カテゴリー「Stryper」の12件の記事

2022年10月29日 (土)

STRYPER『IN GOD WE TRUST』(1988)

1988年6月28日にリリースされたSTRYPERの3rdフルアルバム。日本盤は同年7月10日発売。

「Honestly」のシングルヒット(全米23位)も手伝い、アルバム自体も最高32位/100万枚突破という好成績を残した前作『TO HELL WITH THE DEVIL』(1986年)から約1年8ヶ月ぶりの新作。バンドとの共同プロデューサーとしてポップス系のマイケル・ロイド(ベリンダ・カーライル、THE MONKEES、エリック・カルメンなど)を迎えた、ソフトサイドが強調された1枚に仕上がっています。

アルバム冒頭を飾る疾走メタルチューン「In God We Trust」や「The Writing On The Wall」、オズ・フォックス(G)が手がけたファストナンバー「The Reign」など攻撃的な楽曲も用意されているものの、本作の軸となっているのはリードシングル「Always There For You」はメロウなスローバラード「I Believe In You」などのメロディアスで親しみやすいポップナンバー。「Honestly」のヒットを受け、レーベル側からのテコ入れがあったのではないかと察します(プロデューサーの人選にもその思惑が見え隠れしますし)。

ミックス自体もマイケル・ロイドが関わっているためか、本作におけるドラムサウンドの軽さは当時から疑問視されてきました。特にスネアの軽さはメタルとは程遠いもので、「Always There For You」のような楽曲にはフィットするものの、「In God We Trust」みたいなメタル寄りの楽曲には難が生じてしまう。現在市場に出回っているCDやサブスクで耳にすることができる音源は、おそらくリマスタリングが施されたものだとは思うのですが、1988年の初出時と比べたらいくらかドラムの質感が調整されているようで、昔聴いていたときよりも聴きやすいバランスになっている印象を受けました。

ただ、それでも「It's Up 2 U」みたいなメタルバラード(パワーバラード)になると、ポップス調の「I Believe In You」ほどの調和は感じられない。楽曲スタイルにより一長一短のあるミックスかもしれませんね。

先の疾走チューン以外は全体的に似通ったトーンで統一された楽曲たちは、「Always There For You」以外はそれほど突出した印象が感じられず。「Keep The Fire Burning」あたりはいい線いってますが、無駄にキラキラした「Come To The Everlife」(ピコピコしたシンセの影響もあるんでしょうね)あたりには「ん?」と感じてしまうかも。あと、バラードタイプの楽曲が多いのも本作の特徴で、これもレーベルが“「Honestly」の二番煎じ”を狙わせた結果なのでしょうか。ただ、上に挙げた「I Believe In You」や「It's Up 2 U」よりも哀愁味の強い泣きのバラード「Lonely」が、予想外によい出来なんですよね。個人的にはシングル曲以外だと、タイトルトラックとこの曲、そしてラストの「The Reign」のために聴くといった印象かな。

激しさと優しさ、両サイドに振り切った曲はそれぞれよいものの、アルバムとしてはそれらをつなぐミディアムテンポのハード&メロウな楽曲(前作でいうところの「Free」のような曲)が存在しないことで、全体的にまとまりのない仕上がりになってしまった印象。ミックス的な欠点もあり、いろいろな意味で勿体ない1枚です。

……とはいえ、個人的には本作を携えて行われた日本武道館公演(1989年3月かな)に足を運び、初めて彼らを生で目撃できたという点で、忘れられない1枚なんですけどね。

 


▼STRYPER『IN GOD WE TRUST』
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STRYPER『THE FINAL BATTLE』(2022)

2022年10月21日にリリースされたSTRYPERの14thアルバム(1984年の『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』含む。オリジナル作品としては12作目)。

全米92位にランクインした前作『EVEN THE DEVIL BELIEVES』(2020年)から約2年ぶりの新作。前々作『GOD DAMN EVIL』(2018年)完成後に加入したペリー・リチャードソン(B/ex. FIREHOUSE)を含む編成では、2作目のスタジオアルバムとなります。

作風的にはここ数作の「80年代的なメロディアスハードロック路線と近年の王道ヘヴィメタルスタイルのミックス」の延長線上にあり、特段新しいことに挑戦はしておりません。しかし、だからこその説得力といいますか、より純度の高いSTRYPER流HR/HMをたっぷり楽しめる1枚に仕上がっています。

冒頭を飾る「Transgressor」ではマイケル・スウィート(Vo, G)のハイトーンシャウトをフィーチャーしつつ、ストロングスタイルの疾走メタルを展開。完璧な掴みといったところでしょうか。そこからディオBLACK SABBATHを彷彿とさせるミディアムヘヴィ「See No Evil, Hear No Evil」、80年代のメロウ&キャッチーさが復調した「Same Old Story」、前曲の流れを汲みつつもヘヴィなアレンジが心地よい「Heart & Soul」、いかにも彼ららしいパワーバラード「Near」と前半だけでもかなりバラエティに富んだ楽曲がズラリと並んでいます。なんだかSTRYPERの約40年にわたるキャリアの集大成と表現したくなる、まるで「STRYPERサウンドの見本市」のような構成です。

にしても、「Near」の美しさといったら……「Honestly」などの往年のピアノバラードとはまた違ったテイストではありますが、要所要所にフィーチャーされた多重ハーモニーにより“らしさ”もしっかり保たれている。そしてなにより、マイケル・スウィートのボーカルの衰えなさ。来年で60歳とは思えないほどの声量/ハイトーンはさすがに一言です。

中盤以降も非常に彼ららしい楽曲が並びます。リフワークやコード進行が若干風変わりなミディアムナンバー「Out, Up & In」、ロバート・スウィート(Dr)の地を這うようなツーバスプレイとオズ・フォックス(G)の派手なリフワークで攻めまくるリード曲「Rise To The Call」、これもディオ期サバスへのオマージュと受け取れる「The Way, The Truth, The Life」、さらにスロー&ヘヴィな「No Rest For The Wicked」、そして三連ビートを導入したアンセミックな「Till Death Do Us Part」から地を這うビートが気持ちいい「Ashes To Ashes」へと流れる意味ありげな2連発でアルバムは幕を下ろします。

ただヘヴィさを強調するだけではなく、どの曲にもキャッチーなメロディ&ハーモニーが多用されており、決してSTRYPERらしさは損なわれていない。80年代のスタイルをよい形で進化させたここ数作の流れは、オーソドックスで王道なHR/HMとしては満点な内容ですし、かつマンネリに陥ることなくアップデートもしっかり実現できている。“あの頃”のHR/HMに縛られ続けているリスナーのみならず、純粋にヘヴィメタルというジャンルを愛する方々に大切にしていただきたい1枚ではないでしょうか。そんな、メタル界の世界遺産のような良作です。

 


▼STRYPER『THE FINAL BATTLE』
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2022年7月16日 (土)

STRYPER『TO HELL WITH THE DEVIL』(1986)

1986年10月24日にリリースされたSTRYPERの2ndフルアルバム。日本盤は同年11月21日発売。

全米84位を記録&50万枚以上を売り上げ、彼らの人気を決定づけた前作『SOLDIERS UNDER COMMAND』(1985年)から1年5ヶ月で届けられたスタジオアルバム。名バラード「Honestly」が全米23位という好記録を樹立したこともあり、本作は最高32位まで上昇し、100万枚を超えるキャリア最大のヒット作となりました。

スピードチューン「Soldiers Under Command」から始まった前作から一変、今作は仰々しいイントロダクション「Abyss (To Hell With The Devil)」に続いてミドルヘヴィのタイトルトラック「To Hell With The Devil」で幕開け。続くキャッチーな「Calling On You」、哀愁味の強いキラーチューン「Free」とミディアムテンポの楽曲で序盤が固められています。さらにそこからバラード「Honestly」へと流れる構成含め、アルバム前半の聴きやすさでリスナーを一気に引き込むことに成功。そりゃ売れるわと納得させられます。

かと思えば、中盤にはオズ・フォックス(G)が書き下ろした前のめりなアップチューン「The Way」でヘヴィメタルバンドらしさを追求し、打ち込みベースを同期させたミドルヘヴィ「Sing-Along Song」、爽快感の強いハードロックナンバー「Holding On」で緩急を付ける。そこから再びヘヴィなスピードナンバー「Rockin' The World」で勢いを付けたかと思えば、讃美歌のようなスローバラード「All Of Me」で空気を一変させ、最後はストレートなメタルチューン「More Than A Man」で締めくくり。全11曲/41分があっという間に感じられるほど夢中になれる、非常に完成度の高い1枚です。そりゃ売れるわと納得させられます(二度目)。

いわゆるグラムメタル/ヘアメタルに分類されるバンドの中でも、比較的ヘヴィメタル度の高いサウンド/楽曲が多い彼らですが、本作では元来持ち合わせていたポップ感が一気に開花。それが「Calling On You」や「Honestly」のようなメジャーチューン、「Free」や「To Hell With The Devil」みたいなマイナーキーの楽曲に集約されているのではないでしょうか。それをマイケル・スウィート(Vo, G)の伸びやかなボーカルで表現することにより、嫌味なく楽しめることができるのは改めてすごい才能です。そりゃ売れるわと納得(三度目)。

加えて、彼らは敬虔なクリスチャンということで、歌詞などでキリスト教への信仰の強さが示されている。いわゆるクリスチャンメタルと呼ばれるジャンルの先駆者なわけですが、宗教観にそこまで意識的ではない日本人にとっては純粋に楽曲そのものが評価された……と、筆者は当時を振り返り、そう記憶しています。うん、単純に曲が良くて聴きやすかったんですよ。

今聴くとサウンド的に多少の古臭さも否めませんが、楽曲の良さは決して色褪せない。そんな80年代後半を代表する“マスト”な1枚です。

 


▼STRYPER『TO HELL WITH THE DEVIL』
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2022年7月15日 (金)

CLEANBREAK『COMING HOME』(2022)

2022年7月8日にリリースされたCLEANBREAKの1stアルバム。

CLEANBREAKはジェームズ・ダービン(Vo/DURBIN、ex. QUIET RIOT)、マイク・フリンツ(G/RIOT)、ペリー・リチャードソン(B/STRYPER、ex. FIREHOUSE)、ロバート・スウィート(Dr/STRYPER)という面々で結成されたスーパーバンドのひとつ。「RIOTやFIFTH ANGELのような伝統的アメリカン・ヘヴィメタルへのオマージュ」をテーマに、時代錯誤な80'sヘヴィメタルを現代に昇華させた(というよりも蘇らせた)ようなピュアメタルが、アルバム全編にわたり展開されています。

ジェームズ・ダービンは短期間QUIET RIOTに在籍したものの、もともとはオーディション番組『アメリカン・アイドル』でJUDAS PRIESTを歌うような生粋のメタル野郎。昨年リリースされたDURBINでのアルバム『THE BEAST AWAKENS』(2021年)でも骨の髄までピュアなメタルを追求していました。このCLEANBREAKはその延長線上にあるもので、個人の名前を打ち出すよりも“バンドのひとり”に徹してDURBINでの世界観を追求した、というのが正しいかもしれません。

楽曲自体は良くも悪くも「ああ、なるほどね(笑)」とニヤニヤしてしまう、王道感の強いUSヘヴィメタル。スピードよりもヘヴィさにこだわったミドルチューン中心で、ダービンのパワフルで伸びやかなボーカルを活かしつつ、熟練メンバーたちが安定感の強い演奏を聴かせています。個々が参加するバンド(RIOT、STRYPERなど)との共通点も見られますが、アレンジにはよい意味で“2000年代以降”の質感も散りばめられています。

ですが、そのへんは本当に味付け程度といったところで、やっぱり軸になる楽曲が往年のUSメタルを彷彿とさせるものなので、新しさ以上に懐かしさが伝わる内容かな。「We Are The Warriors」なんていかにもなタイトル(笑)の楽曲は、80年代前半〜半ばに耳にしたらきっと夢中になったであろう名曲。「The Pain Of Goodbye」も同系統の良曲ですね。

スピードチューン「Still Fighting」もそのクサさに思わず苦笑してしまいますが、モダンメタルなんてもってのほか!と思っている一部の層にはキラーチューンとして響くのではないでしょうか。ホント、35〜40年前の中学生時代にこれ聴いたら一発でハマッたと思います。ですが、今は2022年。こういったスタイルをこの時代に追求するこだわりも理解できますが、個人的にはどうしてもノスタルジックになってしまいます。そこだけは、どうしても譲れないかな。

どの曲も非常によく出来ていますし、驚きや刺激は皆無ですが安心して楽しめる1枚。腐した言い方になってしまいますが、「大人のヘヴィメタル」と呼んでしまいたくなる、ある一定層には安定の良作ではないでしょうか。僕も進んで毎日聴くような内容ではないものの、たまにふとしたときに聴いて「こういう時代も良かったな」と過去を懐かしんでみたいと思います。

 


▼CLEANBREAK『COMING HOME』
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2021年5月18日 (火)

SUNBOMB『EVIL AND DIVINE』(2021)

2021年5月14日にリリースされたSUMBOMBの1stアルバム。

このバンドはSTRYPERマイケル・スウィート(Vo, G)とL.A. GUNSのトレイシー・ガンズ(G)による最新プロジェクト。ともに80年代半ばから後半にかけて、LAメタルシーンの第一線で活躍したアーティストですが、正統派サウンドのクリスチャンメタル(STRYPER)とアウトローなUSハードロック(L.A. GUNS)がちょっと結びつかないだけに、最初はこの組み合わせに「?」となりました。が、このアルバムで鳴らされているサウドを聴くと「そうか、2人ともルーツはそこだもんね」と、妙に納得させられるものがありました。

随所で2バンドの要素を感じさせつつも、ここで表現されているのはJUDAS PRIESTBLACK SABBATHからの影響が強いヨーロピアンな正統派ハードロック/ヘヴィメタル。オープニングナンバーの「Life」はSTRYPER的とも受け取れるけど、どちらかというとそのルーツであるJUDAS PRIEST的な香りが強いかな。続く「Take Me Away」は完全にBLACK SABBATHですね。オジー・オズボーン時代ともディオ時代とも受け取れるドゥーミー&ヘヴィなこの曲、昨今のSTRYPERでやっても違和感ないかも。

かと思えば、L.A. GUNSでやりそうな「Better End」もあるんだけど、これもUSハードロック/メタルというよりはヨーロッパの香りが強い。そこにマイケル・スウィートらしい荘厳なハーモニーが加わり、ギターソロでは(おそらくトレイシーによる)豪快さが演出される。うん、こういう曲を歌うマイケル・スウィートも悪くないね。

以降もマイケル&トレイシーの出自やルーツが大胆に表現された王道HR/HMを展開。マイケル・スウィートはソロも悪くないけど、結局パートナーにクセの強いアーティストが付くことでその個性がより際立つので(ジョージ・リンチ然り)、この意外な組み合わせも結果オーライだったと思いました。トレイシーらしいスラッシー&ハードコア的な「Born To Win」も、マイケルの色が加わることで突然変異しているし、かつこんな曲を歌うマイケルも新鮮ですし。作った側も、受け取る我々側もいろいろ得られるものが大きい1枚だと思います。

あと、バラードに関してもマイケル色というよりはトレイシーの色が強いのも、また面白い。「Been Said And Done」は完全にL.A. GUNSでやりそうなテイストですものね。脳内でフィル・ルイスが歌う姿が容易に想像できましたから(笑)。という感じで、STRYPERでもL.A. GUNSでもない(でも、両バンドにもありそうな色もある)面白バンド、どうせならもう1枚くらい作ってほしいなと思います。ここで受けた刺激は、確実に両バンドに持ち帰ることになるでしょうからね。

 


▼SUNBOMB『EVIL AND DIVINE』
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2020年9月 8日 (火)

STRYPER『EVEN THE DEVIL BELIEVES』(2020)

2020年9月4日にリリースされたSTRYPERの13thアルバム(1984年の『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』含む。オリジナル作品としては11作目)。日本盤は海外に先駆け、9月2日に発売されました。

前作『GOD DAMN EVIL』(2018年)完成後にペリー・リチャードソン(B/ex. FIREHOUSE)が加入し、同作を携えた来日公演でもバンドの充実ぶりを提示したSTRYPER。昨年はマイケル・スウィート(Vo, G)がソロアルバム『TEN』(2019年)を発表しましたが、バンドとしても2年半という比較的短いスパンで新作を届けてくれました。

ペリー・リチャードソンがレコーディングに初参加した本作は、近年のアルバムの延長線上にあるストレートなHR/HMサウンドを軸に、ヘヴィさとメロディアスさをバランスよくミックスした彼らなりの“王道”感を重視した1枚に仕上がっています。マイケルのハイトーンも比較的伸びが良いですし、ロングトーンでは以前よりも歪みのかかったシャウトも織り交ぜ、ヘヴィさを強調させることに成功しています。このへんも、過去のSTRYPERやソロ作品と同様です。

楽曲に関しても、序盤に「Blood From Above」や「Let Him In」のようなアップチューンを配置しているものの、全体的に印象に残るのは「Do Unto Others」のようなミドルナンバー。特にこの「Do Unto Others」は往年の名曲にも通ずる良質なメロディアスさが際立つ1曲で、本作におけるキーポイントになるのではないでしょうか。

後半には本作唯一のバラードナンバー「This I Pray」や、アナログシンセの音色が懐かしさかつ新鮮さを味わせてくれる「Invitation Only」(こちらも良曲!)など、前半よりもポップ度が高まっており、硬質な印象が強い近作の中でも比較的80年代後半に寄ったテイストを楽しむことができます。しかし、そんな流れから最後は攻撃的なファストチューン「Middle Finger Messiah」で締めくくるあたり、今のSTRYPERの姿勢が伝わってきます。このタフさこそ2000年代のSTRYPERだ、と言ってしまえばそれまでですが、個人的にはポップ&キャッチーな80年代後半の路線も捨てがたいので、もうちょっとポップ度を色濃くしてくれてもいいのになあ……と思ってしまいます。まあ贅沢な悩みですけどね。

日本盤にはバラード「This I Pray」のアコースティックバージョン(ドラムトラックを抜き取ったテイク)を追加収録。オリジナルバージョンが4曲前とアルバムの配置的に間隔がそこまで空いていないので、どうしても2度聴かされている感は否めませんが、これはこれで良いバージョンなのでオマケとしてはアリかな。この曲でしっとり終わる日本盤と、「Middle Finger Messiah」で硬派に締めくくる海外盤、印象はだいぶ変わりますが、僕は前者も捨てがたいなと思いました。

特にここ数作は平均点以上の作品を量産し続けているSTRYPER。そういった作品に安心感を持って触れてきたリスナーには、今作も文句なしに楽しめるはずです。

 


▼STRYPER『EVEN THE DEVIL BELIEVES』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


▼V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』
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2019年11月13日 (水)

MICHAEL SWEET『TEN』(2019)

2019年10月上旬にリリースされた、マイケル・スウィートSTRYPER)の8thソロアルバム。日本盤は1ヶ月遅れて、同年11月上旬に発売されています。

タイトルは10作目を表すってことで『TEN』なのかな。ジョージ・リンチとのSWEET & LYNCH名義の2作を含めると10作目ですしね。にしてもこの人、2013年から毎年何かしらアルバムを発表しているんですよね。2013年はSTRYPERで2作(リメイクアルバム『SECOND COMING』とオリジナルアルバム『NO MORE HELL TO PAY』)、2014年はソロアルバム『I'M NOT YOR SUICIDE』、2015年はSWEET & LYNCHで『ONLY TO RISE』とSTRYPERで『FALLEN』、2016年はソロ名義の『ONE SIDED WAR』、2017年がSWEET & LYNCHでの2作目『UNIFIED』、2018年はSTRYPERの最新作『GOD DAMN EVIL』、そして今年はこのソロアルバム。老いてなお盛ん。

さて、今回のソロアルバムですが、全12曲中11曲にフィーチャリングアーティストとしてゲストプレイヤーを迎えて制作しています。その内訳もジェフ・ルーミズ(G / ARCH ENEMY)、Marzi Montazeri(G / EXHORDER、ex. PHILIP H. ANSELMO & THE ILLEGALS)、ガスG.(G / FIREWIND)、ジョエル・ホークストラ(G / WHITESNAKE、ex. NIGHT RANGER)、トレイシー・ガンズ(G / L.A. GUNS)、リック・ワード(G / FOZZY)、トッド・ラ・トゥーレ(Vo / QUEENSRYCHE)、ウィル・ハント(Dr / EVANESCENCE)などと、とにかく豪華なメンツ。思えば前作『ONE SIDED WAR』にもウィル・ハントやジョエル・ホークストラは参加していたので、おなじみのメンツって感じですかね。

本作、元々は10曲入りの構成が基本で、「With You Till The End」と「Son Of Man」の2曲がボーナストラック扱いだったので、本来は10曲入りだから『TEN』って意味だったのかな。今となってはどうでもいい話ですが。

気になる中身ですが、2曲を除いてすべてマイケル・スウィート単独で書き下ろしたオリジナル曲。残り2曲もマイケルとジョエル・ホークストラとの共作なので、まあ全曲マイケルのオリジナルと言い切っても間違いではないでしょう。なので、従来のソロ作品の延長線上にある“メタリックで、かつポップで親しみやすいHR/HM路線”をキープしています。ファストナンバーやミドルヘヴィ、バラードとバランスよく配分されており、どの楽曲もツボを心得た作風です。が、最近のSTRYPERよりもシンプルさが際立つ楽曲が多い印象も。そこで好き嫌い(いや、嫌いはないな。好みから外れるくらいか)が分かれるかも。

ゲストプレイヤーに関しては……正直、“らしい”ものもあるし、別にクレジットがなければ気づかないといったものもある。セールスのための打ち出し方としては正しいんでしょうけど、個人的にはおまけ程度かな。とにかく曲が良くて、マイケルが力強く歌ってくれたらそれでよし。

そういった意味では、マイケルが関わる作品はどれも好きという人には間違いなく引っかかる1枚だし、STRYPERのように豪華なコーラスを重視するメロハー好きにはちょっと違うかな?と感じるんでしょうか。それはそれとして、純粋によく作り込まれたメロディアスハードロック作品のひとつであることには違いありません。うん、今回も力作でした。

 


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2019年11月12日 (火)

STRYPER『SOLDIERS UNDER COMMAND』(1985)

1985年5月にリリースされた、STRYPERの1stフルアルバム。日本では同年8月に発表されました。

デビュー作となった『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』(1984年)は当初6曲入りのミニアルバム形式でしたが、のちに「My Love I'll Always Show」「Reason For The Season」などを追加した形で再発。こちらを1stアルバムと捉える方も多いようです。

とはいえ、STRYPERの人気や存在を決定づけたという点においては、本作『SOLDIERS UNDER COMMAND』に軍配が上がるのではないでしょうか(セールスなどトータル面では続く『TO HELL WITH THE DEVIL』なんでしょうけど)。

マイケル・ワグナー(ACCEPTDOKKENMETALLICAなど)をプロデューサーに迎えて制作された本作は、Enigma Recordsという当時さほど大きくなかったインディーズレーベルの制作にわりにはかなり完成度の高いヘヴィメタルアルバムに仕上がっています。彼らは次作『TO HELL WITH THE DEVIL』でミドルテンポの楽曲が軸の作風にシフトしてしまうのですが、本作に関しては疾走感の強いアップチューンも複数用意されており、メタルアルバムとしてはとてもバランス感に優れた構成/内容と言えるでしょう。

とにかく、オープニングを飾るタイトルトラック「Soldier Under Command」からしてパーフェクト。彼ら特有の美しいハーモニーもしっかり用意されており、メロディ自体は非常にキャッチーで親しみやすいものなのですが、ギターリフやソロプレイなどを含む演奏面でのアグレッシヴさが適度に保たれていることから、ヤワに感じることはゼロ。その流れから美メロ&美ハモの「Makes Me Wanna Sing」へと続いても違和感なしで、この爽快感こそがSTRYPERの醍醐味だと改めて実感することができるはず。

「First Love」や「Together As One」のような美しいバラードもあれば、メタリックで前のめりな「The Rock That Makes Me Roll」もポップな「(Waiting For) A Love That's Real」も軽やかな「Reach Out」もあるし、マイケル・スウィート(Vo, G)のハイトーンが印象的なミドルヘヴィ「Surrender」もある。ラストの「Battle Hymn Of The Republic」まで本当に捨て曲なし、完成度の高い美メロHR/HMアルバムだと断言できます。

確かに歌詞の面ではキリスト賛歌と呼べるような内容ばかりですし、「Soldier Under Command」にしても〈俺たちは神の使命を受けた兵隊だ〉って内容ですからね。普段ヘルやサタンだって歌詞にばかり触れてきた輩には敷居の高さを感じてしまうでしょうけど(笑)、これはこれで全然アリ。僕自身はクリスチャンでもなんでもありませんが、歌われている内容含めてスッと入ってくる、理解できるものなのでノー問題です。

とにかく、メロディックHR/HM作品として非常に高品質な1枚なので、偏見を捨てて一度触れてみてはいかがでしょう?(って言いながら、実は日本ではストリーミング配信されてないのですが。残念 → 2020年5月14日現在、本作の国内ストリーミング配信が解禁されていました!)

 


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2016年12月26日 (月)

STRYPER『FALLEN』(2015)

アメリカのクリスチャンメタルバンド、STRYPERが2015年秋に発表した通算11枚目のオリジナルアルバム。彼らは80年代半ばから後半にかけて活躍するものの、90年代に入ってしばらくすると解散。スポット的な復活がありながらも、2003年から本格的に復活。解散前(5枚)と解散後(6枚+α)では、解散後のほうがすでにアルバム制作枚数が多いんですね。ホント、勤勉なバンドだと思います。

しかし、『TO HELL WITH DEVIL』(1986年)、『IN GOD WE TRUST』(1988年)の時期が個人的なピークだったこともあってか(『IN GOD WE TRUST』期には武道館公演にも足を運ぶくらい好きでしたし)、なぜか再始動後のオリジナルアルバムには一切触れずに来ました。たぶん、再レコーディングされた「In God We Trust」(2005年のアルバム『REBORN』収録)が個人的にピンと来なかったのが理由だと思います。

しかし、マイケル・スウィートのソロアルバムレビューに書いたように、昨年SWEET & LYNCHのアルバムをきっかけにSTRYPER熱が再発。しばらくはSWEET & LYNCHを聴き返す日々でしたが、半年以上経ってから発売されたこの最新アルバム『FALLEN』でようやく新生STRYPERを本格的に聴き始めたわけです。

アルバムを聴いてまず感じたのは、「あ、これ僕が知ってる“あの”STRYPERだ!」ってこと。多くの再結成バンドが解散前の作品をなかなか超えられないのと同様に、STRYPERも『SOLDIERS UNDER COMMAND』(1985年)から『IN GOD WE TRUST』あたりの作品を超えるのは難しいんじゃないかと勝手に思い込んでいたんです。

ところが1曲目「Yahweh」(日本語で言うところのエホバの意)の冒頭、聖歌のようなコーラスから始まり、曲が進行するにつれ曲調が次々に変化していくアレンジにいきなり惹きつけられます。その後も「Fallen」「Pride」といった彼ららしいミディアムテンポの楽曲があったり、アコースティックバラード「All Over Again」があったり、クリスチャンバンドがBLACK SABBATHをカバーする意外な「After Forever」、ストレートなファストナンバー「Till I Get What I Need」「The Calling」「King Of Kings」など、どこを切っても「これぞSTRYPER!」という楽曲ばかり。終盤の畳み掛けも気持ちいいし、とにかく最後まで飽きずに楽しめる良質のハードロックアルバムに仕上がっています。

ひとつだけ難をつけるとするならば、「Together As One」「Honestly」「I Believe In You」といった過去のアルバムに必ず1曲は収録されていたピアノバラードがなかったこと。「All Over Again」にようにレイドバックしたバラードも悪くないですが、上記に挙げたピアノバラードのSTRYPERにとっては大きな武器のはず。なかなかこれらの楽曲を超えるのは難しいかと思いますが、ぜひ今後は新たなピアノバラードでリスナーを感涙させてほしいなと思います。

同時代にシーンを盛り上げたバンドたちが同じように再結成するも、なかなかここまでのレベルの作品を生み出せていない現在。STRYPERのようなバンドの存在は非常に貴重です。今年4月の来日公演も大成功だったようですし、今後もこのまま安定した活動継続と良質な作品発表を続けてほしいですね。



▼STRYPER『FALLEN』
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