カテゴリー「Stone Sour」の17件の記事

2023年1月 9日 (月)

2002年4月〜2003年3月発売の洋楽アルバム20選

2015年から毎年この時期に用意してきたこの成人企画。ちょうど昨年から成人年齢が18歳へと引き下げされ、現在は成人式の概念も崩れつつあります。が、この企画はこの企画として毎年やっていってはどうかと思い直し、タイトルから「祝ご成人」の文字を外し、20年前を振り返る企画として残すことにしました。

通常なら1月はじまりでカウントするところを、これまで同様4月はじまりの翌年3月終わりという年度縛りで進めるのは、ちょっと日本的なのかな。とはいえ、今さらこのフォーマットを崩すのも何かなと思い、このまま続けさせていただきます。

この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2002年4月〜2003年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップする……というのが本来の趣旨。20年って結構節目にもなると思うので、改めて「ああ、自分が生まれた頃はこういうアルバムがヒットしていたのか」とか「これってもう20年前の作品なのか」とか、いろいろ浸っていただいたり驚いていただけるとうれしいです。

 

では、サブスクを通して20年前の名盤20枚をお楽しみください。

 

AVRIL LAVIGNE『LET GO』(2002年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

BECK『SEA CHANGE』(2002年9月発売)(Spotify

 

COLDPLAY『A RUSH OF BLOOD TO THE HEAD』(2002年8月発売)(Spotify

 

EMINEM『8 MILES: MUSIC FROM AND INSPIRED BY THE MOTION PICTURE』(海外:2002年10月発売、日本:2003年4月発売)(Spotify

 

EVANESCENCE『FALLEN』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

FOO FIGHTERS『ONE BY ONE』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

JURASSIC 5『POWER IN NUMBERS』(2002年10月発売)(Spotify

 

KILLSWITCH ENGAGE『ALIVE OR JUST BREATHING』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE LIBERTINES『UP THE BRACKET』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『METEORA』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

MAROON 5『SONGS ABOUT JANE』(2002年6月発売)(Spotify

 

MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』(2003年2月発売)(Spotify)(レビュー

 

MOBY『18』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE MUSIC『THE MUSIC』(2002年9月発売)(Spotify

 

RED HOT CHILI PEPPERS『BY THE WAY』(2002年7月発売)(Spotify)(レビュー

 

SIGUR ROS『( )』(2002年10月発売)(Spotify

 

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002年8月発売)(Spotify)(レビュー

 

SUM 41『DOES THIS LOOK INFECTED?』(2002年11月発売)(Spotify

 

t.A.T.u.『200 KM/H IN THE WRONG LANE』(海外:2002年12月発売、日本:2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

UNDERWORLD『A HUNDRED DAYS OFF』(2002年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

このほかにも、以下の作品を候補に挙げていました。

ASIAN DUB FOUNDATION『ENEMY OF THE ENEMY』
BEN HARPER『DIAMONDS ON THE INSIDE』
BON JOVI『BOUNCE』(レビュー
BRUCE SPRINGSTEEN『THE RISING』
DAVID BOWIE『HEATHEN』(レビュー
DISTURBED『BELIEVE』(レビュー
EMINEM『THE EMINEM SHOW』
FEEDER『COMFORT IN SOUND』(レビュー
HANOI ROCKS『TWELVE SHOTS ON THE ROCKS』(レビュー
THE HELLACOPTERS『BY THE GRACE OF GOD』(レビュー
IN FLAMES『REROUTE TO REMAIN』
KING CRIMSON『THE POWER TO BELIEVE』
KORN『UNTOUCHABLES』(レビュー
MESHUGGAH『NOTHING』
OASIS『HEATHEN CHEMISTRY』(レビュー
OK GO『OK GO』
OPETH『DELIVERANCE』
PET SHOP BOYS『RELEASE』
PETER GABRIEL『UP』
PRIMAL SCREAM『EVIL HEAT』(レビュー
QUEENS OF THE STONE AGE『SONGS FOR THE DEAF』
ROYKSOPP『MELODY A.M.』
RUSH『VAPOR TRAILS』(レビュー
SPARTA『WIRETAP SCARS』(レビュー
THE USED『THE USED』(レビュー
THE VINES『HIGHLY EVOLVED』

 

2022年8月 6日 (土)

DUB WAR『WESTGATE UNDER FIRE』(2022)

2022年8月5日にリリースされたDUB WARの3rdアルバム。日本盤未発売。

1999年に一度解散し、2014年にドラマーを除くオリジナルメンバー3名で復活。フロントマンのベンジー・ウェッブ(Vo)がSKINDREDと並行して活動を続けていることもあり、以前ほど精力的な活動は期待していませんでしたが、まさかオリジナルアルバムが届けられる日が来るとは……驚きです。

オリジナルアルバムとしては前作『WRONG SIDE OF BEAUTIFUL』(1996年)から約26年ぶりの新作。2016年にリリースされた新曲「Fun Done」「Making A Monster」(後者は「Mary Sheley」に改名)、今年発表されたリード曲「Blackkk Man」を含む全13曲で構成されており、うち2曲「War Inna Babylon」「Stay Together」はカバー(前者はMAX ROMEO AND THE UPSETTERS、後者はアル・グリーン)となっています。

また、久しぶりの新作ということもあり、各曲に多彩なゲストが参加しており、「War Inna Babylon」には元THE BEATのランキング・ロジャー(Vo/2019年3月に逝去)、「Art Of War」にはスパイク・T.スミス(Dr/MEMORIAM)、「Reveal It」にはロイ・マイヨルガ(Dr/STONE SOURHELLYEAHMINISTRY)、「Bite Back」にはデイヴ・チャヴァッリ(Dr/ILL NINO、TERROR UNIVERSAL)、「Crying Clowns」にはジェイミー・ミラー(Dr/BAD RELIGION)&マイキー・ドリング(G/SNOT)、「Get Back Up」にはマイク・ボーディン(Dr/FAITH NO MORE)、「Celtic Cross」にはタナー・ウェイン(Dr/IN FLAMES)がそれぞれ客演。再結成時に初参加となったマイキー・グレゴリー(Dr)は13曲中約半数の7曲のみに参加で、本作ではゲストミュージシャン扱いなので現在はバンドから離れているようです。

彼ららしいラガメタルの要素は随所に散りばめられていますが、本作はそれ以上にハードコアパンクとメタルの色を強めたミクスチャーロック然としたスタイルが印象に残ります。過去の彼らのイメージはしっかり残されているものの、SKINDREDなどでの経験もしっかり活かされており、単に懐かしいミクスチャーというよりは現代的にレベルアップしたものに仕上がっているのではないでしょうか。

とにかく、どの曲も非常にキャッチーでダンサブルでアグレッシヴ。26年前には先鋭的に感じられたこのスタイルも現在までに何周もしたことで「ごく当たり前のもの」として成立している。そういった意味での革新性は皆無ですが、時代が彼らに追いついたと同時に、この混迷の時代に彼らが復活し新作を制作した意味がしっかりと理解できる1枚だと感じました。

個人的には中盤から後半にかけての「Bite Back」や「Coffin Lid」「Crying Clowns」「Get Back Up」あたりのタフでグルーヴィーなスタイルが好み。あと、「Stay Together」のカバーもDUB WARらしい味付けが感じられて好印象でした。ジャンルの壁がなくなった今だからこそ、より幅広い層に届いてほしい1枚。この新作を機に、過去の2枚にまで到達することができたら、この新作は大きな意味を持つのではないでしょうか。

 


▼DUB WAR『WESTGATE UNDER FIRE』
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2022年5月26日 (木)

KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016)

2016年10月21日にリリースされたKORNの12thアルバム。

ブライアン・“ヘッド”・ウェルチ(G)が復帰した前作『THE PARADIGM SHIFT』(2013年)から3年ぶりの新作。キャッチーな歌メロ重視ニューメタル路線から、よりエッジの効いたスタイルが復調しつつある良質なメタルアルバムに仕上がっています。

プロデューサーを前作でのドン・ギルモア(BULLET FOR MY VALENTINELINKN PARKアヴリル・ラヴィーンなど)からニック・ラスクリネクツ(HALESTORMALICE IN CHAINSMASTODONなど)に交代したことも大きいのでしょうか。「Rotting In Vain」や「The Hating」などヘヴィな音の塊の中に心地よいメロウなテイストがにじんでいるテイストは、前作『THE PARADIGM SHIFT』での経験をベースにしつつも4thアルバム『ISSUES』(1999年)以降の路線を踏襲したもののようにも受け取れます。

また、モダンでプログロック的な側面を追求した5thアルバム『UNTOUCHABLES』(2002年)や、コンパクトでキャッチーなスタイルにこだわった7thアルバム『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005年)からの影響も見え隠れし、変に初期のヘヴィさにこだわった結果中途半端に終わった9thアルバム『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010年)よりもバンドとして自然体に映るのも印象的。そういった意味では、バンドの基礎を構築した伝説の1stアルバム『KORN』(1994年)と2ndアルバム『LIFE IS PEACHY』(1996年)、最大のヒット作となった3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)を変に意識しすぎることなく臨んだ結果、過去10数年の中でも一番トータルバランスの整った内容になったのではないでしょうか。

そんな良作に華を添えるように、「A Different World」にはSLIPKNOTSTONE SOURコリィ・テイラー(Vo)がゲスト参加。ジョナサン・デイヴィス(Vo)との相性も抜群ですが、90年代のニューメタルヒーローとゼロ年代のニューメタルの王者のコラボレーションは、ちょっとタイミングが遅すぎるくらい。ただ、前作がヘッド復帰という大きなトピックがあったので、これくらいはあってもいいのかな。

思えば、KORNもこの時点で20年選手に突入しているわけで、この手のバンドとしては多作の12枚目。かつ、ここまでの枚数を制作しながらも同じようなアルバムは1枚もなく、毎回何かしらの変化を遂げている。ソングライター/プレイヤーとしての質の向上はもちろん、表現したいこともデビュー前後と比べたら多少は変わっているはず。そういった点でも、本作はバンドとしての集大成を示すと同時に、キャリア何度目かの“デビュー”アルバムのようでもあるのかなと。まあ、デビュー作にしては出来過ぎなくらいに完璧な内容ですが(笑)。

3分台の楽曲中心の全11曲(デラックス盤の2曲除く)/トータル40分というコンパクトさは、間違いなくその後の『THE NOTHING』(2019年)『REQUIEM』(2022年)にも大きな影響を及ぼしているし、そういった点でも本作は何度目かのリスタートの幕開けにふさわしい1枚だったのかもしれません。

そんなアルバムが、全米チャートで近年では最高となる4位を獲得したというのも、なんだか納得といいますか。以降、完全にサブスク中心のシーンに転換していくことを考えると、(チャート的にもセールス的にも)ここまでがギリギリ“CD主流時代”だったのかな?という気がしています。

 


▼KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』
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2022年3月20日 (日)

COREY TAYLOR『CMFB...SIDES』(2022)

2022年2月25日にリリースされたコリィ・テイラーの企画アルバム。日本盤未発売。

SLIPKNOTSTONE SOURのフロントマンによる初のソロアルバム『CMFT』(2020年)に続いて発表された本作は、彼が影響を受けたアーティストのカバー曲、『CMFT』収録曲をアコースティックバージョンで再録したテイク、そしてライブ音源で構成された内容。『CMFT』の「T」に「B...SIDES」を被せたアートワークからも想像できるように、『CMFT』から派生した裏面(=B Sides)的な1枚といったところでしょうか。

全9曲(実質10曲)のうち、カバーは6曲。METALLICA『ブラックアルバム』(1991年)トリビュートアルバム『THE METALLICA BLACKLIST』(2021年)に提供した「Holier Than Thou」のほか、DEAD BOYS「All This And More」、エディ・マネー「Shakin'」、RED RIDER(TOM COCHRANE & RED RIDER)「Lunatic Fringe」、KISS「Got To Choose」、ジョン・キャファティ(JOHN CAFFERTY & THE BEAVER BROWN BAND)「On The Dark Side」という、年代もジャンルもバラバラな楽曲がいかにも今のコリィらしい形で表現されています。「Shakin'」や「Lunatic Fringe」「On The Dark Side」は1980年代前半のヒット曲ということもあり、コリィが幼少期にラジオでよく耳にしていた楽曲ではないでしょうか。ハードロックとは程遠いものの、あの頃のUSロック/ポップスにラジオやMTVを通じて触れてきた同世代の自分にとっても(若干後追いではありますが)懐かしいものがあります。

また、KISSやDEAD BOYSは70年代なので、リアルタイムというよりはロックにハマッてから知った楽曲じゃないかなと想像。KISSもあえて地味な2ndアルバム『HOTTER THAN HELL』(1974年)からのセレクトですしね(コリィが生まれた翌年にリリースされたアルバムだから、なおさらね)。アルバムジャケットではコリィ含め、バンドメンバー全員がKISSメイクをしているあたりにも、この曲へのこだわりが伝わってきます(「Holier Than Thou」同様、この曲もエンディングに仕掛けが用意されています)。

また、『CMFT』からは「Kansas」「Halfway Down」のアコースティックバージョンでリメイク。さらに、同作からの「Home」とSTONE SOURの2ndアルバム『COME WHAT(EVER) MAY』(2006年)収録曲「Zzyzx Rd.」をメドレー形式でリアレンジしたライブテイクも用意されており、全体を通してレイドバック気味の作風にフィットしたセルフカバーとなっています。特に、アルバムのど真ん中に置かれた9分にもおよぶ「Home / Zzyzx Rd.」は、何気に本作のキモと言えるのではないでしょうか。本作からのリードトラックは「On The Dark Side」ですが、個人的にはそう捉えています。

コロナ禍が若干落ち着きつつあり、ようやく『CMFT』を携えたライブツアーが本格的にスタートしたコリィ。本作は改めて『CMFT』へと注目を集めるために用意された、再起爆剤といえる1枚なのかな。SLIPKNOTの次作もレコーディングが終わり、残すはミキシングだけのようですし、こういうお遊び満載のアルバムでリラックスしたコリィの姿はまたしばらく見納め(聴き納め)かもしれませんね。

あくまでファンアイテム的な企画盤なので、これを持って「コリィは今後、ソロではレイドバックしたスタイルを押し進めていく」と解釈するのは勇み足。STONE SOURでも小出しにしてきた側面をたまたま特化させた1枚と捉えるのがベストでしょう。本気のお遊びに対しては、こちらも肩の力を抜きつつ本気で楽しみながら向き合いたいと思います。

 


▼COREY TAYLOR『CMFB...SIDES』
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2021年10月 2日 (土)

MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)

2021年10月1日にリリースされたMINISTRYの15thアルバム。

前作『AMERIKKKANT』(2018年)から約3年半ぶりの新作。前作は当時のドナルド・トランプ政権に対するアメリカへの怒りがそのまま作品として昇華されていました。では、当時と状況が大きく変化した現在、アル・ジュールゲンセン(Vo, G)はどんな思いを抱え、表現の源泉としているのでしょう。

プレスリリースには、本作に対して「トランプも退陣し、民主党政権となった現在のアメリカで、アルは何を思うのか。彼によれば、『道徳的衛生』と題された本作は、『怒りよりも教訓的な内容』になっているとのこと。レーガンが新自由主義を掲げると、強欲が美徳となった。人々は他人を顧みず、自分のことだけを考えるようになってしまった。今こそ、そんな世の中を変える時だ。我々が必要としているのは『道徳的衛生』なのだ。そんなメッセージが、おなじみのミニストリーのヘヴィなビート乗って、紡ぎ出されていく」との説明があります。作品のテーマは前作での怒りとは異なるものですが、世界を変えようとする彼の意思はまったくブレておらず、そのへんが過去作の延長線上にある作風にて表現されているように感じます。

確かに前作ほどストレートなアングリー感はありませんが、それでもMINISTRYらしいご機嫌のヘヴィなインダストリアルサウンドは健在。従来の作品を楽しんできたファンなら問答無用で楽しめる内容と言えるでしょう。ここ数作で再び復活した「TV」シリーズの新曲「TV Song #6 (Right Arount The Corner Mix)」も収録されていますしね。

ゲストミュージシャンも相変わらず豪華の一言。「Sabotage Is Sex」では元DEAD KENNEDYSのジェフ・ビアフラ(Vo)が、いかにも彼らしいボーカルを披露しており、イギー・ポップ率いるTHE STOOGESの名曲「Search And Destroy」のインダストリアル風カバーではビリー・モリソン(G/ビリー・アイドル、ex. THE CULTなど)が豪快なギタープレイを聴かせてくれます。このほか、プロフェッサーXことアラビアン・プリンス(DJ)がオープニングトラック「Alert Level」が参加しているほか、ロイ・マイヨルガ(Dr/STONE SOUR)、デイヴィッド・エレフソン(B/ex. MEGADETH)などの名前を見つけることもできます。

個人的には「ちょっとユルいかな……」と感じる場面もある1枚で、正直言え均的、いかにも普通な仕上がりなんですよ。全体的に楽曲1つひとつがコンパクトなのもそうですし、ちょっと薄味かな、と。それはこのバンド/ユニットに対する期待値が、常に一定水準以上のものを求めてしまっているからなのかもしれません。特に、サウンドに関してはもはや新しいテイストを求めていないような気もしますし(もちろん、MINISTRYという存在にとってはそれが正解かもしれませんが)。

となると、このバンドにとっての正解は、やはり歌詞やメッセージ、姿勢、体制で作品の真価を問うことなのかな。こと日本人にとっては、そのへんを深く理解するにはちょっと難しいのかもしれませんが(対訳だけでは伝わらない、英詞から垣間見えるものもありますし)、そのへんも含めしっかり評価できるようになりたいなと、個人的には考えています。

なので、音的には70点、メッセージ性を含めてプラス15点くらいの内容かな、と。あくまで個人的観点ですが。

 


▼MINISTRY『MORAL HYGIENE』
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2021年9月24日 (金)

SAMI YAFFA『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』(2021)

2021年9月24日にリリースされたサミ・ヤッファの1stソロアルバム。日本盤は同年9月22日に先行発売。

HANOI ROCKSのベーシストとしてシーンに登場し、バンド解散後はジョニー・サンダース(ex. NEW YORK DOLLS)との活動を経てJETBOYに加入。90年代は盟友マイケル・モンローJERUSALEM SLIMDEMOLITION 23.といったバンドで活動し、以降はJOAN JETT & THE BLACKHEARTSNEW YORK DOLLSMICHAEL MONROEで活躍してきたサミ。40年以上のキャリアの中でソロ活動を一切行ってこなかった彼ですが、ここにきてついに重い腰を上げてソロアルバムを完成させました。

パンクの洗礼を経て、シンプルで生々しいロックンロール、レゲエやダブ、スカ、ラテンミュージックなどを通過したサウンドは、いかにも彼らしいもの。そこにマイケル・モンローやアンディ・マッコイといったHANOI ROCKS時代の仲間たちとの共通点も見つけられ、またサミならではの独自性も見つけられる。というか、ほかの2人と比べてかなり器用な人なんだなと驚かされました。

とにかく、ここで聴けるロックンロールの多彩さとそのナチュラルさ、そして完成度の高さには舌を巻くばかり。ソングライティング面では現在活動をともにするリッチ・ジョーンズ(G/MICHAEL MONROE、ex. THE BLACK HALOS、ex. AMEN、ex. THE YO-YO'Sなど)のサポートが非常に大きく、彼の手腕によるものもかなりあるようです。実際、マイケルのアルバムでも彼のソングライティング力は非凡なものがありますからね。

レコーディングは地元フィンランドの旧友たち、ヤンネ・ハーヴィスト(Dr)やラネ(G/ex. SMACK)、ティモ・カルティオ(G)、そしてクリスチャン・マルトゥッチ(G/STONE SOURコリィ・テイラーBLACK STAR RIDERS)、マイケル・モンロー(Sax, Harp)、リッチ・ジョーンズ(Cho)などが参加。サミもボーカルやベース以外に、ギターやグロッケン、メロディカとさまざまな楽器に挑戦しています。歌声も意外とサマになっており、この派手すぎない、けど地味すぎもしないサウンドと見事にマッチしています。

彼がこれまでに参加してきたバンドのテイストは随所から感じられるし、またそのルーツもしっかり伝わる仕上がり。2021年に聴くには古臭いと敬遠されそうな音かもしれませんが、裏を返せば時代を選ばないロックンロールサウンドでもあるのかなと。説得力とその重みが、同系統のバンドとはまったく違うものが感じられるのもこの人ならでは。HANOI ROCKSやマイケル・モンローのファンはもちろんのこと、1980年代のバッドボーイズ・ロックンロールや2000年代以降のリバイバル・ガレージロックのリスナーにも間違いなくヒットする、捨て曲ゼロのご機嫌な1枚です。

 


▼SAMI YAFFA『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』
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2021年5月16日 (日)

CHARLIE BENANTE『SILVER LININGS』(2021)

ANTHRAXのドラマー、チャーリー・ベナンテが2021年5月14日に発表した初のソロアルバム。日本盤未発売。

このアルバムはCOVID-19パンデミックにより世の中のさまざまなことがストップした中でスタートさせた、「Quarantine Video Series」の総決算的作品。ANTHRAXのバンドメイトや気心知れた他バンドの仲間たちと、新旧のお気に入りナンバーをリモートセッションしていき、その中から選りすぐりの14曲がこのアルバムに収録されています。

カバー曲の内訳は以下のとおり。

M-1. City Of Blinding Lights [U2]
M-2. Chloe Dance / Crown Of Horns [MOTHER LOVE BONE]
M-3. Teardrop [MASSIVE ATTACK]
M-4. Run DMC [RUN DMC]
M-5. Rhiannon [FLEETWOOD MAC]
M-6. Yer So Bad [トム・ペティ]
M-7. Transylvannia [IRON MAIDEN]
M-8. Presto Vivace [U.K.]
M-9. Bad Guy [ビリー・アイリッシュ]
M-10. Jimmy James Jam [BEASTIE BOYS]
M-11. All The Way [KISS]
M-12. Mr. Speed [KISS]
M-13. Public Image [PUBLIC IMAGE]
M-14. Funny Vibe [LIVING COLOUR]

参加メンバーも実に多彩で、スコット・イアンやフランク・ベロといった盟友たちのほか、マーク・オセグエダ(Vo/DEATH ANGEL)、カーラ・ハーヴェイ(Vo/BUTCHER BABIES)、コリィ・テイラー(Vo/SLIPKNOTSTONE SOUR)、DMC(MC/RUN DMC)、ロブ・カジアーノ(G/VOLBEAT、ex. ANTHRAX)、デイヴ・セイボ(G/SKID ROW)、アレックス・スコルニック(G/TESTAMENT)、ジョン・5(G/ROB ZOMBIE)、ラ・ディアス(B/SUICIDAL TENDENCIES)、マーク・メンギー(B/METAL ALLEGIANCE)、ジョーダン・ルーデス(Key/DREAM THEATER)など。参加アーティストはHR/HM界隈中心ですが、選曲はチャーリーらしいセレクトで、メタルらしいメタルはIRON MAIDENくらい。もはやお約束となったKISSは2曲用意され、新しいところだとビリー・アイリッシュ「Bad Guy」もカバーされています。

いきなりU2の比較的最近の楽曲からスタートする本作は、そのサウンド的にはメタルからは少し離れたもので、チャーリー・ベナンテという鬼才の一端が表されているといったところでしょうか。もっとも、チャーリー自身は本作をソロアルバムとは捉えておらず、「非常に暗い時期に、友人の何人かと一緒に作ったお気に入りの楽曲集」程度なんだとか。なので、受け手側も「あのANTHRAXのチャーリーのソロプロジェクト」なんて構えずに、幅広い年代/幅広いジャンルの名曲セッション集くらい気軽に楽しめばいいのではないでしょうか。少なくとも僕自身、そういうふうに捉えてリピートしています。

どの曲のアレンジも組み合わせの妙が存分に楽しめるし、遊び心に満ち溢れていると思います。個人的にはメタルアレンジな「Bad Guy」がお気に入り。バンドアレンジにしてもカッコいい曲はカッコいいんだと気付かせてくれます。あとは、MASSIVE ATTACK「Teardrop」やFLEETWOOD MAC「Rhiannon」、トム・ペティ「Yer So Bad」も。女性ボーカル曲は総じて良いですね。プラス、KISSは録音状態まで含めてオリジナルに敬意を払っているのも好印象。遊ぶならここまでしないと。

なお、本作から生じた収益の一部は、音楽教育とメンタルヘルスを提唱するニール・カザル音楽財団に寄付されるとのことです。

 


▼CHARLIE BENANTE『SILVER LININGS』
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2020年10月 7日 (水)

COREY TAYLOR『CMFT』(2020)

2020年10月2日にリリースされたコリィ・テイラーSLIPKNOTSTONE SOUR)の1stソロアルバム。

メインバンドであるSLIPKNOTとSTONE SOURはどちらかの活動がひと段落している間に片方が動くという形でしたが、SLIPKNOTが『WE ARE NOT YOUR KIND』(2019年)に伴う活動が(コロナの影響もあって早めに)落ち着いたタイミングに、コリィはSTONE SOURとしての活動に移行するのではなく初めてのソロ名義でのアルバム作りに挑むことになります(STONE SOURとしては2017年のオリジナルアルバム『HYDROGRAD』と、それに伴うツアーの模様を収めた2019年のライブアルバム『HELLO, YOU BASTARDS: LIVE IN RENO』を持ってしばらく小休止に入るようです)。

アルバムはコリィと、STONE SOURの作品でも共作しているジェイ・ラストンの共同プロデュース。レコーディングにはSTONE SOURのメンバーでもあるクリスチャン・マルトゥッチ(G)、俳優でもあるザック・ストーン(G)、2011年にSTONE SOURのライブにサポート参加した経験を持つジェイソン・クリストファー(B/ex. PRONG、ex. MINISTRY、ex. セバスチャン・バックなど)、ダスティン・ロバート(Dr)という布陣が参加し、STONE SOURよりもレイドバックしたオーソドックスなハードロックを展開しています。

コリィが歌っている時点でSTONE SOURとの共通点はいくらでも見つけられますが、とりわけ本作では80年代の王道アメリカンハードロックにスポットを当てたような、どこか懐かしさが感じられるキャッチーな楽曲が多数用意されています。「Samantha's Gone」なんてヘアメタルチックなメジャーキーの楽曲ですし、「Kansas」あたりもレイドバックしたヘアメタル的なポップ感が強まっている。かと思えば、「Meine Lux」の歌い出しの〈1, 2, 1, 2, 3, 4!〉はブルース・スプリングスティーン的だし楽曲自体はVAN HALEN以降のハードブギーだし、アコースティックギターを軸にしたブルージーなバラード「Silverfish」のような楽曲もしっかり用意されています。

かと思えば後半でに入ると、「Culture Head」では全体的には80年代的な香りがするけどオルタナ感を髣髴とさせるリフは90年代的で、「Everybody Dies On My Birthday」もグランジ以降の作風に80's風メロディを乗せた印象を受ける。思いっきり肩の力が抜けた「The Maria Fire」はSTONE SOURでは体験できなかったテイストで、続くピアノバラード「Home」もソロアルバムならではの試み。そんな中、ヒップホップアーティストのテック・ナインとキッド・ブーキーをフィーチャーしたラップメタル調の「CMFT Must Be Stopped」は唯一SLIPKNOTの匂いを感じさせる(あくまでボーカルスタイルのみ。楽曲自体はアリーナ/スタジアムロック風)。で、最後の最後にハードコアパンク・スタイルのファストナンバー「European Tour Bus Bathroom Song」で締めくくり。いやあ、やりたい放題だな(笑)。

アルバムとしてはひとつの音楽スタイルを軸に持って構築されていくようなものとは異なり、ソロアルバムならではの“とっ散らかり感”が強い作風ですが、コリィ・テイラーという才能が特定のバンド2つの中だけでは表現しきれなかった個がここで余すところなく発揮されていると考えれば、非常に納得のいく内容ではないでしょうか。巨大になりすぎた2つのモダンメタルバンドのフロントマンが、いろんな意味でガス抜きを行なった結果がこれなら、今後アルバムを重ねるごとにもっと違った側面も見えてくるかもしれない。例えば、今回みたいに自身のルーツを見せるのではなく、今夢中になっている“HR/HM以外の”音楽を表現するとか。むしろそっちのほうが気になったりして。

改めて、コリィ・テイラーが歌えば(それがHR/HMの範疇にあれば)どんな楽曲でも“コリィ・テイラーの曲”になる。それだけ強烈な個性を持つシンガーなんだってことを再確認させてくれる、彼のキャリアにおける重要作のひとつだと断言できます。

 


▼COREY TAYLOR『CMFT』
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2020年7月17日 (金)

STONE SOUR『AUDIO SECRECY』(2010)

2010年9月初頭にリリースされたSTONE SOURの3rdアルバム。

4thアルバム『ALL HOPE IS GONE』(2008年)を携えたSLIPKNOTのワールドツアーを終えるも、201年5月にポール・グレイ(B)が急逝。そんな悲しみに包まれたタイミングにコリィ・テイラー(Vo)、ジェイムズ・ルート(G)が完成された本作は、亡きポールに捧げられた1枚でもあります。

前作『COME WHAT(EVER) MAY』(2006年)制作時はサポート扱いだったロイ・マヨルガ(Dr)が正式加入し、コリィ、ポール、ジョシュ・ランド(G)、ショウン・エコノマキ(B)、ロイという布陣で制作された最初で最後の1枚(ショウンは本作を伴う活動終了後に脱退)。前作から引き続きニック・ラスクリネクツ(DEFTONESFOO FIGHTERSHALESTORMなど)をプロデューサーに迎えた本作は、よりキャッチーでメロディアスな1枚に仕上がっています。

土着的な70'sハードロックと、リフでゴリゴリ押し切る90年代以降のオルタナ・メタルからの影響を程よくブレンドした過去2作とは一線を画し、本作はとにかくポップさ、わかりやすさがより際立つ内容で、コリィの“歌”を武器にして楽曲の良さで勝負しようとする気概が感じられます。耽美なオープニングSE「Audio Secrecy」はまさにポールへの鎮魂歌のようにも聴こえますが、続くリードトラック「Mission Statement」を筆頭に、歌メロが耳や脳にこびりつく良質なハードロックナンバーを次々に繰り出します。

もちろん「Dying」や「Miracles」にように過去2作にもあった土着的バラードも存在するのですが、以前だったらそれが武器のひとつになっていたところを、本作では「こういうのもできます」と薬味程度の扱いに収めている。むしろ、大陸的なパワーバラード「Hesitate」のほうが本作では印象に残るのですから……それくらいメロディアスさが印象的な作品集なわけです。いわゆるポスト・グランジ的立ち位置だった過去2作から、ここで一気に個性を確立させた……そう捉えることもできるのではないでしょうか。それくらい、完成度の高いHR/HMアルバムだと思います。

ただ、そんな本作にも唯一の欠点が。それは曲数が多いことで、通常盤14曲(54分)、スペシャル・エディション18曲(69分)というのはいかがなものかと。すべてそれなりに完成度が高いのはわかるんですよ。でも、これを12〜3曲程度にまとめていたら、もっと完成度の高い傑作として評価されたんじゃないでしょうか。これ、今だったら残りの5〜6曲をEPとして配信限定リリースすることもできるんでしょうけどね。もし、ゆったりめの曲多めのEPを別に作っていたら、ALICE IN CHAINSにおける『SAP』(1992年)的良作が完成していたのでは……なんていうのは邪推でしょうか。

バンドにスタンス的に意外と古き良き時代のHR/HMを大切にしているような印象を受けるけど、リリース形態に関しては「あるもの全部出しちゃえ」というGUNS N' ROSES的な精神が玉に瑕(苦笑)。いい曲が多いのにアルバムとして「これ!」という1枚が少ない、このバンドの弱点が表面化してしまった惜しい1枚です。

 


▼STONE SOUR『AUDIO SECRECY』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


▼V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

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