2019年3月13日 (水)

PRIMAL SCREAM『VANISHING POINT』(1997)

1997年のデジタルものが続いたので、もう1枚だけお付き合いください。こちらはPRIMAL SCREAMが1997年7月(日本では6月)にリリースした通算5枚目のスタジオアルバム。『GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP』(1994年)から3年ぶりの新作で、前作同様全英2位という好記録を残しています。

本作の制作期間に(当時)元THE STONE ROSESのマニ(B)が正式加入。レコーディングは「Kowalski」「Motorhead」の2曲のみでしたが、以降のライブには全面参加し、ローゼズ再結成までの15年近くにわたり在籍することになります。

前作での60年代末〜70年代前半のストーンズ/アメリカ南部サウンド路線から一転し、本作ではサンプリングを多用したダブからの影響が強いサウンドがベースになっており、それもあってかボビー・ギレスピー(Vo)が参加しないインストゥルメンタル曲(あるいはそれに準ずる楽曲)が複数含まれているのが特徴。「Get Duffy」や8分もの長尺曲「Trainspotting」(同名映画のサウンドトラックに提供したもの)や、ほぼつぶやきに近いボーカルを含む「Kowalski」「Stuka」がそれにあたります。

また、ボーカル入りの楽曲にしてもインストパートが大半を占める楽曲が多く、このあたりは代表作『SCREAMADELICA』(1992年)とはまた異なる“らしさ”が強調され、新たな独自性が開花するきっかけとなりました。

かと思えば、前作の延長線上にあるバンドサウンド構成のロックンロール「Medication」があったり、ダビーで牧歌的なバラード「Star」があったり、かのMOTÖRHEADのデジタルカバー「Motorhead」があったりと、相変わらずの無軌道さも示されており、そのアンバランスそうでしっかりバランスが取れた作風もさすがの一言。オープニングを飾る「Burning Wheel」にしろ60年代後期のストーンズを思わせるメロ&テイストですし、なんだかんだでこの色合いを捨てていないところにも好感が持てます。

とはいえ、ここ日本では前作『GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP』で一般的認知度を獲得し、「Rocks」や「Jailbird」のようなわかりやすい曲が評価されたあとだけに、このアルバムの作風は難解に映ったのもまた事実。雑誌やツウの間では高評価を獲得したものの、前作で寄って集まった“一見さん”は少しずつ離れていったのでした(まあ、それでよかったんですけどね)。

ここでの経験がさらに追求されたのが、続く“もうひとつの代表作”『XTRMNTR』(2000年)。本作から次々作『EVIL HEAT』(2002年)までの3作はある種の連作的な色合いもあるので、ぜひあわせて聴いてほしいところです。また、本作にはよりダブ色を強めたリミックスアルバム『ECHO DEK』(1997年)も用意されているので、そっち側の素養がある方はぜひこちらにもトライしてみてください。



▼PRIMAL SCREAM『VANISHING POINT』
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投稿: 2019 03 13 12:00 午前 [1997年の作品, Primal Scream, Stone Roses, the] | 固定リンク