2017/02/24

THUNDER『RIP IT UP』(2017)

THUNDERは本当に勤勉なバンドだ。20年前と比べたらアルバムのリリースサイクルなんて3年くらいが当たり前となった昨今、ちゃんと2年に1枚のペースで新作を届けてくれるんだから。

というわけで、2015年2月に発表された通算10枚目のオリジナルアルバム『WONDER DAYS』が久々のヒット作となったTHUNDERが、ちょうど2年ぶりにリリースしたのが本作『RIP IT UP』。2年ぶりとは言いながらも、実は昨年3月には2枚組ライブCD+ライブ映像からなる大作『ALL YOU CAN EAT』も発表しているので、実質1年ぶりの感覚なんですよね。何なんでしょうね、この真面目さは。古き良き(もしくは悪しき?苦笑)イギリス人なんでしょうね、彼らは。

前作制作時はベン・マシューズ(G, Key)が病気療養中でレコーディングに参加できかったため、キーボード類はルーク・モーリー(G)がすべて担当していたようですが、今作では晴れてベンも復帰し、ルーク、ダニー・ボウズ(Vo)、ゲイリー・ジェイムズ(Dr)、クリス・チャイルズ(B)という、『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)を携えたツアーから不動のメンバーが揃ったわけです(もちろん、前作完成後のツアーにはベンも参加済みですが)。

今作『RIP IT UP』、基本ラインは『WONDER DAYS』から……いや、従来のTHUNDERのスタイルからこれっぽっちもズレていません。しかし、『WONDER DAYS』に感じられた攻めの姿勢やみずみずしさは若干後退し、より貫禄と渋みが増した印象があります。では地味な作品なのかというと、そんなこともない。オープニングを飾る「No One Gets Out Alive」にしろバラードナンバー「Right From The Start」にしろ、メロディはとてもキャッチーで親しみやすい。だけど、全体を覆う空気感はよりアダルトなものになったイメージが強いんです。

とはいえ、グラムロック時代のデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる「Rip It Up」、独特のグルーヴ感を持つミドルチューン「Heartbreak Hurricane」、地を這うようなベースラインとシャッフル気味のリズムが気持ち良い「In Another Life」、力強いビートとTHUNDERらしいギターリフのコンビネーションがクールな「The Enemy Inside」のように印象的な楽曲も多く、簡単に「枯れた」とか「AOR調になった」という言葉では片づけられない魅力もたっぷり詰め込まれています。

確かに『WONDER DAYS』のような即効性は弱めかもしれない。だけど、聴けば聴き込んだだけ味わいが増す。思えば中期以降のTHUNDERのアルバムってそういう作品が多くなかったでしたっけ。そういう意味では、本作ではいろんな経験を得た彼らが『WONDER DAYS』という何度目かのデビュー作を経てたどり着いた、等身大の1枚なのかもしれません。

人によってはそれを退屈と呼ぶかもしれない。しかし、退屈な曲なんてこれっぽっちもない。聴けば聴くほどボディブローのように効いてくる、そんな“地味にスゴイ”アルバムだと思います。

なお、本作もボーナスディスクを追加した特殊仕様を多数用意。海外盤と共通なのは、昨年行われた数百人規模でのレアライブを収めた2枚組アルバム『LIVE AT THE 100 CLUB』が付属した3枚組仕様が用意されていること。ここに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲入りEP『BROKEN MIRROR』付き4枚組(!)仕様も存在。とりあえず『LIVE AT THE 100 CLUB』は必聴盤ですので、悪いことはいいません、ちょっとでも興味があるなら3枚組仕様もしくは4枚組仕様の購入をオススメします。

※追記
最新のUKアルバムチャートにて、『RIP IT UP』が初登場3位にランクイン。前作『WONDER DAYS』を超えたのはもちろんのこと、1992年の2ndアルバム『LAUGHIN' ON JUDGEMENT DAY』の2位に次ぐ快挙を成し遂げました。



▼THUNDER『RIP IT UP』
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投稿: 2017 02 24 12:00 午前 [2017年の作品, Thunder] | 固定リンク

2017/02/23

THUNDER『WONDER DAYS』(2015)

2000年の解散以降、何度か再結成〜解散を繰り返していたイギリスの至宝THUNDER。近年では2009年に再解散したものの、2011年には早くも一度限りの(そして何度目かの)再結成。そのまま2013年には『DOWNLOAD FESTIVAL』をはじめとするフェスに出演し、同年秋には来日公演を実施。さらに2014年秋には『LOUD PARK 14』出演のため再来日も果たしました。そこで彼らは新曲をいち早く披露。このうちの1曲が、翌2015年2月にリリースされた、実に6年ぶりのニューアルバム『WONDER DAYS』のタイトルトラックだったのでした。

スタジオアルバムとしては通算10枚目となる本作は、往年の輝きを再び取り戻したかのようなみずみずしさと、長きにわたり活動してきた大御所ならではの貫禄が絶妙なバランスでミックスされた、再結成後の作品としてはベストと呼べる内容。アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Wonder Days」は、適度な泣きメロとパワフルな演奏&アレンジは初期3作にも匹敵するものがあります。そこからストーンズライクな「The Thing I Want」へと自然と流れていき、トラディショナルなアコースティックナンバー「The Rain」、スウィング感が心地よい「Black Water」、緊張感みなぎる疾走チューン「The Prophet」と続き、従来のカラーとこれまでには感じられなかった質感が見事に織り交ぜられています。

後半も“これぞTHUNDER”な楽曲が続きます。適度な軽やかさと大きなノリがアダルトな雰囲気を醸し出す「Resurrection Day」、リフでグイグイ引っ張るミドルヘヴィナンバー「Chasing Shadows」、ダニー・ボウズ(Vo)の渋みが増したボーカルが存分に味わえるピアノバラード「Broken」、リフやメロディなど何から何までがTHUNDERでしかない名曲「When The Music Played」、ブルーステイスト濃厚なブギー「Serpentine」、LED ZEPPELINでいうところの「Rock And Roll」的な“何も考えずに踊れるロックンロール”「I Love The Weekend」……ホント、捨て曲一切なし。すごいアルバムだと思います。

確かに初期3作と比べたら、あそこまでの派手さはありません。しかし、少なくとも『THE THRILL OF IT ALL』(1996年)や『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)に続く作品でも違和感がないほどの勢いや気概は過去数作以上だし、それでいて結成から30年近く経ったベテランだからこその貫禄と説得力も持ち合わせている。何度かの解散を経て、改めてこのタイミングにバンドとしての原点に立ち返ったのか、それとも「もういろいろやってきたんだから、好きなことだけやろう」と開き直ったのか。理由はなんにせよ、とにかく今このタイミングだからこそ完成させることができた傑作であることには違いありません。それもあってか、このアルバムは『BEHIND CLOSED DOOR』(1995年)以来20年ぶりに全英チャートでトップ10入り(9位)を達成しています。2000年代の再結成後に発表したどのアルバムも50〜70位台だったことを考えれば、いかにすごい結果かがご理解いただけると思います。

なお、本作は『WACKEN OPEN AIR 2013』のライブ音源を収めたボーナスディスク付き仕様も用意。さらに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲を収めたEP『KILLER』も付いた3枚組仕様が存在するので、THUNDERにちょっとでも興味があるという人は迷わずこちらをゲットしていただけるとよろしいのではないでしょうか。

いやぁ、それにしても本当にすごいアルバムだ。2000年に解散をしたときは、まさか15年後にまたこんなすごいアルバムを聴くことができるようになるとは思ってもみなかったよ。



▼THUNDER『WONDER DAYS』
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投稿: 2017 02 23 12:00 午前 [2015年の作品, Thunder] | 固定リンク

2004/11/05

とみぃ洋楽100番勝負(79)

●第79回:「She's So Fine」 THUNDER ('90)

 '90年頃から、ちょっとずつではありますが、イギリスでも少しずつ新人ハードロックバンドがメジャーシーンに登場してきてたんですよね、まぁ「BURRN!」以外では殆ど話題にならなかったけど。QUIREBOYS、LITTLE ANGELS、WOLFSBANE、THE ALMIGHTY、SKIN、そしてこのTHUNDER。これらの中では俺的にQUIREBOYSが一番盛り上がってたのかな、当時唯一ライヴを観たことあったバンドだからね(BON JOVIのドーム・カウントダウン公演にも出てたっけね)。だってさ、他のバンドの音源は聴いたことなかったから、比較のしようがなかったんだよね。

 THUNDERがイギリスで凄いことになってる、って知ったのは確か'90年の夏だったかな。その頃、毎年夏にロンドン・ドニントンパークで行われていた「MONSTERS OF ROCK」というHM/HR系アーティストによるフェスがあったのね。'90年っていうと誰が出たんだっけ、WHITESNAKEとかAEROSMITHが出た時か‥‥この時のTHUNDERのパフォーマンスがとにかく凄かった、というのを雑誌で読んで。気にはなってたんだけど、何故かCDに手が伸びなくて。結局、その「ライヴの凄さ」を実際に体感するまでは、なかなか信じられなかったのかもしれないね。

 ところが'91年12月31日。前年の同日にQUIREBOYSを観たのと同じ場所で、このTHUNDERを初体験することになるんですよ。

 あの時のショックといったら‥‥METALLICAやTESLA、EUROPEといったバンドを観に行ったはずなのに、オープニングアクトであるTHUNDERにド頭からやられるなんて‥‥だってさ、俺が高校の頃から慣れ親しんできたブリティッシュ・ハードロックを現代の音で再現してくれてるんだもん。そりゃ気に入らないわけがない。つーか何で今まで避けて来たのよ、と恥じたね自分を。

 ライヴが終わってその足で友人と物販売り場まで走り、彼等の1st「BACKSTREET SYMPHONY」の2枚組エディション(既に廃盤。ジャケットはその頃USで再発された時のジャケ写を使用。ディスク2には10曲のライヴ音源入り。今でも中古盤屋でよく見かけるので是非!)を購入して。

 家に帰ってから、あのFACES(ロッド・スチュアートや現ROLLING STONESのロン・ウッドが在籍したロックンロールバンド)の "Stay With Me" みたいな展開をする曲がどれなのかと探すことになるんだけど、いきなり1曲目に入ってるのね、"She's So Fine"。

 これが俺にとってのTHUNDERとの出会い。そして現在に至るわけ。

 あ、そうか。このアルバムって(当時)元DURAN DURANのアンディ・テイラーがプロデュースだってことで凄く驚いたのと同時に、非常に運命を感じたりもしたんだった。これは忘れちゃいけない要素だよね。



▼THUNDER「BACKSTREET SYMPHONY」(amazon

投稿: 2004 11 05 12:00 午前 [1990年の作品, Thunder, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/03/03

THUNDER『BACK FOR THE CRACK (EP)』(2002)

THUNDERが帰ってきた!!

一時的な再結成とは知っていながらも、やはり嬉しいし、ワクワクするんだよね。だって、単なる「懐メロ・メドレーを演奏する為の集金ツアー」じゃなくて、こうやって新しい音源を引っ提げての期間限定復活なんだから。しかも、ここに提示された4曲が、過去の偉業に引けを取らない内容なんだから‥‥待った甲斐があったってもんだよ。

俺が彼等の解散をどれだけ悲しみ、どれだけ嘆いたか。それを憶えている人は今や数少ないかもしれませんね‥‥3年前の3月にここ日本でラストツアーを行った後、4月にイギリス国内での最後のスペシャルギグをもって約10年に及ぶ活動に終止符を打ったTHUNDER。その辺の経緯についてはこの辺を読んでもらえば、ある程度理解してもらえるでしょう。

さてさて‥‥THUNDERというバンドがどうして解散してしまったのかを知って貰ったら、次は再結成に至るお話を少し。

その昔‥‥といっても'90年代前半までは存在していたのですが‥‥'80年頃からスタートしたイギリス夏の風物詩のひとつと呼べるドニントン・フェスティバル‥‥通称「MONSTERS OF ROCK」というフェスがありました。所謂ハードロック系のアーティストが毎年、ドニントン・パーク(レース場か何かなんだよね)に約8万人も集めて大盛況だったあのフェス。今や憶えている人は20代後半以上の元ハードロック少年少女だけかもしれませんが、とにかくグラストンバリーやレディングに並ぶ程のフェスだったんですよ。そのフェスが何故なくなってしまったのか‥‥集客の問題、資金難の問題、そしてハードロック/ヘヴィメタルという音楽自体の衰退、等々‥‥いろんな要素が重なって、多分METALLICAかIRON MAIDENがヘッドライナーを務めた回で終了してるはずなんですね(終了と銘打っていたわけではないんだけどね‥‥)。

で、その「MONSTERS OF ROCK」が休止して丁度10年経ったか何かで、2002年秋にイギリス国内で「MONSTERS OF ROCK」ツアーというのが行われることになったらしいんですよ。'90年前後に出演したバンドを集めて、ホールツアーをするという、ちょっとしたお祭りですね。幸い、ここ最近「クラシック・ロック」として'80~'90年代のハードロックがイギリス国内でも再評価されるという動きがあるようで、それに便乗してのことらしいですね。俺も詳しいことは知らないんですが、何やら最初はWHITESNAKEにオファーしたという話。ま、その当時はまだ再始動(もなにも、解散してるんですよね一応)の予定もなかったため、結局アリス・クーパーをヘッドライナーとして、その他幾つかのバンドを交えてツアーをすることになったようで(ま、そのWHITESNAKEも今年になって再始動を宣言するわけですが)。

そこで、そのイベント最大の目玉としてプロモーターは「THUNDER再結成」を打診するわけですよ。勿論、THUNDERは2000年4月の解散以降、一度としてメンバー5人が集まって演奏する機会はなく、せいぜい昨年にダニー・ボウズとルーク・モーリーが「BOWES & MORLEY」として活動を共にし、「MOVING SWIFTLY ALONG」というアルバムを作り、ツアーをした程度。又は2001年5月にルークがソロで来日した際に元メンバー数人がツアーメンバーとして参加した程度。決して「THUNDER」の名で5人が揃う事はなかったわけです。

なのに、こんなにもあっさり再結成してしまうとは‥‥あり得ないと思ってた話だけに、そりゃ最初は寝耳に水でしたよ。実際、ダニーが他メンバーにこの話をした時、あまりいい反応は得られなかったそうだし。最初はその「MONSTERS OF ROCK」ツアーでの7回の公演(最終的に、追加公演が2回決まり、合計9回)の為だけの再結成ということだったみたいで、新曲を発表する予定などなかったようなんですね。ところが、どこでどう間違ったか、こうやってツアーに合わせてこのシングルが発表され(このシングルは2002年11月にイギリス/日本でのみリリース)、更にはアルバムまで発表する予定がある、と‥‥恐らくソングライターであるルークが、リハーサルで出した音に触発されて、THUNDERらしい楽曲/THUNDERでやったら面白いであろう楽曲をどんどん作り出してしまった結果がこれなんでしょうね。じゃなきゃ、期間限定とはいえ、オール新曲のオリジナルアルバムなんて作らないでしょうし。

というわけで、前置きはこんな感じで。THUNDERについての知識があまりない方々、ご理解いただけましたか?

このシングルには再結成後に書かれた完全新曲が4曲収められています。アルバムにはここから3曲が収録されるとのこと。まずは、如何にもTHUNDERらしい、シャッフルビートが心地よいブルーズロック"Somebody Get Me A Spin Doctor"。今時、こういうグルーヴィーでブルージーで、ソウルフルでハードなロックンロールを演奏できるバンド、イギリス国内には皆無なんじゃないでしょうか? いや、絶対にいないだろうね。だってこんな音、10代や20代のガキンチョには出せないって。最近、THE MUSICとかが「グルーヴ・ロックの再来」とかいって騒がれてるけど、あれとは次元が違うもん。いや、THE MUSICはTHE MUSICなりの良さがあるんだけど、やっぱり違うと言わざるを得ないよね。最も近い存在とえいば、やはりREEFのようなバンドでしょうね。そのREEFですら、最近は国内での人気もちょっと減退気味だし。THUNDER再結成によって、国内でのラジオオンエアも少しずつ増えてるみたいだけど、これを機に「ブリティッシュロック本来の良さ」を再認識して欲しいと願って止みません。

続く2曲目"Blown Away"は、どこからどう聴いてもTHUNDER以外の何ものでもない王道スタイル。如何にも初期の彼等らしい展開とギターソロを持ったブルーズロック。それでいて、ただの焼き直しで終わってない点はさすが。ブルージーなんだけど、歌メロ自体は非常にポップ度が高いんだよね。そこがこのバンドの持ち味なんだけど、なかなか世に出る(というか、HRファン以外に聴いてもらう)機会がなかったせいで、ああいう風に解散に追い込まれてしまったわけだけど‥‥ここで更にファン層を広げて、少しでも長く「限定期間」を延長してもらいたいもんです。

3曲目は当初アルバムには入る予定ではなかったけど、結局収録されることになった"The Pimp And The Whore"。小気味いいテンポの、ソウルフルなロックンロール。とにかくどの曲にも言えるんだけど、ダニーは既に40歳を超えているにも関わらず、全く衰えを感じさせないんだよね。そしてルークのソングライターとしての冴えにも全くマンネリを感じないし。これって結局、バンドを完全に終わらせてソロに向かったりして、対外試合を楽しんだ結果なんだろうね。「この1枚に賭けてます」っていう意気込みはそんなに感じられず、むしろ「俺ら、肩の力抜いてやっても、これだけのことが出来るんだぜ!?」とでも言わんばかりの説得力が終始感じられます。いや、肩の力を抜いてても、その辺のイギリスの若手バンドの何十倍もパワフルなんだけどさ。

そして最後は、結局アルバム未収録になってしまった"When Tomorrow Comes"(当初はこっちがアルバムに入る予定だった)。これも一聴すればTHUNDERと判るメロディーを持った、メロウなロックンロールナンバー。同じTHUNDERの曲でいえば、後半の展開が "She's So Fine" にも通ずるものがありますね。もうね、ダニーのソウルフルな歌がそこに乗っかれば、間違いなくTHUNDERの曲になるんだよね。つうかこのレベルでアルバムのアウトテイクになってしまうとは‥‥どんなアルバムになるんでしょうか!? ま、その答えはあと数日で出ますけどね!

ルークがソロで来日した時、俺はライヴには行きませんでした。同じように、BOWES & MORLEYのアルバムは嫌いじゃなかったけど、ライヴには足を運ばなかった。何故か? 答えは至極簡単。「THUNDERではない」から。当たり前っていえばそうなんだけど、やっぱり俺はルークのソングライターとしての才能とか、ダニーのシンガーとしての力量に惚れ込んだんじゃなくて、それら全てを包括した「THUNDER」という集合体、ロックバンドが好きだったのね。だから進んで行く気にはならなかったわけ。けど、今回は違うよね。ダニー、ルーク、ベン、ハリー、クリス‥‥後期のメンバーである5人が再び揃って、「終わり」からの続きと呼べるアルバムをリリースする。そして、5月にはイギリス国内を単独ツアーすると発表。期間限定だったくせに、3/1からは新しいオフィシャルサイトをスタート。夏前には来日公演の噂も‥‥それぞれが別々の活動/仕事/生活を持っている為、パーマネントの活動は無理だ、ということだったはずだけど‥‥その後の予定は、アルバムとツアーの結果次第なんでしょうね、きっと。

とにかくね。俺は声を大にして言いたいわけ。イギリスのロックが好きとか平気でほざいている奴ら。君らにはTHUNDERを聴く義務がある、と。四の五の言わず、まずは聴けってぇの!



▼THUNDER『BACK FOR THE CRACK』
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投稿: 2003 03 03 02:21 午後 [2002年の作品, Thunder] | 固定リンク

2000/03/28

THUNDER FINAL JAPAN TOUR 2000@クラブチッタ川崎(2000年3月12日)

THUNDERというバンドに出会って早10年。そりゃどんなバンドにだって『終わり』は必ずやってくる。でも、まさかこんなに早く、しかも立て続けに‥‥って思うと、結構切なくなる。

KULA SHAKER, THUNDER, HURRICANE#1。'99年だけでもこれだけのバンドが解散していった。しかもたった数カ月の間に。みんなイギリスのバンドだ。理由はそれぞれある。KULA SHAKERは音楽性の違いでクリスピアン脱退→解散。HURRICANE#1はアンディ・ベルがOASIS加入の為、解散。そう、それぞれに発展的解散なのだ。が、THUNDERの場合はそうもいかない‥‥その大きな理由のひとつが「今のミュージック・シーンの中には、THUNDERのようなタイプのバンドの居場所はない」ってくらいだから。要は金にならない、食えないのだ。詳しい解散の理由は別項目で書いたが、やっぱり世の中不公平だし、間違ってる。「Only the good die young」って言葉通り(いや、この3つの中では一番の年長組なんだけど)だと思うよ、本当に‥‥

数年振りのクラブチッタ。この4月で取り壊しになり、新たな場所に来年秋復活するらしい。つまり、今のチッタで最後に観るのが、解散していくTHUNDERだっていうんだから、余計に切なくなる。チッタ自体数年振りで、前回観たのがやはりTHUNDERだった。あの時はダニーがインフルエンザにやられて、とても辛そうだったけど、それでも標準以上のステージを見せてくれた。その後の2度の来日を見逃した俺は、昨秋の解散宣言を聞いて後悔していた。だからこそ、この日のライヴは一生忘れられなくなる位に胸に焼きつけておこう、こう決めたのだ。

東京公演(とは言っても川崎だが)初日。今日から3夜連続である。その後彼等は地方公演を行い、最後の最後にまた川崎でやってその歴史を終える。既に耳にしている情報で、他の地方公演(名古屋や長野)ではいつも通り、いや、いつも以上に素晴らしいステージだったと聞いている。湿っぽい空気なんてこれっぽっちも感じられない、と。だったら観る側もそれに応えるしかない。いや、涙で送るのはTHUNDERらしくない。如何にもイギリス的な大酒呑み連中には、笑って見送るのが一番である。オープニングS.E.の"Thunderstruck"(AC/DCの曲。THUNDERのライヴオープニングではお馴染み)が流れる中、そう考えながら最前列近くまで突進した。最後尾より‥‥

オープニングはここ数年の定番となっている"Welcome To The Party"で幕を開ける。相変わらずいい音している。普通クラブクラスでのライヴだと音が大きすぎてバランスが悪いとか、ギターがデカすぎて歌が聞こえないなんてことも多々あるが、THUNDERに限ってはそういうの、今の今まで1度もなかった。少なくとも俺が観た'91年末のファイナルカウントダウン@東京ドーム以外は。(苦笑)決して音が小さいわけではなく、クリアーで音が潰れていない、それでいてひとつひとつの楽器が自己主張している。きっと長年連れ添ったスタッフ達の努力の賜物なのだろう。これがプロの仕事だな、と改めて実感。

そして素晴らしいのはサウンドだけではない。勿論演奏も、歌もである。唄い出しを聴いた瞬間、鳥肌が立った。そして「あぁ、今日は本当に大丈夫だ」って思った。何故そう思ったかは、'97年の来日公演が最後だったからだ(詳しくは別項目のライヴ欄を御覧下さい)。そして、頭から『解散』や『最後』という言葉はどこかへ消えていった。すげぇ、マジで凄いよ、こりゃ‥‥最高だ。

2曲目で早くもクライマックスが訪れる。そう、いつも終盤に演奏される名曲中の名曲、"River Of Pain"の登場だ! 歌に入る前をエクスパンドして観客に唄わせるのは最近の定番。ライヴアルバムと一緒だ。そしてダニーが唄う‥‥酷い風邪でもひいたか?って位に、身体中に鳥肌が立つ。やっぱこの人の歌唱力・表現力って半端じゃねぇわ。CDでも確かに凄いけど、やっぱこの人はライヴの人だな。ポール・ロジャースと同じで。ギターソロ後のブリッジ部分での盛り上がりでは本当、小便チビりそうになった。いや、脱糞しそうになったわ。(爆)そのくらい‥‥もう言葉では表現し難いくらいに‥‥凄かった。何ていうか‥‥心臓をえぐられるような感じ‥‥違うか。もっとこう‥‥凄く切なくて、それでいて熱い。そんな感情の高ぶりを4分間の曲に凝縮している。こんな名曲を知らない人の方が多い事、それ自体がこのバンドの不幸だと思うよ、マジで。

いやぁ~、それにしても本当に今日は凄い。いつも以上に。中盤には今までライヴでは聴く事がなかった3rd収録の"Fly On The Wall"もプレイし、日本で演奏するのは久し振りの"An Englishman In Holiday"、ラストアルバムの中でも完成度の高い"'Til It Shines"等、ここ数回の来日セットリストがマンネリ化してるって声を打ち消すかのごとく、いろんな曲を演奏した。事実、この日以外でもこれまで1度も演奏された事のない"Future Train"とか"Numb"、"Rolling The Dice"、"Until My Dying Day"、"Does It Feel Like Love?"、"Cosmic Punk"等が演奏されている。もう今回のツアー、全部観なきゃダメだったらしい。(苦笑)まさに総決算的ツアーだったようだ‥‥そう考えたら、余計切なくなってきた。

勿論、お約束的曲も沢山演奏されたわけだが、特に今回「いつもよりよかった!」って思ったのは、やはり"Gimme Some Lovin'"のコール&レスポンスじゃないかな? イントロでの客との掛け合いの時、もっと大きな声で唄わせようとしたダニーの口から発せられた言葉‥‥「今日はライヴ・レコーディングしてるんだぜ!? お前達もっとデカい声出せよ!」おおお!!!THUNDERは最後の最後に大きな土産を残してくれるのか! 詳細は判らないけど、ライヴ録音はこの日だけじゃなく、毎日行われていたという話もある。6月にリリース予定だというこの「Last Live In Japan」、彼等に有終の美を飾らせる為にも、ファンとして最高の仕事を(笑)したいと思った。もうこの日は1曲目からダニー並に唄い上げていた俺の喉は、既にピークを下っていた。(爆)でも「明日どうなってもいいや。今日は二度と戻ってこないんだから‥‥」そう思って、力の限り唄った。でも、やっぱりダニーにはかなわないや。(苦笑)曲のラスト部分、客vsルークのギターvsダニーというパートでも、ダニーはこれでもか!って位に唄い上げる。もう、レベルが違い過ぎる。こいつらをハードロックとかそういう低い次元でしかカテゴライズできない連中は、一生チマチマしたB級バンドを聴いてればいい。売れていようがいまいが、THUNDERは本物なんだよ。

"I'll Be Waiting"で再び心臓を鷲掴みにされ、"Love Walked In"で「もう、どうにでもして‥‥あなたの好きにして♪」って気持ちになり(苦笑)、"Just Another Suicide"でのメンバー紹介にホンワカし、"Backstreet Symphony"で本編は終了。アンコールを求める拍手とTHUNDERコールが続く。すぐに彼等はステージに戻ってきた。アンコール1曲目はお馴染み"A Better Man"。いつからだろう、ルークがハーモニカに専念し、ハリーがギターを持ち出したのは? 前回観た時は、ハリーが全部ボーカル取ってたっけ、この曲。そうか、ダニーがインフルエンザだったっけ‥‥そんな事すら忘れるくらい、今日のライヴは濃い。エンディングではお約束のギャグをかましながらハリーが唄い、最後の歌詞を「I see a better man」からお約束の「I see a bold man」に替えて唄うのも忘れない。(笑)こういう笑いの要素もあるから、彼等のライヴはやめられないのだ。こんなセンス・オブ・ユーモアもイギリス人ならではか?

ルークはこの日初めてレスポールからテレキャスターに持ち替え、"Play That Funky Music"、"The Only One"をプレイ。これらの新曲群は(俺自身が)生で初めて聴いたけど、やっぱりイイね? 3rdアルバムあたりから少しずつ露わになったファンク色。この色ももっと前面に打ち出していれば、彼等の進む道も少し変わったんじゃないだろうか?‥‥そんな「何を今さら‥‥」的な事を思いながら、ライヴは本当の最後となった。あの掛け合い‥‥そう、"Dirty Love"だ。同じリフを持った"Cigarettes & Alcohol"を演奏するグループは同じ神奈川の、数万人入るアリーナで4日間もプレイしたというのに、こっちはチッタ4回。どう考えたって1/10前後の差があるはずだ。そりゃTHUNDERにはカリスマと呼べるフロントマンはいない。けど、同じ「Rock'n'roll Star」には違いない。それがスタジアムで演奏してるか、パブで演奏してるかの違い。カリスマ的なフロントマンがいるか、カリスマはいないけど全員がフレンドリーかの違い。どっちも「よりイギリス的」なんだけど‥‥多くの人はカリスマに惹かれる。仕方ない事か‥‥でも、忘れないで欲しい。THUNDERはいつでも観客を満足させてきたし、どんなんに最悪のコンディションでも最後まで唄い続けてきた。それがどんなに無様に映ろうが最後までやり通した彼等。どっちがいいとも悪いとも言えない。けど、ステージに上がった以上は最後まで観客を楽しませる、満足させる‥‥そんな姿勢が、俺は好きだった。それこそが『プロの仕事』だと思った。そして目標にした。それだけの事だ。そういうごく当たり前の事さえ出来ない若手バンドが多いから、余計に彼等の存在が独特に映る‥‥職人気質だったんだろうな、きっと。だから生き残れなかったのかもしれない‥‥『ロックンロールが売れない』こんな時代では。

"Dirty Love"で、ダニーは余力を全て出し切るかのごとく、唄った。そして俺達オーディエンスもそれに負けないくらい唄った。力の限り、全力で‥‥みんながみんな、明日も明後日も来週も観れるわけじゃない。明日なんかないのと同じなのだ。今日で終わり‥‥ひとりひとりの胸にこう刻まれていたはずだ。最近、HM/HR系にカテゴライズされるアーティストのライヴなんて行ってなかったので(嫌だな、この言い回し)、この光景はとても新鮮に映った。WiLDHEARTSの時もそうだったな‥‥同じUKのアーティストなのに‥‥如何に熱心なファンに支えられてきたとか、そしてそういうファンがいたから彼等はここまで続ける事が出来た‥‥バンドとオーディエンスの関係って本来こういうもんじゃなかろうか?

ライヴは2時間で終了した。"Dirty Love"が終了しても数十分の間、観客は誰ひとりとしてその場を動かず、THUNDERが戻ってくるのを待った。けど、もう彼等は戻ってはこなかった‥‥まだ数公演残っている事もあってか、こっちが考えてた以上にあっさりとした最後だった。いや、その方が彼等らしいや。解散だろうが最後だろうが、そんな事は関係ない、ただベストを尽くして観客を楽しませるだけ‥‥そして俺達も楽しむぜ‥‥その姿勢は最後まで貫かれたのだ。最高のバンドだったと思う。こんなプロ、もう2度と登場しないだろう‥‥「ありがとう」とか、そんなちんけな言葉じゃ足りないくらい、THUNDERにはいっぱい楽しませてもらった。最初「¥6,800-は高いな? 集金ツアーかよ」って思ってたチケット代も、観終わった後じゃ安いくらいだった。集金だろうがいいさ。いや、そんなに儲からないって。たった10回、しかも日本だけのために必要最低人数で来日したとはいえ、イギリスから来るには相当な額のはずだ。よく日本からのオファーに応えてくれたと思う。それもこれも、日本のファンが熱心だったからに違いない。だから昨年末にツアーは終了していたにも関わらず、改めて3月に来てくれたのだ。そう思いたい。

日本でラストツアーを行ったTHE ALMIGHTYもTHE WiLDHEARTSも、再結成したり日本でのみ復活したりしている。そりゃイギリスよりも金になるからだろうが、やっぱり全ては「1番歓迎してくれるファン」がいるからだと、そう思いたい‥‥数年後に再結成したとしても、恥じる事はない。こんなバンドなら大歓迎だ。その日まで、俺があなた達の歴史を『伝説』として語り継いで、盛り上げておくから‥‥


THUNDER @ Club Citta'. 3/12/2000
01. Welcome To The Party
02. River Of Pain
03. Higher Ground
04. 'Til It Shines
05. Pilot Of My Dreams
06. Gimme Some Lovin'
07. I'll Be Waiting
08. Fly On The Wall
09. An Englishman In Holiday
10. Love Walked In
11. Just Another Suicide
  ~ I Wish (STEVIE WONDER)
  ~ Just Another Suicide
12. Backstreet Symphony
[encore]
13. A Better Man
14. Play That Funky Music
15. The Only One
16. Dirty Love
  ~ (I Can't Get No) Satisfaction (ROLLING STONES)
  ~ Dirty Love



▼THUNDER『OPEN THE WINDOW - CLOSE THE DOOR』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2000 03 28 02:29 午後 [2000年のライブ, Thunder] | 固定リンク

2000/03/27

THUNDER『GIVING THE GAME AWAY』(1999)

最新作にしてラストアルバムになってしまったオリジナル5作目。とはいっても現時点で既に最後の日本公演を収めたライヴ盤が6月にリリースされる事が決まっているので、オリジナル楽曲としては最後作品という事か。その最後の作品がこんなに意欲的な作品だった事が皮肉というか‥‥悔やまれてならない。プロデュースは前作同様ルークが担当。シングルは"Play That Funky Music"(アメリカの白人ファンクバンドWILD CHERRYのカヴァー)と"Just Another Suicide"。(日本盤には英国でシングルオンリーでリリースされた"The Only One"もボーナストラックとして収録)実は"It Could Be Tonight"のCDシングルを見かけたことがあるのだが、あれはプロモーション盤だったのだろうか? オフィシャルHPにも載っていないことから、その可能性は高い。詳しい情報を求む!

何故にこのアルバムが意欲作か? 勿論従来の延長線上ナンバーも収録されているのだが、それ以上に耳につくのがアルバム1曲目の"Just Another Suicide"や"Giving The Game Away"といった異色作なのである。"Just Another Suicide"なんてコード進行だけみればBON JOVIがやってもおかしくない曲。いい意味で「THUNDERらしくない」のだ。勿論、いい曲には変わりない。末期ライヴでも必ず終盤に(メンバー紹介を挟んで)プレイされていた程だから。そしてアルバムタイトル曲だが‥‥これは、明らかにOASISを意識している。言ってしまえばBEATLESの"I Am The Walrus"そのものだ。OASISのカヴァーでも有名なこの曲を雛形にした"Giving The Game Away"、ある意味異様である。ライヴで披露されれば浮くかもしれない。しかし、もうアルバムを5枚も出しているアーティストがここで冒険をしなかったら‥‥これはTHUNDERの最後の賭けだったのかもしれない。

その冒険はアートワークにも顕著に表れている。それまでのチープなブリティッシュジョークをあしらったものから、いきなりアーティスティックな写真へ‥‥この辺もOASISやVERVEといったバンドのアートワークを参考にしていると思われる。つまり、彼らはそれまでの「固定観念」からの脱却を図ろうとしたのだ。しかし結果は‥‥母国イギリスでもライヴ会場を訪れたファンに「まだやってたんですね?」「へっ、アルバム出てるの?」って質問されたという。それを聞くと、日本はつくづく恵まれているのだなと実感する。

前作まではほんのり匂わせるだけに留まった都会的スパイスも、ここでは全開だ。ムーディーな曲が大半を占めていることからも伺える。"'Til It Shines"や"It Could Be Tonight"のような曲もいよいよここで完成度を増し、最後の最後まで彼らは代表曲を発表し続けた‥‥これはある意味、真似できない事だと思う。落ち目になって消えていくアーティストとして彼らも記憶されるのかもしれない。しかし、このアルバムを前にしてそんな事、言えるか? 確かに初期の3枚程「傑作!」とは言い切れないものの、これをZEPでいうところの「IN THROUGH THE OUT DOOR」的ポジションと捉えると‥‥これに続くアルバムが聴きたかった。もっとも、あのアルバムよりも楽曲の質は上だと思うが。

このアルバムでいいスパイスになっているのは何も上のようなオリジナル曲だけではない。シングルカットもされた"Play That Funky Music"の名演、これはどうだ! 昔、EXTREMEもライヴでカヴァーしていたが、こういう曲をTHUNDERのようなバンドにやらせるのは反則だ! ずっぱまりの名カヴァーのひとつだ。こんな素晴らしいバンドが存続できる環境にない今のイギリスなんて‥‥糞食らえだ!(怒)



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投稿: 2000 03 27 02:17 午後 [1999年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『LIVE』(1998)

公式盤としては、初のライヴアルバム。しかも2枚組でボリューム満点。「THEIR FINEST HOUR」よりもこっちの方が遥かにベスト盤的役割を果たしている。シングルヒットは勿論の事、アルバム中の名曲やカヴァー曲、当時未発表だった新曲まで収録している。ミックスも旧知のマイク・フレイザーが担当しているので、音質の抜けの良さは抜群である。それ以上にこのアルバムは、如何にTHUNDERというバンドがライヴでその実力を発揮するバンドか?を完全網羅した内容になっている。この年('98年)にはAEROSMITHやJUDAS PRIEST、BLACK SABBATHがライヴアルバムをリリースしているが、それらに引けをとらない、「メジャーだろうがインディーだろうが関係あるか!」ってパワー炸裂の傑作である。

このアルバムの為に録音された公演は都合4日間。それぞれ演奏された曲が日替わりで、毎日観なきゃって気分にさせる素晴らしい内容のライヴだったと聞く。その中から演奏された全楽曲(重複演奏曲やカヴァーは除く)を収録したと言われている。特に日本盤にはボーナストラックで更に3曲追加収録されているので、もう完全版と言っても差し支えないと思う。どれも素晴らしい演奏に素晴らしい歌、素晴らしい楽曲に‥‥そして素晴らしいオーディエンス。これがTHUNDERのライヴの全てである。

これ以上、何を言えばいいんだ!? 下手な言葉はいらない。AEROSMITHの言葉を借りるまでもなく、『Let The Music Do The Talking』‥‥音が全てを語ってくれるはずだ。こんな名ライヴ盤、そうはお目にかかれない。これを読んで「LIVE」に手を出す事になった方には申し訳ないが‥‥THUNDERってこんなに凄いライヴバンドだったんだよ? 生体験できなかった事を後悔しなさい!



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投稿: 2000 03 27 02:14 午後 [1998年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『THE THRILL OF IT ALL』(1996)

EMIからドロップしたTHUNDERが再契約したのは、メジャーレーベルではなくインディーズだった。当時の状況を考えるとそれが如何に困難な事か理解してもらえると思う。その年どういうアーティストが登場し、どういうアルバムがヒットしていたかを‥‥そんな中、彼らはヨーロッパではRAW POWERというインディーレーベル、日本ではビクターに移籍して'96年9月というハイペースで(3rdは'95年1月、ベストが同年9月)リリースされたのが、このアルバム。(但し英国では'97年1月リリース)この辺から彼らのやる気が伺える。プロデュースにはいよいよルークのみのクレジット。シングルは"Don't Wait Up"と"Love Worth Dying For"の2曲。ただでさえそういう時代(ブリットポップの終焉とテクノの台頭)なのに、マイナーレーベルからのリリースという事で、ヒットには至らなかった。

メジャーからの最後のアルバムとなったベスト盤に収録された"Once In A Lifetime"がそれまでの楽曲より落ち着いた、都会的な大人のイメージだった事からある程度新作を勝手にイメージしていたが、実際に出来上がったものは‥‥確かにそういう楽曲もあるが‥‥思っていたよりも従来の路線だった。どことなく"Higher Ground"を彷彿とさせる佳曲"Pilot Of My Dreams"からアルバムはスタートする。シンガロングを念頭に置いて作られたコーラスパートが印象的で、ライヴでも人気がある曲だ。こんな感じで、1stや3rdでの代表的ナンバーをなぞった曲が多い事から「それまでの延長線上作品」と捉えられている。事実、オリジナル盤の中では一番影が薄いアルバムだと感じているファンも多い。それでもこの手のバンドの中ではトップクラスなのだが。(焼き直しだろうが何だろうが、このレベルの楽曲を書ける若手がどれだけいる?)

印象的なのは、2曲目の"Living For Today"。イントロのかき鳴らされたアコギに続く聴き慣れない歌声‥‥ライヴでコーラスの要となる、ルークがVo.を取っている貴重なナンバーだ。後半にはダニーとハーモニーをとりながら唄っている。ドラムのビートをとってみても、それまであったようでなかったパターンで、なかなか面白い曲だと思う。更にこのアルバムでは2nd以降増してきたブラック/ファンク度がいよいよ色濃くなっている。象徴的なのが"Hotter Than The Sun"だろう。先に挙げた都会的雰囲気と従来の伝統的要素が上手く噛み合った好例だと思う。それにしてもこの曲、このアルバムのツアーでしか披露されなかったのが惜しい。個人的願望だが、是非この曲をポール・ロジャースにカヴァーして欲しい。このまま葬り去られてしまうには勿体ない。

そういえば、このアルバムのツアーからライヴの1曲目はずっと”Welcome To The Party"だったな‥‥それまでは"Backstreet Symphony"だったり"Dirty Love"だったりと、いろいろヴァリエーションがあったのだけど‥‥変な意味で予定調和の定番になってしまったな? 悪い曲ではないものの、それ程いい曲だとも思わない‥‥まぁライヴを盛り上げるにはうってつけなのだが‥‥ただ、当時何となく「これじゃダメだわ‥‥」と思ったのも事実。何が「ダメ」だと思ったのか‥‥それは各自が聴いて考えるように(苦笑)。



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投稿: 2000 03 27 02:10 午後 [1996年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『THEIR FINEST HOUR (AND A BIT)』(1995)

ワールドワイドレベルという意味では唯一のオフィシャル・ベスト盤。収録されている楽曲は1st~3rdからのシングル既発曲(全てアルバムヴァージョン)ばかりだが、ここではそれ以外の曲‥‥このアルバムの為に用意された新曲・未発表曲を中心に紹介したい。

純粋な新曲は"Once In A Lifetime"のみで、他には1st収録"Higher Ground"新録ヴァージョン、後はカヴァー曲でROLLING STONES "Gimme Shelter"とPISON LEE JACKSON "In A Broken Dream"の2曲。つまり4曲の為にファンはこのアルバムを手にするわけだ。まぁ初心者にはもってこいのアルバムだろうけど、アルバム全部持ってるファンには‥‥全楽曲既発曲のみで構成されたベスト盤を連発する某アーティストよりは遥かにマシだが。(笑)

"Gimme Shelter"以外の曲のプロデューサーは、初起用のデヴィッド・ボスコム。TEARS FOR FEARSといった、どちらかといえばポップス系を手掛けてきた人。たまたま彼が空いていたからといった程度の理由だったらしい。最初この起用を知った時、「いよいよTHUNDERもブリットポップに便乗するのか?」と思ったが、単なる思い過ごしだったようだ。

新曲に関しては、可もなく不可もなくといったところか? このアルバムの為に書き下ろしたというより、3rdの時のアウトテイクというイメージが強い。確かに前作に収録していたら浮いていただろう。今思えばこの曲は、続く新作へのプロローグだったのかもしれない。それはリアレンジされた新録"Higher Ground"からも伺える。この辺のスマートな印象は、それまでのアルバムにはなかったものだ。

カヴァー2曲に関しては、既にシングルのC/Wで発表されていた"Gimme Shelter"はともかく、やはり"In A Broken Dream"だろう。この隠れた名曲をカヴァーするセンスに脱帽。当時謎のグループとしてこの曲をリリースしたPISON LEE JACKSON、実は唄っているのがかのロッド・スチュワートだと言われている。クレジットこそないものの、その声を聴けば明らかに彼のものだと判る。気になる方は映画「奇跡の海」サントラでオリジナルを聴くことができる。構成を若干自分達流に変えているので、THUNDERのオリジナルだと言われても何ら違和感はない。それくらいハマッてる名演だと思う。この1曲の為だけに買え!とは言えないものの、手っ取り早く彼らの代表曲を聴きたいという人には重宝されるアルバムではないだろうか。国内盤も1,800円で再発されていて且つ名曲のオンパレードなのだから、絶対に損はしないはずだ。まぁTHUNDERの場合はシングル曲以外にも名曲は数多くあるから、オリジナル盤に手を出す前にとりあえず‥‥って場合にはいいかもしれない。そうそう、"In A Broken Dream"はイギリスではシングルカットもされたので、探せば意外と簡単に見つかるかもしれない。



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投稿: 2000 03 27 02:07 午後 [1995年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『BEHIND CLOSED DOORS』(1995)

'93~4年に渡って解散騒動(ルークとダニーの不仲が原因)の為、活動休止していたTHUNDER。気を取り直して'94年夏からレコーディングに入り、同年末にシングル"Stand Up"リリース後、翌年1月に発表されたのがこの3rd。全英初登場5位を記録し、4曲がシングルカットされている。(実はあまり知られていないが、後に登場するベスト盤リリース後暫くして"'Til The River Runs Dry"もリリースされている)プロデューサーには1stでミックスを担当したマイク・フレイザーとルーク自身が当たっている。このアルバムまで、アメリカではGEFFENからリリースされたが、大きなヒットには結びつかなかった。

THUNDERの凄さとは何か?という答えが、このアルバムに凝縮されている。それくらい濃度の高い名盤。普通1stが完成度が高い作品だと、そのプレッシャーに押し潰されたりして、続く作品はそれを越える事は少ないのだが、彼らの場合は1stより2nd、2ndより3rdという具合に、常に高いハードルをクリアーしてきた。人それぞれ趣味の違いはあるだろうが、特に1stとこの3rdを名盤と呼ぶファンは多いはずだ。作品的には1stからの延長上なのだけど、このアルバムから加わった新ベーシストのミカエル・ホグランドが持ち込んだ新たな要素がいい刺激となっている。

だって1曲目からいきなり固定観念を覆す"Moth To The Flame"だもん。このBLACK SABBATH的リフとRAINBOW "Gates Of Babylon"的メロディーを持ったへヴィなナンバーがいい導入部を作り、続くファンキーな"Fly On The Wall"、ここまでシンプルな泣きのブルーズは初めて"I'll Be Waiting"、そして超名曲"River Of Pain"、トラッド調~へヴィな流れがZEP的な"Future Train"、そして胸を締めつける"'Til The River Runs Dry"というアナログA面の流れは完璧である。勿論"Stand Up"から続く後半も名曲揃いで、正に捨て曲なし!といったところだろう。特にラスト2曲‥‥"Ball And Chain"~"It Happened In This Town"の流れは、アルバムを閉める上では最高のエンディングを飾っている。これを受け入れられない『自称・ブリティッシュロックファン』は即刻死刑! いや、マジで。

極論を言ってしまおう。このアルバム、"River Of Pain"1曲の為だけに買ってしまっても損はしない! 勿論、後のベスト盤やライヴ盤にもこの曲は収められているが、やはりこの一連の曲の流れで聴いてもらいたい。これ1曲でも感涙度150%なのに、アルバムの流れで聴くと378%までアップする。(笑)冗談抜きで、この曲が何故大ヒットに繋がらなかったのか? もうそれだけで不幸である、イギリス人は。結局こういう曲を受け入れなくなったのは、彼らが不在の間によりダンス指向に流れていった事と、やはりブリットポップが影響している。事実この事により、THUNDERは契約を失うわけだから。

そんな「当時BLURやOASISに夢中だった」音楽ファンは今このアルバムを聴いてどう思うのだろうか、是非その意見を聞いてみたい。いや、否定的な意味で言っているのではない。俺だって当時は両バンドを好んで聴いていたわけだし。ただ、切っ掛けがなかっただけで、こういう素晴らしいアルバムを見逃してしまっていた事を知って欲しい‥‥それだけなのだ。後は作品を聴いた本人が判断すればいい。自分にとって必要か、不必要かを‥‥



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投稿: 2000 03 27 02:02 午後 [1995年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』(1992)

日本には'91年大晦日のカウントダウンライヴで初来日し、底力を見せつけたTHUNDER。このライヴ終了後曲作りに入り、満を持して'92年8月にリリースされたのがこのセカンドアルバム。プロデューサーには前作同様アンディ・テイラーが担当。セールス的に最も成功したのがこの作品だ。(全英初登場2位)シングルカットは4曲。唯一全英シングルチャートのトップ20入りした"A Better Man"が収録されている。またこのアルバムを伴って同年12月に初のジャパンツアーを決行している。

前作をリリース後暫く経ってからヒットしたために、彼等は2年近くに渡ってツアーを続ける事になる。その結果、正に「待望の」と呼ばれるに相応しい作品として受け入れられた。楽曲的には前作の延長線上にあるが、更に的を絞ってきた感がある。先の"Low Life~"や"Everybody Wants Her"といった曲は、前作の"Love Walked In"や"Dirty Love"といったヒット曲の焼き直しともとれる。が、特に"Low Life~"。これは焼き直しだの何だのと言ってる場合じゃないくらい、完成度が高い! たった4分の中に起承転結がはっきりと刻まれていて、特に後半のVo.の盛り上がりには胸を掻きむしられるように、切なく苦しい。ブルーズロックの名曲のひとつとして、これからも語り継がれていくに違いない。この曲が当時ヒットしたということは、まだイギリスでは当時こういう音が求められていたのだろう。その傾向がたった数年で変わってしまうとは‥‥

また、6分を越えるプログレッシヴな大作が2曲、アナログでいうところのA面B面のラストやその前にそれぞれ収録されている。特にライヴでも披露されることの多かった"Empty City"はこのアルバムのハイライトのひとつだ。これといったギミックのない、正に歌と楽器だけでこれだけ聴かせるバンドは、当時そうはいなかった。全く間延びせずに最後まで緊張感を持続するこの曲、ライヴでも一種異様な緊張感を放っていた。

1stでもそうだったが、この2ndでもバラード調ナンバーは絶品だ。先の"Low Life~"は勿論の事、特に俺がお薦めしたいのがシングルカットもされた"Like A Satellite"。当時のライヴヴァージョンは前ベンが弾くピアノとVo.のみで演奏され、ギターソロの直前からバンド全体が入り、あの印象的なツインリードギターが披露されるという、感動的なアレンジで披露されていた。勿論このアルバムヴァージョンも素敵だが、個人的にはライヴアレンジの方が数段上だと思う。このシングルのC/Wとして当時のライヴが収録されているが、探すのは少々難しいかも。

その他にもブギー調のナンバーや当時主流だったレニー・クラヴィッツ風のファンキーな曲も収録されているが、特に突出したイメージはなく、あくまで「ブルーズベースのロックバンド」の曲という形で1枚のアルバムに収録されている。まぁ悪く言ってしまえば、それ程印象に残らない中途半端さがあるのだが‥‥この当時からもっとこの辺に力を入れていれば、彼らの将来は変わっていたかもしれない。



▼THUNDER『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』
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投稿: 2000 03 27 01:58 午後 [1992年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『BACKSTREET SYMPHONY (US Re-RELEASED EDITION)』(1991)

1stは勿論アメリカでもEMIからリリースされたが、ノン・プロモーション状態に近かった。'90年春にアメリカでクラブツアーを行った際に、彼等は自分達のアルバムがどのレコード店にも置かれていない事を初めて知る。そこで彼等はアメリカでのみ新しいディールを探した。モンスターズ・オブ・ロックが切っ掛けでAEROSMITHのメンバーやWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァデイル、GUNS N'ROSESのアクセル・ローズが後押ししてくれたお陰で、それらのバンドが所属するGEFFEN RECORDSと再契約するに到った。その際に、あの英国流ブラック・ユーモア満載のジャケットを差し替えて再リリースされたのが、このアルバム。収録曲やミックスもオリジナルのままで、ただ単にジャケットを差し替えただけ。こちらの方が好きというファンも多いらしい。

ちなみに日本ではこのジャケットを使って'91年6月から数年間、2枚組エディションが流通していた。(現在は廃盤)ディスク2だが、彼等がこれまでにシングルのC/Wや雑誌の付録ソノシートに収録してきたライヴ音源を1枚にまとめたライヴ盤で、かなり貴重な音源も含まれていた。特に先のドニントンの模様が数曲収録されている。当時は来日もしていなかったしライヴ盤もリリースされていなかったので、かなり重宝された。今でも中古盤店で見かける事が多いので、ライヴディスクの為だけに買い直しても損はしないと思う。



▼THUNDER『BACKSTREET SYMPHONY』
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投稿: 2000 03 27 01:53 午後 [1991年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『BACKSTREET SYMPHONY』(1990)

これがTHUNDERのデビューアルバム。プロデューサーは元DURAN DURAN~THE POWER STATIONのアンディ・テイラー、ミックスにAEROSMITH「PUMP」やCOVERDALE・PAGEのアルバムをミックスした、マイク・フレイザー。このアルバムからシングルカットは5曲6枚リリースされている。(デビューシングル"She's So Fine"は最初'89年11月にリリースされたが、翌年夏にC/Wをドニントンでのライヴに差し替えて再リリース)当時日本では同時期デビューした、同じ英国のQUIREBOYSの方が話題/人気共に高く、このアルバムも高い評価の割には殆ど売れなかった。これは英国でも同様で、雑誌等では高く評価されていた割にはヒットに恵まれなかった。が、モンスターズ・オブ・ロックでのライヴが更に高く評価され、この模様を見た(ラジオ放送を聴いた)多くの人がアルバムを買いに走った。同様にここ日本でもその話題がメディアを通して流れ、当時はQUIREBOYS派だった?伊藤政則氏もTHUNDER派に鞍替えしたくらいだ。(笑)ってまぁそれは冗談として、とにかく当時の英国ロックといえばSTONE ROSESをはじめとするマッドチェスターやRIDE等のシューゲイザーバンド達が席巻していた時代で、伝統的オールドスタイルのバンドは壊滅状態だった。そこから這い上がり、シーンを支えようとしたのが、このTHUNDERとQUIREBOYSだった。

とにかくこのアルバム、名曲揃い。先のQUIREBOYSの方はもっとアーシーな、ROLLING STONESやFACES、HUMBLE PIEといったロックンロールスタイルだったのに対し、このアルバムはFREE~BAD COMPANY、WHITESNAKEやLED ZEPPELINといったブルーズベースのハードロックスタイルだったこともあり、比較的誰にでも馴染みやすい要素をもった作品だと言える。もしこのアルバムに不幸な点があるとすれば、それは「BURRN!」で取り上げられる事が多かった事によって、「rockin'on」あたりのZEPやポール・ロジャース等を好むファンに敬遠された事だろう。松村雄策氏なら好意的に評価してくれたんじゃなかっただろうか?

この時点ではまだ'80年代的ハードロックナンバーも収録されている点が興味深い。特にバンド名の由来ともなった"Distant Thunder"や"Girl's Going Out Of Her Head"といった疾走感のある曲は、この後のアルバムには登場しない。この辺はライヴでの盛り上がりを計算したのか、それともレコード契約の為に派手な曲を用意したのか定かではないが、10年間の彼等の歴史から見ても決して恥じるべき楽曲ではない。

いろいろなカヴァー曲をプレイするTHUNDERの割には、オリジナルアルバムにはたったの2曲しか収録されていない。その内の1曲が"Gimme Some Lovin'"だ。スティーヴ・ウィンウッドが在籍したSPENCER DAVIS GROUPの代表的ヒット曲で、多くのアーティストにカヴァーされている。ここでは原曲を更にヘヴィにしたアレンジがキマッていて、ベンが弾くハモンド・オルガンがいい味を出している。

アルバム5枚しかリリースしなかった彼等だが、実は解散まで演奏され続けた曲が最も多いのがこのアルバムからである。メンバーにとってそれだけ印象深い作品というだけでなく、多くのロックファンにとっても大切なアルバムであるに違いない。ある意味、既に彼等はこの1stアルバムでその音楽性を完成させてしまっていたと言っても過言ではない。がその結果、その「固定観念」が彼等の首を絞め、解散に繋がった事も付け加えておこう。とにかく未体験者はこのアルバムから聴くべし。



▼THUNDER『BACKSTREET SYMPHONY』
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投稿: 2000 03 27 01:48 午後 [1990年の作品, Thunder] | 固定リンク