2018年4月 4日 (水)

STEELHEART『STEELHEART』(1990)

海外で1990年5月、日本では同年4月に先行リリースされたSTEELHEARTのデビューアルバム。本国アメリカでは「I'll Never Let You Go」(全米23位)のスマッシュヒットによって、アルバム自体はリリースから1年がかりで最高40位まで上昇しましたが、ここ日本では「She's Gone」(全米59位)がラジオで大プッシュされたこともあり、発売直後に大ヒット。同年に実施された初来日公演も大好評だったことをよく覚えています。

今でもここ日本では、STEELHEART=「She's Gone」のイメージで語られる機会の多いバンドですが、アルバムを聴くと「She's Gone」タイプの楽曲はこれ1曲のみで、全体的にはカラッとしたアメリカンHR/HMだという事実に気づかされるはずです。

もちろん、だからといって「She's Gone」以外の楽曲のクオリティが低いかと言われるとまったくそんなことはなく、むしろあの時代ならではの空気感をまとった良質のデビュー作だと断言できます。

オープニングの「Love Ain't Easy」からパワフルで聴き応えがあるし、何よりも全米ヒットした「I'll Never Let You Go」の素晴らしさときたら……「She's Gone」よりも「I'll Never Let You Go」を好むアメリカ人の国民性、そして演歌的で圧倒的歌唱力で歌い上げる泣きのバラードを好む日本人の国民性、その両方を兼ね備えている。両国で高く評価されたのは、こういった理由が大きかったんでしょうね。

とはいえ、「She's Gone」的な楽曲は2ndアルバム『TANGLED IN REINS』(1992年)以降は登場せず。同系統の楽曲を求めるリスナーにとっては、その後の活動はどう響いたのでしょうか……。

さて、本題に戻りましょう。とにかくこのバンドはフロントマンにしてリーダーのマイク・マティアヴィッチ(現ミレンコ・マティアヴィッチ)の圧倒的な歌唱力によるところが大きく。先のバラード2曲はもちろんのこと、カラッとしたアメリカンロック「Everybody Loves Eileen」、WHITESNAKE的なブルーズロック「Sheila」、アップテンポで攻撃的な正統派メタル「Rock'n Roll (I Just Wanna)」など高音域のみならず低音〜中音域を効果的に用いてさまざまなタイプの楽曲を見事に歌い切る、その実力とセンスがこの良作をより素晴らしいものへとレベルアップさせています。

実は作品単位でいうと、続く『TANGLED IN REINS』のほうがよりアメリカンハードロック的で好みなんですが、インパクトという点では間違いなく本作が数段上。残念ながらSpotifyやAppleMusicでは配信されていませんが、昨年9年ぶりの新作を発表したり27年ぶりの来日が実現したりと現役感をアピールしたばかりなので、ぜひメジャー時代の1stアルバム、2ndアルバムのデジタルリリースにも期待したいところです。



▼STEELHEART『STEELHEART』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2018 04 04 12:00 午前 [1990年の作品, Steelheart] | 固定リンク