2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2004/07/07

TOOL『AENIMA』(1996)

全米アルバムチャート初登場2位を記録した、TOOLのセカンド・フルアルバムにして出世作である「AENIMA」。多くの方々と同じように、俺もこのアルバムで彼らに注目するようになり、そしてこのアルバムで彼らの音に初めて触れました。聴く前から「ちょっとKING CRIMSONっぽいかも」とか「暗くて宗教的な色合いが強い」なんていう話を友人から聞かされ、「じゃあ俺のストライクゾーンじゃんか!」と嬉々としてCDショップの試聴コーナーへ走ったことを、今でもよく覚えています。

そしてそんな軽はずみは行動が後々命取りになったことも、よく覚えていますよ。

このアルバムリリース当時('96年頃)、まだTOOLは日本での知名度が極端に低く、音楽雑誌等でも殆どインタビューが載ることもなく、せいぜいアルバムレビューコーナーで彼らの名前を見かけるくらいでした。そんななので、一部のコアなファンのみ知っているカルト的存在と思われていたのもまた事実。当時はまだ「ラウドロック」なんて呼称はそれ程使われておらず、KORNやNINE INCH NAILS、MARILYN MANSON辺りと一括りで「オルタナ」とシンプルに呼ばれていたように記憶してます。もっとも、SONIC YOUTHもオルタナならTOOLもオルタナ、非常に幅が広く、それでいて実態が存在しないのがこの「オルタナ」という呼称でした。というよりも、TOOLのようなバンドの音を指して、どう既存のジャンルの中から例えを見つければいいのか‥‥多分レコード会社も雑誌メディアも困ってたんじゃないでしょうか?(そういえば'90年代初頭、ALICE IN CHAINSやNIRVANAのようなバンドが登場した時も、日本のレコード会社はプロモーションの仕方に困ったようですね)

ごくシンプルに言ってしまえば、ハードロックですよね。ムーディー且つドゥーミー、そしてプログレッシヴ。「BURRN!」辺りが率先して彼らを取り上げていれば、きっとそちら方面で認識されていたのかもしれません。が、そちら側の人からすればTOOLの音楽は彼らが知る「HM/HR」とは異なるジャンルのようで、積極的に取り上げられることはありませんでした(好反応を示したのはせいぜい伊藤政則くらいでしたしね)。

で、「rockin'on」辺りはどうだったかというと‥‥一部の記者からは好意的に受け入れられていたようですが、雑誌全体として彼らをプッシュする空気は全く感じられず、結局は「早過ぎたバンド/サウンド」として数年後に改めて取り上げられることになるのでした‥‥見る目がないっつうか、なんと言うか‥‥

結局、ここ日本では明確なジャンル分けによってプロモーション方法がハッキリしていくわけで、曖昧なサウンドだったり多方面にアピールするような唯一無二な存在が登場すると、てんでダメなんですよね‥‥アメリカやヨーロッパでは爆発的にヒットしてるってぇのに、これで損したバンド、腐る程いますよね?

とまぁ、そんなこともありつつ‥‥やっぱり今聴いても素晴らしい内容なわけですよ。何故彼らがあの当時、このアルバムをちゃんと聴いて、そして内容で判断しなかったのかが不思議に思える程、完成された音楽性じゃないですか、これ。今でこそこの手のサウンドや方法論を取るバンドは山程いますが、間違いなくTOOLは先駆者であり、そして今現在においても数歩抜きん出た存在であり、唯一無二のバンドなわけですよ。

"Stinkfist" のポピュラリティ、"Hooker With A Penis" のヘヴィさ、"Pushit" の叙情性、そして "Aenima" のトライバルなグルーヴ。まるで短編オムニバス映画を何本も続けて観ているかのような、それでいて1本1本がひとつの同じ方向に向かっているような共通点を持っていて、聴き終えた後にそれらが全て地続きだったことに気づかされる。それがTOOLサウンドの素晴らしさであり、このアルバムの魅力ではないでしょうかね。ホント、ライヴでもそうだったけど、サウンドを聴いてると絵が自然と頭に浮かんでくる、そんなバンドなんだよね、TOOLって。

彼らのサウンドに最初に触れるなら、個人的にはこのアルバムから入るのがいいのでは?と思います。勿論サードアルバム「LATERALUS」も「AENIMA」と引けを取らない名作ですけどね。単純に好みの問題ですよ。ま、手っ取り早く両方買っちゃうのが一番かと思いますが。

「LATERALUS」のリリース、そして衝撃的だったフジロックでの初来日から数えても早3年。バンドはそろそろ新作のためのレコーディング準備に入るようです。リリースは来年2005年以降になりそうですが‥‥ま、レコード会社とのイザコザも終わったことですし、今度はすんなりと聴けますよ‥‥ね?



▼TOOL『AENIMA』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2004 07 07 02:40 午後 [1996年の作品, Tool] | 固定リンク

2003/10/13

A PERFECT CIRCLE『Mer de Noms』(2000)

TOOLのシンガーであるメイナード・キーナンが、そのTOOLのギターテクだったビリー・ハワーデルと結成したバンド、それがこのA PERFECT CIRCLE。メイナードの知名度からどうしても「メイナードのサイドプロジェクト」と見られがちだけど、元々はビリーが作っていたデモテープを聴いたメイナードが「これを一緒にやりたい」と便乗したことからスタートしています。このアルバム『Mer de Noms』に収録されている全楽曲、メイナードとビリーの共作ですしね。そこからスタートしていろんな人間を巻き込んで、最終的にトロイ・ヴァン・リーウェン(Gt)、パズ・レンチャンチン(Ba & Violin)、ジョシュ・フリース(Dr / VANDALS)の3人を迎えバンドとして活動開始。親交の深いNINE INCHE NAILSの1999年のツアーに同行する等、まずライヴにてその正体を露わにするわけですが、ここ日本ではやはりアルバムリリース後のフジロック('00年7月)でのライヴでしょうね。残念ながら俺はこの年の苗場には行けなかったんですが、もの凄い衝撃的なライヴだったようですね。

さてさて、そんなこのアルバム。TOOLのレコード会社との訴訟問題、それに伴う活動停止の副産物と言われていますが、ハッキリ言ってTOOLとは別物と考えた方が正解です。勿論、歌っているのはメイナード本人ですし曲作りにも携わっていますが、表現しようとしてるものやその方法等が違っているわけですし。TOOLではひとつひとつの楽器と声、個々が独自の主張をし、それがぶつかり合うことで共鳴し、独特な世界観を生みだしていると考えているんですが、APCの場合は全く逆‥‥ぶつかり合うというよりは「退きの美学」みたいなものを強く感じるんですね。例えばボーカルやギターが力強く鳴っている時は、他の楽器はそれをバックアップするような役目を果たしているし、バイオリンみたいな繊細な楽器がリードを取っている時は、歌でさえもそれを邪魔しないように盛り立てている。TOOLが結果論の音楽(完成するまでどういったものになるのか見えない)なのに対し、APCは先に提示されているものに対して全員で取り組み再現する‥‥それくらいの違いを感じるわけです。

1曲1曲がコンパクト且つポップなのもAPCの特徴でしょう。特にこのアルバムの楽曲は大半が3~4分台で、5分を超える曲はひとつもないし、逆に2分ちょっとの曲が2~3曲あるのもTOOLと比べると大きな違いですよね。TOOLの場合もそういう短い曲はありますが、あくまで続く次の曲へのインタールード的インストだったりするので、ちょっと意味合いが違ってきますしね。それとメイナードのメロディもヘヴィロックのそれとは違う、むしろゴシック調のイメージが強いものが多く、例えばジャンルは違いますがDEPECHE MODEといったタイプのバンドに近い色合いを見出すことができます。最近ではこういったゴシック調のヘヴィロックも幾つか登場していますが(EVANESCENCE等)、やはりそういったバンド達とは根本的に違う何かを持っているんですよね、APCって。それがビリー・ハワーデルというギタリスト/ソングライターの才能なのか、はたまたメイナードの才能なのか、あるいは参加しているミュージシャン達によるものなのか。恐らくその全部でしょうね。それぞれがそれぞれの仕事を的確にこなした結果、それがこのアルバムを高水準なものにした要因でしょう。

TOOLよりも聴きやすいし、どうしてもTOOLには取っつき難さを持ってる人が多いと思うんですね。やれ「プログレチック」だの「変態系オルタナ」だの。確かにそういった先入観が邪魔して手を出すまでに至らないのは理解できます。だから尚更、そういった人にはこのアルバムをまず聴いて欲しいと思うわけです。ヘヴィ過ぎず、それでいてポップ過ぎず(過剰なまでにポップさは皆無ですね。あくまでTOOLと比べて‥‥って意味)、独自のハーモニーと世界観を持つバンド。これはサイドプロジェクトなんかじゃなくて、今後もずっと続いていくバンドでしょうね。現にTOOLの活動が一段落した2002年当たりから、再びメイナードとビリーはこのバンドのセカンドアルバムに着手し始めたわけですから。

残念ながらこのアルバムとそのツアーに参加していたトロイとパズが脱退(トロイはQUEENS OF STONE AGEに、パズはZWANに加入するも、それぞれ現在は脱退済)、一時期レコーディングにはNINE INCH NAILSのダニー・ローナーが参加していたようですが、最終的には元MARILYN MANSONのトゥイギー・ラミレズと元SMASHING PUMPKINSのジェイムズ・イハが加入。2003年夏からツアーを開始し、9月にはセカンドアルバムもリリースしたばかり。いよいよ単独来日も控えています。

最近ではこういったタイプの音の人気はどんどん衰退しているのかもしれませんが、リリースから3年経った今聴いても全然色褪せていないし、むしろ時間が経ってみて改めて「素晴らしいアルバムだったなぁ」と再認識した程です(いや、リリース当時も良いと思ってましたけど、まさかこんなに素晴らしかったとは‥‥ってことで)。ゴスや「グランジ以降」に興味を持つ人、各メンバーが参加していたバンドが好きだった人、そのどれにも当てはまらないけど独特な世界観を持ったロックバンドが好きな人、まだ聴いたことがないのならこれを機に是非。



▼A PERFECT CIRCLE『Mer de Noms』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 10 13 12:00 午前 [2000年の作品, A Perfect Circle, Tool] | 固定リンク

2001/05/27

TOOL『LATERALUS』(2001)

なんてタイトルをつけてしまったけど‥‥うわぁ‥‥しっかし凄いアルバムだわ‥‥言葉を失うね。購入してから既に10日経ってるが、必ず毎日家で1回は聴く。しかも78分通して。1度、通勤の車の中で試しに聴いてみたけど‥‥駄目だ、朝からこれは。沈んでしまう。帰り道でも一緒。疲れてるところに更に凹む。う~ん、なんて素晴らしいアルバムなんだ!?(多少自虐的)

というわけで、前作「AENIMA」から既に4年半以上もの月日が経ってしまっている。決して彼ら自身がこのインターバルを選んだわけではない。そう‥‥STONE ROSESとのケースに最も近いかも。要するに、前作まで所属していたレコード会社との裁判‥‥これが終了するまでは移籍はおろか、音源さえもリリースされることが許されなかったのだ。その間、日本では前のレーベルの日本での配給先が何度か変わったりしたため、ここ数年の間ずっと旧譜が廃盤状態となっている。この文を書いている今現在も、その状態に変わりはない。ただ、喜ばしいことに、この6月末に過去の作品が全て再発されるそうだ。新作が無事リリースされた事、そして初来日が決まったからだろう。

TOOLの凄みってなんだろう? 実は今までそれがちゃんと伝わっていなかったために、これまで「伝説的なカルトバンド」止まりで終わっていたのかもしれない。そう、アメリカでの大成功とは裏腹に(ちなみに前作は全米2位、このアルバムは初登場1位を記録している)。まぁそれも、このアルバムと7月のフジロックで多少は埋められるとは思うのだけど‥‥

このアルバムの楽曲を発売前に、彼らのオフィシャルサイトで視聴した。先行シングルとなる、アルバム5曲目の "Schism" がその曲なのだが‥‥6分48秒もある楽曲にも関わらず全く長さを感じさせないし、曲の盛り上げ方も空気間も独特なモノを持ってるし、聴いていて映像が頭に浮かぶんだな。これって最近の音楽(ロック)にはあまりないタイプなんじゃないだろうか? そう‥‥誤解を恐れずに言うなら‥‥一番近いところで、RADIOHEADの最近の作品に近い世界観を感じる。

レディヘと近い世界観‥‥ということで無理矢理こじつけてるように聞こえるかもしれないが、このTOOLも非常に「プログレ的」スタイルのバンドだと思うのだ。当然、過去の作品(特に前作)からもその空気は伝わってきていたが、このアルバムを聴くと特に「いよいよ」という印象を受ける。そうだな‥‥一番近いところで、KING CRIMSONとの比較が最も説得力があるんじゃないだろうか? レディヘのプログレ感ってクリムゾンというよりも、PINK FLOYD的なイメージの方が(特に最近は)強いように思う。勿論レディヘもクリムゾンからの影響はあると思うけど、ここではちょっと強引にそう区分させてもらう。

クリムゾンとの比較というけれど、そのクリムゾンも時期によって若干スタイルが異なっている。①デビュー当時、②「RED」前後のヘヴィメタリック路線、③'80年代のニューウェーブ路線、④'90年代前半の6人編成時代、そして今のような⑤テクノ的手法を用いた路線。各時代でメンバー構成も楽器構成も違うのだから、当たり前かもしれない。では、TOOLはどの時代と比較すべきか?というと‥‥独断と偏見で選ばせてもらうが、②と③時代に一番近いのではないだろうか? アルバムでいえば‥‥「STARLESS AND BIBLE BLACK」「RED」、そして「DISCIPLINE」等の3部作との比較ができると思う。ちゃんと両者の音に接している人なら理解してくれると思うが、何も音楽的に似ていると言っているのではない。先にも書いたように、「世界観」だったり「精神性」がこの頃のクリムゾンと近いのではないか?と思うのだ。

俺は「AENIMA」を初めて聴いた時、その頃台頭していた他のヘヴィ系バンド‥‥同時期にアルバムをリリースしてヒットさせていたKORN、MARILYN MANSON、NINE INCH NAILSといったバンド達とは、明らかに違う「世界観」を持ったバンドだなと思っていた。勿論、他のどのバンドも独自の「世界観」を持っていて、全く違う音楽をやっているのだが‥‥このTOOLに関しては‥‥なんとも説明できない魅力を持っていた。それは初めて "Stinkfist" のビデオクリップを見た時にも感じていた。だってメンバー出てこないで、モジャモジャした粘土が動き回ってるし。

この独特な「世界観」というのが、もしかしたら「プログレ」というのと関係するのかもしれない。確かにKORNにもその色を感じ取ることができるが、TOOLはまた違うんだな‥‥「押し」と「引き」の具合が絶妙というか。例えば先の "Schism" もそうだし、セカンド収録の "Stinkfist" もそうなのだけど、1曲の中で「起承転結」がはっきりとしている。その構成の上手さが長尺を感じさせない要因なのかもしれない。

それが特にこの新作になると、1~2分程度のインターミッションのような、次の曲への序章的小楽曲が幾つか収録されていて、より楽曲としての構成を際だったものとし、さらにはそれがアルバムの流れをより明確にしているように感じられる。クリムゾンの場合、CDだと1曲としてカウントされてしまっているが、実際には2曲3曲が合体してひとつの「楽曲」として成り立っている曲が数多くある。まぁそれはクリムゾンに限ったことではなくて、多くのプログレバンドに共通するのだか。

「世界観」を構成するもうひとつの要因として、楽器の使い方、アンサンブルも大いに関係してくる。TOOLの場合、特にインストパートが長い曲が多い。下手をしたら歌よりも長いんじゃないか?という曲さえある。自分は楽器をやっているから特にかもしれないが、ドラムひとつとっても、計算されたフレージングやプレイに耳を奪われる。変拍子の曲が多いことからも伺えると思うが、とにかくプレイヤーとしての技術の高さには驚かされる。特にこのアルバムでは、前作以上にもの凄いことをやっていたりする。一聴して今回は地味に聞こえるギターも、実はもの凄く機能的な役割を果たしているし、ドラムもシンバルひとつとってみても、ちゃんと計算されていたりするから、尚驚く。

これだけ書くと、「けっ、プログレとか変拍子とかいって、結局はプレイヤーのオナニーで、頭デッカチで難しいことやってるんじゃねぇの?」と穿った見方をする方もいるだろう。しかし、しかしだ。そこで終わらないのがこのバンド。3つ目の要因‥‥それは「歌メロが非常にポップ」だという点だろう。リスナーとして、これが一番惹かれる魅力じゃないだろうか? とにかくメロウ。先にも書いたが、初めて "Stinkfist" を聴いた時、その世界観や映像にも驚いたが、何よりも歌メロのポップさに驚いたことが大きい。そういえば、クリムゾンも歌メロだけは異常にポップな曲が多かったな‥‥ってのはちょっと強引すぎたか?

まぁ長々と書いてしまったが、これがTOOLの魅力であり、凄みなのだ。結局、この辺がちゃんと伝わっていないからダメだったわけで、そして伝えようにも国内盤が出ていなかったから尚更なのだ。雑誌でも殆どインタビューが載らず、そうなると取り上げられる機会も皆無に近い‥‥昨年、ボーカルのメイナード・キーナンが関わるプロジェクト、A PERFECT CIRCLEがアルバムリリース、そしてフジロックで来日したお陰で、多少TOOLへの認識度も高くなったように思うが、このアルバムとフジロックで更に知名度を上げてもらいたいものだ。

最後に‥‥どうでもいい話をひとつ。このバンド、絶対にジャズやってた人が多いと思う。特にリズム隊ね。そしてベースの方。あなた、IRON MAIDEN好きでしょ? 7曲目の2分33秒あたりのフレーズ、ありゃまさしくメイデンですよ、あんた!‥‥って、結局これが言いたいがために、俺はこんなに長い文を書いてきたのか‥‥いいのか、俺!?(そしてこんなオチでいいのか、俺‥‥)



▼TOOL『LATERALUS』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2001 05 27 02:44 午後 [2001年の作品, Tool] | 固定リンク