2日目に突入です。1日目同様、気の利いたことは書けません。
◎RORY McLOED (at GREEN STAGE / 10:30~11:00)
プログラムにはないスペシャルゲストかと思ったのだが、FIELD OF HEAVENに出演する方だった。英国出身で、世界中を放浪しているシンガーソングライターだそうな。基本的にはギターとハーモニカのみ。本当ならほんわかした雰囲気の中で聴きたいタイプの音なのだが、どうも周りの雰囲気はそうではない。すでに人が多いし、日射しも強くなってきている。日よけもない場所で聴いたのもあり、いまいち記憶に残ってない。ただ、ひとつ……ちょっとロン・セクスミスを思い出した。が、あそこまで繊細な感じはしないけど。
3曲くらいの演奏だったか。最後の曲には前日にも現れたナワン(1日目のハイスタ参照)が再び現れ、共演。またまた「Free Tibet!」のコール&レスポンス。結局30分以上やったのか。
◎東京スカパラダイスオーケストラ (at GREEN STAGE / 11:00~11:40)
5月に不慮の事故でドラムの青木氏を失い、6月のツアーから助っ人としてブランキー・ジェット・シティーの中村達也が参加。あの達也がお揃いの衣装を着る、それだけで注目のステージとなったはずだ。
さてそのステージだが、いきなり達也のドラムからスタート。銀色のスーツをまとった彼。やけにデカく感じる。いや、ドラムセットが小さいだけか。ジャケットの下は素肌。達也の激しいドラミング以外は、いつも通りのスカパラに見えた。「青木氏の弔い合戦」というイメージはまったくなく、いつも通りのエンタテインメント性を全面に出した楽しいステージだった。
◎DMBQ (at WHITE STAGE / 11:30~12:10)
轟音系なんだけど、いい意味で音が「古臭」く、70年代のビンテージって感じ。ちょっと前のグランジとも違う。うまい表現が見つからないけど、すごくいい感じ。個人的には趣味。これでもっとエンタテインメント性があったりすると、いかにも70年代的なんだろうけどね。そうしないところが、現代的ってことなのか。
◎BRAHMAN (at WHITE STAGE / 12:50~13:30)
とにかく人が入ってる。昨日のNEVEが嘘のようだ(昨日は前の方に客が固まってるだけで、後ろの方はがらーんとしていて客が寝転がっていた)。後ろまでびっしり客が詰まってる。みんな期待してるってこと。考えてみると2日目って日本のパンク系バンドが多かったね(eastern youth、BACK DROP BOMBなど)。
1曲目がいきなり「Tongfarr」だった、と思う。何せ暑かったのと、風が強くて砂埃がひどくて、記憶がいまいちはっきりしない。が、この曲をやったことは鮮明に覚えている。日本的なメロディを聴かせる、「歌」にこだわってるように感じた。あとはもう……モッシュの嵐。この日のステージを観て、間違いなくこれからも追い続けるバンドのひとつになったことだけは断言できる。
◎UA (at GREEN STAGE / 13:20~14:00)
今回のバンド編成は元ルースターズが2人(ドラムの池畑氏、ギターの花田氏)いて、さらに浅田氏も参加。期待しないわけがない。選曲がこれまた、グレイテストヒッツ的なもので大満足。花田氏のスライドギターもこれまた渋い。気がついたらステージに向かって走ってた。
◎SKUNK ANANSIE (at GREEN STAGE / 16:00~17:00)
久しぶりに生で見た彼ら、この日は新作「POST ORGASMIC CHILL」のオープニング曲「Charlie Big Potato」からスタート。イントロの長いインダストリアル系SEにうざったさを感じながらも、バンドが入ると途端にイメージが逆転。レイジもびっくりのハードな演奏。最初、お客は前の方だけだったのに、演奏がスタートしてそのハードさが伝わった途端に前へ前へと走り出す。そりゃそうだって。
そしてスキン(Vo)が登場して、歌う。時に優しく、時に絶叫し、サビのハイトーンのところで多くの客がステージに向かって走っていくのが判った。いやいや、爽快。今まで彼等のことを知らなかった人はラッキーだと思う。だって、いきなりライブの洗礼を受けることができたのだから。1999年フジロックのベストアクトのひとつと言ってもいい。
自分は続くリンプ~ケミ~ブラーに備えて、後ろで泣く泣く体力温存していたのだが、やっぱりお客が続々と増えていく光景を見てるのは圧巻というか爽快というか。個人的にはこのSKUNK ANANSIEとCATATONIAがどう受け入れられるかが、今後の海外アーティスト来日公演への布石になるはずと思っていたが、大成功だったようだ。
選曲自体は先にリリースされたサードと大ヒットしたセカンドからの曲が中心。あの厳ついイメージのあるスキン嬢だが、ことMCになるとかわいらしい声で喋る。このギャップがたまらないし、レイジやKORNとは違った良さがある。絶対に、絶対に日本でもっと人気が出てもいいはずだ。
◎LIMP BIZKIT (at GREEN STAGE / 17:50~18:50)
勿論リンプには期待していた。あのアルバムを聴けば誰もがそう思うだろう。実際、あの新作を聴いてフジ2日目だけ参戦を決めた方は多かったはずだ。
噂には聞いていたが、ここまでエンタテインメント性重視のバンドだとは思わなかった。アルバムレビューで「バカ=とっつきにくい説」なんてのを書いた俺だが、そうか、作られたバカだったのか。とにかく客を楽しませることに徹している。レイジとは明らかに別の世界のバンドだということがよく判った。レイジにはロックバンド特有のストイックさを感じるのだけど、リンプの場合は例えばBEASTIE BOYSから受ける「あの」感じ。それと同様なものを感じ取る事ができた。それだけでも大きな収穫だと思う。
正直、モッシュしまくってたし、思いっきりコケたし、命がけで暴れてたので、ここに気の利いたことは書けない。ただ、ファーストの曲とセカンドの曲って、ライブ会場で聴くと明らかに質感が違う。改めて「SIGNIFICANT OTHER」のすごさを実感した瞬間だった。
それと、ライブ恒例の「大カバー大会」にも楽しませてもらった。「Do you like KORN?」の一言の後にあの印象的なドラムとギターリフが(「Blind」)。しかし、イントロの「Are you ready?」のところで演奏をストップ。続くはレイジの「Bombtrack」。ギター&ベースのユニゾンに笑った。そしてここでも「1、2、3!」で演奏ストップ。ここで終わるのかと思ったら、ギターがいきなり聴き覚えのあるリフを。あ、メタリカだ。しかも「Master Of Puppets」。今度は歌まで披露。歌うのはギターのウェス。「Master! Master!」のところまで演奏される。客は勿論盛り上がる。で、最後の最後にお約束でフレッドが一言、「Fuck You!」。これが言いたいがための前振り。リンプの芸人魂見たり、ってところか。
◎THE CHEMICAL BROTHERS (at GREEN STAGE / 19:40~20:50)
いきなり1曲目が「Hey Boy Hey Girl」。ウッドストックと一緒か? カレーを抱えたまま、ステージ近くまで走ろうと思ったが断念。贅沢に後ろのほうで食事しながらケミカルを聴くという、これも野外フェスの醍醐味。腹いっぱいになって体力的にも余裕ができたあと、地味に踊った。満天の星空の下、サイケな映像に目がやられ、無機質な機械音に耳と頭をやられる。そして体だけが勝手に動く。これが気持ちいいのだよ。
前作発売時にリキッドルームで観たときよりも、断然今回のほうが良かった。勿論クラブレベルで観る(踊る)彼等も最高だが、グループの規模感がデカくなった今、イギリスと同じ条件で観られるってのが幸運だと思う。
曲に関してはほぼ原曲通りだったが、圧巻は名曲「Setting Sun」のぶち壊し振り。前回の来日もほとんど歌のパートを聴かせないプレイに度肝を抜かれたが、今回はバックトラックが4つ打ちに差し換えられていた。カッコイイじゃないか! しかもまた歌を無視! ざまぁ見やがれ、と大暴れ。疲れてたはずなのに、そんなことすら忘れさせるステージだった。
◎BLUR (at GREEN STAGE / 21:40~23:00)
ステージにメンバーが現れまず驚いたのが、デーモンの衣装。いや、衣装とも言えない普段着。これじゃあリアムだよ!?ってな格好に無精髭、覇気のなさ、いや、オーラのなさが気になる。この「これじゃあリアムだよ!?」ってのは結局最後までつきまとった。もちろん今やってる音楽のイメージを考えれば、ちょっと前までの「ハイパーアクティブな」イメージを求めるのは酷なのかもしれないが、あの覇気のなさがすごく気になる。リアムの場合はそこにオーラがあるのだけどね。
そして気になること、その2。1曲目の「Tender」なのだが……何かが違う。聴いていてすごく居心地が悪い。何故だ? 自分なりにいろいろ考えたのだけど、こういう結論に達した。つまり、あの日「Tender」が“みんなのうた”になれなかったのではないか。どんなに作者が個人的なことを歌おうが、それがCDとして流通され、ラジオから流れ、テレビから流れ、ライブで披露されたその瞬間に、“ぼくのうた”から“みんなのうた”に変わる。作者の手元を離れてしまうのだ。そして俺達はその「瞬間」を、その爽快感を味わいたくてCDを買い、ライブに足を運ぶ。なのにデーモンはその切っ掛けを与えてくれなかった。それがあの覇気のなさと関係あるのかはわからないが、俺はその拒絶された感じに違和感を覚えたのかもしれない。
ライブが進むにつれて、客は盛り上がりを見せるが、俺は盛り下がり続けた。唯一救われたのは、過去の曲、特に「The Universal」を聴けたことかもしれない。唯一そのときだけは自分の中で盛り上がりを見せたが、最後の最後の名曲3連発、「Girls & Boys」「Parklife」「Song 2」で再び盛り下がっていく。体とは相反して、心はブルーのままだった。楽しめることは楽しめたのだが、何かしっくりこないとうか。
ライブは演者側がどういう状態であれ、観る側にとって“One And Only”なものでなければならない。バンド活動が長くなれば長くなるほど予定調和さが伴うだろう。が、特に日本のような国へは2、3年に一度しか来られないわけだし、フェスだったらチャンスは一回こっきり。「どうせこの後、単独で来るし」とナメていたのかもしれない、バンド側もファン側も。だが、次はないかもしれない。そのときは俺の多くの友人が俺に尋ねたように「BLURってあんなもん?」ってイメージが植え付けられたまま、また2、3年、いや、最悪一生そのイメージが残るのかもしれない。期待していただけにちょっと残念な内容だった。
‥‥‥‥‥‥To be continued.