DAMN YANKEES『DON'T TREAD』(1992)
1992年8月11日にリリースされたDAMN YANKEESの2ndアルバム。日本盤は同年9月25日発売。
DAMN YANKEESはジャック・ブレイズ(Vo, B/当時ex. NIGHT RANGER)、トミー・ショウ(Vo, G/ex. STYX)、テッド・ニュージェント(Vo, G)、マイケル・カーテロン(Dr/LYNYRD SKYNYRDなど)という70〜80年代に一世を風靡したバンドのメンバーで構成された“スーパーグループ”。デビューアルバム『DAMN YANKEES』(1990年)は「Coming Of Age」(全米60位)、「High Enough」(同3位)、「Come Again」(同50位)のヒットも手伝い、最高13位/ダブルプラチナム(200万枚)の大ヒットを記録しました。
前作から2年半ぶりに届けられた2作目は、基本的にデビューアルバムの延長線上にある作風。引き続きロン・ネヴィソン(HEART、SURVIVOR、EUROPEなど)がプロデュースを手がけた、非常に高品質なアメリカンハードロックアルバムに仕上がっています。ただ、前作が80年代の空気を孕んだ質感だったのに対し、今作は若干ヘヴィネスさが強調された90年代らしい方向性と言えなくもありません。
例えば、オープニングを飾るグルーヴチューン「Don't Tread」や続く「Fifteen Minutes Of Fame」のように、同系統のミドルチューンを冒頭に並べるあたりも、時代と言えなくもないのかなと。また、どちらの曲も5分前後と比較的長めで、演奏面に特化したアレンジが施されている(テッド・ニュージェントによるギターソロも大々的にフィーチャーされていますしね)。
また、前作でパワーバラード「High Enough」が大成功を収めたこともあり、全11曲中2曲(「Where You Goin' Now」「Silence Is Broken」)、もっと言えば「Someone To Believe」もバラード寄りなので3曲とカウントできなくもない(まあ「Someone To Believe」は「Come Again」タイプですけどね)。当時のレコード会社の意向なのか、なんだかNIGHT RANGERと同じ道を進みそうな気がして、当時はヒヤヒヤしたことを覚えています。
「Firefly」や「Uprising」のようなアップチューンも含まれているものの、やはり全体的には上記の「Don't Tread」を筆頭としたミドルチューンとバラード調楽曲の印象が強く、もうちょっとバランス感が良かったデビューアルバムと比べてしまうと若干のマンネリ感も否めない。個々のエゴが強まったぶん、バンドとしての調和が以前ほど取れなくなってきた結果が、このアンバランスさにつながったのかもしれません。
1曲1曲を取り出せば良い曲も多く、NIGHT RANGERを筆頭とするAORや産業ロック寄りの音が好みのリスナーならスッと入っていける作品ではないでしょうか。あと、前作以上にクリアでダイナミックなサウンド/音質は特筆しておきたいなと。このへんはミックスを手がけたクリス・ロード-アルジ(マドンナ、プリンス、MY CHEMICAL ROMANCE、MUSEなど)の手腕によるものが大きいのでしょう。良い意味で時代を感じさせない質感なので、今の耳にも合っている気がします。
残念ながら、このアルバムを最後にバンドは活動休止。その後何度かスポット的に復活していますが、継続的な活動は望めず、今のところ本作がラストアルバムとなっています。
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