2019年1月19日 (土)

VOIVOD THE WAKE JAPAN TOUR 35TH ANNIVERSARY@TSUTAYA O-WEST(2019年1月18日)

Img_3939_2新年最初のメタル/エクストリーム系のライブは、これが3度目の来日ながらも初の単独来日公演となるカナダの至宝VOIVOD。このツアータイトルどおり、今年でデビュー35周年という記念すべきタイミングでの来日公演は、東京で一夜限りの貴重なものとなりました。TSUTAYA O-WESTという決して広くない会場でしたが、当然のようにチケットはソールドアウト。会場はムサ苦しい野郎ども(褒め言葉)で埋め尽くされ、最高の歓迎ムードでライブのオープニングを迎えました。

今回の編成はスネイク(Vo)、アウェイ(Dr)というオリメンに加え、過去2回の来日(2008年、2014年の『THRASH DOMINATION』)にも参加したチューウィー(G)と、これが初来日となるロッキー(B)の4人。ライブは現編成での発音現となったEP『POST SOCIETY』(2016年)から、タイトルトラック「Post Society」で幕を開けました。ガリガリしたベースと、グルーヴィーなドラムとリフを刻むというよりは効果音のようなサウンドを奏でるギター、そこにスネイクの個性的なボーカルが乗るのですが、音源で聴く以上に浮遊感が漂っていて、気持ちいいのなんの。4ピース(シングルギター)編成で、音の薄さが気になるかなと思っていましたが、アンサンブルの妙技によるものなのか、まったくそんなこと感じませんでした。また、音量もデカすぎず、小さすぎずといった程よいバンラス感で、しかもライブが進むにつれて徐々に大きくなっていくものの、それが決して大きすぎないという聴きやすさを保っていたのですから、さすがと言いますか。ホント、終始気持ちよかったです。

この日演奏されたのは、2回のアンコールを含む全16曲。2時間に満たない、決して長いとは言えないボリュームでしたが、終わったあとも特に不満はなく(まあ正直言えば、もうちょっと聴きたかったというのはありますが)、ここも程よさを醸し出していたのが印象的でした。

セットリスト的には、さすが35周年を謳っているだけあり、オールタイムベストといった内容。ただし、スネイク脱退時や2000年代のジェイソン・ニューステッド(B)在籍時などの楽曲はすべてなかったことにされていましたが、それも特に不満には思いませんでした。

内訳は1stアルバム『WAR AND PAIN』(1984年)から1曲、3rdアルバム『KILLING TECHNOLOGY』(1987年)から3曲、4thアルバム『DIMENSION HATROSS』(1988年)から2曲、5thアルバム『NOTHINGFACE』(1989年)から3曲、6thアルバム『ANGEL RAT』(1991年)から1曲、7thアルバム『THE OUTER LIMITS』(1993年)から1曲、最新EP『POST SOCIETY』から2曲、14thアルバム『THE WAKE』(2018年)から3曲。あれ、2ndアルバム『RRRÖÖÖAAARRR』(1986年)からは1曲もなしですか? それ以外は、まだ妥当な選曲かなと。現編成での楽曲が5曲というところに彼らの現役感を強く感じましたし、それもまた良しでした。

僕は2階からステージを見下ろすようにライブを拝見していたのですが、気づけばアウェイのドラミングばかりに目を奪われてしまいまして。以前からMVやライブ映像を観ていてもそうだったのですが、やっぱり彼のドラミングって個性的ですよね。で、この日初めて生で観て気づいたのですが……メタルのドラミングとはちょっと違うんですよね。パンク的というか、もっとロックンロール的なスウィング感が感じられるし、動きもちょっとクセがあって。どことなく、ジャズからの影響も感じられるのですが、そのへんは彼らの音楽的ルーツにもあるであろうRUSH(主にニール・パート)からの影響も少なからずあるのでしょうか。とにかく、このドラミングがVOIVODというバンドを唯一無二のものにしていることは、間違いないと実感しました(もちろん、オリジナルメンバーのひとりで2005年に急逝したギタリスト、ピギーによるものも大きいのですが)。

チューウィーも、その偉大な前任ピギーの重圧に押しつぶされることなく、新曲では従来のVOIVODらしさと彼ならではのプレイをミックスし、確実にVOIVODをネクストレベルへと押し上げていましたし、新任のロッキーもブラッキー(B)の陰を気にせず、存分に個性を発揮しておりました。

Img_3941そんな個性的な楽器陣が、このサイケデリックでパンキッシュでプログレッシヴな楽曲を演奏すると、不思議とスラッシュメタルにはならない。むしろパンクやオルタナやハードコアの香りが強かったし、そこがまた気持ちよかったし。そうか、だから俺、このバンドが好きなんだなと、改めて再認識することができました。“普通のヘヴィメタル”ではない、いや、むしろ“ヘヴィメタルのようでヘヴィメタルではない。ヘヴィメタルではないけど、実はヘヴィメタル”だから、ここまで楽しむことができたんだ。なもんだから、プレイ中にスネイクをはじめとしたメンバーがコミカルな動きをしようが、まったく気にならない(笑)。普通のメタルバンドがあんなことやったら「マジふざけんな!」ってぶちキレるかもいれないけどね。たとえチューウィーがドラえもんのギターストラップを使っていようが、某コンビニの入店音をギターで弾こうが(笑)気にならない。

それにしても、この日のお客さんは本当に温かかったなあ。1曲終わるごとに盛大な“VOIVODコール”を毎回叫び続けていたし、これにメンバーもかなり気を良くしていたようですし。思えば初来日がデビューから24年後というのが、そもそも……あんなに来日バブルだった90年前後に、ましてやメジャーから『NOTHINGFACE』『ANGEL RAT』『THE OUTER LIMITS』と力作を続出していた時期に来日が実現していないんだから、当時からこのバンドを支えるファンからしたら、そりゃあ叫び続けたくもなりますよね。わかります。自分もマスク越しに“VOIVODコール”してましたから。

新曲のウケも代表作からの楽曲のそれとまったく引けを取らなかったし、お客のテンションが落ちる瞬間は一度もなかった。だからこそ、あれくらいの長さでちょうどよかったのかもしれない。なので、このボリューム感のライブを定期的に見せてほしい(笑)。あれですよ、毎年秋の、あのフェスで……絶対にウケるはずだから。なんなら、それより前に、3月くらいに幕張方面でやる、あのフェスに出てくれてもいいんですよ?

あとさ、日本の配信サービスおよびサブスクリプションサービスは、早く『RRRÖÖÖAAARRR』から『THE OUTER LIMITS』までの一連の作品を公開してください。これも日本での知名度の低さに影響を与えていると思うんですよね。特にMCA時代の3作は昨年、廉価盤が発売されていますし、ぜひ配信でもお願いしたい。だって、せっかく最高のセットリストだったのに、プレイリストを作って公開できないし(苦笑)。Apple Musicさん、Spotifyさん、よろしくお願いします!


[SETLIST]
01. Post Society
02. Ravenous Medicine
03. Obsolete Beings
04. Technocratic Manipulators
05. Into My Hypercube
06. Iconspiracy
07. The Prow
08. Order Of The Blackguards
09. Fall
10. Always Moving
11. Psychic Vacuum
12. The Lost Machine
13. Voivod
<ENCORE>
14. The Unknown Knows
15. Overreaction
<ENCORE>
16. Astronomy Domine

*from 1st AL『WAR AND PAIN』:M-13
*from 3rd AL『KILLING TECHNOLOGY』:M-2、8、15
*from 4th AL『DIMENSION HATROSS』:M-4、11
*from 5th AL『NOTHINGFACE』:M-5、14、16
*from 6th AL『ANGEL RAT』:M-7
*from 7th AL『THE OUTER LIMITS』:M-12
*from EP『POST SOCIETY』:M-1、9
*from 14th AL『THE WAKE』:M-3、6、10



※代わりに、2014年発売のこのライブアルバムを貼っておきます。



▼VOIVOD『NOTHINGFACE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2019 01 19 10:00 午前 [2019年のライブ, Voivod] | 固定リンク

2018年12月31日 (月)

2018年総括(1):洋楽アルバム編

2018年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2018年気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)、そして今年印象に残ったライブ10本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

今年はまず最初に、次点の10枚から紹介していきたいと思います。たまにはやり方を変えて、新鮮さを保たないとね。

<次点>
・BLOOD ORANGE『NEGRO SWAN』
・CHVRCHES『LOVE IS DEAD』
・JACK WHITE『BOARDING HOUSE REACH』(レビュー
・KAMASI WASHINGTON『HEAVEN AND EAERTH』
・KURT VILE『BOTTLE IT IN』
・THE LEMON TWIGS『GO TO SCHOOL』
・MUSE『SIMULATION THEORY』(レビュー
・NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
・STARCRAWLER『STARCRAWLER』(レビュー
・VOIVOD『THE WAKE』(レビュー

メタル系以外は、自宅でまったりしているときに流していることが多かったか、移動中に聴く頻度が多かったものが中心。BLOOD ORANGEやMUSEなんて、まさにそれですね。CHVRCHESはフジロック以降、がっつり聴いていた記憶が。KAMASI WASHINGTONはレビュー仕事でディスク1のみ先に届いて、こっちばかりリピートしてたんだよな。THE LEMON TWIGSは常にセレクトするというタイプではないんだけど、個人的趣味からしてやっぱり外せないなと。KURT VILEも然り。

STARCRAWLERは今年1月のリリースだったけど、ちょっと12月まで持続させられなかったな、自分の中で。今年後半、もうひと跳ねあったら、自分内評価もまた変わったのかも。

さて、続いてここからが本編。僕が選んだ2018年の洋楽アルバム10枚です。

・ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(Spotify)(レビュー

・BOY GEORGE AND CULTURE CLUB『LIFE』(Spotify)(レビュー

・COURTNEY BARNETT『TELL ME HOW YOU REALLY FEEL』(Spotify)(レビュー

●DEAFHEAVEN『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(Spotify)(レビュー

・FATHER JOHN MISTY『GOD'S FAVORITE CUSTOMER』(Spotify

・MANIC STREET PREACHERS『RESISTANCE IS FUTILE』(Spotify)(レビュー

・ONEOHTRIX POINT NEVER『AGE OF』(Spotify

・SUEDE『THE BLUE HOUR』(Spotify)(レビュー

・TOM MISCH『GEOGRAPHY』(Spotify

・THE 1975『A BRIEF INQUIRY INTO ONLINE RELATIONSHIPS』(Spotify


ALICE IN CHAINS、DEAFHEAVENはメタル/ラウド系の年間まとめ記事で触れたので、改めて語るまでもありませんが、どちらも文句なし・ぶっちぎりの内容。コートニー・バーネットやファーザー・ジョン・ミスティはメインストリームとオルタナティブの中間に位置しながらも、今のアメリカのど真ん中からちょっとズレた位置にいる心地よい音。かと思えば、イギリスのTHE 1975が新作でさらに化けてイマドキの音を鳴らしてるのが興味深い。

CULTURE CLUBは数年待ったかいのあった傑作で普遍的。別に2018年じゃなくてもいいんだけど、と同時に今じゃなきゃいけない気も。ONEOHTRIX POINT NEVERもトム・ミッュもよく聴いたなあ。

マニックスとSUEDEは、デビューから20数年経った今も傑作と呼べるアルバムを出し続けている事実に対して、リスペクトの気持ちを込めて。特にSUEDEは個人的に、オールキャリアにおけるベストな1枚ではないかと思っています。2組とも、早く来日してください。

というわけで、簡単な解説は以上になります。今年は上記20枚でプレイリストを作ってみました。Spotify、Apple Musicそれぞれ用意してますので、ぜひ年末年始のお供に。


邦楽アルバム編に続く)

投稿: 2018 12 31 01:02 午後 [2018年の作品, Alice in Chains, Blood Orange, Boy George, Chvrches, Courtney Barnett, Culture Club, Deafheaven, Father John Misty, Jack White, Kamasi Washington, Kurt Vile, Lemon Twigs, The, Manic Street Preachers, Muse, Nine Inch Nails, Oneohtrix Point Never, Starcrawler, Suede, Tom Misch, Voivod, 「1年のまとめ」, 1975, The] | 固定リンク

2018年12月26日 (水)

2018年総括(番外編):HR/HM、ラウドロック編

隔月の奇数月に「リアルサウンド」さんにて、HR/HMやラウドロックの新譜キュレーション記事を書いているのですが、2018年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2018年ラウドロック年間ベスト10 ネガティブな話題の中にも豊作が揃った1年」が12月25日に公開されました。

基本的には順位を付けるのは苦手なのですが、ここでま毎回思い切って1位から10位まで順番をつけて10枚紹介しています。今年に関しては上位3作品に関しては不動なのですが、4位以降は日によって変動があると思うので、セレクトの際に泣く泣く10枚から落とした準候補10枚を加えた20枚を紹介する意味で、SpotifyとApple Musicに記事と同名のプレイリストを作成しました。

改めて、20枚を紹介しておきますね(基本的には順位は付けていませんが、先のリアルサウンドさんで1〜10位と順位付けしているため、便宜上20までナンバリングしておきます)。


01. DEAFHEAVEN『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(レビュー
02. VOIVOD『THE WAKE』(レビュー
03. ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(レビュー
04. Crystal Lake『HELIX』
05. AZUSA『HEAVY YOKE』(レビュー
06. IHSAHN『ÁMR』(レビュー
07. JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(レビュー
08. SIGH『Heir to Despair』
09. LOVEBITES『CLOCKWORK IMMORTALITY』(レビュー
10. ARCHITECTS『HOLY HELL』(レビュー
11. CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』(レビュー
12. FEVER 333『MADE AN AMERICA』(レビュー
13. GHOST『PREQUELLE』(レビュー
14. THE STRUTS『YOUNG & DANGEROUS』(レビュー
15. MANTAR『THE MODERN ART OF SETTING ABLAZE』
16. NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
17. NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』(レビュー
18. SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』(レビュー
19. SLEEP『THE SCIENCES』
20. CHTHONIC『BATTLEFIELDS OF ASURA』


最初の10曲が「リアルサウンド」さんで紹介した10枚から。一応順位どおりに楽曲を並べています。で、後半の10曲が選から漏れた10枚から。こちらは基本的には順不同ですが、まあ大体こんな並びかなと。基本的には当サイトで紹介した作品、あるいはキュレーション連載で紹介した作品ばかりですが、個人的にはこういう1年だったのかなとこれを聴いて振り返っているところです。

せっかくなので、この20枚から漏れた「今年よく聴いたHR/HM、ラウドロック系アルバム」も紹介しておきます。こちらはアルファベット順に並べています。


・BEHIMOTH『I LOVED YOU AT YOUR DARKNESS』
・BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(レビュー
・COHEED AND CAMBRIA『THE UNHEAVENLY CREATURES』
・Crossfaith『EX_MACHINA』
・DIMMU BORGIR『EONIAN』(レビュー
・DIR EN GREY『The Insulated World』
・Graupel『Bereavement』
・GRETA VAN FLEET『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』(レビュー
・HALESTORM『VICIOUS』(レビュー
・HER NAME IN BLOOD『POWER』
・JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』(レビュー
・LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(レビュー
・MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』(レビュー
・OBSCURE『DILUVIUM』
・A PERFECT CIRCLE『EAT THE ELEPHANT』
・SAXON『THUNDERBOLT』(レビュー
・SHINNING『X - VARG UTAN FLOCK』
・SKINDRED『BIG TINGS』(レビュー
・SURVIVE『Immortal Warriors』
・THERAPY?『CLEAVE』(レビュー
・U.D.O.『STEELFACTORY』(レビュー
・UNITED『Absurdity』
・VENOM『STORM THE GATES』(レビュー
・陰陽座『覇道明王』

投稿: 2018 12 26 05:14 午前 [2018年の作品, A Perfect Circle, Alice in Chains, Architects, Azusa, Behemoth, Burn The Priest, Chthonic, Coheed and Cambria, Corrosion of Conformity, Crossfaith, Crystal Lake, Deafheaven, Dimmu Borgir, DIR EN GREY, Fever 333, The, Ghost, Graupel, Greta Van Fleet, Halestorm, HER NAME IN BLOOD, Ihsahn, Jonathan Davis, Judas Priest, Loudness, LOVEBITES, Mantar, Michael Schenker Fest, Nine Inch Nails, Nothing, Obscure, Saxon, Shinedown, Shinning, Sigh, Skindred, Sleep, Struts, The, Survive, Therapy?, U.D.O., United, Venom, Voivod, 「1年のまとめ」, 「音楽配信」, 陰陽座] | 固定リンク

2018年12月 9日 (日)

VOIVOD『THE WAKE』(2018)

カナダ出身のテクニカルスラッシュメタル/プログレッシヴメタルバンド、VOIVODによる通算14枚目のスタジオアルバム。前作『TARGET EARTH』(2013年)から5年半ぶりのフルアルバムにあたり、スネイク(Vo)、アウェイ(Dr)のオリジナルメンバーにチューウィー(G/2008年加入)、ロッキー(B/2004年加入)という新メンバーが加わった編成で初のアルバムになります(同編成では2016年にプレEP『POST SOCIETY』を発表済み)。

正直、VOIVODは80年代から90年代前半の『THE OUTER LIMITS』(1993年)くらいまでは聴いていたものの、それ以降はジェイソン・ニューステッド(ex. METALLICA)が加入した当時の『VOIVOD』(2003年)や『KATORZ』(2006年)くらいしか知りません。その程度の知識で、あえて前作など聴かずにいきなり新作に触れてみました。

……なんですか、これ。めちゃくちゃすごい内情じゃないですか。怪しい雰囲気を醸し出すコード進行に、聴いているとどこか不安を覚えるメロディ。オープニングの「Obsolete Beings」からして、今まで聴いたことがない、だけどVOIVODのそれだとわかる世界観が展開されています。ヘヴィメタル的な重厚さがすべてを占めるのではなく、KING CRIMSONあたりに通ずる不思議な雰囲気や、プログレッシヴロックが持っていた聴き手をまだ見ぬ世界へと誘うあの空気感が混在するのです。

全8曲で56分というボリューム。うち5曲が6分以上もあり、ラストナンバー「Sonic Mycelium」は12分半という超大作。この曲がまた……ものすごいことになっています。語彙なさすぎだろ?と思われてしまっても仕方ありませんが、聴き終えたときの正直な感想が本当にこんな感じなのですから、仕方ないのです。この終盤にかけてのドラマチックかつ不穏な展開ときたら……ぶっちゃけ、この1曲のためだけにこのアルバムを購入しても、損はありません。そう断言させたくなるだけの、凄みと緊張感、今までに聴いたことのなかった空間が構築されているのですから。

VOIVODは今年結成35周年を迎えたとのこと。本作はその集大成的な1枚であると同時に、まだまだやれるという気概が至るところに込められている。そんな強気な内容なんですよ。いや、ちょっとこれは驚いた。軽い気持ちで手にとってみたら、想像をはるかに超える内容だったので。確実に年間ベストに入る、2018年のHR/HMシーン、エクストリームミュージックシーンを代表する1枚だと思います。

なお、本レビューではアルバム本編にのみ触れましたが、海外盤の限定仕様と日本盤は先に触れたEP『POST SOCIETY』とライブテイク6曲を追加したボーナスディスク付きの2枚組仕様。日本盤は2枚組永久仕様なので、ぜひこちらを購入することをオススメします(『POST SOCIETY』については、また改めて紹介したいと思います)。



▼VOIVOD『THE WAKE』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

投稿: 2018 12 09 12:00 午前 [2018年の作品, Voivod] | 固定リンク