2018年8月18日 (土)

STEVE PERRY『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』(1994)

1994年7月にリリースされた、元JOURNEYのフロントマンであるスティーヴ・ペリーの2ndソロアルバム。ソロ作品としては前作『STREET TALK』(1984年)からおよそ10年ぶり、スティーヴが参加したスタジオアルバムとしてもJOURNEYの『RAISED ON RADIO』(1986年)以来8年ぶりと、ファンにとってはまさに待望の新作でした。

事実、当時JOURNEYに大した思い入れのなかった僕ですら、「おお、久しぶりに!」と真っ先に飛びついたくらいですから。

ニール・ショーン(G)やジョナサン・ケイン(Key)といったJOURNEY組は1989年にBAD ENGLISHとして再デビューしてブレイクを果たしましたが、スティーヴは自身が先にバンドから離れたにも関わらず、このアルバムまでかなりの時間を要しています。

プロデュースに当たったのはスティーヴ本人と、ジェイムズ・ジンボ・バートン(QUEENSRYCHE、TRIXTER、LITTLE ANGELSなど)、ゴスペル/R&B系シンガーソングライターのティム・マイナーの3人。作品自体、このメンツからも想像できるような高品質の産業ハードロックとR&Bテイストの歌モノロックが入り混じった、我々が想像する“JOURNEYのスティーヴ・ペリー”らしい1枚に仕上がっています。

1曲目の「You Better Wait」のオープニングに感じられる讃美歌調のアレンジ、そこから流れるように突入するメロディアスハードロックサウンドに、当時は歓喜したものです。だって、1994年といえばカート・コバーン(NIRVANA)の急逝はあったものの、シーンはまだまだグランジまっただ中、かつヘヴィでラウドな音楽がもてはやされる時期でしたから。

ミディアムテンポでAOR寄りのハードロック/ハードポップと、じっくり聴かせるミディアム/スローバラードの数々。新しい要素はこれといって見受けられませんが、終始安心して聴ける1枚。各楽曲、非常に手の込んだ完成度の高いものです。『ESCAPE』(1981年)から『RAISED ON RADIO』までのJOURNEYらしさも至るところから感じられますし、ファンなら間違いなく気に入る作品集ではないでしょうか。特に後半の盛り上げで重要な役割を果たす壮大なバラード「Missing You」と、ラストの大人びたスローナンバー「Anyway」は涙なしには聴けない1曲なはずです。

ですが、スティーヴの歌声……最初に聴いたときは、その“枯れ”っぷりに驚きを隠せなかったことも、記しておかねばなりません。最近公開された24年ぶりの新曲「No Erasin'」を聴いて、さらなるその“枯れ”っぷりに時の流れを感じたものですが(とはいえ、すでにスティーヴも69歳。そりゃあ衰えますよ)、それを最初に感じたのはこのアルバムだったな、と久しぶりに本作を聴いて思い出しました。

上記のような時代背景や、8年ぶりの音源などといった不安要素があったものの、本作は全米15位、50万枚を超えるヒットとなりました。また、「You Better Wait」(全米29位)、「Missing You」(同74位)というシングルヒットも生まれています。このアルバムを携え、ソロとしての来日公演も予定されていましたが、二度目のJOURNEY脱退理由にもなった退行性骨関節疾患のために実現せず。その後、JOURNEY再結成などいろいろありながらも、ソロとしては3作目となる『TRACES』(2018年)が完成するまでには、さらに24年もの歳月を要するのでした。



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投稿: 2018 08 18 12:00 午前 [1994年の作品, Journey, Steve Perry] | 固定リンク