2017/12/12

U2『SONGS OF EXPERIENCE』(2017)

iTunesユーザーに無理やり送りつけ賛否両論を巻き起こした前作『SONGS OF INNOCENCE』(2014年)から3年ぶり、U2の通算14枚目となるスタジオアルバム。そのタイトルからからもわかるように前作と対となる作品で、本来はもっと早いタイミングにリリースされる予定でしたが、ボノ(Vo)の自転車事故による大怪我やその後のツアーなどもあって、結局通常のサイクル(にしてはいつもより早めですが)での発表となりました。

ロックバンドに憧れた頃の原点(ジョーイ・ラモーンジョー・ストラマーなど)を見つめ直した前作を“Innocence”と称するなら、“Experience”をタイトルに用いた今作はそこから40年近くにわたるU2の音楽探求史の現在地が示されたような1枚と言えるでしょう。いつになくボーカルにエフェクトを施した「Love Is All We Have Left」から「Lights Of Home」へと流れる緩やかなオープニングには驚かされますが、先行シングル「You're The Best Thing About Me」のようなポップサイド、90年代初頭の彼らを思わせる「Get Out Of Your Own Way」、「Vertigo」にも匹敵する骨太なロックンロール「American Soul」、80年代のルーツミュージック回帰期を彷彿とさせる「Summer Of Love」など、従来のU2の総決算といえるような楽曲がずらりと並びます。

後半も小気味良いギターリフの「Red Flag Day」を筆頭に、アコギのストロークと緩やかなリズムが気持ち良いロックンソウル「The Showman (Little More Better)」、ミニマムなサウンドが90年代中盤のテクノ3部作を思わせる「The Little Things That Give You Away」、作風的には2000年代のU2に近い「Landlady」、先行公開されていたリード曲「The Blackout」、これも2000年代の彼らの延長線上にあるミディアムスローの「Love Is Bigger Than Anything In Its Way」、13曲目だからこのタイトル?なソウルバラード「13 (There is A Light)」とU2らしい楽曲ばかり。約50分と通常の彼らの作品同様、とても聴きやすいバランスとなっています。

デラックスエディションにはこのほか、ボーナストラックが4〜5曲追加されるのですが、その大半がリミックスやバージョン違いなのでここでは割愛します。

前作と比較すると、例えばギターでがっつり引っ張るといった作風ではなく、リズムで遊びながら歌をじっくり聴かせる、そういうアルバムなのかなと思いました。また、テイストとしてエレクトロの要素がうっすら散りばめられているものの、やはりロックバンドとしての軸はブレておらず、90年代的なテイストが散見されつつも、あくまでそれも味付けといった印象。U2がU2であることを引き受けた……そんなアルバムなのかなと思いました。

たぶん、これを嫌いなU2ファンはいないんじゃないかな(難癖つけるめんどくさい輩はいるだろうけど)。そんな“らしい”アルバムです。



▼U2『SONGS OF EXPERIENCE』
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投稿: 2017 12 12 12:00 午前 [2017年の作品, U2] | 固定リンク

2017/10/04

ALICE COOPER『PARANORMAL』(2017)

アリス・クーパー通算27作目のスタジオアルバム。全米22位と大健闘した前作『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』(2011年)から6年ぶりのオリジナルアルバムとなりますが、その間にジョニー・デップやジョー・ペリー(AEROSMITH)と組んだHOLLYWOOD VAMPIRESのアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』が2015年に発表されているので、新作としてはそこまで久しぶりという印象もなかったりするのですが、そこは御大が本気で臨んだオリジナルアルバム。当然、心して向き合うわけです。

全10曲で34分というトータルランニングにまず驚かされるのですが、1曲目「Paranormal」を聴いて、その不穏な空気感とメリーゴーランドのように展開していくアレンジに「これぞ!」と膝を叩きたくなるくらいワクワクするわけです。確かに『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』も良い作品だと思いましたが、個人的にはちょっと長すぎかな、というのと曲調の幅が広すぎて散漫に感じてしまったので、もうそりゃあここで大きな期待を重ねるわけです。

で、2曲目「Dead Flies」以降は1曲目とは若干異なるテイスト……70年代初頭、ALICE COOPERというバンド名義だった時代のガレージロックサウンドが展開されていきます。正直1曲目を聴いた時点で求めていた路線ではなかったものの、これはこれで……僕、1989年に『TRASH』で復活して以降の作品で、それほど高く評価されていない『THE LAST TEMPTATION』(1994年)が一番好きだったりするので、本作の路線は個人的に大々的に支持したいくらいなので、本作の路線はアリだと思っています。

この路線に着地したのって、例えばHOLLYWOOD VAMPIRESからの流れだったり、本作のドラムをU2のラリーが担当していたり、オリジナルメンバーのデニス・ダナウェイ(B)、ニール・スミス(Dr)、マイケル・ブルース(G)で録音するなどのアイデアが生まれたからなんでしょうかね。ゲストプレイヤーとしてZZ TOPのビリー・ギボンズ(G)や DEEP PURPLEのロジャー・グローヴァー(B)、そしてスティーヴ・ハンター(G)といった豪華なのか地味なのか微妙な布陣が参加していますが、それによって特に派手に仕上がることもなく。それでいいんでしょうけどね、本作の場合は。

また本作は永久仕様としてボーナスディスクが付いており、そちらにデニス、ニール、マイケルのオリメンが参加した新曲2曲と、「No More Mr.Nice Guy」「Under My Wheels」「Billion Dollar Babies」「Feed My Frankenstein」「Only Women Bleed」「School's Out」と往年(+90年代前半)の代表曲のライブテイクを聴くことができます。新曲2曲はちょっとユルユルかな……というシンプルなロックンロール。本編に入れるには軽すぎるし、ちょっとしたお遊びとして楽しむには十分かな。このボーナスディスクの内容を足しても70分には満たないし、全部1枚にまとめられるじゃんと思う人も多いみたいだけど、やっぱりアリス自身はディスク1の10曲で完結させたいという思いがつy買ったんじゃないかな。オリメンとの2曲はEPみたいな扱いで、アルバム本編とは別という。アルバム本編でも9曲目「Rats」がオリメンで演奏された楽曲だけど、こっちはもっとソリッドな仕上がりで、本編の流れに沿っているので収録を決めたと。そういうことなんでしょう。

とうわけで、本気で支持したいこのアルバム。全米32位と前作には及びませんでしたが、僕は大好きですよ。非常にライブ向きですし。

そういえば、まもなく『LOUD PARK 2017』で久しぶりに来日しますね。前回の来日は2008年3月。単独公演とは違ってフルセットを楽しめるわけではありませんし、そうなると新曲もどれだけ削られるのかわかりませんが、今は素直に久しぶりの新作と久しぶりの来日に対して、素直に酔いしれたいと思います。



▼ALICE COOPER『PARANORMAL』
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投稿: 2017 10 04 12:00 午前 [2017年の作品, Alice Cooper, Deep Purple, U2, ZZ Top] | 固定リンク

2017/09/05

U2『THE JOSHUA TREE』(1987)

1987年3月にリリースされた、U2通算5作目のスタジオアルバムにして最大のヒット作。もう30年も前の話なんですね。前々作『WAR』(1983年)、前作『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)がともに全米12位、マルチプラチナム獲得とアメリカでの成功を手にした彼らでしたが、このアルバムではアメリカで初の1位を獲得。本作からのシングルも「With Or Without You」「I Still Haven't Found What I'm Looking For」の2曲が全米1位に輝き、気づけばアルバムは1000万枚を超えるメガヒット作となりました。

デビュー作『BOY』(1980年)から3rdアルバム『WAR』までを“アイルランド3部作(あるいはヨーロッパ3部作)”と呼ぶならば、4th『THE UNFORGETTABLE FIRE』、本作『THE JOSHUA TREE』、そして6th『RATTLE AND HUM』(1988年)はソウルやゴスペル、ブルースといったアメリカ音楽へと接近していく“アメリカ3部作”と呼ぶことができるかと思います。『THE UNFORGETTABLE FIRE』ではまだまだ序の口だった(というかサウンド的にはまだヨーロッパのバンド特有の湿り気が残っていた)ルーツミュージックへの接近も、本作で一気に本格化。「I Still Haven't Found What I'm Looking For」や「Running To Stand Still」などはまさにそのスタイルを極めた楽曲と言えるでしょう。

かと思えば、アメリカンロック的なスケール感の大きさを兼ね備えた「Where The Streets Have No Name」や「With Or Without You」みたいな曲もあるし、“いかにもU2”な疾走感を持つ「In God's Country」、ヘヴィさを極めた「Bullet The Blue Sky」「Exit」もある。さらに歌詞に目を向けると、彼らの宗教観であったりアメリカ社会に対する警告(政治や戦争に対する批判)が綴られている。アルバム全体を通して聴くと穏やかさが目立つ1枚かもしれませんが、深く知れば知るほど実はものすごくシリアスで“攻め”のアルバムなんだということが理解できるかと思います。

正直、この時期(80年代後半)のU2はイメージ的には地味そのものです。ボノ(Vo)がロンゲになって後ろ縛りにしたり、ジ・エッジ(G)の風貌はアメリカの片田舎にいそうなオッサンみたいだし。等身大のままバンドが大きくなっていった初期3作の頃と比べると、そりゃあ地味です。が、バンドの人気やセールスが過去最大級に肥大していく中で、彼ら自身がそういった現実と折り合いをつけるため、バランスをとるためだったとしたら……90年代の奇行(笑)を考えれば、なんとなく納得できる気がするんですよね。

ちょっと余談になってしまいましたが、とにかくアルバム自体は本当に素晴らしいし、これ以上書くことがないくらいに完璧な1枚だと思います。できることなら、ぜひ歌詞・対訳を手にしながら浸ってほしい作品です。



▼U2『THE JOSHUA TREE』
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投稿: 2017 09 05 12:00 午前 [1987年の作品, U2] | 固定リンク

2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
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投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer, 「20年前」] | 固定リンク

2006/12/01

U2@さいたまスーパーアリーナ(2006年11月30日)

281102539_158久しぶりのU2。圧巻でした。昨日とセットリストが変わってたみたいで、5曲くらい入れ替わっていたとのこと。アンコール6曲は改めて考えてもすごいな。なんだかんだで3回くらい泣きそうになったわけですが(笑)。

初日は最近の曲多め、2日目は80年代の曲(しかもここ10年以上やってないやつ)多めって感じかな。 あと、中盤の曲順とかアンコールラストが変わってた。2日とも行った人が「今日の方が断然出来が良かった」って言ってたけど、昨日観てないのでなんとも。ただ、セットリストは今日のほうが好みだったなぁ。

思えば「All I Want Is You」なんて、1989年の横浜アリーナ以来だよ! ボノも日本語で「ヒサシブリ」て言ってたくらいだから(笑)。


[SET LIST]
01. City Of Blinding Lights
02. Vertigo / She Loves You (snippet)
03. Elevation
04. Until The End Of The World
05. New Year's Day
06. Beautiful Day / Blackbird (snippet)
07. Angel Of Harlem
08. The First Time
09. Sometimes You Can't Make It On Your Own
10. One Tree Hill
11. Sunday Bloody Sunday / Rock The Casbah (snippet)
12. Bullet The Blue Sky / When Johnny Comes Marching Home (snippet) / The Hands That Built America (snippet)
13. Miss Sarajevo
14. Pride (In The Name Of Love)
15. Where The Streets Have No Name
16. One
--encore--
17. The Fly
18. Mysterious Ways
19. With Or Without You
--encore--
20. Window In The Skies
21. Desire
22. All I Want Is You


投稿: 2006 12 01 04:21 午前 [2006年のライブ, U2] | 固定リンク

2004/11/03

U2『VERTIGO (EP)』(2004)

 U2の新曲 "Vertigo" をこの1ヶ月近く、ずっと聴き続けてるのね。いや、まだ現時点ではCDとしてはリリースされてないんだけど、所謂ダウンロード販売という形では既に海外で10月初頭からスタートしてて、かなりの好セールスを記録してるそうで。勿論iTunes Music Storeの方でも大ヒット中で、気づけばiPodのテレビCMにこの曲が起用され(しかもシルエットでU2の4人も出演!)、挙げ句の果てにこんなものまで発売される始末。いや‥‥ちょっと‥‥欲しいかも。

 んで、肝心の新曲。さすが「シンプルなロックンロールを目指した」とか言うだけあって、本当にロックンロールそのもの。多分いろんなところで言われるだろうけど、初期3部作の頃‥‥特に1st「BOY」の頃の、純粋無垢なまでのストレートなロックンロールを思い出したのは、俺だけじゃないはず。イントロのドラムスティックによるカウントといい、その後にリズムインするドラムとギターのカッティングといい、ボノの熱いボーカルといい、七変化するエッジのギターサウンドといい、分厚いリズム隊といい。その全てが「U2」以外の何者でもないわけ。こりゃアルバム、期待大なんじゃないの?

 前作「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」が先行シングル "Beautiful Day" や一部の楽曲を除くと比較的落ち着いた、「あぁU2もオッサンになっちまったなぁ‥‥」と思わせる味わい深い1枚だっただけに、今回は‥‥いや、そこは25年選手のU2のことだから、まぁ単なるロックンロール・アルバムでは済まないわな。

 何にせよ、11月17日(輸入盤は23日)にリリースされる通算11作目のオリジナルアルバム「HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB」(最高に素晴らしいタイトル!)、期待大ですよ。絶対に期待を裏切らないはず。むしろ俺等の期待の更に上を行く凄い1枚に仕上がってるはず。いやー楽しみだ。



▼U2「VERTIGO」[EP](amazon

投稿: 2004 11 03 08:17 午後 [2004年の作品, U2] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/02

とみぃ洋楽100番勝負(76)

●第76回:「One」 U2 ('91)

 3度目の登場かしら、U2は? あれーっ、俺にとってそんなに重要なバンドだったっけか、U2は。要するに、人生の節目節目に彼等の新譜が出て、そこに印象深い1曲が必ずあるってことでしょうね。

 '92年初頭のイギリス留学ってのは、その後の自分の人生観とか音楽観とか、いろんな意味で財産になってるわけですよ。ここで出会った人達との繋がり然り、出会った音楽然り。

 この旅に持っていったカセットの中に、当時出たばかりのU2の新作「ACHTUNG BABY」があって。これよく聴いたなぁ。これまでになかったサウンド(ドラムの音とかね)と、時に軽薄に、時に熱く感動的に歌い上げるボノの歌声と、ただひたすらカッコいいギター。あーこういうことがすんなり出来るバンドって、やっぱりカッコいいなー、とかぼんやり考えながら、ロンドン行きの高速バスの中でよく聴いてた。

 で、アルバム3曲目の "One" で必ず泣いて。急にホームシックになってさ。

 いやね。この曲、好きだったんですよ。イギリスに行く前に別れた彼女が。俺のアパートでふたりして、よく一緒にこのアルバム聴いてたなーって。そういうことが急に思い出されて涙していたという。じゃあ持っていくなよ、わざわざ聴くなよ、とか思ったりもしたけど、それ以外に持っていったテープって全部HM/HRばっかなんだよね‥‥METALLCAとかガンズとかSKID ROWとか。あ、あと日本のOUTRAGEとかな。

 さすがに今ではこの曲聴いて、そんな風に泣くこともないけど‥‥けど、留学中もラジオやテレビでよくこの曲は流れてたね。丁度シングルカットされた時期だったのかな? それは今でも聴く度に思い出します。そしてこれ聴いて泣いてばかりいた当時の俺のこともね‥‥



▼U2「ACHTUNG BABY」(amazon

投稿: 2004 11 02 12:00 午前 [1991年の作品, U2, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/23

とみぃ洋楽100番勝負(35)

●第35回:「Bullet The Blue Sky」 U2 ('87)

 U2の大出世作となった「THE JOSHUA TREE」の4曲目に収録されている、シングルにもならなかった1曲。けど俺にとっては非常に重要な曲なんですよね。

 「THE JOSHUA TREE」といえばまず "With Or Without You" でしょうかね。そして "I Still Haven't Found What I'm Looking For" といったシングルヒット曲が『アルバムを代表する曲』なんでしょうね。いや、それは間違いない事実ですよ。実際俺もそれらの曲が大好きだし、人に薦める時はそれらの曲名を挙げますからね。

 けど‥‥俺にとっては‥‥この時期‥‥'80年代中盤から'90年代に突入するまでのU2というのは、非常に重苦しくて、時に宗教色さえ強く感じさせる、そんなシリアスなバンドだったわけですよ。まぁ、「WAR」辺りからその片鱗は十分ありましたけど。

 そもそも「THE JOSHUA TREE」って言葉自体が、そっちですからね。

 そして‥‥反米感情みたいなものが強く表出し出したのも、この頃かなぁ。"Bullet The Blue Sky" っていうヘヴィな曲もその流れにある1曲と言えますよね。この渋いながらも魅力的な1枚の中でも、特に印象深いのはこの曲なんじゃないかな。これが "With Or Without You" と "Running To Stand Still" の間に挟まれている。それによって更に曲自体の「ヘヴィさ」と曲本来が持つ「重さ」を際立たせてるように映ります。

 そして‥‥初めてU2のライヴを観た横浜アリーナで、この曲を聴いた時の衝撃‥‥それがね。本当に忘れられないのよ。詳しくは映画「RUTTLE & HUM」、そして同名アルバムでのライヴテイクをご覧&お聴きください。

 凄くまっすぐで生真面目なバンド、U2。だからこそ‥‥その反動からきた'90年代のU2には腰を抜かしたわけよ。そして‥‥だからこそ信用できたんだよね、「人」として。



▼U2「THE JOSHUA TREE」(amazon

投稿: 2004 09 23 12:00 午前 [1987年の作品, U2, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/02

とみぃ洋楽100番勝負(14)

●第14回「Pride (In The Name Of Love)」 U2('84)

 俺にギターを持たせる切っ掛けを作ったのがエディ・ヴァン・ヘイレンなら、俺をバンドの道に進ませる切っ掛けを作ったのは間違いなくこのU2というバンドであり、そしてエッジというギタリストなんですよ。

 初めて耳にした曲は "Gloria" か "New Year's Day" で、初めて聴いたU2のアルバムは「WAR」なんですが、初めてバンド組んで音出したのは、実はこの "Pride (In The Name Of Love)" って曲なんですよ。俺ってハードロックとかメタルとかビジュアル系のバンドをやってたっていうイメージがあるみたいだけど、最初のバンドはU2やPOLICE、DURAN DURANのコピーバンドですから。これだけは力説しておきますね!

 その頃の俺はギターじゃなくてベースなんだけど(だって全員ボーカルかギターをやりたがって、結局はジャンケンで負けてベースですから)、やっぱりこの曲のギターを聴いてるとスッゲー気持ちいいわけですよ。当時ギターやってた奴が、これまた年齢の割りに結構上手い奴だったもんで(15才にしてLOUDNESSのコピーバンドとかやってたしな。それでいてTOTOみたいなのも好きだったという変わり者で)、周りはただただ足を引っ張るばかりでね‥‥ベースもドラムも思いっきり初心者。ボーカルは1オクターブ下で地声で唸るだけ。ま、俺等がデスメタルやゴシックメタルの「はしり」なわけですが(嘘)。

 あー、U2ってこんなポップな曲も出来るんだーって感動したのを凄く覚えてます。このアルバム、友達が買ったのをダビングしてテープが伸びるまで聴いて、高2の頃に秋葉原の石丸電気で輸入盤(当然LPでな!)を買って、ハタチ頃に安く再発された際にCDで買い直して‥‥U2はそんなアルバム、2〜3枚あるかな。

 高3の頃かな。2度目の来日公演の時、横浜アリーナまで足を運んで(ちなみに初横アリは、そのちょっと前にあったジェフ・ベックとかBAD ENGLISHとか出たイベント。初ジェフ・ベックに本気で失禁しそうになったよなぁ‥‥)この曲を初めて生で聴いた時には‥‥あー、ライヴで泣くってこういう事か‥‥って身を持って実感したわけですよ。名曲中の名曲。今のU2しか知らない奴、これ知らないとモグリですよ!



▼U2「THE UNFORGETTABLE FIRE」(amazon

投稿: 2004 09 02 12:00 午前 [1984年の作品, U2, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/11/03

U2『POP』(1997)

'97年初めにリリースされた、U2通算9作目のオリジナルアルバム(ライヴ盤を除く)、「POP」は古いファンの間では酷評されることの多い1枚なのではないでしょうか? その大きな理由として「テクノロジーを前面に打ち出して、初期の頃にあった熱さ(良さ)が薄れた」というのがあると思うのですが‥‥本当にそうなんでしょうかね? テクノロジーを前面に出す、イコール、熱さが薄れるとは個人的に思ってませんし、実はこのアルバムこそが'90年代の作品で最も「初期3部作(「BOY」「OCTOBER」「WAR」)」に近い色合いを持った作品集だと思ってるんですけどね。

けど、やっぱり一聴してその変化に驚かされた、ってのには同意しますよ。特にこのアルバムの場合はファーストシングルにもなった1曲目 "Discotheque" のインパクトが強烈でしたしね。PVを観たら更にビックリでしょうね。サウンドだけ聴いてれば確かにあのU2なんですよ。ドラムサウンドといい、あのキラキラしたギターフレーズといいカッティングといい、ボノのファルセット混じりの歌唱法といい‥‥けど何かが決定的に違う。サウンド・アレンジのせいなのか、妙な軽薄感が漂ってるんですよね。だからでしょうね、初期のディープなU2を愛する方々から敬遠されたのは。

でもね、楽曲としては本当によく出来たものばかりなんですよね。所謂「テクノ」の要素を見事に取り入れたダンサブルな "Do You Feel Loved" であったり "Mofo" であったり。特にこの頭3曲の並びは、過去のU2のどの作品と比べてもインパクトの面では1、2を争う出色の出来ではないでしょうか? 個人的には「THE JOSHUA TREE」に並ぶ出来だと思ってますよ。

その後もトリップホップ的、あるいはエレクトロニカなんかの影響すら感じさせる色合いを持つアレンジ曲が続々登場。勿論、従来のU2的な歌を聴かせる楽曲もある。前半の派手さと比べれば、後半‥‥特に "Miami" 以降の流れってかなり地味ですよね。この辺もこのアルバムが嫌われる要因のひとつかな、という気がしないでもないですが‥‥実は個人的に、この後半こそが「'90年代のU2の集大成・真骨頂」だと信じて疑わないわけです。ビョークだったりRADIOHEADだったりblurだったり‥‥そういった先鋭的なアーティスト達が21世紀に向けて試行錯誤していく中、U2は'97年初頭の時点でひとつの流れ/答えを導き出してるんですよ。テクノ/デジロック/ブレイクビーツ/トリップホップ/エレクトロニカ‥‥そういったダンスミュージックのフォーマットを流用して、尚かつ「そのもの」を模倣するわけではなく、あくまで「一聴してU2と判る楽曲」として完成させている点。初めて仕事をする外部のアーティスト/プロデューサーとの共同作業ながらも、決して「U2らしさ」を損なっていない(と、俺は感じている)。単なる「リミックス・アルバム」にはならずに、あくまで「U2としてのオリジナル・アルバム」として完成されているのは、正直さすがだと思いますね。

ダンスミュージックのフォーマットを流用して、と書きましたが‥‥決して「踊れる」アルバムとは言い難いのも、U2らしいというか。どちらかというとこのアルバム、リスニング向けかなという気がしないでもないですよね。前半にはクラブ仕様のアッパーな曲も幾つか用意されてますが、上にも書いたように "Miami" 以降の流れは確実に「フロア」という「ダンスに必要不可欠」な要素を無視したかのような作り/アレンジになってますし。この辺もまぁその後の「リスニング重視のテクノ」というひとつの流れを酌み取っているようにも思えるし、単に「ディープなU2」を重視したらそうなっただけなのかもしれないし‥‥まぁだからこそ俺は信用できたわけですよ、このアルバムを。特に本編ラスト3曲の並び‥‥ "If You Wear That Velvet dress" ~ "Please" ~ "Wake Up Dead Man" の流れは強烈ですよね。頭3曲の構成といい、ラスト3曲の構成といい、本当にこのアルバムの構成って考えて作られてるよな、と個人的に思うわけです。派手さと地味さ。けどそれらが全部地続きだという事実。「テクノ3部作」と呼ばれる'90年代のアルバム‥‥「ACHTUNG BABY」や「ZOOROPA」から地続きなのは当然として、実はファーストアルバム「BOY」からずっと地続きだという事実。このアルバムの本当の凄みは実は「古くから彼等を知っているファン」にこそ判り得るものなんじゃないか‥‥っていう気がするんですけどね。だからこそ、そういったファンからの評価が低いというのはとても残念でなりません。

U2は結局、続くアルバムではここで試したフォーマットを引き継ぐことはありませんでした。だからこそファンはこのアルバムを重要視してないんですよね‥‥今だからこそ、再評価の季節に来てるんじゃないのかな、と個人的には思うんですけどね‥‥



▼U2『POP』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 11 03 05:23 午後 [1997年の作品, U2] | 固定リンク

2003/08/15

U2『WAR』(1983)

自身の音楽人生に於いて『原点的存在といえる重要作品』を紹介していくという企画第三弾は、今やロック好きならその名を知らぬ者はいない程にまで巨大化してしまった、アイルランドが誇る不動の4人組、U2。巨大化してしまった後しか知らない人にとって、'80年代前半にリリースされた4枚のアルバムってどういう風に映ってるんでしょうか? まぁ数年前にその'80年代の代表曲をまとめたベスト盤も出たので、特にどうとか思わないのかもしれませんが、この自分にとっては‥‥勿論オールタイムで気に入っていますが‥‥この「WAR」というアルバムとの出会いが、その後の人生を変えてしまったと言い切っていい程、重要な役割を果たしてるんですよね。

というのも‥‥このサイトを観てくださってる人の中にはバンドをやってる(た)人って、少なからずいると思うんですよ。で、そういう人達、特に楽器を弾く人達に聞いてみたいんですが、皆さんはどういう切っ掛けでその楽器を手にしたのでしょうか? モテたいから? バンド始めたはいいけどそのパートしか残ってなかったから? 親に勧められて? 理由はいろいろでしょうけど、やはり大半の人達は「ある特定のアーティストに憧れて」っていう理由なんじゃないですかね? だって俺、そうだったもん。

小学生の頃、何となく友人の勧めでロックを聴き始め、ロックギターの格好良さに惹かれたものの、決して自らは手を出そうと思わなかった世界。何故なら俺、幼い頃からピアノだのエレクトーンだのといった鍵盤楽器を習ってたんですよ。だから最初はそっち(ピアノとかシンセの音ね)に惹かれてた部分が大きかったんですよね、ロックの世界って。けど、そんな俺にも転機が訪れまして‥‥エディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALENのギタリスト)との出会いです。彼のプレイに耳を疑い、そして実際に弾く姿(PV)にヤラれ。「ロックギターってメッチャカッコイイじゃんか!」と。で、手を出すわけですよ、ギターを持ってる友人の家で。まぁ当時はフォークギターでタッピングやらライトハンド奏法の真似事をするわけですが、当然あんな風に弾けるはずもなく。小学生の少ない小遣いでバンドスコアを買ってきて、弾ける奴にタブ譜の読み方教わったり、コードを教わったり‥‥で、敢えなく挫折。ま当たり前の話ですが。

その後、ギターを弾く真似事は暫く控えるようになるわけですが‥‥このバンド、このギタリストとの出会いがまたまた俺を悪の道へと引きずり込むわけですよ。そう、それがU2であり、そこのギタリストであるエッジなわけです。

初めて本気で「こういう風なギターが弾きたい。弾けるようになりたい」と思わせたのがエッジ。見た目の格好良さとか派手さではなく(=エディ・ヴァン・ヘイレン)、その音色だとか和音に惹かれたわけ。で、その手ほどきをしてくれたのが、「WAR」だったと。

今聴けば、もう単純にギターの格好良さだけでなく、ドラムの音色や迫力だったり、若き日のボノのシャウトだったり、曲の若々しさ・熱さだったり、そういった「惹かれる」要素は沢山あるわけですが、もう10代前半の自分にとっては「カッティングやコードストロークの格好良さ、音色・ハーモニクスの綺麗さ、曲によって挿入されるアコギの格好良さ」が全てだったわけ。だってさ、ロックアルバムで「ああ、アコギが入るとこんなにカッコイイんだ」って初めて思わせてくれたの、ROLLING STONESじゃなくてU2でしたからね、自分にとっては。そのくらい、その後自身で音楽を作る上で非常に重要な要素になったアルバムなんですね。その後、ストーンズやらAEROSMITHのアルバムにもそういったアコギの要素を再発見して、おおっ!って唸るようになったりで、そういう事に気づかせてくれた大切な存在でもあるわけですよ。

勿論、曲のカッコ良さは言うまでもないですよね。いきなり"Sunday Bloody Sunday"ですからね。って俺、この曲のカッティングやストロークにヤラれたのが切っ掛けなわけですが。いや、違うな‥‥最初はあれか、1枚前のアルバムに入ってた "Gloria" のPVでか? どっちだったかなぁ‥‥まぁいいや。とにかく何かの切っ掛けでU2という名前を知って、このアルバムに手をだした、と。最初はレンタルレコードだったわけで、当然アナログレコードからカセットテープにダビングしたものを聴いてたわけです。で、数年後に輸入アナログ盤を買って、更に数年後にCDも買って‥‥ってGUNS N'ROSESじゃないけど、何度か買い揃えてるわけですよ。アナログとCDとで持ってる作品ってそんなにないけど‥‥ガンズのファーストと、エアロの「LIVE BOOTLEG」と、DURAN DURANの「ARENA」と、ブルーハーツのファースト、尾崎豊の「回帰線」、それとモーニング娘。のベスト盤くらいか(‥‥って最後のは蛇足だけどな)。

脱線、脱線。アルバムの内容だったね。というわけでアルバム1曲目はそういうわけで文句なし。2曲目の"Second"も独特な重さとメロの冷たさがいい感じで、これまたアコギがカッコイイ。3曲目"New Year's Day"も言うまでもない程の名曲。ピアノのフレーズ、よく真似したなぁ。で、そのバックにフェードインしてくるカッティングがまた絶妙に格好良くて。アームバーを使ったあのギターソロもコピーしたよなぁ。俺、ギターに付いてるあのアームってやつ(「ってやつ」って)、使わない派なのね。初めて買ったギターはストラトだったから付いてたけど、ガキの頃に真似事で使っただけで、その後は外してたし。それから買ったギターって全部アームが付いてないやつばっかり。テレキャスターでしょ、レスポールでしょ、SGでしょ。自分が「生涯一リズムギタリスト」っていう信念があるもんだからね。いや、ソロを弾いたりもするんですが、どうしてもリフやバッキングを弾いてる時の方が数倍気持ちいいわけで。ギターがもうひとりいるバンドだったら、そいつが弾くリフやバッキングと違うことを弾いたりという。そういうのが好きなのね。

‥‥ってまた脱線してるし。っていうか何時から全曲解説になってるんだ、これ。危ないアブない。とにかくその後も熱い疾走チューン"Like A Song..."や"Two Hearts Beat As One"だったり、アイリッシュ特有の暗さ・冷たさなのかどうかは判りませんが、とにかくそういう色を感じさせる"Drowning Man"や"Red Light"、"Surrender"だったり。ちょっと彼等にしては風変わりな"The Refugee"だったり、当時のライヴではかならずラストに演奏されていた隠れた名曲"40"だったり。10曲中10曲がどれも思い出深いものばかり。ホントによく聴いたなぁ、歌詞の意味も判らずに。

アルバムタイトルから、このアルバムは『戦争(=北アイルランド紛争)』について歌われているのかな、なんて思った時期もあったのですが、後に読んだインタビューでボノは「(このアルバムは)国vs国、宗教vs宗教といった大きな争いだけではなくて、もっと個人レベルの‥‥恋愛についてだったり、家族についてだったり、人間の内なる葛藤についてだったり、そういった身近にあるレベルの争い、そういった全てのことについて歌ってる」というようなことを語っていたと記憶してます。確かに"Sunday Bloody Sunday"みたいな直接的な歌もあるんだけど、それだけじゃない。もっと深い意味を持つ曲もある。(今、ふとアルバム付属のライナーノーツに目をやる)あ、書いてあるじゃん、アルバムタイトルの意味について。全く同じようなこと書いてるわ。あ、もしかしてこのライナー読んでそれを記憶してたのか? ま、どっちでもいいや。そう、俺が言いたかったのは「このアルバムのタイトルは『WAR』、もしくは『LOVE』にしようと考えていた」っていう、ボノの言葉ですよ。戦争と愛、LOVE & HATE、それらは表裏一体なもの。だからこそこのアルバムには熱さや力強さの中から、優しさをほんのりと感じるわけ。そしてそれこそがU2の持ち味なわけですよ。今も昔も変わらず、ねっ?

だいぶ長くなっちゃいましたが‥‥それだけ俺にいろんなことを教えてくれた、大切なアルバム。今でもU2の中ではこのアルバムが1,2を争うほどに好きなのね。気づけばリリースから20年も経ってしまったわけですが('83年リリースだしね。ってことは、既に彼等と出会って20年も経ってしまったというわけか‥‥そりゃそうだ、当時このアルバムと出会った頃はまだ小学生か中学生だったわけだしね)、全く色褪せない力強さと優しさ、そして作品としての素晴らしさにはただただ感服するばかり。もっとも、彼等のこれ以降の作品はどれもそういうものばかりですけどね。

‥‥あーやっぱり自身の原点や歴史を語ろうとすると、長くなっちゃうもんですね。最近は意図的に短く、短くまとめてるつもりなんですが‥‥このサイトを始めた頃って、全部こんな長文だったんですよね。ああ、昔に戻ったみたいだわ。つうか自身に制限とか設けないと、ホントにこの調子ですからね。このシリーズ、毎回こんな感じでいこうかしら?(読む方は大変だろうけどね!)

あ、最後に。このアルバムの音・世界観が気に入った人は、是非彼等のライヴアルバム(「WAR」ツアーで録音されたもの)「LIVE "UNDER A BLOOD RED SKY"」も聴いてみてください。初期の4ピースバンドとしての、最高に輝いていたU2を余すことなく収めているんで。まぁもっとも、俺は当時のライヴは観れてないので、実際にはもっと凄かったとは思うんですけどね。最近('90年代以降)の彼等しか知らない人にこそ是非触れて欲しいアルバムですね、「WAR」とそのライヴ盤は。



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投稿: 2003 08 15 05:20 午後 [1983年の作品, U2] | 固定リンク

2002/11/14

U2『THE BEST OF 1990-2000』(2002)

U2のセカンド・ディケイドを総括したベストアルバム「THE BEST OF 1990-2000」。最初の10年('80年代)をまとめた「THE BEST OF 1980-1990」がリリースされてからもう4年、あの時はまだこのサイトを制作途中で、作業しながらよく聴いていたのを昨日のことのように思い出します。U2というバンドは自分にとって常に2番手、3番手的存在で、決してナンバーワンになることはないバンドでした(しかしながら、自分が最初にやったバンドではU2をコピーしていましたが)。そんなU2ですが、やはり曲を聴けばその曲がリリースされた頃、流行った頃の自分のことを思い出し、ああ、もうそんなに時間が経ったんだ、と感慨深くなったりします。特に自分にとっては、前回のベスト盤よりもこっちに入ってる曲の方が思い入れが強いんですよ。

アルバムとしては'91年秋の「ACHTUNG BABY」、'93年夏の「ZOOROPA」(この年の12月に東京ドームでライヴ観ました)、'97年初頭の「POP」、'00年秋の「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」の4枚からで、確かに最初のベスト盤に比べれば選択肢は少ないですが、その分1曲1曲の密度はかなり濃かったりします。更にアルバム未収録だった"Hold Me, Thrill Me, Kiss Me, Kill Me"や、U2名義ではなくPASSENGERS名義での"Miss Sarajevo"も収録されていて、個人的には面白いな、と思ってます。

さて、簡単に各曲の解説や思い出話などを‥‥


M-1. Even Better Than The Real Thing
アルバム「ACHTUNG BABY」から、4枚目のシングルとしてリカット。当時のツアー「ZOO TV TOUR」及び「ZOOROPA TOUR」でも頭の方(確か3曲目)に演奏されていた印象深い曲。確かライヴではキーを下げて演奏してたんだよね。U2独特の「黒っぽさ」に当時のテクノロジーをアレンジに取り入れたバンドの演奏がかっけー。10年以上経った今聴いても古さを感じないんだよね。

M-2. Mysterious Ways
「ACHTUNG BABY」からのセカンドシングル。アメリカではアルバムと同時期にリリースされて、トップ10入りしました。U2が当時流行のグラウンドビート(SOUL II SOUL等でお馴染み)を取り入れたダンスチューンってことで当時話題になりました。この点に違和感を感じた人が多かったようですが‥‥そんなに変ですか?? 純粋にいいメロディを持ったいい曲。何故そんな評価をしてくれなかったんですかね、当時。勿論、'80年代の「熱い/戦うU2」というイメージを覆す楽曲だとは思いますが、自分は普通にその変化に着いていくことが出来ました。何故でしょうか‥‥そこまで思い入れが強くなかったから? いや、そんなことはないです。俺、「ACHTUNG BABY」ってアルバム、U2の中でも1、2を争う程に好きなんだよね。恐らく「WAR」か「ACTUNG BABY」か、って感じだと思います。バンドをやってきた身としては、統一したスタイル/音楽性で何十年も続けるバンドもカッコイイとは思うけど、U2みたいに根本にあるものは変わらずにいろいろなことに挑戦するバンドの方が憧れるのかもしれませんね。

M-3. Beautiful Day
ついこないだ出た曲って印象でしたが、もう2年も前になるんですね。現時点での最新オリジナルアルバム「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」からのファーストシングル。この曲を聴いた時はちょっと感動でしたね。U2なりの「It's only rock'n'roll, but I like it.」って想いを聞かされたようで、胸に込み上げる熱いモノを感じたりして。当時は「テクノロジー3部作」を経て、いよいよU2はロックンロールアルバムに着手した、なんて噂もありましたが、確かにその通りなんですが、そこはU2。我々の予想をいい意味で裏切ったアルバムでしたね。'80年代の彼等が好きだった人達はこのアルバムをどう感じ、聴いたのでしょうか?

M-4. Electrical Storm (William Orbit Mix)
このベスト盤の為に録音された2曲の新曲のうちのひとつ。先行シングルとしてもリリースされています。エレクトロニック・ミュージック界では孤高の存在であるウィリアム・オービット(ロック系ではBLUR「13」のプロデューサーとして有名)をプロデューサー&キーボーディストとして招いて作られたこの曲は、ちょっと初期の彼等っぽい「冷たさ」が前面に出たアレンジになってます。'90年代の作品もヨーロッパテイストが強い作風でしたが、これはそれとも違う作風で‥‥ウィリアムを起用したことに起因するのでしょうけど、ギターと同じくらいシンセが前に出てます。ダンスビートはここには皆無で、ある種環境音楽的なサウンドともいえます。エレクトロニカ??‥‥ううん、全然そういうのとは違う、独特なエレクトロニック臭が漂ってます。けど、腐っても鯛、U2はどこまでいってもロックバンドですよ。

M-5. One
「ACHTUNG BABY」からのサードシングル。PVが2種類あることでも有名、かな? とにかく名曲。これで感動できない奴は、人間を1からやり直し。当時のツアーでもハイライト部で演奏されてました。ダンスビートやエレクトロニックサウンドを取り入れたアルバムの中でも、比較的'80年代の路線に近い大陸的なノリで、この曲や"Mysterious Ways"が同じアルバムに並んでいる点からも、如何にU2というバンドが「近代的なアレンジを施しながらも、純粋に『いい曲』を作ろうとしていた」かが伺えると思うんですが‥‥個人的にはこの曲がヒットしていた頃、丁度イギリスに短期留学していて、よくMTVやラジオで流れていたのを思い出します。

M-6. Miss Sarajevo
'95年秋にリリースされた、U2とブライアン・イーノ(U2の諸作プロデューサー)のユニット・PASSENGERS唯一のアルバム「ORIGINAL SOUNDTRACKS 1」からのシングルナンバー。オペラ界の重鎮、パバロッティがゲスト参加しています。確か当時、U2はPASSENGERSに対し「U2として捉えると、若いファンが落胆するであろう作風なので、プロモーションにはU2の名を使わないで欲しい」と通達していたはずだけど‥‥結局はこれも「U2の歴史」として捉えることにしたのでしょうか。ま、ホントいい曲なので入れない手はないわな。

M-7. Stay (Faraway, So Close!)
「ZOOROPA」からのセカンドシングルとしてリカットされたヒット曲。この曲はヴィム・ヴェンダースの映画「時の翼にのって/ファラウェイ・ソークロース!」のテーマソングとしても起用されています。PVでは映画のシーンも挿入されて、またバンドが映画に出演してるかのような錯覚さえ与える作りになってます。作風的には前作で大ヒットした"One"の続編的作品といえなくもないですが、こっちの方がもっとヨーロッパ色が強い、影のようなものを感じさせます。サビでのエッジの合いの手的コーラスが如何にもU2って感じで素敵です。「ZOOROPA」の中で一番好きな曲ですね(一番普遍的な、普通の楽曲とも言えますが)。

M-8. Stuck In A Moment You Can't Get Out Of
「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」からのサードシングル、ということでいいのでしょうか?(「Elevation」は映画サントラ曲ですけど、一応セカンドシングルってことで)再びU2がゴスペル的要素を持ち出した感動的楽曲。「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」は'80年代U2の良い部分と、90年代U2の良い部分をそれぞれ持ち出し、更に同時代的な要素も新たに加えた単なる集大成的内容になってない点が素晴らしいのです。決して「U2が再び初期のロック路線に戻った」から歓迎されたのではないんですよ‥‥と、一部の勘違いファンに言いたいですね。

M-9. Gone (New Mix)
「POP」のアルバムトラック。シングルカットされたって記憶はないんだけど。いや、されてないはず。このアルバム用に新たなミックスで収録されています(追加プロデュース&ミックスを、MANIC STREET PREACHERS等でお馴染みのマイク・ヘッジスが担当)。かなりダークで地味な印象の強い「POP」の中でも、よりダークな部類に入るこの曲を、何故にここに収録したのかは不明ですが(他にも入れるべきシングルヒットがあるのにも関わらず)、こうやって新たなミックスで収録されたこの曲をこの流れで聴くと、そんなに地味な印象を受けないんですよね。確かにダークですが、独特な「熱さ」が感じられる演奏と歌なんですよね。そうか‥‥「POP」で聴くと地味だった、という印象を拭う為にここに再登場させたのか‥‥って思える程、選曲の意図がちょっと判らなかったりしますが、ここに入ったお陰でこの曲に対する印象が変わりました。今はかなり気に入ってます。

M-10. Until The End Of The World
「ACHTUNG BABY」のアルバムトラック。これもシングルカットはされていないものの、先述の"Stay (Faraway, So Close!)"同様、ヴィム・ヴェンダースの同名映画(邦題は「夢の涯てまでも」)主題歌として起用されています。U2が主題歌やってるってんで、この映画見に行った記憶があるんだけど‥‥内容が思い出せない‥‥独特なリフが印象的な、かっけーミドルナンバー。「ACHTUNG BABY」の楽曲はどれも、ローキーで抑え気味に唄うボノという印象が強いですね。それまでの「熱く叫ぶイメージ」とは真逆ですし。そういった点も過去のファンから敬遠される理由となったのでしょうか?

M-11. The Hands That Built America
このアルバム用の新曲2曲のうちのもう一方は、映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」の為に作られたもの。この春にオフィシャルサイトにて新曲の制作過程をネット中継するという試みがあったけど、その時に作られていたのがこの曲。こちらもプロデュースはウィリアム・オービット。バンドの演奏にストリングスやマリンバが加わり、更にその上にウィリアム得意のシンセサウンドを被せるという、独特な作品になってます。マリンバが使われている点やコード進行がちょっとROLLING STONES "Under My Thumb"に似てなくもないですが、これも静かに流れていき徐々に盛り上がっていくという、以前の彼等とは一線を画するタイプ。

M-12. Discotheque (New Mix)
「POP」からの先行シングルで、当時トップ10ヒットを記録。VILLAGE PEOPLEのパロディ的なPVも当時話題になりました(あのU2が真顔であんなことを‥‥っていう驚きが強かったかな)。この曲はある種のファンにとっては「悪しき存在ナンバー1」なのではないでしょうか。とにかく「POP」というアルバムがファンにあまりいい印象がないのは、この曲のイメージが強いからでしょうね(しかしながら、こういったタイプのディスコチューンはこれ1曲だけなんですけどね。ま、それだけ印象が強かったってことでしょう)。この曲もベスト盤ように新たなミックスで収録されているのですが‥‥これがビックリするようなバージョンになってます。これ、知らない人が聴いたらこっちがオリジナルバージョンで、「POP」に収録されている原曲の方をリミックスと勘違いするんじゃないかな? ドラムビートは生ドラムを前面に出し(というよりも「POP」では打ち込みと同期してたリズムを今回ちょっといじっただけなんだろうな、これ)、ボーカルエフェクトを抑え、よりロック色が強いアレンジに作り直してるんだわ。オリジナルバージョンも好きだったけど、こっちも十分にかっけー。でね、この新しいミックスで聴くと、曲の骨格がよく見えるんだわ。勿論オリジナルの方でも十分に気付いてはいたけど、このロックバージョンの方で聴くと‥‥それ以前のU2と何ら変わってないんだわ、根本の部分。そこまでたどり着かずに苦手意識を持って接した人達が、「POP」というアルバムを敬遠していったんだろうね。このベスト盤一番の収穫。それは「POP」アルバムの再評価だったのではないでしょうか?

M-13. Hold Me, Thrill Me, Kiss Me, Kill Me
'95年公開の映画「バットマン・フォーエバー」主題歌として当時大ヒット。これまでオリジナルアルバムには未収録だったナンバー。「ZOOROPA」から「POP」への橋渡し的作品として当時注目されたものです。何せプロデューサーの名前にみんなビックリしたもんな。かのネリー・フーパーを起用ですから(SOUL II SOULの主要メンバーで、後にBJORK等を手掛けるヒットメイカーに)。そのままアルバムも手掛けるものと思ってたら、「POP」ではハウィー・Bですからね。ミドルテンポのヘヴィなリフにストリングスという観点からLED ZEPPELIN "Kashmir"を彷彿させる、ちょっとそれまでのU2とは毛色の違うタイプじゃないでしょうか。だってU2とZEPってイマイチ結びつかないもん。軽めに唄うボノのボーカルにラジオボイスのエフェクトがかけられ、更に軽薄な空気を作ってますが、演奏は本当にヘヴィなんだよね。「POP MART TOUR」でも演奏されていたことから、やはり彼等にとって大きなターニングポイントとなった1曲なのかもしれませんね。

M-14. Staring At The Sun (New Mix)
「POP」からのサードシングル(セカンドだったっけ? "Last Night on Earth"とどっちが先にリカットされたんだっけ??)として当時ヒットした曲。今やこの曲のイントロが流れただけで「ガチンコ!」の絵図らとナレーションが頭に浮かんでしまうという、困った存在に。しかしながら、当然のように名曲なんですけどね。「テクノロジー3部作」には毎作かならず「歌モノの名曲」が1曲収められていますが("One"であったり"Stay"であったり)、これもその流れにある曲でしょう、アレンジこそ現代的ですが。この曲も含めて「POP」収録曲は今回全てニューミックスで収録されています。決してU2がこのアルバムを気に入っていないからではなく、ファンの間での評価が低いこのアルバムからの楽曲に新しい服を着させて、違った印象を与えよう‥‥そうい意図の元に今回のリミックスが行われたのではないでしょうか? そしてその構想は次の曲にも言えることなのですが‥‥

M-15. Numb (New Mix)
「ZOOROPA」からのファーストシングルで、リードボーカルをギターのエッジが取った1曲。より実験的要素が増した「ZOOROPA」を象徴する1曲だけど‥‥当時思ったのは「何でアルバムからの1発目のシングルに、エッジが唄うこの曲を選んだのか?」ってことでして‥‥その疑問は今でも解けたわけでもなく。ま、アルバムの内容が実験的なら、シングルの選曲も実験的にいこうってことになったのかもしれないし。エッジの抑揚がない唄い方が特徴のこの曲、そこに被さるボノのファルセットが対照的で、機械的な冷たさがあったり、人間的な温もりを感じ取れたり。当時はそんなに好きな曲でもなかったんだけど、こうやって聴くと意外と悪くない。この曲も「POP」からの楽曲同様、そういった印象を拭い去るためにか、新たなミックスで収録されてます。ボーカルトラックをいじることによって、よりソウルフルな印象を受けます。‥‥そうか、これって所謂「プラスチック・ソウル」((C)デヴィッド・ボウイ)だったのか‥‥!!と、今頃気付いてみたりして。SMチックなこの曲のPVを、当時の彼女と「なんかエロだね?」とか言いながら観てたことを、今急に思い出しました‥‥時の流れってやつは残酷なもんですね‥‥ええ。

M-16. The First Time
「ZOOROPA」からのアルバムトラック。ボーナストラックを除けば、アルバム本編はここで終了となります‥‥「THE JOSHUA TREE」からの流れと、デビュー時から持っていた色との融合、そこに重なる「今」の音‥‥寡黙ながらも「U2の今」を象徴する作風となってます。アルバム中特に重要な曲というわけではなかったはずですが、こうやってこの位置にこの曲を持ってこられると、何かとても深い意味があるのでは‥‥と思えてきます。前のベスト盤が "All I Want Is You"という楽曲で終わっていた作風(正確にはその後に、シークレットトラックとして "October"があるのですが)と対を成させる為に選曲されたのかもしれません。そういえば「ZOOROPA」からは、アルバムを象徴するような "Zooropa"や"Lemon"といった曲が取り上げられませんでしたが、それはバランスを取るためだったのでしょうか。ちょっと残念です(その分、ボーナスディスクの「B-SIDES」にはその辺の曲が入ってますけどね)。

M-17. The Fly
「ACHTUNG BABY」からの先行シングル。このベスト盤では日本盤とイギリス盤にのみボーナストラックとして収録されています。ホント、何でこの重要な曲が選択されなかったのさ?って疑問に思ってたんだけど、この曲は当時アメリカではヒットしなかったんだよね、残念ながら(確かシングルとしてリリースされたのは日本とイギリスだけだったんだっけ? アメリカではラジオプレイの成績のみでビルボードの下位にランキングしたんだっけか?)。そういうこともあって、アメリカ盤未収録なのでしょうね。良くも悪くもこの1曲でその後のU2の路線が決まってしまったようなもんですからね。テクノのように反復されるギターリフ、リズムはあくまでダンサブルに、しかし曲自体はシンプルなロックンロールだったりする、そして歌はどことなくゴスペルの香りがする(サビの部分でのボノ&エッジによる掛け合い等)‥‥「ACHTUNG BABY」を象徴する1曲であり、それまでのU2のイメージを見事にぶち壊した記念すべき曲なのですよこれは。へっ、当時はどう思ったかって?? そんなの、一発で気に入ったに決まってるじゃないか! これを一聴してそのカッコよさを理解できない奴なんているのかな? 当時のツアーでは "Zoo Station"に続いて2曲目に演奏されていた、ライヴでも重要な曲。そしてボノに新たなキャラクターを与えた曲でもあります。


というわけで長々と全曲解説をしてしまいましたが、全てを通して言いたかったこと、それは「'90年代のU2は誤解され過ぎている」ってことです。随分前から自分の周りにも「『WAR』とか『THE JOSHUA TREE』は好きなんだけど、ねぇ‥‥」という声があったし、「POP」の頃なんて散々でしたからね。実は、このサイトを始めた頃に、最初のベスト盤と「POP」を取り上げることで「結局U2のやってることは何も変わってないんだよ!」ってことを力説しようと企ててたのですが‥‥見事に頓挫しました。というわけで、このベスト盤も出たことですし、ここらでちゃんとリベンジしておかなければ‥‥と考え、こんなに長編大作なレビューを書いたわけです。

じゃあ、そのU2の「ずっと変わってない根本の部分」って何??って思うでしょ。お答えしますよ、ええ‥‥それは「自己の矛盾と戦っていくこと」ですよ。勿論楽曲的にはスタイルやアレンジこそ時代によって変化していったものの、楽曲の根本にあるものは何も変わってないし、そういった思想的な面でもいろいろ騒がれながらも、俺は何も変わってないのでは‥‥と思うのです。

「POP」というアルバムの中に、"Please"という曲があります。シングルカットもされていますが、残念ながら今回はこのベストに収録されませんでした。しかし、この1曲こそがその「何も変わっていないU2」を端的に表した楽曲なのです。それは楽曲的にもそうですし、唄われている内容についても同じことが言えると思います。俺がそのことに気付いたのは、アルバムを最初に聴いた時ではなく、それから数ヶ月経った後に観た「MTV MUSIC AWARDS」でのこの曲のライヴででした。今売られている「POP MART TOUR」のDVDを観てみるといいですよ。この曲がかなり重要なポジションを占めているのですから(しかもこの曲からそのまま地続きで名曲 "Where The Streets Have No Name"に繋がっていくのですから、もうそれだけで必見ですよ)。まだ観てない人、このベストで彼等に興味を持った人は是非チェックしてみてください(あ、そういえばこのベストの初回盤にはボーナスDVDが付いてて、そこに "Please"のライヴ映像が収められてるんだった。残念ながら "Where The Streets~"に行く前に終わっちゃうけどね)。

というわけで、誤解されまくりのU2。R.E.M.やRADIOHEADやNINE INCH NAILSやAEROSMITH、BON JOVI、ROLLING STONESにさえも影響を与え続けている、恐らく現役のロックバンドの中でも最高に画期的な存在なのではないでしょうか? これから聴いてみようという人には本当ならオリジナルアルバムに手を出して欲しいところですが、まぁ入門編としては十分な内容かと思います。新曲もいいですしね。ベスト2枚共買って、その音楽的成長を聴き比べてみるのもいいのではないでしょうか。



▼U2『THE BEST OF 1990-2000』
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投稿: 2002 11 14 05:29 午後 [2002年の作品, U2] | 固定リンク