syrup16g『Hurt』(2014)
小学1年生だったら中学1年生に上がっているし、中学1年生だったら高校すら卒業している。ゼロ年代以降の音楽シーンで言えば3周、4周ものサイクルで激変している。そう、6年って決して短くない時間だ。
今年6月に突如発表されたsyrup16gの6年ぶりの再結成。これに大きく反応したのは当時受けた“傷”がいまだに癒えない「大人になれない子供」と、シロップをリアルタイムで体験できなかった「あの頃子供だった大人」なんじゃないだろうか。そんな、前に進めずにいた者たちに届けられた6年ぶりの新作タイトルが『Hurt』というのも、実にらしいし興味深い。
再び傷付くために、そして傷付けるために立ち上がったシロップはあの頃と同じように、それでいてちょっとだけ頼もしさを増して僕らに「死んでいる方がマシさ 生きているよりマシさ」と語りかける。このアルバムを聴いたとき、自分は前に進めていなかったのではなく知らず知らずのうちに何歩も前進していたことに気付かされる……そんな、痛みと喜びを伴う怪作の誕生だ。
※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。
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