カテゴリー「Trivium」の8件の記事

2020年4月25日 (土)

TRIVIUM『WHAT THE DEAD MEN SAY』(2020)

TRIVIUMが2020年4月24日にリリースした通算9作目のオリジナルアルバム。

『THE SIN AND THE SENTENCE』(2017年)から2年半ぶりに届けられた本作は、前作から引き続きジョシュ・ウィルバー(LAMB OF GODSONS OF TEXASGOJIRAなど)をプロデューサーに起用。ジョシュは前々作『SILENCE IN THE SNOW』(2015年)でもミックス・エンジニアとして携わっているので、3作連続でバンドの制作に関わったことになります。作品ごとにプロデューサーを変えることの多いTRIVIUMですが、ジョシュとはそれだけウマが合ったということなのかもしれません。

事実、本作で聴くことができるサウンド/楽曲も『THE SIN AND THE SENTENCE』の延長線上にある仕上がりで、前作での経験をブラッシュアップし、無駄を削ぎ落としたシンプルで濃厚な形で届けられています。

思えば、『SILENCE IN THE SNOW』でいきなり王道メタル路線へと変化を遂げ、初期のエクストリーム路線からは道を外れたなと思ったものですが、続く『THE SIN AND THE SENTENCE』では前作での経験をなかったものとはせずに、その上に初期の攻撃性やエクストリームさをかぶせることで、1周したもののスタート地点とは別の位置に到達しているという成長ぶりを提示してくれた。そこからさらに2年半を経て、バンドは前作で掴んだ経験をより確かなものへと昇華させ、本作では今までの紆余曲折がすべて必要だったことを証明してみせたわけです。

アルバムは2分程度のインストナンバー『IX』で幕を開け、そのまま激情メタルチューン「What The Dead Men Say」へと続きます。リードトラック「Catastrophist」や「Amongst The Shadows & The Stones」など、いかにもTRIVIUMらしい複雑な展開を持つ6分前後の長尺曲もありつつ、『SILENCE IN THE SNOW』での経験が活かされたミディアムテンポの歌モノ「Bleeding Into Me」や、ツインリードが気持ち良い疾走チューン「The Defiant」など、過去にTRIVIUMが見せてきたさまざまなスタイルが各曲に集約されている。

本作のプレスリリースでマシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo, G)は「過去、現在、そして未来のTRIVIUMの特有な要素が詰まっている。このアルバムで俺たちがやったことすべてが『TRIVIUMのサウンド』だと言えるだろう」、コリィ・ビューリー(G)も「俺たちは前作で築いたものを土台にしてアルバムを作りたかった。今作はTRIVIUMの要素がすべて詰まっている」と語っていますが、本当に今作はTRIVIUMというバンドの集大成であり、次の10年を見据えた“新たなスタンダード”的傑作ではないでしょうか。

また、本作が非常に興味深いのは全10曲/46分という非常にオーソドックスな形でまとめられていること。オープニングのインストを除くと、歌モノ楽曲は実質9曲。3分台のナンバーも2曲ほど収められていますが、基本的には5分前後の複雑な展開を持つアグレッシヴな楽曲が中心で、6分台も2曲含まれている。今やストリーミング主流で、アルバムという形はほぼ意味を成さなくなってしまいましたが、それでもこうした昔ながらの形にこだわるところにも、彼ららしいメタル愛が感じられるのではないでしょうか。気持ち的には、これはぜひアナログ盤(もしくはカセットテープ!)でも聴いてみたいですね。うん、傑作です!

 


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TRIVIUM『SILENCE IN THE SNOW』(2015)

2015年10月にリリースされたTRIVIUMの7thアルバム。

DISTURBEDのフロントマン、デヴィッド・ドレイマン(Vo)をプロデューサーに迎えた異色作『VENGEANCE FALLS』(2013年)から2年を経て届けられた本作では、新たなプロデューサーとしてマイケル・“エルヴィス”・バスケット(ALTER BRIDGEcoldrainスラッシュなど)を起用。ミックス・エンジニアにはジョシュ・ウィルバー(LAMB OF GODHATEBREEDGOJIRAなど)という現在のモダンメタル・シーンにおけるトップ・エンジニアたちとタッグを組んで、“新しいTRIVIUM”をリスナーに届けてくれました。

アルバム名といい、そのタイトルからイメージさせたアートワークといい、そしてアルバム序盤(特にオープニング「Snøfall」からM-3「Blind Leading The Blind」まで)の流れといい、叙情的な空気で包み込まれた作風は確かにこれまでのTRIVIUMにありそうでなかったタイプ。スクリームを完全に排除し、流麗でエモーショナルなメロディをドラマチックに演出する演奏は、ヨーロッパ圏や日本では非常に好まれるスタイルではないでしょうか。そういえば、インスト「Snøfall」ってバンドによるオリジナル曲ではなく、EMPERORのフロントマンにしてソロでも活躍するイーサーンの書き下ろしナンバーなんですよね。そのへんもこのスタイルに大きく影響しているんでしょうか。

かと思えば、M-4「Dead And Gone」以降はモダンメタル的なヘヴィネスを味付けに用いた、非常に現代的な楽曲も飛び込んでくる。けれど、スクリームに頼ることなく、すべてを歌とメロディで伝えようとする姿勢からはある種の“縛り”のようなものも感じられます。

メロディやアレンジの要所要所からは、往年の“ジャパメタ”を彷彿とさせる色合いも見え隠れする。このへんはキイチくん(マシュー・キイチ・ヒーフィー/Vo, G)のルーツも大きいのかな。コリィ・ビューリー(G)も本作の影響に対してRAINBOWBLACK SABBATHDIOあたりの名前を挙げており、タイトルトラックは『SHOGUN』(2008年)の頃にあったアイデアだけど、当時の音には合わなかったからボツにしていたと発言しているので、いつかこういった“縛り”に挑戦してみたかったんでしょうね。

全体的に落ち着いた作風で、ハードロックや王道ヘヴィメタル的な側面の強い1枚かもしれません。そしかし、の要素をより現代的な形で届けることは、往年の過激なサウンドを好むリスナーには受け入れがたい作風でもあるのかなと。でも、気づくと聴いているんですよね、このアルバム。バンドのキャリア的には実験色の強いものかもしれませんが、ヘヴィメタルバンドとしての主張が今まで以上に強く表出した、胸を張ってオススメしたい1枚です。

 


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2019年8月24日 (土)

TRIVIUM『IN WAVES』(2011)

2011年8月に発表された、TRIVIUM通算5作目のスタジオアルバム。70分近い大作志向だった前作『SHOGUN』(2008年)は全米23位まで上昇しましたが、本作はそれを超える最高13位を記録。現時点ではキャリア最高位を残しています。

前作発表後に10年近く在籍したトラヴィス・スミス(Dr)が脱退し、新たにニック・オーガスト(Dr)が加入してから最初に制作されたのが本作。プロデューサーにかのコリン・リチャードソン(CARCASSFEAR FACTORYNAPALM DEATHBULLET FOR MY VALENTINEなど)とマーティン・フォード(ex. DUB WAR、ex. SKINDRED)を迎えたこのアルバムは、バンドとしても新たな挑戦がたっぷり詰まった1枚に仕上がっています。

聴いてもらえばわかるように、これまでのメタルコア/スラッシュメタルの延長線上とは異なるモダンなサウンドへとシフトチェンジ。前作までにあった“古き良き時代のHR/HMの王道感+現代的な味付け”を通り越し、非常に“ナウ”(死語)なタッチへと変貌を遂げたことで、従来のファンの間でも賛否あったように記憶しています。

だって、オープニングのひんやりしたSE「Capsizing The Sea」からグルーヴメタル的アレンジの「In Waves」への流れといったら……キャッチーなメロディこそTRIVIUM的ですが、楽曲のタイプとしては完全に今までにないタイプ。その後もスクリームを多用しつつもしっかりメロディが耳に残るキャッチーさと、プログレッシヴなんだけど従来のメタル的なそれとは異なるモダンさが際立つプレイ&アレンジの楽曲が続いていきます。

でもね、これが意外と悪くないんですよ。確かに『ASCENDANCY』(2005年)が好きだったリスナーにはキツいし、『THE CRUSADE』(2006年)での“新世代メタル宣言!”的なストレートさも皆無。なのに、聴いていると非常にクセになる楽曲ばかり。「In Waves」同様にシングルカットされた「Built To Fall」や「Caustic Are The Ties That Bind」あたりも、アレンジ次第では前作までに収録されていてもおかしくないんでしょうけど、味付けによってここまで化けるかという驚きもあり。1分半程度のインスト2曲を含む全13曲、トータル51分という長さも程よくて、個人的には前作以上に気に入っている1枚だったりします。

あと、本作は音のみならず、映像やヴィジュアル、衣装のイメージまでをもコントロールしたトータル性の高い内容で、デラックス盤付属のDVDやYouTubeなどで公開されているMV、さらにはアートワークからもその気合いが伝わってきます。結局、こういったコンセプチュアルな作り込みはこれ1作のみとなってしまいましたが、ここでの実験は確実に以降の作品にも活かされているので、決して無駄ではなかったんだなと思っています。

なお、上に書いたように本作にはデラックス盤が用意されており、そちらは本編途中にボーナストラック3曲、最後のインスト「Leaving This World Behind」のあとにSEPULTURAのカバー「Slave New World」など2曲の計5曲を追加した内容となっています。全18曲で約68分……って前作と一緒やん(苦笑)。個人的にはコンパクトな通常盤の13曲構成がお気に入りなので、まずはこちらから聴いて、さらに気になったらデラックス盤を聴いてみると新たな発見があるかもしれませんよ(どちらもSpotifyやApple Musicで聴くことができます)。

 


▼TRIVIUM『IN WAVES』
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※ちなみに、デラックス盤はこちら。

2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2018年6月16日 (土)

TRIVIUM『SHOGUN』(2008)

2008年9月に発表された、TRIVIUM通算4作目のスタジオアルバム(Roadrunner Records移籍後3作目)。初の全米トップ30入り(25位)を記録した前作『THE CRUSADE』(2006年)に続く本作は、全11曲でトータル67分という大作に仕上がっています。

本作はまず、『SHOGUN』(=将軍)というそのアルバムタイトルにギョッとしたリスナーが多かったのではないでしょうか? しかも、アルバムのオープニングを飾るリードトラックが「Kirisute Gomen」(=斬り捨て御免)ですからね。マシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo, G)が日系人で山口県岩国で過ごした経験を持つ親日派だという現実が、この“ガイジン的発想”に走らせたのか。あるいはメタルの世界では当たり前の中世を扱った世界観を、単に日本に置き換えただけなのか……正直、聴く前はビクビクしながら音を待ったものです。

ですが、いざ完成したアルバムは別に日本の戦国時代を扱ったコンセプチュアルな作品ではなく、そういう楽曲もありつつギリシャやユダヤ・キリスト教を題材にしたナンバーも含まれている。そういった歴史的エピソードをテーマにしつつ、前作で顕著になったオールドスクールなヘヴィメタルの側面をさらに強めたプログレッシヴなHR/HMスタイルが確立されています。

全体的にスピードは若干抑え気味で、メロウな側面は前作『THE CRUSADE』の延長線上にあるイメージ。ですが、全体を通して聴いたときの印象は、そのひとつ前の『ASCENDANCY』(2005年)を進化させたような感想を持ちました。かといって、本作はそこまでメタルコア的なモダンさは希薄で、そのスタイルはマシューのスクリームなどに若干残っている程度。そういった意味では、過去2作の良いとこ採りな1枚かもしれません。

オープニングトラック「Kirisute Gomen」は、サビこそ日本語で「斬り捨て御免」と歌っているのでギョッとしますが、6分半におよぶプログレッシヴなスタイルはオールドスクールなスラッシュメタルそのもの。前作でのメロウな側面を強調させたミドルナンバー「Down From The Sky」は、適度にスクリームも飛び出し、その配合具合が絶妙。「Into The Mouth Of Hell We March」や「Throes Of Perdition」など、古き良き時代のヘヴィメタルとメタルコア以降のモダンさがミックスされた、非常に現代的なのにどこか懐かしさを感じさせる仕上がりです。

と、ここまでかなり好意的に書いていますが、個人的には彼らのアルバムの中でもかなり印象が薄い1枚であるのも事実。いわゆる“キメの1曲”が存在しない、全体的に似た印象の楽曲が並ぶどっちつかずさもあり、また70分近い長尺さもあってどこかぼんやりしてしまう。例えばこれが9曲入りとか50分台だったら、もうちょっと焦点を絞れたのかもしれない。次のアルバム『IN WAVES』(2011年)でモダンさに振り切ることを考えると、本作はTRIVIUMにとって過渡期的な作品だったのもしれませんね。

 


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2017年10月22日 (日)

TRIVIUM『THE SIN AND THE SENTENCE』(2017)

前作『SILENCE IN THE SNOW』(2015年)から2年ぶりに発表された、TRIVIUM通算8枚目のスタジオアルバム。彼らは大半のアルバムを2年間隔で発表してくれる働き者で、創作意欲に満ち溢れているグループなんだろうなと想像しています。中にはツアーに2年近くかけるバンドもいるというのに……あえて名前は出しませんが(笑)。

彼らは出世作となった2ndアルバム『ASCENDANCY』(2005年)と3rdアルバム『THE CRUSADE』(2006年)で同じプロデューサーを起用して以降、4th『SHOGUN』(2008年)から毎作プロデューサーを変えています。そこ結果なのか、以降のアルバムは毎回作風が少しずつ変化しているし、良い意味で『ASCENDANCY』で付いたイメージを払拭しようと奮闘しています。もしくは、アルバムごとに新たなことに挑戦しようと思い、そのスタイルにもっとも合ったプロデューサーを起用しているのかもしれませんが。

そんな本作でプロデュースを手がけるのは、LAMB OF GODの諸作やHATEBREEDGOJIRA、日本のVAMPSなどのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバー。実は彼、前作『SILENCE IN THE SNOW』ではミックスも手がけているので、正確では初顔合わせではありません。それもあってかわかりませんが、新作を初めて聴いたとき、久しぶりに「前作の延長線上にある内容、もしくは前作をブラッシュアップさせつつ、より攻撃的にした作風だなぁ」と感じました。前作でより正統派ヘヴィメタルバンド的側面を強めた彼らでしたが、新作ではそのカラーにブラックメタル的な攻撃性が加わることで、『SILENCE IN THE SNOW』を「モダンでヤワになった」と不満に感じていた人にも「おっ?」と思わせる内容に仕上がっているのではないでしょうか。

実はそのへん、新ドラマーのアレックス・ベントが加わったことも大きいのかなと。彼がどういうタイプのプレイヤーかは詳しく知らないのですが、きっと彼の個性が大きく反映されたビート感やアレンジなんだと思います。加えて、ちょうど昨年秋に1stアルバム『EMBER TO INFERNO』(2003年)のリイシュー盤がリリースされ、そこにアルバム前の初期音源も豊富に追加されたことから、バンドの原点を見直した可能性もあるのかなと。

とはいえ、基本的には『SILENCE IN THE SNOW』でやろうとしていたことのブラッシュアップ版のイメージが強く、前作が生理的に苦手という人には今回もダメかもしれませんが。まぁ、そもそも「『THE CRUSADE』以降のTRIVIUMってこういうバンドだったよね?」という気がするのですが、いかがでしょう? 特に『IN WAVES』(2011年)以降の彼らはメロディの質的にB級を脱したと思っていますし、サウンド的にも今作はモダンと王道の間を行き来するバランス感が絶妙。うん、前作よりも好き。前作も最初は良いね!と思っていたのに、しばらく経ったら聴く頻度が減っていたんですよ。単純に僕個人の好みの問題でしょうけど、ちょっと刺激が足りなかったのかな、と。なので、今作みたいなバランス感は大歓迎です。久しぶりに「ライブでたっぷり聴いてみたい!」と思える新曲ばかりなので、次こそは必ず来日公演に足を運ぼうと思っております。

 


▼TRIVIUM『THE SIN AND THE SENTENCE』
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2006年10月 3日 (火)

TRIVIUM『THE CRUSADE』(2006)

 前作『ASCENDANCY』からたったの1年半で届けられた、TRIVIUMの3rdアルバム『THE CRUSADE』は噂どおりにスゴいことになってました。いやぁ、俺の想定していた成長の度合いを遥かに超えた、もの凄いヘヴィメタルアルバムを作っちゃったなぁ……マット・ヒーフィーってまだ20歳そこそこだよね?(汗)「好きこそものの上手なれ」なんて言葉のとおり、やっぱり若い子は飲み込みも早いし、それを用いて成果を出すのも早い……ま、彼の場合は才能の問題だと思いますが。

 バンドとしてもこの2年近くで相当な数のライブをこなしたはずで、それが良い方向に機能したのかな。実際に曲を書く時間はほとんどなかったようで、全部前回のツアー中に書いたみたいだけど(BULLET FOR MY VALENTINEも同じようなこと言ってたな。1stで売れちゃうとそういうことになるわけか)、その割にかなり……いや、相当良い曲が出来上がってると思います。

 ハッキリ言っちゃえば、ここには「M.A.メタル」も「メタルコア」も「スクリーモ」も存在しません。あるのはただひとつ、「ヘヴィメタル」のみ。そう、これこそ純粋な、2006年におけるヘヴィメタルの在り方なんじゃないかな、と思うわけです。もちろんいろんなバンドがいていいし、いろんなサウンドがあるから音楽って面白いんだけど、我々が忘れかけていた何かを一瞬にして思い出させてくれるのがこのアルバム『THE CRUSADE』なんじゃないか、と。そう信じたいわけです。

 ボーカルはスクリームやデス声を極力抑え、歌メロを重視した歌唱がメインになってます。その点においてこれまでのファンからは賛否分かれるかもしれません。曲もモダンな要素は若干後退し、かなり古めかしい、それこそ'80年代的なサウンドを彷彿させる瞬間が何度も登場します。でも頭2曲を聴いた時点で、俺は思いっきりガッツポーズを取ってたけどね。俺はスクリームがなくなったことで嘆くよりも、こういう音楽を素直にカッコいい、彼らがこれをやることに意味があると信じてます。

 前作をよくMETALLICA『MASTER OF PUPPETS』と比較する声があったけど(実際彼らは今年、ケラングの付録のために「Master Of Puppets」をカバーしてたけどね)、それじゃあこの新作はどうなるのよ……と考えたところで、実は俺は今回、『RIDE THE LIGHTNING』を作ってしまったんじゃないか?なんて思う瞬間があってね。決して後退ではなく、良い意味でね。より深いルーツを探っていった結果、そこにたどり着いたのかなぁ……なんて思うんだけど、きっと俺だけだろうね、そう思うのは。

 いやぁ、とにかく名盤。今年の10枚への選出決定ですわ。

 


▼TRIVIUM『THE CRUSADE』
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2005年9月30日 (金)

TRIVIUM『ASCENDANCY』(2005)

 唐突だけどさ‥‥今年に入って俺の中で、完全にメタルが盛り返しちゃってるんだよなぁ‥‥いや、別に嫌ではないんですよ。ただ、正直な話‥‥ここ数年のメタルやメタルファンに対して、個人的には嫌悪感みたいなのがずっとあったからさ。正面切って「メタルサイコー!!」と素直に言い切れない自分がいたり、と同時にそんな自分を嫌がるもうひとりの自分もいて。好きなのに素直に好きと言い切れない、非常に複雑な心境だったんですよ。

 別に「ヘビメタさん」が始まったから俺内でメタルが盛り返したんじゃなくて‥‥ネットラジオ「RADIO TMQ」でもそのちょっと前にメタル絡みで特番やったりして、更に4月から「メタル十番(盤)勝負」なるコーナーまで始めて。そんな中でSOILWORKやSHADOWS FALLみたいなバンドと出会ったり、それと前後してKILLSWITCH ENGAGE辺りまで聴くようになったり、それまでちょっと敬遠してたARCH ENEMYやIN FLAMESをもう一度ちゃんと聴き返したり。で、そんな新しめのバンドを通過することで素直になれた自分がいて。気づけば「Motley Crue Night」なんつーHM/HR中心のクラブイベントやったり、挙げ句の果てに生涯初の『スラッシュ/デスメタル・バンド結成』ですよ‥‥本気で。どうしちゃったんだろう俺‥‥ってくらいに、もう引き返せないところまで来ちゃってる気がするんですが‥‥

 そうそう、最近のメタルをよく聴くようになって覚えた単語があるんですよ。『M.A. METAL』っていうんですけど‥‥知ってる人は知ってますよね? そう、L.A.メタルと同じように地名を表す『M.A.』‥‥マサチューセッツ州を意味するこのキーワード、要するに『マサチューセッツ州出身の(あるいは活動の拠点がマサチューセッツ?)メタルバンド』ということになるのでしょうか‥‥昨年辺りからSHADOWS FALLやKILLSWITCH ENGAGEといったマサチューセッツ出身のニュースクール(METALLICAやANTHRAXのような旧世代のバンドを『オールドスクール』と呼ぶのに対し、若手のメタルバンドをこう呼ぶそうです)陣がチャート的にも成功したりして、新しいメタルの波がアメリカに押し寄せてるんですよね。またこういったバンドの音楽スタイルを『メタルコア』なんて呼んだりもするそうで‥‥『ヘヴィメタル』+『ハードコア』ってことでいいんですか? もうここまでくると正直よく判りませんけど‥‥もうメロデス(メロディック・デスメタル)なんて呼ばないんですね。

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