2004/06/11

TODOS TUS MUERTOS『EL CAMINO REAL』(1998)

恐らく殆どの人が知らないかもしれないバンドについて書いてみようかと思います。いや、一部の人は覚えてるかな‥‥特に苗場でのフジロック初年度('99年)に参加した人なら‥‥そう、その年のクロージングバンド(最終日の大トリ終了後に演奏するバンド。過去にSOUL FLOWER UNION等がその大役を務めている)として一部で話題になった「アルゼンチンのRAGE AGAINST THE MACHINE」こと、TODOS TUS MUERTOSです。今回紹介するのは、彼らの5作目にして日本デビュー盤として紹介された(実際には4作目も'97年頃に日本発売されている。が、すぐに廃盤。それでなかったことにされてるのか?)「EL CAMINO REAL」。丁度フジロックの直前にリリースされたため、殆どプロモーションらしいプロモーションもされず、俺も何も知らずに彼らのライヴに遭遇したのでした(この年のフジで俺は彼らを2回観てます。最初は当のRATM終了後、そして2度目が先のクロージング時)。で、一発でやられてしまったと。フジから帰宅し、都内のCDショップで彼らの作品探しまわったよなぁ‥‥置いてる店が少なくてさ。今となってはいい思い出です。

「アルゼンチンのレイジ」なんていう例えから、きっとゴリゴリのラップメタル的なサウンドを想像するかもしれませんが、それはちょっと違うかもね。いや、歌詞やバンドのスタイルが政治的だという意味ではレイジと共通するんだけど(だからそう呼ばれてるんだろうけど)、音楽的にはもっとこう、ミクスチャーというか(ミクスチャーなんてカテゴリーも今や懐かしいですが)。しかも微妙にミクスチャーされてないという‥‥普通ミクスチャーというと、1曲の中にロック的なサウンドと、それとは別の非ロック的なサウンドが融合された別の種類の音楽、というような認識がありますが(って合ってるよね?)、彼らの場合はこう‥‥1曲1曲毎に独立してるというか。例えばパンキッシュな曲はひたすら疾走するし、ハードロッキンな硬質曲はまんまハードロックのままだし、レゲエの曲ではレゲエ、サルサではサルサ、というようにごく当たり前に1曲1曲を演奏していくという‥‥そう、1曲にいろんなジャンルのサウンドを詰め込むのではなくて、いろんなタイプの曲/いろんなタイプのサウンドが1枚のアルバムの中に存在する、そんなバンドスタイルなんですね。これをミクスチャーと呼ぶべきかどうかはちょっと悩みどころですが、まぁある意味ミクスチャーですかね(って自分で書いてて訳判らなくなってますが)。

言語はスペイン語なので、本当に何を歌ってるか判りません。そもそも歌詞カードも読めないし。まぁ日本盤を買ったお陰で対訳が付いてたのでそれを読んで内容を理解したんですが‥‥政治/宗教/闘争/貧困‥‥そういった彼らなりのストリートレベルを歌ったものばかり。非常に直接的な表現が殆どで、日本語にしてしまうと青臭く感じたり、ちょっと退いてしまうかなぁという気がしないでもないけど、結局それって自分にとって「リアルに感じられない」からなんだろうなぁ‥‥と。現在の世界情勢もかなり酷いもんだけど、結局それって自分の生活内においては「外での出来事」であって、完全に理解することはできない。それを文字や映像で理解しようとしても、認識できるのは数十パーセントといったところでしょう。そういう意味では我々日本人には伝わり難い面があるのも確か。勿論、俺よりももっと真剣に南米やその他の世界情勢に目を向け理解しようとしてる人からすれば、ここで歌われていることは常識的な内容であって、俺みたいな人間は責められるべき対象なのかもしれません。けど、ここではあくまで「音楽」を対象にしてますから‥‥と言い訳して逃げてみたりして(茶化してるわけじゃないですよ。本当に自分には想像し難い世界観ですから。勿論もっと勉強しようとは思いますけどね)

しかしながら、そういった歌詞の面での難解さを省いたとしても、十分にロックとして機能しているし、俺は十分楽しめた。残念ながらスタジオ盤ではライヴの素晴らしさが十分に活かし切れてませんが、それでも純粋に音楽として優れてると思うし、踊れるし、気持ちいい。何よりも自分にとって、二度とは戻らない'99年の夏を再び体験させてくれる貴重な1枚なわけですから、大切なんですね‥‥あの夏はジョー・ストラマーもいたしね。

攻撃性という意味ではMANO NEGRAのようなバンドの方が上かもしれませんが、TODOSの場合はエンターテイメント性が強いステージングが魅力でしたから、まぁアプローチ的にはまた違っていて、それぞれにそれぞれの良さがあったよなぁと思うわけでして。こういった欧米以外の国からのバンド/サウンドと出会えるのもフジロックの魅力なわけでして、勿論これまでに幾つもの欧米以外のバンドに触れてきました(で、その度に帰宅してからCD探してね)。

聞くところによると、TODOSはこの数年後に解散してしまったみたいです。'8O年代半ばからの活動ですから、約20年近くに渡って政治と戦っていたんですね。感服いたします。もしかしたら今でも別のバンドで音楽活動をしてるのかもしれませんが、ここ日本にいるとなかなか情報が入ってこないもので‥‥熱心なファンではないけども、また観てみたかったですね、彼らの楽しいステージを。



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投稿: 2004 06 11 05:17 午後 [1998年の作品, Todos Tus Muertos] | 固定リンク