STATIC-X『PROJECT REGENERATION VOL.1』(2020)
2020年7月にリリースされたSTATIC-Xの7thアルバム。
前作『CULT OF STATIC』(2009年)から約11年ぶりの新作となりますが、バンドはその間に一度解散し、ウェイン・スタティック(Vo, G)を中心に再結成するものの2013年に再解散。ウェインはソロ名義で活動を続けようとするものの、2014年に急逝。しかし、2018年頃からケン・ジェイ(Dr)、トニー・カンポス(B)、コーイチ・フクダ(G, Prog)のオリジナルメンバーが集結し、ウェインが残した未発表音源を再録音する「Project Regeneration」と称したプロジェクトが立ち上がります。と同時に、Xer0(ゼロ)と称する覆面シンガーをフロントに据えてライブ活動も再開しました。
「Project Regeneration」での音源には、Xer0のボーカルテイクのほか、デヴィッド・ドレイマン(DISTURBED)やアイヴァン・ムーディ(FIVE FINGER DEATH PUNCH)、アル・ジュールゲンセン(MINISTRY)、エドセル・ドープ(DOPE)、デズ・ファファーラ(DEVILDRIVER、COAL CHAMBER)、バートン・C.ベル(FEAR FACTORY)らがゲスト参加した音源が収録される噂がありましたが、いざ完成したアルバムはウェインとXer0のボーカルが半々といったところ(ウェインのみが4曲、Xer0のみが4曲、2人歌唱が3曲)。ゲストボーカルは「Dead Souls」でのアル・ジュールゲンセンのみとなっています(ちなみにXer0の正体は先のエドセル・ドープだという噂がありますが、こちらは本人が否定しているそうです。だけど、彼だと思うんだよなあ。笑)。
楽曲の大半は2003〜4年頃(3rdアルバム『SHADOW ZONE』から4thアルバム『START A WAR』の時期)と2013〜14年頃(ウェインのソロ名義)に書かれたもので、ソングライターのクレジットをみるとコーイチ・フクダの後任として加入したトリップ・アイゼンの名前も見つけられます。リードトラック「Hollow」は『START A WAR』制作時のアウトテイクとのことですが、元のデモからかけ離れたサウンド、アレンジになっているとのこと。同曲のクレジットにトリップ・アイゼンとコーイチ・フクダの名前が並ぶのはそういう意味なんですね。
さて、気になるサウンド/楽曲ですが、STATIC-Xのことを知っている人がイメージするものそのまんまで、良くも悪くも時代を感じさせる音と言えるかもしれません。が、それが不思議と心地よく響くんですよね。オープニングを飾る「Regeneration」には過去の楽曲をサンプリングしたテクストが多数含まれており、これだけで初期のファンはアガるわけですが、続く「Hollow」以降の流れに「これこれ!」と満足するはずです。
ぶっちゃけ、これ本当にアウトテイク?と思えるほどクオリティは高く、さすがボーカルトラックのみ残してバックトラックおよびアレンジはすべて今の音で置き換えているだけあります。Xer0のボーカルもそこまで違和感なく楽しめますし、ラストのアル・ジュールゲンセンとのトリプルボーカル曲含め“あの”STATIC-Xの新作として楽しむことができます。
STATIC-Xを知らないリスナーにはこのアルバムがどう響くのか少々気になりますが、2000年代前半のニューメタル真っ只中な時期に青春を過ごしたリスナーには懐かしくも新しく響く1枚ではないでしょうか。なお、このプロジェクトは第2弾も予定されているようなので、もしかしたら上記のゲストボーカル曲はこちらに収録されるのかもしれませんね。なんにせよ、続報を楽しみに待つことにしましょう。
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