TESLA『MECHANICAL RESONANCE』(1986)
1986年12月8日にリリースされたTESLAの1stアルバム。日本盤はアナログが翌1987年2月25日、CDが1989年5月10日に発売されています。
80年代初頭にCITY KIDDと名乗っていたカリフォルニア州サクラメントのローカルバンドが、1984年にジェフ・キース(Vo)、フランク・ハノン(G)、トミー・スキーオ(G)、ブライアン・ウィート(B)、トロイ・ルケッタ(Dr/ex. ERIC MARTIN BAND)というメンバーが揃ったことで、バンド名を現在のTESLAへと改名。以降、精力的なライブ活動を展開したのちにGeffen Recordsと契約し、スティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロ(A-HA、GUNS N' ROSES、METALLICA、マドンナなど)をプロデューサーに迎えてデビューアルバムを制作します。
当初こそ大きな話題にならなかったものの、地道なツアーと「Little Suzi」(全米91位)のスマッシュヒット、「Modern Day Cowboy」や「Gettin' Better」のMVがMTVでヘヴィローテーションされたこともあり、アルバムはリリースから数ヶ月後に最高32位まで上昇。最終的に100万枚を超えるヒット作となりました。
いわゆるヘアメタルに部類されるバンドではあるものの、その無骨で土着的なサウンドは同時期にデビューしたCINDERELLAとの共通点も見受けられ、ヘアメタル界隈の中では硬派な印象を受けます。ヘアメタルというとグラムロックからの影響(ヴィジュアルのみならずサウンド面でも)が感じられますが、このTESLAに関してはそういった側面はまったく感じられず(MVでは多少メイクはしていますが)、そのへんは同じカリフォルニアでもサクラメントという土地柄の影響かもしれません。
先の「Modern Day Cowboy」や、アルバム冒頭を飾る「EZ Come EZ Go」、ライブのオープニングにふさわしいファストチューン「Comin' Atcha Live」などは正統派ハードロックバンドの印象が強いし(「Modern Day Cowboy」で聴けるドラマチックなアレンジやギターのツインリードはむしろヘヴィメタル的か)、その一方で「Gettin' Better」や「Little Suzi」などアコースティックテイストを適度にはらんだアーシーさは、その後のBON JOVIやPOISONなどのヒットとの共通点も見受けられる。また、「We're No Good Together」ではソウルフルな側面を打ち出したパワーバラードが展開されており、1987年以降のHR/HMシーンのひと足先を進んでいるようにも映る。さらに、全12曲/約53分というCDを意識したトータルランニングもアナログ/CD移行期間において先見の明があった、と受け取ることもできる。いろんな意味でシーンの一歩先を読んでいた、実はかなり優れたデビューアルバムだったことを後々理解することになります。
出来過ぎ!ってくらいによく作り込まれた本作でしたが、続く『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』(1989年)ではそのスタイルがさらに洗練され、キャリア最大のヒットを記録することになります。
▼TESLA『MECHANICAL RESONANCE』
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