2017/10/22

TRIVIUM『THE SIN AND THE SENTENCE』(2017)

前作『SILENCE IN THE SNOW』(2015年)から2年ぶりに発表された、TRIVIUM通算8枚目のスタジオアルバム。彼らは大半のアルバムを2年間隔で発表してくれる働き者で、創作意欲に満ち溢れているグループなんだろうなと想像しています。中にはツアーに2年近くかけるバンドもいるというのに……あえて名前は出しませんが(笑)。

彼らは出世作となった2ndアルバム『ASCENDANCY』(2005年)と3rdアルバム『THE CRUSADE』(2006年)で同じプロデューサーを起用して以降、4th『SHOGUN』(2008年)から毎作プロデューサーを変えています。そこ結果なのか、以降のアルバムは毎回作風が少しずつ変化しているし、良い意味で『ASCENDANCY』で付いたイメージを払拭しようと奮闘しています。もしくは、アルバムごとに新たなことに挑戦しようと思い、そのスタイルにもっとも合ったプロデューサーを起用しているのかもしれませんが。

そんな本作でプロデュースを手がけるのは、LAMB OF GODの諸作やHATEBREEDGOJIRA、日本のVAMPSなどのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバー。実は彼、前作『SILENCE IN THE SNOW』ではミックスも手がけているので、正確では初顔合わせではありません。それもあってかわかりませんが、新作を初めて聴いたとき、久しぶりに「前作の延長線上にある内容、もしくは前作をブラッシュアップさせつつ、より攻撃的にした作風だなぁ」と感じました。前作でより正統派ヘヴィメタルバンド的側面を強めた彼らでしたが、新作ではそのカラーにブラックメタル的な攻撃性が加わることで、『SILENCE IN THE SNOW』を「モダンでヤワになった」と不満に感じていた人にも「おっ?」と思わせる内容に仕上がっているのではないでしょうか。

実はそのへん、新ドラマーのアレックス・ベントが加わったことも大きいのかなと。彼がどういうタイプのプレイヤーかは詳しく知らないのですが、きっと彼の個性が大きく反映されたビート感やアレンジなんだと思います。加えて、ちょうど昨年秋に1stアルバム『EMBER TO INFERNO』(2003年)のリイシュー盤がリリースされ、そこにアルバム前の初期音源も豊富に追加されたことから、バンドの原点を見直した可能性もあるのかなと。

とはいえ、基本的には『SILENCE IN THE SNOW』でやろうとしていたことのブラッシュアップ版のイメージが強く、前作が生理的に苦手という人には今回もダメかもしれませんが。まぁ、そもそも「『THE CRUSADE』以降のTRIVIUMってこういうバンドだったよね?」という気がするのですが、いかがでしょう? 特に『IN WAVES』(2011年)以降の彼らはメロディの質的にB級を脱したと思っていますし、サウンド的にも今作はモダンと王道の間を行き来するバランス感が絶妙。うん、前作よりも好き。前作も最初は良いね!と思っていたのに、しばらく経ったら聴く頻度が減っていたんですよ。単純に僕個人の好みの問題でしょうけど、ちょっと刺激が足りなかったのかな、と。なので、今作みたいなバランス感は大歓迎です。久しぶりに「ライブでたっぷり聴いてみたい!」と思える新曲ばかりなので、次こそは必ず来日公演に足を運ぼうと思っております。



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投稿: 2017 10 22 12:00 午前 [2017年の作品, Trivium] | 固定リンク

2006/10/03

TRIVIUM『THE CRUSADE』(2006)

 前作「ASCENDANCY」からたったの1年半で届けられた、TRIVIUMの3rdアルバム「THE CRUSADE」は噂どおりにスゴいことになってました。いやぁ、俺の想定していた成長の度合いを遥かに超えた、もの凄いヘヴィメタルアルバムを作っちゃったなぁ……マット・ヒーフィーってまだ20歳そこそこだよね?(汗)「好きこそものの上手なれ」なんて言葉のとおり、やっぱり若い子は飲み込みも早いし、それを用いて成果を出すのも早い……ま、彼の場合は才能の問題だと思いますが。

 バンドとしてもこの2年近くで相当な数のライブをこなしたはずで、それが良い方向に機能したのかな。実際に曲を書く時間はほとんどなかったようで、全部前回のツアー中に書いたみたいだけど(BULLET FOR MY VALENTINEも同じようなこと言ってたな。1stで売れちゃうとそういうことになるわけか)、その割にかなり……いや、相当良い曲が出来上がってると思います。

 ハッキリ言っちゃえば、ここには「M.A.メタル」も「メタルコア」も「スクリーモ」も存在しません。あるのはただひとつ、「ヘヴィメタル」のみ。そう、これこそ純粋な、2006年におけるヘヴィメタルの在り方なんじゃないかな、と思うわけです。もちろんいろんなバンドがいていいし、いろんなサウンドがあるから音楽って面白いんだけど、我々が忘れかけていた何かを一瞬にして思い出させてくれるのがこのアルバム「THE CRUSADE」なんじゃないか、と。そう信じたいわけです。

 ボーカルはスクリームやデス声を極力抑え、歌メロを重視した歌唱がメインになってます。その点においてこれまでのファンからは賛否分かれるかもしれません。曲もモダンな要素は若干後退し、かなり古めかしい、それこそ'80年代的なサウンドを彷彿させる瞬間が何度も登場します。でも頭2曲を聴いた時点で、俺は思いっきりガッツポーズを取ってたけどね。俺はスクリームがなくなったことで嘆くよりも、こういう音楽を素直にカッコいい、彼らがこれをやることに意味があると信じてます。

 前作をよくMETALLICAの「MASTER OF PUPPETS」と比較する声があったけど(実際彼らは今年、ケラングの付録のために "Master Of Puppets" をカバーしてたけどね)、それじゃあこの新作はどうなるのよ……と考えたところで、実は俺は今回、「RIDE THE LIGHTNING」を作ってしまったんじゃないか?なんて思う瞬間があってね。決して後退ではなく、良い意味でね。より深いルーツを探っていった結果、そこにたどり着いたのかなぁ……なんて思うんだけど、きっと俺だけだろうね、そう思うのは。

 いやぁ、とにかく名盤。今年の10枚への選出決定ですわ。



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投稿: 2006 10 03 07:19 午後 [2006年の作品, Trivium] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2005/09/30

TRIVIUM『ASCENDANCY』(2005)

 唐突だけどさ‥‥今年に入って俺の中で、完全にメタルが盛り返しちゃってるんだよなぁ‥‥いや、別に嫌ではないんですよ。ただ、正直な話‥‥ここ数年のメタルやメタルファンに対して、個人的には嫌悪感みたいなのがずっとあったからさ。正面切って「メタルサイコー!!」と素直に言い切れない自分がいたり、と同時にそんな自分を嫌がるもうひとりの自分もいて。好きなのに素直に好きと言い切れない、非常に複雑な心境だったんですよ。

 別に「ヘビメタさん」が始まったから俺内でメタルが盛り返したんじゃなくて‥‥ネットラジオ「RADIO TMQ」でもそのちょっと前にメタル絡みで特番やったりして、更に4月から「メタル十番(盤)勝負」なるコーナーまで始めて。そんな中でSOILWORKやSHADOWS FALLみたいなバンドと出会ったり、それと前後してKILLSWITCH ENGAGE辺りまで聴くようになったり、それまでちょっと敬遠してたARCH ENEMYやIN FLAMESをもう一度ちゃんと聴き返したり。で、そんな新しめのバンドを通過することで素直になれた自分がいて。気づけば「Motley Crue Night」なんつーHM/HR中心のクラブイベントやったり、挙げ句の果てに生涯初の『スラッシュ/デスメタル・バンド結成』ですよ‥‥本気で。どうしちゃったんだろう俺‥‥ってくらいに、もう引き返せないところまで来ちゃってる気がするんですが‥‥

 そうそう、最近のメタルをよく聴くようになって覚えた単語があるんですよ。『M.A. METAL』っていうんですけど‥‥知ってる人は知ってますよね? そう、L.A.メタルと同じように地名を表す『M.A.』‥‥マサチューセッツ州を意味するこのキーワード、要するに『マサチューセッツ州出身の(あるいは活動の拠点がマサチューセッツ?)メタルバンド』ということになるのでしょうか‥‥昨年辺りからSHADOWS FALLやKILLSWITCH ENGAGEといったマサチューセッツ出身のニュースクール(METALLICAやANTHRAXのような旧世代のバンドを『オールドスクール』と呼ぶのに対し、若手のメタルバンドをこう呼ぶそうです)陣がチャート的にも成功したりして、新しいメタルの波がアメリカに押し寄せてるんですよね。またこういったバンドの音楽スタイルを『メタルコア』なんて呼んだりもするそうで‥‥『ヘヴィメタル』+『ハードコア』ってことでいいんですか? もうここまでくると正直よく判りませんけど‥‥もうメロデス(メロディック・デスメタル)なんて呼ばないんですね。

 さ、前置きが長くなりましたが‥‥今回紹介するTRIVIUMというバンドも、この枠に入れても何ら違和感のないバンドでして。インディーズから数年前に1stアルバムをリリースしていて、今回の「ASCENDANCY」からメタル界名門レーベル『ROADRUNNER RECORDS』に移籍して再出発ということなんですね。それに彼等、フロリダ出身だしね。ま、古くはフロリダがデスメタルの整地だったわけですけどね。

 このバンドのメインメンバーであるマット・ヒーフィー、所謂『ハーフ』で生まれは山口県岩国市だというから驚き。幼い頃にフロリダに移り、そこでメタルの洗礼を受けてしまったようで、デビュー盤をリリースした頃はまだ16才(!)。そんな彼も現在では19才‥‥っておい! 19才かよ!?っていう驚きがまずあったのよ、音聴いて。ボーカルスタイルやギタープレイもさることながら、その楽曲の素晴らしさがね‥‥熟練したメタル野郎のソレなわけですよ。

 正直なところ、俺はこのアルバムを聴いて‥‥何がメタルコアなのか、何がメロデスで何がM.A.メタルなのか正直判らなくなったよ。だってさ、これ‥‥どこからどう聴いても、普通のヘヴィメタルじゃん。確かに所々にデス声で歌ってるパートがあるんだけど、サビではメロウに歌ってたりするし、ギターのメロディも完全に正統派ヘヴィメタルのそれだし。様式美とまでは言わないけど、かなりそれに近いものがあると思う。だからなのか、すんなり聴けたし、一発で気に入ったのね。だって所謂オールドスクールを聴いて育った世代からすればこれ、聴きやすいもん。そしてカッコ良い。全編デス声で歌われるとキツイって人もいるかと思うけど、このバンドは曲によっては完全に「普通に歌ってる」曲もあるし、デスの要素は単なる味付け程度でしかない気がするのね。デスはひとつの要素であって、メインにあるのはストロングスタイルのメロディック・ヘヴィメタル。

 至る所でこのバンドを『第二のMETALLICA』、このアルバムを『第二の「MASTER OF PUPPETS」』と例えるのを目にしたりするけど、成る程それもあながち間違ってないのかもな‥‥という気がしないでもない。METALLICAは「MASTER OF PUPPETS」で劇的な変化/成長を経て、歴史に名を刻んだわけだけど、このTRIVIUMの「ASCENDANCY」というアルバムにもそれと同じものを予感させる何かを感じるんだよね。ま、『第二の〜』云々はこの際どうでもいいんだけど、コア方面一辺倒な流れを変えるに十分な魅力と破壊力を持った1枚なんじゃないかな。

 こういう良質な若手バンドがバンバン出て来るんだったら、今のメタルシーンも捨てたもんじゃないよな‥‥素直にそう思いますよ。だって彼等なんてまだ2枚目ですよ!? 順調に成長していったら‥‥行く末怖い存在になるんじゃないかと‥‥うん。楽しみだ。



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投稿: 2005 09 30 12:31 午前 [2005年の作品, Trivium] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック