THERAPY?『GREATEST HITS (THE ABBEY ROAD SESSION)』(2020)
2020年3月中旬にリリースされたTHERAPY?のグレイテスト・ヒッツ・アルバム。
本作はバンドの結成30周年を記念して、彼らがイギリスでTOP40入りさせたヒットシングル12作品のリードトラック計12曲をアンディ・ケアンズ(Vo, G)、マイケル・マッキーガン(B)、ニール・クーパー(Dr)という現編成でリ・レコーディングしたもので構成。レコーディングは2019年11月、かのAbbey Road Studioにて実施されました。
セレクトされた楽曲はメジャー1st(通算3rd)アルバム『NURSE』(1992年)からメジャー4th(通算6th)アルバム『SEMI-DETACHED』(1998年)までの、いわゆる全盛期とよばれる期間に発表されたもの。大ヒットを記録したメジャー2nd(通算4th)アルバム『TROUBLEGUM』(1994年)とメジャー3rd(通算5th)アルバム『INFERNAL LOVE』(1995年)からの楽曲を含むという意味では間違いなく代表曲揃い。であると同時に、『SEMI-DETACHED』を最後にバンドはTOP40ヒットを生み出せていないという事実を突きつけられる、うれしいような悲しいような、そんな1枚でもあります。
ニールは2002年加入なので、これらのオリジナル音源には未参加なんですよね。そういった意味では、すでに20年近い現編成(トリオではなくツインギターの4人編成だった時期もありますが)ならではの、息のあったプレイを楽しめるはずです。
事実、すべての楽曲は原曲に忠実な演奏/アレンジで、変わったのはチューニングのみ。すべて最近のスタイルに合わせたダウンチューニングで、曲によってはダークさが増しているのですが(「Teethgrinder」「Stories」など)、最初に聴いたときは耳馴染みのある楽曲のキーが低くなっている違和感は否めませんでした。まあ、アンディが以前ほど高いキーで歌えなくなった今、こればかりは仕方ないのかなと。
あ、唯一「Diane」のみアレンジが大幅に変更。こちらはリリース当時、原曲者のHÜSKER DÜから叩かれたこともあり、原曲に近いバンド・アレンジに戻されています。一応気を使ったのかな。
そうそう、本作ならではの特別感もちゃんと用意されており、「Die Laughin」では盟友MANIC STREET PREACHERSのジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)がゲスト参加。アンディとのデュエット(笑)を披露してくれています(もちろんギターもプレイ)。90年代前半はよく対バンしていた2組だけに、こうやって30年近くを経て再びここで交わることができたのは、当時を知るファンとしてはうれしいというか、むず痒いというか(笑)。微笑ましいですね。
なお、本作のCDは2枚組仕様となっており、『OFFICIAL BOOTLEG 1990-2020』と題したDISC 2には過去15作のアルバム(インディーズからの2作含む)から各1曲ずつ、計15曲のライブテイクを収録。シングル化されていないレア曲を中心にセレクトされており、録音も1990年6月から2018年10月までかなり幅広い時期から選出されています。こちらの音源はデジタルリリース&ストリーミングでは未配信なのでご注意を。
▼THERAPY?『GREATEST HITS (THE ABBEY ROAD SESSION)』
(amazon:海外盤2CD / 海外盤アナログ / MP3)