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カテゴリー「U2」の21件の記事

2021年3月 3日 (水)

ALICE COOPER『DETROIT STORIES』(2021)

2021年2月26日にリリースされたアリス・クーパーの28thアルバム(ALICE COOPER BAND時代含む。ソロ名義では21作目)。

豪華ゲストが多数参加した『PARANORMAL』(2017年)から約3年半ぶりのフルアルバムではありますが、その間にHOLLYWOOD VAMPIREの2ndアルバム『RISE』(2019年)や、今作の前哨戦となるEP『BREADCRUMBS』(2019年)も発表しているので、このご時世にしてはかなり短いスパンで新作を届けてくれたことになります。老いてなおご盛ん、素晴らしいことです。

今作は『BREADCRUMBS』で実践したことの集大成と呼べる内容で、作風的には『PARANORMAL』以降……いや、HOLLYWOOD VAMPIRE以降と言ったほうが正しいでしょうか。とにかく、ここ10年くらいの音楽活動の総決算と呼ぶにふさわしい、アリスの“Back to roots”的な1枚。60年代後半から70年代前半のALICE COOPER BAND時代を思わせる、ポップでパンキッシュ、なのにソウルフルなフィーリングも含まれたゴリゴリのガレージロック満載で、80年代末の“再ブレイク”期以降なら『THE LAST TEMPTATION』(1994年)あたりが好きなリスナーなら一発で気に入る仕上がりです。

プロデュースを手がけたのは、『PARANORMAL』『BREADCRUMBS』と3作連続のボブ・エズリン。レコーディングには『BREADCRUMBS』にも参加したウェイン・クレイマー(G/MC5)やポール・ランドルフ(B, Vo/JAZZANOVA)、ジョニー“ビー”バダニェック(Dr/MITCH RYDER & THE DETROIT WHEELS)に加え、ALICE COOPER BANDのオリジナルメンバーでもあるデニス・ダナウェイ(B)、ニール・スミス(Dr)、マイケル・ブルース(G)、さらにはジョー・ボナマッサ(G)やマーク・ファーナー(G/GRAND FUNK RAILROAD)、スティーヴ・ハンター(G)、ラリー(Dr/U2)など近作にも参加したお馴染みの面々が顔を並べています。豪華さが相変わらずなのは、きっと「アリス・クーパーのアルバムになら参加したい!」という仲間がそれだけ多いってことの表れなんでしょうね。

全15曲の収録曲の中には、『BREADCRUMBS』で既出の4曲や昨年先行リリースされた「Hanging On By A Thread (Don't Give Up)」も含まれていますが、オープニングを飾るTHE VELVET UNDERGROUNDのカバー「Roc & Roll」からラストの「East Side Story」(『BREADCRUMBS』収録のBOB SEGER & THE LAST HEARDカバー)までトータル50分があっという間に感じられるほど心地よく楽しめるんですよね。2〜3分台のシンプルなロックンロールが中心というのも大きいのでしょうけど、狙い過ぎずに自然な形で先祖返りすることをアリス本人が楽しんでいるのも作用しているのかな。それでいてマンネリ化せず、ちゃんと新作としてのクオリティも維持しているのは、さすがの一言です。

もはやアリスに「Poison」や「Hey Stoopid」のような楽曲を求めないけど(ライブではこれらの曲もちゃんと聴けますしね)、「Under My Wheels」や「Shool's Out」みたいな新曲は求めてもいいよね?……そう言いたくなる、“アリス・クーパーがアリス・クーパーであることをしっかり引き受けた”良作です。

 


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2021年1月19日 (火)

U2『BOY』(1980)

1980年10月にリリースされたU2の1stアルバム。

1979年9月に初のEP『THREE』を発表し、続いて1980年に『ANOTHER DAY』『11 O'Clock Tick Tock』と2枚のシングルをリリースしたU2。この『11 O'Clock Tick Tock』ではFactory Recordsの取締役にしてJOY DIVISIONなどのプロデューサーとして知られるマーティン・ハネットがプロデュースを担当しており、続く1stアルバムも彼がプロデュースを手がける予定でしたが、イアン・カーティス自殺が深い影を落とし、制作直前にスティーヴ・リリーホワイトへと交代することになります。しかし、この交代劇がのちのU2快進撃へと大きな影響を与えることとなるわけです。

デビューアルバムにも関わらず、すでに初期U2の世界観が見事な形で完成/表現。スティーヴのプロデュース&ミックスによる特徴的なサウンドプロダクションも、このU2サウンドの確立にかなり大きな影響を与えていることが、特に本作のデラックス・エディションのボーナスディスクに収録された“『BOY』以前”の楽曲群と比較することでより明確になります。

パンク/ニューウェイヴ以降の“ネクストステップ”を示しつつ、ダブリン出身のバンドらしい(といっていいのかな?)仄暗さや湿り気を持ったメロディが、雷が落ちるかのような衝撃を与えるサウンドメイクと合わさることで、唯一無二のスタイルを作り上げている。「I Will Follow」で示されるストレートなロックサウンドや、「The Electric Co.」で見せる“パンク以降”のスタイル、さらには「Twilight」や「An Cat Dubh」などのミドルチューンで表現されたテイストなど、先に述べたように初期U2のスタイル/世界観はこの1作目で早くも固まったといっても過言ではありません。

本作以降、特に3作目『WAR』(1983年)以降のU2を知っている耳で聴くと、確かに未熟さも目立つ1枚かもしれません。が、本作がなければ『WAR』はなかったわけで、ここで早くも第1章の幕開け&完結を届けられたからこそ、彼らの貪欲な音楽探求の旅は果てしなく続いていったわけです。そういった意味でも、本作が果たした役割は想像以上に高いものがあるのではないでしょうか。

個人的には、本作における推し曲は「The Electric Co.」かな。後にも先にも、ここまでパンキッシュに攻めるU2は見られないですし、特に同曲はイントロを拡張させたライブバージョン(2ndアルバム『OCTOBER』デラックス版やライブアルバム『LIVE: UNDER A BLOOD RED SKY』に収録)が最高にカッコいいので、ぜひ合わせてチェックしてもらいたいです。

 


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2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2020年4月27日 (月)

MICK JAGGER『GODDESS IN THE DOORWAY』(2001)

2001年11月に発表されたミック・ジャガーの4thソロアルバム。

ソロ名義では前作『WANDERING SPIRIT』(1993年)から8年9ヶ月ぶりのアルバム。同作以降、THE ROLLING STONESとして『VOODOO LOUNGE』(1994年)『BRIDGES TO BABYLON』(1997年)と精力的な活動が続き、それに伴うワールドツアーも大々的に行われていたので、ミック個人としてもアク抜き、もしくはインプットの意味でこのソロアルバムを制作したのでしょう。

ビル・ラズウェルやナイル・ロジャース(1st『SHE'S THE BOSS』)、デイヴ・スチュワート(2nd『PRIMITIVE COOL』)、リック・ルービン(3rd『WANDERING SPIRIT』)と毎回旬のプロデューサーを迎えて制作してきたソロ作ですが、この『GODDESS IN THE DOORWAY』ではストーンズでの仕事で知られるマット・クリフォード、AEROSMITHオジー・オズボーン、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルなど幅広いアーティストを手がけるマーティ・フレデリクセンとミック自身の3人による共同プロデュースで制作。楽曲の大半はミック単独で書かれたものですが、数曲でマット・クリフォードと共作、さらにロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)、レニー・クラヴィッツ、ワイクリフ・ジョン(THE FUGEES)ともコラボしています。

前作がナマ感の強いバンドサウンドを軸にした作風だったのに対し、今作では曲ごとにバンドサウンドや打ち込みをセレクトした初期の路線に回帰。ただ、ポップス色濃厚だった『SHE'S THE BOSS』とも異なり、ゴスペルやソウル、ラテンなどのルーツミュージックを現代的に解釈した作風の、比較的地味な楽曲が揃った1枚に仕上がっています。

そういった意味では、過去3作と比較すると非常に肩の力が抜けているのが明確な作品かもしれません。それが、先のアク抜きにもつながり、ルーツミュージックの現代的解釈(および、さまざまなアーティストとのコラボ)がインプットになったのかなと。つまり、本作はアーティストとして制作することに意味を見出す、リスナー視点では評価の難しい1枚とも言えるでしょう。

もちろん、ミックが作っているんですから悪いわけがない。平均点以上の仕上がりですし、こちら側も今まで以上にリラックスして聴くことができる作品だと思います。でも、視点を変えると“アクの弱い”アルバムとも言えるわけでして。確かに、先のロブ・トーマスやレニー・クラヴィッツに加え、ボノ(U2)やジョー・ペリー(AEROSMITH)、ピート・タウンゼンド(THE WHO)といった豪華ゲストも多数参加しています。でも、そういったスタープレイヤーの華やかさが表出した作風というわけでもなく、過去のソロ作と比較してもどうにも影の薄い1枚とも言えるわけでして。

ライトリスナーにはオススメはしないけど、ストーンズファンなら聴いておいて損はしない。そんな1枚かもしれません。まあミックのソロに手を出すなんて、確実にストーンズにヤラれた人以外いないでしょうから(偏見です)。

 


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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2019年7月13日 (土)

U2『RATTLE AND HUM』(1988)

1988年10月にリリースされた、U2通算6作目のオリジナルアルバム。

本作は同年劇場公開された同タイトルの映画(邦題は『U2/魂の叫び』)のサウンドトラック的位置付けの内容で、映画自体は前作『THE JOSHUA TREE』(1987年)でのツアーと本作収録の新曲制作の模様を収めたドキュメンタリー作品。U2なりの「アメリカ再発見」と「ルーツの探求」がテーマなんでしょうけど、当時かなり酷評されたことをよく覚えています。

で、アルバムですがスタジオ録音の新曲9曲と、前作『THE JOSHUA TREE』(1987年)を携えたツアーで録音されたライブ音源6曲、インタールード2曲の計17曲で構成。アナログは2枚組、CDは1枚で発売され、前作のメガヒットも手伝って本作も全米/全英1位を獲得しています(アメリカでは500万枚以上の売上を記録)。また、このアルバムからは「Desire」(全米3位/全英1位)、「Angel Of Harlem」(全米14位/全英9位)、「When Love Comes To Town」(全米68位/全英6位)、「All I Want Is You」(全米83位/全英4位)というヒットシングルも生まれています。「アメリカ再発見」というわりに、“もろにアメリカ”な楽曲ばかりのシングルは「Desire」以外そこまで大きなヒットにつながっていないんですね。不思議です。

まあ余談はともかく。内容自体は当時のイケイケぶりが伝わってくる、なかなかの内容です。オープニングの「Helter Skelter」(ご存知ビートルズのカバー)からゆらゆらと始まり、ジ・エッジ(G)がリードボーカルを初めて担当した「Van Diemen’s Land」で一旦トーンダウンしてから、まさに“魂の叫び”という映画タイトルがぴったりなヒットソング「Desire」へと続く構成。今さらながら最高だと思います。

その後もボブ・ディランをハモンドオルガンでフィーチャーした「Hawkmoon 269」、そのディランの楽曲でジミヘンのカバーでも知られる「All Along The Watchtower」のライブテイク、さらにゴスペル隊をフィーチャーした「I Still Haven't Found What I'm Looking For」と、聴きどころ満載です。

前半はライブテイク多めですが、後半はスタジオ録音の新曲が続きます。ブラスを大々的にフィーチャーした「Angel Of Harlem」、ディランがボーカルでも参加した「Love Rescue Me」、B.B.キングとの暑苦しい(笑)バトルが繰り広げられる「When Love Comes To Town」、『THE JOSHUA TREE』よりも『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)路線に近い「Heartland」、ジョン・レノンの名曲に対して勝手にパート2を作ってしまった(笑)「God Part II」と個性的な楽曲ばかり。

そして終盤はジミヘンのウッドストックでの名演「The Star Spangled Banner」から「Bullet The Blue Sky」の激アツライブテイク、そのままラストの「All I Want Is You」へと続いていきます。全体通して約72分。本作発売当時(1988年)はCDの最長収録時間が74分と言われていたので、かなりマックスに近い容量だったことが伺えます。

アルバムとしてのまとまりはほぼないに等しいですが、『THE UNFORGETTABLE FIRE』から始まった“アメリカ/ルーツ探求”の完結編という意味ではこういった雑多な内容もありなのかなと。まあ、そもそもが映画とペアで語るべき内容なんでしょうけど。

当時は好きな曲とそうでもない曲の差が激しい1枚でしたが、大人になってから聴くと意外と全編通して楽しめてしまうのですから、不思議なものです。そりゃあ、このあとに能天気にサングラスつけてギラギラのジャケット羽織ったボノ(Vo)がエレクトロテイストの楽曲を歌う日が来るなんて、当時は想像もしてませんでしたからね(笑)。

 


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2019年6月25日 (火)

U2『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984)

1984年10月にリリースされた、U2通算4作目のスタジオアルバム。前作『WAR』(1983年)から1年7ヶ月ぶりの新作ですが、その間にライブアルバム『UNDER A BLOOD RED SKY』(1983年)があったりと、本格的なアメリカ進出に向け何かと活動が活発なタイミングでのリリースとなりました。実際、今作からは「Pride (In The Name Of Love)」(全英3位/全米33位)、「The Unforgettable Fire」(全英6位)というヒットが生まれ、アルバム自体も前作と同じく全英1位/全米12位という記録を残しています。

過去3作を手がけたスティーヴ・リリーホワイトから一転、本作ではプロデューサーにブライアン・イーノとダニエル・ラノワを迎えて制作。この変更が功を奏し、サウンド的にはもちろんのこと、楽曲面にも新たな可能性を感じさせるものを生み出すことに成功しました。

初期3作は青臭さと前のめりな熱量が大きな武器でしたが、本作では一歩引いたところから物事を俯瞰で眺めているような、そんな大人になったU2の姿がニューウェイヴ以降のサウンドプロダクションを用いて表現されている……なんて書いたら大げさでしょうか?

ボノ(Vo)の歌の強さ、熱さは相変わらずですが、それでも以前ほど叫ぼうとせず、むしろ歌い上げる程度に収めて感情を強く出しすぎないようにしている。そんな印象を受けます。例えば「A Sort Of Homecoming」や「The Unforgettable Fire」での歌唱はまさにこれに当てはまるんじゃないかなと。鋭さや怒りが目立った『WAR』までの作風と異なり、ここでは優しさや包容力が色濃く表れているように感じます。

もちろん、それもこれも『WAR』での成功があったからこそ。その経験をベースに、「Pride (In The Name Of Love)」では高らかに歌い上げ、「Wire」や「Indian Summer Sky」では『WAR』までの攻撃性を見せながらもどこか落ち落ち着き払っている。「Bad」や「Elvis Presley And America」のような長尺曲では、まるで物語を伝える語り部のように歌でストーリーを聴かせていく。こういった楽曲は過去3作にはなかったタイプであり、と同時に以降の彼らのスタイルにおける重要な雛形となった欠かすことができないナンバーでもある。こういった実験が、続くメガヒット作『THE JOSHUA TREE』(1987年)へとつながるわけです。

メンバーがシカゴで目にした、広島・長崎への原爆投下から生き延びた被害者が描いた絵。そのタイトルが本作のアルバムタイトルのもとになっています。ビリビリ響く『WAR』と有無を言わさぬ傑作『THE JOSHUA TREE』に挟まれ、若干地味な印象を与えてしまう本作ですが、何気にクセになる楽曲が多いんですよね。個人的にも中学生の頃に聴きまくった、大切な1枚です。

 


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2018年10月23日 (火)

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BIHIND』(2000)

2000年10月にリリースされた、U2通算10作目のスタジオアルバム。これまで3枚で一区切りの3部作を3セットリリースしてきたU2ですが、2000年代に突入したこともあり、本作ここから再び新たなステージに突入したことを高らかに宣言するような力強いロックアルバムに仕上げられています。ランキング的にはイギリスで1位、アメリカでは5作連続で獲得した1位を逃す結果となりましたが(最高3位)、売り上げ的には400万枚以上と過去2作(1993年の『ZOOROPA』、1997年の『POP』)を大きく上回っています。また、「Beautiful Day」(全英1位、全米21位)、「Stuck in a Moment You Can't Get Out Of」(全英2位、全米52位)、「Elevation」(全英3位)、「Walk On」(全英5位)とイギリスでヒットシングルが多数生まれたのも本作の特徴です。

リードシングルとなった「Beautiful Day」を聴いて、きっと多くの(80年代のU2のみを愛好する)リスナーは「俺たち、私たちのU2が帰ってきた!」と喜んだのではないでしょうか。事実、このアルバムで展開されているのは90年代の彼らが試みたデジタル/エレクトロ路線とは一線を画する、大陸的なおおらかさを感じさせる“歌”が中心のロック/ポップソングなのですから。

「Stuck in a Moment You Can't Get Out Of」なんて名盤『THE JOSHUA TREE』(1987年)期を彷彿とさせるソウルフルなミディアムナンバーだし、「Elevation」はボノ(Vo)の<Hu〜>という節回しが往年のバンド像と重なるし……「そうそう、これこれ!」と膝を叩きたくなるよな楽曲がズラリと並びます。

けど、これって単なる原点回帰とか「90年代の失敗をなかったことに」した作品ではなく、しっかり“あの頃”もなかったことにせず通過した結果なんですよね。だって、絶対に『ACHTUNG BABY』(1991年)を通過していなければ生み出せていないような楽曲も多数含まれていますし(それはサウンド的にも、メロディ的にも)。「Elevation」はもちろん、「Kite」や「In A Little While」みたいな楽曲は確実に“『ACHTUNG BABY』以降”を強く感じさせますしね。

20年近くにわたる実験を経て、再びたどり着いた第二のデビューアルバム。もちろんそんな表現も可能でしょう。だとしたら、このデビューアルバムってとてつもなく強烈で豪華じゃないですか? 過去のいろんなエッセンスが凝縮されていて、ある種の集大成でもあるんだけど、と同時に新たな始まりを予感させるフレッシュさもある。20年選手ならではの落ち着き、安定感は至るところから感じられるけど、同じくらい新しいことが始まりそうなワクワク感も散りばめられている。これがあったから、続く『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』(2004年)へと到達できたんだと考えると、非常に納得にいく1枚です。



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2018年5月29日 (火)

U2『ACHTUNG BABY』(1991)

1991年11月に発表された、U2通算7作目のオリジナルアルバム。『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)を機にアメリカのルーツミュージックへと傾倒し、続く『THE JOSHUA TREE』(1987年)、『RATTLE AND HUM』(1988年)でその傾向がピークへと到達したU2でしたが、90年代に突入すると同時にそのスタイルを激変させます。

これには80年代末からの世界情勢の変動が大きく影響していると言われています。ベルリンの壁崩壊、また米ソ冷戦状態の軟化、湾岸戦争勃発……こういった不安定な状況が、どこか軽薄でシニカルなスタンスを後押ししたと言っても過言ではないでしょう。

にしても、80年代からU2を聴いてきたリスナー……それこそU2といえば「New Year's Day」や「Sunday Bloody Sunday」というイメージを持っていた古くからのファンには、このダンスミュージック路線は驚き以上に失望を与えたのかもしれません。

しかし、本作はアメリカで1位、イギリスでも2位と高順位を記録し、特にアメリカでは『THE JOSHUA TREE』の1,000万枚に次ぐ800万枚というメガヒットを記録したのでした。つまり、U2の劇的変化は多くのリスナーにとっては好意的に受け入れられたということでしょう。

実際、楽曲の軸自体は“いかにもU2”なものが多く、メロディ自体はU2以外の何者でもないことは聴けばご理解いただけるかと思います。しかし、そのメロディをダンサブルなビートに乗せたり、「Zoo Station」みたいに“ドラム缶を叩くような”ドラムサウンドで表現したり、「The Fly」や「Mysterious Ways」のようにループさせたギターリフで曲を引っ張ったりと、それまでのU2からしたら非常に斬新なアレンジが随所に盛り込まれています。

とはいえ、「One」や「Who's Gonna Ride Your Wild Horses」みたいに80年代のU2を愛した人にもアピールするキャッチーな楽曲や、「Acrobat」のようにエモーショナルな楽曲もしっかり用意されているのですから、すべてがすべて変わってしまったわけではない。このバランス感が“ダンス3部作”と呼ばれる90年代のアルバムの中でも、特に優れているのが『ACHTUNG BABY』なんですよね。

「Zoo Station」で軽やかにスタートし、「Even Better Than The Real Thing」で加速する。中盤にキモとなる「The Fly」や「Mysterious Ways」が並び、終盤に進むにつれてダークさを増し、最後に「Love Is Blindness」で幕を降ろす構成も完璧。曲単位でも優れものですし、文句なしの1枚。個人的な趣味で言えば、『THE JOSHUA TREE』よりもお気に入りのアルバムです。



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2017年12月12日 (火)

U2『SONGS OF EXPERIENCE』(2017)

iTunesユーザーに無理やり送りつけ賛否両論を巻き起こした前作『SONGS OF INNOCENCE』(2014年)から3年ぶり、U2の通算14枚目となるスタジオアルバム。そのタイトルからからもわかるように前作と対となる作品で、本来はもっと早いタイミングにリリースされる予定でしたが、ボノ(Vo)の自転車事故による大怪我やその後のツアーなどもあって、結局通常のサイクル(にしてはいつもより早めですが)での発表となりました。

ロックバンドに憧れた頃の原点(ジョーイ・ラモーンジョー・ストラマーなど)を見つめ直した前作を“Innocence”と称するなら、“Experience”をタイトルに用いた今作はそこから40年近くにわたるU2の音楽探求史の現在地が示されたような1枚と言えるでしょう。いつになくボーカルにエフェクトを施した「Love Is All We Have Left」から「Lights Of Home」へと流れる緩やかなオープニングには驚かされますが、先行シングル「You're The Best Thing About Me」のようなポップサイド、90年代初頭の彼らを思わせる「Get Out Of Your Own Way」、「Vertigo」にも匹敵する骨太なロックンロール「American Soul」、80年代のルーツミュージック回帰期を彷彿とさせる「Summer Of Love」など、従来のU2の総決算といえるような楽曲がずらりと並びます。

後半も小気味良いギターリフの「Red Flag Day」を筆頭に、アコギのストロークと緩やかなリズムが気持ち良いロックンソウル「The Showman (Little More Better)」、ミニマムなサウンドが90年代中盤のテクノ3部作を思わせる「The Little Things That Give You Away」、作風的には2000年代のU2に近い「Landlady」、先行公開されていたリード曲「The Blackout」、これも2000年代の彼らの延長線上にあるミディアムスローの「Love Is Bigger Than Anything In Its Way」、13曲目だからこのタイトル?なソウルバラード「13 (There is A Light)」とU2らしい楽曲ばかり。約50分と通常の彼らの作品同様、とても聴きやすいバランスとなっています。

デラックスエディションにはこのほか、ボーナストラックが4〜5曲追加されるのですが、その大半がリミックスやバージョン違いなのでここでは割愛します。

前作と比較すると、例えばギターでがっつり引っ張るといった作風ではなく、リズムで遊びながら歌をじっくり聴かせる、そういうアルバムなのかなと思いました。また、テイストとしてエレクトロの要素がうっすら散りばめられているものの、やはりロックバンドとしての軸はブレておらず、90年代的なテイストが散見されつつも、あくまでそれも味付けといった印象。U2がU2であることを引き受けた……そんなアルバムなのかなと思いました。

たぶん、これを嫌いなU2ファンはいないんじゃないかな(難癖つけるめんどくさい輩はいるだろうけど)。そんな“らしい”アルバムです。



▼U2『SONGS OF EXPERIENCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

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