UNEARTH『EXTINCTION(S)』(2018)
MA(=マサチューセッツ)メタルも今は昔。気づけば20年選手になっていたメタルコアバンド、UNEARTHの通算7枚目のオリジナルアルバム。
長年在籍したMetal Blade Recordsを離れ、前作『WATCHERS OF RULE』(2014年)を北米ではeOne Music Recordsから、ヨーロッパではCentury Media Recordsから発表した彼らでしたが、続く本作もCentury Media Recordsからのリリース。プロデューサーには新たにウィル・パットニー(GOJIRA、PIG DESTROYER、SHADOWS FALLなど)を迎え、レコーディグドラマーとして同じMAメタルの盟友KILLSWITCH ENGAGEからアダム・デュトキエヴィッチ(本来はギタリスト)が参加した意欲作となっています。
4年ぶりの新作となる今作では、“これぞメタルコア!”と膝をパンパン叩きなくなるような、王道サウンドが展開されています。オープニングを飾る「Incinerate」での不穏なギターフレーズと、メロディを無視してひたすらガナり叫びまくるトレヴァー・フィップス(Vo)のボーカル。要所要所に導入されたブレイクダウンとメロウなギターソロ。そうだよね、10数年前はこういうサウンドに夢中になって、フロアを駆け回ってたよね。そんなことを思い出させてくれる、非常に真っ当な1枚です。
なだけに、聴く人が聴いたら「古臭い」と感じるかもしれません。最近のメタルコアにありがちなクリーントーンでの歌唱など“歌う”要素は皆無ですし(セリフのようなパートはありますけどね)、ギターフレーズもごく当たり前のことしか弾いていません。もうやり尽くしたじゃん。そう思われても仕方ないかもしれません。
しかし、一周回って、いや、二周くらい軽く回って本作を聴くと、なぜか新鮮に聴こえてくるのです。もはやこのスタイルすらもオールドスクールと言えるのかどうかわかりませんが、今の耳には間違いなく“新しく”聴こえる。それは、いろいろと過剰なサウンド、過剰な楽曲アレンジを導入するバンドが増えた結果ではないでしょうか。
変わり続けることにアイデンティティを見出すバンドもいれば、変わらないでいることでバンドとしてのアイデンティティを維持するUNEARTHのようなバンドもいる。結成20周年という節目のタイミングにリリースする記念碑的1枚だからこ、あえてこういったスタイルにこだわったのかもしれませんが、そうすることがファンに対しても、そして自分たちに対しても正直であると。そう考えた結果が、このストロングスタイルの力作なんでしょうね。
何も考えずに大音量で聴けば、きっと20年選手の深みや凄みが浮き上がってくるはず。最後まで緊張感が一切途切れることがない、濃厚な37分。いやあ、素直にカッコいいと思える1枚です。