみならず、ソングライターやシンガー、ギタリスト、ベーシストなどとしてマルチな才能を発揮しておりますが、ドラムは叩いておらず、デヴィッド・ボウイのアルバム『★ (BLACKSTAR)』(2016年)でプレイしていたマーク・ジュリアナと、同じく『★』に参加したティム・ルフェーブル(B)がリズム隊を担当しているそうです(ティムは一部楽曲のみで、他はマットが演奏)。

どんな音になるのかと思いドキドキしながら再生してみると、序盤は意外と普通のロック……と言っては語弊があるかな。まぁあれです、マットの現在のメインバンドであるPEARL JAMからイメージできる、オーソドックスなロックとでも言えばいいんでしょうか。SOUNDGARDENほどハード&ヘヴィではなく、どこか内向的な空気が漂う落ち着いたアメリカンロック。うーん、うまく言語化できませんが、PEARL JAMが好きな人なら気にいるサウンドだと思います。

曲によってはアコースティックギターが前面に打ち出されていたり、かと思えばシンセを軸にした楽曲もある。ちょっとフュージョンぽいインスト曲「Into The Fire」、アバンギャルドなギターソロが登場する「One Special Lady」、もっともSOUNDGARDEN的と言えなくもないラストナンバー「Unneccesary」と個性的な楽曲もあるにはあるけど、あくまで中心となるのは歌。そのへんはPEARL JAMのイメージから外れないと思います。マットの歌声も悪くないし、変に声を張り上げることなく大人な雰囲気。どの曲も2〜3分台で、全9曲でトータル29分という非常に聴きやすいトータルランニングも良いと思います。

なお、「One Special Lady」後半に登場するギターソロをプレイしているのは、アラン・ヨハネスというチリ出身のマルチプレイヤー。調べてみるとこの人、クリス・コーネルのソロアルバム『EUPHORIA MORNING』(1999年)とか、元PEARL JAMのドラマー、ジャック・アイアンズのソロアルバム『ATTENTION DIMENSION』(2004年)とかにも参加している、シアトル界隈ともそれなりに縁がある人みたいですね。

アルバム後半が意外とニューウェイブの香りをさせるあたりに意外性はあるものの、最初にも書いたように全体的には“PEARL JAMのメンバーが作ったソロ作品”らしい内容で、極端に逸脱はしてないはず。プログレポップが好きな人は、特に「Into The Fire」「Real And Imagined」あたりは気にいるんじゃないでしょうか。僕はこの2曲と、先に挙げた「One Special Lady」の3曲が気に入っています。

ちなみに本作、CDでのリリースは今のところないみたいです。各配信サイトでのダウンドロード販売やストリーミング、そしてPEARL JAMオフィシャルショップで販売されているアナログ盤(一部、Amazonでも販売予定)で聴くことができます。



▼MATT CAMERON『CAVEDWELLER』
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2017年8月13日 (日)

V.A.『SINGLES: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』(1992/2017)

1992年秋に全米公開された映画『シングルス(SINGLES)』のサウンドトラックアルバム。日本では先にサントラがリリースされ、映画は翌1993年春に公開されました(単館ではなかったものの公開劇場数は少なく、どこも小規模劇場での公開だったと記憶しています)。

シアトルを舞台にしたラブストーリーなのですが、当時のシアトルといえばグランジブームまっただ中。主人公のひとりであるクリフ(マット・ディロン)がロックバンドをやっていることなどもあり、劇中にはALICE IN CHAINSやクリス・コーネル(SOUNDGARDEN)、エディ・ヴェダー(PEARL JAM)なども登場します。

サントラは映画公開に先駆けて1992年6月にUS発売(日本では9月発売)。内容は当時人気のグランジバンドやシアトル出身のレジェンドたちの楽曲で大半が占められ、全13曲中11曲が当時未発表曲でした。リードトラックとしてALICE IN CHAINSの新曲「Would?」(同年9月発売の2ndアルバム『DIRT』にも収録)が公開されるやいなや、大反響を呼んだのをよく覚えています。

ALICE IN CHAINS、PEARL JAM、SOUNDGARDEN、MUDHONEYSMASHING PUMPKINSといった当時ど真ん中のバンドから、SCREAMING TREES、MOTHER LOVE BONEというグランジ黎明期のバンド、THE REPLACEMENTSのポール・ウェスターバーグ、HEARTのアン&ナンシー姉妹の別ユニットTHE LOVEMONGERS、ジミ・ヘンドリクスといったレジェントたちまで。さらにはクリス・コーネルのソロ曲まで含まれているのですから、当時のグランジシーンを振り返る、あるいはシアトルのロックシーン(メタルは除く)に触れるという点においては非常に重要な役割を果たすコンピレーションアルバムだと思います。

そのサントラ盤が、発売から25年を経た2017年に、未発表テイクや劇中で使用されたもののサントラ未収録だった楽曲を集めた2枚組デラックスエディションで再発。ディスク1は当時のままで、ディスク2にその貴重な音源がたっぷり収められています。

ここには、マット・ディロンが劇中で所属していたバンド・CITIZEN DICKの楽曲「Touch Me, I'm Dick」(MUDHONEY「Touch Me, I'm Sick」のパロディカバー)や、のちにSOUNDGARDENの楽曲として発表される「Spoonman」のクリス・コーネルソロバージョン、ALICE IN CHAINやSOUNDGARDENのライブ音源、TRULYやBLOOD CIRCUSの楽曲、マイク・マクレディ(PEARL JAM)のソロ曲などを収録。おまけ感の強いものから本気で貴重なテイクまで盛りだくさんの内容で、ここまでを含めて映画『シングルス』をしっかり振り返れるのかな?と改めて思いました。

映画自体は観ても観なくても大丈夫ですが(笑)、1992年という時代の節目を追体験したいのなら、NIRVANAやPEARL JAMのオリジナルアルバムだけではなく、ぜひ本作も聴いていただきたいと、あの当時をリアルタムで通過したオッサンは強く思うわけです。サントラと思ってバカにしたら、きっと痛い目を見るよ?

ちなみに、本作のデラックスエディションが発売されたのが5月19日(海外)。クリス・コーネルが亡くなったのがその前々日の17日ということもあり、真の意味での“グランジの終焉”を実感させる1枚になってしまったことも付け加えておきます。



▼V.A.『SINGLES: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』
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2017年5月26日 (金)

SOUNDGARDEN『SUPERUNKNOWN』(1994)

SOUNDGARDENが1994年春にリリースした通算4枚目のオリジナルアルバム。前作『BADMOTORFINGER』(1991年)が高く評価され、セールス的にもアメリカで200万枚を突破。GUNS N' ROSESやSKID ROWといったHR/HM勢とツアーをしながらも、ちょうどNIRVANA、PEARL JAMを筆頭としたシアトル勢によるグランジ・ムーブメントに突入したタイミングの作品だったこともあり(彼らもまたシアトル出身)、オールドスクールファンと新世代のファンの両方を掴むことに成功したわけです。さらにニール・ヤングあたりともツアーを回ってたし、もはや敵なし状態に突入したタイミングで制作されたのが、この『SUPERUNKNOWN』という傑作だったわけです。

不況とは裏腹にCD全盛期といえる時期の作品とあって、本作は70分超えの大作。アナログ時代だったら間違いなく2枚組アルバムとして評価されたことでしょう。そういう作品とあってか、内容も非常にバラエティに富んだもので、前作以上に音楽性の懐の深さを見せております。

例えばこれまでだったら「BLACK SABBATHやLED ZEPPELINのハードロックサイドにパンクを掛け合わせた」楽曲が中心だったところに、今作では「LED ZEPPELINがやりそうな、サイケデリックなアコースティックナンバー」あたりにも手を出しており、ストレートなロックチューンからサイケデリックバラード、変拍子の効いたハードロック、陰鬱で(ジャンルとしての)ドローンっぽいヘヴィナンバー、アコースティックサウンドを前面に打ち出した民族音楽まで本当に幅広い。作品としての成り立ちは異なりますが、きっとここで彼らは「俺たちの『PHYSICAL GRAFFITI』(LED ZEPPELINが1975年に発表した2枚組アルバム)」を作っておきたかったのかなと。そう思わずにはいられません。

前作の時点でかなりキャッチーさが強まってきてはいましたが、今作では小難しいアレンジを取り入れつつもメロディはさらにキャッチーさが強まっている。1曲目「Let Me Drown」の時点で耳に残る強いメロディが飛び込んでくるし、しかも大半の楽曲が「印象的なフレーズをリピートすることで、聴き手の耳に強くこびりつかせる」ことに成功している。また、ほとんどの楽曲が4分前後(短いもので1分半、長くても7分欠ける程度。しかも1曲だけ)と聴きやすく、曲数が多い(US版は15曲、インターナショナル版は16曲)わりにするする聴けてしまうわけです。すでに前作『SUPERUNKNOWN』の時点でその予兆は見られたわけですが、今作でその手法はさらに極まったと言えるでしょう。

その結果、本作はSOUNDGARDENの作品中唯一の全米No.1を獲得。トータルで500万枚以上ものセールスを記録したのでした。また、本作からのシングル「Black Hole Sun」もスマッシュヒットを記録(全米エアプレイチャート24位)。ミュージックビデオも多数制作されました。

いわゆるグランジ・ムーブメントの中でももっとも正統派HRの色合いが強かったSOUNDGARDEN。NIRVANAはある種パンクだったし、PEARL JAMは最初から王道アメリカンロックだった。SMASHING PUMPKINSはニューウェーブの香りをただよわせ、ALICE IN CHAINSは生粋のハードロック小僧がいろいろ拗らせて小難しい方向に顔をツッコミ出した。ドラッグとかいろんな影響もあってか、どんどん厨二っぽさを拗らせて早死にした奴もいたけど、結局一度も解散せずに生き残ったのはPEARL JAMだけ。だって普通のロックバンドだったんだもん。

そんな中、SOUNDGARDENはアンダーグラウンドなサウンドから徐々に洗練されていき、たどり着いた場所が“現代版LED ZEPPELIN”みたいな変に仙人じみたポジション。80年代後半、多くのHR/HMバンドが欲していたそのポジションを別の形で手にしてしまったわけです。とことん不思議なバンドですよね。

結局彼らは、続く『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)ですべてやりきったとして、1997年4月に解散を発表。潔いんだか、不器用なんだか。



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2010年1月 4日 (月)

SOUNDGARDEN再結成に寄せて

あまり大きな話題になってないような気がするけど、クリス・コーネルのオフィシャルサイトなどでSOUNDGARDEN再結成が発表されました。バンドの新たなオフィシャルサイトも同時に立ち上がっています。

SOUNDGARDENが解散を表明したのは、1997年4月のこと。今回のクリスの声明文には「12年ぶり古巣に戻ってセッションしてる」とありますが、今のところクリス以外のメンバーについては名言されていません。昨年3月にはクリス抜き(キム・セイル、ベン・シェパード、マット・キャメロン)で一夜限りのセッションを行いましたが、果たして今回はその4人によるものなのか……いや、そうじゃないと困るんですけどね。

AUDIOSLAVEが頓挫してから、クリスはソロアルバムを2枚ほど作りましたが、個人的には「もっとロックしてほしいのに……」と思ったり。AUDIOSLAVEも決して悪くなかったんだけど、RAGE AGAINST THE MACHINEにもSOUNDGARDENにも届かなかったなぁというのが本音。もちろん、それらとは違った道を歩んでいたんだろうけど、比較されるのはしょうがないわけでして。

ぶっちゃけ、クリスの声はどうなのかとか、キムやベンは再び最前線に戻ってくるにふさわしいのかとか、マットはPEARL JAMどうすんのとか、いろいろ疑問や心配事はあるのですが、とにかくやるならやるで、徹底してほしい。単なる懐メロツアーはたくさんなので、思いっきり新曲をぶちかましてほしいと思います。

とりあえず、今は90年代に残された偉大な遺産を聴きまくって、待望の復活を心待ちにしております。

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2006年9月29日 (金)

AUDIOSLAVE『REVELATIONS』(2006)

 前作「OUT OF EXILE」から1年3ヶ月で届いちゃった、AUDIOSLAVEの3枚目「REVALATIONS」。バンドの状態がすこぶる良い状態だからこそ、この短期間で仕上げちゃったんだろうね。実際、前作に伴うツアーもそんなに長いことやらず、ちゃっちゃと切り上げてこの作品に向かっていったようだし。その充実ぶりが伺える、前作以上にバラエティ豊かな傑作に仕上がっていると思います。

 このバンドの良さは、RAGE AGAINST THE MACHINEが単に「歌える」シンガーを手に入れたというだけではなく、「歌えるシンガーを手に入れたから、オーソドックスなハードロックをプレイする」というところにあると思うんですが、今回はそこにファンキーさが強調され(例えば5曲目の "Original Fire" なんてまさにそれだよね)、ポップなナンバー(例えば "Until We Fall" 辺りの楽曲)も増えている。尖り具合は残念ながらアルバムを重ねる毎に弱くなってるんだけど、このバンドの場合はそれでいいんだろうね。正直まだライブを実際に観ていないんで、現在どういうステージを繰り広げているのかわからないけど(とっととライブDVD観ようよ俺)、なんだか2ndからこのアルバムを続けて聴いたらこれでいいような気がしてきた。

 クリス・コーネルは今や新007の主題歌を担当するようなアメリカを代表するシンガーにまで登り詰めてしまっているし、ギターのトム・モレロは政治的な活動は別ユニットでやっているし、いろんな意味で現在バランスが良くて、完全に攻めの状況にあるんだろうなぁ。それがしっかりアルバムで形にできているんだから、やっぱりすごいわ。

 楽曲に関しては個人的にはまったく問題なし。ただ、ギター……正直に書くと、いくら何でもリフが単調すぎるんじゃないかな?という気も。もうちょっと派手に弾きまくってもいいと思うんだけどなぁ。その辺はボーカルとのバランスを取ってのことなんだろうけど……宝の持ち腐れな気がする。1曲くらい手数の多いソロとかメチャメチャ決めまくりのリフ(簡単に真似できないようなやつね)があってもいいよね。そこだけが勿体ないかな。ところどころに過去のモレロ節を感じさせるプレイは挿入されているし、グルーヴィーなリフプレイは相変わらずなんだけどさ。

 ま、最後に今後への課題を書いてみたけど(って偉そうなw)、それは俺がこのバンドを本当に好きで「ずっとこのまま続いてほしい」と思っているからこその苦言なんだけどね。だって、誰もがこのバンド、アルバム1枚で終わると思ってたんじゃないの??



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