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カテゴリー「Thunder」の23件の記事

2021年3月14日 (日)

THUNDER『ALL THE RIGHT NOISES』(2021)

2021年3月12日にリリースされたTHUNDERの12thアルバム。

オリジナルアルバムとしては全英3位という好記録を樹立した『RIP IT UP』(2017年)から4年ぶり、新録作品としても結成30周年を記念して制作されたセルフカバーアルバム『PLEASE REMAIN SEATED』(2019年)から2年ぶりの新作となります。再々結成後の『WONDER DAYS』(2015年)以降、ライブアルバムやベストアルバム含め、定期的にアイテムを届けてくれる勤勉なバンドなので、オリジナル作が4年ぶりという事実に改めて驚かされました。

昨年、本作のオープニングを飾るリードトラック「Last One Out Turn Off The Lights」が公開されたとき、「いつも以上にストレートなオマージュ楽曲だな」と思い、「そろそろネタ切れか?」と若干意地悪な見方もしたのですが、何度も繰り返して聴くとクセになる1曲なんですよね。メインリフがLED ZEPPELIN有名曲オマージュであることは一聴瞭然なのですが、楽曲の構成やメロディ自体は王道のTHUNDER節。パクリとか簡単な言葉では片付けられない、彼らにしか鳴らせない音にちゃんと仕上がっています。

で、2ndシングル「Going To Sin City」が年明けに公開されたときは、そのタイトルと豪快なギターリフもあり「今度はAC/DCか?(笑)」なんて茶化したのですが、確かにそれっぽさはあるものの、ブラスをフィーチャーした豪快なロックンロールはTHUNDER以外の何者でもない。「Last One Out Turn Off The Lights」同様、先人たちからの影響を示しつつもオリジナルであろうと真摯に音楽と向き合う姿勢はさすが生真面目なTHUNDERらしいなと、ニヤニヤしたものです。

そして、ようやく届けられたこのアルバム。楽曲のバラエティ豊かさは近年イチではないでしょうか。序盤の2曲(「Last One Out Turn Off The Lights」「Destruction」)のハードさ、「The Smoking Gun」を含めた冒頭3曲のダークさにドキリとさせられます。思わずコロナ禍以降の生活と重ね合わせてしまいがちですが、レコーディング自体は昨年春までに終了していたとのことなので、一概にそこと結びつけるのも間違いかなと。単純に30周年を経たバンドの今のモードがこっち側ということなのでしょう。『RIP IT UP』、そして『PLEASE REMAIN SEATED』と玄人好みなロックアルバムが続きましたが、今作も全体的にはその延長線上にありながらも、さらに幅を広げようとする攻めの姿勢が伝わる。そういう意味では『RIP IT UP』のような守りはまったく感じられず、最初から最後まで新鮮な気持ちで楽しむことができました。

「I'll Be The One」のような“酸いも甘いも知り尽くした大人”のバラードも、T. REXへのリスペクトが伝わるヘヴィグラムロック「Young Man」も、FACESを豊富とさせるアーシーなロックチューン「You're Gonna Be My Girl」も、ヘヴィ&グルーヴィーな「Force Of Nature」も、ソウルフルな王道ハードロック「She's A Millionairess」も、どれも新鮮なのにどれもTHUNDERそのもの。好きな人なら大満足、初めて聴く人にも純粋に「カッコいい大人のロック」と感じさせてくれる納得の1枚です。

なお、本作の初回限定盤にはアルバムから漏れた新曲4曲に、アルバム本編収録曲のスタジオライブ音源7曲を追加したボーナスディスク付き。こちらの新曲の出来もオマケ以上の仕上がりですし、ライブ音源は新曲を生々しいサウンドで楽しめるゴキゲンなテイクばかりなので、こちらもオススメです。日本盤はこのボーナスディスクが永久仕様で付属しますし、ストリーミングではこちらの11曲は聴けないので、ぜひ国内盤CDの購入をオススメします。

そろそろ二度目の再結成から10年経ちますが、今後もこのスタンスで安定感の強いロックアルバムを量産してくれることを願わんばかり。あとは健康な世の中になって、これらの新曲群を生で聴ける日が少しでも早く訪れることを待つだけ。きっと自分、ダニー(Vo)の「Hello, team!」の第一声で泣くんだろうな(苦笑)。

 


▼THUNDER『ALL THE RIGHT NOISES』
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2021年2月22日 (月)

RICKY WARWICK『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』(2021)

2021年2月19日にリリースされたリッキー・ウォリックBLACK STAR RIDERSTHIN LIZZY、ex. THE ALMIGHTY)の5thアルバム。

オリジナル・ソロアルバムとしては『WHEN PATSY CLINE WAS CRAZY & GUY MITCHELL SANG THE BLUES』(2014年)から約7年ぶり、カバーアルバム『STAIRSELL TROUBADOUR』(2015年)からも約6年ぶりの新作音源。その間にBLACK STAR RIDERSとして3枚のアルバムを制作しているので、まあ順当なスパンと言えるでしょう。

過去数作はリッキーがひとりで録音したプライベート感の強い作風でしたが、今作では元BUCKCHERRYのキース・ネルソン(G)がプロデュース&楽曲制作で参加。レコーディングにもギタリストとして参加したほか、同じく元BUCKCHERRYのザヴィエル・ムリエル(Dr)や、BLACK STAR RIDERSのロバート・クレイン(B)がバンド形態としてレコーディングに加わっています。また、ゲストプレイヤーとしてジョー・エリオット(Vo/DEF LEPPARD)、ルーク・モーリー(G/THUNDER)、アンディ・テイラー(G/ex. DURAN DURAN、ex. THE POWER STATION)、ディジー・リード(Key/GUNS N' ROSES)といった錚々たる面々が名を連ねており、リッキーの人脈の太さを改めて感じることができます。

が、そういったゲストの名前なしでも、本作はTHE ALMIGHTYからTHIN LIZZY、BLACK STAR RIDERSまでリッキーの活動を追ってきたリスナーに存分にアピールするクラシカルなハードロック作品に仕上がっており、特に近年のリッキー参加作品に心ときめかせてきた者なら誰もが一発で気にいる作品だと断言できます。基本的にはBLACK STAR RIDERSの延長線上にある、THIN LIZZYテイストの王道ブリティッシュハードロックが展開されておりますが、そこにキース・ネルソンのカラーが加わることで、初期THE ALMIGHTYを思わせる破天荒なパンクロックテイストの強い楽曲も存在。これらが良いバランスでミックスされることで、リッキーの約30年にわたる音楽活動の総決算とも言える内容になったのではないでしょうか。

リッキー自身は本作を「トム・ペティのようなシンプルなメロディに、JOHNNY THUDERS & THE HEARTBREAKERSの快楽主義的怒りを掛け合わせたもの」と描写していますが、その例えが本当にぴったりな1枚。モダンメタル期のTHE ALMIGHTYっぽさは皆無ですが、初期&末期の彼らやのちのTHIN LIZZY〜BLACK STAR RIDERSへの流れもしっかり踏まえられており、個人的にもかなりツボな仕上がり。中盤の「Gunslinger」「Never Corner A Rat」あたりはBUCKCHERRY的な側面もしっかり伝わるし、リッキー&キース両者の個性が良い形で反映された、見事なタッグ作ではないでしょうか。

UKらしい湿り気の強い王道ハードロックあり、軽快なパンクロックあり、内省的なアコースティックナンバーありと、聴き応え満点の1枚。かなりの高ポイントです。

なお、日本盤や海外盤デラックス・エディションのみ2015年発売のカバーアルバム『STAIRSELL TROUBADOUR』がボーナスディスクとして付属。こちらは「You Spin Me Round (Like A Record)」(DEAD OR ALIVE)、「Ooops!... I Did It Again」(ブリトニー・スピアーズ)、「Summertime Blues」(エディ・コクラン)、「I Don't Want To Grow Up」(RAMONES)、「I Fought The Law」(THE CLASH)、「Wrathchild」(IRON MAIDEN)などのカバーに加え、THE ALMIGHTY「Jesus Loves You... But I Don't」のセルフカバーという全10曲を収録。カントリータッチにアレンジされた「You Spin Me Round (Like A Record)」や原曲のイメージどおりの「Summertime Blues」、アコースティックアレンジで完全にブルースと化した「Wrathchild」など、1枚通して十分に楽しめる仕上がりです。

ただ、先の『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』本編とは切り離して聴くべき1枚かなと。録音時期も相当ズレていますし、制作過程も参加メンバーもまったくことなるので、本当にオマケ程度で切り分けて考えてもらえればと思います。2枚合わせて考えてしまうと、こっちが足を引っ張る結果になりかねないので……。

 


▼RICKY WARWICK『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』
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2020年11月26日 (木)

THUNDER『BANG!』(2008)

2008年11月3日にリリースされたTHUNDERの9thアルバム。日本盤は同年11月19日発売。

再結成後初のアルバム『SHOOTING AT THE SUN』(2003年)からハイペースで新作を制作し続けてきたTHUNDERですが、本作も前作『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』(2006年)から丸2年と順調に音楽活動を続けているように映りました。しかし、リリースから数ヶ月後の2009年1月下旬、結成20周年を迎えたこのタイミングにバンドは夏のライブをもって再び解散することを発表。理由は各メンバーがTHUNDER以外の活動で忙しくなり始めたため。もともと期間限定で復活した彼らでしたが、持ち前のワーカホリックぶりが災いしたのか(苦笑)。

おそらく本作の制作中にもそういった予感が、メンバーの間にはあったんじゃないかと思います。そして、その決断を下すにふさわしい内容のアルバムが完成したと思えたから、リリース後に正式発表したのではないでしょうか。そう思わずにはいられないほど、本作は再始動後のTHUNDERにおける集大成的な1枚だと断言できます。

過去2作と比べて躍動感の強かった『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』を経て、今作『BANG!』は全体のバランス感に優れた1枚と言えるでしょう。オープニングを飾るダイナミックはハードロック「On The Radio」やLED ZEPPELIN的ダイナミズムの塊みたいな「Stormwater」、これぞTHUNDER!と断言できるソウルフルなロックチューン「Carol Ann」など、冒頭から“らしい”楽曲がずらりと並ぶものの、4曲目「Retribution」では変拍子を用いた異色のアコースティックロックで意表を突き、続く「Candy Man」や「Have Mercy」で再び王道のTHUNDER節を届けてくれる。この緩急に富んだ構成、正しく再始動後の集大成と呼べるものでしょう。

アルバム後半も、アンディ・テイラー(ex. DURAN DURAN、THUNDERの『BACKSTREET SYMPHONY』プロデューサー)と共作したソウルフルなミディアムバラード「Watching Over You」や豪快なハードロック「Miracle Man」、肩の力の抜けたアコースティック&サイケデリックロック「Turn Left At California」、レゲエ的なギタープレイが耳に残るミディアムロック「Love Sucks」、渋みを増したアダルトなバラード「One Bullet」、ポップで軽やかなロックンロール「Honey」とバラエティに富んだ楽曲が並びます。90年代のTHUNDERらしさをしっかり残しつつ、再結成後の魅力も随所に散りばめたこれらの楽曲は、THUNDERというバンドにとってひとつの到達点だったのかもしれません。

と同時に、こんなに優れたロックアルバムが本国で最高62位までしか到達しなかった事実も、彼らに再び解散という道を選択させた、というのは言い過ぎでしょうか。そういう意味では、再々結成後のアルバムがどれも全英TOP10入りしている現実は、非常に喜ばしいことだと思うのです。

90年代前半のような動きが何も“起きなかった”のは時代のせいだったのか、それとも彼らに魅力がなかったのか。なんにせよ、この『BANG!』というふざけた名前のアルバム(笑)を完成させたことで、すべてやりきった感が強かったんでしょうね。それも頷けるくらいに、“普通に最高”な1枚です。

 


▼THUNDER『BANG!』
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2019年11月 6日 (水)

THUNDER『THE GREATEST HITS』(2019)

2019年9月下旬に発表された、THUNDER結成30周年を記念したベストアルバム。2枚組仕様の通常盤とボーナスディスク付き3枚組特別仕様、アナログ盤の3形態が用意されており、今年1月発売の新作『PLEASE REMAIN SEATED』同様に日本盤のリリースは今のところ予定されておりません。

THUNDERのベストアルバム/コンピレーションアルバムはこれまでも多数リリースされていますが、その大半がEMI在籍時(1989年〜1995年頃)のアルバム3作品を中心にしたもの。かつ、最初のベスト盤『THEIR FINEST HOUR (AND A BIT)』(1995年)以外はバンドの意図とは別に、レーベル側が勝手に制作・発表していたものでした。

もちろん、THUNDERはEMIから離れた4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)以降もレーベルをいくつか変えながらアルバムを多数発表しています。特にここ日本では『THE THRILL OF IT ALL』から二度目の解散時ラスト作となった9thアルバム『BANG!』(2008年)までがビクターからのリリースでしたので、その時期の作品をまとめようと思えばまとめられるはずなのですが、なかなかこの頃の音源をまとまった形で聴くことは叶いませんでした。

そこで、今回のベスト盤です。先にも書いたとおり、結成30周年を記念して発表されたものですので、その内容もキャリアを総括したものとなっており、EMI時代+4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』&5thアルバム『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)と最初の解散前までの楽曲をまとめたDISC 1、2000年代の再結成、および二度目の再結成以降の楽曲を総括したDISC 2にて構成されています。基本的には既発曲ばかりで、特にDISC 1は過去のベストアルバムと被りまくりの選曲なので、すべてのオリジナルアルバムを所有しているリスナーにとっては購入にまで及ばない1作かもしれませんが、「Love Worth Dying For」や「Living For Today」「Just Another Suicide (You Wanna Know)」といった90年代の隠れた名曲、および2000年代の楽曲を手軽に楽しめるという点においては非常に便利なコンピレーションアルバムではないでしょうか。

そんな中、オリジナル作をすべて聴いているようなファンをも唸らせるのが、本作が初CD化となる「Your Time Is Gonna Come」。ご存知LED ZEPPELINのカバーですが、これは『PLEASE REMAIN SEATED』制作時にレコーディングされたアウトテイクとのことで、それもあってか非常にリラックスした空気感が伝わってくる今の彼ららしい仕上がりとなっています。

また、特別仕様にのみ付属のDISC 3には『PLEASE REMAIN SEATED』リリースを記念して今年1月18日に行われたアコースティックライブから、計6曲が収められています。「Bigger Than Both Of Us」「She's So Fine」「Blown Away」「River Of Pain」「Stand Up」は『PLEASE REMAIN SEATED』にも収められたリアレンジバージョンとなりますが、「Serpentine」(『WONDER DAYS』収録曲)のみ同作にも未収録となる貴重なアレンジ。このライブディスクは当然のように配信もされていないので、ぜひともフィジカル(CD)で購入していただきたいところです。

何度か解散/活動休止をしているバンドではありますが、この30年を振り返るとスタジオアルバムを12枚も発表しているロックバンドってそう多くないと思うんです。そんな勤勉なTHUNDERだからこその、バンドの成長/進化ぶりが伝わってくるこのベストアルバムはぜひいろんな人に聴いてほしいな。けど本作、残念ながらストリーミングサービスでは未配信。Spotifyのみ数曲欠けたプレイリスト形式で聴くことができますが、可能ならば盤として一家に1枚用意していただけたらと(笑)。

 


▼THUNDER『THE GREATEST HITS』
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2019年9月12日 (木)

THUNDER『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』(2006)

2006年10月末にリリースされた、THUNDER通算8作目のスタジオアルバム。ヨーロッパでは同年11月上旬に、日本では少々遅れ2007年2月下旬に発売されております。珍しいですね、THUNDERの日本盤がここまで遅れるのって。

前作『THE MAGNIFICENT SEVENTH!』(2005年)から1年9ヶ月と、再結成後も相変わらず勤勉さが目立つTHUNDERですが、そういった地道な活動も影響してか、今作は前作の全英70位を超える最高56位を記録。「The Devil Made Me Do It」(全英40位)というシングルヒットも生まれています。

本作の制作は、『THE MAGNIFICENT SEVENTH!』ツアー期間中の2005年11月から始動。206年2月のツアーファイナル後に制作が本格化し、ツアーで得た躍動感が良い形に曲作りやレコーディングに反映されたようです。

その結果、本作のサウンドは再始動後の過去2作と比べても非常に躍動感の強いもので、ハードロック然とした楽曲が多いような印象を受けます。それは前作のヘヴィさとはまた違う種類のもので、ライブバンドとして再び脂が乗ってきた感が伝わってきます。これ、過去のキャリアに重ねると2ndアルバム『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』(1992年)にとても近いような……そう思いません?

また、タイトルにあるロバート・ジョンソンの名前からも想像できるように、若干ブルース色も強まっているような。もっとも、完全にそれらしいのはオープニングトラック「Robert Johnson's Tombstone」のイントロぐらいなんですけどね。

「A Million Faces」や「My Darkest Hour」のような渋みの増したアコースティックバラードも、「It's All About You」といったピアノバラード(こちらはちょっとビートルズ的な香りもします)もあるんですけど、過去の作品ほど強いインパクトを残すものではない気が。

そのぶん、どこかLED ZEPPELIN的でもある「Last Man Standing」なんていう変化球があったりと、やっぱり本作の軸にあるのはダイナミックでハードなロックナンバーなんですよね。そういった点においては、バラードも珠玉の名曲が多かった『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』ともまた違うのかもしれませんが。

ロックバンドとして完全に息を吹き返した感の強い、生命力に満ちた1枚。だからこそ、ここからさらにバンドは続いていくと誰もが信じていたわけですが、二度目の終わりは意外と早くに訪れるのでした……。

 


▼THUNDER『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』
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2019年7月 1日 (月)

LONERIDER『ATTITUDE』(2019)

BAD COMPANYのサイモン・カーク(Dr)を中心に、FMのスティーヴ・オーヴァーランド(Vo)、HEARTLANDのスティーヴ・モリス(G)、THUNDERのクリス・チャイルズ(B)らで結成されたLONERIDER。その彼らが2019年4月(日本では同年5月)にリリースしたのが、本作『ATTITUDE』です。

スティーヴ・オーヴァーランドとスティーヴ・モリス、クリス・チャイルズはSHADOWMANというバンドでも活動しており(そちらのドラマーはTHUNDERのハリー・ジェイムズ)、なんとなくドラムが変わっただけじゃん……という気がしないでもないですが。

はい、そこのあなた。ある意味正解。むしろ、SHADOWMANでプレイされている楽曲よりもオールドスクールなブリティッシュ・ハードロックが展開されています。もっと言えば、BAD COMPANYテイストの楽曲(70年代のみならず、ポール・ロジャース脱退後の80年代のスタイルも含む)をSHADOWMANの面々が演奏している、そんなふうにも受け取れるのではないでしょうか。

オープニングの「My Imagination」こそ、オープニングのギタープレイに80年代的なフラッシーさを感じますが、楽曲自体はもっとオーソドックスなハードロック。スティーヴ・オーヴァーランドの味わい深い歌声が存分に発揮されており、そこに絡まるコーラスもソウルフルで良い味を出している。で、2曲目の「Lonerider」……地味(笑)。渋すぎますってば。以降もスロウ〜ミディアムの渋いブルースロックが続きます。

中盤以降、THUNDERにぜひカバーしてほしい「Angel Without Wings」や「One In A Million」、FREEが現代に蘇ったかのような「Rhythm Of Life」といったキャッチーなロックナンバーも配置されていますが、どちらかというとじっくり聴かせるタイプの楽曲がメインなのかな。日本盤ボーナストラックの「Have A Little Faith (Acoustic Version)」までの全13曲、約50分とそこそこボリューミーですが決して退屈することはないと思います。それだけ、曲も歌も演奏もしっかりしているので。

サイモン・カークはなぜこれをポール・ロジャースと一緒にやらなかったんだろうという疑問も残りますが、要するに若いプレイヤーたち(若いといっても、サイモンと比べたらという意味ですが)からインスパイアされるものが多かったってことなんでしょうね。結果、こうして水準以上の作品が生まれたのですから、我々リスナー的にはありがたい話ですが。

ただ、各メンバーがそれぞれにメインバンドを持っているだけに、なんとなく長続きしないような気が。そこだけが勿体ないです。

 


▼LONERIDER『ATTITUDE』
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2019年5月 4日 (土)

THUNDER『THE MAGNIFICENT SEVENTH!』(2005)

2005年2月(日本では3月)にリリースされたTHUNDER通算7作目のオリジナルアルバム。前作『SHOOTING AT THE SUN』(2003年)の時点では期間限定復活ぐらいの軽い気持ちで復活した彼らでしたが、その後バンドは活動を継続することを決意。その結果、前作はオンラインでの販売だったところ(日本ではビクターから通常販売)、今作は通常のインディーズレーベルを通してリリースされ、全英70位にランクイン。先行カットされたシングル「I Love You More Than Rock n' Rol」も最高27位まで上昇し、全盛期に迫る勢いのヒットとなりました。

前作では地味さ、おとなしさが印象に残り、まだまだバンドとしてはリハビリ状態なのかな?と思わずにはいられませんでしたが、今作ではそんな不安を払拭。往年の“らしさ”に加え、大人になったロックバンドの色気が感じられる聴き応えのある1枚に仕上がっています。

オープニングを飾るシングル曲「I Love You More Than Rock n' Rol」は非常にシンプルなロックンロールナンバーですが、これが不思議とクセになる。日本人があまり好みそうにないタイプの楽曲ですが、こういう曲って欧米では異常にウケがいいんですよね。結果、現在までセットリストのクライマックスに組み込まれることが多い、再結成後の彼らを代表する1曲になっています。

かと思えば、どこかMETALLICA「Enter Sandman」を彷彿とさせるヘヴィな「The Gods Of Love」があったり、往年のTHUNDERらしさを踏襲した「Monkey See, Monkey Do」や「I'm Dreaming Again」「Amy's On The Run」があったりと、序盤から濃厚な仕上がり。特に「The Gods Of Love」はリフやアレンジこそ先述の空気感がありますが、楽曲のメロディや運び方は『BEHIND CLOSED DOORS』(1995年)あたりのヘヴィでエモーショナルな楽曲と共通するものも多い。つまり、時代がヘヴィさを求めるから取ってつけたというわけではなく、こういったカラーも彼らの持ち味のひとつなのです。

そういう意味では、本作では決して新たな挑戦が詰まった1枚というわけではありません。むしろ、これまでに発表してきた諸作品を現在の技術と感性で再構築した、と言ったほうが正しい内容かもしれません。

ダニー・ボウズ(Vo)も必要以上に張り上げて歌うことはないし、ルーク・モーリー(G)のギターも派手に弾きまくることはない。だって、楽曲がそういう演出を求めていないんだから。そういった点においては前作同様に地味な印象も拭えないのですが、完成度は前作の数倍以上。むしろ、リスナーが「これが聴きたかった!」と断言できる内容の、“いかにも”な1枚ではないでしょうか。

クラシックロック、ルーツロックとかいろいろ言い方はあると思いますが、古き良き時代のロックンロール、ハードロックを2005年という時代に正しい形で表現した、いかにも英国らしいロックアルバムです。

 


▼THUNDER『THE MAGNIFICENT SEVENTH!』
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2019年2月17日 (日)

THUNDER『PLEASE REMAIN SEATED』(2019)

THUNDERが2019年1月に発表した、通算12作目のスタジオアルバム。前作『RIT IT UP』(2017年)から2年ぶり、BMG移籍第1弾作品となります。本国イギリスでは2015年の前々作『WONDER DAYS』(全英9位)、前作『RIT IT UP』(同3位)に続いて8位という好記録を残しています。

本作はバンドのデビュー30周年を祝福する企画アルバム的内容で、過去の楽曲をアコースティックテイストでリアレンジ&再構築したものとなっています。これは2017年末に発表されたEP『CHRISTMAS DAY』に収録した「Love Walked In」の再録バージョンがきっかけとなり、そこから発展したもの。アルバムは全12曲収録の通常盤に加え、ボーナストラック7曲を追加したCD2枚組バージョン、アナログ盤(12曲)、デジタル(12曲)が用意されています。

内訳は以下のとおり。

<DISC 1(全仕様共通)>
01. Bigger Than Both Of Us [sg「A Better Man」]
02. Future Train [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
03. Girl's Going Out Of Her Head [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
04. I'm Dreaming Again [7th『THE MAGNIFICENT SEVENTH』]
05. Fly On The Wall [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
06. Just Another Suicide [5th『GIVING THE GAME AWAY』]
07. Empty City [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
08. Miracle Man [9th『BANG!』(2008)]
09. Blown Away [6th『SHOOTING AT THE SUN』]
10. Loser [6th『SHOOTING AT THE SUN』]
11. She's So Fine [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
12. Low Life In High Places [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]

<DISC 2(デラックス盤CDのみ)>
01. Stand Up [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
02. River Of Pain [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
03. Like A Satellite [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
04. Robert Johnson's Tombstone [8th『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』]
05. Higher Ground [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
06. Everybody Wants Her [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
07. Long Way From Home [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]

全19曲中、1stアルバム『BACKSTREET SYMPHONY』(1990年)から3曲、2ndアルバム『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』(1992年)から5曲、3rdアルバム『BEHIND CLOSED DOORS』(1995年)から4曲、5thアルバム『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)から1曲、6thアルバム『SHOOTING AT THE SUN』(2003年)から2曲、7thアルバム『THE MAGNIFICENT SEVENTH』(2005年)から1曲、8thアルバム『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』(2006年)から1曲、9thアルバム『BANG!』(2008年)から1曲、1993年のシングル「A Better Man」のカップリングから1曲。直近2枚および4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)からの楽曲が選外で、やはりメジャーから発表され大きなヒットとなった初期3作からの楽曲が大半を占めています。中でも2ndアルバム『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』期の楽曲が一番多い(「A Better Man」は同作からのシングルなので、カップリング曲も同時期に録音されたもの)というのは彼らの中で一番評価が高い作品ということなのか、それとも「もう一度やり直したい」と思っている1枚なのか、そのへんが気になるところです(ちなみにチャート上では最高2位とキャリア中もっとも高い記録を残しています)。

オルガンやピアノ、ブルースハープ、女性コーラス、ゴスペルコーラス隊など曲ごとに多彩なゲストを迎えることで、アコースティックセットながらも重厚なアレンジで再構築されている名曲の数々は、曲によってキーを落とすことでダニー・ボウズ(Vo)の中音域の旨味を見事に活かしたものに生まれ変わり、ある曲ではリズムをシャッフルに変えることで新鮮味が加わり、既発曲の再録音盤ですが完全にニューアルバムとして楽しめるのではないでしょうか。

周年の企画盤なので、今後このスタイルがメインになるということはないでしょうが、これもTHUNDERというバンドのルーツであり、これまでの楽曲に混在してきた要素。そのひとつに特化したこのアルバムは聴く人によっては“ロック”であり、ある人には“ロック”ではないかもしれない。だけど、そんなことはどうでもいいほどに優れた楽曲と優れた演奏と優れた歌が楽しめる。もうそれだけで十分じゃないですか。このバンドに関しては、何度もの解散/活動休止を経て、こうやって30周年までたどり着いたわけですから。

個人的にはぜひボーナストラック7曲を含むフィジカルのデラックス盤で楽しんでほしい1枚。特にボーナスディスクのほうにヒットシングル(「Stand Up」「Rever Of Pain」「Like A Satellite」「Everybody Wants Her」)が多く含まれているし、中でもアコギ1本のみで歌われる「Like A Satellite」の渋みは至高の仕上がりですから。



▼THUNDER『PLEASE REMAIN SEATED』
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2018年11月25日 (日)

V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』(2018)

2018年10月リリースの、ゲイリー・ムーアのトリビュートアルバム。アルバムジャケットにあるように、ゲイリーの諸作品やライブに参加してきたベーシスト、ボブ・デイズリーが中心となって制作された本作には、ニール・カーター(Key)やドン・エイリー(Key/DEEP PURPLE)、エリック・シンガー(Dr/KISS)、グレン・ヒューズ(Vo)に加え、元SKID ROW(「Youth Gone Wild」じゃないほう)のブラッシュ・シールズ(Vo)といったゲイリー・ムーアと馴染み深い面々、ゲイリーの実子であるガス・ムーア(Vo)とジャック・ムーア(G)のほか、豪華ゲストプレイヤーが多数参加しています。

そのメンツもジョン・サイクス(G)やダニー・ボウズ(Vo/THUNDER)、スティーヴ・ルカサー(G/TOTO)、ジョー・リン・ターナー(Vo)、リッキー・ウォリック(Vo/BLACK STAR RIDERS)、スティーヴ・モーズ(G/DEEP PURPLE)、デーモン・ジョンソン(Vo, G/BLACK STAR RIDERS)、ダグ・アルドリッチ(G/THE DEAD DAISIES)などなど。とにかく、無駄に豪華です。

選曲的にはブルースに傾倒した『STILL GOT THE BLUES』(1990年)以降の作品にこだわることなく、初期の『BACK ON THE STREETS』(1978年)から『VICTIMS OF THE FUTURE』(1983年)、『WILD FRONTIER』(1987年)の楽曲も収録。ボブ・デイズリー自身が関わっていることもあってか、『POWER OF THE BLUES』(2004年)という晩年の作品から3曲も選ばれていることがちょっと意外でした。

基本的にはどの曲もゲイリー独特の粘っこいギターフレーズを活かしつつ、オリジナルを尊重しながら随所に自身の個性を取り入れていく手法で、またボブが中心となって制作していることもあって統一感も強く、この手のトリビュートアルバムとしてはかなり水準の高いもののように思います。HR/HM系ギタリストが多く参加しているものの、各自そこまで出しゃばることもないので、本当に気持ちよく楽しめる1枚です。

やはり本作最大の聴きどころは、久しぶりにシーン復帰を果たしたジョン・サイクス参加の「Still Got The Blues (For You)」になるかと。ゲイリーからの影響も大きく、彼と同じTHIN LIZZY(=フィル・ライノット)にもお世話になった関係もあり、そりゃあもうディープなソロを聴かせてくれています。まあこの曲自体、基本的にメインフレーズの繰り返しになるのでそこまでアドリブを効かせることは難しいのですが、特に終盤のソロはサイクスらしいもので、フェイドアウトせずにこのままずっと聴いていたい!と思わせられるはずです。

で、この曲を歌うのがTHUNDERのダニー・ボウズというのが、また最高。思ったよりも感情抑え気味ですが、それがギターのエモーショナルさに拍車をかけているように感じました。うん、これ1曲のために購入してたとしても無駄じゃないと思います。

個人的にはこのほか、リッキー・ウォリックが歌い、スティーヴ・モーズがギターを弾く「Parisienne Walkways」、グレン・ヒューズが最高のボーカルパフォーマンスを聴かせる「Nothing's The Same」、思ったよりもゲイリー・ムーア色の強いダグ・アルドリッチのプレイが印象に残る「The Loner」、デーモン・ジョンソンが歌って弾いてと大活躍の「Don't Believe A Word」あたりがお気に入り。もちろん、そのほかの曲も文句なしに良いです。

来年の2月で、亡くなってから早8年。ゲイリー・ムーアというギタリストがどんな存在だったか、改めてロック/ブルース/HR/HMシーンに与えた影響をこのアルバムから振り返ることができたら、と思います。彼の名前しか知らないという若いリスナーにこそ聴いてほしい1枚です。



▼V.A.『MOORE BLUES FOR GARY: A TRIBUTE TO GARY MOORE』
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2018年8月12日 (日)

THUNDER『SHOOTING AT THE SUN』(2003)

2002年に再結成を果たしたTHUNDERが、2003年3月に日本先行で、海外では翌月4月に発表したのがこの『SHOOTING AT THE SUN』というアルバム。通算6枚目のオリジナルアルバムとなりますが、当初は日本盤と同時期にオフィシャルサイトでオンライン販売されるのみという、再結成したものの単なるファンアイテムなんじゃ……くらいのプライオリティでリリースされました。要するに、この再結成自体も意気込んで「またやってやるぞ!」というよりも「うまくいったらマイペースに続けていこうかな?」くらいのテンションだったんでしょうね。

前年には4曲入りEP『BACK FOR THE CRACK』(2002年)がここ日本でも発売されていますが、本作はその延長線上にある1枚。アルバムにはEPから「The Pimp And The Whore」「Somebody Get Me A Spin Doctor」「Blown Away」の3曲が収録されているのですが……地味。とにかく地味で玄人好みでブルース/ソウルテイスト満載のハードロックが展開されています。

オープニングを飾る「Loser」こそ、往年のTHUNDERらしい豪快さが若干感じられますが、以降はFREEやBAD COMPANYあたりをより地味にしたような、とても『BACKSTREET SYMPHONY』(1990年)とは同じバンドとは思えないくらい(いや、よく聴けば同じバンドだと気づくけど)派手さが消えています。

何がそんなに地味なのかというと、きっとこれって演奏のメリハリとメロディラインによるものが大きいんだろうなと。演奏は決して弾き倒したりひとつの楽器だけ前に出ようとか、そういった欲がまったく感じられないし、ボーカルをバックアップするためだけに存在しているような、そんな印象すら受けます(本当はそんなことないとは思うけど)。

また、メロディラインも初期の頃のように高音で張り上げるようなものではなく、装飾による抑揚を極力削り落とし、歌の熱量だけでメリハリをつけるような、そんな表現方法に変化しています。これは解散前の最終作『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)の時点ですでに見え隠れいていた手法なので、その延長と考えれば納得いくことでしょう。

にしても、「祝・復活!」的な盛り上げが一切ないのが、よくも悪くもこのバンドらしいといいますか。ま、だから好きなんですけどね。地味だ地味だと書き倒してきましたが、だから悪いわけではなく、むしろ「わかる人にはわかる!」最高の1枚だと確信しています。



▼THUNDER『SHOOTING AT THE SUN』
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