2016/12/26

STRYPER『FALLEN』(2015)

アメリカのクリスチャンメタルバンド、STRYPERが2015年秋に発表した通算11枚目のオリジナルアルバム。彼らは80年代半ばから後半にかけて活躍するものの、90年代に入ってしばらくすると解散。スポット的な復活がありながらも、2003年から本格的に復活。解散前(5枚)と解散後(6枚+α)では、解散後のほうがすでにアルバム制作枚数が多いんですね。ホント、勤勉なバンドだと思います。

しかし、『TO HELL WITH DEVIL』(1986年)、『IN GOD WE TRUST』(1988年)の時期が個人的なピークだったこともあってか(『IN GOD WE TRUST』期には武道館公演にも足を運ぶくらい好きでしたし)、なぜか再始動後のオリジナルアルバムには一切触れずに来ました。たぶん、再レコーディングされた「In God We Trust」(2005年のアルバム『REBORN』収録)が個人的にピンと来なかったのが理由だと思います。

しかし、マイケル・スウィートのソロアルバムレビューに書いたように、昨年SWEET & LYNCHのアルバムをきっかけにSTRYPER熱が再発。しばらくはSWEET & LYNCHを聴き返す日々でしたが、半年以上経ってから発売されたこの最新アルバム『FALLEN』でようやく新生STRYPERを本格的に聴き始めたわけです。

アルバムを聴いてまず感じたのは、「あ、これ僕が知ってる“あの”STRYPERだ!」ってこと。多くの再結成バンドが解散前の作品をなかなか超えられないのと同様に、STRYPERも『SOLDIERS UNDER COMMAND』(1985年)から『IN GOD WE TRUST』あたりの作品を超えるのは難しいんじゃないかと勝手に思い込んでいたんです。

ところが1曲目「Yahweh」(日本語で言うところのエホバの意)の冒頭、聖歌のようなコーラスから始まり、曲が進行するにつれ曲調が次々に変化していくアレンジにいきなり惹きつけられます。その後も「Fallen」「Pride」といった彼ららしいミディアムテンポの楽曲があったり、アコースティックバラード「All Over Again」があったり、クリスチャンバンドがBLACK SABBATHをカバーする意外な「After Forever」、ストレートなファストナンバー「Till I Get What I Need」「The Calling」「King Of Kings」など、どこを切っても「これぞSTRYPER!」という楽曲ばかり。終盤の畳み掛けも気持ちいいし、とにかく最後まで飽きずに楽しめる良質のハードロックアルバムに仕上がっています。

ひとつだけ難をつけるとするならば、「Together As One」「Honestly」「I Believe In You」といった過去のアルバムに必ず1曲は収録されていたピアノバラードがなかったこと。「All Over Again」にようにレイドバックしたバラードも悪くないですが、上記に挙げたピアノバラードのSTRYPERにとっては大きな武器のはず。なかなかこれらの楽曲を超えるのは難しいかと思いますが、ぜひ今後は新たなピアノバラードでリスナーを感涙させてほしいなと思います。

同時代にシーンを盛り上げたバンドたちが同じように再結成するも、なかなかここまでのレベルの作品を生み出せていない現在。STRYPERのようなバンドの存在は非常に貴重です。今年4月の来日公演も大成功だったようですし、今後もこのまま安定した活動継続と良質な作品発表を続けてほしいですね。



▼STRYPER『FALLEN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2016 12 26 12:00 午後 [2015年の作品, Stryper] | 固定リンク

MICHAEL SWEET『ONE SIDED WAR』(2016)

STRYPERのフロントマン、マイケル・スウィートの7thソロアルバム。昨年は年明けに発表ジョージ・リンチとのSWEET & LYNCH名義によるコラボアルバム『ONLY TO RISE』が素晴らしい出来で、後半にリリースされたSTRYPERのニューアルバム『FALLEN』も大満足の内容と良作続きでした。実際、自分がSTRYPER絡みの作品を購入したのも90年代以来のことで、今もマイケル・スウィートがここまで歌えること、ここまで良曲を連発できることに驚かされ、嬉しく思いました。

で、そこから1年ぶりに発表されたSTRYPER絡みの新作が、このマイケルのソロアルバム。EVANESCENCEなどで活動したウィル・ハント(Dr)、元NIGHT RANGER、現WHITESNAKEのジョエル・ホークストラ(G)などと制作した、ど直球のハードロックアルバムに仕上がりました。潤いあるメロディは変わらず、ファストチューンやミディアムヘヴィナンバーがバランス良く並んでおり、最後まで気持ち良く聴くことができます。

いわゆるSTRYPER的なコーラスは皆無で、ただひたすらマイケルが気持ちいいままに歌い、ギターを弾きまくる。これ以上何がお望み?と言わんばかりの豪速球の連投に、思わずニヤニヤしてしまうんじゃないでしょうか。かと思えば、STRYPER的分厚いコーラスが登場する「Who Am I」もあるし、ブルージーなバンジョーの音色に渋みを感じる「Radio」、「えっ、RATTとSTRYPERの融合!?」と腰を抜かしそうになる「Only You」みたいな楽曲もあるんだから、楽しめないわけがない。

確かにSWEET & LYNCHのようにフックとなるジョージ・リンチのギターもないし(DOKKEN的楽曲をマイケルが歌うというポイントも)、メンバー4人の個性が詰まったSTRYPERのそれとも違うけど、間違いなく“あのSTRYPERのメインソングライターおよびシンガー”が作ったアルバムであることは、一聴すれば理解できる。要するに、悪いところがまったく見つからない、本当に優れたハードロックアルバムだということです。

「80年代から時間が止まってるんじゃない?」と問われれば、確かにその通りかもしれない。でも、あの頃に発表した作品よりもさらにブラッシュアップされた内容であることは紛れもない事実。どう聴けばこれが悪い作品になるのか、逆に質問したいくらいです。この創作意欲がどこまで続くのか、今後も見届けたいと思います。



▼MICHAEL SWEET『ONE SIDED WAR』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2016 12 26 12:00 午前 [2016年の作品, Michael Sweet, Stryper] | 固定リンク

2015/01/15

Sweet & Lynch『Only To Rise』(2015)

ここ数日、80年代のHR/HMばかり聴き漁る日々でございます。が、新年明けて早半月。そろそろ新譜についても書きたいなあと思ってたところに、このアルバムが発売されました。ということで、今日はこの異色の組み合わせによるアルバムについて。

僕はジョージ・リンチというギタリストが大好きで。いや、正確には80年代から90年代初頭のジョージが大好きでした。アルバムで言うとLynch Mobの2ndアルバムあたりまで。ギタープレイ自体も好きなのですが、恐らくあのDokken〜Lynch Mobのサウンドの上で鳴らされるリフやソロが大好きだったんだと思います。だから再結成Dokkenのアルバムで聴けた「周りを見ないで自分の中だけで鳴らされてるソロ」にイマイチ馴染めなくて。アルバム自体は嫌いではなかったんですけどね……それ以降のDokkenや再結成Lynch Mobなどの作品にピンと来るものはなく、期待してたT&Nもバンドというよりはプロジェクト感が強い中途半端な作品、昨年発売されたKXMも悪くはなかったけど「別にジョージ・リンチにそれ求めてないから……」という印象でした。

だから、いくらStryperのマイケル・スウィート(Vo, G)と一緒にアルバムを作ると知っても、そこまで過剰な期待はできませんでした。ところが、このMVを観てその不安は一気に逆転。もはや期待しか持てなくなってしまったのです。


日本先行リリースされたこの記念すべき1stアルバム。想像していた以上の出来でした。80年代中盤のDokkenが持っていた魅力、そして当時のジョージ・リンチが持っていたバランス感が絶妙に発揮された、メロディアスなアメリカンハードロックの良作だと思います。アルバムはDokkenの3rdアルバム「Under Lock and Key」やStryperの3rdアルバム「To Hell With The Devil」に入っていても不思議じゃない「The Wish」からスタートして、Dokken「The Hunter」を彷彿とさせる「Dying Rose」、 枯れた雰囲気が絶妙な「Love Stays」へと続いていきます。往年のスタイルを、酸いも甘いも噛み分けた2人が今表現することで生まれる“ちょうどよさ”。もちろん過去の焼き直し的なスタイルだけではなく、「Time Will Tell」みたいな“ありそうでなかった”タイプの楽曲もあるし、サイケでありLed Zeppelin的な色合いもみせる「Strength In Numbers」もある。「Alone Again」の続編と言えなくもないパワーバラード「Me Without You」はじめ、Dokken的な要素はそこらじゅうに散りばめられていますが、現在のジョージらしいブルージーなミディアムヘヴィナンバーも満載です。そして、そういった楽曲を丁寧に、力強く歌い上げていくマイケル・スウィートのボーカルはさすがの一言。これを今のドン・ドッケンが歌ったところで……おっと、誰か来たようだ(苦笑)。

そんな2人のパワープレイを、決して派手な演奏に走らず手堅くフォローするリズム隊の存在も重要です。ジェイムズ・ロメンゾ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)というPride & Gloryでのタッグで知られる2人がベーシックな部分を支えたからこそ生まれた化学反応と言ってもいいのかもしれません。ジェフ・ピルソンでもミック・ブラウンでもなかったから、ここまでの作品が生まれたのだ……と言い切ってしまいたくはないですが、それはそれで皮肉なものです(とは言いながらも、タイトルトラックのエンディングで聴かせるドラムソロは強烈ですけどね)。

「Recover」や「Only To Rise」のようなファストチューンもあり、ジョージの激しいソロやマイケルのハイトーンボイスもちゃんとフィーチャーされてる。「Divine」冒頭の弾きまくりソロなんて、往年のジョージそのものですもんね。マイケルはStryperで忙しいでしょうし、ジョージもいろんなバンドをやってるから定期的に作品を作るのは難しいでしょうけど、可能でしたら数年に1枚でいいので継続してほしいプロジェクトだと思います。でもライブは……観たいような、観たくないような。意外とライブが原因で消滅しそうな気もするので、無理にはしなくても大丈夫ですよ。



▼Sweet & Lynch「Only To Rise」
(amazon:日本盤 / 輸入盤 / MP3

投稿: 2015 01 15 12:05 午前 [2015年の作品, Dokken, Stryper, Sweet & Lynch] | 固定リンク