2003/09/02

太陽とシスコムーン『Taiyo & Ciscomoon 1』(1999)

  今現在どれくらいのユニット/グループがハロー!プロジェクトにあるのか正直数えてみようなんて思えない程、拡散への道を突き進む現在。モーニング娘。がデビューして1年くらい経つまで、ハロプロには平家みちよ('02年秋にハロプロ卒業)とモーニング娘。しかいない状態。グループ内ユニットとしてタンポポや中澤ゆう子のソロ活動はあったものの、基本的には「モーニング娘。ありきの団体」というのが通説でした。が‥‥今では考えられないかもしれませんが、そんなモーニング娘。に肉迫する勢いとセールスを持つグループが'99年初頭、ハロプロ内に誕生します。それが今回紹介する太陽とシスコムーン(後のT&Cボンバー)です。そう、まだ松浦亜弥も、そして後藤真希も加わる前のことです。

  デビュー後、立て続けにシングルを5枚("月と太陽"、"ガタメキラ"、"宇宙でLa Ta Ta"、"Everyday Everywhere"、"Magic of Love")をリリース、特に最初の3曲は全てチャートのトップ10にたたき込んでいます。そして'99年10月末、そう、"LOVEマシーン" バブルが弾けまくっている真っ直中に満を持してリリースされたのが、この「Taiyo & Ciscomoon 1」というアルバム。こっちもチャート初登場3位を記録、約20万枚ものセールスを記録してます。

  太シスは当初、モーニング娘。では表現しきれないような「大人の女性」をイメージして、社会経験のある‥‥芸能人崩れだったり民謡の師範だったり元オリンピック選手だったり外国人だったりする20代の女性4人を集めて結成されたグループ。歌も今のハロプロとは比べものにならない程レベルが高いし、何よりも楽曲のクオリティーなりコンセプトなりがしっかりしてるんですね。例えばモーニング娘。みたいにシングル毎に路線を変えたりしないし、誰かがセンターになるというようなこともない。言い方を変えれば「常にセンターの取り合いバトル」を1曲の中で繰り広げてるような。そんなイメージが強いんですね。

  このアルバムと同じ頃、モーニング娘。は所謂ダンス☆マン路線に移行していくわけですが、こちらはファンクというよりもディープでアーバンなR&Bといった印象。シングル曲を聴いてもらえば判りますが、とにかく「歌」ありき。アレンジは今聴くとちょっと安っぽいものもありますが、例えば‥‥この半年後にリリースされるモーニング娘。のアルバム曲の、プロトタイプと呼べるような楽曲が見受けられたりします。しかし、こっちの方が表現的により極太といった印象を受けます。とにかく強い。そんなイメージがありますね、太シスには。

  シングル曲のクオリティーは言うまでもなく、ちゃんとアルバム曲のクオリティーも高い。アルバム全体としてはシングルの5曲を軸にしながら、その隙間を拭うように‥‥シングルで与えたイメージとは違った面をいろいろ感じさせられるような新曲を用意し、更にオープニングとエンディング、更に曲間に幾つかインタールードを挿入(この辺もモーニング娘。の次作で再チャレンジしてますしね)等、とにかく「ひとつの作品」として徹底的にトータルクオリティの高いものを作ろうとする気合いが強く感じられるんですね。悪い言い方になっちゃいますが‥‥今みたいな「ベルトコンベアー式に毎週毎週新曲を量産する」態勢になる前の、ひとつの奇跡‥‥とは言いすぎでしょうか? それくらい、このアルバムは優れていると思ってます。

  当時、「ASAYAN」や歌番組で彼女達を観ていたし、また歌も聴いていたわけですが、今ほど真剣に聴いていなかったからか‥‥そこまでいいとは思ってなかったんですよ。ところがこの1年くらい、このアルバムと続くセカンドアルバム「2ND STAGE」を聴く頻度が非常に高いんですね。下手するとモーニング娘。のオリジナルアルバムや他のユニットのアルバム以上に。アイドルとかハロプロとかそういった枠組みで語るべき作品ではなく、もっとこう‥‥例えば最近の「R&B的ガールズポップ」の枠で語っても十分に機能する1枚だと断言できます。とにかく一度聴いて! 話はそれから。

  最近ZYXのシングルが気に入った人。ああいうタイプの楽曲が好みの人。絶対に気に入ると言い切れます。だってあそこで歌ってる"ガタメキラ"、太シスがオリジナルだよ!?

  それにしても‥‥'99年ってつんく♂にとって、本当に充実且つ激動の年だったんだなぁ。だって、ハロプロの歴史の中でも特に名盤として挙げられることが多いアルバム3枚(タンポポ「TANPOPO 1」、モーニング娘。「セカンドモーニング」、そしてこのアルバム)や "真夏の光線" や "LOVEマシーン"、"ちょこっとLOVE" といった楽曲を世に発表し続けてたんだから‥‥昔は良かったとか死んだ子供の歳を数えるような真似をしたくないんだけど‥‥やっぱりこれを聴いちゃうと‥‥ねぇ?



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投稿: 2003 09 02 12:00 午前 [1999年の作品, ハロー!プロジェクト, 太陽とシスコムーン(T&Cボンバー)] | 固定リンク