2017/01/11

VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』(1988)

1987年から1989年くらいまで、TBSにて日曜深夜に放送されていたHR/HM系プログラム『PURE ROCK』。この番組の中ではアメリカのHR/HM系専門FM局「KNAC」でのオンエアチャートが紹介されていて、いわゆるシングルカットやMV制作されていない「アメリカのラジオならではの楽曲」がランクインしているのも特徴でした。

ここで個人的にずっと気になっていたのが、ロバート・プラントばりのハイトーンボーカルが印象的な「Ashes To Ashes」というミドルテンポの楽曲。「VINNIE VINCENT INVASION」というバンド名を目にして「Vが3も入ってるバンド名、カッコいいな」と、ボンクラにも程がある感想しか思い浮かばなかった自分、どうかと思います。だって、あれだけ愛聴してきたKISS『CREATURE OF THE NIGHT』の立役者であるヴィニー・ヴィンセントのバンドだって、最初の時点で気づかなかったんだから。

ヴィニーがKISS脱退後に結成したのが、このバンド。先の「Ashes To Ashes」が収録されているのが、1988年(またかよ)に発表された2ndアルバムにしてラスト作となる『ALL SYSTEMS GO』でした。当時のメンバーはヴィニー(G)のほか、マーク・スローター(Vo)、ダナ・ストラム(B)、ボビー・ロック(Dr)という4人。バンド解散後、マークとダナはご存知、SLAUGHTERとして1990年にデビュー作『STICK IT TO YA』を発表して大ブレイク。ボビーはNELSONに加入して、同じく1990年にデビュー作『AFTER THE RAIN』が大ヒットしています。ヴィニー、踏んだり蹴ったりだな。

さて、アルバムのほうですが……結果論ではありますが、のちのSLAUGHTERにも通ずる重厚なコーラスワークと適度に軽いアメリカンハードロックサウンドを交えつつ、ヴィニーのアグレッシヴなギタープレイとマークの超絶ハイトーンボーカルが終始暴れまくる1枚となっております。ちょっとクラシカルな要素を持つ楽曲は「Ashes To Ashes」や、シングルカットされ映画『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』のサントラにも収録された「Love Kills」、ミディアムテンポのバラードタイプ「That Time Of Year」ぐらいでしょうか。

残りはどこかしらに脳天気さが見え隠れする、アメリカナイズされたハードロック。もちろんそれはそれでカッコいいので問題ないですが、本作を聴くと改めてヴィニーって「KISSの人」なんだなと実感させられるわけです。かといって、単なる「KISSの延長」で終わっておらず、ちゃんとKISS時代に見せた以上のことを楽しめるし、何よりマーク・スローターという稀代のシンガーと組んだことによる奇跡を見せてもらえたという意味でも非常に価値のある1枚なんじゃないでしょうか。

KISSファンすべてが楽しめるかと問われると疑問ですし、両手をあげてオススメはしませんが、少なくともSLAUGHTERの諸作品が気に入っているというHR/HMファンには間違いなく楽しめる作品だと思います。SLAUGHTERよりもギターが前面に出ていて、適度に激しさもあるので十分堪能できるはずです。



▼VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』
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投稿: 2017 01 11 12:00 午前 [1988年の作品, Slaughter, Vinnie Vincent Invasion] | 固定リンク