2017/01/29

SYSTEM OF A DOWN『TOXICITY』(2001)

「脳を犯す」

日本盤の帯に記されたこのキャッチコピーだけで十分に伝わるんじゃないでしょうか。そんなSYSTEM OF A DOWN(以下、SOAD)通算2枚目のスタジオアルバム『TOXICITY』は2001年晩夏にリリースされました。

1stアルバム『SYSTEM OF A DOWN』発売から約3年。この『TOXICITY』発売までの間に、SOADは1999年4月、2001年7月の二度来日公演を実施しています。このうち後者は『FUJI ROCK FESTIVAL '01』での来日で、3日目のGREEN STAGEでヘッドライナーのエミネム、準トリのTOOLに続く3番手というポジション。『TOXICITY』発売直前という絶妙なタイミングで、同作から早くも8曲も披露してくれました。僕もフルではないものの、途中から観てショックを受けたのを覚えています。

プロデューサーは前作から引き続きのリック・ルービンと、メンバーのダロン・マラキアン(G, Vo)。サージ・タンキアン(Vo, Key)もコ・プロデューサーとしてクレジットされています。内容は前作をより押し進めたもので、変態度、ハードコア度、そしてエモ度それぞれがメーターを振り切れんばかり。ただ、音が分厚くて暴力的な前作(デイヴ・サーディがミックス)より今作(アンディ・ウォレスがミックス)のほうがより洗練された印象があります。逆に洗練されたことにより、バンドの変態性がより際立ってきたという見方もできるので、これはこれでアリではないでしょうか。

オープニングの「Prison Song」の間を生かしたアンサンブル、激しさとエモさが同居したメロディに、冒頭から心を奪われます。そこから「Needles」を起点に始まるハードコアな流れも抜群だし、その合間に「Chop Suey!」や「ATWA」などの楽曲が挿入されることで、それぞれの魅力をより増幅させることに成功しています。アコースティックギターを導入することでより哀愁味が増した「Chop Suey!」、スローバラードの要素が強い「ATWA」はもちろんですが、ラストの「Aerials」が持つ壮大さも前作以上の広がりを見せていると思います。

本作最大のポイントは、ダロンがプロデューサーとして、そしてボーカリストとして実力を発揮し始めたことではないでしょうか。シンガーとしても活躍場所が前作から格段に増えてますし、今作の(よい意味での)整理された内容は彼の手腕によるものが大きいのではないかと。そして、その才能は2005年発売の二部作へと引き継がれることになります。



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投稿: 2017 01 29 12:00 午前 [2001年の作品, System of a Down] | 固定リンク

2016/12/25

SYSTEM OF A DOWN『SYSTEM OF A DOWN』(1998)

2017年、ついにニューアルバムをリリースか?と噂されるSYSTEM OF A DOWN。セルフタイトルとなる彼らの1stアルバムは今から約18年前の1998年6月(日本では同年10月)にリリースされました。

1998年というと、KORNが『FOLLOW THE LEADER』、マリリン・マンソンが『MECHANICAL ANIMALS』でそれぞれ全米1位を獲得し、AT THE DRIVE-INが『IN/CASINO/OUT』、THE OFFSPRINGが『AMERICANA』、ロブ・ゾンビが『HELLBILLY DELUXE』をそれぞれ発表し、マックス・カヴァレラ率いるSOULFLYが『SOULFLY』で、ZEBRAHEADが『WASTE OF MIND』でそれぞれデビュー(ZEBRAHEADはメジャーデビュー)を飾ったタイミング。REFUSEDの(この時点での)ラストアルバム『THE SHAPE OF PUNK TO COME』がリリースされたのもこの年でした。

そんな年にSYSTEM OF A DOWNもシーンに颯爽と登場したのですが、最初聴いたときは「??」というのが素直な感想でした。メタルなのかパンクなのかカテゴライズが難しく、どこかコミカルさが漂うサウンド。そこに乗るボーカルもヒステリックだったりデスメタル調だったり、あるいはオペラ調だったりと一筋縄でいかない感じだし。正直、最初は1、2回聴いただけで理解できず、しばらく放置していました。

その後、半年ぐらい経ってから(確か2000年前半頃)ふと思い立って聴いてみると、「あれ、これいいかも……」と感じるようになり、その後数回聴き返しているうちに「前半のコミカルな調子から、後半に進むにつれてシリアスになったり、ちょっと劇的になったりと、これはこれで面白いぞ?」と気づき。気がついたら、この掴みどころのない奇妙なサウンドの虜になっていたのでした。

このアルバム、そして続く2001年発売の2ndアルバム『TOXICITY』が当時のUSラウドシーン、そして日本国内のラウドシーンに与えた影響は計り知れないものがあります。2000年代前半以降に登場した数多くのバンドたちは、SYSTEM OF A DOWNから少なからず影響を受けているはずです。特定の名前はここでは挙げませんが、このアルバムを聴いてなんとなく思い浮かべる日本国内のバンドもちらほらいるのではないでしょうか。

カリフォルニア出身のバンドではあるものの、メンバーが皆アルメニア系アメリカ人ということも、その音楽性のルーツになっているのかもしれませんし、そういった生活環境が歌詞に与えた影響も大きいものがあるはずです。日本人がストレートに解釈するには難しい側面も多いですが、そのへんも含めて理解しようとすることで、このバンドの真の魅力が見えてくることでしょう。



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投稿: 2016 12 25 12:00 午後 [1998年の作品, System of a Down] | 固定リンク

2007/11/28

SERJ TANKIAN『ELECT THE DEAD』(2007)

SYSTEM OF A DOWNを突然活動休止させ、フロントマンのサージ・タンキアンが完成させたのがこのソロアルバム。ほとんどの楽器を彼が担当し、ドラムのみSOADのジョン・ドルマイアンと、元PRIMUS(GUNS N'ROSESにもいたことがあったね)のブライアン・"ブレイン"・マンティアが叩いたという、まさにソロアルバムと呼ぶにふさわしい仕上がりとなっています。

SOADを好きだった人からすれば、このアルバムはとてもストレートに聞こえるかもしれません。それほど聴きやすくなっているんですよね……ま、普通のハードロック/ヘヴィロックと比較すれば、十分にねじれてますけど。SOADから変態性を希釈させ、いろんなコーティング(曲によってはピアノやストリングスの音も聞こえますよね?)を施して聴きやすくした印象を受けます。もっとも、その「聴きやすさ」は意図的にそうしたというよりも、本作に収録された楽曲に必要だと感じたからそうしたまでといったところでしょうか。

あのSOADの変態性って、結局はサージやジョン、ダロン・マラキアン(G/Vo)やシャヴォ・オダジアン(B)という4人が揃ってそこのものなんですよね。頭ではわかっていても、実際にこうやって出来上がったそるアルバムを聴いてみないと理解できないもんなんですよね、ファンというのは。

とにかく本作は、ちょっと映画を観てるかのような劇的な作品となっています。より正統派なメロディアス・ハードロックと化した曲もあれば、SOADのような複雑な展開を持つ楽曲もある。恐らく、これまで「SYSTEM OF A DOWNはちょっとわかりにくい」と感じていた人ほど、今回のアルバムにグッと引き寄せられるのかもしれませんね。

個人的には、不思議と「このアルバムをSOADでやったら面白いのに……」とは思わなかったんですよね。これはこれ、というふうに最初聴いたときから割り切れていたというか。この「ELECT THE DEAD」という作品集は、この形で完璧なんですよね。ここまでメランコリックなアルバムは、逆にSOADではやれないと思うし。そういう意味では、今回のソロ活動は正解だったんじゃないかと感じています。こうなると、(いつになるかはわからないけど)俄然SOADの次のアルバムが楽しみになってきますね。



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投稿: 2007 11 28 12:05 午前 [2007年の作品, Serj Tankian, System of a Down] | 固定リンク

2005/06/08

SYSTEM OF A DOWN『MEZMERIZE』(2005)

 全く、とんでもないアルバムを作ってくれたもんだ。

 現時点で、俺内2005年ベストアルバム。それがSYSTEM OF A DOWNの3rdアルバム「MEZMERIZE」‥‥とにかく、こんなにも爽快で熱くて笑っちゃって怒っちゃって考えちゃうアルバム、久し振りだ。コンパクトで聴きやすく、オープニングの "Soldier Side - Intro" からゆっくりとスタートし、その後に訪れる怒濤の展開からアッという間に最後のバラード "Lost In Hollywood" まで到達しちゃう。全11曲で40分前後というのも納得がいく、今時珍しいくらいに潔いアルバム。それでいて全然飽きさせないんだから‥‥1曲1曲が複雑に入り組んでいて、たった2分くらいの疾走チューンの中にもいろんな「味」や「要素」が詰め込まれてる‥‥元々その要素は十分にあったし、前作「TOXICITY」でもそれは既に開花してたんだけどね。ここに来て一気に完成型までたどり着いちゃったような、そんな感じ。それでいて、同時にもう1枚アルバムを作ってたんだから(この秋リリース予定と言われる「HYPNOTIZE」と呼ばれるアルバム)‥‥

 政治的な要素が強い歌詞という点では、今は亡きRAGE AGAINST THE MACHINEの後継者と呼べなくもないし(特にSOADの場合はメンバー全員がアルメニア系アメリカ人ということもあり、その指向はより強いんでしょうね)、サウンド的には正統的なヘヴィメタルの要素もあり、ハードコアパンク、RADIOHEADに代表されるようなギターロック、QUEENみたいなクラシカルな演劇要素、等々‥‥とにかく単なる「ヘヴィロック」では片付けられない豊富な魅力を兼ね備えたバンド。時にユーモラスに、時にハードコアに、時に切なく‥‥1曲の中に、そういった多面性/いろんな顔を見せる。

 更にこのアルバムでは、リードシンガーのサージ以外にも、ギターのダロンが歌うパート/曲が増えていて、所謂ツインボーカル的な要素も色濃く表れてきてるのね。ダロンが歌で前に出始めたからか、以前以上にシリアスな要素が強くなったように感じられるんだけど、それはバンド自体がそういった方向転換を選んだのではなくて、単にこのアルバムの「特色」なだけかもしれないし、もしかしたらもう一方の「HYPNOTIZE」ではそういったコミカルな要素が更に色濃く表れた作風になってるかもしれない。ま、結局は今後リリースされる作品を聴いて判断するしかないんだけど‥‥

 何だろうなぁ‥‥いろいろ言いたいこと、伝えたいことが沢山あるはずなんだけど、このサウンドを前にしてしまうと、どうにも上手く表現できないんだよね‥‥まぁ早い話が、聴け!ってことですよ。

 いつもそうなんだけど‥‥本当に素晴らし過ぎる作品に出会ってしまった時って、俺のレビューとか紹介文って大したこと書いてないんだよね。大体が「どうせ書いたって上手く伝わらないんだから、とっとと聴け!」みたいな感じで終ることが多いと思うよ‥‥そういう時は、あーとみぃは本気でこのアルバムに惚れ込んでるんだな、と察してください。勿論、それ以外のアルバムだって愛してますよ。けど‥‥

 やっぱり騙されたと思って、読むより先に聴いて欲しいよね、うん。



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投稿: 2005 06 08 12:27 午前 [2005年の作品, System of a Down] | 固定リンク

2004/10/30

洋楽カレンダー事情

 さて。今年もあと2ヶ月ってことで、新年に向けていろいろ準備を始める人も多いんじゃないでしょうか。カレンダーもそのひとつですよね。わざわざ買う人もいれば、他所から貰ってきたもので済ます人もいる。人によってその重要度が全然違う一品ですが‥‥洋楽ファンにとってのカレンダーってどうなんでしょう? ビートルズくらい? いや、ブリトニー・スピアーズとかあの辺の女性シンガー系はあるんでしょうけど‥‥

 というわけで、海外制作の、日本からすれば「そんなアーティストのカレンダーなんかあるのかよ!?」みたいなものを幾つか紹介します。全部Amazonで買えるようになってますよー。



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 つーかSYSTEM OF A DOWNのカレンダーって需要あるのか!? オジーは判るけど。意外とMETALLICAとかあってもおかしくないんだけどさ、やっぱり版権問題かしら!?

 さて、貴方の心に響くカレンダーはあったでしょうか‥‥誰か俺用にSLAYERカレンダーとか作ってください(特に初期)。

投稿: 2004 10 30 02:56 午前 [Incubus, KISS, Ozzy Osbourne, Pantera, Rob Zombie, Slipknot, System of a Down] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック