2003年4月21日 (月)

SUPER$HiT 666『SUPER$HiT 666』(2000)

もしあなたがロックンロール大好きっ子だったなら。そしてそんなロックンロールの中でも疾走感があってノイジーでそれでいてメロディアスでけど最終的には暴力的な、そんなロックンロールを求めているのなら、迷わずこのアルバムを手にすればいいと思います。この6曲入り、約18分に及ぶ爆音の嵐のようなミニアルバムを聴いても何も感じないのなら、きっとあなたは……本当はロックンロールが好きじゃなかったんですよ。ええ、間違いなく。そんなセリフすら出てきてしまう程、とにかく凄いアルバム。

だってね、メンツがハンパじゃないもの。爆走ロックンロールに精通している人なら勿論このバンド(というかユニットですかね)のことはご存じでしょうけど、知らない人の為に紹介しておきますと‥‥ギター&ボーカルにジンジャーTHE WiLDHEARTS / SiLVER GiNGER 5)、同じくギター&ボーカルにドレゲン(BACKYARD BABIES / 初期THE HELLACOPTERSのメンバーとしても知られている)、ドラム&ボーカルにニッケ・ロイヤル(THE HELLACOPTERS)、そしてベースにトーマス・スコグスバーグ(BACKYARD BABIESやTHE HELLACOPTERS等を手掛ける、北欧爆走ロック界では有名なプロデューサー)……この4人によって形成されているのが、このバンドSUPERSHIT 666。なんて馬鹿馬鹿しいバンド名だろう。「SHIT」に「SUPER」がついて、更に西洋では不吉な数字といわれる「666(獣の数字とか言ってたな)」まで付けるタチの悪さ。これほどバンド名と音とが一致してることも少ないよね。

元々はTHE WiLDHEARTSを解散したジンジャーが、ドレゲンと共に何かやろうってことになり、だったらニッケも誘おう、そしてどうせなら「ニッケがドラムを叩く姿を見たい」というリクエストから、ENTOMBED(ニッケが'90年代中盤まで在籍していたデスメタル・バンド。途中からTHE HELLACOPTERSをサイドバンドとして結成し、掛け持ちで活動していたが、後に脱退。その後ENTOMBEDは爆走系バンドへと進化していく)時代は素晴らしいドラマーだったことを我々に再認識させるいい切っ掛け作りとなったのでした……こんなイージーな流れで結成され、ほんの短期間で録音され、まず'99年末に日英でリリースされたオムニバス盤『UP IN FLAMES』に「You Smell Canadian」が先行収録され、話題を呼び、'00年初頭にいよいよこのアルバムがリリースされました。

たった6曲しか入っていないと思うかもしれませんが、この6曲がもうメチャクチャ魅力的な曲ばかり。1曲目「Wire Out」の疾走感からしてググッとくるし、2曲目の「Fast One」なんてまんまMOTORHEADの「Overkill」だし(特にエンディングで、まんまのフレーズまで登場する程)、3曲目"Dangermind"はIGGY POPSTOOGESを彷彿させるノリだし、先述の「You Smell Canadian」なんて、まんまジーン・シモンズが歌ってそうなKISSナンバーだし、後にBACKYARD BABIESによってセルフカバーされた「Star War Jr.」もメロディが素晴らしい名曲中の名曲だし、最後「Crank It Up!」はニューヨークの爆走バンドTHE RODSの爆走カバー。たった18分、アッという間なんだけど、異常に密度の濃い瞬間を味わうことができます。

基本的にはジンジャー、ドレゲン、ニッケの3人がそれぞれボーカルを取り、あるはツインボーカルだったりするんですが、ボーカル自体にかなりディストーション気味のエフェクトがかかっている為、コアなファン以外はなかなか区別がつかないかもしれませんが……聴いてるうちにその違いが見えてくるはずです。ですのでここでは誰がどの曲を歌ってるという解説まではしません(単に俺が面倒なだけ/笑)。けど……THE WiLDHEARTS、BACKYARD BABIES、THE HELLACOPTERSをそれぞれ聴いてきている人なら判るはず。

そうそう、ゲストコーラスで同じくBACKYARD BABIESからボーカルのニッケ・ボルグと、先頃再結成した3 COLOURS REDのクリス・マコーマック(THE WiLDHEATSのベース、ダニーの実弟)が参加してる点も、爆走系好きにはたまらない要素ではないでしょうか?(ま、一聴しただけでは、ホントにニッケとクリスが歌ってるのか判断出来ませんけどね)

ジンジャーに関して言えば、THE WiLDHEATSの1回目の解散('98年秋)から正式な再結成('01年春)までの数年間に、ソロやSiLVER GiNGER 5のようなバンドを結成して活動してきましたが、結局このSUPERSHIT666での仕事が一番優れた内容だったというのは、何だか皮肉というか……ま、脇を固める(というか、ここではあくまでジンジャーが脇役なんですが)ニッケ・ロイヤルもドレゲンもクセの強いシンガー/ソングライターですからね。それが見事に化学反応を起こした成功例といえるでしょう。ジンジャー自身は今後もSUPERSHIT 666としてフルアルバムを作りたいという構想があるようですが、なかなか全員のスケジュールが揃わないのと、興味をそれ程持ってないメンバーがいる(苦笑)点等でなかなか上手くいかないようですね(だってグラマラスなハードロックを嫌うニッケがいるのに、ジンジャーは「ベースにニッキー・シックス(MOTLEY CRUE)を起用したい」とか宣ってるんだからさぁ)。ま、今後また新しい音源が聴けるようなことがあれば、それはそれで万々歳ですけどね!

たった6曲入り、20分にも満たない作品集なのに、2000年の10枚に選んでしまう程、このアルバムには「ロックの何たるか」が濃縮されて詰まってます。傑作。つうかこれ以上の解説はいいから、みんなCD屋に走りなってば!



▼SUPER$HiT 666『SUPER$HiT 666』
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投稿: 2003 04 21 04:57 午後 [2000年の作品, Backyard Babies, Ginger Wildheart, Hellacopters, The, Super$hit 666, Wildhearts, The] | 固定リンク

2000年12月31日 (日)

「MY BEST OF 2000」

とうとうミレニアム、ミレニアムって騒いでた2000年もあと十数時間で終わりを迎えようとしてます。思えば今年は本当にいろいろありました。「激動の年」でした‥‥って言おうとしたけど、毎年言ってるな、これは(苦笑)。要するに、それなりに年を重ねていくと、まぁいろいろ大変な事があるって事でしょうか。家族、恋人、会社、友人関係、そしてこのインターネットでも‥‥改めて思うのは、失敗も成功も、いろいろ積み重ねて大人になっていくのだなって事。「汚い大人」と呼ばれようが「ガキ」扱いされようが、他人の評価は他人の評価って事でさ。新たな気持ちで21世紀を迎えようじゃないか、と思うわけです。

さて、恒例となった今年のベストアルバムを選出する企画。俺がこの2000年によく聴いた、愛したアルバム/楽曲を紹介するわけですが‥‥一昨年、去年の10枚と比べると‥‥俺の音楽の趣味が若干変わってきてるような気が‥‥特に今年、それも後半になってそれが顕著に表れたような気がします。例えば‥‥いや、それは下に選んだ10枚をみてから皆さんに判断してもらいましょうか?(尚、特に順位はありません。アルファベット順に紹介してます)


AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』

サマーソニックでのライヴではそこまでピンとこなかったものの、アルバムは激ヤバだった。エモにも括れれば、ヘヴィロックにも括れるそのエモーショナルな音楽に惹かれた人は多く、早くも年明けには単独再来日。もう一度、ちゃんと観たいなぁ‥‥

Cocco『ラプンツェル』

音の質感はファーストの頃に近いものの、内容的には過去2枚を更に越えた、素晴らしいものになってる。丁度祖母の看病~葬式の間に、自身のセラピーとしてよく流していたのがこのアルバム。だからこそ、今でも聴くと心が少し痛む‥‥ライヴとの相乗効果もあって、一生忘れられない作品になりました。

DEFTONES『WHITE PONY』

それ程評価されてないようだけど、この夏最も熱かったのがこのアルバムだと断言するよ。今日も聴いたけど‥‥先のAT THE DRIVE-IN同様、非常にエモーショナルな音楽を聴かせるバンド。トリップホップなんかの要素も感じ取れる、ヘヴィロックの一言で片づけられない存在。早いとこ来日してもらえないでしょうか?

PRIMAL SCREAM『XTRMNTR』

1月リリースって事で印象が薄くなりつつある気がするけど、かなり聴き込んだ1枚。ロック/テクノ/パンク/ダブ等々、自分達が興味を持った要素を全て詰め込むスタイルが、いよいよここで完成型に一歩近付いた気が‥‥これを嫌っちゃう人はもう死んでください!って言えちゃう位にいいんだよぉ、マジで。

RADIOHEAD『KID A』

これが「OK COMPUTER」から2年半後に出された結論。ロックがロックであることを捨てた!? 冗談じゃない! これこそがロックの進化した姿なのだよ。音響系等の要素を取り入れつつ、常に前進しか考えていないトム・ヨークはじめ5人のメンバーには脱帽もんです。しかも5月には早くも次のアルバムをリリースするという‥‥その意欲に敬意を表しつつ、早いとこ来日してください(笑)。

THE SMASHING PUMPKINS『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』

「ブリトニー・スピアーズと同じ土壌で戦う事に~」なんて言い訳はいい。誰が何と言おうが、君達こそが2000年のメインストリームを支えるべき存在だったのではないの? 頂点にいながら常にオルタナティヴであろうとしたビリー・コーガンという男の、戦闘姿勢には頭が下がるよ。前作「ADORE」での実験要素を見事に消化した、過去も現在も未来も詰め込んだ大傑作。これが最後になってしまったというのが、何だか切ない‥‥

SUPER$HIT 666『SUPER$HIT 666』

ジンジャーものとしては昨年末からこれまでに3枚のアルバムが発表されているが、これが一番鳥肌モノでした。たった6曲、20分に満たない内容だが、そこには60分以上もある下らないアーティストの糞アルバムの何百倍ものエキスが凝縮された、激ロックとなっている。ジンジャー以上にニッケやドレゲンの色の方が強いというのも、何だか微笑ましい。つうか、負けるなよ、ジンジャーさんよぉ!?(笑)

UNDERWORLD『LIVE; EVERYTHING, EVERYTHING』

これまでの俺の選出基準からすれば反則だが(ベストやライヴ盤は選出外)、それを覆してでもオススメしたかったのが、この歴史に残るライヴアルバム。いや、どっちかっていうとDVD版の方をオススメしたいのだが‥‥もうねぇ、どんな大袈裟な言葉を並べるよりも、とりあえず聴いて欲しい。

エレファントカシマシ『GOOD MORNING』

「ガストロンジャー」で興味を持ったにわかファンを失望させた(毒舌)大傑作。エレカシがなんたるかを凝縮した、すんばらしい楽曲が詰まってます。初期のぶっきらぼうな表現こそないものの、ここには成長した彼ら(特に宮本)の表現を堪能する事が出来ます。初期のファンも、最近のソフト路線のファンも満足できる1枚なのでは?

中村一義『ERA』

意外だった? ミスチルよりも俺はこっちにピンと来た、というのが正直な感想。彼も嫌われる事が多い存在だが(実は俺も「ジュビリー」聴くまで好きではなかった)、こんなに素晴らしいアルバムを目の前に突きつけられたら、何を言えばいい? 歴史的名曲が山程詰まった、正に2000年の日本のロック/ポップスを代表する1枚。


というわけです。今年は邦楽が3枚でしたね(1999年は4枚)。後半に行くに連れてそうでしたが、日本の、日本語によるロックに更に強く拘った気がします。昨年のこの日記で「(日本のロックに拘る)そういう傾向は年が明けた今年、更に強まってる気がするな」と書いてましたが、本当にそうでしたね。

ヘヴィロックが昨年よりも減った事、そして所謂「癒し系」も全くない事。この辺はどうなんでしょうか?(って言われても、俺自身の事だからね/笑)これまで絶対に手にすることがなかった中村一義なんてもの、我ながら意外だったなぁ。こうやって名前だけ見てみると、今年初めて聴いた(名前を耳にした)アーティストが多いこと。ATDIやDEFTONES、中村一義もそう。それ以外にも、所謂ギターポップ系に更に興味が向かったのも2000年。TFCしかりJ MASCISしかり。

所謂ビッグネームの作品が不作だと感じたのも2000年の特徴。勿論、俺自身にとってね? 昨年の10枚に選んだLIMP BIZKITやRAGE AGAINST THE MACHINE等がそう。まぁレイジの場合はカヴァーアルバムという特質があるものの、どうにもピンとこなかったなぁ。10枚には選ばなかったものの、MARILYN MANSONやOFFSPRINGもそこに入るでしょう。作品的には何ら問題なく、前作を踏まえた上での佳作なのだけど、セールス的にはイマイチ振るわなかったという。特にマリリンは昨年(1999年)の少年銃乱射事件が尾を引いているようですね。ジャケットが反キリスト的だということで、スーパーマーケット等では置かないという事態にまで発展したし(その後、黒塗りジャケットで再発されてます、悲しいことに)。GREEN DAYなんかも音楽性を変えながらもここ日本では成功しましたが、欧米ではイマイチだったようで‥‥

今回選んだ10枚にはやっぱりそれぞれに理由があるわけだけど、やっぱり共感できるか?とか、自分自身と重ね合わせて聴く事が出来るか?ってのが重要になってくるわけです、俺の場合(って昨年と同じ事書いてる俺)。でね、そういう事も踏まえて「どれだけ聴き込んだか?」ってのがポイントになってくるのだけど‥‥聴き込んだにも関わらず、選出されなかった作品もあるわけで。例えば、みんなが「へっ?」って意外に思ったであろうミスチルやBON JOVI。これらは最初選んだ時には入っていたのだけど、結局「今の俺」が選ぶと選出外となってしまったという。まぁ2000年はUNDERWORLD以外は、10位以下もそれ程大差ないんだよね。だって、ホントならここに浜崎あゆみを入れても、俺的には何ら違和感ないわけで。それこそモーニング娘。のアルバムを入れても(冗談抜きで、これはいいアルバムでした。つんくのソングライターとしての底力を改めて見せつけられた気がしたよ)OKなわけで。そういう意味では「更に何でもあり」だったのが、ミレニアムにあたる2000年だったと(って「ミレニアム、ミレニアム」って使えるのも、あと数時間だしね/笑)

毎年毎年書いてるけど、21世紀も沢山の、いろんなジャンルの素晴らしい音楽に出逢えますように‥‥

投稿: 2000 12 31 12:00 午前 [2000年の作品, At The Drive-In, Cocco, Deftones, Primal Scream, Radiohead, Super$hit 666, Underworld, 「1年のまとめ」, エレファントカシマシ, 中村一義] | 固定リンク