2017/11/03

KISS『CREATURES OF THE NIGHT』(1982)

1982年秋に発表された、KISS通算10作目のスタジオアルバム。70年代末のディスコ路線を経て、前作『MUSIC FROM “THE ELDER”』(1981年)ではオーケストラを導入したコンセプトアルバムにチャレンジし、往年のヒット作ほどの評価を得ることなく、どんどん先細りしつつあったKISSが、起死回生の一撃として制作したのがこの『CREATURES OF THE NIGHT』です。

聴いてもらえばわかるように、本作では70年代のロックンロール路線ともディスコとも異なる、骨太でメタリックなサウンドへとシフトチェンジ。楽曲制作にはアダム・ミッシェルやのちにバンドに加わるヴィニー・ヴィンセント(G)、さらには当時はまだ無名だったブライアン・アダムス&ジム・ヴァランスのコンビも関わっており、それまでのシンプルでわかりやすいポップなスタイルから時代の流行に合わせたメタル路線がずらりと並んでいます。

また、演奏面でも前作から加入したエリック・カー(Dr)と、エース・フレーリー(G)に代わってレコーディングに参加したヴィニー・ヴィンセントの個性が存分に生かされた硬質で豪快なハードロックを楽しむことができます。ちなみに、クレジットやジャケットにはエースの名前や姿があるものの、実際のレコーディングには一切携わっていないとのこと。結果、本作リリース後にエースはバンドを離れています。

豪快なドラミングとマイナー調のメロディが心地よいポール・スタンレー(Vo, G)歌唱曲「Creatures Of The Night」からスタートすると、以降はジーン・シモンズ(Vo, B)歌唱曲とほぼ交互にメロウな楽曲(ポール歌唱)とワイルドなヘヴィチューン(ジーン歌唱)が並びます。“空耳アワー”でおなじみの「Danger」やヘヴィバラード「I Still Love You」、今でもライブでは定番の「I Love It Loud」やジーンの“火吹き曲”としておなじみの「War Machine」など聴きどころ満載。全9曲中ジーン歌唱曲が5曲というのも、作風を考えれば納得です。

当時、本作は全米45位と決して大きな成功を収めることはできませんでしたが、KISSは次作『LICK IT UP』(1983年)ではついにメイクを落として素顔になり、ヘヴィメタル路線を追求していき『ANIMALIZE』(1984年)や『ASYLUM』(1985年)などでセールスや人気を復調させていきます。その間にはヴィニー脱退〜マーク・セント・ジョン加入&脱退〜ブルース・キューリック加入と紆余曲折があるんですけどね。

ちなみに本作、素顔で再びヒットを飛ばした1985年にリミックス&ジャケットを当時の編成(ポール、ジーン、エリック、ブルース)に変えて再発。しばらくオリジナル盤は廃盤状態でしたが、現在はリミックス盤が廃盤となり、オリジナル盤が復活しております。



▼KISS『CREATURES OF THE NIGHT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 11 03 12:00 午前 [1982年の作品, KISS, Vinnie Vincent Invasion] | 固定リンク

2017/01/11

VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』(1988)

1987年から1989年くらいまで、TBSにて日曜深夜に放送されていたHR/HM系プログラム『PURE ROCK』。この番組の中ではアメリカのHR/HM系専門FM局「KNAC」でのオンエアチャートが紹介されていて、いわゆるシングルカットやMV制作されていない「アメリカのラジオならではの楽曲」がランクインしているのも特徴でした。

ここで個人的にずっと気になっていたのが、ロバート・プラントばりのハイトーンボーカルが印象的な「Ashes To Ashes」というミドルテンポの楽曲。「VINNIE VINCENT INVASION」というバンド名を目にして「Vが3も入ってるバンド名、カッコいいな」と、ボンクラにも程がある感想しか思い浮かばなかった自分、どうかと思います。だって、あれだけ愛聴してきたKISS『CREATURE OF THE NIGHT』の立役者であるヴィニー・ヴィンセントのバンドだって、最初の時点で気づかなかったんだから。

ヴィニーがKISS脱退後に結成したのが、このバンド。先の「Ashes To Ashes」が収録されているのが、1988年(またかよ)に発表された2ndアルバムにしてラスト作となる『ALL SYSTEMS GO』でした。当時のメンバーはヴィニー(G)のほか、マーク・スローター(Vo)、ダナ・ストラム(B)、ボビー・ロック(Dr)という4人。バンド解散後、マークとダナはご存知、SLAUGHTERとして1990年にデビュー作『STICK IT TO YA』を発表して大ブレイク。ボビーはNELSONに加入して、同じく1990年にデビュー作『AFTER THE RAIN』が大ヒットしています。ヴィニー、踏んだり蹴ったりだな。

さて、アルバムのほうですが……結果論ではありますが、のちのSLAUGHTERにも通ずる重厚なコーラスワークと適度に軽いアメリカンハードロックサウンドを交えつつ、ヴィニーのアグレッシヴなギタープレイとマークの超絶ハイトーンボーカルが終始暴れまくる1枚となっております。ちょっとクラシカルな要素を持つ楽曲は「Ashes To Ashes」や、シングルカットされ映画『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』のサントラにも収録された「Love Kills」、ミディアムテンポのバラードタイプ「That Time Of Year」ぐらいでしょうか。

残りはどこかしらに脳天気さが見え隠れする、アメリカナイズされたハードロック。もちろんそれはそれでカッコいいので問題ないですが、本作を聴くと改めてヴィニーって「KISSの人」なんだなと実感させられるわけです。かといって、単なる「KISSの延長」で終わっておらず、ちゃんとKISS時代に見せた以上のことを楽しめるし、何よりマーク・スローターという稀代のシンガーと組んだことによる奇跡を見せてもらえたという意味でも非常に価値のある1枚なんじゃないでしょうか。

KISSファンすべてが楽しめるかと問われると疑問ですし、両手をあげてオススメはしませんが、少なくともSLAUGHTERの諸作品が気に入っているというHR/HMファンには間違いなく楽しめる作品だと思います。SLAUGHTERよりもギターが前面に出ていて、適度に激しさもあるので十分堪能できるはずです。



▼VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 11 12:00 午前 [1988年の作品, Slaughter, Vinnie Vincent Invasion] | 固定リンク