2018年11月29日 (木)

STEPHEN PEARCY『VIEW TO A THRILL』(2018)

RATTのフロントマン、スティーヴン・パーシーの通算5作目となるソロアルバム。前作『SMASH』(2017年)から約1年半と、最近としては短いスパンで発表されました。

レコーディングに参加したのは、2005年からスティーヴンのソロ活動における片腕的存在のエリック・フェレンションズ(G)、初期RATTやROUGH CUTTのメンバーだったマット・ソーン(B)、元BRIDES OF DESTRUCTIONのメンバーでスティーヴンのソロバンドにも在籍経験を持つスコット・クーガン(Dr)という気心知れたメンバー。プロデュース自体もスティーヴン、マット、エリックの3名で手がけ、ミックスをマットが担当。ソングライティングはスティーヴンとエリックの2人で進められたとのことです。

基本的には前作までと同じく、RATTで展開される世界観をそのままソロに持ち込んだ、ミディアムテンポ中心のハードロック=ラットン・ロールが繰り広げられています。オープニングの「U Only Live Twice」は正直RATTでそのままやってもカッコよかったんじゃないか、ソロには勿体ないんじゃないかと思うくらいの1曲。掴みは完璧です。

が、そこから数曲はちょっとインパクトが弱いかなという印象。特に2曲目の「Sky Falling」はスティーヴンの悪い面……淡白で一本調子なところが前面に出てしまい、まったく印象に残らないという。5曲目「Double Shot」までアップテンポの楽曲がないというのも、アルバム全体のテンポの悪さにつながっているようにも思えました。

あと、曲の頭に思わせぶりなSEを付けるのも、アルバムのテンポに悪影響を及ぼしているような。これ、そのまま曲間縮めて構成していたら、もっとカッコよかったのになと思うのは、僕だけでしょうか。

「Not Killin' Me」や「I'm A Ratt」みたいに良曲もあるのですが、全体的にミドルテンポで似通った曲が多い。前作のほうがもうちょっとインパクトが強かった記憶があるんだけどなあ。ここまで薄い内容のアルバムを矢継ぎ早に作るのならば、もっと1曲1曲に手間暇かけたり練り込んだりしてほしかったかな。これはもうスティーヴン云々より、その周りにいるスタッフが悪いんじゃないかという気がしてきた。誰かが「No!」って言わないと、この先どんどんインパクトの薄いアルバムが増産されていくんじゃないか……そんな予感がします。

RATTのほうもウォーレン・デ・マルティーニ(G)抜きで再始動したようですが、こちらはフォアン・クルーシェがいるぶんまだマシなのかな……なんにせよ、新しいソロアルバムよりも本家の新作を先に期待したいところです。



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投稿: 2018 11 29 12:00 午前 [2018年の作品, Stephen Pearcy] | 固定リンク

2017年3月22日 (水)

STEPHEN PEARCY『SMASH』(2017)

5月13、14日に幕張メッセイベントホールで開催が決まった、L.A.メタル界隈のレジェンドたちが一堂に会する屋内フェス『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』。こちらの2日目ヘッドライナーとして出演するのがスティーヴン・パーシー、ウォーレン・デ・マルティーニ、フォアン・クルーシェ、カルロス・カヴァーゾによるRATT。もはやボビー・ブロッツァーのRATTはどこへやら(日本では確実に受け入れられないだろうけどね)。

そんな、あれこれ慌ただしくなり始めたRATT界隈から年始にスティーヴン・パーシーの4thソロアルバム『SMASH』がリリースされました。ソロとしては2008年の『UNDER MY SKIN』以来約9年ぶり、直近のリリースとなると2010年のRATT『INFESTATION』以来約7年ぶり。その間にスティーヴンも59歳になってしまいました……。

さて、アルバムはダークなスローナンバー「I Know I'm Crazy」からスタート。「全然声が出てないじゃん……」な低音ボイスに若干不安になりますが、2曲目「Ten Miles Wide」以降は我々がよく知る“Voice of RATT”を堪能することができます。安心した。

楽曲自体もメロディ、テンポ感含めRATTの延長線上にあるナンバーばかりで、往年の彼を知るHR/HMファンなら間違いなく楽しめる1枚だと思います。また「Shut Down Baby」「What Do Ya Think」「Summers End」みたいなLED ZEPPELIN風ヘヴィブルースも含まれており、同系統の楽曲が多い本作中で程よいアクセントとなっています。

そう、もともとRATTって決して楽曲の幅が広いタイプのバンドではなかったし、スティーヴン自体も幅広く何でも歌えるタイプのシンガーではないので、この金太郎飴的アルバムは聴く人によっては退屈と感じてしまう可能性もゼロではありません。RATTの全盛期を知らない若い子たちがこれを聴いてどう感じるのか、非常に気になるところです。

ちなみにレコーディングに参加しているのは、2005年からスティーヴンのソロバンドでの片腕的存在Erik Ferentions(G)、初期RATTやROUGH CUTTのメンバーだったMatt Thorn(B)、WHITE LIONやザック・ワイルドのPRIDE & GLORYにも在籍した経験を持つGreg D'Angelo(Dr)。ギタープレイからはRATTほどの強い個性は感じませんし、耳に残るフレーズも少ないのですが、楽曲のメロディ自体はクセになるものが多いのも事実。そういう意味では“Voice of RATT”の個性を存分に生かした、“Voice of RATT”のためだけに作られたアルバムと言えるでしょう。スティーヴンの歌を最良の形で楽しむ作品集。個のぶつかり合いを楽しむRATTとは異なる作風ではあるものの、これもまた“もうひとつのRATT”と言えるかもしれませんね。



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投稿: 2017 03 22 12:00 午前 [2017年の作品, Ratt, Stephen Pearcy] | 固定リンク