THE STONE ROSES『THE STONE ROSES』(1989)
1989年5月にリリースされたTHE STONE ROSESの1stアルバム。
国内盤初出時は『石と薔薇』の邦題だった記憶のある本作。本国ではこのアルバムより前に「Elephant Stone」(本作未収録)や「Made Of Stone」(全英90位)などのリリースが続き、アルバムからのリカットシングル「She Bangs The Drum」(同34位)や、アルバム未収録の新曲「Fools Gold」(同8位)や「One Love」(同4位)が立て続けにヒットしたことを受け、再発された「Elephant Stone」(同8位)、「Made Of Stone」(同20位)、「I Wanna Be Adored」(同20位)、新たに「Waterfall」(同27位)、「I Am The Resurrection」(同33位)がシングルカット。アルバム発売から2〜3年以上にわたり本作からの楽曲が何度も焼き増しされたこともあり、アルバム自体も全英5位/全米86位という数字を残しています。
このバンドもPIXIESのときに登場したアメリカからの友人が先にハマり、周りの“耳が早い”音楽ファンが続いてハマり、そこに巻き込まれる形で知ることになりました。カッコいいじゃないですか、STONEにROSESって完全に某“転がる石”と某“銃と薔薇”をくっつけたようなイカした名前だし。どれだけ不良なんだよ!と喜んでダビングしてもらったカセット(笑)を再生したら……
え……このボーカル……これ、本気!?……本気出して歌ってる……!?
全然ハードロックじゃなかったし、なんなら不良の音でもない。過剰な期待をした自分が悪かったわけですけどね。
それでも頑張って最後まで聴きましたよ。オープニングの「I Wanna Be Adored」のバンドアンサンブルとジョン・スクワイア(G)のギタープレイには心を奪われましたし、続く「She Bangs The Drum」冒頭のマニ(B)のベースラインもカッコいい。「Waterfall」のサイケなポップ感も理解できるし、「Made Of Stone」や「I Am The Resurrection」のアレンジにはハードロック的な側面が感じられる。なんなら「I Am The Resurrection」は曲後半のインストパートこそ、このアルバムにおけるピークなんじゃないかと思えたほど。うん、“演奏は”最高にいいじゃないですか。
でもね、まだガキだった自分にはイアン・ブラウン(Vo)の超個性的なボーカルスタイルは受け入れられませんでした。リリース年に行われた初来日公演にも連れていかれましたが、パンパンのクラブチッタで聴くイアンの歌声は音源とは比べものにならないほどにフリースタイルすぎて、自分の理解の範疇を超えていたのです。結果、ライブ後半からフロアの外に出てしまった高校3年の自分(ファンの皆さんゴメンなさい。でもこれ事実なんです)。
本作リリースから5年後、契約のいざこざがありようやく完成した2ndアルバム『SECOND COMING』(1994年)の頃には、さすがに何度も聴き返していたこともあり、このボーカルに対する耐性も付き、さらにハードロック化したそのサウンドとともに素直に受け入れていた記憶はあります。が、そのポジティブさも、二度目の来日公演@日本武道館ですべて打ち砕かれることになるのですが(苦笑)。
ライブに関してはまったくいい思い出のないバンドではありますが、現在までに残された2枚のオリジナルアルバムは何だかんだいってお気に入りです。最初の腰砕けな思い出込みでね(笑)。
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