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カテゴリー「Suede」の13件の記事

2020年8月23日 (日)

SUEDE『HEAD MUSIC』(1999)

1999年5月初頭にリリースされたSUEDEの4thアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年4月下旬に発売されました。

ブレット・アンダーソン(Vo)、マット・オズマン(B)、サイモン・ギルバート(Dr)にリチャード・オークス(G)、ニール・コドリング(Key, G)を加えた新編成で制作した前作『COMING UP』(1996年)がデビュー作『SUEDE』(1993年)以来の全英1位を獲得し、本国では初のプラチナアルバムに。さらに同作からは「Trash」(全英3位)や「Saturday Night」(同6位)など5曲ものTOP10ヒットを生み出し、バンド史上最大のヒットを飛ばすことになりました。

前作と同じ編成で再びスタジオ入りしたSUEDEは、それまでのエド・ビューラーからスティーヴ・オズボーン(NEW ORDERPLACEBOU2など)へとプロデューサーを変更し、そのサウンドにもテコ入れ。グラムロックの影響下にあったタフでポップなバンドサウンドに、ダンスミュージック的エレクトロニクスの要素を加えた新機軸を打ち出します。

ヒットした「Electricity」(全英5位)や「Everything Will Flow」(同24位)、あるいは「She's In Fashon」(同13位)など前作の延長線上にあるポップロックをベースにしつつ、そこに「Savoir Faire」や「Down」、「Head Music」のようにエレクトロの色合いを強めた楽曲が並ぶ。かと思えば、「Can't Get Enough」(同23位)や「Elephant Man」のようなドギツいグラムロックもしっかり用意されていて、楽曲単位では非常に“SUEDEらしい”ナンバーばかりなのです。

しかし、それなのに不思議と“らしくない”という批判の声が多かったアルバムでもある。きっと、『COMING UP』に当時の“らしさ”を求めたブリットポップ・リスナーからしたらクラブミュージックに片足突っ込んだ“脱ロック”的な姿勢が気に入らなかったんでしょうね。

ちゃんと聴けば、「Down」のような楽曲は前作までにも存在したし、メロディそのものは非常に素晴らしいものがあるはず。なのに、その表現方法がこれまでと違ったものだから……悲しいですね。

確かに全体的なクオリティとしては、中途半端さは否めません。もっとエレクトロの色を強めて舵を切ったほうが潔かったのかもしれない。けど、それをやれない(やらない)のもSUEDEの信念であり、同時に弱点でもあったわけですが。

本当にね、1曲1曲は非常に素晴らしいんですよ。シングルカットされた楽曲はどれも高品質ですし、「He's Gone」や「Crack In The Union Jack」みたいに刺さる曲もあるし。前作の完成度が高すぎたばかりに、ちょっと割りに合わないグレーな評価が下されてしまった、非常に残念な1枚。でも、キャリア3作目となる全英1位はしっかり獲得しているんですけどね。

にしても、『HEAD MUSIC』というタイトルでこういうサウンドを提供するセンス、好きだなあ。

 


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2019年10月 4日 (金)

SUEDE『COMING UP』(1996)

1996年9月にリリースされた、SUEDE通算3作目のオリジナルアルバム。

前作『DOG MAN STAR』(1994年)完成直前にバーナード・バトラー(G)が脱退し、同作のツアーには当時若干18歳のリチャード・オークスを起用。そのまま正式加入すると、バンドは新たにニール・コドリング(Key)を加えた5人編成でレコーディングに突入。過去2作を手がけたエド・ビューラーを迎えて完成されたのが、このキャリア最大ヒット作となった3rdアルバムです。

本作からは先行シングル「Trash」がまず全英3位と過去最高位を記録。これを受けて、アルバムもデビュー作『SUEDE』(1993年)に続く2作目の全英1位を獲得しました。その後も「Beautiful Ones」(同8位)、「Saturday Night」(同6位)、「Lazy」(同9位)、「Filmstar」(同9位)と計5曲ものTOP10ヒットを生み出し、アルバム自体もキャリア初となるプラチナムに認定されました。

過去2作にあったダークさや、淫らで危うい影の部分が払拭された本作は、突き抜け感がハンパなく、まばゆいほどの光を放っているポジティブな1枚。〈We're the trash you and me〉と歌われるリード曲「Trash」は、このフレーズを筆頭に歌われている内容は過去2作を踏襲したものと言えますが、今作ではそのネガティブさを肯定し、受け入れ、それでも前に進もうとするポジティブさが伝わってきます。

つまり、精神性は何ら変わっていないのに、それらを表現する手段がマニアックなものからポピュラリティの高いものへとシフトしたことで、それまで見向きもしなかった人までもを巻き込むことに成功した。これが彼らの大ブレイクの理由だったのかなと。確かにリリース当時、初期のいなたさを愛好するバーナード派からはそっぽを向かれました。しかし、そういったネガティブ要素を払拭するほどの勢いが当時に彼らに備わっていたのもまた事実です。

とにかく、どの曲もよく作り込まれていてキャッチー。そりゃあアルバム収録曲の半分がシングルカットされても不思議じゃないわ。しかも、時代はブリットポップ最盛期。彼らもその流行にうまく乗ることができたわけです。

初期2作の完成度も捨てがたいですが、本作の無敵感もまた何物にも変えがたいものがある。どれが一番好きかと問われると本当に悩みますし、日によって変わってくるとは思いますが、やっぱりアンセミックなロックチューン「Trash」から始まり、再びアンセミックなバラード「Saturday Night」で幕を下ろす本作はタイミングや心情を選ばず、いつ聴いてもベストだと思います。

そういった意味では、もっとも初心者にオススメしやすい1枚かもしれません。

 


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2019年6月 7日 (金)

SUEDE『DOG MAN STAR』(1994)

1994年10月に発表された、SUEDEの2ndアルバム。

デビューアルバム『SUEDE』(1993年)はブリットポップ前夜のリリースながらも全英1位を獲得し、早くもトップバンドの仲間入りを果たします。と同時に、ブレット・アンダーソン(Vo)のスキャンダラスな発言が一人歩きすることで、音楽面以上にそちら側で話題になることも増え、そういった状況に嫌気がさしたバーナード・バトラー(G)は2ndアルバム完成直前にバンドを脱退。ギターのレコーディングはすでに完了していたこともあり、本作『DOG MAN STAR』はバーナード在籍時最後のスタジオ作品となってしまいました。

アルバムリリースと前後して、オーディションを経て新ギタリストのリチャード・オークスが加入。当時まだ17歳というその年齢に驚かされましたが、個人的には「バーナードのいないSUEDEなんて……」という思いが強く、この時期の彼らに対しては消極的だったことをよく覚えています。

しかし、それと作品の完成度は別の話。1stアルバムも確かに素晴らしい内容ですが、現在までにおいてSUEDEというバンドのなんたるかが的確に表現されているのが実はこの2ndアルバムではないかと信じています。それくらい寸分の隙もない、徹底した完成度の1枚なのです。

いわゆるギターロック然としたイメージの強かった前作と比べると、本作はその要素も残しつつ(「Heroin」「New Generation」など)、よりダークでディープな方向へと突き進んでいます。どこか黒魔術を思わせる不気味なオープニングトラック「Introduction The Band」や、重量級のロッカバラード「This Hollywood Life」なんて、前作では考えられなかった方向性でしょう。ブラスセクションをフィーチャーした「We Are The Pigs」もまた然り。

ですが、本作最大の聴きどころ(山場)は多数用意されたスローナンバー、これなのですよ。前半だったら超名曲の「The Wild Ones」や「The Power」といったドラマチックでセンチメンタルな楽曲群は、グラムロック期のデヴィッド・ボウイと完全に重なるし、後半のクライマックスとなる「The 2 Of Us」から「Still Life」までの4曲の流れは本当に壮絶なものがあるし、中でも9分半にもわたる「The Asphalt World」のアレンジ(およびバーナードのギタープレイ)・構成は圧巻の一言です。この後半のためだけに本作を購入しても決して損しないと言い切れるほど、名作中の名作なのです。

ここで初期のスタイルを完璧な形で完結させてしまったSUEDE。ギタリストの交代ということもあり、この後の方向性を模索することになるのは仕方ないわけですが、にも関わらず次作『COMING UP』(1996年)で新たな最盛期を築き上げてしまうのですから、本当にこの時期の彼らは神がかっていたわけです。

 


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2018年12月31日 (月)

2018年総括(1):洋楽アルバム編

2018年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2018年気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)、そして今年印象に残ったライブ10本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

今年はまず最初に、次点の10枚から紹介していきたいと思います。たまにはやり方を変えて、新鮮さを保たないとね。

<次点>
・BLOOD ORANGE『NEGRO SWAN』
・CHVRCHES『LOVE IS DEAD』
・JACK WHITE『BOARDING HOUSE REACH』(レビュー
・KAMASI WASHINGTON『HEAVEN AND EAERTH』
・KURT VILE『BOTTLE IT IN』
・THE LEMON TWIGS『GO TO SCHOOL』
・MUSE『SIMULATION THEORY』(レビュー
・NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
・STARCRAWLER『STARCRAWLER』(レビュー
・VOIVOD『THE WAKE』(レビュー

メタル系以外は、自宅でまったりしているときに流していることが多かったか、移動中に聴く頻度が多かったものが中心。BLOOD ORANGEやMUSEなんて、まさにそれですね。CHVRCHESはフジロック以降、がっつり聴いていた記憶が。KAMASI WASHINGTONはレビュー仕事でディスク1のみ先に届いて、こっちばかりリピートしてたんだよな。THE LEMON TWIGSは常にセレクトするというタイプではないんだけど、個人的趣味からしてやっぱり外せないなと。KURT VILEも然り。

STARCRAWLERは今年1月のリリースだったけど、ちょっと12月まで持続させられなかったな、自分の中で。今年後半、もうひと跳ねあったら、自分内評価もまた変わったのかも。

さて、続いてここからが本編。僕が選んだ2018年の洋楽アルバム10枚です。

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2018年11月 9日 (金)

SUEDE『THE BLUE HOUR』(2018)

2018年9月リリースの、SUEDE通算8枚目のスタジオアルバム。再結成後としては3作目のアルバムとなり、過去2作でプロデュースを務めた(初期作でおなじみの)エド・ビューラーが離れ、新たにアラン・モウルダーが初プロデュースを担当しています。

復活後の『BLOODSPORTS』(2013年)、『NIGHT THOUGHTS』(2016年)、そして本作は三部作を想定して制作されたそうで、その最終章となる今作は映画のサントラ的テイストが好印象だった前作を引き継ぐ、“これぞSUEDE!”なお耽美アルバムに仕上がっています。

本作のタイトル『THE BLUE HOUR』とは、日の出前と日の入り後に発生する空が濃青色に染まる時間帯を指します(アルバムジャケットで表現されている、まさにこの絵ですね)。つまり、深夜を表現した『NIGHT THOUGHTS』から夜明けまでの短い時間帯、その刹那を凝縮したのがこのアルバムなわけです。もう、この時点でSUEDEそのもの。聴く前から「これは傑作に決まってる!」と勝手に決めつけていました。

で、実際に聴いたら……これ、キャリア最高傑作じゃないか?って言いたくなるくらい、本当に素晴らしい内容なんです。問答無用のデビューアルバム『SUEDE』(1993年)はもちろん、続く『DOG MAN STAR』(1994年)や大ヒット作の3rdアルバム『COMING UP』(1996年)に並ぶ、いや、僕個人としては(現時点では)それらを超えたと言いたくなるくらい、圧倒的な内容だと思うのです。

序盤のドラマチックな流れといい、その楽曲群を見事な形で表現する楽器隊、「これしかない!」と言わんばかりに唯一無二なブレット・アンダーソン(Vo)のボーカル。すべてが完璧なバランスの上で成り立っており、そのどれもが他者を邪魔しない控えめさを持ち合わせている。なのに、「これじゃなくちゃダメ!」と納得するぐらいの説得力と存在感も兼ね備えている。だけど、どこかいびつ……うまく表現できないのですが、本当にそんなアルバムなのです。

パワフルなギターロックもあれば、ストリングスを効果的に用いたスローナンバーも多数用意。むしろ、そっちが中心なのですが、だからといってロックバンド的なパンチが弱いかと言われると、全然そんなことがない。むしろ、このバンドの場合はそっち側でノックアウトを狙ってくるから油断大敵。気づけばハートを鷲掴みにされ、目には涙が……みたいなことになるので、聴く際には細心の注意を。

曲単位でこれが好き!というよりも、アルバム全体を通してひとつの曲(組曲)みたいなアルバム。そう思っていたのですが、ふとしたときにYouTubeでたどり着いた「Life Is Golden」のMVにドキリとさせられ、気づいたらこの曲を延々リピートしていた。歌詞の内容とチェルノブイリの廃墟感を表した映像に後頭部を思いっきり殴られたような衝撃を受けました。個人的にこんな1曲がまたSUEDEの中から出てくるなんて、想像もしてなかったから本当に不意打ちを食らった気分です。

地味だけど豪華。そして濃厚。2018年はまだ終わっていませんが、間違いなく本年度のベストアルバムです。



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2018年4月26日 (木)

SUEDE『SUEDE』(1993)

本国イギリスで1993年3月末、日本では同年4月頭にリリースされたSUEDEのデビューアルバム。前年に発表されたシングル「The Drowners」(全英49位)、「Metal Mickey」(同17位)のスマッシュヒットや、バイセクシャルをイメージさせるブレット・アンダーソン(Vo)の発言などもあり、バンドは急速に注目度を高め、アルバム直前のシングル「Animal Nitrate」はついに全英7位まで上昇。続くアルバムも当然のように全英1位に輝き、いきなり大ヒット作となったのでした。また、同作からは続いて「So Young」もシングルカットされ、全英22位にランクインしています。

ブリットポップ勃発直前に、こういった時代錯誤なグラムロック的バンドがシーンに登場するというのがいかにもイギリスらしく、当時ロックシーンのど真ん中にいたNIRVANAPEARL JAMのようなアメリカ産ロックバンドとは違った異端ぶりを発揮。そりゃあ食いつきますよね、僕。大好物ですもの、こういうバンド。

70年代のデヴィッド・ボウイやROXY MUSIC、80年代のU2(初期3部作に限定)やTHE SMITHSという我々がイメージするUKロック(厳密にはU2はUKじゃないけど)の延長線上にあり、のちに爆発的人気を博すBLURやOASISとは異なる“お家芸”を90年代初頭というマンチェスタームーブメント末期にドロップする心意気。時にヘヴィに、時に耽美にと変化するねちっこいバンドサウンドと同性愛や近親姦、獣姦などスキャンダラスなテーマを扱う歌詞。なのにキャッチーでわかりやすいメロディと、至るところに散りばめられている毒。ブレットの中性的な歌声と、バーナード・バトラー(G)の“裏メロ”と呼びたくなるくらいに歌いまくるギタープレイなど、特徴的なポイントを多数持ち合わせており、時代の変わり目に突如咲いた徒花のわりにアホほど売れた……いや、単なる徒花ではなかったことは、次作以降で証明されていくわけですが。

シングル曲の出来はもちろんのこと、それ以外の楽曲も本当に素晴らしい。「She's Not Dead」や「Pantomime Horse」、「Sleeping Pills」「The Next Life」など本当に捨て曲なし。シングル曲はミドルテンポのロックチューンばかりですが、アルバムでたっぷり聴ける繊細なバラードナンバーもこのバンドの大きな魅力と言えます。次作以降、そういった面をシングルでも切っていくことで、そういった要素はさらに広く伝わっていくことになるのですが、まあスキャンダラスさを打ち出すという意味においてはデビュー作からのシングルの切り方としては間違ってなかったのかもしれませんね。

とにかく名盤。文句なしの名盤。もちろん、2ndアルバム『DOG MAN STAR』(1994年)も3rdアルバム『COMING UP』(1996年)も名盤ですけど、この輝きや存在感はデビュー作ならではのもので、別格ではないでしょうか。

リリースから今年で25年。先日、レアトラックを多数収録した4CD+DVDのボックスセットも発売されたばかりですが、こちらとしてはもっと気軽に90年代の作品が聴ける環境を作ってほしいなと思っているのですが。意外ですよね、ベスト盤以外の再結成前の諸作品が配信されていないのって。



▼SUEDE『SUEDE』
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2017年8月28日 (月)

SUEDE『NIGHT THOUGHTS』(2016)

SUEDEが2016年2月に発表した通算7作目、再始動後2作目となるオリジナルアルバム。前作『BLOODSPORTS』(2013年)は非常に“らしい”アルバムでしたが、そこに少々意図的なものも感じられたりして。力作だけど傑作とは言い難い1枚でした。もちろん、復帰作としては十分な内容だったし、特に3rdアルバム『COMING UP』(1996年)以降の彼らが好きという人なら間違いなく気に入ったはずです。

が、初期愛好家(苦笑)としては、やはり1st『SUEDE』(1993年)や2nd『DOG MAN STAR』(1994年)のカラー……あの耽美さがないとどうにも居心地の悪さを感じてしまうのも、また事実。確かに『COMING UP』も、続く『HEAD MUSIC』(1999年)もお気に入りだけど、“なぜ自分がSUEDEというバンドを好きになったか?”という原点に立ち返ると、どうしても初期にあったいかがわしさや耽美さを求めてしまうわけです。

で、この『NIGHT THOUGHTS』というアルバム。まずタイトルがお耽美。だって邦題が「夜の瞑想」ですよ? 悪いわけがない。もうこの時点でハードルクリア(安いな自分)。

しかもイギリスの詩人エドワード・ヤングの詩集『夜想詩』からインスパイアされた本作は、完全なるコンセプトアルバム。1曲目「When You Are Young」からラストの「The Fur & The Feathers」まで、ほぼ曲間なしで展開されていく構成は圧巻の一言です。楽曲自体も『DOG MAN STAR』と『COMING UP』の中間、いや、若干『DOG MAN STAR』側に寄った、作り手やリスナーの心のダークサイドをえぐるような力強さ、優しさ、儚さ、悲しさが凝縮されている。耽美な曲やひたすら耽美に、パワフルなロックチューンはひたすらパワフルに。いろんな意味で振り切れた、まさに「これぞSUEDE!」と宣言したくなる1枚なのです。

正直、再結成を遂げたバンドが全盛期を超える、あるいはそこに匹敵するような作品を作ることは、今や誰も望んでいないというか、なかば諦めているんじゃないかと思うんです。「いいよいいよ、君たちはそこにいてくれるだけで。ちゃんとライブさえやってくれたらいいんだよ」と、どこか新作発表から逃げているところはあるはずなんです。でも、SUEDEは「どうせ復活したんだから」と、好き放題やった。しかも、その好き放題が我々が望むベクトルと見事に一致した。こんなに素晴らしい結果はないんじゃないでしょうか。

ブレット・アンダーソン(Vo)の歌声もマッチョ化した後期のそれとは異なり、曲によっては初期の艶やかな声を聞かせてくれるし、リチャード・オークス(G)のプレイもどこか前任バーナード・バトラーのそれと重なる瞬間がある。これまでは完全に別モノとして捉えていたけど、ここまでシンクロするなんて、ただただ驚きです。

これからSUEDEを聴いてみようという人にもまっ先にオススメできる1枚。ぜひ初期3作と一緒にこの最新作も聴いてほしいと思います。



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2017年1月 9日 (月)

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon)(レビュー

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon)(レビュー

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

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2016年12月31日 (土)

2016年総括(1):洋楽アルバム編

2016年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2016年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ5本(2015年は3本)をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

・ADRIAN YOUNGE『SOMETHING ABOUT APRIL II』(amazon

・BON IVER『22, A MILLION』(amazon

●DAVID BOWIE『★』(amazon)(レビューはこちら

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2015年1月13日 (火)

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

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