2004/03/04

SOUTH『WITH THE TIDES』(2003)

どうしてもSOUTHというと、「MO'WAX」に所属するギターロック・バンド、親分がジェームズ・ラヴェル(U.N.K.L.E.)、という事柄が最初に挙げられることが多かったんだけど、まぁあのダンス系レーベルに所属した数少ないギターロック・バンドってことで、確かに注目されてもおかしくないわけで。けど、それが時として足枷になることだってあるんですよ。

ロンドンを拠点に活動するこのバンドの、約2年振りのセカンドアルバム「WITH THE TIDES」はそんな「MO'WAX」を離れ、新たにBMG傘下の「Kinetic」からのリリース。当然プロデュースにジェームズ・ラヴェルは絡んでません。当たり前か。

ここで繰り広げられている音楽は、以前実践されていた「テクノロジーとギターロックの融合」とはある意味真逆の、人肌の温度に近い「生身のロック」。プロデューサーにMANIC STREET PREACHERSやASHを手掛けたデイヴ・エリンガを迎え、トリオの演奏を軸にしながらもストリングスやバンジョー、ハープシコードといった楽器を導入、中心にある「歌」を劇的に盛り上げるのに一役買っています。

多分、誰もが「これがあのSOUTH!?」と驚くのではないでしょうか? ここまでメランコリックに、且つソウルフルに「歌」を聴かせるバンドに変わっているとは。ゆったりとした空気を保ったまま、サウンドに身を委ねてゆらゆらしていると、最終曲に到達している‥‥そんなアルバム。当然ダンサブルな要素は皆無。そういったものを彼らに求めていた人にとっては、この変化は裏切り以外の何者でもないでしょう。が、個人的には前作に全く思い入れとかなかったから、すんなり受け入れることができました。ま、確かに「これ、ホントに同じバンド!?」と耳を疑ったりはしましたが。

所々、前作で養った要素‥‥効果音やサウンドエフェクト面ですが‥‥を感じつつも、それはほんの飾り。RADIOHEAD辺りがそういう要素を前面に出すのと違い、ここでは必要最低限に抑えられてる印象。無理矢理こじつければ、U2が「ALL THAT YOU CAN LEFT BEHIND」で実践したことを、更にエモーショナルにした感じ‥‥ってのはどうでしょう? ちょっと強引かな?

今現在、こういったサウンドを鳴らすバンドはイギリスにごまんといるでしょう。'90年代中盤以降、大ヒットを連発していた頃のマニックス、ある時期のRADIOHEADもここに入るだろうし、最近じゃTRAVISみたいなバンドだっている。そういう意味で、まだSOUTHは「その他大勢」なのかもしれません。確固たる個性みたいなものはちょっと希薄かな?と感じる瞬間もあるし。けど、良い作品なのには違いない。ここまで「聴いていて落ち着ける」ギターロックアルバム、最近あんまり聴いてなかったので、とても新鮮でした。

これらの楽曲をライヴではどう表現するのか‥‥3人で全部やるのか、それともサポートを入れるのか、あるいは全く違うアレンジにするのか‥‥そう考えると、今度の「MAGIC ROCK OUT」はある意味見物なのかもしれませんね。

上にも書いたように、RADIOHEADの「THE BENDS」やマニックス「EVERYTHING MUST GO」辺りが好きだというUKロックファンなら間違いなく気に入る1枚。俺は大好きですよ。



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投稿: 2004 03 04 04:39 午後 [2003年の作品, South] | 固定リンク