2003/03/06

t.A.T.u.『200KM/H IN THE WRONG LANE』(2002)

いや~やっぱりやっておいた方がいいですよね、この話題のガールズ・ポップ・デュオのバカ売れアルバム。義務感というよりも、単に俺が今年の頭頃から気に入っていて、既にヨーロッパ盤持ってるにも関わらず、PV観たいが為に先日やっとリリースされた日本盤まで買ってしまったという‥‥ってアホですか俺は(ちなみに輸入盤でも現在、エンハンスト仕様は手に入ります。念のため)。

というわけで、昨年末辺りから少しずつ話題になっていて、今年に入って一気にブレイクした感のある、このロシア出身のティーン・デュオ「t.A.T.u.」(タトゥー)のワールドワイド・デビューアルバムを今回オススメしたいと思います。って俺がオススメするまでもなく、みんな話題の"All The Things She Said"はCDショップやラジオで聴いたことがあるだろうし、あるいは既に輸入盤を手に入れて聴き込んでんでしょうね。ビジュアル的な話題(件のPVでのふたりのキスシーン、レズ云々、制服姿、等々)が先行してしまってる感がありますが(って、やっぱりそっちがセンセーショナルだったからこそここまでウケたってのも大いにありますけどね)、今回はやはり「とみぃの宮殿」的に、音楽に焦点を当ててレビューを進めていきたいと思います。

このアルバムは、現地ロシアでリリースされたアルバム(当然ロシア語で歌われている)を英語で歌い直し、更に全世界を標的にした新曲(カバー曲含む)を加え、おまけとして英語で歌われた曲のオリジナル・バージョン(原語バージョン)を2曲、更にリミックスナンバーを加えた構成となっています。そういう意味では純粋なオリジナル・アルバムとは言い難いですが、元々が企画モノっぽい存在なので、まぁこれはこれでアリかと思います。いや、全然アリですね。

で、今回のワールドワイド・デビューに対して新たなプロデューサーを迎えているのですが、それがかのトレヴァー・ホーンだという‥‥'80年代通過組ならご存じでしょう。元BAGLES~元YES、後にFRANKIE GOES TO HOLLYWOODなんかを手掛けてきたプロデューサーですね。で、その大ヒット曲"All The Things She Said"を始め、PRODIGYっぽい"Not Gonna Get Us"、"Clowns (Can You See Me Now?)"といった楽曲のプロデュース、そして作詞にクレジットされているのですが‥‥全然トレヴァーっぽくないんですよね。確かにヒンヤリとした哀愁漂うマイナーキーのテクノポップ、といった辺りに彼の色を感じなくはないですが、少なくとも我々が想像する「トレヴァー・ホーン・サウンド」はここにはないわけです。"All The Things She Said"と"Not Gonna Get Us"のロシア語バージョンのトラックが英語バージョンと同じという点からすると、どうやらトレヴァーは英語での作詞に携わったのみ、といったところでしょうか? ま、まさか21世紀になってまでトレヴァー・ホーンの名前を目にするとは思ってもみなかったので(しかもそれが大ヒットするとはねぇ)、嬉しいっていえば嬉しいですが。

全ての楽曲に言えることですが、基本的にマイナーキーの楽曲が殆どで、そこにヨーロピアン・テイスト漂うテクノポップだったり、ちょっとヒップホップ調だったり、オーケストラ風トラックのバラードだったりと、意外と曲の幅はあるんですが、それら全てに統一感を感じてしまうのは、ジュリアとレナのふたりによる歌によるものが大きいかと。声質といい、歌い方といい、ロシア語混じりの英語(‥‥ホントか!?)といい、それらが更に味わい深さを増す要因となっています。なんかね、この「幸薄そう」な雰囲気がいいんだよね、個人的に。で、バックトラックが壮大になればなる程、どんどん幸せから遠ざかっていくような、そんなオーラに包まれてるんだよね、このアルバム自体が。勿論これ、最大の誉め言葉ですよ。

そしてこのアルバム最大の問題作といえるだろう、THE SMITHSのカヴァー"How Soon Is Now?"。イントロのギターを聴いた瞬間、「ああ!」と認識できるんですが、ただでさえ幸薄そうだったモリッシー&ジョニー・マーの原曲が、PET SHOP BOYS的アレンジになったことで、更に幸薄そうになってたりします。つうかこれ、不幸自慢大会か何かですか? ま、THE SMITHS及びモリッシーのファンは無理して聴かなくてもいいかと。昔、デヴィッド・ボウイやジェフ・バックリーがモリッシーのカバーをやったことがありましたが、ああいうカバーとはまた質や方向性が違うので‥‥ちなみに俺は支持派ですけどね。

というわけで、駆け足で彼女達のファーストアルバムについて触れてきたわけですが、個人的には「アリ」だと思うし、凄く気に入ってる作品なんですよ。"All The Things She Said"なんて一度聴いたら、あのサビが脳内で延々リピート状態する程だし、アルバム全体の音楽性もPET SHOP BOYSとかDEPECHE MODE辺りに通ずるものがあるし。そう、ご存じの通り、俺は10代の頃、こういった音楽が大好きだったわけで。まぁある意味'80年代的と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、逆に時代が一回りも二回りもしてしまった今だからこその新しさに加え、あのセンセーショナルな話題が重なってここまで大ブレークしたんじゃないかと‥‥ロシアからってのも新しかったしね。

正直、次があるのかどうか、そしてそれが同じようにヒットするのかは甚だ疑問ですが、とりあえず今はこれを貪るように聴きまくろうと思います。



▼t.A.T.u.『200KM/H IN THE WRONG LANE』
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投稿: 2003 03 06 05:01 午後 [2002年の作品, t.A.T.u.] | 固定リンク