カテゴリー「Tommy Lee」の7件の記事

2022年11月20日 (日)

ROCK STAR SUPERNOVA『ROCK STAR SUPERNOVA』(2006)

2006年11月21日にリリースされたROCK STAR SUPERNOVA唯一のオリジナルアルバム。日本盤未発売。

ROCK STAR SUPERNOVAは米・CBSのリアリティーショー番組『Rock Star』2ndシーズンを通じて結成されたスーパーバンドで、メンバーはトミー・リー(Dr/MOTLEY CRUE)、ジェイソン・ニューステッド(B/NEWSTED、ex. METALLICA、ex. VOIVODなど)、ギルビー・クラーク(G/ex. GUNS N' ROSES、ex. CANDYなど)と、同オーディションを勝ち抜いたルーカス・ロッシ(Vo, G)の4人。2006年初夏から始まったオーディションをルーカスが同年9月に勝ち抜き、その2ヶ月後にはアルバムリリースとなりました。

アルバムのプロデュースを担当したのは元MARVELOUS 3のフロントマンで、ソロアーティストとしてのみならずP!NKやアヴリル・ラヴィーンPUFFYなどとのコラボでも知られるブッチ・ウォーカー。楽曲制作にはブッチのほか、トミーと彼の仲間でもあるスコット・ハンフリー(MOTLEY CRUE、ロブ・ゾンビMETHODS OF MEYHEMなど)、ギルビー、そしてルーカスなどが名を連ねています。

MOTLEY CRUE、METALLICA、GUNS N' ROSESの現役/元メンバーが名を連ねていることもあり、サウンド的にはこの3バンドをミックスしたようなものを安易に想像しがちですが、そもそもブッチのプロデュース&ソングライティングが軸にあることから別モノになることは間違いなく、実際ここで展開されているサウンド/楽曲の大半は適度なハードさを備えたメロディアス&キャッチーなロックが中心。オーディションを勝ち抜いたルーカスのボーカルは適度なハスキーさを備えた、非常に心地よくて聴きやすいもので、ハードロック的アレンジが施されたブッチ流パワーポップ/ハードポップナンバーとの相性も抜群です。

リズム隊は非常にらしいヘヴィさを醸し出しているものの、楽曲の邪魔をすることなくオーソドックスなプレイに徹している印象。とはいえ、トミーは彼らしい派手なプレイやフレージングを随所に散りばめており、その一方でジェイソンは特に彼らしいさが前面に出ているとは言い切れない、縁の下の力持ち的プレイを心がけている。ギターに関しては、そもそもギルビー自身がGN'Rの前に元CANDYの一員をいう事実を思い出させてくれる、曲の魅力を見事に盛り上げるプレイ&アレンジを披露しており、本作の中でもっとも結果を残しているのではないでしょうか。

オープニングの「It's On」や「Make No Mistake... This Is The Take」のようなストレートでメロディアスなハードロックも存在するものの、むしろこのバンドは「Leave The Lights On」や「Be Yourself (And 5 Other Cliches)」みたいなパワーポップ然とした楽曲群を、トミーの派手なドラムとギルビーによる色彩豊かなギタープレイをバックに、ルーカスが耳障りのよい声質で歌うというポイントがミソかなと。適度な打ち込みを取り入れたミディアムナンバー「It's All Love」やモダンなテイストを散りばめたスローバラード「Can't Bring Myself To Light This Fuse」などは往年のハードロック/ヘアメタル的でもあるし、ポップパンクを通過したパワーポップと受け取ることもでき、意外と幅広くロックファンにアピールする内容ではないかと思いました。

ですが、このメンツならではといいますか、ROCK STAR SUPERNOVAというバンドならではの個性や「これ!」といえるキメの1曲は、本作からは見つけることができません。なので、スーパーバンド奇跡のデビュー作と受け取るよりも「鳴物入りでデビューしたルーカス・ロッシというシンガーを名うての名プレイヤーたちがバックアップしました」と解釈するのが正解かもしれません。各メンバーが在籍するバンドのファンがマストで聴くべき1枚とは言いませんが、トミー・リーが本作直前に発表したソロアルバム『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)を気に入っていたリスナーやブッチ・ウォーカーworksファンなら問答無用で楽しめる内容だと思います。

なお、2007年にはジェイソンが脱退。代わりに元THE BLACK CROWESのジョニー・コルトが加わるものの、2008年には自然消滅してしまいます。アルバムも全米101位とそこまで大きな結果を残せなかったのも、自然消滅の一因かもしれません。

 


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2022年11月 8日 (火)

V.A.『THE RETALIATORS: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』(2022)

2022年9月16日にリリースされた映画『THE RETALIATORS』のサウンドトラックアルバム。日本盤未発売。

この映画はMOTLEY CRUEPAPA ROACHなどが所属するレコードレーベル・Better Noise Music系列のBetter Noise Filmsが制作したスリラーホラー映画。MOTLEY CRUEのトミー・リー(Dr)がストリップクラブのDJとしてスポット出演しているほか、FIVE FINGER DEATH PUNCH、PAPA ROACH、ESCAPE THE FATEのメンバーらも劇中で見つけることができる、ホラー映画マニア&メタルファンの筆者のような人間にはたまらない内容となっています(だからといって内容や完成度が高いとは思いませんが。笑)。

サントラに参加するアーティストもBetter Noise Musicに所属するバンド/アーティストばかりで、映画の面テーマである「The Retaliators Theme (21 Bullets)」はニッキー・シックス(B/MOTLEY CRUE、SIXX:A.M.)とジェイムズ・マイケル(Vo/SIXX:A.M.)の書き下ろしであると同時に、MOTLEY CRUEの面々やASKING ALEXANDRIAICE NINE KILLS、FROM ASHES TO NEWのフロントメンバーがコラボ参加。アルバムにはこのほかにもPAPA ROACHやTHE HU、EVA UNDER FIRE、FROM ASHES TO NEW、ASKING ALEXANDRIA、トミー・リー、CLASSLESS ACT、FIVE FINGER DEATH PUNCH、NOTHING MORE、CROSSBONE SKULLY、BAD WOLVES、コリィ・マークス、TEMPT、HYRO THE HERO、ALL GOOD THINGSなどが楽曲提供しています。

また、FROM ASHES TO NEWはアンダース・フリーデン(Vo/IN FLAMES)と、ASKING ALEXANDRIAはWITHIN TEMPTATIONと、CLASSLESS ACTはヴィンス・ニール(Vo/MOTLEY CRUE)、THE HUはジャコビー・シャディクス(Vo/PAPA ROACH)と、BAD WOLVESはスペンサー・チャーナス(Vo/ICE NINE KILLS)と、HYRO THE HEROはダニー・ワースノップ(Vo/ASKING ALEXANDRIA)&ミック・マーズ(G/MOTLEY CRUE)と、コリィ・マークスはタイラー・コノリー(Vo/THEORY OF A DEADMAN)&ジェイソン・フック(G/ex. FIVE FINGER DEATH PUNCH)と、ALL GOOD THINGSはHOLLYWOOD UNDEADと、それぞれコラボレーションが実現。CLASSLESS ACT×ヴィンス・ニール「Classless Act」は既発曲ですが、それ以外は本作のために新たに制作されたものが大半です。

僕は盤(CD)では購入しておらず、bandcampでDL購入したものを聴いているのですが、フィジカルは全18トラック、デジタル/ストリーミングは全27トラックとなっており、デジタル版には曲の合間に映画からのスキットが9トラック用意。CDのほうは単純に曲のみの収録なんでしょうかね。

ニッキーが新たに書き下ろした「The Retaliators Theme (21 Bullets)」はMOTLEY CRUEというよりはSIXX:A.M.寄りの楽曲なので、できることならSIXX:A.M.名義でレコーディングしてほしかったかな。

個人的な収穫はモダンメタルの王道といえるASKING ALEXANDRIA feat. WITHIN TEMPTATIONの「Faded Out」、AC/DCライクなクラシックロック感が強いCrossbone Skully「Evil World Machine」あたりかな。Crossbone Skullyは覆面バンドっぽくてまだその正体がわからない存在ですが、今度の動向を追ってみたいバンドのひとつです。

ニューメタル以降のモダンメタルに、ヒップホップに振り切ったトミー・リー、スリージーなハードロックを主旨するCLASSLESS ACTやCROSSBONE SKULLY、TEMPTなど、Better Noise Musicというレーベルのカタログ的な1枚は、映画云々を抜きにしても気持ちよく楽しめる良質なコンピだと思います。

 


▼V.A.『THE RETALIATORS: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』
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2020年10月18日 (日)

TOMMY LEE『ANDRO』(2020)

2020年10月16日にリリースされたトミー・リーMOTLEY CRUE)の3rdソロアルバム。日本盤未発売。

トミーのソロ名義による新作としては『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)以来15年ぶりですが、別名義のMETHODS OF MAYTHEMをソロ作品としてカウントすれば『A PUBLIC DISSERVICE ANNOUNCEMENT』(2010年)以来10年ぶりのアルバムとなります。そう考えると、意外と出てないんですよね。

今回のアルバムに先駆けて、トミーは6月5日にまず「Knock Me Down」「Tops」という2曲のリードトラックを配信。この2曲はそれぞれにキルヴェイン、プッシュ・プッシュというヒップホップ系アーティストをメインゲスト(ボーカル&ラップ)に据え、トミー自身は(ボーカルやラップは交えつつも)ドラムやプロデュースに徹するにとどまっています。つまり、自身の個を強くアピールするよりも曲ごとにボーカルや(それに合わせて)音楽性が変わるという、作品性に強くこだわった内容に仕上がっています。

基本的にはMETHODS OF MAYHEM寄りのヒップホップ中心の作風で、ゲストアーティストもPAV4Nやショーティー・ホーロゥ、ミッキー・アヴァロン、ブルック・キャンディ、ムーン・バウンス、キング・エレ・ノワ、ルーカス・ロッシーなど国籍/性別もそれぞれ異なるヒップホップ/エレクトロ/ロック/SSWなどをフィーチャー。ベースを残しつつも、曲ごとに表情を変えていくその作風は1本芯が通っており、ボーカルの異なるオムニバス盤/プレイリスト風ではあるもののスルスルと聴き進めやすさや親しみやすさが備わっています。

先のリード曲2曲で免疫ができていたし、なによりトミーがソロ活動でロックやハードロック的なスタイルをやるとも思えないので(笑)、このスタイルは納得できるのですが、意外とエレクトロ色やR&B/ソウルのテイストが強めなのには驚かされました。元ROCK STAR SUPERSTARのフロントマン、ルーカス・ロッシーが歌う「Your Dancy」はどこかプリンスっぽさがあって「これ、いいじゃない」と思っていたら、そのプリンスの名曲「When You Were Mine」をルーカスのボーカルでカバーしているし。最初、このカバーの存在に気づいておらず、曲を聴き進めているうちに「あれ、この曲聴いたことあるな……あ、プリンスだ!」と気づかされたくらい、この流れに馴染んでいます。

アルバムはタイラ・ヤーウェとポスト・マローンのコラボ作にトミーがドラムで参加した「Tommy Lee」で締めくくり(ストリーミング版には未収録)。そういえばトミーとポスト・マローン、過去にも共演していますものね。納得の組み合わせですが、自身の名前を冠したこの曲がラストなんだと思うと、やっぱりこの人の我の強さを実感させられます(笑)。

なお、アルバムにはこのほかBUCKCHERRYジョシュ・トッドも「Hot Fudge Sundae」にフィーチャーされていますが、彼はボーカルではなくナレーションでの参加。ハードロックリスナーは過剰な期待をしないように。

というわけで、アルバム自体はHR/HMからかなりかけ離れた内容ですが、「このへんのジャンルも多少は聴くよ」というリスナーにはとっつきやすい1枚ではないでしょうか。僕はかなり気に入っており、リリース日以降移動中に聴きまくっております。

 


▼TOMMY LEE『ANDRO』
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2020年6月16日 (火)

TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』(2002)

2002年5月にリリースされた、トミー・リーMOTLEY CRUE)の1stソロアルバム。

トミーはMOTLEY CRUE脱退後の1999年にMETHODS OF MAYHEMというプロジェクトを立ち上げ、ドラマーのみならずシンガーとしても活躍。同年12月にリリースされた1stアルバム『METHODS OF MAYHEM』ではヒップホップ/ラップメタル界隈の著名アーティストを多数ゲストに迎えるも、セールス的には成功を収めることはできませんでした。

そこから約2年半を経て届けられた本作は、METHODS OF MAYHEMの延長線上にありつつも、ヒップホップというよりは当時ブレイクしていたニューメタルやオルタナ・メタルの影響下にあるサウンドを展開。もちろんリズムの跳ねたヒップホップ/ラップメタル調の楽曲も含まれており、良く言えば「トミーの雑食性をそのまま表現したオムニバス盤のような内容」、悪く言えば「まとまりのない、迷走の1枚」となるのでしょうか。まあ個人的には前者の認識が強いですけどね。

実際、トミーも歌ったりラップしたりと大忙し。オルタナ・メタル調の楽曲では次作『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)にも通ずるセンチメンタリズムを見せており、なぜこれがMETHODS OF MAYHEMではなくソロ名義で発表されたのかがこのへんからも伺えるのではないでしょうか。

2002年という時代性を考えれば非常に納得のいく作風ですが、そこから18年経った2020年に聴くと(特にラップメタル調の楽曲には)若干の古臭さは否めません。一方で、リードトラックとしてMVも制作された「Hold Me Down」や、DEFTONESのチノ・モレノ(Vo)をフィーチャーした「Ashamed」、INCUBUSのブランドン・ボイド(Vo)をゲストに迎えた「Blue」あたりには、良質なメロディのおかげもあって普遍性が強く感じられる。これらの楽曲にはMOTLEY CRUEの『MOTLEY CRUE』(1994年)『GENERATION SWINE』(1997年)との共通点も見つけられるはずです(にしても、このゲストの人選もいやらしいですよね。笑)。と同時に、トミーを欠いたMOTLEY CRUEが発表したアルバム『NEW TATTOO』(2000年)で失った要素でもあるわけですよね。

かと思えば、ラップメタルの延長でデヴィッド・ボウイの名曲「Fame」をカバー。当たり障りのないアレンジですし、トミーのボーカルもイマイチ。面白みといったら途中から挿入されるラップパートくらいかなあ。ほかのオリジナル曲の完成度が比較的高水準なだけに、本作で唯一残念なポイントです。

今聴くと、意外とギターがフィーチャーされた作品だったことにも気づかされます。そういう意味では、トミー・リーってどんなに頑張ってヒップホップぶっても、やっぱりロックの人なんですよね。そこを踏まえて、来たるニューアルバム『ANDRO』(2020年)は果たしてどんな作風になっているのか……期待60%、不安40%でリリースを待ちたいと思います(笑)。

 


▼TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』
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2020年6月15日 (月)

TOMMY LEE『KNOCK ME DOWN』『TOPS』(2020)

今年頭に執筆したMETHODS OF MAYHEMレビュー「この春には10年ぶりとなる3rdアルバムをリリース予定なんだとか」と書きましたが、どうやらこのアルバムはトミー・リーのソロ名義による3rdアルバムとして10月に発表されることになったようです。

『ANDRO』と題したこのアルバムは、現在10月16日にリリース予定。日本盤発売に関しては未定となっています。この新作リリースに先駆けて、6月5日には2曲のリードトラックが配信されました。今回はこの2曲について触れてみたいと思います。

トミー・リーがソロ名義でアルバムを最後に発表したのは、2005年の『TOMMYLAND: THE RIDE』でした。こちらはソロ名義初のアルバム『NEVER A DULL MOMENT』(2002年)で展開されたMETHODS OF MAYHEMの延長とは異なり、アコースティック・ベースの穏やかな歌モノ作品。ソロではメロウな方向、METHODS OF MAYHEMではヒップホップ寄りの作風と線引きをしたのかと思いきや、どうやらそのへんあまり気にしていないようです(笑)。

当初はMETHODS OF MAYHEM名義で制作されたのか、あるいは最初からトミー・リー名義で制作が進められていたのか、今回公開された2曲の新曲「Knock Me Down feat. Killvein」「Tops feat. Push Push」は確実にMETHODS OF MAYHEMの延長線上にある作風。要はヒップホップを下地にした、ちょっと時代遅れ(笑)なラップメタルが展開されているわけです。

「Knock Me Down feat. Killvein」はまさにMETHODS OF MAYHEMやソロの『NEVER A DULL MOMENT』の延長線上にある1曲。これを2020年に公開するあたりに、トミー・リーの(良くも悪くも)我が道を往く感が伝わってきます。もう1曲の「Tops feat. Push Push」は、南アフリカ出身の女性ラッパーPUSH PUSHを大々的にフィーチャーした1曲。むしろこっちのほうがヒップホップと呼ぶに近い作風で、そのへんはフィーチャリング・アーティストによってアレンジを使い分けているのかなと。こちらに関しては今後徐々に公開されるであろう新曲群を聴いて、改めて判断したいと思います。

ちなみに、これら2曲のMVを監督したのが、METHODS OF MAYHEMにもゲスト参加したLIMP BIZKITのフレッド・ダースト(Vo)。2本とも作風は一緒ですが、メインとなるのがトミー自身ではなくフィーチャリング・アーティストのほうだということを踏まえて視聴すると、いろいろ見えてくるものがあるのではないでしょうか。

待望のアルバム『ANDRO』には全13曲収録予定で、すべての楽曲にさまざまなフィーチャリング・アーティストが参加。その内訳の大半がヒップホップ側の方々ですが、中にはBUCKCHERRYのジョシュ・トッド(Vo)、トミーやジェイソン・ニューステッド(B/ex. METALLICA)らが参加したROCK STAR SUPERNOVAのフロントマン、ルーカス・ロッシー(Vo)といったロック側のアーティストも含まれています。ということは、かなりジャンル的に雑多な作品に仕上がるのかしら。若干の不安を残しつつ(笑)、続報を待ちたいと思います。

 


▼TOMMY LEE『ANDRO』
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2020年1月 2日 (木)

METHODS OF MAYHEM『METHODS OF MAYHEM』(1999)

1999年12月にリリースされたMETHODS OF MAYHEMの1stアルバム。

METHODS OF MAYHEMはMOTLEY CRUEトミー・リー(Dr)が1999年春、バンド脱退後にスタートさせたプロジェクト。トミーはドラムのみならず、ボーカルやギターなども披露しており、現BON JOVIのフィル・X(G)やNINE INCH NAILSとの仕事で知られるダニー・ローナー(G)、元JANE'S ADDICTIONのクリス・チェイニー(B)などそうそうたるメンバーがレコーディングに参加しております。

当時のトミーの趣味が全面的に反映された本作は、いわゆるラップメタルをヒップホップ側により近づけた内容となっており、当時は「こんなことがやりたいがためにモトリーを辞めたのかよ!」と総スカンを食らったことをよく覚えております。けど、もともと時代の流れを読むのがうまかったトミーのこと、当時の主流を考えれば彼がこういったサウンドに惹かれていくのは至極自然な流れ。それに、この頃のトミーは私生活での離婚やら何やらでかなり荒れていましたし、派手にロックスターを気取るよりは身内と一緒にミニマムな音楽を作っていくことで癒されたのかもしれませんしね。

プロデュースを手がけたのはトミー自身と、直近のモトリーのアルバム『GENERATION SWINE』(1997年)にも携わったスコット・ハンフリー(ロブ・ゾンビPOWERMAN 5000ANDREW W.K.など)。スコットはその後もMETHODS OF MAYHEMの2作目『A PUBLIC DISSERVICE ANNOUNCEMENT』(2010年)やトミーのソロアルバム『NEVER A DULL MOMENT』(2011年)、『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)にも関わっているので、モトリーにスコットを連れてきたのってトミーだったのかもしれませんね。

1999年というと、LIMP BIZKITの2ndアルバム『SIGNIFICANT OTHER』(1999年)が全米1位を獲得し、RAGE AGAINST THE MACHINEが待望のニューアルバム『THE BATTLE OF LOS ANGELES』(1999年)をドロップ、さらにはエミネム「My Name Is」および『THE SLIM SHADY LP』(1999年)でいきなり大ブレイクを果たしたタイミング。ラップ(およびラップメタル)やヒップホップがシーンのど真ん中にあった時代であり、80年代に一斉を風靡したHR/HMシーンはニューメタルに取って代わられてしまっていた時期。そりゃあモトリーやっているよりもヒップホップやったほうが楽しいわな。

今聴くと若干古臭く感じるテイストですが、だからといって当時もこれが最新かといったらまったくそんなことはなく(苦笑)。けど、素直にカッコいいとも思えたんですよ。トミーのボーカルも古典的なHR/HMよりはモダンなラウドロックのほうが似合っているし。そういった意味では、事情に己のことがわかっていたのかもしれません。

本作はゲストも豪華でして、フレッド・ダースト(LIMP BIZKIT)やキッド・ロック、スヌープ・ドッグ、リル・キム、ジョージ・クリントン、マイク・マスター・マイク、スコット・カークランド(THE CRYSTAL METHOD)など、“いかにも”なメンツが名を連ねております。そんな中でも、フレッド、リル・キム、ジョージ・クリントンがボーカルでフィーチャーされた「Get Naked」は今聴いても本当にゾクゾクする。たまらんですね。

どうやらトミー、昨年のモトリー復活にあわせてなのかMETHODS OF MAYHEMのほうも復活させ、この春には10年ぶりとなる3rdアルバムをリリース予定なんだとか。オルタナ・メタル側にすり寄った前作『A PUBLIC DISSERVICE ANNOUNCEMENT』を経て一体どんなサウンドを聴かせてくれるのか、楽しみなような怖いような……。

 


▼METHODS OF MAYHEM『METHODS OF MAYHEM』
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2005年9月15日 (木)

TOMMY LEE『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005)

私事で恐縮ですが、この度9月18日(日/祝前日)深夜に三軒茶屋にて「Motley Crue Night」というクラブイベントを開催することになりまして。タイトル通り、MOTLEY CRUEを中心とした国内外のワイルドでやさぐれたロックンロール、HM/HR、グラム等々、ひたすらカッコいいロックンロールが朝までかかって踊りまくれるイベントとなっております。俺は24時50分から55分、モトリー・タイムを担当させてもらうことになってます。「オリジナル・モトリーの来日を記念して」開催されるイベントですので、ここでは『オリジナル編成での楽曲』のみ次々とかけまくる予定です。モトリー大好きっ子も単なるハードロック好きもカッコいいロックなら何でもいいっていう人もそうでない人も、是非お友達を誘って遊びに来てくださいね! 詳しくは後程、別のエントリーに書きますので!

というわけで、最近ドップリHM/HR漬け、中でもモトリー関連を聴く頻度がかなり高く(当たり前だけど)、こんなにモトリーの(しかも初期の)楽曲ばかり聴いたのは恐らく中学〜高校生時代以来じゃないか‥‥って程でして。あの頃は高校1年の時『GIRLS, GIRLS, GIRLS』が出て、その年の冬に武道館で回転ドラムソロを観て、高校3年の秋に『DR. FEELGOOD』が出たんだよなぁ‥‥当然、その間にはCD化された過去のアルバムを全部揃え、もう来る日も来る日もそればかり聴いてたんだよなぁ‥‥モトリーのコピーバンドもやったなぁ‥‥なんてことを思い出しつつリマスター化された初期の作品を改めて聴くと、当時は気づかなかった細かい音やフレーズに気づいたり、ガキの頃は全然良いと思えなかった「捨て曲」が妙に愛らしく思えてきたり、まぁ新鮮な気持ちで新たに接することが出来るようになってたんですね。これは正直嬉しかったなぁ。

でね、各メンバーのソロ作品も同じように聴いたんですよ。ヴィンス・ニールのソロは勿論、ニッキー・シックス幻のユニット「58」やBRIDES OF DESTRUCTION、そしてトミー・リーがモトリー脱退中にリリースしたソロ作(METHODS OF MAYHEM含む)もなんですけどね‥‥

そんなトミー・リーがモトリー復帰後、つい最近リリースしたのが今回紹介する「TOMMYLAND : THE RIDE」というアルバム。2002年にリリースした「NEVER A DULL MOMENT」というアルバムはソロ名義だったものの、実際にはMETHODS OF MAYHEMとして制作されたアルバムだったので、実質今回の「TOMMYLAND : THE RIDE」が正真正銘のソロアルバムってことになるのでしょうか。

とはいっても、そこは人気者トミー・リーのこと。数多くの有名ミュージシャンがゲストとして参加してます。勿論過去の作品でも、その当時・そのアルバムの音楽性に合ったゲストミュージシャン(主にヒップホップ系だけど)が多々参加してきましたが、今回はその参加者の名前を見れば今のトミーがどういう方向を向いているのかが一目瞭然なのですよ。

・Butch Walker [M-1]
・Andrew McMahon (SOMETHING CORPORATE) [M-2, 7]
・Chad Kroeger (NICKELBACK) [M-3]
・Carl Bell (FUEL) [M-4]
・Joel Madden (GOOD CHARLOTTE) [M-6]
・Dirty Harry
・Nick Carter (BACKSTREET BOYS) [M-11]

勿論このアルバム、全ての楽曲のボーカルはトミー自身が担当してるんですが、各曲毎にフィーチャリング・ボーカリストもいて、それが上の名前の数々なんですよ‥‥どうよ、これ? 成る程ーっていう名前がズラズラと続く中、最後のニック・カーターに越し抜かすハードロックファン、多数じゃないでしょうか? けどね、これがすっげーハマってるのよ。

このアルバムは決してハードロックアルバムではないし、更にトミーがこれまでソロで実践してきたようなヒップホップ寄りの作品でもない、至極シンプルなアメリカン・ポップロックな1枚なんですよ。まずそれがビックリ。何故トミーが今、この方向に向かって行ったのかは彼にしか判りませんが、プロデューサーはこれまで同様、スコット・ハンフリー(モトリーの『GENERATION SWINE』やトミーのソロ諸作をプロデュース)ですから‥‥トミー自身の中で何か大きな変化があったんでしょうね。

勿論、こういうったスウィートな要素は常にトミーに備わっていた要素なわけですよ。でも、彼はソロではそういった側面をほんの少ししか見せてこなかった。そう、ここまで全面的にそういった甘い要素を打ち出したのは、モトリーという古巣に戻ったことで改めて「やっぱり俺の出所はここだよな」って認識したのかもしれない‥‥ま、憶測ですけど。でも‥‥だとしたら、非常に嬉しい変化じゃないですかね、彼にとっても、そしてファンにとっても。

ドラムは全てトミーが担当し、ベースにはJANE'S ADDICTIONのクリス・チェイニー、ギターもゲストが多彩で、ボーカルでも参加してるチャドやブッチの他に、かのデイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICITON)も参加してます(といっても彼がどの曲に参加してるかは、クレジットがないので判りませんが)。

トミーのソングライターとしての資質も改めて目を惹くものがあるし(ま、大半の曲はフィーチャリング・シンガーとの共作でしょうけどね)、シンガーとしての彼もシンプルで味のある、魅力的な歌い手だということが判ったし(ラップする彼もまたいいんだけどね)‥‥モトリーの「GENERATION SWINE」でトミーがピアノで弾き語りしていたラストナンバー、"Brandon" が好きだった人なら絶対に気に入る1枚だと思います。曲/プレイ共にモトリー的な派手さは皆無だけど、サラッと聴けて、尚かつ味わい深いという意味では、これも「あのモトリーのメンバーによる1枚」なんですよね。急にポツンとこういうのを出す。だから奴らは侮れないんですよね。

 


▼TOMMY LEE『TOMMYLAND: THE RIDE』
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