SR-71『NOW YOU SEE INSIDE』(2000)
2000年6月にリリースされたSR-71の1stアルバム。日本盤は同年10月に発売。
SR-17はアメリカ・メリーランド州バルティモア出身の4人組バンド。ミッチ・アラン(Vo, G)を中心に1998年に結成され、2005年の解散までに3枚のアルバムを残しています。
プロデュースを手がけたのはギル・ノートン(PIXIES、FOO FIGHTERS、FEEDERなど)。彼はHONEYCRACKやTERRORVISIONのようなバンドも手がけていますし、それを思えば適任かな。また、「Right Now」のみデヴィッド・ベンデス(BRING ME THE HORIZON、BEARTOOTH、Crossfaithなど)、「Empty Spaces」のみジョン・シャンクス(BON JOVI、GOO GOO DOLLS、WESTLIFEなど)がプロデュースを担当。メジャー(RCA Records)なりにお金も期待もかけて制作していたことがわかります。
また、本作は海外盤と日本盤(初出時)とではジャケットが異なります。海外盤は黒地に黄色いバンドロゴ、おもちゃのロボットをあしらったモノクロのアートワークですが、日本盤はメンバー4人をフィーチャーした明るめのデザインで、どこかBACKSTREET BOYSなどの男性アイドルを彷彿とさせるものがあります。そういう打ち出し方をしたかったんだろうな、そっち側の層も掴みたかったんだろうなというのが伺えますね。
とはいえ、サウンドそのものはオルタナティヴロック経由のポップパンク。シンプルなギターリフとキャッチーな歌メロ&シンガロングという、この頃には日本でも定着していたメロコア層にもアピールする楽曲は、確かに日本の洋邦ロックリスナーには十分にアピールするものがあります。曲によってはパワーポップと言えなくもないですが、どちらかといえばハードロック寄りと言えるかもしれません。なので、当時は僕のようなHR/HM側の人間も普通に楽しんでおりました(まあHi-STANDARDやGREEN DAYに対して耐性のあるリスナーなら問題ないと思いますが)。
このアルバムからは「Right Now」(全米102位)というヒットが生まれており、この曲は日本でもタイアップが付いたりしたので覚えているという人もいるのでは。この曲のみ、メンバーのミッチとかのブッチ・ウォーカーとの共作。楽曲の大半はミッチが中心となり制作されていますが、クレジットでは他の3人の名前も見つけることができ、それぞれ単独で書いた楽曲も1曲ずつ用意されています。個人的には先の「Right Now」以上に、アルバム後半に用意された「Alive」や「Go Away」「Paul McCartney」といったじっくり聴かせるナンバーや、「Fame (What She's Wanting)」のような豪快なパワーポップチューンがお気に入りです。
今聴くと、以降のJ-ROCKに与えた影響も見つけられます。それくらいしっかり作り込まれた良質の作品であり、あまり時代の経過を感じさせない内容だと思いました。そこまで派手ではないけどギターソロもしっかりフィーチャーされているし、ハードロック寄りリスナーも存分に楽しめる1枚だと断言できます。
▼SR-71『NOW YOU SEE INSIDE』
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